携帯用切断機
【課題】 切断機の排出口に集塵アダプタを取り付けない場合には、より良い操作性を確保し、集塵アダプタを取り付けた場合には、より少ない手間で集塵アダプタとレバーとの干渉を防止できるように、安全カバーに取り付けた安全カバー回動操作用のレバーを有する携帯用切断機を提供する。
【解決手段】 切断機50の排出口35に集塵アダプタ93を取り付けた場合にはレバー37の全長を短くして集塵アダプタ93とレバー37との干渉を防止し、取り付けない場合にはレバー37の全長を長くして操作性をよくするように、レバー37の長さを変更可能にする。
【解決手段】 切断機50の排出口35に集塵アダプタ93を取り付けた場合にはレバー37の全長を短くして集塵アダプタ93とレバー37との干渉を防止し、取り付けない場合にはレバー37の全長を長くして操作性をよくするように、レバー37の長さを変更可能にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用切断機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯用切断機について、図6乃至図11を用いて説明する。図6及び図7に示すように、携帯用切断機(単に切断機と称す)100は、モータ80を収納しモータ80の回転軸80aに略直交する方向に設けらたハンドル81を有するハウジング82と、モータ80により減速部83を介して回転駆動される鋸刃84と、被加工材上を摺動可能な底面85を持ち、鋸刃84を底面85より下方に突出可能な開口部86を有するベース87とから主に構成されている。
【0003】
鋸刃84は、上カバー89と下カバー90とにより覆われている。具体的には、ベース87と連結されてハウジング82に取り付けられ、減速部83を収納し、かつ鋸刃84の上側半分のモータ80側を覆うと共に、鋸刃84の刃先部88を収納する上カバー89と、切断作業を行わない時は、鋸刃84の下側半分のモータ80側を覆うと共に刃先部88を収納し、切断作業時にはそれ自身が被加工材に当接する事によって上カバー89の中に収納されるように、回転軸84aを中心に上カバー89内に回動可能に支持された下カバー90とにより覆われている。下カバー90には作業者が下カバー90を回転軸84aを中心に自由に回動できるように図9に示す固定長さを有するレバー94がネジ95により取り付けられている。
【0004】
上カバー89は鋸刃84の回転軸84aに直交する方向、および鋸刃84の側面91に直交する方向に一定の範囲内で回動可能に支持されていて、鋸刃84がベース底面85から突出する長さすなわち切込み深さと、ベース底面85に対する鋸刃84の傾斜角度すなわち切断角度を変える事ができる。上カバー89には鋸刃84による被加工材の切断作業により発生し、上カバー89の内周面に沿って進む切粉を排出するための排出口92が設けられている。排出口92には、図8に示すように切粉を外部の集塵装置で吸引するための集塵アダプタ93(図10)が着脱可能となっている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−211405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような構成の切断機100は、図8に示すように、図10に示す集塵アダプタ93を取り付け下カバー90を回動した際に集塵アダプタ93とレバー94が干渉しないように、図9に示す長さが短い固定長のレバー94を採用していた。レバー94は手動で下カバー90を回動する際に作業者が掴み難く操作性が悪かった。操作性をよくするため、長さが長いレバーを採用すると、排出口92に集塵アダプタ93を取り付けて下カバー90を回動した際に集塵アダプタ93とレバーが干渉してしまい下カバー90の円滑な動作を妨げることになり、結果として切断作業自体に支障をきたすことになる。