説明

携帯型高利得蛍光検出システム

液体試料における蛍光分析法用のコンパクトなマイクロプロセッサで制御された器具であって、マイクロ流体カートリッジを受容するドッキングベイを有する浮動台と、光源LED、エミッション信号増幅、および検出器ヘッド内の隔離された低雑音・高利得環境でのフィルタリングを制御するためのオンボード組込みマイクロプロセッサを有する走査検出器ヘッドとを有する器具を開示する。複数の光チャネルが走査ヘッドに組み込まれ得る。好ましい構成では、分析法は、標的被分析物と関連付けられる第1のフルオロフォアおよび対照と関連付けられる第2のフルオロフォアを監視するための二重チャネル光学部を使用して認証される。アプリケーションは、一般に標的核酸のPCR増幅および蛍光分析法に基づく分子生物学的分析法を含み、その多くは、検出中に温度制御を必要とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮特許出願第61/148,843号(2009年1月30日出願)の米国特許法第119条第(e)項の利益を主張し、この出願の開示は、その全体が本明細書に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、マイクロ流体カートリッジ内で行われる分析法において使用するための光学部を有するコンパクトな蛍光検出器具に関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の説明)
生体外診断分析法用のプローブとしてのフルオロフォアの使用の有益性が周知であるが、そのような分析法用の最も一般的に入手可能な形式の機器は、大型で、使用が複雑で、比較的遅く、高価な共焦点光学部に依存する。これらの属性により、機器は、遠隔場所、および診療時の現場での完全一体型「サンプルツーアンサー」検査にとって不適切になり、そのような機器は、頑健、高速、コンパクト、安価、および使用容易であるよう要求される。マイクロ流体カートリッジの中の自動核酸増幅が、数年前に最初に提案された(Wilding、特許文献1および特許文献2を参照)が、制御された実験室条件外での蛍光分析法標的の検出は依然として、携帯用の頑丈な機器の不足によって妨げられている。これらの開始以来20年、分子診断学は、これらおよび他の未解決の問題により、先進実験室施設がない場合には依然として比較的珍しい。
【0004】
分子診断学へのより広範なアクセスを推進するために、特殊実験室施設外で動作するように設計されている、内蔵型分析システムが必要とされる。核酸分析法は、より高い感度および特異性の両方を提供するため、感染症を含む多くの異なる疾患の種類の検出に対する「ゴールドスタンダード」に急速になりつつある。そのような分析法は、広範囲の病原状態に極めて特異的であることが証明されており、例えば、H5N1鳥インフルエンザと他の種類のインフルエンザAおよびBを区別する際、特定の病原体標的が薬物抵抗性箘であるか否かを決定する際、および大腸菌O157:H7等の腸内分離株の毒素産生菌を検出する際に、疫学に必須であるように、特定の疾患の遺伝子株を追跡するために有用である。蛍光ベースの分析法はまた、一般的に糖尿病、心臓病、凝血障害、免疫学的検定等の状態を監視するため、および、例えば、食物または製剤中の内毒素の検出のために有用であることも示されている。改良型機器は、医療へのアクセスが限定されており、多くの感染症が風土病であり、健康および平均余命が不良である、開発途上国内の多数の遠隔診療所のために特に必要とされている。
【0005】
典型的な蛍光分析システムでは、蛍光プローブまたはフルオロフォアが、波長または一連の波長を有する光を吸収して励起され、次いで、フルオロフォアは、蛍光信号を発する。フルオロフォアの活性または不活性は、分析法結果を示す。発光信号は、概して励起光よりも長い(しかし「上方変換フルオロフォア」の場合のように短くてもよい)波長または一連の波長を有する。次いで、二色性ビームスプリッタまたは帯域通過フィルタ、あるいはそれらの組み合わせが、他の光から蛍光信号を分離するために使用され、信号はセンサに送られる。センサはしばしば、フォトダイオードであり、分析を採点するために使用することができる電気信号を生成する。リアルタイムまたは終点蛍光法を使用する定性および定量分析法が実行可能である。
【0006】
そのようなシステムでは、液体試料が、マイクロ流体チャネルを介して、マイクロ流体カートリッジの検出チャンバまたはチャネルの中へ運ばれ、その場合、試料と混合された、または試料に固有の蛍光プローブが、励起源によって励起される。制御が並行して実行されるか、または分析チャネルで多重化されてもよい。発光した光は、標的の有無を決定するように測定される。複数の検出チャネルが、マイクロ流体カートリッジの検出領域中で配設されてもよい。分析法は、1回以上の蛍光の測定を行うことを含んでもよく、フルオロフォアが、増幅ステップで形成される核酸アンプリコンに対する、またはより一般的には蛍光分析法標的の有無に対するマーカーとして使用されてもよい。リアルタイム蛍光法、FRET、qPCR、熱融解曲線、分析法採点および検証のための動態および速度終点も、当技術分野で知られている。
【0007】
従来技術の蛍光検出器は、典型的には、マイクロ流体カートリッジまたはマイクロアレイ内に存在する蛍光発光を獲得し、局限するために、比較的高価な光学構成要素(共焦点光学部、レーザ、および非球面レンズ)を採用する。例えば、Juncosaの特許文献3は、単一光学列の中の3つの二色性ビームスプリッタを教示し、1つは励起源電力を制御するため、もう1つは反射率信号を制御するため、第3の二色性ビームスプリッタはプローブ特異的蛍光発光を区別するために使用される。1つ以上のレンズは、試料上に励起ビームを集束させる働きをする。Juncosaはさらに、約50ミクロンにおける「微小位置」の分解能で撮像ビームを制御するための、光電子倍増管の入口における開口および共焦点顕微鏡の光学対物レンズ構成要素の使用を教示している。「好ましくは、開口の使用を通して、照明の領域に検出器の視野を制限することに加えて、所与の微小位置の領域またはそのわずかな部分に照明の範囲を制限することによって、信号対雑音比の有意な向上が達成されてもよい。」(ページ7、行10−15)。これらの教示は、Minskyの特許文献4、Tsienの特許文献5、Dixonの特許文献6、Sternの特許文献7、Kambaraの特許文献8によって予知され、とりわけ、Maherの特許文献9およびShamsの特許文献10の中で繰り返されている。Maherは、マイクロ流体チャンバの中心において10ミクロンサイズの点で集束および発光を最適化するために、レーザ、光ファイバ、水晶板、およびミニ共焦点光学システムを有する非球面レンズを使用する(コラム3、行23−38;コラム7、行7−16、43−48、および58−63)。
【0008】
同様に、特許文献11で、Leeは、試料の平面上で励起ビームの円錐を集束することにより、「分析チップ上での分析検出測定を増進する最大強度を提供する」と断言している(コラム1、行57−59)。したがって、この教示は、従来技術を要約する。
【0009】
より最近の出願では、Kimの特許文献12は、マイクロ流体チップの中の蛍光検出用の光源としての機能を果たすLEDの画像が、対物レンズによって「光スポット」として試料上に投影されることを教示している。光スポットは、マイクロ流体チップの中のチャンバの中の流体の深度の中間で集束される(段落0018、0067、請求項5)。試料によって発光される蛍光は、対物レンズによって平行光線とほぼ可能な限り平行にされ、アバランシェフォトダイオード上で集束される。周知であるように、阻止帯域が45度で鏡に進入しない光線に対して偏移される(段落0071)ため、整列における高精度の要件は、二色性ミラーに関する。したがって、Kimの教示は、本技術分野の概して認識されている状態を反映する。
【0010】
単一の光路内で複数の励起および検出波長を多重化するための蛍光検出器が説明されている、Grulerの国際出願第2008/101732号では、「共焦点測定手段では、それぞれ照明光学部または光源の焦点が、それぞれ検出光学部またはセンサの焦点と本質的に同じである」と記述されている(ページ7、行13−16)。Grulerは続けて、「(本発明の)共焦点光学部は・・・、共焦点設計の最高信号および最低背景固有特徴を確保する」(ページ32、行1−5)と記述しており、すなわち、Grulerによれば、共焦点光学部を用いて、可能な限り再考の信号および最低の雑音が取得される。
【0011】
従来技術の合意教示は、落射蛍光顕微鏡法用の共焦点光学部の特殊な使用から生じたが、該教示は、マイクロ流体、側方流動、キャピラリー電気泳動、およびマイクロアレイ用途に、幅広くかつ無批判に適用されている。しかしながら、我々は、このアプローチが、流体充填チャネル内の1つ以上の分子プローブの検出が必要とされる、液相マイクロ流体診断分析法に適していないことを見出した。光消光、熱対流、および流体充填チャネル内の気泡または勾配の時折の気泡の存在等の影響により、試料チャンバの平面内の励起ビームおよび発光円錐の焦点を共同局在化することは、結果において、許容し難い不安定性、信号の損失、消光、雑音、再生不可能性、および感度の全体的損失につながり得る。PCRのより高い温度により、例えば、試薬および試料のガス放出は珍しい問題ではなく、液体試料に混入された気泡からの干渉は頻繁な問題である。従来のアプローチはまた、より効果な光学構成要素を必要とし、したがって、先進臨床検査室外の幅広い用途にとって不利である。
【0012】
第2の問題は、分析法検証である。例えば、PCRによる感染症分析法の検証に対する現在の基準は、スパイク核酸テンプレートの使用、または、より好ましくは、内因性正常細菌叢、例えば、チフス菌あるいは大腸菌O157等の病原体が疑われる、便の中の偏在的な非病原性大腸菌の共検出に依存するようになってきている。別の偏在的な内因性テンプレートは、より高い質の呼吸および血液試料と関連付けられる、ヒト18S rRNAである。内因性テンプレートの共増幅および検出は、分析法結果への信頼を確保するが、マーカーとして使用されるフルオロフォア間の起こり得るクロストークにより、実践において達成することが困難である。高利得増幅を使用する時に、多重PCRのために一般的に選択されるフルオロフォアの励起および発光のスペクトル内のあるレベルのクロスオーバーが典型的であり、予期される。したがって、下流処理用の共有低雑音電子機器を有する走査検出器ヘッド内で別個の光チャネルを使用することによって、スペクトルが重複する段部を有する蛍光信号を隔離する解決法が、当技術分野での有益性の技術的進歩となるであろう。
【0013】
第3の問題は、携帯性である。共有試薬貯留部および共有流体含有表面による交差汚染が回避されるため、使い捨てカートリッジの使用が有益であることが分かっている。しかしながら、使い捨てカートリッジを受け入れるための精密光学器具プラットフォームを構成することが問題である。問題は、カートリッジ整列および検出器ヘッド設置に影響を及ぼす、機械公差における不正確性および蓄積、器具の中のプラスチック使い捨てカートリッジと加熱源との間に高伝導性熱インターフェースを形成する必要性、装置上の制御サーボとカートリッジ上のマイクロ弁との間の空気圧インターフェースを密閉する必要性、およびマイクロ流体カートリッジ(典型的には、約1ミリメートルまたはそれ未満)の中で利用可能な必然的により短い光路を含み、それは、最適化しなければ、感度の損失につながり得る。これらの相互に連動する問題の同時解決は、ほとんどの場合、この極めて予測不可能な技術分野で試行錯誤によって誘導される、広範な実験および開発によってのみ達成される。従って、多数の改良に対する技術上の必要があり、この改良の要素が本明細書における開示の目的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第5304487号明細書
【特許文献2】米国特許第5635358号明細書
【特許文献3】国際公開第98/049543号明細書
【特許文献4】米国特許第3013467号明細書
【特許文献5】米国特許第5296703号明細書
【特許文献6】米国特許第5192980号明細書
【特許文献7】米国特許第5631734号明細書
【特許文献8】米国特許第5730850号明細書
【特許文献9】米国特許第6614030号明細書
【特許文献10】米国特許第6731781号明細書
【特許文献11】米国特許第6635487号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2008/0297792号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、本発明の第1の側面では、液体試料を含有する検出チャネルまたはチャンバの裏面上の熱光学ウィンドウと接触して連動する、加熱ブロック上に形成される反射鏡面を提供することによって、液体試料中の気泡および他の連動不均質性の存在下のマイクロ流体カートリッジの中の蛍光プローブ、タグ、フルオロフォア、および被分析物の確実かつ高感度な検出の問題に対処する。鏡面は、加熱ブロックの頂面上に形成され、使用中に検出チャンバの下部光ウィンドウに接触し、各使い捨てカートリッジの底面上に一体型鏡を製造する複雑性および経費を回避し、カートリッジの熱光学ウィンドウに、熱伝達に対するより低い抵抗および透過性光学特性を有する、より薄く柔軟なフィルムを使用することを可能にする。鏡面は、随意で、熱伝達および蛍光発光捕捉の両方を向上させるように、平坦であり、磨かれている。走査対物レンズが、マイクロ流体カートリッジの上の上部光ウィンドウよりも上側に設置される。励起光は、鏡に衝打し、後方反射する前に、上部光ウィンドウおよび下部熱光学ウィンドウの両方を通して伝達される。直接および反射発光は、対物レンズによって収集され、フォトダイオード、光電池、光起電デバイス、CMOS、またはCCDチップ等の検出センサ上で集束される。
【0016】
また、従来技術の教示とは際立って対照的に、蛍光検出の問題は、励起光学部が共通光路上の発光光学部から分断されるように光学部を構成することによって、解決されることが示されている。試行錯誤によって、バックミラーを使用する時に、我々は、反射鏡の平面の付近または後に励起円錐の焦点を配置すること、および発光が優先的に検出センサ上で集束されるように発光円錐を独立して設置することが有利であると見出した。意外にも、分断は、感度を増加させ、検出の限度を向上させ、雑音または試料中の気泡および他の不均質性の干渉を低減する。
【0017】
従来技術の教示とは対照的に、我々は、励起および発光信号の従来の共焦点局在性が、広範囲の試料および動作条件にわたって堅調な信号を生成するのにあまり効果的ではないことを見出している。したがって、本発明の一側面では、試料の平面から試料の後の点への励起光の焦点の変位によって、信号検出の最適化が向上させられてもよいという、マイクロ流体蛍光分析法とともに使用するための低費用の光学部の分野での技術的進歩が見出された。励起および発光光学部の分断は、共焦点顕微鏡法、落射蛍光顕微鏡法、およびマイクロ流体蛍光分析法における従来の実践の基礎を形成する原則(米国特許第3013467号でMinskyによって最初に支持された)に専念した何十年もの従来技術に反する。従来技術の教示は、非球面レンズ、レーザダイオード、および励起光学部との検出光学部の精密な同焦点整列の使用につながっている。対照的に、ここで説明されるような励起円錐の非局在化焦点に必要とされる光学部は、偶発的に非常に低い費用であり、低費用の携帯用器具を製造するために望ましいように、精密な組立または保守を必要としない。
