説明

携帯情報端末

【課題】固体差や経年変化等に影響されることなく、振動情報に対応する所望の触感を呈示できる、携帯情報端末を提供する。
【解決手段】
本発明の携帯情報端末10は、タッチセンサ101と、タッチセンサ101のタッチ面101aを振動情報に基づき振動させる振動発生部106と、振動基準値を記憶する記憶部107と、振動発生部106によるタッチ面101aへの振動を発生させる制御部105と、を備え、制御部105は、振動基準値を用いて振動情報の補正情報を生成し、タッチセンサ101が入力を受け付けると、補正情報により振動情報を補正して、補正した振動情報により振動発生部106によるタッチ面101aへの振動を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチセンサに対する入力を受け付けて振動を発生させる携帯情報端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯情報端末には、操作者による入力を受け付けるタッチパネルやタッチスイッチ等のタッチセンサを備えるものが広く使用されている。タッチセンサには、抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等の種々の方式が知られている。しかしながら、いずれの方式のタッチセンサにおいても、指やスタイラスペンによるタッチ入力を受け付けるものであって、タッチセンサ自体は、タッチされても、押しボタンスイッチのようには物理的に変位しない。
【0003】
このように、タッチセンサがタッチされても、タッチセンサ自体が物理的に変位しないので、操作者は入力が受け付けられても、入力に対するフィードバックを得ることができない。このため、操作者は、同じ位置を何度もタッチする等の繰り返し入力が生じ易く、操作者にストレスを与える場合がある。このような繰り返し入力を防止するものとして、操作者がタッチセンサを操作した際に、タッチ面を振動させることにより、操作者に触感を呈示する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4633183号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示のような触感を呈示する技術を用いれば、携帯情報端末上でWebブラウザを起動中に、Web画面上に表示される物体の表面の手触りを、擬似的に操作者に感じさせることが可能である。
【0006】
しかしながら、携帯情報端末は、同一の振動情報で振動させても、出荷時の固体差や経年変化等により、発生する振動が異なる場合がある。このため、Web画面の画像データ等に対して振動情報が設定されていても、操作者に所望の触感を呈示できない場合がある。
【0007】
したがって、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、固体差や経年変化等に影響されることなく、振動情報に対応する所望の触感を呈示できる、携帯情報端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成する第1の観点に係る携帯情報端末の発明は、
タッチセンサと、
前記タッチセンサのタッチ面を振動情報に基づき振動させる振動発生部と、
振動基準値を記憶する記憶部と、
前記振動発生部による前記タッチ面への振動を発生させる制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記振動基準値を用いて前記振動情報の補正情報を生成し、
前記タッチセンサが入力を受け付けると、前記補正情報により前記振動情報を補正して、前記補正した振動情報により前記振動発生部による前記タッチ面への振動を発生させることを特徴とするものである。
【0009】
第2の観点に係る発明は、第1の観点に係る携帯情報端末において、
前記タッチ面上での振動を計測する触覚出力計測部をさらに備え、
前記制御部は、
前記振動基準値と、評価入力信号に基づき前記振動発生部に振動を発生させたときに前記触覚出力計測部から出力される計測値とに基づき、前記振動情報の補正係数を求めることを特徴とするものである。
【0010】
さらに、第3の観点による発明は、第1または第2の観点に係る携帯情報端末において、