あるいは、上記の2つのレバーを用意しておき、集塵アダプタ93の着脱に応じて交換するようにしても良いが、交換作業に手間がかかってしまう問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、集塵アダプタを取り付けない場合にはより良い操作性を確保し、集塵アダプタを取り付けた場合は、より少ない手間で集塵アダプタとレバーとの干渉を防止することができる構造のレバーを有する切断機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、モータにより回転駆動される鋸刃と、前記モータを収納するハウジングと、被加工材上を摺動可能な底面を持ち、該底面より前記鋸刃を下方に突出可能な開口部を有するベースと、前記鋸刃の略上半分を覆う上カバー及び前記鋸刃の略下半分を覆う下カバーと、前記上カバーに設けられ前記鋸刃による被加工材の切断作業により発生した切粉を排出する排出口と、前記下カバーに設けられたレバーと、を備えた携帯用切断機において、前記下カバーに前記レバーの長さを調整可能な調整手段を設けた携帯用切断機を提供している。
【0009】
このように構成すれば、調整手段によりレバーの長さを変更することができるので、集塵アダプタを取り付けない場合にはより良い操作性を確保し、集塵アダプタを取り付けた場合は、より少ない手間で集塵アダプタとレバーとの干渉を防止することができる。
【0010】
また、前記調整手段は、前記下カバーに取り付けられる第1部材と、該第1部材の長手方向に摺動可能に取り付けられる第2部材を有し、該第2部材を前記第1部材に対して摺動することにより前記レバーの長手方向の長さを変えられることが好ましい。このように構成すれば、簡単な構成で容易にレバーの長さを変更することができる。
【0011】
また、前記第1部材及び前記第2部材には長穴が設けられ、前記第1部材及び前記第2部材の少なくとも一方には突起が設けられ、該突起を前記長穴に挿入した状態で前記第2部材を前記第1部材に対して摺動可能なことが好ましい。このように構成すれば、突起が長穴に入り込むことで第2部材が摺動する際に突起がガイドとなり容易にレバーの長さを変更することができる。
【0012】
また、前記鋸刃の前記ベース底面からの突出量を変更可能なことが好ましい。このように構成すれば、被加工材の切り込み深さを調整することができる。また、前記鋸刃の前記ベース底面に対する相対角度を変更可能なことが好ましい。このように構成すれば、被加工材の切り込み角度を調整することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、切断作業に応じてレバーの長さを簡単に調整することができるため、操作性を向上することができ、レバーを交換する手間を省くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の切断機について図1乃至図5用いて説明する。図1及び図2において、切断機50は、モータ1を収納し、かつモータ1の回転軸1aに略直交する方向に設けられ、モータ1の駆動を制御するスイッチ2を収納するハンドル部3を有するハウジング4と、モータ1により減速部5を介して回転駆動される鋸刃6と、被加工材上を摺動可能な底面7を持ち、鋸刃6を底面7より下方に突出可能な開口部8を有するベース9とから主に構成されている。
【0015】
鋸刃6は、ハウジング4に取り付けられて減速部5を収納し、鋸刃6の上側の略半分のモータ1側を覆うと共に鋸刃6の刃先部10を収納する上カバーとなる保護カバー(ギヤカバー)11と、切断作業を行わない時は、鋸刃6の下側半分のモータ1側を覆うと共に刃先部10を収納し、切断作業を行う時には自身が被加工材に当接することによって保護カバー11内に収納されるように回転軸6aを中心に保護カバー11に回動可能に支持された下カバーとなる安全カバー15と、により覆われている
切断機50は、鋸刃6をベース底面7より下方へ突出することにより被加工材を切断可能に構成されている。この突出量を調整することにより被加工材の切込深さを調整することができる構成となっている。切込深さ調整機構部は、ベース9の一端側において保護カバー11とベース9とを連結するベベルプレート12と、ベース9の他端側において保護カバー11とベース9とを連結する第1リンク13及び第2リンク14とから主に構成されている。
【0016】