【0018】
検出チャンバの下の加熱ブロックの頂面上の鏡面は、対物レンズの集光能力を向上させることによって、感度を増加させるために使用される。対物レンズが検出チャンバのより近くに配置されるにつれて、定義された開口角および開口数のレンズは、発光を収集するのにより効率的となる。バックミラーがないと、従来技術の典型的なシステムの収集効率は、2.5%未満である(例えば、5mmの平凸レンズを仮定する)。バックミラーを追加することにより、これを200%ほども、理論的には400%ほども向上させることができる。試料チャンバの後に励起ビームを集束させることは、鏡を使用することにより励起路長を増加させることによって、感度の利得を相乗的に増大させることができる。これは、標準光学キュベットと比べて有意な低減である、カートリッジのz軸上の光路長が典型的にはミリメートル未満の長さである、低アスペクト比マイクロ流体カートリッジにおいて特に有利であることを、我々は見出した。幸いにも、この組み合わせが、小さな気泡等の試料チャンバ中の不規則性による干渉を低減することも分かった。
【0019】
一実施形態では、鏡は、アルミニウムまたは銅加熱ブロック上のクロムめっきまたは研磨した金属表面であり、また、温度制御された分析法のための熱または冷却を伝達するためにも使用され、したがって、設計の別の相乗効果を達成する。好ましい実施形態では、鏡は、光学的に平坦なアルミニウムブロック上の電解研磨したクロム表面であり、アルミニウムは、その優れた熱伝達特性および拡大縮小可能な熱慣性のために選択される。ブロックは、ブロックの基部と接触している抵抗発熱体によって加熱される。鏡面の平滑性および平坦性は、最適な熱伝達に有利に働く。本発明のこの側面では、鏡面は、例えば、PCRアンプリコン用の蛍光プローブのFRET検出または熱融解分析に使用される、発熱体の上面である。一実施形態では、鏡面加熱ブロックの光学的および熱的性質の組み合わせた用途が、分析流体の温度に勾配をつけながら蛍光を監視することによって得られる、FRET融解曲線の構築によって例示される。別の実施形態では、鏡面加熱ブロックは、カートリッジが蛍光発光について走査されている間にマイクロ流体カードの検出チャンバの中の反応温度を調整または制御するために使用される。リアルタイムの温度が変調された蛍光分析法でマイクロ流体カートリッジとともに使用するための鏡面加熱ブロックは、当技術分野での技術的進歩を実証する。
【0020】
本発明の別の側面によれば、我々は、走査ヘッドの中にコンパクトに載置された下流信号処理ファームウェアの使用を通して増大させられる雑音排除をとともに、高利得多段増幅器を採用している。励起光円錐の非常に高利得の増幅および面外非局在化は、液体試料の後の鏡面からの正反射を乱す気泡の存在下でさえも、分析法の区別および感度を最適化するのに相乗的であることが分かり、幸いにも費用の増加を伴わずに実装された。
【0021】
完全光路は、光源からの励起を平行にするための第1のレンズ、鏡の上に励起源を投影するため、および平行発光として試料中のフルオロフォアからの蛍光発光を収集するための第2のレンズ、検出器上で発光を集束させるための第3のレンズといった、3つのレンズを使用する。各フルオロフォアは、測定のために別個の光チャネルによって光学的に隔離される。スペクトル特異的LED、二色性鏡、およびバリアフィルタの組み合わせが、各光チャネル中の近単色励起光を達成するために使用される。励起および発光波長を分離するための光路に交差する二色性鏡およびフィルタを含む、レンズおよび関連光学構成要素は、検出チャンバにわたって横方向に移動するガイドレール載置走査ヘッドの中に提供される。雑音を最小化するために、ヘッドはまた、信号を増幅するための全ての電子構成要素と、アナログおよびデジタル信号処理のためのオンボード組込みマイクロプロセッサとを含む。信号平均化およびデータ収集の基準減算方法を無効にする気泡干渉の存在下でさえも、各チャネルからの分析走査データは、正確に評価され、単一ビット出力(すなわち、1または0)への変換によって報告されてもよい。これは、検出器ヘッドが1つまたは複数の検出チャンバ上で、および鏡面にわたって走査されている間の、液体試料混合物中の特定のフルオロフォアからの信号の有無に対する定性採点のための単純かつ著しく効果的な手段であることが分かっている。
【0022】
走査ヘッドおよびレールは、走査中の正確な空間分解能のためにステッピングモータに連結される駆動チェーンによって構成される。マイクロ流体カートリッジドッキングベイおよび光学ベンチ全体は、勾配角度で器具筐体の中に載置され、それは、気泡混入を減少させ、マイクロ流体カートリッジ上の搭載、ウェットアウト、および混合動作中に通気を向上させるのに有利であることが分かっている。好ましい実施形態では、光学ベンチ全体は、気泡がマイクロ流体回路から変位されるように、約15度の角度で載置され、浮動光学ベンチおよびドッキングベイ用の完全懸垂架台、およびバネ付勢された締付け機構を必要として、カートリッジが器具に搭載される時に、光学ベンチアセンブリの底面上のドッキングベイの中に載置されたオンボード発熱体と、挿入可能なカートリッジとの間の熱伝導性インターフェースの能動形成を確保する。角度付きカートリッジとガスケット付き空気圧インターフェースポートとの間の密閉インターフェースも、ドッキング中に確立されなければならない。
【0023】
検出器ヘッドは、検出チャンバにわたって走査されてもよく、またはギャクに、マイクロ流体カートリッジは、検出器にわたって走査されてもよい。ここで実装されるように、検出器は、2つの対を成すガイドレール上のステッピングモータの制御下にある、ウオームギアまたはラックおよびピニオン駆動台座を伴って搭載される。試料は、データ収集をモータ制御と同期させることによって、要求に応じて走査されてもよく、これは、検出器ヘッドの中の組込みマイクロプロセッサと連通しているオンボードまたは外部ホストコントローラを使用して行われてもよい。意外にも、オンザフライで測定値をサンプリングし、フィルタにかけ、平均化するための直線運動台上に搭載された一体型コプロセッサを有する、そのような検出器ヘッドは、多くの潜在的干渉にもかかわらず、分析法結果を認証し、報告するシステムの能力を向上させた。
【0024】
幅が数ミリメートルとなり得る、マイクロ流体チャンバ、チャネル、または検出域にわたって蛍光強度の変動があることが予期された。これらの変動は、例えば、混合の不均質性の結果として、ウェル厚さの違いから、光ウィンドウの不完全性から、加熱した検出ウェルにわたるわずかな温度変動(例えば、検出されているアンプリコンのハイブリダイゼーション依存性蛍光の付随する変動を引き起こし得る)から、ならびに脱気および混合から生じる気泡または発泡体から生じる。これらの変動は、陽性および陰性の検査結果を区別するために閾値を使用した、検出チャンバにわたるサンプリングトランセクト上の信号デジタル化によって、最小化できることが分かった。
【0025】
さらに雑音排除を提供するために、AC線変動による干渉および他の周囲電気またはRF干渉を防止することが知られている周波数で励起ビームをストローブすることによって、外部雑音が除去され、より清浄な信号変調をもたらし、器具筐体の中へ漏出する周囲光の影響を除去するようにフィルタにかけることができる変調信号をもたらす。我々は、専用コプロセッサを有する光学部のプリント回路基板を構成し、ホスト器具に接続されたデータバス上のトラフィックを効果的に最小化する、独立クロック周波数およびファームウェアを使用することによって、この結果を達成した。オンボード光学信号プロセッサは、光学部のカード上に常駐するEEPROMに記憶された専用命令を有し、電磁干渉を制限するように選択された周波数で、光源LEDに送信されたパルスをセンサフォトダイオードの問い合せと同期させる。ファームウェアは、ストローブバースト間の励起光のストローブ照明バーストと背景との間の信号の違いを評価するように設計されており、周囲または外部光による背景は、この方法によって容易に差し引かれる。
【0026】
結果として生じる光学部モジュールは、密閉検出器筐体の中に包装され、直列または並列に複数の試料またはフルオロフォアを同時に走査するために、複数の光チャネルを有する一連の光学部モジュールとして拡張することができる。信号処理は、検出器ヘッドに埋め込まれた単一のコプロセッサへ、およびそこからホスト器具コントローラへ送られる。したがって、本発明は、単一ヘッド/単一チャネル実施形態、二重ヘッド/二重チャネル実施形態、および多重ヘッド/多重チャネル実施形態を備え、単一の試料で、または複数の試料で並行して、単一および多重分析法を行ってもよい。
【0027】
検出器は、二重ヘッドおよび多重ヘッド検出器として収納される時に十分機能することが分かり、その場合、単一の筐体中の2つ以上のチャネルが、完全独立光学部、フルオロフォア特異的フィルタ、二色性鏡、および光源LEDによって構成され、複数のフルオロフォア間のクロストークを低減した。したがって、ヘッドは、随意で、第1の回路基板上に載置される複数の光源と、第2の回路基板上に載置される複数の対物レンズおよび関連検出器とを含有し、共有信号処理能力および検出器ヘッドに埋め込まれたファームウェアを使用して、複数のフルオロフォアのそれぞれに対する信号を独立して収集する。雑音を低減するために、いずれのアナログ信号も検出器ヘッドからホスト器具に伝送されない。
【0028】
このようにして、各チャネル中の励起のための光源を、個々のフルオロフォアに合致させることができる。白色光および励起フィルタを提供して、試料に衝打する励起光の狭通過ビームを確保することはもはや必要ではない。この単純化は、「バイプレックス」または多重標的および対照信号のペアを成す収集を要求する分析法プロトコルで有用であることが証明された。FDA CLIAウェーバー要件に関して、標的および対照テンプレートの両方が並行して増幅される場合、検査試料の分析法結果を報告または請求することができる前に、陽性対照信号が存在しなければならない。検出可能な対照信号が存在しない場合には、検出される任意の標的信号は、有効な結果ではない。CLIAウェーバー要件を満たすために、蛍光検出器は、例えば、PCRによって増幅される標的感染性微生物の存在だけでなく、例えば、標的とともに共存し、同じPCR反応または器具と並行して行われるPCR反応によって増幅される、内因性ヒト対照微生物の存在も検出できることが必要である。
【0029】
そのようなアプローチは、蛍光検出器が、共通検出チャンバ中の「バイプレックス」(「二重」)増幅反応混合物として、標的および対照フルオロフォアの両方の存在を決定する能力を有することを要求する。標的フルオロフォアの蛍光励起および発光スペクトルから選択的帯域通過フィルタによって十分に分解されるよう(波長が)偏移される、蛍光励起および発光スペクトルを有する、正の増幅対照フルオロフォアが、典型的には使用される(例えば、図7参照)。しかしながら、本発明によれば、二重ヘッド検出器を使用することによって、ならびに、各チャネルを用いて1回、各検出チャンバを連続して2回走査し、最初に対照蛍光サインを検出し、次いで検査試料蛍光サインを検出することによって、優れた分解能を達成することが可能であることが証明され、各走査通過は、上記で説明されるような別個の励起および発光光学部を利用する。
【0030】
完全に分離された独立光路を伴ってこれらの検出器を構成することによって、有益性が見出された。本発明のこの側面では、二重ヘッド設計の使用は、試料中の増幅対照フルオロフォアの存在が、「クロストーク」により標的チャネル中で信号を不注意に生成しないことを確実にする。そのような状況は、「誤検出」として分類される試料をもたらす。逆に、複数の信号が共通光路を共有する時に起こり得る、標的チャネルから対照チャネルへのクロストークがないことも重要である。そのような状況は、不注意に存在すると見なされる正の増幅対照をもたらし得て、このような場合が当てはまらない時は、許容し難い結果である、無効な分析法の報告につながる。
【0031】
これらの原理は、標的用の分子プローブとしてのフルオレセインまたは同等フルオロフォア、および対照用の分子プローブとしてのテキサスレッドまたは同等フルオロフォアの使用によって例示される。一方の検出チャネルがフルオレセインの検出のために最適化され、他方の検出チャネルがテキサスレッドに対して最適化された、それぞれ別個の励起および検出光学部を有する、二重ヘッド検出器は、意外にも高感度で正確かつ頑丈であることが分かった。検出器ヘッドは、試料上で順に各光チャネルを設置するよう移動させられ、別個の蛍光測定値が得られた。しかし、意外にも、この向上した分解能および最小化したクロストークは、ヘッドを移動させる力学による、より高い雑音または感度の損失の一因とならなかった。励起は白色光を用いて行われないが、代わりに個々のフルオロフォアに特異的な波長で行われるため、第2のフルオロフォアの消光は問題ではない。
【0032】
本発明の別の側面では、我々は、複数の試料ウェルにわたるマルチヘッド検出器の順次横断によって、複数のマイクロ流体チャネルを走査することができ、各ヘッドは、単一のフルオロフォアの励起および発光のための独立した光学部によって構成されることを見出した。励起および検出光学部は、各光チャネルに対して分離されるが、信号処理は、検出器ヘッド内で共有される回路で行われる。
【0033】
したがって、さらに別の実施形態では、本発明は、共通または並列検出チャンバの中で共存する標的および核酸増幅対照の両方の存在に向けられた高度の特異性を有する、診療時の分子診断分析法用の頑丈なマルチヘッド独立チャネル蛍光検出システムを提供する。より清浄な信号は、信号対雑音比の対応する減少を伴わずに、より高い利得の電子増幅を可能にする。本発明の第1の実施形態は、(単一の標的および対照の存在に対する)二重チャネル検出器を説明するが、本発明はまた、例えば、単一の検出チャンバの中で共存する標的および対照の多重化を検出するように、2つより多くのチャネルを有する蛍光検出システムに適用されてもよい。随意で、ヘッドは、シリンダの場合のように、並んで、アレイで、または半径方向に設置されてもよい。
【0034】
独立光路の使用は、レンズ、二色性ビームスプリッタ、および関連フィルタ要素の組立における精度の低減した必要性を偶発的にもたらし、装置の製造可能性を向上させた。本発明の実施形態は、安価な非精密光学部、プラスチックレンズ、試料ウィンドウの後の加熱ブロック上の鏡、可動台要素、ストローブした励起および発光、雑音抑制、可動検出域上のオンボード連続信号処理、ならびに対を成す標的および対照フルオロフォアの使用によるバイプレックス分析法検証のための1つより多くの光チャネルを組み込む。その高い増幅利得にかかわらず、器具は、電気雑音および検出チャンバ中の気泡等の干渉に対して有利に抵抗性があることが証明されている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、本発明の器具およびドッキングベイの中のマイクロ流体カートリッジの斜視図である。
【図2】図2は、ドッキングベイの中のマイクロ流体カートリッジの挿入を示す、動画図である。
【図3】図3Aは、マイクロ流体カートリッジを加熱モジュールと熱的に接触させ、マイクロ流体カートリッジを走査するための、ドッキングベイを有する浮動台、光学ベンチ、および締付け機構の簡易表現である。図3Bは、地面が水平である場合に、浮動台、ドッキングベイ、光学ベンチ、およびマイクロ流体カートリッジが、地面に対して定義された角度「シータ」で器具シャーシの中に載置されることを概念的に明示する。
【図4】図4Aおよび4Bは、ドッキングベイ、光学ベンチ、および走査検出器ヘッドを有する懸垂載置台を示す、上側からの正面および後面内部斜視図である。