振動情報を受信する受信部と、をさらに備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、固体差や経年変化等に影響されることなく、振動情報に対応する所望の触感を呈示できる、携帯情報端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態に係る携帯情報端末を備えた触覚サービスシステムの動作の説明図である。
【図2】図1の動作を示すシーケンス図である。
【図3】図1の携帯情報端末の要部の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】図3の携帯情報端末の実装構造の一例を示す構成図である。
【図5】図1の基準触覚信号管理サーバの要部の構成を示す機能ブロック図である。
【図6】図1の動作における携帯情報端末の処理を示すフローチャートである。
【図7】図6の処理において、携帯情報端末の表示部に表示される画像例を示す図である。
【図8】図1の携帯情報端末が実行する能力評価の評価入力信号群の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る携帯情報端末の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態の携帯情報端末を備えた触覚サービスシステム1の説明図である。図1に示す触覚サービスシステム1は、端末種別「タイプA」の携帯情報端末10aと、端末種別「タイプB」の携帯情報端末10bと、無線基地局15a、15bと、Webサーバ20と、基準触覚信号管理サーバ30とを備える。無線基地局15a、15b、Webサーバ20、及び基準触覚信号管理サーバ30は、ネットワーク40を介して接続されている。
【0015】
図2は、図1の動作を示すシーケンス図である。図2を参照して、図1に示した触覚サービスシステム1の動作の概要を説明する。なお、図1に示した携帯情報端末10a及び携帯情報端末10bは、構成及び動作を同様とすることができるので、以降の説明では携帯情報端末10と称す。Webサーバ20は、画像データ、画像情報、又は文字列データ等の表示情報と振動情報とを対応付けたWebページ情報を、予め記憶している。まず、携帯情報端末10は、Webページ情報へのアクセス要求を、Webサーバ20に送信する(ステップ1)。Webサーバ20は、携帯情報端末10からこのアクセス要求を受信すると、画像データA(表示情報)と触覚番号「m」(振動情報)とを含むWebページ情報を、携帯情報端末10に送信する(ステップ2)。
【0016】
携帯情報端末10は、触覚信号を複数記憶するとともに、各触覚信号をそれぞれ触覚番号と対応付けて記憶している。触覚信号は、例えば電圧、電流、振幅、又は周波数等の信号であり、振動パターンを規定する信号である。さらに、携帯情報端末10は、触覚出力の能力評価を実行し、能力評価により得られる評価結果群を記憶している。ステップ2の後、携帯情報端末10は、Webサーバ20から取得したWebページ情報に含まれる触覚番号「m」が、携帯情報端末10に登録されているか否かを判断する。
【0017】
Webページ情報に含まれる触覚番号「m」が携帯情報端末10に登録されている場合、携帯情報端末10は、触覚番号「m」に対応する触覚信号「S(m)」(振動情報)を読み出し、読み出した触覚信号「S(m)」をこの評価結果群に基づき補正する。その後、携帯情報端末10は、画像データAを表示するとともに、補正後の触覚信号「Srev」(振動情報)に基づき振動を発生させ、操作者に触感を呈示する。
【0018】
一方、Webページ情報に含まれる触覚番号「m」が携帯情報端末10に登録されていない場合、携帯情報端末10は、触覚番号「m」に対応する触覚信号「S(m)」を取得するために、基準触覚信号管理サーバ30に端末種別情報「タイプB」及び触覚番号「m」を送信する(ステップ3)。
【0019】
基準触覚信号管理サーバ30は、予め、複数の端末種別情報及び複数の触覚番号を記憶するとともに、複数の触覚信号をそれぞれ端末種別情報及び触覚番号と対応付けて記憶する。ステップ3の後、基準触覚信号管理サーバ30は、携帯情報端末10から端末種別情報「タイプB」及び触覚番号「m」を受信すると、端末種別情報「タイプB」及び触覚番号「m」に対応する触覚信号「S(m)」を読み出す。その後、基準触覚信号管理サーバ30は、端末種別情報「タイプB」、触覚番号「m」、及び触覚信号「S(m)」を対応付けて携帯情報端末10に送信する(ステップ4)。
【0020】
