説明

携帯用ルータ

【課題】ハウジングをスムーズに動作させると共に、切削刃を好適に除去可能な携帯用ルータの提供。
【解決手段】加工部材上に載置されるベース部2と、ベース部2から反加工部材側に延出されるコラム3と、コラム3に装着されると共にコラム3に沿って該加工部材に近接離間するハウジング4と、ハウジング4内に設けられ、コラム3と平行に該加工部材に向かって延出され切削刃7が装着される回転軸部5Aを有するモータ5と、を備え、回転軸部5Aの基端には回転軸部5Aと同軸一体回転するファン5Bが設けられ、ハウジング4には、ファン5Bが収容されるファン室6aが画成されると共に、ファン5Bが発生するファン風をファン室6aからコラム3へと導くファン風排出機構を有する携帯用ルータ1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯用ルータに関し、切削時に発生する切り屑が除去される携帯用ルータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に携帯用ルータでは、溝等を切削加工する木材等の材料表面に載置されるベース部と、ベース部から上方に屹立する一対のコラムと、一対のコラムに上下動可能に支持され切削刃を備えたモータを有するハウジングとを備えている。この携帯用ルータにおいて、材料を切削加工する際は、コラムに沿ってハウジングを下方に移動させることにより、切削刃を材料と接する位置に配置している。モータには、冷却用のファンが設けられているため、このファンから発生するファン風をハウジングから材料へと向けて排出し、材料表面の切削屑を吹き飛ばし除去している。
【0003】
以上のように構成された携帯用ルータにおいて、正確な切込深さを設定するにはベース部に対してハウジングがスムーズに上下動作することが重要である。しかしながら、従来の携帯用ルータはファン風により吹き飛ばされた切屑がハウジングとコラムとの間に侵入し、ハウジングのスムーズな上下動作を妨げる恐れがあった。これを防止するために出願人らは特許文献1に示されるようにベローズをコラムに装着した携帯用ルータを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−121504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ベローズを装着することにより、コラムへの切削屑の付着は防がれるが、ベローズは高価であるため、できれば使用しない方が好ましい。また切削屑は、ハウジングから排出されるファン風により吹き飛ばされるが、ハウジング(ファン)から切削屑が排出される材料表面までは距離が有るため、材料表面の切削屑を除去しきれない場合があった。よって本発明は、ハウジングをスムーズに動作させると共に、切削刃を好適に除去可能な携帯用ルータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、加工部材上に載置されるベース部と、該ベース部から反加工部材側に延出されるコラムと、該コラムに沿って該加工部材に近接離間するハウジングと、該ハウジング内に設けられ、該コラムと平行に該加工部材に向かって延出され切削刃が装着される回転軸部を有するモータと、を備え、該回転軸部の基端には該回転軸部と同軸一体回転するファンが設けられ、該ハウジングには、該ファンが発生するファン風を少なくとも該ハウジング側から該コラム側へと導くファン風排出機構を有する携帯用ルータを提供する。
【0007】
この様な構成によると、コラムにファン風が当たるので、コラムに切削屑が付着することが抑制される。よってハウジングとコラムとの間に切削屑が入り込むことが抑制される。
【0008】
上記構成の携帯用ルータにおいて、該ファン風排出機構は、該コラムに沿って該ベース部側へと該ファン風を導くことが好ましい。
【0009】
この様な構成によると、コラムに沿ってファン風をベース部側に導くことができるため、より好適にコラムに切削屑が付着することが抑制される。
【0010】
また該ファン風排出機構は、該ファン風を該コラムに導くファン風導入孔を備えていることが好ましい。この様な構成によると、ファン風導入孔を介して好適にファン風をコラムに当てることができるため、より好適にコラムに切削屑が付着することを抑制することができる。
【0011】