【図5】図5Aは、裏面加熱モジュールおよび冷却ファンを示す、ドッキングベイより下側からの正面内部斜視図である。図5Bは、加熱ブロック要素および鏡面を有する加熱モジュールの詳細である。
【図6】図6Aおよび6Bは、挿入可能なカートリッジがドッキングベイの中の適所にある、浮動台の斜視図である。明確にするために、ドッキングサドルおよび付属載置要素は除去されている。
【図7】図7は、ドッキングサドルの裏面から吊り下げられたドッキングベイおよび浮動台の詳細図である。浮動台は、4点バネサスペンションが装着される。
【図8】図8Aおよび8Bは、締付け機構の前サブアセンブリ図である。図8Bは、締め付けギアラック上のウォーム駆動動作を図示する。
【図9】図9Aおよび9Bは、締付け機構の後サブアセンブリ図である。図9Bは、締め付けギアラックおよびプラテンアームのウォーム駆動動作を図示する。
【図10】図10は、装置の機能ユニット、ソフトウェア、およびファームウェアの概観を提供するブロック図である。
【図11】図11Aおよび11Bは、本発明の装置とともに使用するための挿入可能なマイクロ流体カートリッジの斜視図である。
【図12】図12は、図11のマイクロ流体カートリッジの内部構成要素を示す分解図である。
【図13】図13は、励起および発光検出用の二重光チャネルおよび電子的に隔離された回路基板を有する検出器ヘッドの斜視図である。内部構成要素を視認するために、筐体の一方の半分が除去されている。
【図14】図14Aおよび14Bは、二重光チャネル、加熱ブロック載置鏡、およびマイクロ流体カートリッジを有する蛍光検出器の内部光学構成要素の概略図である。雑音干渉を低減するように、励起光学部は一方の回路基板の上に載置され、検出光学部はもう一方の回路基板の上に載置される。
【図15】図15は、カートリッジ検出チャンバおよび鏡面加熱ブロックに対する励起円錐および平凸対物レンズの表現である。
【図16】図16は、カートリッジ検出チャンバおよび鏡面加熱ブロックに対して短い作業距離を置いた平凸対物レンズを有する発光収集の表現である。1次および反射蛍光発光が示されている。
【図17】図17は、分断された励起および発光光学部を有する光路の概略図である。
【図18】図18は、蛍光励起を制御し、蛍光発光信号を受信し、処理し、ホスト器具にデジタル伝達するために使用される、検出器ヘッド電子機器のブロック図である。
【図19】図19Aおよび19Bは、気泡干渉のデジタル除去を示す、未加工入力およびデジタル化出力の表現である。
【図20】図20Aおよび20Bは、液体試料中の2つのフルオロフォアに対する発光および励起波長を示し、クロストークの除去のための二重ヘッド光隔離を図示する。
【図21】図21Aは、鏡より上側の対物レンズの高さを変化させることによる信号出力の強化を明示する、実験結果をプロットする。図21Bは、バックミラーを有する、および有しない統合出力信号強度をグラフで表す。出力信号は、図16に示されるような鏡の後の焦点で励起ビームを集束させ、図15に示されるようなより短い作業距離で発光を収集することによって、最適化されることが分かった。
【図22】図22、23Aおよび23Bは、アンプリコンにハイブリッド形成された分子ビーコンの熱融解曲線を明示する。
【図23】図22、23Aおよび23Bは、アンプリコンにハイブリッド形成された分子ビーコンの熱融解曲線を明示する。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下の発明を実施するための形態は、例示の目的で具体的な詳細を含有するが、当業者であれば、以下の詳細に対する多くの変化例および改変例が、請求された発名の範囲内であることを理解するであろう。以下の定義は、請求されるような本発明を説明する際の補助として記載される。
【0037】
(定義)
「開口角」は、対物レンズに進入し、画像形成に関与することができる、単一の点からの最も多くの発散光線の間の角度である。
【0038】
「後部焦点距離」は、レンズの裏面から集束光の円錐の焦点までの距離Lとして、レンズに進入する平行光の入射ビームを有するレンズについて定義される。「後側焦点位置」は、非平行光線が、光学部を分断することによって、レンズの裏から代替距離を置いて集束されてもよいことを示す。
【0039】
標的被分析物:または「関心の被分析物」、あるいは「標的分子」は、核酸、タンパク質、抗原、抗体、炭水化物、細胞成分、脂質、受容体リガンド、薬物等の小分子等を含んでもよい。標的核酸は、遺伝子、遺伝子の一部、遺伝子の調節配列、mRNA、rRNA、tRNA、siRNA、cDNAを含み、一本鎖、二本鎖、または三本鎖であってもよい。いくつかの核酸標的は、多型、欠失、および代替スプライス配列を有する。複数の標的ドメインは、単一分子中に存在してもよく、例えば、免疫原は、複数の抗原決定基を含んでもよい。抗体は、可変領域、定常領域、および抗体を固定化するのに有用であるFc領域を含む。標的被分析物は、概して、製造される際にカートリッジが提供されないが、分析される液体試料の中に含有され、対照的に、「対照被分析物」は、典型的には、カートリッジが提供され、分析法の適正な性能を確保するために分析される。当技術分野で周知であるように、標的分析法を含有するスパイク試料が、ある品質管理検査で、および較正に使用されてもよい。
【0040】
増幅するための手段: 既得権技法は、米国特許第4,683,195号、第4,683,202号、および第4,800,159号、Ausubel et al.Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,Baltimore,Md.(1989)、およびInnis et al.,(“PCR Protocols”,Academic Press,Inc.,San Diego Calif.,1990)で詳細に説明されている。ポリメラーゼ連鎖反応(PCRと呼ばれる)であった。ポリメラーゼ連鎖反応の方法論は、熱循環を必要とし、当技術分野で周知である。簡潔に言えば、PCRにおいて、標的配列の逆相補鎖上の領域に相補的である2個のプライマー配列が調製される。過剰なデオキシヌクレオシド三リン酸が、DNAポリメラーゼ、例えば、Taqポリメラーゼと共に反応混合物に添加される。標的配列が試料中に存在する場合、プライマーは標的に結合し、ポリメラーゼは、ヌクレオチドを添加することによって、マーカー配列に沿ってプライマーを伸張させる。反応混合物の温度を上昇および低下させることによって、伸張プライマーは、テンプレートから解離し反応生成物を形成し、過剰なプライマーは、テンプレートおよび反応生成物に結合し、過程が繰り返される。蛍光挿入剤を添加することによって、PCR生成物をリアルタイムで検出することができる。
【0041】
他の増幅プロトコルは、LAMP(DNAのループ媒介等温増幅)逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、リガーゼ連鎖反応(「LCR」)、核酸配列に基づく増幅(NASBA)を含む転写に基づく増幅システム(TAS)、「ローリングサークル」、「RACE」、および「非対称PCR」とも称される「片側PCR」を含み、検出可能なプローブに相補的である鎖が過度に合成されるという利点を有して使用されてもよい。
【0042】
これらの種々の非PCR増幅プロトコルは、診断分析法において種々の利点を有するが、PCRは、分子生物学研究所および臨床診断において依然主力のままである。マイクロ流体PCRに関して本明細書に開示される実施形態は、1つまたは種々の増幅プロトコルを実行することができるマイクロ流体デバイスの一般的な種類の代表および例示とみなされるべきである。
【0043】
典型的には、核酸増幅または拡張は、増幅反応を行うために、異なる配列を有することができる1つ以上の標的核酸を、反応構成要素を含有する「マスター混合」と混合し、この反応混合物に、標的核酸の増幅を可能にする温度条件を受けさせることを有する。マスター混合中の反応構成要素は、反応混合物のpHを調節する緩衝剤と、核酸の合成に必要なエネルギーおよびヌクレオチドを提供する、天然ヌクレオチド(しばしば等濃度で存在する、A、C、G、およびTまたはUに対応する)のうちの1つ以上、核酸合成の開始を促進するためにテンプレートに結合するプライマーまたはプライマーペア、合成されている相補核酸鎖にヌクレオチドを添加するポリメラーゼとを含むことができる。しかしながら、増幅のための手段はまた、核酸標的の検出の補助として、Prudentの第US 7514212号ならびにMarshallの第US 7517651号および第7541147号で説明されているような、修飾または「非標準」あるいは「非天然」塩基の使用も含む。
【0044】
検出のための手段:本明細書で使用されるように、終点、すなわち、分析法の結果を表示するための装置を指し、分光光度計、蛍光光度計、照度計、光電子増倍管、フォトダイオード、比濁計、光子計数器、電圧計、電流計、pH計、容量センサ、無線トランスミッタ、磁気抵抗計、またはホール効果デバイスが装備された器具を含んでもよい。分析法結果の検出および解釈を向上させるために、カバープレート内の拡大レンズ、光学フィルタ、着色流体、および標識プローブが使用されてもよい。「標識」または「タグ」は、発色団およびフルオロフォア等の染料、ならびに従来技術で公知であるような化学発光を含むが、それらに限定されない。磁気ビーズ上で装飾される、ZnSで被覆されたCdSe等のQDots、またはQDotsおよび常磁性Fe3O4微粒子の合併は、本発明の分析法の感度を向上させる便利な方法である。蛍光消光検出終点もまた予想される。酵素結合免疫測定法と関連した種々の基質および生成物発色団もまた、当該技術分野で周知であり、分析法の感度、例えば、「上方変換」フルオロフォアを向上させるように検出信号を増幅するための手段を提供する。蛍光および光学検出器は、フォトダイオード、光起電デバイス、フォトトランジスタ、アバランシェフォトダイオード、フォトレジスタ、CMOS、CCD、CID(電荷注入デバイス)、光電子倍増管、および逆バイアスLEDを含んでもよい。検出システムは、随意で、定性的、定量的、または半定量的である。
【0045】
「分子ビーコン」は、溶液中の特定の核酸の存在を報告するように設計されている、一本鎖ヘアピン型オリゴヌクレオチドプローブである。分子ビーコンは、幹部、ヘアピンループ、末端標識フルオロフォア、および反対側末端標識消光剤といった、4つの構成要素から成る。ヘアピン状ビーコンが標的に結合されない時は、フルオロフォアおよび消光剤がともに密接して位置し、蛍光が抑制される。相補標的ヌクレオチド配列の存在下では、ビーコンの幹部が開いて標的にハイブリッド形成する。これは、フルオロフォアおよび消光剤を分離し、フルオロフォアが蛍光を発することを可能にする。代替として、分子ビーコンはまた、末端標識ドナーに近接して発光するフルオロフォアも含む。「波長偏移分子ビーコン」は、フルオロフォアがより強力に発光することを可能にする、付加的な収穫フルオロフォアを組み込む。分子ビーコンの現在の論評は、Wang K et al,2009, Molecular engineering of DNA:molecular beacons. Angew Chem Int Ed Engl,48(5):856-870;Cissell KA et al,2009,Resonance energy transfer methods of RNA detection,Anal Bioanal Chem 393(1):125−35 and Li Y,et al,2008,Molecular Beacons:an optimal multifunctional biological probe,Biochem Biophys Res Comm 373(4):457−61を含む。近年の進歩は、Cady NC,2009,Quantum dot molecular beacons for DNA detection.Methods Mol Biol 554:367−79を含む。
【0046】
蛍光核酸分析法は、タグ付きプライマーを用いた増幅と、プローブベースの検出化学反応とを含む。蛍光生成物は、分析法の終了時に、またはリアルタイムで増幅生成物の量を測定することによって、分析することができる。限定的ではないが、とりわけ、3’消光剤構築物を有する5’レポーター染料の変位およびポリメラーゼ媒介加水分解に依存するTaqManプローブ(Applied Biosystems)、FRETハイブリダイゼーションプローブ、二重オリゴFRETベースのプローブ(Roche)、副溝結合剤共役ハイブリダイゼーションプローブ(MGBプローブ、Applied Biosystems)、Eclipseプローブ、Locked NAプローブ(Exiqon/Roche)、アンプリフルア(Amplifluor)プライマー化学反応、スコーピオン(Scorpions)プライマー化学反応、LUXプライマー、Qzymeプライマー、RT−PCRが、全て本発明で好適である。インターカレーション染料も使用されてもよい。逆転写は、RNA標的を分析するために使用され、cDNAを形成するために別個のステップを必要とする。近年の進歩は、Krasnoperov LN et al.2010.Luminescent probes for ultrasensitive detection of nucleic acids.Bioconjug Chem 2010 Jan 19 epubを含む。
【0047】
化学染料に加えて、プローブは、緑色蛍光タンパク質、量子ドット、およびナノドットを含み、その全ては蛍光性である。核酸および抗体等の分子、分析法標的に対する親和性を有する他の分子は、本発明の蛍光分析で有用なプローブを形成するようにフルオロフォアでタグ付けされてもよい。
【0048】
「FRET」(蛍光共鳴エネルギー転移)は、分子間相互作用の調査を可能にする蛍光技法である。それは、ハイブリッド形成される時等の2つの分子がごく接近している時に、1つのフルオロフォアからもう1つのフルオロフォア(すなわち、ドナーおよび消光剤)へのエネルギーの転移に依存する。近年の進歩は、Carmona AK et al,2009,The use of fluorescence resonance energy transfer (FRET) peptides for measurement of clinically important proteolytic enzymes,An Acad Bras Cienc 81(3):381−92を含む。
【0049】
文脈上他の意味に解するべき場合を除き、本明細書および後に続く特許請求の全体を通して、「備える(comprise)」という用語、ならびに「備える(comprises)」および「〜を備える(comprising)」等のその変化形は、広く包括的な意味で、すなわち、「〜を含むがそれに限定されない」と解釈されるものとする。本明細書の全体を通した「一実施形態」、「実施形態」、「一側面」、または「側面」への言及は、実施形態または側面との関連で説明される特定の特徴、構造、または特性が、一実施形態に含まれてもよいが、必ずしも本発明の全ての実施形態に含まれるわけではないことを意味する。さらに、ここで開示される本発明の特徴、構造、または特性は、1つ以上の実施形態において任意の好適な方式で組み合わせられてもよい。「従来の」は、本発明が関連する先行技術分野において既知であるものを指定する用語である。「約」および「概して」は、不正確さの広い表現であり、変化がわずか、明らか、または同等の有用性および機能である場合、「ほぼ」の意味での「おおよそ」、「およそ」、または「ほとんど」である状態を表し、基準、規定、制限に対する明らかに小規模な例外の存在をさらに示す。
