説明

携帯用ルータ

【課題】 本発明は、刃物を着脱する際の操作性を向上させ、且つ小型・軽量な携帯用ルータを提供することを目的とする。
【解決手段】 ハウジング部2の外周面に設けられ、一対コラム9の延出方向と平行に延びる少なくとも1つの突出部16を設け、突出部16のハウジング部2に接続される部分16aは、一対のコラム9の中心を結ぶ第1仮想線L1に対して略直交するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用ルータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯用ルータを図6乃至図9を用いて説明する。
【0003】
図6に示すように、従来の携帯用ルータ100(以下ルータと称す)は、図示しない電動機を内蔵するハウジング101と、ハウジング101の下部に取付けられ、電動機の出力軸102の一端を支持するエンドブラケット103と、電動機の出力軸102の先端にコレットチャック104を介し取り付けられる刃物105と、エンドブラケット103の下部に取り付けられ、電動機の出力軸102の回転を固定するシャフトロック106と、エンドブラケット103の下方に設けられ被加工材上を摺動するベース107で主に構成されている。
【0004】
刃物105を出力軸102に対して着脱する場合、一般的に、図7に示すように、ルータ自体を横にした状態で、作業者が人指し指でシャフトロック106を押して出力軸102を固定した後、スパナ200でコレットチャック104を回転させることにより、刃物105の着脱を行う。このとき、スパナ200の回転力でルータ本体が動かないように、人指し以外の指又は手の平で本体(ハウジング101)を押さえながら刃物105の着脱を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−36943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の携帯用ルータは、刃物を着脱する際、図7及び図9に示すように、作業者が人指し以外の指又は手の平でルータ本体を押さえながら行っているが、図8に示すように、ルータ本体すなわちハウジング101の外面(作業者が押さえる箇所)がほぼ面状であるため、スパナ200を回転させた際に作業者の手(指)が滑ってしまい安定して押さえることが困難であった。
【0007】
本発明の目的は、刃物交換時の操作性を向上させ、且つ小型・軽量なルータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、出力軸を有する電動機を内蔵するハウジング部と、被加工材上に載置されるベース部と、該ベース部から反被加工材側に延出され、前記出力軸を挟んで対向する前記ベース部上に設けられた一対のコラムと、前記出力軸に取り付けられ被加工材を切削する刃物と、前記出力軸の回転を固定するロック機構とを備えた携帯用ルータにおいて、前記ハウジング部の外周面に設けられ、前記コラムの延出方向と平行に延びる少なくとも1つの突出部を設け、該突出部の前記ハウジング部に接続される部分は、前記一対のコラムの各コラムの中心を結ぶ第1仮想線に対して略直交するように構成されていることを特徴としている。
【0009】
このような構成とすることによって、作業者がハウジング部を把持した際に作業者の指が滑りにくくなり、安定してルータ本体を押さえることができ、作業性を向上することができる。
【0010】
ここで、前記突出部は、前記第1仮想線と、前記出力軸の中心を通り前記第1仮想線に直交する第2仮想線とにより区画される4つの領域内の第1領域に位置し、前記ロック機構は、前記第1領域に位置することが好ましい。
【0011】
このような構成とすることによって、突出部の近傍にロック機構が設けられるため、ルータ本体を安定して押さえながら出力軸を容易にロックすることができる。
【0012】
また、前記第1領域内の前記ロック機構の延長線上に、前記突出部が設けられていることが好ましい。このような構成とすることによって、突出部に引っ掛けた指を少しだけずらすだけで出力軸をロックすることができ、作業性がより向上する。
【0013】
また、前記第1仮想線に対して前記第1領域側であって前記第1領域に隣接する第2領域に第2突出部を設け、前記第2突出部の前記ハウジング部に接続される部分は、前記第1仮想線に対して略直交すると共に、前記第2仮想線に対して反対側に位置することが好ましい。
【0014】