ベベルプレート12及び第2リンク14は、ベース9にそれぞれピン16、17によって、鋸刃側面18およびベース底面7に対して平行なピン16、17の共通軸に対して回動可能に取り付けられ、第1リンク13はネジ19及びナット20によって、鋸刃側面18に対して直交する方向に回動可能に第2リンク14に取り付けられている。
【0017】
保護カバー11は、ベース9の一端側において、ボルト21及びナット22を用いてベベルプレート12に、ボルト21を軸として鋸刃6の回転軸に直交する方向に回動可能に軸支されている一方、ベース9の他端側において、ボルト23、ワッシャ24(2個)、レバー25、ワッシャ、及びナット27により第1リンク13に取り付けられている。
【0018】
レバー25を回動させ、保護カバー11と第1リンク13の締結を解除し、保護カバー11を第1リンク13に沿って回動させて第1リンク13の任意の位置で再び保護カバー11と第1リンク13をレバー25により締結することで、刃先部10のベース底面7からの突出量すなわち切込み深さを調節可能になっている。
【0019】
また、ベベルプレート12は、ワッシャ28、スプリングワッシャ及びチョウボルト30により、第2リンク14はボルト31、ワッシャ32、スプリングワッシャ及びチョウナット34により、ベース9に締結、開放できるようになっており、この傾斜角度調整機構部によりベース底面7に対する鋸刃6の傾斜角度すなわち切断角度を調節可能になっている。
【0020】
保護カバー11には鋸刃6による被加工材の切断作業により発生し、保護カバー11の内周面に沿って進む切粉を排出するための排出口35が設けられており、排出口35には切粉を外部の集塵装置で吸引するための図10に示す集塵アダプタ93が着脱可能となっている。
【0021】
安全カバー15には作業者が安全カバー15を自由に回動させることができるようにレバー37がネジ38で取り付けられている。本発明のレバー37は、後述するようにベースプレート39、ツマミ40、ウェーブワッシャ41、ネジ42、及びナット43から構成されており、作業に応じてその長さが調整可能になっている。
【0022】
上記した構成により、携帯用切断機50は、ベース9を被加工材に当てハンドル3を把持しスイッチ2をオンすることにより、モータ1の回転が回転軸1a、減速部5を介して鋸刃6に伝達されて被加工材を切断することができる。また、切込み深さ調整機構部により被加工材の切り込み深さを、傾斜角度調整機構部によりベース9に対する鋸刃6の傾斜角度を調整することができる。
【0023】
次に、本発明のレバー37の構成について、図3乃至図5を用いて説明する。安全カバー15に取り付けられる第1部材となるベースプレート39には、安全カバー15にネジ38で固定するためのネジ穴44、鋸刃6の回転軸6aに直交する方向に設けられた長穴45、ネジ42が貫通する穴46が設けられ、第2部材となるツマミ40には内部をネジ42が貫通かつ移動可能な長穴47、長穴45の内部を貫通かつ移動可能で長穴45の短辺より僅かに小さい幅を持った突起48が設けられている。ベースプレート39とツマミ40は、突起48が長穴45内を貫通し、ネジ42がウェーブワッシャ41を介して穴46、長穴47を貫通しナット43に締付けられた状態で組立られている。ネジ42はウェーブワッシャ41が適度な反発力を発揮するように締付けられており、ツマミ40を長穴45の長辺方向にスライドすることで、レバー37全体の長さを調節することができる。すなわち、排出口35に集塵アダプタが取り付けられている場合には、ツマミ40を把持し長穴45に沿って図3の右方向にスライドさせることによりレバー37の全長を短くすることにより、集塵アダプタ93が取り付いた状態でも安全カバー15を任意に回動することができる。逆に、集塵アダプタ93が取り付けられていない場合には、ツマミ40を把持し長穴45に沿って図3の左方向にスライドさせることによりレバー37の全長を長くすることにより、安全カバー15を任意に回動する際に操作性を向上することができる。なお、このスライド操作の際、突起48が長穴45内を案内するため、ツマミ40がネジ42を中心にして回転することを防止でき、スライド操作を確実に行うことができる。
【0024】
