説明

接着剤分散液のフレキソ印刷適用

支持体上に接着剤組成物を含む接着剤領域を形成する方法であって、a)溶剤中の接着剤組成物の分散液を、フレキソ印刷機のアニロックスローラー上に施与する工程、ここで、接着剤組成物は接着剤ポリマーを含有し、b)前記アニロックスローラーをフレキソ印刷板と接触させて前記分散液の一部を前記フレキソ印刷板へ移す工程、ここで、フレキソ印刷板は、前記支持体上の接着剤領域とほぼ一致する形状を有する接着剤適用領域を有しており、c)前記フレキソ印刷板を支持体と接触させて前記分散液を前記支持体に移す工程、およびd)前記支持体上の前記分散液を乾燥させて接着剤領域を形成する工程を含む、支持体上に接着剤組成物を含む接着剤領域を形成する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
厚紙はしばしば、厚紙を折りたたんで封止し、閉じて完成されるカートンに画像および/またはテキストを形成する画像および/またはテキストを準備するために、フレキソ印刷法によって印刷される。フレキソ印刷では、インクが容器から供給され、該インクをその後厚紙に転移するためのパターンロールへと移すアニロックスローラーからインクが転移される。カートンを封止するためには、厚紙の所定の箇所に接着剤を適用する必要もあり、厚紙を折って形にし、熱を適用した時に、該接着剤が軟化して、カートンが封止される。しかし接着剤は印刷インクよりもはるかに高い塗布量で厚紙上に被覆する必要があり、従って一般には、このような高い塗布量の適用が可能な被覆装置を使用して、別個の操作で厚紙に適用されている。グラビアロール、ドクターブレード、ノズルおよびホイールがこの目的のために通常使用される。このような装置を使用するためには、別個のプロセスが必要であるが、これはしばしば印刷された厚紙の回収と、該厚紙の被覆プロセスへの搬送を必要とし、ひいては操作を複雑にし、かつコストを追加するものである。これらの、およびその他の理由により、別個の装置を使用する必要なしに印刷された厚紙に接着剤を適用する方法があれば包装産業では歓迎すべきである。
【0002】
発明の概要
本発明は、支持体上に接着剤組成物を含む接着領域を形成する方法を提供する。この方法は、
a)溶剤中の接着剤組成物の分散液を、フレキソ印刷機のアニロックスローラー上に施与する工程、ここで、接着剤組成物は接着剤ポリマーを含有し、
b)前記アニロックスローラーをフレキソ印刷板と接触させて前記分散液の一部を前記フレキソ印刷板へ移す工程、ここで、フレキソ印刷板は、前記支持体上の接着剤領域とほぼ一致する形状を有する接着剤適用領域を有しており、
c)前記フレキソ印刷板を支持体と接触させて前記分散液を前記支持体に移す工程、および
d)前記支持体上の前記分散液を乾燥させて接着剤領域を形成する工程
を含む。
【0003】
発明の詳細な説明
本発明は、支持体上に接着剤分散液を適用する方法を提供する。一般に、支持体は厚紙であるが、しかしその他の印刷可能なウェブ材料(たとえば紙、プラスチックフィルム等)も同様に処理することができる。簡潔性の理由で、「厚紙」という用語は、以下では関連する議論がその他の支持体にも該当するとの理解で使用される。この方法はフレキソ印刷法を使用し、かつたとえば標準的なマルチステーション式フレキソ印刷機の、支持体上にテキストまたは絵のような画像を印刷するステーションの一つで行うことができる。接着剤分散液はフレキソ印刷により適用する場合には、画像(インク)の印刷と同時に適用することができ、適用工程が1つ節約される。乾燥させて溶剤(通常は水)を除去した後は、最終的に印刷された厚紙上の予め適用された接着剤を引き続き熱により活性化して、該厚紙から作成されたカートンを封止することができる。本発明により、有効性のために必要とされる塗布量のレベル、つまりフレキソ印刷によりもたらされるインクの塗布量のレベルよりも顕著に高いレベルで接着剤を適用するためにフレキソ印刷法を使用することが可能になる。このようにして適用された接着剤は、たとえば板紙カートンを封止するためにホットメルト接着剤に代えて使用することができる。
【0004】