また該ファンは遠心ファンであり、該ファンの遠心方向延長上に該ファン風導入孔が位置することが好ましい。この様な構成によると、ファンの遠心方向延長上にファン風導入孔を設けたため、ファン風が確実にファン風導入孔に導入される。
【0012】
また該ファン風排出機構は、該コラムの外周位置に配置されて該コラムとの間に送気通路を形成する案内部を有し、該送気通路は、一端側で該ファン風導入孔に連通し他端側で該ベース部に向かって開口していることが好ましい。
【0013】
この様な構成によると、ファン風が送気通路により案内されてベース部側に排出されるので、ベース部側に位置する加工部材から発生する切削屑がコラム側に吹き飛ばされることが抑制され、コラムに切削屑が付着することをより好適に抑制することができる。
【0014】
また該案内部は、該送気通路が該コラムの外周を覆うように設けられていることが好ましい。この様な構成によると、ファン風がコラムの外周に案内されるため、送気通路への切削屑の侵入を確実に防止することができる。
【0015】
また該ハウジングは該コラムと当接して該コラムに対し摺動する摺動面を有し、該送気通路は、該ファン風導入孔に対して反摺動面側に形成され、該他端側が該ベース部側に開口していることが好ましい。
【0016】
この様な構成によると、ファン風導入孔から入ってきたファン風が摺動面側に送気されることなくベース部側に送気されるため、ファン風を無駄なくベース側に案内することができ、より好適にコラムへの切削屑の付着を抑制することができる。
【0017】
また上記課題を解決するために、加工部材上に載置されるベース部と、該ベース部から反加工部材側に延出されるコラムと、該コラムに沿って該加工部材に近接離間するハウジングと、該ハウジング内に設けられ、該コラムと平行に該加工部材に向かって延出される回転軸部を有し、該回転軸部の基端に該回転軸部と同軸一体回転するファンが設けられると共に該回転軸部の先端に該回転軸部と同軸一体回転して加工部材を切削する切削刃が設けられたモータと、該ハウジングに一端が装着され、該ファンで発生するファン風を該切削刃近傍に導く送気通路が形成されたガイド部と、を備えた携帯用ルータを提供する。
【0018】
この様な構成によると、切削刃にファン風を導くことができるため、ファン風を効率よく切削刃に吹き付けることができる。よって効率よく切削屑を吹き飛ばして除去することができ作業性を向上することができる。
【0019】
上記構成の携帯用ルータにおいて、該ガイド部は、他端が該ベース部側に配置されて該他端から該ファン風を該切削刃近傍に吐出するように構成されていることが好ましい。
【0020】
この様な構成によると、ベース部位置で、切削刃に向けてファン風を吐出することができる。よってベース部位置でファン風を吐出することにより効率よく切削刃にファン風を吹き付けて切削屑を除去することができる。
【0021】
該ガイド部は、該ハウジングの該ベース部に対する近接離間に応じて伸縮可能に構成されていることが好ましい。
【0022】
この様な構成によると、ハウジングのベース部に対する位置にかかわらず確実にファン風を切削刃近傍に送気することができる。
【0023】
また該ガイド部は、該コラムの外周を覆う共に該ハウジングと該ベース部との間に配置され、該ガイド部と該コラムとの間に該送気通路が形成されていることが好ましい。
【0024】
この様な構成によると、コラムをガイド部で覆いつつ、コラムとガイド部との間に送気通路を画成することができる。よって切削屑を確実に除去しながらコラムに切削屑が付着することが抑制され、コラムに沿ってハウジングを好適に摺動でき操作性を向上させることができる。
【0025】
また該ベース部は、該ハウジングの該コラムに沿った摺動動作に応じて該切削刃が該ベース部の底面から突出可能な開口部を有し、該開口部と該送気通路とを連通し、該ファン風を該開口部近傍に位置する該切削刃に導くベースファン風案内部を有することが好ましい。
【0026】
またベースファン風案内部は、該ベース部に形成され開口部と該送気通路とを連通する切り欠きを含んで構成されていてもよい。また該ベースファン案内部は、該ベース部に形成され該開口部と該送気通路とを連通する貫通孔を含んで構成されていてもよい。また該ガイド部には、該ベース部近傍位置であって該切削刃に向かう位置に、排気孔が形成されていてもよい。
【0027】
これらのような構成によると、ガイド部から吐出されるファン風を、好適に加工部材を切削中の切削刃近傍に導くことができる。よってより好適に切削屑を吹き飛ばして除去することができ作業性を向上することができる。