なお、本実施形態では、レバーをネジにより構成したが、チョウボルトにより構成すれば人手によりより簡単にレバー全長を調整することができる。また、ベースプレートとツマミの2部品構成ではなく3部品以上の構成にすればレバーの全長を更に長くすることもできる。また、スライド式ではなく、長穴に替えてネジ42の周りに円状の溝を設け、ツマミをネジの回りに回動するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による携帯用切断機を示す一部断面上面図。
【図2】本発明による携帯用切断機を示す一部断面正面図。
【図3(A)】本発明による携帯用切断機のレバーの上面図。
【図3(B)】本発明に携帯用切断機のレバーの正面図。
【図4(A)】本発明による携帯用切断機のレバーを構成するベースプレートの上面図。
【図4(B)】本発明による携帯用切断機のレバーを構成するベースプレートの正面。
【図5(A)】本発明による携帯用切断機のレバーを構成するツマミの上面図。
【図5(B)】本発明による携帯用切断機のレバーを構成するツマミの正面図。
【図6】従来の携帯用切断機を示す一部断面上面図。
【図7】従来の携帯用切断機を示す一部断面正面図。
【図8】従来の携帯用切断機に集塵アダプタを取り付けた状態の一部省略要部説明図。
【図9(A)】従来の携帯用切断機のレバーの上面図。
【図9(B)】従来の携帯用切断機のレバーの正面図。
【図10(A)】携帯用切断機に取り付けられる集塵アダプタの正面図。
【図10(B)】携帯用切断機に取り付けられる集塵アダプタの上面図。
【符号の説明】
【0026】
1はモータ、1aはモータ軸、2はスイッチ、3はハンドル、4はハウジング、5は減速部、6は鋸刃、6aは回転軸、7はベース底面、8は開口部、9はベース、10は刃先部、11は保護カバー、12はべべルプレート、13は第1リンク、14は第2リンク、15は安全カバー、16はピン、17はピン、18は鋸刃側面、19はネジ、20はナット、21はボルト、22はナット、23はボルト、24はワッシャ、25はレバー、27はナット、28はワッシャ、29はスプリングワッシャ、30はチョウボルト、31はボルト、32はワッシャ、34はチョウナット、35は排出口、37はレバー、38はネジ、39はベースプレート、40はツマミ、41はワッシャ、42はネジ、43はナット、44はネジ穴、45は長穴、46は穴、47は長穴、48は突起、50は携帯用切断機、である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用切断機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯用切断機について、図6乃至図11を用いて説明する。図6及び図7に示すように、携帯用切断機(単に切断機と称す)100は、モータ80を収納しモータ80の回転軸80aに略直交する方向に設けらたハンドル81を有するハウジング82と、モータ80により減速部83を介して回転駆動される鋸刃84と、被加工材上を摺動可能な底面85を持ち、鋸刃84を底面85より下方に突出可能な開口部86を有するベース87とから主に構成されている。
【0003】
鋸刃84は、上カバー89と下カバー90とにより覆われている。具体的には、ベース87と連結されてハウジング82に取り付けられ、減速部83を収納し、かつ鋸刃84の上側半分のモータ80側を覆うと共に、鋸刃84の刃先部88を収納する上カバー89と、切断作業を行わない時は、鋸刃84の下側半分のモータ80側を覆うと共に刃先部88を収納し、切断作業時にはそれ自身が被加工材に当接する事によって上カバー89の中に収納されるように、回転軸84aを中心に上カバー89内に回動可能に支持された下カバー90とにより覆われている。下カバー90には作業者が下カバー90を回転軸84aを中心に自由に回動できるように図9に示す固定長さを有するレバー94がネジ95により取り付けられている。
【0004】