発明者らは、十分な量の接着剤を均一に、かつ十分に制御された方法で適用することは、標準的な技術を用いたフレキソ印刷法では達成が困難であることを見いだした。アニロックスローラーと、フレキソ印刷板との組み合わせの大多数は、接着剤の塗布量が不十分であるか、または厚紙上に塗布されるために必要とされる体積が高いことによる接着剤のプーリング(pooling)に基づいた配置の制御が不十分であるという結果を生じる。発明者らは、高体積のアニロックスローラーを、十分な塗布量で接着剤を塗布する努力において使用することは、それ自体が問題を生じることを見いだした。このようなローラーは一般に摩耗性が高く、かつ金属製のやすりのような働きをするドクターブレード上で急速に消耗する。
【0005】
しかしながら、アニロックスのデザインとフレキソ印刷板の配置の特定の組み合わせによって、比較的中程度の体積のアニロックスローラーを使用しながらも、ユーザーが接着剤分散液を厚紙の所望の領域に、均一に、かつ高い塗布量のレベルで転移させることができることが判明した。発明者等は、適切なフレキソ印刷板は、適用領域において、接着剤のプーリングを回避しながら十分に高い塗布量の接着剤を提供するために、一定の範囲で平均的な被覆率を提供するものであることを見出した。
【0006】
プーリングは、接着剤分散液がフレキソ印刷板の前方へ押しやられ、かつ接着剤が望まれていない支持体の領域に塗布される結果を生じるために回避すべきである。プーリングの問題は、少なくとも部分的に、フレキソ印刷板の凸部で必要とされる高い塗布量の接着剤分散液の存在の結果であると思われる。発明者らは、印刷板が支持体と接触する際に適用される圧力によって接着剤分散液の大部分が接触領域からスキージングされて隣接する領域に流れるということを見出した。これは本質的にフレキソ印刷の間にインクに起こる事象とは反対であり、この場合、インクの大部分は実際に接触した箇所にとどまる。しかし、発明者らは、接着剤分散液を必要とされる高い塗布量で適用する際には、ほぼ反対のアプローチをとる必要があることを見出した。従って本発明により使用するためのフレキソ印刷板は、厚紙に高い塗布量で塗布された分散液が意図していない領域にプールされ、かつあふれることを回避するために、スキージングされた大量のインクを収容するように設計されている。平均的な被覆率が一定レベル以下に維持されれば、スキージングは局所的に発生し、かつプーリングが回避される。
【0007】
本発明の方法および装置を使用する場合には、少なくとも100ft/分、または少なくとも200ft/分の速度、あるいは少なくとも300ft/分の速度であっても、接着剤を高い塗布量で被覆することが可能である。固有の上限は知られていないが、この速度は、一般に典型的なフレキソ印刷法の速度を超えるものではない。従ってこの速度は一般に最大で600ft/分、または最大で500ft/分である。このような速度は、フレキソ印刷機に比例し、いくつかの実施態様では、接着剤分散液は、印刷機のステーションの1つ、一般にはインクステーションの後方において支持体に適用することができる。適用される接着剤の質量は、乾燥質量を基準にして、少なくとも5lb/リーム(つまり5lb/3000ft2)、一般に少なくとも6lb/リーム、および最も典型的であるのは、少なくとも7lb/リームである。これはフレキソ印刷インクよりもはるかに高い塗布量であり、一般に印刷された領域において乾燥質量を基準として約0.7〜1.5lb/リームである。
【0008】
フレキソ印刷板
フレキソ印刷板は、接着剤分散液を十分な大きさの支持体上の1もしくは複数の領域に、該接着剤が良好な接着能を有するように、たとえば折られたカートンの封止が保証されるように塗布するよう設計されている。この領域は、接着剤を適用するために使用される正確なパターンとは無関係に、一般に少なくとも0.06in2、およびさらに一般には少なくとも0.10in2の領域を被覆する。より一般的であるのは、接着剤領域がそれぞれ少なくとも0.5in2、または少なくとも1.0in2、または少なくとも4.0in2を被覆する。この領域は一般に円形であるか、長方形であるか、あるいは任意の形状であってもよい。
【0009】