【0028】
また該ハウジングには、該ファンが収容されるファン室が画成されると共に、該ファンが発生するファン風を該ファン室から該コラム側へと導くファン風排出機構を有することが好ましい。
【0029】
この様な構成によると、コラムにファン風が当たるので、コラムに切削屑が付着することが抑制される。よってハウジングとコラムとの間に切削屑が入り込むことが抑制され、コラムに沿ってハウジングが好適に摺動することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の携帯用ルータによれば、切削屑を好適に除去することができるため、ハウジングをスムーズに動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第一の実施の形態にかかる携帯用ルータの正面図。
【図2】本発明の第一の実施の形態にかかる携帯用ルータのファン室近傍を示す詳細図。
【図3】図1のIII−III線に沿った断面図。
【図4】本発明の第二の実施の形態にかかる携帯用ルータの正面図。
【図5】本発明の第二の実施の形態にかかる携帯用ルータのベース部とコラムとの連結箇所を示す断面図。
【図6】本発明の第二の実施の形態にかかる携帯用ルータの第一の変形例にかかるベース部とコラムとの連結箇所を示す断面図。
【図7】本発明の第二の実施の形態にかかる携帯用ルータの第二の変形例にかかるベース部とコラムとの連結箇所を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の第一の実施の形態にかかる携帯用ルータについて、図1乃至図3に基づき説明する。図1に示される携帯用ルータ1は、ベース部2と、コラム3と、ハウジング4と、とから主に構成されている。ベース部2は略平板状に構成されており、底面に加工部材である木材Wと当接・摺動する当接面2Aが規定されている。またベース部2の略中央部には、当接面2Aに開口し、後述の切削刃7が貫通して木材Wに接する開口2aが形成されている。
【0033】
コラム3はベース部2の反木材W側(反当接面2A側)となる上面に配置されて上方に向けて延出されており、開口2aを挟んで一対装着されている。尚、一対のコラム3、3は同形状であるため、一方について主に説明する。コラム3は、断面略円形のパイプ形状を成しており、パイプ形状の内部に、後述のエンドブラケット6を反木材W側に付勢するバネ3Aが配置されている。
【0034】
ハウジング4は、胴部4Aと、エンドブラケット6とから主に構成されている。胴部4A内には、モータ5が内蔵されている。モータ5は、回転軸部5Aを有すると共に、回転軸部5Aの軸方向がコラム3の延出方向と平行かつ回転軸部5Aが木材W側に向けて延出されるように、胴部4A内に配置されている。回転軸部5Aは、その木材W側の延長線上に開口2a、特に開口2aの中心が位置するようにハウジング4(胴部4A)内に配置されている。また回転軸部5Aにおいて、先端部分に木材Wを切削する切削刃7が同軸一体回転するように設けられており、基端部分にモータ5を冷却するファン5Bが同軸一体回転するように設けられている。
【0035】
エンドブラケット6は、胴部4Aの下方に配置され、ファン室画成部6Aと、木材W側・反木材W側に摺動可能にコラム3に装着される装着部61と、作業者が把持する把持部6Bとを有している。ファン室画成部6Aには、ファン5Bを内蔵するファン室6aが画成されると共に、ファン5Bが発生するファン風の一部をベース部2側に向かって吐出する風窓6bが形成されている。把持部6Bは、エンドブラケット6の側面から突出するようにそれぞれのコラム3、3に近接する位置に一対配置されている。
【0036】
装着部61は、それぞれのコラム3、3に対応するように一対設けられており、それぞれ同形状であるので、一方の装着部61について説明する。図2に示されるように装着部61は、コラム3が貫通する孔が形成された略筒状に構成されており、略筒状の部分にはコラム3と当接して摺動する摺動面を有する摺動部61Aと、摺動部61Aからベース部2側に向けて延出される案内部61Bとから構成されており、ファン風排出機構を構成している。また、ファン風排出機構は、ファン室画成部6A、風窓6b等、ファン5Bからのファン風をコラム3側に排出する機構を含んでいる。
【0037】