ステップ4の後、携帯情報端末10は、評価結果群を読み出し、基準触覚信号管理サーバ30から受信した触覚信号「S(m)」をこの評価結果群に基づき補正する。その後、携帯情報端末10は、画像データAを表示するとともに、補正後の触覚信号「Srev」に基づき振動を発生させ、操作者に触感を呈示する。
【0021】
次に、図3〜図5を参照して、触覚サービスシステム1を構成する携帯情報端末10及び基準触覚信号管理サーバ30の構成を説明する。図3は、携帯情報端末10の要部の構成を示す機能ブロック図である。携帯情報端末10は、タッチセンサ101と、撮像部102と、表示部103と、送受信部104と、制御部105と、振動発生部106と、記憶部107と、触覚出力計測部108とを備える。
【0022】
タッチセンサ101は、表示部103の前面に配置され、操作者の指等がタッチセンサ101のタッチ面に接触すると、タッチ面に対する接触入力の位置を検出する。タッチセンサ101は、例えば抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等のタッチパネルやタッチスイッチ等で構成する。
【0023】
撮像部102は、操作者の操作に応じて、外部の物体等の画像を撮像し、画像データを取得する。
【0024】
表示部103は、画像や文字等を表示する。表示部103は、例えば、液晶表示パネルや有機EL表示パネル等を用いて構成される。
【0025】
送受信部104は、外部のネットワーク40を介してWebサーバ20及び基準触覚信号管理サーバ30との間で無線により信号の送受信を行う。
【0026】
振動発生部106は、圧電振動子等を用いて構成し、タッチセンサ101のタッチ面又は携帯情報端末10の筐体に振動を発生させることにより、タッチ面に接触している操作者の指等の触覚を刺激し、これにより触感を呈示する。
【0027】
記憶部107は、図示しない中央処理装置により実行されるプログラムを記憶するとともに、触覚情報データベース114を有する。触覚情報データベース114は、複数の触覚信号をそれぞれ触覚番号と対応付けて記憶するとともに、触覚出力の能力評価に用いる評価入力信号群、及び能力評価により得られる評価結果群を記憶する。触覚信号は、例えば電圧、電流、振幅、又は周波数等の信号であり、振動パターンを規定する信号である。
【0028】
触覚出力計測部108は、振動発生部106がタッチセンサ101のタッチ面又は携帯情報端末10の筐体に振動を発生させると、これによる電圧、電流、又は周波数等の触覚出力を計測する。触覚出力計測部108は、例えば圧電素子や歪みゲージセンサ等により構成する。
【0029】
制御部105は、例えば図示しない中央処理装置(CPU)が、記憶部107に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。制御部105は、タッチセンサ101、撮像部102、表示部103、送受信部104、振動発生部106、記憶部107、及び触覚出力計測部108を制御する。また、制御部105は、Web画面構成部110、Webページ解析部111、振動情報変換部112、及び振動情報補正部113の機能を有する。さらに、制御部105は、振動発生部106及び触覚出力計測部108を用いて、例えばマナーモードにある間に受信する呼びに応じて振動を発生させる時や、テストモードにある間に振動を発生させる時などで、能力評価を実行する。そして、制御部105は、能力評価により得られる評価結果群を、触覚情報データベース114に登録する。
【0030】
制御部105のWeb画面構成部110は、Webサーバ20から受信するWebページ情報に含まれる画像データ、画像情報、又は文字列データ等の表示情報に基づき、表示部103に表示するWeb画面を構成する。ここで、画像情報とは、例えば画像データのURL等の情報である。
【0031】
制御部105のWebページ解析部111は、Webサーバ20から受信するWebページ情報を解析する。具体的に、Webページ解析部111は、Webページ情報に触覚番号が含まれているか否かの判断や、Webページ情報に含まれる触覚番号が触覚情報データベース114に登録されているか否かの判断を行う。
【0032】
制御部105の振動情報変換部112は、Webページ解析部111がWebページ情報に含まれる触覚番号が触覚情報データベース114に登録されていると判断した場合、触覚情報データベース114からこの触覚番号に対応する触覚信号を読み出す。