【0050】
「クロストーク」は、蛍光撮像において、試料中の2つ以上のフルオロフォア(および/または自己蛍光)の励起および/または発光スペクトルが重複する時に発生し、1つのフルオロフォアのみの活性を隔離することを困難にする。
【0051】
ここで図を参照すると、図1は、ドッキングベイの中のマイクロ流体カートリッジ200を有する器具100の斜視図である。膜パネル104と、タッチスクリーン表示面108と、コンパクトなシャーシまたは筐体106が示されている。全ての試薬がマイクロ流体カートリッジの中に提供されるため、器具は完全独立型操作性を有する。図2は、ドッキングベイ103の中へのマイクロ流体カートリッジ前方突出部105の挿入を動画にすることによって、この外部図を補完する。ドッキングベイは、以下でより詳細に論議されるように、懸垂載置され、器具基部に対してある角度を成して傾転される。
【0052】
オンボード光学ベンチおよびドッキングベイを有する、角度を成す傾転した浮動台は、器具の際立った特徴である。この特徴は、図3で概念的に紹介されている。適正な角度が向上した性能のために維持されることを確実にするために、傾転センサが器具ホストコントローラと併せて使用されてもよい。傾斜載置板の載置角度は、分析中にマイクロ流体カートリッジが保持される角度を決定する。この角度「シータ」は、地面から10〜45度、より好ましくは10〜20度の範囲で有利であることが分かっており、最も好ましくは約15度である。角度量は、当技術分野での技術的進歩である、PCR増幅結果の劣化と関連付けられてもよい気泡干渉を緩和することが分かっている。
【0053】
図3Aは、器具の1次光熱機械サブシステムの概略図である。浮動台300は、4点バネ載置サスペンション(302、303によって示される)によって傾斜面状上で吊り下げられるトレイ状シャーシ301から成り、マイクロ流体カートリッジ200、およびペアを成すガイドレール(308、309)上に載置された走査検出器ヘッド311を受容するためのドッキングベイ103を支持する。カートリッジは、器具100の一部ではないが、浮動ドッキングベイ103の中への挿入後に器具と連動する。
【0054】
動作中に、浮動台は、傾斜載置板(330)に押し付けられ(320によって示される)、加熱モジュール340ならびに関連抵抗発熱体および回路の区域加熱ブロック(341、342、343、344)の接触面に係合する。冷却中に過剰な熱を放散するように、ファン345が提供される。傾斜載置板にはまた、マイクロ流体カートリッジの基部に密閉してドッキングするための空気圧インターフェースポート350も提供される。空気圧は、傾斜載置板330に埋め込まれた一体型空気圧分配「マニホールド」またはシステムから、空気圧インターフェースポートを通してカートリッジに送達される。空気圧マニホールドは、傾斜載置板上に載置された発生源から陰圧および陽圧を供給する。マザーボードが載置されたプログラム可能なホストコントローラは、ベースプレート330および空気圧インターフェースポート350の中の内部マニホールドを介して、カートリッジ上のポンプおよび弁に圧力、真空、および制御パルスを駆動する、空気圧を方向付ける。
【0055】
検出器ヘッドは電動式であり、カートリッジの走査はホストコントローラの制御下で行われる。ペアを成すガイドレール(308、309)に沿って検出器ヘッドを走査するために、ホストコントローラは、ステッピングモータ307によって駆動されるウォームギアに係合する。検出器ヘッドは、マイクロ流体カートリッジの前方突出部105の中の光ウィンドウを走査し、未加工光信号を収集する、対物レンズ315を有する外部ウィンドウが装着される。検出器ヘッドは、図10および18で表されるような独自の埋め込みマイクロプロセッサを有する。プログラム可能なホストコントローラはまた、加熱モジュールの中の1つ以上の発熱体の温度、および一式のソレノイド弁、ならびに空気圧インターフェースに結び付けられた陽圧および真空ポンプ貯留部も調整する。器具には、ユーザ相互作用のための表示パネルおよびタッチパネルが供給される。電力入力は融通が利き、随意で、ACアダプタ、自動車のアダプタによって、または器具の下に載置された再充電可能バッテリから供給される。また、随意的な無線IOおよびデジタルIOポートも含まれる。
【0056】
図3Bは、浮動台301、ドッキングベイ103、検出器ヘッド311、およびマイクロ流体カートリッジ200が、地面に対して定義された角度で器具シャーシ106の中に載置されることを概念的に明示する。地面からある角度を成してカートリッジを傾転することは、流体装填中の通気を向上させ、湿潤および混合動作中の空気混入を最小化する。熱伝達および分析法結果の光学的問い合せに干渉する、気泡の蓄積が、これと本明細書で開示される他の革新とによって回避される。傾斜載置板330は、浮動台301、カートリッジ200、ならびに締め付け800および光走査310サブアセンブリの機械構成要素の角度を確立する。我々はまた、気泡の蓄積が核酸増幅に干渉し、台の角度量によって制限されたことも見出した。
【0057】
図3Bに示されるように、検出器ヘッドは、噛合する半分のシェル(312、313)を有する眩むシェル筐体の中に載置される。検出器ヘッドは、側方ガイドレール308および309上を摺動し、ウォーム駆動を有するステッピングモータ307のホスト制御下にある。浮動台シャーシ301は、4点サスペンションの中にバネ式に載置され、締め付けられるまで傾斜載置板330に直接接続しない。締付け機構は、ここでは比喩的に矢印320によって示され、以下でより詳細に論議される。締付け機構の全ての機械構成要素は、ドッキングベイおよび締付け機構全体が地面からの固定角度シータで回転させられるように、傾斜載置板に取り付けられる。
【0058】
2つの走査ガイドレール308のうちの1つが、この図で容易に目に見え、浮動台シャーシまたはトレイ301によっていずれか一方の端で支持されている。ドッキングベイ(103)は、点線によって示され、示されるように(二重矢印)左右に走査する検出器ヘッド311の下のマイクロ流体カートリッジの突出部の挿入のための開口部を印付ける。ここではドッキングベイの下の隆起プラットフォームとして示される、空気圧インターフェースポート350が、ドッキングベイの直下にあり、かつそれに沿った、加熱モジュール340および加熱ブロック341−344の位置をあいまいにしている。電力調節、ACアダプタ、およびバッテリ貯蔵機能が、平面上に静置するように設計されている360の裏面より上側で傾斜載置板330の下に載置される。
【0059】
図4Aおよび4Bは、光学ベンチおよび検出器ヘッド311を有する浮動シャーシ301、およびマイクロ流体カートリッジ200によって占有されたドッキングベイを有する、懸垂載置台を示す、上側からの正面および後面内部CAD図である。浮動台は、傾斜載置板330に堅くボルト締めされる、サドル状の支持材であるドッキングサドル400から吊り下げられる。また、以下でより詳細に説明されるように、締め付け圧力を提供するギアラック401も示されている。図4Bでは、光学ベンチのガイドレール(308、309)およびステッピングモータ307が容易に認識される。傾斜載置板330には、ポンプ、真空および圧力貯蔵タンク、ソレノイド、および空気圧制御回路(図示せず)が搭載されるが、ここでは詳細に説明しない。
【0060】
図5Aは、裏側加熱モジュール340および冷却ファン345を示す、ドッキングベイより下側からの正面内部斜視図である。ドッキングベイの中へのマイクロ流体カートリッジ200の挿入時に、加熱モジュール340は、カートリッジの裏面と整列させられることが分かる。
【0061】
図5Bは、加熱ブロック要素(「熱素子」341、342、343、344)および鏡面(500)を有する加熱モジュール340の詳細である。加熱モジュールの上面は、1つ以上の加熱ブロックから成り、そのそれぞれは、分析中にカートリッジの封入チャネルおよびチャンバの中で発生する生化学または分子生物学的反応の適正な操作のために、マイクロ流体カートリッジの裏面上に画定された区域を有する熱インターフェースを形成する。これらの反応は、免疫結合またはハイブリダイゼーションと同じくらい単純、あるいは、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドおよびアデノシン三リン酸または連鎖凝固因子の形成または消費に連結された、核酸増幅または酵素脱水素化と同じくらい複雑となり、概して、最適な反応性および特異性のために比較的厳格な温度制御を必要とする。加熱ブロック(341、342、343、344であるが、本発明はこの構成に限定されない)は、バネが載置されてもよく、熱伝達のために高い熱拡散率の接触域を確立するよう、締付け機構の下向きの圧力と反対の上向きに促される。各加熱ブロックは、概して、良好な熱伝導性のための柔軟な熱パッドを用いて、抵抗(クローン)発熱体と熱的に接触している。各加熱ブロックは、マイクロ流体カートリッジの中の熱ウィンドウに接触する。各ウィンドウは、概して、可撓性プラスチックフィルムの薄い層であり、厚さが3ミリ未満であってもよく、最も一般的には、ポリエチレンテレフタラート(Mylar(登録商標))等の柔軟な透明材料であるが、随意で、良好な光透過性を有する環状ポリオレフィンまたはポリイミドであってもよい一方で、それに限定されず(本願と同一出願人である米国特許第7416892号を参照)、また良好な熱伝導性も有する。したがって、一実施形態では、本発明は、検出チャンバ中の液体試料の温度を制御または変調している間のマイクロ流体カード中の検出チャンバの反射透照に対する熱光学インターフェースである。この特徴は、被分析物と関連付けられる光信号を監視しながら、被分析物と関連付けられる1つまたは複数の反応を行うために有益である。1つの例示的用途では、FRETハイブリダイゼーション結果を検証するために、熱融解曲線が使用される。
【0062】
また、加熱ブロックより下側のヒートシンクから熱を放散するために使用され、抵抗加熱回路(図示せず)と組み合わせてブロックの温度のPID制御を行っている、ファン筐体345も示されている。
【0063】
この場合の加熱ブロック341は、分析中にマイクロ流体カード200の中の熱光学ウィンドウと接触し、それと整列する、上面上の研磨クロム鏡面500を有する製造によって修正される。この場合の熱光学ウィンドウは、カートリッジ本体に取り囲まれた検出チャンバに対応する。鏡面は、カートリッジに走査して光を通過させる検出器ヘッド311から、対物レンズ315の中へ戻って光を反射し、また、以下でより詳細に論議されるように、カートリッジ検出チャンバから検出器ヘッドの中へ戻って、および、そこから典型的にはフォトダイオードである検出センサまで、蛍光発光を反射する。この実施例の加熱ブロック341は、他の加熱ブロックとは異なり、概して、アルミニウムから機械加工され、次いで、研磨され、クロム鏡面の適用前にニッケルの下の銅の下層で被覆される。クロム表面上に高反射性光学仕上げを形成するために、電解研磨および/またはバフ研磨が使用されてもよい。ブロックの光学的に平坦な上面は、熱伝達を補助し、蛍光分析法の感度を向上させる。幸いにも、鏡の使用は、例えば、融解曲線を光学的に分析する際に有用であるような、検出チャンバの流体内容物の同意加熱および光学的問い合せを可能にする。
【0064】
他の加熱域が、同時温度制御または変調とともに光学監視を可能にするように同様に修正されてもよい。加熱域または鏡の構成は、特定の分析法/カートリッジ要件のために修正または適合されてもよく、ここで示された構成に限定されない。
【0065】
図5Bはまた、それぞれ、独立してホスト器具の空気圧分配マニホールドからの陽圧または陰圧源へのポートとなっており、独立してプログラム可能なホストコントローラの制御下にある、ここでは10個の出口を有する空気圧インターフェースポート350も示す。これらの出口は、マイクロ流体カードの裏面の噛合入口に界面接触して密閉し、空気圧を相互伝達する時限パターン、真空、および圧力パルスは、カートリッジの中の分析法を駆動および制御するように、空気圧インターフェースを通して送られる。
【0066】
図6Aおよび6Bは、挿入可能なカートリッジがドッキングベイ103の中の適所にある、浮動台の斜視図である。明確にするために、ドッキングサドル400および付属載置要素は除去されている。図6Aでは、図5Bの加熱モジュール340の噛合上面と接触させられるように、マイクロ流体カートリッジ200の下面がどのように成形されるかが分かる。カートリッジは、適所でボルト締めされ、挿入を誘導する、2つの取り付けられた側方フランジ609および610によって固定され、浮動台301の下で支持される。
【0067】
図6Bでは、4点サスペンション600のオス要素を形成する垂直支柱(601、602、603、604)が、浮動台300の前部ではっきり見える。これらの支柱は、コイルバネ(図7の603a)が装着され、ドッキングサドル400内に形成される円筒形サスペンション筐体(図7の605、606、607、608)に挿入される。それらは、次の図、図7でより詳細に表されるように、浮動台300および光走査アセンブリを吊す働きをする。図6Aおよび6Bに示された光学部ベンチおよびドッキングベイサブアセンブリ全体は、このサスペンション上で浮動し、図8および9で示されるように、締付け機構の下向き動作時のみ、器具の他の部分と堅く接触させられる。
【0068】
図7は、ドッキングサドル400の裏面から吊り下げられた検出器ヘッド311のドッキングベイ103を有する浮動台300の分解図である。浮動台は、4つの支持支柱(601、602、603、604)のそれぞれの上にコイルバネ(603aの複製)を有する4点バネサスペンションが装着される。各支柱は、ドッキングサドルの噛合サスペンション筐体(605、606、607、608)の中で受容される。マイクロ流体カートリッジ200は示されていないが、この図では、カートリッジが下部側方フランジ(609、610)上で静置するように、ドッキングベイは、ドッキングベイの突起部515においてカートリッジの突出部を受容するように構成されることが分かる。整列ピン(616、617)は、加熱モジュール340に対して押下されると、ドッキングベイが正確に定着することを確実にする。蛍光走査のためのガイドレール(308、309)および検出器ヘッド311を含有する、浮動台の後部は、ドッキングサドル以外でいずれの支持材も含まず、動作中にドッキングサドルから片持ちされる。走査検出器ヘッド311の運動を支援するガイドレール(308、309)の役割が、この図ではっきり見える。
【0069】
ドッキングサドルには、以下で論議されるような締付け機構800を取り付けるためのブラケット712および713と、自動動作で有用であるようなバーコード読取機とが提供される。スロット711を有するリンカーアーム710は、以下で論議されるような締め付けギア機構、および単一のアセンブリとして上昇または下降させられる浮動台300によって係合される。ドッキングサドル400およびリンカーアーム710はまた、傾斜載置板のシータ角度で浮動台を動作可能に固定する。
【0070】
図8Aは、締付け機構の正面図である。ドッキングサドル400の架橋形状は、浮動ドッキングベイ103の前方突出部515より上側で静置することが分かる。ドッキングベイ口の直下には、マイクロ流体カートリッジ200を受容するためのチャネルを形成する側方フランジ609および610の間で目に見える、空気圧インターフェースポート350がある。装填したカートリッジのドッキング中、締付け機構の機能は、上記で説明されるような空気圧インターフェースポートおよび加熱モジュールの上へ下向きに、挿入されたカートリッジとともに浮動台およびバネ載置シャーシ301を促すことである。