支持体上の接着性の領域は、フレキソ印刷板上で相応する接着剤の適用領域によって被覆される。これらは任意の形状であってよいが、しかし一般に円形もしくは矩形のパッチが使用される。発明者らは、接着剤適用領域における平均的な被覆率は一般に75%を超えないことを見いだした。いくつかの場合には、この被覆はプーリングを回避するために、最大で65%、または最大で60%、55%、または50%である。十分な接着剤の被覆をもたらすために被覆は一般に少なくとも30%、または少なくとも35%もしくは40%である。この文脈で使用しているように、被覆率とはフレキソ印刷板のパターン自体を意味しており、接着剤の被覆領域における、最終的にその上に接着剤を備えた支持体表面の実際の百分率を意味するものではない。上記のとおり、接着剤分散液の大部分は、実際の印刷板と支持体との接触領域に隣接する領域にスキージングされるので、実際に接着剤によって被覆される所定の領域内での領域の部分は一般に、フレキソ印刷板のハーフトーン領域におけるドットの接触領域により規定されるものよりも著しく大きい。
【0010】
適切な平均被覆率を提供するために適切な1つの方法は、濃い(heavy)ストライプと薄い(light)ストライプとが交互に配置されるフレキソ印刷板のパターンを使用することである。この場合、印刷板上の接着剤適用領域を横断する平均被覆率は、単に濃い領域と薄い領域との被覆率の質量平均である。たとえば濃いストライプが、90%の被覆率を有しており(つまり90%のグレースケールスクリーンで製造される)、かつ薄いストライプが同じ幅を有し、かつ0%の被覆率である場合、平均被覆率は45%である。ストライプは、縦方向であっても、つまりウェブの移動方向であっても、横方向であっても、あるいは中間的な角度であってもよい。これらのストライプは、直線であっても曲線であってもよく、かつ狭いものであってもよいし、特定の限定はない。一般に、ストライプの幅は少なくとも1/64″であるか、または少なくとも1/32″、1/16″、または1/8″である。一般に、ストライプの幅は、プーリングを回避するために、最大で1/2″、または最大で1/4″である。
【0011】
濃いストライプと薄いストライプは、同じ幅であっても異なった幅であってもよい。一般に、個々の濃いストライプの幅対薄いストライプの幅との比率は、少なくとも1:2、または少なくとも3:4、または少なくとも9:10である。一般にこの比率は最大で2:1、最大で4:3、または最大で10:9である。これらの全ての比率は、接着剤適用領域にわたる薄いストライプの幅の全累積に対する濃いストライプの幅の全累積にも該当する。いくつかの場合には、濃いストライプは、すべて同じ幅であってもよいが、必ずしもそうでなくともよい。
【0012】
濃いストライプは、ソリッド部が少なくとも50%、または少なくとも60、70、80または90%、あるいはソリッド部100%であってもよい。薄いストライプは、ソリッド部が最大で40%、または最大で30、20、または10%であるか、あるいはソリッド部が0%であってもよい。
【0013】
ストライプは、任意の形状のドットを使用して、線のインチ長さあたり、任意の数の線で印刷することができる。一般に、約65〜150lpi(線/線のインチ長さ)が使用される。ドット形状の例は、楕円形、円形、および方形である。線は任意のセル角度であってよいが、しかし一般には約17°〜90°の範囲である。
【0014】
チェッカー盤のパターンまたは他のパターンもまた、上記の範囲内での平均的な被覆率を提供するために使用することができる。チェッカー盤またはその他のパターンのための特徴の被覆率、およびこれらの幅は、ストライプに関して上記で記載されたものであってよい。または、ストライプまたはその他の特徴に分割しないで、単純に連続的なハーフトーン領域を適用してもよい。
【0015】
アニロックスローラー
本発明による使用のために適切なアニロックスローラーは、比較的中程度の体積のものである。ローラーの体積は、10億立方ミクロン/in2(BCM)で測定され、かつ適切な数値は一般に少なくとも25BCM、およびさらに一般的であるのは少なくとも30BCMである。この体積は、一般に最大で55BCM、およびさらに一般的であるのは最大で45または40BCMである。しかしいくつかの状況では、60または65BCMのボリュームを使用することができる。従来技術から公知の任意のアニロックスパターンを本発明により使用することができる。1つの適切な例示的パターンは、斜線板(trihelical)ローラーである。45°の方形(ダイヤ形(quad))または30°もしくは60°の六角形(ハニカム形)の配置も適切である。適切なCPI(cells per linear inch)値は一般に少なくとも30CPIであるか、または少なくとも35CPIである。一般的な上限値は、55CPIであるか、または50CPIである。一般に、この値は、30〜45CPIの範囲である。