【0033】
制御部105の振動情報補正部113は、触覚情報データベース114から評価結果群を読み出し、振動情報変換部112が触覚情報データベース114から読み出した触覚信号を、この評価結果群により補正する。この補正処理については、後に詳細に説明する。
【0034】
図4は、図3の携帯情報端末10の実装構造の一例を示す構成図である。図4(A)は要部断面図、図4(B)は要部平面図である。表示部103は、筐体120内に収納保持される。タッチセンサ101は、図4(B)の二点鎖線で示す表示部103の表示領域Aより外側の4隅に配設したインシュレータ121を介して、表示部103上に保持される。
【0035】
また、筐体120には、表示部103の表示領域Aより外側のタッチセンサ101のタッチ面101aを覆うようにアッパーカバー122を設け、このアッパーカバー122とタッチセンサ101との間に、弾性部材からなるインシュレータ123を配設する。
【0036】
さらに、タッチセンサ101の裏面上には、対向する2つの辺の近傍に、タッチセンサ101を振動させるための圧電素子からなる振動発生部106をそれぞれ接着等により設ける。そして、振動発生部106によりタッチセンサ101を振動させることにより、タッチ面101aを振動させるようにしている。なお、図4(B)は、図4(A)に示した筐体120、アッパーカバー122、及びインシュレータ123の図示を省略している。
【0037】
触覚出力計測部108は、圧電素子からなり、タッチセンサ101の表面上において、アッパーカバー122で覆われる一辺の近傍に、接着等により設けられる。そして、振動発生部106によってタッチセンサ101のタッチ面101aに振動が発せられると、触覚出力計測部108はその振動によりタッチセンサ101に生じる撓みに基づき、電圧値を計測値として出力する。
【0038】
図5は、基準触覚信号管理サーバ30の要部の構成を示す機能ブロック図である。基準触覚信号管理サーバ30は、送受信部301と、基準触覚信号データベース302とを備える。
【0039】
送受信部301は、外部のネットワーク40を介して携帯情報端末10とWebサーバ20との間で信号の送受信を行う。
【0040】
基準触覚信号データベース302は、複数の端末種別情報及び複数の触覚番号を記憶するとともに、複数の触覚信号をそれぞれ端末種別情報及び触覚番号と対応付けて記憶する。
【0041】
次に、図6及び図7を参照して、携帯情報端末10の動作について更に詳細に説明する。図6は、携帯情報端末10の処理を示すフローチャートである。図7は、図6の処理において、携帯情報端末10の表示部103に表示される画像例を示す図である。なお、以下の説明では、携帯情報端末10の端末種別を「タイプB」とする。図6において、まず、操作者が携帯情報端末10に対してWebページ情報へのアクセス要求を行うと、制御部105は、送受信部104からWebサーバ20にこのアクセス要求を送信する(ステップS10)。Webサーバ20は、携帯情報端末10からアクセス要求を受信すると、Webページ情報を携帯情報端末10に送信する。
【0042】
携帯情報端末10は、送受信部104でWebサーバ20からのWebページ情報を受信すると(ステップS11)、制御部105のWeb画面構成部110は、Webページ情報に含まれる画像データや文字列データ等の表示情報に基づき、Web画面を構成する。そして、制御部105は、Web画面構成部110が構成したWeb画面を、表示部103に表示する(ステップS12)。
【0043】
次に、制御部105のWebページ解析部111は、S11で受信したWebページ情報に触覚番号が含まれているか否かを判断する(ステップS13)。ステップS13でWebページ情報に触覚番号が含まれていない場合、制御部105は、処理を終了する。この場合、Webページ情報には表示情報のみが含まれているため、表示部103に図7(a)のような画像を表示する。図7(a)では、表示情報が毛布の画像データであり、表示部103に毛布の画像のみが表示されている。
【0044】
一方、ステップS13でWebページ情報に触覚番号が含まれている場合、制御部105のWebページ解析部111は、この触覚番号が記憶部107の触覚情報データベース114に登録されているか否かを判断する(ステップS14)。ステップS14で当該触覚番号が触覚情報データベース114に登録されている場合、制御部105はステップS17に進む。