【0071】
ドッキングサドル400は、傾斜載置板330上でボルト締めされ、浮動台シャーシ301は、4点サスペンション600上で吊される。サスペンションバネは、上昇位置の締め付けアセンブリ800の懸垂動作によって対抗される、下向きの力を浮動台に印加する。カートリッジを締め付ける時に、クランプギア部品804は、ウォームギア801およびウォームギアモータ802によって駆動され、下向きに弧を描いて移動車軸803を駆動する。車軸ピン803aは、カムブロック(901、図9Bで目に見える)に取り付けられる。リンカーアーム(710、図7および9Aで目に見える)は、4点サスペンション上での締め付けギア401およびスライダブロック901の上下のカム動作に従う。カートリッジを係脱する時に、動作は逆転される。ウォームギアモータ802は、時計回り方向に作動させられ、ピン803aおよびカムブロック901を上昇させ、したがって、台シャーシアセンブリ301の一部であるリンカーアーム710を持ち上げ、次いで、逆転される(二重矢印)。台シャーシが最上静止位置にある時に、マイクロ流体カートリッジを器具から除去することができる。分析中に器具ドッキングベイの中でカートリッジを位置合わせするために、機械的基準およびおよび整列ピンが使用される。
【0072】
図8Bは、ギアの位置およびホストコントロールによる正確な協調機械機能を監視するために圧力スイッチによって使用される、ギア部材の前縁上の従動子表面805および806も示す、クランプギア部品804およびウォーム駆動ギア801の正面の詳細図である。簡単にするために、圧力スイッチは示されていない。車軸810は、部品の回転中心であり、ピン810aの上で回転する。車軸803は、ギア部品の回転中に移動し、以下の図で示されるように、台シャーシと係合するスライダブロックを駆動する。
【0073】
図9Bは、中心車軸810aと、中心外カムブロック車軸803aと、カムスライダブロック(901)とを示す、クランプギア部品804およびウォーム駆動ギア801の後側の斜視図である。
【0074】
図9Aおよび9Bは、締付け機構アセンブリ800の動作を示す機械図面である。クランプギア駆動カムの目的は、浮動台301を上昇および下降させることである。締め付けギア部品804は、移動車軸803が上向きまたは下向きに弧を描き、リンカーアーム710を垂直に上または下(二重矢印)に推進させるように、静止車軸810の上で枢動する。ピン803aの上で捕捉されたスライダブロック901は、リンカーアーム(710、図7参照)のスロット711の中で左右に摺動して、浮動台300を上昇または降下させながら、クランプギアの運動の横方向ベクトルに適応する。浮動台の上向き移動は、先行図で示されるようなバネ603aによって対抗される。
【0075】
ここで図示される機構は、例えば、上から下よりもむしろ下から上に締め付けることによって、または機械的に締め付けるよりも磁気的に締め付けることによって、代替方法で本発明を実現できる限りにおいて、限定的ではない。他のバネ手段が、コイルバネ、板バネ、ねじりバネ、らせんバネ、および空気圧キャニスタ(例えば、ガスバネ)およびエラストマー材料等の代替案、または当技術分野で公知である他の同等の手段から選択されてもよい。
【0076】
図10は、装置の機能ユニット、ソフトウェア、およびファームウェアの概観を提供するブロック図である。上記で説明され、ここで概略的に提示されるように、器具内の浮動台(1000、点線)は、マイクロ流体カートリッジを受容するためのドッキングベイ1001を支持し、走査検出器ヘッド1002が提供される。走査検出器ヘッドは、励起光を提供するためのサブアセンブリと、埋め込みマイクロプロセッサの制御下で蛍光発光信号を検出、増幅、および処理するためのセンサとを含有する。ホストコントローラの制御下にある別々に制御可能な加熱域を有する加熱モジュール、空気圧分配マニホールドとしての機能も果たす、ベースプレート330上に載置された空気圧サーボに接続される空気圧インターフェース、ステッピングモータおよびホストコントローラを接続するワイヤハーネス、およびクランプモータ用の配線ハーネス、ならびに、クランプおよびマイクロ流体カートリッジの位置を測定するための圧力スイッチ、バーコード読取機、および温度モニタを含む関連センサが、浮動台と相互作用している。随意で、制御が作動させられる前に器具の配向を測定するように、傾転計測器も供給される。
【0077】
電力は、再充電可能バッテリによって、またはAC変換器あるいは自動車等のDC源への直接接続によって、全てのシステムに供給される。
【0078】
ホストコントローラ1003は、器具の操作用のタッチパッドパネル、およびLCD表示パネルも含有する、マザーボード上に載置される。器具は、無線ネットワーキングカードを含む、種々のデジタルシリアルI/Oリンクを介して、外部ネットワークまたはデバイスにデータを伝送してもよい。固体ROMに符号化されたソフトウェアである、RAMレジスタおよびプログラミングへのサービスアクセスのための特殊デジタル接合点が提供される。
【0079】
液体試料から特定の疾患または病状を診断する能力を有する、特定のマイクロ流体カードを操作するために必要とされる、空気圧パルスおよび弁論理のシーケンス等の、器具の操作のための一般的命令が、ホスト器具内のプログラム可能ソフトウェアによって提供される。例えば、バーコード読取機が特定のマイクロ流体カートリッジを検出した場合、デバイスは、特定の分析法を行い、結果を解釈して指定形式で表示するようにプログラムされる。しかしながら、光源強度の変調、信号増幅、およびフィルタリングを含む、光学部の動作は、検出器ヘッド内のセンサPCB上の埋め込みマイクロプロセッサによって制御される。したがって、雑音に高感度であるアナログ動作は、検出器ヘッドの中でホスト器具のより雑音の多い環境から遮蔽され、検出器ヘッドからホストA/D変換器へのアナログ信号の伝送は、完全に回避される。この非従来型の機能の分離は、幸いにも、完全携帯性および現場作業のために必要とされるように、器具の雑音感受性を低減するのに極めて有利であることが証明されている。
【0080】
図11Aおよび11Bは、本発明の装置とともに使用するための挿入可能なマイクロ流体カートリッジの斜視図である。ここで示されたカートリッジは、内部の仕組みとともに、筐体1102およびカバープレート1103から成る。ポート1104は、液体試料を受容するためのものであり、前方突出部1105は、ホスト器具のドッキングベイに挿入するためのものである。筐体切り欠き1101は、図12に示されるように、カートリッジの内部副構成要素に形成される光ウィンドウを露出するためのものである。ガスケット1106は、ホスト器具の空気圧インターフェースポート350と密閉して連動するためのものである。
【0081】
図12は、図11のマイクロ流体カートリッジの内部構成要素を示す分解図である。この単一の実施形態によって範囲を限定しないが、この特定のカートリッジ1100は、FRETまたは分子ビーコン検出を用いたPCRのために設計されている。筐体1102の突出部上の光ウィンドウ1101は、ホスト器具に挿入し、マイクロ流体内部回路カード1200のFRETまたは分子ビーコン検出チャンバ1201の光ウィンドウを、検出器ヘッドによって走査される光路と整列させる。試料調製に関する追加マイクロ流体処理は、外部カード1204上に供給される。全ての液体試薬は、密閉した壊れやすいポーチ1206で取り囲まれ、空気圧制御下で必要な時に分注される。他の試薬は、乾燥形態でカード上に提供される。流体廃棄物は、プラスチックカバープレート1103の下の適所で密閉される吸着詰め物1207の中で封鎖される。詳細は本範囲を超えるが、核酸標的を熱循環および増幅するための内部マイクロ流体チャネルおよびウェルを有するマイクロ流体回路1200は、結果として生じたアンプリコンのFRET検出用の検出チャンバ1201を含む。示されるようなカートリッジは、使い捨てカートリッジである。ガスケット材料1106は、マイクロ流体カートリッジ上の空気圧制御ポートと、傾斜載置板330上の対応する空気圧制御マニホールドおよびインターフェース350との間の使い捨て密閉ガスケットとしての機能を果たす。
【0082】
図13は、それぞれ、励起用および発光検出用の2つの光チャネルおよび電子的に隔離された回路基板(1301、1302)を有する二重チャネル検出器ヘッド1300の斜視図である。内部構成要素を視認するために、筐体の一方の半分が除去されている。この図では、検出器ヘッドの内部構成要素を示すために、筐体1303の上半分が除去されている。二重チャネルは、対物レンズ(1310、1330)ならびに光路AおよびB(白い矢印)によって印付けられる。SMD LED励起光源(1311、1331)は、エッジ型抵抗ピンコネクタ(1304)を介して直角でセンサPCB(1302)に接続される、光源LEDプリント回路基板(1301)の上に載置される。光検出構成要素は、センサPCB(1302)の上に載置される。ファラデー箱要素(1306)は、フォトダイオード(1317)および(1337)ならびに周辺高利得増幅回路を遮蔽するために使用される。
【0083】
蛍光励起は、標的フルオロフォアの励起スペクトルに合致するように選択される、表面載置LED(1331)によって標的チャネル(矢印A)の中に提供される。光源LED(1331)は、発散光線を発光し、次いで、放射された光線は光源励起レンズ(1332)によって平行にされる。光源レンズ(1332)は、LEDに対面する平面を有する、平凸レンズである。次いで、平行光線は、励起帯域通過フィルタ(1333)を通過させられてもよく、その目的は、図20と関連する説明でさらに説明される。次いで、平行のフィルタにかけられた励起光線は、入射ビームに対して45度で設置される、二色性鏡要素またはビームスプリッタ(1334)から反射され、平凸対物レンズ(1330)および検出器筐体の外部ウィンドウを通過させられる(矢印A)。レンズ1330を通過した後、励起光は、標的フルオロフォアを有する試料液体を含有する、マイクロ流体カートリッジに埋め込まれた検出チャンバ(図示せず、図14−17参照)を通して集束させられる。試料液体を通る励起光の経路長は、マイクロ流体カートリッジの後のバックミラーの使用によって2倍にされる。標的フルオロフォアは、入射光によって励起される。フルオロフォアの発光は、概して、励起波長よりも長い波長であり、標的フルオロフォアのストークス偏移に等しい量だけ偏移される。
【0084】
検出チャンバの中の標的フルオロフォアからの帰還発光の一部分は、平凸サンプリングレンズ1330によって収集され、二色性鏡1334に衝打する前に平行にされる。随意で、検出チャンバの後の加熱ブロック上に載置されたバックミラーによってさらに強化される、発光した光の収集を最適化するよう、レンズと試料との間の作業距離をさらに縮小するために、フレネルレンズが使用されてもよい。二色性ビームスプリッタ1334は、励起および発光波長の間の波長カットオフを有するため、二色性鏡1334は、発光した蛍光光線用の通過帯域ビームスプリッタ、および励起光用の阻止帯域フィルタとしての役割を果たす。それは、反射励起光および対物レンズウィンドウを通して光路に進入する周囲光を反射しながら、発光した蛍光を伝達する。次いで、二色性ビームスプリッタ1334を通過する発光した光は、発光フィルタ1335を通過し、その目的は、図20と関連する説明でさらに説明される。次いで、発光フィルタ1335から退出する光は、平凸センサレンズ1336を通過し、そこで、PCB1302に表面載置され、ファラデー箱1306によって電気的雑音から保護される、光センサ1337の表面の上に集束させられる。
【0085】
上記の光路は、対照励起LED1311、平凸励起レンズ1312、励起フィルタ1313、二色性ビームスプリッタ1314、対物レンズ1310、対照発光フィルタ1315、平凸センサレンズ1316、および対照フォトダイオード1317を有する、第2の(対照)チャネルの中で反復される。両方のフォトダイオードからの出力は、フォトダイオードの隣で基板に内蔵され、増幅器からの慎重に遮蔽されたピンを介して、センサPCB上の埋め込みマイクロプロセッサに接地される、3段トランスインピーダンス増幅器によって増幅される。
【0086】
一実施形態では、フルオロフォアとしてのフルオレセインおよびテキサスレッドの使用によって例示されるように、励起LED1331は、標的チャネルに使用される485±12nmの本質的に単色の光を送達するための帯域通過励起フィルタ1333を有する470nmLEDであり、帯域通過フィルタ1313を有する590nmLED1311が、対照チャネルに使用された。励起LEDは、50または60Hzにおいて、および蛍光頭上照明と関連する調和周波数において、AC電力関連雑音をフィルタにかけるよう、130Hzのストローブ速度を使用して、オンおよびオフに変調または「ストローブ」され、また、30または60Hzで存在してもよい、散在する周囲光および電気的雑音に関するファントム信号もフィルタにかける。局所フィードバックセンサが、光源LED出力強度を監視し、安定させるために使用される。フルオロフォア発光の検出監視は、ホストコントローラによって制御されるステッピングモータの動力下で検出器ヘッドのレール上の移動と協調される。検出器ヘッドの中の埋め込みマイクロプロセッサおよび関連回路には、RAMメモリ、ROMメモリ、A−D変換器、3段トランスインピーダンス増幅器、およびこれらの機能に対処するための信号処理およびコマンドシーケンスファームウェアが提供される。
【0087】
光センサ1317および1337のそれぞれは、共通PCB1302の上に載置される。これらの光センサのそれぞれからの出力信号脚部は、それぞれの3段トランスインピーダンス増幅器(図示せず)の第1の台に直接接続される。PCB1302は、入力信号へのRFまたは電磁干渉の不要な効果を最小化するように、ハードウェア雑音低減構成要素、具体的には、埋め込み接地面およびファラデー箱1306を大いに利用する。デジタル信号処理(DSP)方法とのこれらのハードウェア雑音低減要素の使用の組み合わせは、不要な雑音の効果から本質的に免れる検出器設計につながる。
【0088】
図14Aおよび14Bは、マイクロ流体カートリッジ1402の光ウィンドウとの外部光学インターフェース、およびカートリッジに取り囲まれた検出チャンバ中の温度を制御する、または勾配をつけるために使用される、加熱ブロック1410の表面上のカートリッジの後に載置されるバックミラー1400を示す、蛍光検出器ヘッド1300の内部光学構成要素の概略図である。非従来的に、複数の独立光路または「チャネル」が単一の検出ヘッドに形成され、電子PCBおよび下流信号処理回路を共有するが、雑音干渉を低減するように、励起光学部は一方の回路基板の上に載置され、検出光学部はもう一方の回路基板の上に載置される。2つの基板は、角載置ピン接合点1304によって電気的に連結され、電子的に隔離される。
【0089】