案内部61Bは、第二送気通路61cと、ファン風導入孔61aと、第一送気通路61bとが形成された状態で、コラム3の外周を覆うように配置されている。第二送気通路61cは、コラム3と案内部61Bとの間にコラム3の外周全周に亘って形成された隙間であり、案内部61Bのベース部2側端部においてベース部2に向かって開口している。ファン風導入孔61aは案内部61Bのファン室6aに面する位置に形成され、第一送気通路61bはファン風導入孔61aと第二送気通路61cとを連通する貫通孔として形成されており、ファン室6a内のファン風を第二送気通路61cに導いている。よって第二送気通路61c内にはファン風が流れるため、第二送気通路61c内面であるコラム3に切削屑等のゴミが付着することが抑制される。またファン風導入孔61a及び第一送気通路61bは、断面積が、図3に示される第二送気通路61cの断面積より大きく構成されている。よって、ファン室6a内でファン5Bにより起こされたファン風は、第二送気通路61c内において第一送気通路61b内での流速より早くなる。第二送気通路61cは、上述のようにベース部2に向かって開口している。
【0038】
尚、ファン5Bは遠心ファンであることが好ましく、ファン5Bの遠心方向(径方向)外側にファン風導入孔61aを設けることによって、ファン風をスムーズにファン風導入孔61aを介して送気通路61b、61cに導くことができる。また、第二送気通路61cは、コラム3と案内部61Bとの間にコラム3の外周全周に亘って形成されるものではなく、第一送気通路61bからベース部2側に開口した一つの孔、或いは所定間隔を置いて形成された複数の孔でもよいが、孔が形成されていない箇所に切削屑が付着してしまうことが考えられる。したがって、第二送気通路61cを全周に形成した方がコラム3への切削屑の付着を確実に抑制できると共に、送気通路を介してハウジング側に切削屑が侵入することを抑制するためには最も効果的である。
【0039】
また、摺動部61Aに対してベース部2側にファン風導入孔61a、第一、第二送気通路61b、61cを形成されている。この様な構成により、ファン5Bによるファン風がファン風導入孔61aから第一送気通路61bに導入された際に、第一送気通路61bより上方側(反ベース部2側)では摺動部61Aがコラム3に当接しているので、ファン風のほとんどが第二送気通路61cに案内される。したがってファン風導入孔61a内に流入したファン風を効率よく利用することができ、コラム3への切削屑の付着を抑制することができる。尚、摺動部61Aはファン風導入孔61aより下方(ベース部2側)に設けてもよく、この場合には摺動部61Aの当接面以外の箇所にファン風が通るための送気用孔等を設ければよい。しかしながらこの場合では、ファン風が反ベース部2側にも流れてしまうため、ファン風を有効に利用することができなってしまうことが考えられる。したがって、ファン風案導入孔61aは摺動部61Aよりベース部2側に設ける構成がコラム3に切削屑が付着することを防止する際には最も効果的である。
【0040】
エンドブラケット6を含むハウジング4は、把持部6Bを使用者が押し下げることによりベース部2に近接するように移動するため、摺動部61Aは、コラム3の第二送気通路61cを画成する表面上を摺動する。従来の携帯用ルータでは、摺動部とコラムとの間に、切削屑が入り込み、ハウジングの円滑な移動を妨げることがあったが、本実施の形態では、第二送気通路61c内をファン風が高流速で流れ、かつ切削屑の発生源であるベース部2側に向かって排出されているため、第二送気通路61c内に切削屑が流入することが抑制される。よってコラム3に切削屑が付着することが抑制されると共に摺動部61Aとコラム3との間に切削屑が入り込むことが抑制され、ハウジング4を円滑に移動させることができる。
【0041】
次に本発明の第二の実施の形態として、図4、図5に基づき説明する。図4に示される携帯用ルータ101は、ベース部102、及びベロー108以外の構成について、第一の実施の形態と同じであるため、第一の実施の形態にかかる携帯用ルータ1の符号に100を足して説明を省略する。
【0042】
ベース部102と案内部161Bとの間には、ファン風をベース部102側に案内するガイド部であるベローズ108が配置されている。ベローズ108は、略筒状であると共にハウジング104の上下動に連動して伸縮自在な蛇腹状に構成されており、コラム103の外周を覆う共に、一端が案内部161Bの外周に装着され、他端がベース部102に装着されている。ベローズ108は、コラム103との間にファン風が流れる送気通路を形成するようにコラム103の外周を覆っている。よって案内部161Bの第二送気通路161cから吐出されたファン風がベローズ108内に流入する。