【0045】
一方、ステップS14でWebページ情報に含まれる触覚番号「m」が触覚情報データベース14に登録されていない場合、制御部105は触覚番号「m」に対応する触覚信号を取得するために、基準触覚信号管理サーバ30に基準触覚信号要求を送信する(ステップS15)。この基準触覚信号要求は、携帯情報端末10の端末種別情報「タイプB」及び触覚番号「m」を含む信号である。
【0046】
基準触覚信号管理サーバ30は、携帯情報端末10から基準触覚信号要求を受信すると、基準触覚信号データベース302から端末種別情報「タイプB」及び触覚番号「m」に対応する触覚信号「S(m)」を読み出す。その後、基準触覚信号管理サーバ30は、端末種別情報「B」、触覚番号「m」、及び触覚信号「S(m)」を対応付けて携帯情報端末10に送信する。ここで、基準触覚信号管理サーバ30が携帯情報端末10の端末種別「タイプB」に対応する触覚信号「S(m)」を携帯情報端末10に送信することにより、異なる端末種別に係る複数の携帯情報端末上での触覚出力を同等にすることができる。
【0047】
携帯情報端末10の制御部105は、基準触覚信号管理サーバ30から端末種別情報「B」、触覚番号「m」、及び触覚信号「S(m)」を受信すると、触覚番号「m」及び触感信号「S(m)」を関連付けて触覚情報データベース114に登録し(ステップS16)、ステップS17に進む。
【0048】
なお、ステップS16において、制御部105は、触覚情報データベース114の記憶容量に基づき、触覚番号「m」及び触感信号「S(m)」を登録できないと判断した場合、まず、使用頻度の低い触覚番号及び触感信号を、触覚情報データベース114から削除する。その後、制御部105は、ステップS16で受信した触覚番号「m」及び触覚信号「S(m)」を、触覚情報データベース114に登録する。
【0049】
ステップS17では、制御部105の振動情報変換部112は、Webページ情報に含まれる触覚番号「m」に対応する触覚信号「S(m)」を、触覚情報データベース114から読み出す(ステップS17)。
【0050】
ステップS17の後、制御部105の振動情報補正部113は、触覚情報データベース114から評価結果群を読み出し、ステップS17で振動情報変換部112が読み出した触覚信号「S(m)」をこの評価結果群に基づき補正する(ステップS18)。
【0051】
ステップS18の後、制御部105は、補正後の触覚信号「Srev」に基づき振動発生部106で振動発生可能か否かを判断する(ステップS19)。ここで、制御部105は、例えば補正後の触覚信号「Srev」が振動発生部106への入力の最大値Imaxを越えていれば、振動発生不可と判断し、補正後の触覚信号「Srev」が入力最大値Imax以下であれば、振動発生可能と判断する。
【0052】
制御部105は、ステップS19で、振動発生可能と判断した場合は、制御部105は、表示部103に図7(b)のような画像を表示して、操作者に対して振動発生可能である旨を報知する。そして、操作者がタッチセンサ101に接触し、かつその接触位置が画像に対応する領域内にあるときに、制御部105は、補正後の触覚信号「Srev」に基づき振動発生部106で振動を発生させる(ステップS20)。図7(b)では、表示情報が毛布の画像データであり、表示部103に毛布の画像の上に指差しマークを重ねて表示している。ステップS20の後、制御部105は処理を終了する。
【0053】
一方、ステップS19で振動発生不可と判断した場合、制御部105は、表示部103に図7(c)のような画像を表示して、操作者に対して振動発生不可である旨を報知し(ステップS21)、処理を終了する。図7(c)では、表示情報が毛布の画像データであり、表示部103に毛布の画像の上に指差しマークを重ね、さらにその上にバツマークを重ねて表示している。
【0054】
ここで、図8を参照して、携帯情報端末10が行う能力評価について説明する。なお、振動発生部106及び触覚出力計測部108が圧電素子で構成されているものとして説明する。図8は、携帯情報端末10が能力評価の際に用いる評価入力信号群の説明図である。図8において、「タイプ0」〜「タイプn」に対応する行は、それぞれ評価入力信号に対応する。図8の例では、各評価入力信号は、波形パターンと電圧値を含む。「波形パターン0」〜「波形パターンn」は、それぞれ異なる1つの周波数を持つ電圧波形から構成される。「電圧0」〜「電圧n」は、それぞれ「波形パターン0」〜「波形パターンn」の振幅を意味する。