上カバー89は鋸刃84の回転軸84aに直交する方向、および鋸刃84の側面91に直交する方向に一定の範囲内で回動可能に支持されていて、鋸刃84がベース底面85から突出する長さすなわち切込み深さと、ベース底面85に対する鋸刃84の傾斜角度すなわち切断角度を変える事ができる。上カバー89には鋸刃84による被加工材の切断作業により発生し、上カバー89の内周面に沿って進む切粉を排出するための排出口92が設けられている。排出口92には、図8に示すように切粉を外部の集塵装置で吸引するための集塵アダプタ93(図10)が着脱可能となっている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−211405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような構成の切断機100は、図8に示すように、図10に示す集塵アダプタ93を取り付け下カバー90を回動した際に集塵アダプタ93とレバー94が干渉しないように、図9に示す長さが短い固定長のレバー94を採用していた。レバー94は手動で下カバー90を回動する際に作業者が掴み難く操作性が悪かった。操作性をよくするため、長さが長いレバーを採用すると、排出口92に集塵アダプタ93を取り付けて下カバー90を回動した際に集塵アダプタ93とレバーが干渉してしまい下カバー90の円滑な動作を妨げることになり、結果として切断作業自体に支障をきたすことになる。あるいは、上記の2つのレバーを用意しておき、集塵アダプタ93の着脱に応じて交換するようにしても良いが、交換作業に手間がかかってしまう問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、集塵アダプタを取り付けない場合にはより良い操作性を確保し、集塵アダプタを取り付けた場合は、より少ない手間で集塵アダプタとレバーとの干渉を防止することができる構造のレバーを有する切断機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、モータにより回転駆動される鋸刃と、前記モータを収納するハウジングと、被加工材上を摺動可能な底面を持ち、該底面より前記鋸刃を下方に突出可能な開口部を有するベースと、前記鋸刃の略上半分を覆う上カバー及び前記鋸刃の略下半分を覆う下カバーと、前記上カバーに設けられ前記鋸刃による被加工材の切断作業により発生した切粉を排出する排出口と、前記下カバーに設けられたレバーと、を備えた携帯用切断機において、前記下カバーに前記レバーの長さを調整可能な調整手段を設けた携帯用切断機を提供している。
【0009】
このように構成すれば、調整手段によりレバーの長さを変更することができるので、集塵アダプタを取り付けない場合にはより良い操作性を確保し、集塵アダプタを取り付けた場合は、より少ない手間で集塵アダプタとレバーとの干渉を防止することができる。
【0010】
また、前記調整手段は、前記下カバーに取り付けられる第1部材と、該第1部材の長手方向に摺動可能に取り付けられる第2部材を有し、該第2部材を前記第1部材に対して摺動することにより前記レバーの長手方向の長さを変えられることが好ましい。このように構成すれば、簡単な構成で容易にレバーの長さを変更することができる。
【0011】
また、前記第1部材及び前記第2部材には長穴が設けられ、前記第1部材及び前記第2部材の少なくとも一方には突起が設けられ、該突起を前記長穴に挿入した状態で前記第2部材を前記第1部材に対して摺動可能なことが好ましい。このように構成すれば、突起が長穴に入り込むことで第2部材が摺動する際に突起がガイドとなり容易にレバーの長さを変更することができる。
【0012】
また、前記鋸刃の前記ベース底面からの突出量を変更可能なことが好ましい。このように構成すれば、被加工材の切り込み深さを調整することができる。また、前記鋸刃の前記ベース底面に対する相対角度を変更可能なことが好ましい。このように構成すれば、被加工材の切り込み角度を調整することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、切断作業に応じてレバーの長さを簡単に調整することができるため、操作性を向上することができ、レバーを交換する手間を省くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の切断機について図1乃至図5用いて説明する。図1及び図2において、切断機50は、モータ1を収納し、かつモータ1の回転軸1aに略直交する方向に設けられ、モータ1の駆動を制御するスイッチ2を収納するハンドル部3を有するハウジング4と、モータ1により減速部5を介して回転駆動される鋸刃6と、被加工材上を摺動可能な底面7を持ち、鋸刃6を底面7より下方に突出可能な開口部8を有するベース9とから主に構成されている。