【0043】
ベース部102は、図5に示されるように、コラム103近傍位置であってベローズ108の内部となる位置から摺動面102Aまで貫通する貫通孔102bが形成されている。また摺動面102Aには、開口102aと貫通孔102bとを連通する溝102cが形成されている。
【0044】
この様な構成を採ることにより、ベローズ108内に流入したファン風が貫通孔102b及び溝102cを通って開口102a内に噴出する。開口102a内では、切削刃107(図4)が木材Wを切削するため、切削時に開口102a内にファン風を噴出することにより、効率よく切削刃7及び切削箇所にファン風が当たり、切削屑を吹き飛ばしてベース部102位置から除去することができる。よって、切削時に切削屑によって切削箇所が見えにくくなることを防止でき作業性を向上させることができる。
【0045】
第二の実施の形態においては、ベローズ108でコラム103を覆うため、コラム103に切削屑が付着することが抑制される。また仮にベローズ108内に切削屑が流入したとしても、第一の実施の形態と同様に、ベローズ108内に送気通路が形成されるため、切削屑はベローズ108内から排出され、コラム103に付着することが抑制される。よって第二の実施の形態においても、コラム103と摺動部161Aとの間に切削屑が入り込むことが抑制され、好適にハウジング104をベース部102に近接・離間するように移動させることができる。
【0046】
本発明にかかる携帯用ルータは上述の実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の改良や変形が可能である。例えば図6に示されるように、第一の変形例として、ベース部202の上面にベローズ208の内部と連通すると共に開口202aに連通する切り欠き溝202cを形成してもよい。また図7に示されるように、第二の変形例として、ベローズ308のベース部302近傍位置であって、開口302a側の一部を切り欠いて排気孔308aを形成してもよい。これらの構成によっても、第二の実施の形態同様に、開口内の切削屑を好適に吹き飛ばして除去することができる。また、図5の変形例として、貫通孔102bをベース部102の摺動面102Aまで貫通させずにベース部102の途中(ベース部上面と摺動面との間)までの孔102bとし、孔102bと開口102aに開口する排気孔とを連通する貫通孔を設けても同様の効果を得ることができる。
【0047】
また、第一の実施の形態のような装着部に送気通路が形成された案内部を設けずに、風窓の一部或いは全てを覆うように第二の実施の形態のようなベローズを設けてもよい。この場合、ファン風のほとんど全てがベローズに導入される。よって図5〜図7のようなベース部の構造を採ることにより、切削刃(切削箇所)近傍にファン風を排出することができるため、ファン風が風窓から排出される構成に比べ切削屑の飛散を抑制することも可能であり、ベローズから排出される風量が増すため確実に切削刃近傍の切削屑を除去することができる。
【0048】
上記した第二の実施の形態では、コラムの外周を覆うベローズを利用してコラムへの切削屑の付着を抑制すると共に切削刃近傍の切削屑の除去を行うようにしたが、ベローズをコラムへの切削屑の付着を抑制するために利用し、切削屑の除去を別の部材で構成してもよい。具体的には、一端をファン風が排出されるハウジングの箇所例えば風窓に取り付け、他端をベース部(切削刃)側に開口するようにベース部に取り付け、ハウジングの上下動に連動してベローズと共に伸縮するように構成されたチューブ等のファン風案内手段を用いても同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0049】
1・・携帯用ルータ 2・・ベース部 2A・・当接面 2a・・開口 3・・コラム
3A・・バネ 4・・ハウジング 4A・・胴部 5・・モータ 5A・・回転軸部
5B・・ファン 6・・エンドブラケット 6A・・ファン室画成部 6B・・把持部
6a・・ファン室 6b・・風窓 7・・切削刃 61・・装着部 61A・・摺動部
61B・・案内部 61a・・ファン風導入孔 61b・・第一送気通路
61c・・第二送気通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工部材上に載置されるベース部と、