【0055】
そして、携帯情報端末10の制御部105は、能力評価を行う際、まず触覚情報データベース114から図8の評価入力信号群を読み出す。次に、制御部105は、読み出した評価入力信号群を振動発生部106に順次入力して、振動発生部106に振動を順次発生させる。すると、振動発生部106により順次発生される振動に基づき、触覚出力計測部108は電圧値を計測値として順次出力する。制御部105は、触覚出力計測部108が順次出力する計測値群を、評価結果群として触覚情報データベース114に登録する。
【0056】
次に、携帯情報端末10の振動情報補正部133が行う触覚信号の補正の例を説明する。なお、振動発生部106及び触覚出力計測部108が圧電素子で構成されているものとして説明する。振動発生部106への入力電圧値Ibに対して、触覚出力計測部108からの出力電圧値の振動基準値がObであるとする。一方、現在の携帯情報端末10が、経年変化等により、振動発生部106への入力電圧値Ibに対して、触覚出力計測部108からの出力電圧値がOn(On≠Ob)であるとする。すると、現在の携帯情報端末10が、触覚出力計測部108に振動基準値Obを出力させるために、振動発生部106に入力する必要がある入力電圧値Inについて、以下の式が成り立つ。なお、以下の式では、線形性が成り立つと仮定している。
Ob=F(Ib)
Ob=G(In)
これにより、
In=G−1(F(Ib))
が得られる。
【0057】
よって、例えば、
Ob=αIb
Ob=βIn
が成り立つと仮定すると、
In=α/β×Ib
が得られる。振動情報補正部133は、この補正係数(補正情報)α/βを、評価結果群に基づき、図8の波形パターン毎に算出する。
【0058】
そして、振動情報補正部113は、図6のステップS18において、補正後の触覚信号Srevを、
Srev=α/β×S(m)
により求める。
【0059】
本実施の形態に係る携帯情報端末10は、Webサーバ20から表示情報と振動情報とを対応付けたWebページ情報を受信すると、携帯情報端末10の触覚出力能力に応じて、触覚出力が所定基準を満たすように、この振動情報を変更するものである。これにより、携帯情報端末10は、固体差や経年変化等に影響されることなく、振動情報に対応する所望の触感を呈示できる。
【0060】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、図1を参照して説明した動作では、携帯情報端末10は、振動情報を表示情報と合わせてWebサーバ20から取得するが、振動情報と表示情報はそれぞれ異なるサーバ等から取得することもできる。
【0061】
また、図8の例では、評価入力信号の波形パターンが1つの周波数の波形から構成されるものとしたが、波形パターンは複数の周波数の波形から構成することもできる。波形パターンが複数の周波数の波形から構成される場合は、振動情報補正部312は、図6のステップS18において、波形パターンを構成する各波形の周波数毎に補正係数α/βを求め、求めた各補正係数α/βに基づき、触覚信号を補正することになる。
【0062】
また、図4の例では、振動発生部106はタッチセンサ101の裏面上に設けているが、代わりに筐体120の内面上に設けてもよい。振動発生部106を筐体120の内面上に設ける場合、振動発生部106は筐体120を振動させることにより、タッチセンサ101に接触している操作者の指等の触覚を刺激し、触感を呈示する。
【0063】
本発明における「振動発生部によるタッチセンサのタッチ面への振動」は、タッチセンサのタッチ面を直接的または間接的に振動させるものであればよく、上述の実施例以外において、例えば、振動発生部106を振動モータ(偏心モータ)とし、タッチセンサ101のタッチ面101aを直接的に振動させたり、タッチセンサ101を保持する保持部材や携帯情報端末の筐体120を振動させてタッチ面101aを間接的に振動させたりするように構成してもよい。
【0064】
また、本発明における「タッチセンサでの入力の受け付け」は、入力対象によるタッチセンサ101への接触を検知して入力を受け付ける場合であってもよく、入力対象によるタッチセンサ101への押圧荷重が所定荷重閾値を超えた場合に入力を受け付ける場合であってもよい。
【0065】