【0015】
鋸刃6は、ハウジング4に取り付けられて減速部5を収納し、鋸刃6の上側の略半分のモータ1側を覆うと共に鋸刃6の刃先部10を収納する上カバーとなる保護カバー(ギヤカバー)11と、切断作業を行わない時は、鋸刃6の下側半分のモータ1側を覆うと共に刃先部10を収納し、切断作業を行う時には自身が被加工材に当接することによって保護カバー11内に収納されるように回転軸6aを中心に保護カバー11に回動可能に支持された下カバーとなる安全カバー15と、により覆われている
切断機50は、鋸刃6をベース底面7より下方へ突出することにより被加工材を切断可能に構成されている。この突出量を調整することにより被加工材の切込深さを調整することができる構成となっている。切込深さ調整機構部は、ベース9の一端側において保護カバー11とベース9とを連結するベベルプレート12と、ベース9の他端側において保護カバー11とベース9とを連結する第1リンク13及び第2リンク14とから主に構成されている。
【0016】
ベベルプレート12及び第2リンク14は、ベース9にそれぞれピン16、17によって、鋸刃側面18およびベース底面7に対して平行なピン16、17の共通軸に対して回動可能に取り付けられ、第1リンク13はネジ19及びナット20によって、鋸刃側面18に対して直交する方向に回動可能に第2リンク14に取り付けられている。
【0017】
保護カバー11は、ベース9の一端側において、ボルト21及びナット22を用いてベベルプレート12に、ボルト21を軸として鋸刃6の回転軸に直交する方向に回動可能に軸支されている一方、ベース9の他端側において、ボルト23、ワッシャ24(2個)、レバー25、ワッシャ、及びナット27により第1リンク13に取り付けられている。
【0018】
レバー25を回動させ、保護カバー11と第1リンク13の締結を解除し、保護カバー11を第1リンク13に沿って回動させて第1リンク13の任意の位置で再び保護カバー11と第1リンク13をレバー25により締結することで、刃先部10のベース底面7からの突出量すなわち切込み深さを調節可能になっている。
【0019】
また、ベベルプレート12は、ワッシャ28、スプリングワッシャ及びチョウボルト30により、第2リンク14はボルト31、ワッシャ32、スプリングワッシャ及びチョウナット34により、ベース9に締結、開放できるようになっており、この傾斜角度調整機構部によりベース底面7に対する鋸刃6の傾斜角度すなわち切断角度を調節可能になっている。
【0020】
保護カバー11には鋸刃6による被加工材の切断作業により発生し、保護カバー11の内周面に沿って進む切粉を排出するための排出口35が設けられており、排出口35には切粉を外部の集塵装置で吸引するための図10に示す集塵アダプタ93が着脱可能となっている。
【0021】
安全カバー15には作業者が安全カバー15を自由に回動させることができるようにレバー37がネジ38で取り付けられている。本発明のレバー37は、後述するようにベースプレート39、ツマミ40、ウェーブワッシャ41、ネジ42、及びナット43から構成されており、作業に応じてその長さが調整可能になっている。
【0022】
上記した構成により、携帯用切断機50は、ベース9を被加工材に当てハンドル3を把持しスイッチ2をオンすることにより、モータ1の回転が回転軸1a、減速部5を介して鋸刃6に伝達されて被加工材を切断することができる。また、切込み深さ調整機構部により被加工材の切り込み深さを、傾斜角度調整機構部によりベース9に対する鋸刃6の傾斜角度を調整することができる。
【0023】