このような構成とすることによって、作業者がルータ本体を押さえる際に、親指を一方の突出部に、その他の指を他方の突出部に引っ掛けることができるため、より安定してルータ本体を押さえることができる。
【0015】
また、前記ベース部は前記刃物が貫通する貫通穴を有し、前記ハウジング部は、該貫通穴からの前記刃物の突出量を変更可能に前記コラムに支持されており、更に、前記貫通穴からの前記刃物の突出量を調整する突出量調整機構を有し、該突出量調整機構は、前記コラムと平行に延びると共に該ベース部に対して近接・離間する方向に移動可能なバー部材と、該バー部材の移動を規制する固定部材を備え、該固定部材は、前記第2領域に位置することが好ましい。
【0016】
このような構成とすることによって、固定部材にも指を引っ掛けることができるため、作業者の指又は掌の大きさに応じて指の引っ掛け箇所を選択することができ、操作性を向上することができる。
【0017】
また、前記第1仮想線に対して反第1領域側であって前記第1領域に隣接する第3領域に第3の突出部を設けると共に、前記第1仮想線に対して反第1領域側であって前記第3領域に隣接する第4領域に第4の突出部を設け、前記第3突出部及び前記第4突出部の前記ハウジング部に接続される第3面及び第4面は、互いに反対方向を向いていると共に前記第1仮想線に対して略直交していることが好ましい。
【0018】
このような構成とすることによって、用途に応じて把持する突出部を選択することができる。
【0019】
また、前記ハウジング部は、前記電動機を収納するハウジングと、該ハウジングの下方に取り付けられ前記出力軸を支持するエンドブラケットを有し、該エンドブラケットは前記ハウジングに対してネジで固定され、該ネジは前記突出部に位置することが好ましい。
【0020】
このような構成とすることによって、突出部にねじを取り付ける構成のため、別途ねじ取付部を設ける必要がなくなり、ルータ自体の小型・軽量化を図ることができる。
【0021】
更に、本発明は、出力軸を有する電動機を内蔵するハウジング部と、被加工材上に載置されるベース部と、該ベース部から反被加工材側に延出され、前記出力軸を挟んで対向する前記ベース部上に設けられた一対のコラムと、前記出力軸に取り付けられ被加工材を切削する刃物と、前記出力軸の回転を固定するロック機構とを備えた携帯用ルータにおいて、前記ハウジング部の外周面に設けられ、作業者の手又は指を掛けるための指掛け部を設け、前記ベース部から前記ハウジング部を見た際に、前記一対のコラムの各コラムの中心を結ぶ第1仮想線と、前記出力軸の中心を通り前記第1仮想線に直交する第2仮想線とにより区画された第1領域内に、前記ロック機構と前記指掛け部が近接して配置されていることを特徴としている。
【0022】
このような構成とすることによって、作業者がルータ本体を押さえた際に、作業者の指の滑りを抑えつつ容易に出力軸をロックすることができるため、安定してルータ本体を押さえながら容易に刃物の着脱を行うことができ、操作性を向上することができる。
【0023】
また、前記ロック機構の延長線上に、前記指掛け部が設けられていることが好ましい。このような構成とすることによって、指掛け部に掛けた指を少しずらすだけで出力軸をロックすることができ、作業性がより向上する。
【0024】
また、前記指掛け部の前記ハウジング部と接続されている部分は、前記第1仮想線に対して略直交していることが好ましい。このような構成とすることによって、接続部分に作業者の指が引っ掛かり易くなりため、ルータ本体を押さえている際に指が滑ることを抑制でき安定してルータ本体を押さえることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ハウジング外周部に突出部を設け、突出部のハウジングへの接続部を前記一対のコラムの各コラムの中心を結ぶ第1仮想線に対して略直交するように構成したため、安定してルータ本体を押さえることができ、刃物着脱の際の操作性の良いルータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明となるルータ本体の正面図である。
【図2】図1の矢印Bから見たルータの底面図である。
【図3】作業者がルータ本体を把持した状態を示す図1の矢印Bから見たルータの底面図である。
【図4】本発明となるルータの刃物着脱状態を示す本体斜視図である。
【図5】図1の要部Aの断面図である。
【図6】従来のルータ本体の正面図である。
【図7】従来のルータの刃物着脱状態を示す本体斜視図である。
【図8】図6の矢印Bから見たルータの底面図である。