【0016】
接着剤分散液
接着剤は、接着剤組成物の分散液の形で提供される。「分散液」という用語は、溶液、エマルション、ラテックス、マイクロエマルション等を含むものと理解される。多くの実施態様では、接着剤分散液は、水性のエマルションであるか、分散液であるが、しかし他の溶剤も水に代えて、あるいは水に加えて使用することができる。ここで使用する「水性」という用語は、溶剤の少なくとも50質量%が水であることを意味する。接着剤組成物とは、分散液の非溶剤部分全てを意味しており、これは1もしくは複数の接着剤樹脂を含有している。いくつかの実施態様では、その他の材料、たとえば粘着性付与剤、顔料、染料、ワックスおよびアルキドの存在は、接着剤を機能化するためには望ましくはなく、このような場合には、これらのいずれか、もしくは全てを接着剤分散液から排除することが望ましい。
【0017】
接着剤樹脂分散液の1つの例は、Allentown、PAのWacker Chemical Corporationから商品名Airflex(登録商標)EF9900で販売されているエチレン−酢酸ビニル(EVA)分散液である。発明者らは、この接着剤が一般には表面粘着性をほとんど示さないか、または示さないために、取扱いを容易にするが、しかし使用において高い接着強度をもたらすことを見出した。他のEVAポリマー、たとえば米国特許第7,238,149号に開示されているポリマーも使用することができ、その全ての内容を、ここに参照することによって取り入れる。一般に適切な接着剤分散液は、150〜1000cps、より一般的には300〜700cpsの粘度と、一般に45質量%〜55質量%の固体含有率を有する。いくつかの実施態様では、分散液中で使用される接着剤ポリマーは、20℃/分の加熱速度で示差走査熱分析(DSC)により測定して、35℃〜110℃、さらに一般的には50℃〜90℃の範囲の結晶融点Tmを有している。一般にポリマーは、米国特許第7,238,149号に記載されているように6.28rad/secで測定して、115℃で少なくとも1×104ダイン/cm2の引張貯蔵弾性率を有する。いくつかの実施態様ではポリマーは、20℃/分の加熱速度でDSCにより測定して、5〜100ジュール/グラム、さらに一般的には15〜70ジュール/グラムの範囲の融解熱(ΔHf)を有する。一般にポリマーは、ポリマーの全質量に対して、酢酸ビニルの重合された単位を15〜90質量%、エチレンの重合された単位を10〜85質量%を含有する。さらに一般的には、ポリマーの全質量に対して、酢酸ビニル単位25〜80質量%とエチレン単位20〜75質量%とが存在する。いくつかの実施態様では、ポリマーは、ポリマーの全質量に対して、酢酸ビニルの重合された単位を15〜80質量%とエチレンの重合された単位を20〜85質量%と他のモノマーの重合された単位を0〜10質量%含有するエチレン・酢酸ビニル接着剤ポリマーである。いくつかの実施態様では、他のモノマーは不飽和カルボン酸である。限定的ではない例は、アルケノン酸、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、およびイソクロトン酸、およびα,β−不飽和アルケンジオン酸、たとえばマレイン酸、フマル酸、およびイタコン酸である。エチレン・酢酸ビニル接着剤ポリマー中にこれらの酸が存在する場合には、これらの酸は一般に0.2〜10質量%、さらに一般的には0.5〜5質量%の量で含有されている。
【0018】
他の適切な接着剤は、たとえば米国公開第2005/0100754A1号および第2007/0292705A1号に記載されているような、水性分散液として提供されている熱可塑性樹脂を含む。たとえばこのような分散液は、約5ミクロン未満の体積平均粒径を有する分散したポリマー相を含んでいてよい。適切な熱可塑性樹脂は、エチレンベースのポリオレフィンおよびプロピレンベースのポリオレフィンおよびこれらのコポリマーを含む。
【0019】
接着剤分散液の適用