該ベース部から反加工部材側に延出されるコラムと、
該コラムに沿って該加工部材に近接離間するハウジングと、
該ハウジング内に設けられ、該コラムと平行に該加工部材に向かって延出され切削刃が装着される回転軸部を有するモータと、を備え、
該回転軸部の基端には該回転軸部と同軸一体回転するファンが設けられ、
該ハウジングには、該ファンが発生するファン風を少なくとも該ハウジング側から該コラム側へと導くファン風排出機構を有することを特徴とする携帯用ルータ。
【請求項2】
該ファン風排出機構は、該コラムに沿って該ベース部側へと該ファン風を導くことを特徴とする請求項1に記載の携帯用ルータ。
【請求項3】
該ファン風排出機構は、該ファン風を該コラムに導くファン風導入孔を備えていることを特徴とする請求項2に記載の携帯用ルータ。
【請求項4】
該ファンは遠心ファンであり、該ファンの遠心方向延長上に該ファン風導入孔が位置することを特徴とする請求項3記載の携帯用ルータ。
【請求項5】
該ファン風排出機構は、該コラムの外周位置に配置されて該コラムとの間に送気通路を形成する案内部を有し、該送気通路は、一端側で該ファン風導入孔に連通し他端側で該ベース部に向かって開口していることを特徴とする請求項3又は請求項4のいずれかに記載の携帯用ルータ。
【請求項6】
該案内部は、該送気通路が該コラムの外周を覆うように設けられていることを特徴とする請求項5に記載の携帯用ルータ。
【請求項7】
該ハウジングは該コラムと当接して該コラムに対し摺動する摺動面を有し、該送気通路は、該ファン風導入孔に対して反摺動面側に形成され、該他端側が該ベース部側に開口していることを特徴とする請求項5又は請求項6のいずれかに記載の携帯用ルータ。
【請求項8】
加工部材上に載置されるベース部と、
該ベース部から反加工部材側に延出されるコラムと、
該コラムに沿って該加工部材に近接離間するハウジングと、
該ハウジング内に設けられ、該コラムと平行に該加工部材に向かって延出される回転軸部を有し、該回転軸部の基端に該回転軸部と同軸一体回転するファンが設けられると共に該回転軸部の先端に該回転軸部と同軸一体回転して加工部材を切削する切削刃が設けられたモータと、
該ハウジングに一端が装着され、該ファンで発生するファン風を該切削刃近傍に導く送気通路が形成されたガイド部と、を備えたことを特徴とする携帯用ルータ。
【請求項9】
該ガイド部は、他端が該ベース部側に配置されて該他端から該ファン風を該切削刃近傍に吐出することを特徴とする請求項8に記載の携帯用ルータ。
【請求項10】
該ガイド部は、該ハウジングの該ベース部に対する近接離間に応じて伸縮可能に構成されていることを特徴とする請求項8又は請求項9のいずれかに記載の携帯用ルータ。
【請求項11】
該ガイド部は、該コラムの外周を覆う共に該ハウジングと該ベース部との間に配置され、該ガイド部と該コラムとの間に該送気通路が形成されていることを特徴とする請求項9又は請求項10のいずれか一に記載の携帯用ルータ。
【請求項12】
該ベース部は、該ハウジングの該コラムに沿った摺動動作に応じて該切削刃が該ベース部の底面から突出可能な開口部を有すると共に、該開口部と該送気通路とを連通し、該ファン風を該開口部近傍に位置する該切削刃に導くベースファン風案内部を有することを特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれか一に記載の携帯用ルータ。
【請求項13】
ベースファン風案内部は、該ベース部に形成され該開口部と該送気通路とを連通する切り欠きを含んで構成されていることを特徴とする請求項12に記載の携帯用ルータ。
【請求項14】
該ベースファン案内部は、該ベース部に形成され該開口部と該送気通路とを連通する貫通孔を含んで構成されていることを特徴とする請求項12に記載の携帯用ルータ。
【請求項15】
該ガイド部には、該ベース部近傍位置であって該切削刃に向かう位置に、排気孔が形成されていることを特徴とする請求項9に記載の携帯用ルータ。
【請求項16】
該ハウジングには、該ファンが収容されるファン室が画成されると共に、該ファンが発生するファン風を該ファン室から該コラム側へと導くファン風排出機構を有することを特徴とする請求項8に記載の携帯用ルータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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