【図9】作業者がルータ本体を把持した状態を示す図6の矢印Bから見たルータの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本発明の実施形態を図1乃至図5に基づいて説明する。
【0028】
図1は本発明の実施形態に係るルータの正面図、図2は図1の矢印Bから見た底面図、図3は図2で作業者がルータを把持した状態を示す図である。図4は、刃物の着脱状態を示す本体斜視図、図5は図1の要部Aの断面図である。
【0029】
まず、本発明となる携帯用ルータ1(以下ルータと称す)の構成について説明する。図1に示すように、ルータ1は、図示しない電動機を内蔵するハウジング部2と、ハウジング部2の一部を構成し電動機の出力軸3の一端を支持するエンドブラケット4と、電動機の出力軸3の先端にコレットチャック5を介して取り付けられる刃物6と、エンドブラケット4の下端部側に設けられ電動機の出力軸3の回転を固定するシャフトロック7と、エンドブラケット4の下方に設けられ被加工材上を摺動するベース8とで主に構成されている。
【0030】
ベース8は、ハウジング部2からベース8に延びる一対のコラム9によってハウジング部2に支持されて被加工材上を摺動する。ハウジング部2には作業者が把持する一対のハンドル10が設けられている。更に、ベース8には貫通穴8a(図3)が設けられ、刃物6が通過可能に構成されており、刃物6のベース8の底面からの突出量を調整するための突出量調整機構11が設けられている。突出量調整機構11は、ベース8の上面に設けられたストッパ12と、ハウジング部2にノブ14を介して上下方向(図1の上下方向)に移動可能に設けられストッパ12の先端部に一端が当接可能なストッパポール13とで構成されている。ストッパポール13の他端部側と対向するハウジング部2には、突出量を示す目盛り15が設けられている。
【0031】
ハウジング部2の外面には、外側に向けて突出する4つの突出部16が設けられており、刃物6を電動機の出力軸3に対して着脱する際に作業者が把持する部分となる。詳細については後述する。
【0032】
次に、ルータ1の動作について説明する。作業者がハンドル10を把持し、不図示の電源をオンして刃物6を回転させる。ハウジング部2はコラム9に沿ってベース8に対して離間・近接する方向に移動することができるため、作業者がハンドル10を把持し、ハウジング部2をベース8に対して近接する方向に押すとベース8の貫通穴8aから刃物6がベース下方に突出し被加工材の切削を行うことができる。このとき、刃物6のベース8からの突出量は突出量調整機構によって調整することができる。ノブ14を緩めてストッパポール13をハウジング部13に対して移動可能な状態にする。目盛り15を見ながらストッパポール13を上下移動させて所望の突出量でノブ14を締め付けることでベース8の底面からの刃物6の最大突出量を調整することができる。なお、ハウジング部2は不図示のスプリングによってベール8と離れる方向(図1の上方向)に常に付勢されている。
【0033】
次に、刃物6を電動機の出力軸3に対して着脱する構成及び動作について説明する。まず、ロック機構となるシャフトロック7について説明する。図2及び図4に示すように、シャフトロック7とエンドブラケット4の間であって、シャフトロック7の軸部7a周りにはスプリング18が設けられており、シャフトロック7を常時外側(図4の右方向)に付勢している。作業者がシャフトロック7を押すことによりスプリング18が圧縮され、電動機の出力軸3に設けられた穴部20にシャフトロック7の軸部7aの先端が挿入されることで電動機の出力軸3の回転が固定される。シャフトロック7を開放することによりスプリング18のスプリング力でシャフトロック7が初期状態(図4の状態)に戻され電動機の出力軸3の固定が解除される。
【0034】
コレットチャック5は六角形状に形成されており、図4に示すように、作業者は一方の手19でシャフトロック7を押して出力軸3の回転を固定しすると共にハウジング部2を把持した状態で、他方の手でスパナ200をコレットチャック5に係合してコレットチャック5(スパナ200)を図4中下側に回すことで、出力軸3の先端に取り付けられている刃物6を交換することができる。
【0035】
ここで、スパナ200を回す際に、作業者はハウジング部2を把持することになるが、本発明によれば、ハウジング部2の外周部に突出部16(指掛け部)を設けたため、作業者はハウジング部2を安定して把持することができる。以下、作業者が把持する箇所となる突出部16について説明する。