接着剤分散液は、標準的なフレキソ印刷機を使用して適用することができる。これは単独で、またはインク画像を印刷するために使用される印刷機と同じもので行うことができる。後者の場合には、接着剤分散液は一般に、インクが印刷された後に適用されるが、しかしこれは必ずしもそうである必要はない。分散液を適用した後に、厚紙は一般に乾燥炉中を通過して溶剤が気化され、かつ乾燥した接着剤組成物が、厚紙上の接着剤領域の形で提供される。接着剤領域の形状は実質的に、フレキソ印刷板上の接着剤適用領域のものとマッチする。
【0020】
実施例
全ての適用速度は、lbs/リームの乾燥ベースで示されており、この場合、1リームは、3000ft2である。
【0021】
比較例1
縦方向に配置された一連の1″×10″のソリッドな矩形と、1″×1″および1/2″×1/2″のソリッドな方形を有するフレキソ印刷板(全て100%のスクリーン値)を準備する。該印刷板を、Charlotte、NCのHarper Corporationから入手した標準的な56〜65BCMの容量の50線の斜線型アニロックスローラーを備えた、Milford、OHのComco Machinery Inc.社から入手可能な、16″のCOMMANDER(登録商標)フレキソ印刷機に取り付けた。アニロックス容量に基づいて、予測される被覆質量は、約9lb/リームであった。接着剤分散液は、Airflex(登録商標)EF9900であり、これはソリッド部53%に調整されており、線速度120ft/分でSBSボードに適用され、次いで熱風乾燥機に通過させた。実際に測定された乾燥被覆質量は、印刷された矩形の内部で測定してわずか3.3lb/リームであった。矩形のエッジ部では、適用プロセスの間にフレキソ印刷板に対して適用された圧力により生じた、スキージングされた接着剤分散液のプーリングに基づいて、大量の接着剤が蓄積された。顕著なプーリングは、矩形および方形の先端エッジ部においても生じ、その結果、先端エッジ部を越えて接着剤が広がった、テーパ形のパターンが生じた。このパターンは、1″×10″のソリッドな矩形の先端エッジ部を1インチ以上越えて、および1″×1″のソリッドな方形の先端エッジ部をほぼ1インチ越えて広がっていた。
【0022】
1/2″×1/2″のソリッドな方形も、所望の方形の堆積領域を越えて接着剤がほぼ0.5インチ広がっていた。
【0023】
例2
縦方向に100%のスクリーンストライプと0%のスクリーンストライプ(つまりブランク領域)とが交互に現れる、複数の約1″×10″の矩形を有するフレキソ印刷板を準備した。一番外側のストライプは100%のスクリーンストライプであった。これらの矩形は縦方向に配置されており、SBSボードを比較例1においてと同様に処理した。測定された被覆質量は6lb/リームであったが、これはソリッドな100%のスクリーン矩形を使用した比較例1において得られたものよりもはるかに高かった。生じるパターンはごく少量の接着剤が矩形パターンの先端部を越えて広がったのみであり、矩形の長辺に沿ったその蓄積は著しく少なかった。その代わり、著量の接着剤分散液が100%のスクリーンストライプに隣接するブランク領域に流れたように思われ、100%スクリーンストライプが実際に厚紙に接触した領域における接着剤分散液はほとんど維持されなかった。
【0024】
比較例3
5つの1/8″の100%のスクリーンストライプが、4つの1/8″の30%のスクリーンストライプと交互に縦方向に配置されている、3つの約1″×10″の矩形を備えたフレキソ印刷板を準備した。一番外側のストライプは、100%のスクリーンストライプであった。矩形は、100、133および150lpiの値で準備し、縦方向に配置した。SBSボードを比較例1においてと同様に処理したが、ただし、140ft/分の線速度で行った。矩形パターンの端部には大量の接着剤が蓄積された。矩形の先端部では顕著なプーリングが見られ、その結果、接着剤が先端部の約1インチ越えて広がっている、テーパ形のパターンが生じた。
【0025】
比較例4
約1″×10″の矩形を4つ備えたフレキソ印刷板を準備した。2つの矩形は、縦方向の1/8″の80%のスクリーンストライプと、1/8″の20%のスクリーンストライプとが交互に配置されていた。1つの矩形では、一番外側のストライプが80%のスクリーンストライプであり、これはつまり80%のストライプ5つと、20%のストライプ4つとが交互に配置されており、かつもう一方の矩形では、このパターンが逆になっているということである。他の2つの矩形も同様であるが、しかし90%と30%の値を有していた。4つの矩形全てを133lpiの値で準備し、かつこれらは縦方向に配置されていた。SBSボードを、比較例1においてと同様に処理したが、しかし線速度は140ft/分であった。矩形の端部では大量の接着剤の蓄積が生じた。顕著なプーリングが、矩形の先端部で見られ、その結果、接着剤が先端部の約1インチ越えて広がっている、テーパ形のパターンが生じた。