図14Aには、マイクロ流体カートリッジ1402内に埋め込まれた検出ウェル(1403aまたは1403b)の中のフルオロフォアの励起のための光学遷移が示されている。ヘッドは、走査ヘッドであり、マイクロ流体カートリッジ1402(二重矢印)を横断する。PCB1301上の励起LED1331からの光は、レンズ1332によって平行にされ、帯域通過フィルタ1333によって本質的に単色にされる。検出ウェル1403aの中の任意の1つまたは複数のフルオロフォア(対照フルオロフォアであろうと標的フルオロフォアであろうと)は、対物レンズ1330によって試料上に集束された入射光1420によって励起される。図14Bでは、ルオロフォアの発光は、対物レンズ1330によって収集され、二色性ビームスプリッタ1334、発光フィルタ1335、およびセンサレンズ1336を通過した後にセンサ1337に伝達される。センサ1337は、出力信号を増幅し、ファラデー箱1306の中で遮蔽される、高利得トランジスタの基部と直接電気的に接触している。発光した蛍光は、概して、フルオロフォアのストークス偏移に従って、より長い波長であり、発光した光が、損失を伴わずに二色性帯域通過鏡1334および発光帯域通過フィルタ1335を通過することを可能にする。鏡面1400は、標的上の励起光の量を増加させ、励起経路長を2倍にするために、および発光収集効率を向上させるために使用される。したがって、試料チャンバ1403aから対物レンズ1330へ戻される光は、発光および反射蛍光1421および反射励起光1420の混合物である。散在する反射を捕捉するように、光トラップ(図示せず)が提供される。反射光1420は、二色性鏡1334を通過せず、光源に戻され、センサ1337における発光強度の測定に干渉しない。励起源、光源平行レンズ、励起フィルタ、二色性鏡、対物レンズ、励起フィルタ、センサレンズ、および増幅器を有する検出器を含む、単一チャネルの光学要素は、本質的に単色の光源波長と、標的(または対照)フルオロフォアの特性を示す特定の波長において蛍光を検出するための高度特異的センサとを有する、光学部モジュールを構成する。一方の光学部モジュールまたはチャネルが分析法標的に、他方のモジュールが対照チャネルに使用されてもよい。複数のフルオロフォアについてのデータを収集するために、タンデム載置光学部チャネルが使用されてもよく、その場合、電気的処理は、ホスト器具への伝送前に共通埋め込みマイクロプロセッサによって共有される。随意で、付加的なチャネルが使用されてもよい。各チャネルは、2つのPCBを共有するが、別個の光学部を有する。
【0090】
マイクロ流体カートリッジ1402は、検出器ヘッド1300に対して移動可能(二重矢印)であり、検出器ヘッドまたはカートリッジトレイあるいは載置シャーシの動力化は、走査を可能にし、カートリッジ1402を横断するトランセクトは、例えば、測定が試料チャンバ1403aおよび1403b上で行われることを可能にする。検出器ヘッドの中で並んで載置される複数の検出光学部を使用することによって、試料チャンバを複数のフルオロフォアについて連続して走査することができる。
【0091】
一実施形態によれば、励起電子機器がプリント回路基板(1301)の上に載置され、検出電子機器が第2のPCB(1302)の上に載置される。エッジコネクタ1304が、基板を電気的に接合する。ファラデー箱1306が、散在する電磁雑音からセンサおよび関連高利得増幅器を保護する。鏡1400は、熱伝達でも機能し、分析中に試料流体の温度を制御する、加熱ブロック1410の上面の上に製造される。加熱ブロック1410の温度は、例えば、ホストコントローラの制御下でFRET融解決定として勾配をつけることができる。
【0092】
図15は、カートリッジ検出チャンバ1403および鏡面1400を有する加熱ブロック1410に対する平凸対物レンズ1500および励起円錐1501の表現である。励起円錐は、距離L2’がレンズの天然焦点距離L2よりも大きいように、レンズを照射する発散光線によって形成される。慣例により、レンズの天然後部焦点距離L2は、平行光を使用して決定される。焦点位置を偏移させることは、「分断」と呼ばれる。
【0093】
レンズ1500と鏡面1400との間には、検出チャンバ1403を有するマイクロ流体カートリッジ200が間置される。検出チャンバは、上部光ウィンドウ1502および下部熱光学ウィンドウ1503で境界される。動作中、介在容量は、ここでは2つの混入気泡1505で示される、液体試料によって占められる。焦点円錐は、鏡面から反射し、検出チャンバの中の光源の実像(1510、実線の光線)および鏡面より下側の光源の虚像(1511、点線の光線)を形成することが分かる。したがって、後側焦点位置L2’は、概して、レンズと鏡との間の距離以上である。鏡に衝打する励起光は、検出チャンバの流体容量の中で集束ビームとして反射され、したがって、試料を通る励起光の光路の長さを2倍にし、励起蛍光収率を増加させる。後側焦点位置L2’は、レンズ1500の後部焦点距離L2に等しくなく、2つは、概して、光源からの発散ビームでレンズを照射することによって分断される。
【0094】
図16は、発光収集モードでの図15の対物レンズの表現である。1次および反射蛍光発光(実像1510および虚像1511からの実線および点線)が示されている。再度、チャンバ1403の中の気泡が示されている。レンズの平面的な裏面に衝打する光線は、平行にされ、検出器に伝達される。捕捉される蛍光信号の量は、対物レンズ1500の開口角および開口数に依存する。レンズ1500の天然後部焦点距離はL2である。レンズの後部焦点距離および後側焦点位置(L2対L2’)は、以下で示されるように、光源を再配置することによって操作または「分断」することができる。
【0095】
図17は、分断された励起および発光光学部を有する光路1700の概略図である。この図では、励起光線は実線として示され、発光光線は点線として示されている。統合光学システムへの発光および検出要素の統合の側面を論議する。ここで、光源1701は、示されるようなLED、レンズ筐体および反射体リングがないSMD LED、SLED、ポンピングレーザダイオード、リッジ導波管(ファブリ・ペロー)レーザダイオード、同調可能レーザ等であってもよく、そのような照明源は、好ましくは、狭帯域を有し、指向平行光源としての機能を果たす。例えば、630nm(赤)、470nm(青)、525nm(緑)、601nm(橙)、588nm(黄)等でのピーク発光を有する、種々の狭帯域のLEDが利用可能である。所望であればLEDも使用されてもよいが、概して、LED出力は、分析法における標的のフルオロフォアと合致され、要求に応じて帯域通過をはっきりさせるために、随意的な励起フィルタ(図示せず)が使用されてもよい。光源1701の光出力は、ここでは平凸レンズとして示される光源レンズ1702によって伝達されるが、成形非球面も使用されてもよく、随意で、二色性鏡要素1704に衝打する前に励起フィルタ(図示せず)を通過させられ、その場合、励起ビームは対物レンズ1705に向け直される。マイクロ流体カートリッジ1402の中の試料流体容量1720に衝打する励起円錐は、実線で示されている。非従来的に、励起円錐の焦点は、光源1701を光源レンズ1702に近づける(すなわち、距離L2’を増加させるために距離L1’を短縮する、その場合、距離L1はレンズ1702の天然後部焦点距離となる)ことによって、試料チャンバおよびバックミラー1400を越えて投影されている。距離L1’が短縮されるにつれて、対物レンズに衝打する光源光線が発散させられ、したがって、距離L2’を増加させる。対物レンズ1705の天然後部焦点距離は、L2であり、試料チャンバ中のフルオロフォアからの発光および鏡からの反射光線は、励起光(鏡の後で集束させられる)の焦点から分断された焦点を有する円錐で対物レンズに進入する、フルオロフォアの虚像として収集される。チャンバ中のフルオロフォア集団の反射虚像は、加熱ブロック1410を横断する点線で境界される。焦点距離L2内の蛍光発光は、対物レンズによって効果的に平行にされ、二色性鏡1704、帯域通過フィルタ1706を通して伝達され、次いで、センサレンズ1707によって、PCBまたは他の固体支持材1709の上に概して載置されるセンサ1708上に集束される。レンズ1707は、概して、対物レンズ1705の後部焦点距離L2に等しい後部焦点距離L3を有する。しかしながら、例えば、フォトダイオードまたはCCDチップである、センサ1707の表面積をより良好に利用するために、より大きいレンズ1707が使用されてもよい。信号の最適化は、これらの原則に従って、各レンズの独立した調整を必要としてもよい。
【0096】
対物レンズ1705から出現する励起光および対物レンズ1705に進入する発光は、異なる焦点円錐(それぞれ、L2’対L2)で動作可能に分断される。距離は、励起光の実際の焦点面および対物レンズの天然焦点距離を分離し、それは、鏡および励起円錐1501の拡張焦点位置を使用して励起されると、蛍光発光の起源の広い平面内で光を捕捉することができる。「分断」と称される、この現象は、バックミラーが使用される時に蛍光発光の捕捉を増加させることが分かり、従来技術の共焦点アプローチを支持する以前の教示を否定する。
【0097】
従来技術の教示は、励起および発光共焦点を作ることを強力に支持するが、実際には、発光円錐からの光源の焦点を分断し、バックミラー1400を使用する際に、これまで見たことがない利点がある。発光は、試料カートリッジの全体を通して、より大きい面積および深度から生じ、したがって、小さい気泡、非混合領域、または消光プローブによる場合のように、デッドスポットまたは不均質性からの信号の不足を克服する。より優れた信頼性が、焦点での励起におけるいくらかの選択性を犠牲にして達成される。これは、当技術分野での技術的進歩である。
【0098】
要約すると、概して、L2’は、L2およびL3よりも大きくてもよい。L1は、励起光の円錐が、試料チャンバ1403の後に、最も好ましくはバックミラー1400の近くまたは後に落ちるように、有利に構成されてもよい。好ましい実施形態では、励起円錐の焦点は、バックミラーの上または後に落ちる。対物レンズは、概して、センサレンズ1707からの発光の対称円錐によって、発光が効率的に収集され、検出センサ上への投影のために平行にされるように構成される(すなわち、L2=L3)。
【0099】
したがって、別の実施形態では、本発明の装置は、励起光学部および発光光学部が分断されるように構成される、レンズを採用する。この装置の第1の実施形態では、光源は、光源レンズから距離L1’を置いて設置され、L1’<L1であり、それにより、励起および発光光学部は、L2’>L2であるように、鏡面またはその後にある焦点位置L2’に励起円錐を遷移させることによって分断される。第2の実施形態では、光源レンズは、対物レンズに入射する光の発散ビームを形成し、それにより、焦点位置L2’に励起円錐を設置するように構成され、それにより、L2’>L2である。
【0100】
有利に、L2は、検出器1708の動作が最適化され、堅調であるように、L3と対称を成すように構成される(すなわち、L2=L3)。センサフォトダイオードは、好ましくは、分析法の有効性の損失を伴わずに、ある程度の不整列に適応するように、レンズ1705および1707の焦点の円錐に関して十分大きく構成される。
【0101】
性能は、正または負の分析法結果の区別が必要とされる分析法だけでなく、例えば、熱帯熱マラリア原虫の場合のシゾントまたはメロゾイトコピー数として、ある程度のレベルの定量が必要とされる分析法でも向上させられる。1957年にその発明者であるMinskyによって述べられているように(米国特許第3013467号)、共焦点光学部の本来の目的は、励起円錐が所与の時に集束させられる、試料の領域からのみの発光を監視しながら、試料を横断し、かつ試料を通して励起の焦点をラスタすることによって(xyz軸ラスタリング)、厚い固体試料の3次元画像を作成することであったことを思い出されたい。対照的に、略均質である流体混合試料では、試料全体の累積蛍光を測定し、その蛍光の局在的変動を抑制する効果といった、反対の効果が所望される。したがって、問題を再公式化することによって、我々は、励起および発光の焦点面の分断とともに、バックミラーを有する新規の光学システムを設計することが可能となっており、時折の光学干渉の存在下で、蛍光検出がより高感度で堅調であるという、満足する結果を得ている。
【0102】
図18は、蛍光励起を制御するため、および蛍光発光信号を受信し、処理し、ホスト器具にデジタル伝達するために使用される、検出器ヘッド電子機器のブロック図である。光チャネルは再度、白い矢印AおよびBによって識別される。チャネルAは、対照チャネルと見なされ、チャネルBは標的被分析物チャネルとして見なされるが、役割は交換可能である。各チャネルの中の電子機能ブロック、光源励起回路(1811、1831)およびセンサ回路(1817、1837)は、同一であり、ファームウェアとして、典型的には、ソケット付きEEPROMチップ1842として、専用オンボード命令を有する、組込みマイクロプロセッサ1841の検出光学部制御回路によって駆動される。光源LED用の回路基板1801は、複数のLEDを支援することができ、センサ回路用の回路基板1802は、複数のフォトダイオードを支援することができる。各フォトダイオードは、多段高利得増幅器(1818、1838)と密接に関連付けられ、2つの路基板は、別個の接地で電子的に隔離される。
【0103】
ステッピングモータおよびウォーム駆動モジュールは、ホストコントローラの指図通りに検出器ヘッドの操作を制御する。したがって、検出器ヘッドは、ホストコントローラの制御下で走査しながら、内蔵型光学部および信号分析モジュールとして動作する。ホストはまた、検査結果の作成およびあらゆるI/O機能を含む、データ表形式化および表示機能ブロック(1820)にも対処する。
【0104】
検出器ヘッド内では、光源励起回路と関連付けられるLEDのそれぞれ(1811、1831)は、130Hzの周波数で方形波によって変調される。この変調の理由は、以下の潜在的雑音源からの雑音低減対策に関係付けられる。
1.50/60Hz主要波
2.蛍光からの100/120Hzの第2の主要調波
3.50/60Hzの第3のより高い調波
4.130Hzおよび上記全ての示差周波数(ランブル)
5.フォトダイオードセンサ、第1段フィードバックレジスタ、および増幅器電気的雑音。この雑音は広帯域白色雑音である。
【0105】
雑音の多い発生源から有用な信号を取り出すために、以下の方法が採用される。
1.エイリアシングを回避し、同時に雑音帯域幅を制限するための、取り込んだデータの高速サンプリングおよび平均化。
2.全ての無相関成分を拒絶するための、130HzにおけるLED光の変調および130Hzにおける検出した蛍光信号との相関。130Hz変調周波数は、50/60Hz主要波およびその調波(主に100、120、150、および180Hz)から少なくとも10Hzの差を提供するように選択された。
3.50Hzまたは60Hzの主要電力供給あるいはその調波から電磁雑音を排除するための、相関データのさらなるフィルタリングおよび処理。
【0106】
デジタル信号処理(DSP)の独占的方法である、蛍光検出器とともに組込みマイクロプロセッサ1841を使用することの利点は、ホストコントローラにデジタル化信号を転送する前に雑音を排除するように、検出器の中の組込みマイクロプロセッサのファームウェアにプログラムされてもよい。
【0107】
励起LEDは、100%AM変調深度(オン/オフ)で130Hzにおいて変調される。変調周波数は、50/60Hzおよびその調波(50、60、100、120、150、180Hz、以下参照)からの十分な分離を提供するように選択された。任意の相互変調生成物周波数は、少なくとも10Hzであり、信号処理中にフィルタで除去することができる。LEDは、FAN5612LEDドライバによって駆動される。各ドライバは、必要な周波数で最大120mAまで(3つの出力のそれぞれで40mA)電流をシンクすることが可能である。
【0108】