【0036】
図2において、一対のコラム9の中心9aを結ぶ線を第1仮想線L1、第1仮想線L1と直交し、刃物6の中心6aを通る線を第2仮想線L2と定義する。更に、仮想線L1及びL2によって区画される4つの領域において、シャフトロック7が位置する領域を第1領域S1(図2の右上)、第1仮想線L1に対して第1領域S1側であって第1領域S1に隣接する領域を第2領域S2(図2の左上)、第1仮想線L1に対して第1の領域S1と反対側で第1領域S1に隣接する領域を第3領域S3(図2の右下)、第2領域S2及び第3領域S3と隣接する残りの領域を第4領域S4(図2の左下)と定義する。
【0037】
図1及び図2に示すように、ハウジング部2及びエンドブラケット4の表面には4つの突出部16がコラム9の長手方向と略平行に設けられており、各突出部16はそれぞれ各領域S1乃至S4に設けられている。各突出部16のハウジング部2(エンドブラケット4)との接続部(接続面)16aは、図2に示すように、一対のコラム9の中心9aを結ぶ第1の仮想線L1に対して略直交するように設けられている。すなわち第1領域S1及び第3領域S3に位置する突出部16の接続部16aを結ぶ線L3は第1仮想線L1と略直交すると共に第2仮想線L2と略平行になっている。同様に、第2領域S2及び第4領域S4に位置する突出部16の接続部16aを結ぶ線L4も第1仮想線L1と略直交すると共に第2仮想線L2と略平行になっている。刃物6を着脱する場合、作業者は突出部16の接続部16a(具体的には第1領域S1の突出部16)に指を引っ掛けるが、接続部16aは第1仮想線L1に対して略直交しているため、指が滑りにくくなり安定してルータ本体を押さえることができるようになり、作業性を向上することができる。
【0038】
図2に示すように、第1領域S1にはロック機構となるシャフトロック7が配置されている。第1領域S1に位置する突出部16は、シャフトロック7の近傍であって、シャフトロック7の軸部7aの延長線上に位置している。突起部16はシャフトロック7を押す作業者の人指し指に係らないような位置、大きさでハウジング部2(エンドブラケット4)に設けられており、人指し指がハウジング部2(エンドブラケット4)の表面から最短の距離でシャフトロック7を押せるように構成されている。シャフトロック7と突出部16が近接しシャフトロック7が突出部16に向かって設けられているため、図3に示すように、刃物6を着脱する場合、作業者が突出部16に指を引っ掛けた際に指を少しずらすだけでシャフトロック7を押すことができる。従って、ルータ本体を安定して押さえつつ容易に出力軸3をロックすることができる。ロック状態でスパナ200をコレットチャック5にはめ込んで回転させることで刃物6を着脱することができるため、操作性を向上することができる。
【0039】
第1領域S1及び第2領域S2に位置する突出部16の接続部16aは、第2仮想線L2に対して略対称に設けられている。すなわち、第1領域S1に位置する接続部16aは突出部16の反第2仮想線L2側(コラム9側)に位置し、第2領域S2に位置する接続部16aも同様に、突出部16の反第2仮想線L2側(コラム9側)に位置している。言い換えると、各接続部16aは突出部16の第2仮想線L2に対して最も離れた位置に設けられている。第3領域S3及び第4領域S4に位置する突出部16の接続部16aも同様に、突出部16の第2仮想線L2に対して最も離れた位置に設けられている。この様な構成にすることにより、刃物6を着脱する場合、作業者が第1領域S1及び第2領域S2の突出部に手(指)を引っ掛けるが、親指又は掌を第2領域S2の接続部16aに、その他の指を第1領域S1の接続部16aに引っ掛けた際に、各接続部16aは第1仮想線L1と略直交しているため、接続部16aから指が滑りにくく安定してルータ本体を押さえることができる。
【0040】
ルータ1は、上述したように、刃物6のベース8からの突出量を調整する突出量調整機構11が設けられている。突出量調整機構11はストッパポール13の移動を規制するための固定部材となるノブ14を有する。ノブ14は、作業者が操作するノブ本体14と、ハウジング部2にねじ嵌合するねじ部14aから構成される。ねじ部14aの先端でストッパポール13を押し付けることでストッパポール13の移動を規制している。図2に示すように、ノブ14は、第2領域S2に位置していると共に、第1仮想線L1に対して略直交する方向でハウジング部2とネジ嵌合している。従って、刃物6を着脱する場合、作業者は親指又は掌を第2領域S2の突出部16の接続部16aに引っ掛ける代わりに、図3及び図4に示すように、ノブ14に引っ掛けることができるため、ルータ本体を安定して押さえることができる。突出部16の接続部16aよりもノブ14の方が第1仮想線L1から突出して設けられているため、親指をより安定して引っ掛けることができる。第2領域S2には突出部16の接続部16aとノブ14の両方が設けられており、両者は第1仮想線L1に沿って設けられているため、作業者の手の大きさによってノブ14及び接続部16aのどちらに指を引っ掛けるかを選択することができ、作業性及び操作性を更に向上することができる。