【0026】
比較例5
比較例4においてと同様に、1″×10″の矩形を4つ備えたフレキソ印刷板を準備したが、ただしその値は150lpiであった。比較例1においてと同様に試験を実施したが、しかし線速度は140ft/分であった。矩形の端部では大量の接着剤の蓄積が生じた。矩形の先端部では、顕著なプーリングが見られ、その結果、接着剤が先端部の約1インチ越えて広がっている、テーパ形のパターンが生じた。
【0027】
例6
約1″×10″の矩形を4つ有するフレキソ印刷板を準備した。2つの矩形は、1/16″の50%のスクリーンストライプ10個と、1/16″の0%のスクリーンストライプ9つとが交互に配置されており、一番外側のストライプが濃いストライプである。1つは100lpiで準備し、かつ他方は150lpiで準備した。他の2つの矩形は同様であったが、ただし75%および0%の値を有していた。4つ全ての矩形は、縦方向に配置されていた。SBSボードを比較例1においてと同様に処理したが、しかし線速度は140ft/分であった。矩形の端部に接着剤の顕著な蓄積はなかった。実質的に矩形の先端部にはプーリングは見られず、かつ実質的に先端部を越えた接着剤の広がりはなかった。上記の順番での各パターンの被覆質量は、それぞれ5.3、7.4、6.2および5.7lb/リームであった。
【0028】
例7
約1″×10″の矩形を2つ備えたフレキソ印刷板を準備した。この矩形は、1/16″の50%のスクリーンストライプ10個と、0%のスクリーンストライプ9つとが交互に配置されており、一番外側は濃いストライプであった。2つの矩形はそれぞれ、幅1/32″および1/16″の0%のストライプを有していた。濃いストライプは、100lpiで準備され、かつ矩形は縦方向に配置されていた。SBSボードは、比較例1においてと同様に処理し、全ての矩形に関して>5lbs/リームの被覆質量が生じた。矩形は、矩形の端部において顕著な接着剤の蓄積を示さなかった。実質的に矩形の先端部には、プーリングは見られず、かつ実質的に先端部を越えた接着剤の広がりはなかった。
【0029】
比較例8
2つの矩形を準備し、例7においてと同様に評価したが、これらはそれぞれ、幅1/64″および3/128″のストライプを有していた。1/64″のストライプを有する矩形によりもたらされる被覆質量は、7.7lbs/リームであり、他方、3/128″のストライプを有するものは測定することができない堆積パターンを生じた。顕著な蓄積およびプーリングがこれらの矩形で見られ、かつ実質的に先端部を越えた接着剤の広がりが見られた。
【0030】
例9
折りたたんで、ゴルフボールが2つ入るカートンが得られるように設計された厚紙カットアウトを、例1においてと同様にフレキソ印刷機で処理したが、ただし、以下の点が異なっていた。装置の幅方向に中波の赤外線ランプを9つ備えた、衝撃空気を用いる、15″(長さ)×12″(幅)のXericWeb乾燥機で付加的な乾燥を実施した。アニロックスローラーは、64BCMの方形ローラーであり、印刷機速度は約300ft/分であった。接着剤は、折り畳み可能な厚紙のカットアウト上に、1/16″の、それぞれ100%の濃いストライプと0%の薄いストライプが交互に配置されたフレキソ印刷板のパターンを使用して複数箇所に施与した。接着剤の堆積は極めて正確であることが判明し、その際、実質的にカットアウトの意図されていない箇所に接着剤が現れることはなかった。高速の印刷機速度は可能であるが、しかし装置の乾燥容量はこのような高速に対応することができなかったように思われる。
【0031】
例10
3つのアニロックス設定のそれぞれに関して、5つの異なったハーフトーンドットのパターンを示す、5×3の矩形ブロックの配列を有するフレキソ印刷板を準備した。濃いストライプと薄いストライプは使用しなかったが、ドット間のスペースが、薄いストライプと同じ機能を果たした。つまり、これらは、ドットが厚紙に対してプレスされる接触領域からスキージングされる接着剤分散液を収容した。これらのパターンは以下のとおりである。