ホストコントローラ1800は、結果の表示を含む、オペレータインターフェースに、ならびに、オンカートリッジ分析法および検出器ヘッド走査を行うために必要とされる機械および空気圧機能の操作に関与する。検出器ヘッドの中の埋め込みマイクロプロセッサ1841は、別個のPCB基板(1801、1802)上で電子的に隔離される、励起および検出回路を制御すること、および信号フィルタリングに関与し、センサボード上のソケット付きEEPROMチップ1842としてプログラム可能である、独自の命令を有する。埋め込み検出器ヘッドマイクロプロセッサのクロック周波数は、励起LEDをストローブするため、およびセンサダイオードにおけるパルス収集を同期化するために使用される。走査中にステッピングモータを駆動するために、ホストコントローラの中の別個のクロックが使用される。信号励起および蛍光発光検出を埋め込みプロセッサで多重化することができるように、複数の励起および検出光学部を単一の検出器ヘッドに収納することができる。我々は、信号経路長を最小化し、センサダイオードリード線の周囲および励起およびセンサ回路基板の間の接合点等の必要な場所で、ファラデー遮蔽の効果的な使用を可能にすることによって、信号処理のオンボード包装が、向上した信号対雑音比および感度を有する低雑音環境を達成することを見出した。
【0109】
二重チャネルの隔離は、標的フルオロフォアおよび内部対照フルオロフォアが共通液体試料中で混合される、多重分析法を実装するための有利な手段を証明した。標的および対照チャネル光学部を分離することによって、無効な制御結果による誤検出検査または検査拒絶につながり得るクロストークが排除された。
【0110】
ホストコントローラはまた、分析中にマイクロ流体カートリッジの中のダイヤフラムポンプを操作するための空気圧弁論理およびパルス列、試料の熱循環と関連する任意の抵抗またはペルチェ型発熱体も制御し、随意で、検出チャンバの中で融解曲線を行ってもよい。他の随意的な構成要素は、検出器ヘッドを整列させるための基準と、挿入可能なマイクロ流体カートリッジ上に印刷された情報を感知するためのバーコード読取機とを含む。
【0111】
プログラム符号化手段を有するホストコントローラプログラムは、蛍光分析法過程の全てのステップを行うように、および蛍光検出器からの信号または他のデータをユーザにとって重要な機械可読またはグラフィカルレポートに変換および形式化するように設計されている。プログラムは、ここで示されるように蛍光検出器器具に統合することができ、または、ネットワーク、イントラネット、あるいはインターネットの一部としてのデータ回線または無線インターフェースを通してそれに接続することができる。概して、器具マザーボード上または外部ネットワーク上のホストコントローラとの通信のために、シリアル非同期通信インターフェースが提供される。
【0112】
同様に、結果、データ、エラー、コード、状態更新等は、USB、RS232、またはFireWire等の共通電子インターフェースおよびデータ回線を介して、およびIR伝送、Bluetooth、GSM、GPRS、RSID等の無線伝送システムを介して送信することができる。プログラミング、再プログラミング、較正、および再較正、ならびにデバイスのシステム診断は、USB、RS232、またはFireWire等の共通電子インターフェースおよびデータ回線を介して、およびIR伝送、Bluetooth、GSM、GPRS、RSID等の無線伝送システムを介して可能である。
【0113】
装置は、UV、可視領域、および近赤外スペクトル内の波長のように構成することができる。好ましい動作モードのうちの1つである、蛍光モードでの用途について、デバイスは、UVおよび可視スペクトル内の励起スペクトルを有する特定の蛍光染料のために、ならびにUV、可視、および近赤外スペクトル内の発光のように構成することができる。赤方偏移がより典型的であるが、上方変換フルオロフォアも使用されてもよい。現在利用可能な光学フィルタおよび利用可能な染料は、300から900nmの範囲でのカスタマイズを可能にする。
【0114】
図19Aおよび19Bは、気泡干渉のデジタル除去を示す、未加工入力およびデジタル化出力の表現である。図19Aでは、増幅後のフォトダイオードからの出力(1900)が表されている。雑音のレベルは概して低いが、信号は、例示のために、検出チャンバの中の2つの小さな気泡の存在(図15参照)により、1901および1902において劣化する。プロセッサは、閾値を出力信号に適用し、信号が閾値を上回る場合は信号を「高い」(すなわち、1)と採点し、信号が閾値を下回る場合は「低い」(すなわち、0)と採点する。発光光学部およびフィルタに合致したフルオロフォアの存在下以外では、いずれの信号出力も閾値を上回り得ないため、任意の正の信号(1903)は、フルオロフォアの存在に対する正の分析である。閾値コンパレータは、分析法での臨床試料の体験に基づいて調整することができる。したがって、走査画像データの「1ビット」デジタル変換が、気泡からあらゆる干渉を除去する。我々は、意外にも、フルオロフォアが存在するが、複数の気泡がチャンバを充填する時に、気泡の周囲で、または気泡を通して屈折される光が正の新郷をもたらすことを見出した。したがって、システムは、感染症に対する診断分析法で必要とされるように、非常にエラーが起こりにくく、定性検査にとって頑丈である。信号コンパレータは、検出器ヘッドに埋め込まれたマイクロプロセッサおよびファームウェアのデジタル機能であり、ホストコントローラ機能とは無関係である。
【0115】
正の蛍光信号の存在が負の分析法結果を示す場合、そのように検査を採点するようにシステムを容易に構成することができる。したがって、1ビットデジタル変換の使用は、マイクロ流体分析法での気泡の存在に対する著しく単純かつ効果的な解決法である。マイクロ流体分析法での混合および加熱動作の性質、および表面活性剤の頻繁な使用のため、気泡の存在は珍しくない。ここで説明されるシステムは、物理的方法(通気、台の傾転、低死容積条件下でのウェットアウト、混合チャンバ間の中心外チャネル)と、臨床検査室の制御された環境外での確実な動作のために必要とされるような、堅調な分析性能を達成するための信号処理方法との組み合わせを使用する。
【0116】
図20Aおよび20Bは、ここではフルオレセインおよびテキサスレッドによって図示される、標的および対照用の混合フルオロフォアの典型的なシステムの励起および発光スペクトルを示す。図20Aに示された、曲線2001はフルオレセインの励起スペクトル(点線)であり、曲線2002は発光スペクトル(実線)である。図20Bに示された、曲線2003はテキサスレッドの励起スペクトル(点線)であり、曲線2004は対応する発光スペクトル(実線)である。ここで、対照はチャネルB(図20B)であり、標的はチャネルA(図20A)であるが、割り当ては恣意的である。
【0117】
四角に囲まれた領域ExAは、標的励起帯域通過フィルタ1333(図13参照)を通過させられる波長帯域を示す。四角EmAは、標的発光帯域通過フィルタ1335を通過させられる波長帯域を示す。四角ExBは、対照励起帯域通過フィルタ1313を通過させられる波長帯域を示す。四角EmBは、対照発光帯域通過フィルタ1315を通過させられる波長帯域を示す。四角は、最大値の両側の阻止帯域の存在を示す。図20Aおよび20Bから、これら2つのフルオロフォアのスペクトル、および示されるように構成された通過帯域特性を有する光学フィルタを考慮すると、以下のエラー状態が補正されることが分かる。
a.標的LED1331からの長波長励起光(LEDピーク励起の波長より大きい)は、LED励起フィルタ1333によって遮断されている、これらのより長い波長により、標的蛍光発光と誤って混同されることはあり得ない。
b.対照LED1311からの長波長励起光(LEDピーク励起の波長より大きい)は、LED励起フィルタ1313によって遮断されている、これらのより長い波長により、対照蛍光発光と誤って混同されることはあり得ない。
c.標的蛍光発光は、(励起フィルタをかけられた)対照LED1311によって不注意に誘起されることはあり得ない。そうでなければ、このエラー状態は、標的および対照フルオロフォアの両方から不要な同時信号を受信する対照光センサ1317につながる。
d.対照蛍光発光は、(励起フィルタをかけられた)標的LED1331によって不注意に誘起されることはあり得ない。そうでなければ、このエラー状態は、標的および対照フルオロフォアの両方から不要な同時信号を受信する標的光センサ1337につながる。
【0118】
図21Aは、鏡より上側の対物レンズの高さを変化させることによる蛍光信号出力の強化を明示する、実験結果をプロットする。簡潔に言えば、蛍光ビーズ(Thermo Fisher Scientific,p/n G0300,Pittsburg PA)が、マイクロ流体検出チャンバに挿入され、検出チャンバは、本質的に図3Aに示されるように検出器の対物レンズ315の下に載置された。デジタルマイクロメータを使用して、次いで、マイクロ流体カートリッジより上側の検出器ヘッドの高さが、プロットを構築するように変化させられた。第2のペアを成す実験では、鏡面を除去した。実線(2100)は、加熱ブロック上の鏡の存在下でレンズの高さを変化させることの効果を示し、点線(2101)は、バックミラーがない場合にレンズの高さを変化させることの効果を示す。図に示すように、鏡の存在は、鏡面の後の最適な発光最大値(すなわち、レンズで捕捉される実際および仮想の蛍光発光の複合物)を偏移させるように思われる。
【0119】
図21Bは、バックミラーを有する(2103)、および伴わない(2102)、統合出力信号強度をグラフで表す。出力信号は、図15に示されるような鏡の後の焦点で励起ビームを集束させ、図16に示されるようなより短い作業距離で発光を収集することによって、最適化されることが分かった。
【0120】
第2の実験では、検出チャンバは、可用性フルオロフォアを含有する液体試料で充填され、消光アーチファクトを回避するよう、一定の速度でチャンバを通して送出される。次いで、検出器ヘッドの高さが以前のように変化させられ、最適な検出器の高さが決定される。関連実験では、センサレンズおよび対物レンズの作業距離も、検出の感度および限界を最適化するよう変化させられる。我々は、対物レンズが検出チャンバの中で中心に置かれ、他のレンズが共焦点にされると、最適な構成が達成されないことを知った。鏡が使用される時に、分断された光学部が有利な結果を達成し、当技術分野での技術的進歩である。
【0121】
図22は、アンプリコンにハイブリッド形成された分子ビーコンについて収集されたデータを示す。走査軸は、それぞれ、正および負の検査条件を表す、検出ウェル(2200、2201)を横断し、信号が検出ウェルに限定されることが分かる。図中、検出チャンバ中の温度が対称に変化させられるにつれて、試料が繰り返し走査される。走査は、データの空間分解能を図示するようにプロットで重ねられている。35℃、65℃、70℃、75℃、および80℃検査条件に対する蛍光走査が印付けられている。40、45、50、55、および60℃における検査プロット、ならびに85および90℃プロットは、予想通り、十分に分化されず、個別に印付けられていない。蛍光信号は、温度の関数であることが分かる。蛍光消光は、二本鎖プローブ標的が融解されるにつれて、増加することが観察されており、すなわち、信号は35℃で最大であり、80℃では本質的に存在しない。図23Aでは、データは、正(2301、実線)および負(2302、点線)の検査条件に対する温度と対比した信号についてプロットされている。図23Bでは、約70℃のFRET融解温度を示す、1次導関数がプロットされている。
【実施例】
【0122】
(実施例I)
この実施例では、本発明の装置は、血液等のヒト試料中の病原体の核酸の検出による、感染症の診断において有用であることが示される。オンボード乾燥および液体試薬を使用して、血液試料が処理され、熱帯熱マラリア原虫と関連するDNAが、約30分以下で検出される。試料から精製されたDNAは、本願と同一出願人である、米国特許第7544506および米国特許出願第第11/562611号(Microfluidic Mixing and Analytical Apparatus)で説明されているような、二重温度域を有する2つのマイクロ流体チャンバを使用したPCRを受ける。次いで、増幅標的に向けられたFAM蛍光でタグ付けした分子ビーコンを使用して、アンプリコンが検出される。随意で、多重増幅とともに、カリフォルニアレッドでタグ付けしたRNAaseP白血球エクソン配列から成る対照が、分析法を認証するために使用される。本発明の熱光学的インターフェースを使用して得られる代表的な熱融解曲線が、図22Aに示されている。
【0123】
(実施例II)
本発明の装置は、凝血障害の診断において有用である。オンボード乾燥および液体試薬を使用して、ANSNが、染料とペプチドとの間のアミド結合が切断される時に点灯する、フルオロフォア6−アミノ−1−ナフタレンスルホンアミドである、(D−Phe−Pro−Arg−ANSNH−cyclohexyl−2HCl;F.W.=777.81,Haematologic Technologies,Essex Junction VT)等の蛍光発生基質とともに血漿をインキュベートすることによって、凝固因子VIIa欠乏について、血液試料が分析される。組織因子(TF)をCalbiochem(LaJolla CA)から入手し、使用前にホスファチジルコリンまたはホスファチジルセリンベシクルに組み込む。TFは過度に使用される。5nM TFを伴い、20uM EDTAを含有する、pH7.4、0.15M NaClの20mM Hepes緩衝剤から成る100uL基質反応混合物を、活性酵素複合体を形成するように血漿試料とともに10分間インキュベートする。次いで、ANSH基質を添加する。基質の加水分解の速度は、因子VIIaの正常範囲にわたって直線的であり、標準曲線から決定することができる。分析法開発の説明は、米国特許出願第2009/0325203および他の実験文献で見出されてもよい。
【0124】
上記は、本発明の好ましい実施形態の説明であるが、種々の代替案、修正、および同等物を使用することが可能である。したがって、本発明の範囲は、上記の説明を参照して決定されるべきではないが、代わりに、同等物の全範囲とともに、添付の請求項を参照して決定されるべきである。添付の請求項は、そのような制限が「〜のための手段」という語句を使用して所与の請求項で明示的に記載されない限り、手段と機能の制限を含むものとして解釈されるものではない。
【0125】
本明細書で参照される、および/または添付提出物で引用される、米国特許第、米国特許出願第公報、米国特許出願第、外国特許、外国特許出願、および非特許出版物の全ては、それらの全体で参照することにより本明細書に組み込まれる。さらなる実施形態を提供するために、種々の特許、出願、および出版物の概念を採用する必要がある場合、実施形態の側面を修正することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ流体カートリッジを受容し、該マイクロ流体カートリッジの1つ以上の検出チャンバ内の液体試料に蛍光分析法を行う装置であって、
a)空気圧分配マニホールドを有する傾斜載置板であって、該空気圧分配マニホールドは、該マイクロ流体カートリッジと密閉して連動するように適合され、熱モジュールが自身に取り付けらている空気圧インターフェースポートに正および負の空気圧を分配し、該熱モジュールは、該マイクロ流体カートリッジと接触して連動するように構成される表面を有する1つ以上の発熱体を有し、少なくとも1つの該発熱体は、該マイクロ流体カートリッジと熱光学的インターフェースを形成する鏡面として修正される表面を有する、傾斜載置板と、