入力対象によるタッチセンサ101への押圧荷重が所定荷重閾値を超えた場合に入力を受け付ける場合には、携帯情報端末10にタッチセンサ101のタッチ面101aに対する押圧荷重を検出する荷重検出部を設け、荷重検出部が検出する押圧荷重が入力を受け付ける所定の基準を満たした際に、振動発生部106にタッチ面101aへの振動を発生させるようにしてもよい。荷重検出部は、例えば歪みゲージセンサや圧電素子等の荷重に対してリニアに反応する素子を用いて構成することができる。また、振動発生部106がタッチセンサ101に設けられた圧電素子で構成される場合には、荷重検出部及び振動発生部106は、当該圧電素子を共用して構成することもできる。圧電素子は、圧力が加わると電力を発生し、電力が加えられると変形するためである。あるいは、触覚出力計測部108を荷重検出部と兼用することもできる。なお、荷重検出部により検出される押圧荷重が入力を受け付ける所定の基準を満たした際とは、荷重検出部により検出される押圧荷重が入力を受け付ける所定値に達した際であってもよいし、荷重検出部により検出される押圧荷重が入力を受け付ける所定値を超えた際でもよいし、荷重検出部により入力を受け付ける所定値が検出された際でもよい。
【0066】
また、タッチセンサ101及び表示部103は、タッチセンサ101と表示部103との両機能を共通の基板に持たせる等により、一体化した装置によって構成することもできる。このようなタッチセンサ101と表示部103との両機能を一体化した装置の構成の一例としては、液晶パネルが有するマトリクス状配列の画素電極群に、フォトダイオード等の複数の光電変換素子を規則的に混在させたものがある。この装置は、液晶パネル構造によって画像を表示する一方で、パネル表面の所望位置をタッチ入力するペンの先端で液晶表示用のバックライトの光を反射し、この反射光を周辺の光電変換素子が受光することにより、タッチ位置を検出することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 触覚サービスシステム
10a、10b、10 携帯情報端末
15a、15b 無線基地局
20 Webサーバ
30 基準触覚信号管理サーバ
40 ネットワーク
101 タッチセンサ
101a タッチ面
102 撮像部
103 表示部
104 送受信部
105 制御部
106 振動発生部
107 記憶部
108 触覚出力計測部
110 Web画面構成部
111 Webページ解析部
112 振動情報変換部
113 振動情報補正部
114 触覚情報データベース
120 筐体
121 インシュレータ
122 アッパーカバー
123 インシュレータ
301 送受信部
302 基準触覚信号データベース


【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチセンサと、
前記タッチセンサのタッチ面を振動情報に基づき振動させる振動発生部と、
振動基準値を記憶する記憶部と、
前記振動発生部による前記タッチ面への振動を発生させる制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記振動基準値を用いて前記振動情報の補正情報を生成し、
前記タッチセンサが入力を受け付けると、前記補正情報により前記振動情報を補正して、前記補正した振動情報により前記振動発生部による前記タッチ面への振動を発生させることを特徴とする携帯情報端末。
【請求項2】
前記タッチ面上での振動を計測する触覚出力計測部をさらに備え、
前記制御部は、
前記振動基準値と、評価入力信号に基づき前記振動発生部に振動を発生させたときに前記触覚出力計測部から出力される計測値とに基づき、前記振動情報の補正係数を求めることを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末。
【請求項3】
振動情報を受信する受信部と、をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯情報端末。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−226478(P2012−226478A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92068(P2011−92068)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】