【0032】
#1:65lpi、45%のスクリーン、方形「ドット」、75°。
【0033】
#2:上半分は#1と同じであるが、下半分は、ウェブの方向に配置された3ミリの線を有する。これらはブランクの領域によって分離されていた。
【0034】
#3:65lpi、40%のスクリーン、方形「ドット」、90°。
【0035】
#4:45lpi、10%のスクリーン、方形「ドット」、90°。
【0036】
#5:上半分、65lip、10%のスクリーン、方形「ドット」、90°、下半分、ウェブの方向に配置された等間隔の3ミリの線。
【0037】
#6:ウェブの方向に対して垂直な、中央を横断する幅1/16″のブランクのバンドを有するダイアモンドパターンの5ミリの線(つまり該ダイアモンドの反対側の角と接続する)。
【0038】
該印刷板を、Harper Corporationから得られるバンドタイプのアニロックスローラーを備えた、5ステーション式のフレキソ印刷機Mark Andy 4150に取り付けた。該ローラーは、以下の3つのバンドを有しており、これらはすべて45°の方形のデザインであった:
バンド1−40CPI、45BCM、
バンド2−45CPI、40BCM、
バンド3−45CPI、35BCM。
【0039】
接着剤分散液(比較例1において使用したものと同じ)を、印刷機の、100ft/分で運転される3つ目のステーションで適用した。被覆質量は、被覆厚さから推定したが、これはマイクロメートルで測定したものであった。マイクロメートルの読み取り値および推定された質量は以下のとおりであった。
【0040】
【表1】

【0041】
全てのパターンは、矩形の先端を越えた接着剤の広がりはごく少量であり、矩形の長辺に沿った堆積はごくわずかであった。パターン#1および関連するパターン#2は、高い接着剤供給量に基づいて全体的に最も良い結果をもたらした。これらのパターンに関して、著量の接着剤分散液が、矩形を作っているドットに隣接するブランク領域に流れたように思われる。しかし、実質的に接着剤分散液はパターン#2または#5の線を有する領域に流れず、従って、実質的にプーリングはなく、かつ接着剤分散液の、ハーフトーンの矩形の先端の前方領域への流れはなかった。アニロックス配置の変更は、これらの運転において大きな影響は与えなかった。従って、適切な百分率のスクリーン範囲内での分割されていないハーフトーン領域の接着剤適用領域を使用するフレキソ印刷板は、本発明による良好な接着剤供給をもたらすことができる。
【0042】
本発明を特別な実施態様を参照しながらここで説明し、かつ記載したが、本発明は、記載された具体例に限定されることを意図するものではない。むしろ種々の変更は、本発明から逸れることなく、クレームの範囲および均等の範囲内で具体的に行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に接着剤組成物を含む接着剤領域を形成する方法であって、
a)溶剤中の接着剤組成物の分散液を、フレキソ印刷機のアニロックスローラー上に施与する工程、ここで、接着剤組成物は接着剤ポリマーを含有し、
b)前記アニロックスローラーをフレキソ印刷板と接触させて前記分散液の一部を前記フレキソ印刷板へ移す工程、ここで、フレキソ印刷板は、前記支持体上の接着剤領域とほぼ一致する形状を有する接着剤適用領域を有しており、
c)前記フレキソ印刷板を支持体と接触させて前記分散液を前記支持体に移す工程、および
d)前記支持体上の前記分散液を乾燥させて接着剤領域を形成する工程
を含む、支持体上に接着剤組成物を含む接着剤領域を形成する方法。
【請求項2】
前記接着剤適用領域が、35%〜65%の範囲の平均的な被覆率を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記接着剤適用領域が、連続したハーフトーン領域からなる、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記ハーフトーンのスクリーン値が、35%〜65%の範囲である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記接着剤適用領域が、交互に現れる濃いストライプと薄いストライプを含み、前記濃いストライプは、50%〜100%の範囲のスクリーン値を有しており、かつ前記薄いストライプは、0%〜40%のスクリーン値を有している、請求項1または2記載の方法。