【0041】
第3領域S3及び第4領域S4にもそれぞれ突出部16が設けられている。突出部16の接続部16aも同様に、第1仮想線L1に略直交していると共に第2仮想線L2に対して略対称に設けられている。すなわち、突出部16の第2仮想線L2に対して最も離れた位置に設けられており、互いに反対方向(図2の左右方向)を向いているため、ルータ本体を把持する場合に指が滑りにくい。
【0042】
図2に示すように、エンドブラケット4は4つのねじ17でハウジング部2に取り付けられている。各ねじ17は各突出部16に設けられたねじ穴に取り付けられる。ねじ穴を突出部16に設けることにより、別途ねじ穴を設ける必要がないため、作業者のルータの押さえを安定させつつ、ハウジング部2の大きさ(径方向の大きさ)を小さくすることができ、小型・軽量化を図ることができる。
【0043】
突出部16の接続部16aは第1仮想線L1に対して略直交する約90°であるが、ハウジング部2は、ハウジング部2の径方向(図2の上下方向)に型を抜いて成形しているため、突出部16には抜き勾配が必要になる場合がある。作業者がハウジング部2を把持し易い、指が滑りにくい角度が理想であり、具体的には、第1仮想線L1に対する突出部16の接続部16aの角度は略直交する90°以上が理想であるが、型の抜き方向の関係で90°より大きくすることはできない。従って、接続部16aの第1仮想線L1に対する角度は、抜き勾配(5°程度)を考慮すると略90°となる85°程度であっても本発明の作用効果を得ることができる。すなわち、作業者によって指が滑りにくい角度であれば90°である必要はなく、型の抜き方向を変えることで、接続部16aの第1仮想線L1に対する角度を90°以上にすることも可能であり、作業者が指を引っ掛けられる構成であれば良い。ここで、接続部16aの90°以上とは、第1仮想線L1から離れるに従って第2仮想線L2から離れる方向に接続部16aが傾斜していることを意味する。
【0044】
以上説明したように、本発明は、ハウジング部2の外周面に外側に突出する突出部16を設け、突出部16の接続部16aを第1仮想線L1に対して略直交するように設けたことによって、作業者が刃物6を着脱する際に、作業者が突出部16に指を引っ掛け易く、且つ滑りにくくすることができ、操作性の良いルータを提供することができる。
【0045】
また、突出部16の近傍にロック機構(シャフトロック)7を設けたことにより、作業者は指を少し動かすだけで、電動機の出力軸をロックすることができるため、ルータを安定して押さえながら容易に電動機の出力軸をロックすることができ、操作性・作業性を向上することができる。
【0046】
更に、2つの突出部16の各接続部16aを互いに反対位置(第2仮想線L2から離れた位置)に設けたため、一方の接続部16aに親指を、他方の接続部16aにその他の指を引っ掛け易く且つ滑りにくくすることができる。
【0047】
更に、親指が位置する領域に接続部16aとは別に固定部材(ノブ)14を設けたため、作業者の手の大きさにより把持する箇所を選択することができ、且つ、ノブ14に親指を引っ掛ければ、より安定してルータ本体を押さえることができる。
【0048】
更に、4つの突出部16をそれぞれ異なる領域S1乃至S4に設けることにより、用途に応じて、把持する突出部16を選択することができ、操作性を向上することができる。
【0049】
更に、ハウジング部2とエンドブラケット4を接続するねじ17を突出部16に設けたため、ハウジング部2を小型・軽量化することができる。
【符号の説明】
【0050】
1はルータ、2はハウジング部、3は電動機の出力軸、4はエンドブラケット、5はコレットチャック、6は刃物、7はシャフトロック、8はベース、9はコラム、10はハンドル、11は突出量調整機構、12はストッパ、13はストッパポール、14はノブ、15は目盛り、16は突出部、17はネジ、18はスプリング、19は手、20は穴部、200はスパナである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力軸を有する電動機を内蔵するハウジング部と、