b)該傾斜載置板上に載置される浮動台であって、該浮動台は、シャーシと、該マイクロ流体カートリッジを自身の中に受容するドッキングベイと、該熱モジュールおよび空気圧インターフェースポートと接触して係合するように該マイクロ流体カートリッジを可逆的に促す締付け機構とを有する浮動台と、
c)1つ以上の光チャネルおよび駆動系を有する走査検出器ヘッドであって、各光チャネルは、対物レンズを有し、該走査検出器ヘッドは、該浮動台の上の一対のガイドレール上に摺動可能に載置され、該ドッキングベイ内のマイクロ流体カートリッジの該1つ以上の検出チャンバにわたって走査するために電力供給され、自身内において発せられる蛍光信号を検出および処理する組込みマイクロプロセッサによって構成される、走査検出器ヘッドと
を備える、装置。
【請求項2】
前記鏡面は、前記締付け機構によって促されると、そのとおりに前記ドッキングベイ内の前記マイクロ流体カートリッジの熱光学ウィンドウに接触して対向するように構成され、前記走査検出器ヘッドは、前記一対のガイドレール上で走査するときに反射して前記検出チャンバに光を通過させるように構成され、該熱光学ウィンドウは、熱転写に対する低い抵抗を有する光透過性柔軟フィルムを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記鏡面は、熱伝導性を増加させるため、ならびに蛍光発光励起および捕捉の効率を増加させるための光学的な平面性および反射性を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
鏡面を有する前記発熱体および1つ以上の光チャネルを有する走査検出器ヘッドは、前記液体試料の温度を調整または制御しながら、前記浮動台内の前記マイクロ流体カートリッジの前記検出チャンバを走査するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記1つ以上の光チャネルは、第1の光チャネルと、第2の光チャネルとを備え、該第1の光チャネルは、第1の光源LEDと、第1の光源レンズと、第1の励起フィルタと、第1の二色性ビームスプリッタと、第1の対物レンズと、第1の発光フィルタと、第1のセンサレンズと、第1のセンサと、前記液体試料内の第1のフルオロフォアの検出に同調される第1の高利得増幅器とを備え、該第2のセンサチャネルは、第2の光源LEDと、第2の光源レンズと、第2の励起フィルタと、第2の二色性ビームスプリッタと、第2の対物レンズと、第2の発光フィルタと、第2のセンサレンズと、第2のセンサと、該液体試料内の第2のフルオロフォアの検出に同調される第2の高利得増幅器とを備え、該LED、レンズ、ビームスプリッタ、励起フィルタ、および発光フィルタは、各チャネルの励起光が本質的に単色であり、該第1のフルオロフォアおよび該第2のフルオロフォアからの各チャネル発光の該発光フィルタの通過帯域にクロストークがないように構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記マイクロ流体カートリッジは、使い捨てであり、1回の分析に十分な流体および試薬を含有し、該分析は、空気圧で制御され、プログラム可能なホストコントローラによって駆動される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記傾斜載置板は、約10度乃至45度のシータ角度または約15度のシータ角度で載置され、傾転検出器は、配向が公差外である場合に前記装置を無効にするために使用される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記走査検出器ヘッドは、前記センサからの電圧を増幅し、それにより、増幅された電圧を生成する増幅器を備え、前記組込みマイクロプロセッサは、該増幅された電圧をデジタル信号に変換し、前記装置のプログラム可能なホストコントローラに該デジタル信号を出力するクロックおよびファームウェアと動作可能に連結される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記組込みマイクロプロセッサは、ストローブ速度で光源LEDをストローブするように、および電気または周囲の雑音を効果的にフィルタするように構成される選択可能なパルス幅によって構成される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記走査検出器ヘッドは、走査しながら、ステッピングモータによって一連の線形ステップで前記ガイドレール上において動作可能に駆動される、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記組込みマイクロプロセッサは、検出チャンバを走査しながら、閾値よりも大きい任意の増幅された電圧の全ての正のデジタル信号と、閾値よりも小さい任意の増幅された電圧の全ての中性デジタル信号とを合計し、前記プログラム可能なホストコントローラに合計を出力し、そうすると、該プログラム可能なホストコントローラは、該分析結果が気泡干渉と無関係であるように、標的被分析物の検出の定性的な分析結果を報告する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記プログラム可能なホストコントローラは、前記デジタル信号をデジタル受信し、前記蛍光分析法の結果を表示または電子的に出力するように構成される、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記蛍光分析法は、生物試料内の核酸標的またはタンパク質標的に対する分析法である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
検出チャンバ内の液体試料における蛍光発光を検出する励起光学部および発光光学部を有する光学部モジュールを有する装置であって、
a)検出チャンバを走査する走査検出器ヘッドであって、該走査検出器ヘッドは、対物レンズを有する少なくとも1つの光チャネルと、該対物レンズ上に、および該検出チャンバを通して励起円錐の焦点まで励起ビームを集中させる光源レンズを有する光源と、センサレンズを有するセンサとを有し、該光源レンズは、後部焦点距離L1を有し、該対物レンズは、後部焦点距離L2を有し、該センサレンズは、後部焦点距離L3を有し、
b)該検出チャンバは、該対物レンズに近接し、および対向する第1の光ウィンドウによって形成される頂面と、該第1の光ウィンドウと平行な第2の光ウィンドウによって形成される底面とを有し、さらに、該対物レンズは、該液体試料内のフルオロフォアによって発光される光を制御し、該センサレンズを介して該センサに該発光された光を遷移させるように構成される、走査検出器ヘッドと、
c)熱素子と
を備え、さらに、該熱素子は、鏡面を有する加熱ブロックを備え、該鏡面は、該第2の光ウィンドウと接触して連動し、それにより、鏡面仕上げの熱光学インターフェースを形成し、該鏡面仕上げの熱光学インターフェースは、該検出チャンバを通して該入射励起ビームを後方反射し、それにより、励起の増加を引き起こすように、および、該液体試料内の温度を制御または調整しながら、該センサへの伝送のために該フルオロフォアから該対物レンズの中へ発光された光を反射し、それにより、蛍光発光検出を増加させるように構成されることを特徴とする、装置。
【請求項15】
前記励起光学部および前記発光光学部は、分断される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記光源は、前記光源レンズから距離L1’を置いて設置され、L1’<L1であり、それにより、前記励起光学部および発光光学部は、L2’>L2であるように、前記鏡面にまたはその後にある焦点位置L2’に前記励起円錐を遷移させることによって分断される、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記光源レンズは、前記対物レンズに入射する光の発散ビームを形成し、それにより、焦点位置L2’に前記励起円錐を設置するように構成され、それにより、L2’>L2であり、さらに、L2=L3である、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記センサは、フォトダイオード、CCDチップ、CMOSチップ、光電子倍増管、アバランシェダイオード、または他の感光性電子デバイスである、請求項14に記載の装置。
【請求項19】
前記光源は、本質的に単色の励起ビームを遷移させる励起フィルタによって構成される、スペクトルについて特異的なLEDである、請求項14に記載の装置。
【請求項20】
液体試料において複数の蛍光信号を検出する2つ以上の光チャネルを有する走査検出器ヘッドを有する装置であって、該装置は、シャーシ、および使い捨てマイクロ流体カートリッジを自身内に受容するためのドッキングポートを有する浮動台を備え、該マイクロ流体カートリッジは、検出チャンバを取り囲むプラスチックの可撓性本体を有し、該検出チャンバは、第1の光ウィンドウと、それに対向した第2の光ウィンドウとを有し、該第2の光ウィンドウは、柔軟な熱光学フィルムを備え、該浮動台は、該装置の発熱体と熱伝導的に並置するように該柔軟熱光学フィルムを促すための締付け機構を有し、
a)該走査検出器ヘッドは、該浮動台の該シャーシを横断する一対のガイドレール上に摺動可能に載置され、その上に直線的に走査する駆動系を備え、
b)該光チャネルは、第1の光チャネルと、第2の光チャネルとを備え、各光チャネルは、励起用および発光用の光学部とを備え、該励起および発光光学部は、対物レンズと、該対物レンズ上に励起ビームを遷移させる光源レンズを有する光源と、二色性ビームスプリッタと、センサレンズを有するセンサとを備え、該対物レンズは、該対物レンズに近接して配置される第1の光ウィンドウを通して、および該マイクロ流体カートリッジの検出チャンバ内の第1のフルオロフォア上へ該励起ビームを集束させるように構成され、さらに、該対物レンズは、該複数の蛍光信号を収集し、該センサレンズを介して該センサに該蛍光信号を方向付ける発光光学部によって構成され、
c)該発熱体は、該柔軟熱光学フィルムに接触する鏡面によって表面仕上げされ、
d)鏡面を有する該発熱体は、該液体試料の温度を制御または調整しながら、該第2の光ウィンドウおよび該第1の光ウィンドウを通して、および該対物レンズの中へ、該励起ビームおよびあらゆる入射蛍光信号を反射するように構成される、装置。
【請求項21】
前記励起および前記発光光学部は、分断される、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記柔軟な熱光学フィルムは、可撓性のプラスチックフィルムであって、該プラスチックフィルムは、励起および発光波長のスペクトルにわたって熱伝達および光透過性に対して低い抵抗を有する、請求項20に記載の装置。
【請求項23】
前記装置は、プログラム可能なホストコントローラを備え、前記走査検出器ヘッドは、組込みマイクロプロセッサを備え、各前記光チャネルは、前記チャネルセンサからの電圧を増幅する増幅器を備え、該組込みマイクロプロセッサは、該増幅された電圧を処理するため、および該プログラム可能なホストコントローラに蛍光分析法の結果を示すデジタル信号を出力するクロックおよびファームウェアと動作可能に連結される、請求項20に記載の装置。
【請求項24】
前記組込みマイクロプロセッサは、ストローブ速度で光源LEDをストローブするように、および電気または周囲の雑音を効果的にフィルタするように構成される選択可能なパルス幅によって構成される、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記走査検出器ヘッドは、前記マイクロ流体カートリッジの前記検出チャンバにわたって走査しながら、ステッピングモータによって一連の線形ステップで前記ガイドレール上を動作可能に駆動される、請求項23に記載の装置。
【請求項26】
前記組込みマイクロプロセッサは、検出チャンバを走査しながら、閾値よりも大きい任意の増幅された電圧の全ての正のデジタル信号と、閾値よりも小さい任意の増幅された電圧の全ての中性デジタル信号とを合計し、前記プログラム可能なホストコントローラに該合計を出力し、そうすると、該プログラム可能なホストコントローラは、該分析結果が気泡干渉と無関係であるように、蛍光分析法の定性的な結果を報告する、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記プログラム可能なホストコントローラは、前記デジタル信号をデジタル受信し、前記蛍光分析法の前記結果を表示または電子的に出力するように構成される、請求項23に記載の装置。
【請求項28】
前記蛍光分析法は、生物試料内の核酸標的に対する分析法であり、アンプリコンを形成するように該核酸標的を増幅するステップを含む、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記増幅するステップは、フルオロフォアによってタグ付けされたプライマーの使用を含む、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記プライマーは、スコーピオンプライマー、アンプリフルアプライマー、ブラックホールプライマー、Qzymeプライマー、またはLUXプライマーである、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記アンプリコンは、分子ビーコンプローブ、FRETプローブ、TaqManプローブ、二重オリゴFRETベースのプローブ(Roche)、副溝結合剤共役ハイブリダイゼーションプローブ、Eclipseプローブ、Locked核酸プローブ、またはインターカレーションプローブを用いた蛍光検出によって検出される、請求項28に記載の装置。
【請求項32】
核酸を増幅する前記ステップは、PCR熱循環するステップである、請求項28に記載の装置。
【請求項33】
前記分析法は、前記液体試料内のタンパク質標的被分析物に対する蛍光分析法である、請求項27に記載の装置。
【請求項34】
前記光源は、前記光源レンズから距離L1’を置いて設置され、L1’<L1であり、それにより、前記励起光学部および発光光学部は、L2’>L2であるように、前記鏡面にまたはその後にある焦点位置L2’に励起円錐を遷移させることによって分断される、請求項21に記載の装置。
【請求項35】
前記光源レンズは、前記対物レンズに入射する光の発散ビームを形成し、それにより、焦点位置L2’に励起円錐を設置するように構成され、それにより、L2’>L2であり、さらに、L2=L3である、請求項21に記載の装置。
【請求項36】
個別に、または集合的に、本明細書で開示される、または本願の明細書で示されるステップ、特徴、整数、組成物、および/または化合物、ならびに前記ステップまたは特徴のうちの2つ以上のあらゆる組み合わせ。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2012−516455(P2012−516455A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548339(P2011−548339)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/022581
【国際公開番号】WO2010/088514
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.GSM
【出願人】(503466853)マイクロニクス, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】