【請求項6】
前記濃いストライプ対前記薄いストライプの幅の比率が、1:2〜2:1の範囲である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記濃いストライプと前記薄いストライプとが、それぞれ1/32″〜1/8″の範囲の幅を有する、請求項5または6記載の方法。
【請求項8】
前記濃いストライプと前記薄いストライプとが、前記印刷機上でのウェブの移動方向に対して平行に配置されている、請求項5から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記アニロックスローラーが、25BCM〜65BCMの範囲の体積を有している、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記アニロックスローラーが、30BCM〜40BCMの範囲の体積を有している、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記接着剤領域中の前記接着剤組成物が、少なくとも5lb/3000ft2の塗布量で存在する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
マルチステーション式フレキソ印刷機のステーションにおいて、付加的に画像を支持体上に作成する印刷機の運転の間に実施される、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記支持体が、厚紙を含む、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記分散液が、水性分散液である、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記分散液が、150〜1000cpsの範囲の粘度を有する、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記接着剤組成物が、エチレンベースのポリオレフィンまたはプロピレンベースのポリオレフィンを含む、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記接着剤ポリマーが、エチレン−酢酸ビニルポリマーを含む、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記エチレン−酢酸ビニルポリマーが、35℃〜110℃の範囲の結晶融点と、115℃で少なくとも1×104ダイン/cm2の引張弾性率とを有する、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記エチレン−酢酸ビニルポリマーが、5〜100ジュール/グラムの範囲の融解熱を有する、請求項17または18記載の方法。
【請求項20】
前記エチレン−酢酸ビニルポリマーが、ポリマーの全質量に対して、酢酸ビニルの重合単位15〜90質量%およびエチレンの重合単位10〜85質量%を含む、請求項17から19までのいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
前記エチレン−酢酸ビニルポリマーが、ポリマーの全質量に対して、酢酸ビニルの重合単位15〜80質量%、エチレンの重合単位20〜85質量%、および不飽和カルボン酸の重合単位0.2〜10質量%を含む、請求項17から20までのいずれか1項記載の方法。

【公表番号】特表2012−509172(P2012−509172A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537501(P2011−537501)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【国際出願番号】PCT/US2009/063980
【国際公開番号】WO2010/059472
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(508286843)ワッカー ケミカル コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】