被加工材上に載置されるベース部と、
該ベース部から反被加工材側に延出され、前記出力軸を挟んで対向する前記ベース部上に設けられた一対のコラムと、
前記出力軸に取り付けられ被加工材を切削する刃物と、
前記出力軸の回転を固定するロック機構とを備えた携帯用ルータにおいて、
前記ハウジング部の外周面に設けられ、前記コラムの延出方向と平行に延びる少なくとも1つの突出部を設け、
該突出部の前記ハウジング部に接続される部分は、前記一対のコラムの各コラムの中心を結ぶ第1仮想線に対して略直交するように構成されていることを特徴とする携帯用ルータ。
【請求項2】
前記突出部は、前記第1仮想線と、前記出力軸の中心を通り前記第1仮想線に直交する第2仮想線とにより区画される4つの領域内の第1領域に位置し、
前記ロック機構は、前記第1領域に位置することを特徴とする請求項1記載の携帯用ルータ。
【請求項3】
前記第1領域内の前記ロック機構の延長線上に、前記突出部が設けられていることを特徴とする請求項2記載の携帯用ルータ。
【請求項4】
前記第1仮想線に対して前記第1領域側であって前記第1領域に隣接する第2領域に第2突出部を設け、
前記第2突出部の前記ハウジング部に接続される部分は、前記第1仮想線に対して略直交すると共に、前記第2仮想線に対して反対側に位置することを特徴とする請求項2又は請求項3記載の携帯用ルータ。
【請求項5】
前記ベース部は前記刃物が貫通する貫通穴を有し、
前記ハウジング部は、該貫通穴からの前記刃物の突出量を変更可能に前記コラムに支持されており、
更に、前記貫通穴からの前記刃物の突出量を調整する突出量調整機構を有し、
該突出量調整機構は、前記コラムと平行に延びると共に該ベース部に対して近接・離間する方向に移動可能なバー部材と、該バー部材の移動を規制する固定部材を備え、
該固定部材は、前記第2領域に位置することを特徴とする請求項4記載の携帯用ルータ。
【請求項6】
前記第1仮想線に対して反第1領域側であって前記第1領域に隣接する第3領域に第3の突出部を設けると共に、前記第1仮想線に対して反第1領域側であって前記第3領域に隣接する第4領域に第4の突出部を設け、
前記第3突出部及び前記第4突出部の前記ハウジング部に接続される第3面及び第4面は、互いに反対方向を向いていると共に前記第1仮想線に対して略直交していることを特徴とする請求項4記載の携帯用ルータ。
【請求項7】
前記ハウジング部は、前記電動機を収納するハウジングと、該ハウジングの下方に取り付けられ前記出力軸を支持するエンドブラケットを有し、
該エンドブラケットは前記ハウジングに対してネジで固定され、
該ネジは前記突出部に位置することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の携帯用ルータ。
【請求項8】
出力軸を有する電動機を内蔵するハウジング部と、
被加工材上に載置されるベース部と、
該ベース部から反被加工材側に延出され、前記出力軸を挟んで対向する前記ベース部上に設けられた一対のコラムと、
前記出力軸に取り付けられ被加工材を切削する刃物と、
前記出力軸の回転を固定するロック機構とを備えた携帯用ルータにおいて、
前記ハウジング部の外周面に設けられ、作業者の手又は指を掛けるための指掛け部を設け、
前記ベース部から前記ハウジング部を見た際に、前記一対のコラムの各コラムの中心を結ぶ第1仮想線と、前記出力軸の中心を通り前記第1仮想線に直交する第2仮想線とにより区画された第1領域内に、前記ロック機構と前記指掛け部が近接して配置されていることを特徴とする携帯用ルータ。
【請求項9】
前記ロック機構の延長線上に、前記指掛け部が設けられていることを特徴とする請求項8記載の携帯用ルータ。
【請求項10】
前記指掛け部の前記ハウジング部と接続されている部分は、前記第1仮想線に対して略直交していることを特徴とする請求項8又は請求項9記載の携帯用ルータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−46167(P2011−46167A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198444(P2009−198444)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】