次に、本発明のレバー37の構成について、図3乃至図5を用いて説明する。安全カバー15に取り付けられる第1部材となるベースプレート39には、安全カバー15にネジ38で固定するためのネジ穴44、鋸刃6の回転軸6aに直交する方向に設けられた長穴45、ネジ42が貫通する穴46が設けられ、第2部材となるツマミ40には内部をネジ42が貫通かつ移動可能な長穴47、長穴45の内部を貫通かつ移動可能で長穴45の短辺より僅かに小さい幅を持った突起48が設けられている。ベースプレート39とツマミ40は、突起48が長穴45内を貫通し、ネジ42がウェーブワッシャ41を介して穴46、長穴47を貫通しナット43に締付けられた状態で組立られている。ネジ42はウェーブワッシャ41が適度な反発力を発揮するように締付けられており、ツマミ40を長穴45の長辺方向にスライドすることで、レバー37全体の長さを調節することができる。すなわち、排出口35に集塵アダプタが取り付けられている場合には、ツマミ40を把持し長穴45に沿って図3の右方向にスライドさせることによりレバー37の全長を短くすることにより、集塵アダプタ93が取り付いた状態でも安全カバー15を任意に回動することができる。逆に、集塵アダプタ93が取り付けられていない場合には、ツマミ40を把持し長穴45に沿って図3の左方向にスライドさせることによりレバー37の全長を長くすることにより、安全カバー15を任意に回動する際に操作性を向上することができる。なお、このスライド操作の際、突起48が長穴45内を案内するため、ツマミ40がネジ42を中心にして回転することを防止でき、スライド操作を確実に行うことができる。
【0024】
なお、本実施形態では、レバーをネジにより構成したが、チョウボルトにより構成すれば人手によりより簡単にレバー全長を調整することができる。また、ベースプレートとツマミの2部品構成ではなく3部品以上の構成にすればレバーの全長を更に長くすることもできる。また、スライド式ではなく、長穴に替えてネジ42の周りに円状の溝を設け、ツマミをネジの回りに回動するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による携帯用切断機を示す一部断面上面図。
【図2】本発明による携帯用切断機を示す一部断面正面図。
【図3(A)】本発明による携帯用切断機のレバーの上面図。
【図3(B)】本発明に携帯用切断機のレバーの正面図。
【図4(A)】本発明による携帯用切断機のレバーを構成するベースプレートの上面図。
【図4(B)】本発明による携帯用切断機のレバーを構成するベースプレートの正面。
【図5(A)】本発明による携帯用切断機のレバーを構成するツマミの上面図。
【図5(B)】本発明による携帯用切断機のレバーを構成するツマミの正面図。
【図6】従来の携帯用切断機を示す一部断面上面図。
【図7】従来の携帯用切断機を示す一部断面正面図。
【図8】従来の携帯用切断機に集塵アダプタを取り付けた状態の一部省略要部説明図。
【図9(A)】従来の携帯用切断機のレバーの上面図。
【図9(B)】従来の携帯用切断機のレバーの正面図。
【図10(A)】携帯用切断機に取り付けられる集塵アダプタの正面図。
【図10(B)】携帯用切断機に取り付けられる集塵アダプタの上面図。
【符号の説明】
【0026】
1はモータ、1aはモータ軸、2はスイッチ、3はハンドル、4はハウジング、5は減速部、6は鋸刃、6aは回転軸、7はベース底面、8は開口部、9はベース、10は刃先部、11は保護カバー、12はべべルプレート、13は第1リンク、14は第2リンク、15は安全カバー、16はピン、17はピン、18は鋸刃側面、19はネジ、20はナット、21はボルト、22はナット、23はボルト、24はワッシャ、25はレバー、27はナット、28はワッシャ、29はスプリングワッシャ、30はチョウボルト、31はボルト、32はワッシャ、34はチョウナット、35は排出口、37はレバー、38はネジ、39はベースプレート、40はツマミ、41はワッシャ、42はネジ、43はナット、44はネジ穴、45は長穴、46は穴、47は長穴、48は突起、50は携帯用切断機、である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータにより回転駆動される鋸刃と、前記モータを収納するハウジングと、被加工材上を摺動可能な底面を持ち、該底面より前記鋸刃を下方に突出可能な開口部を有するベースと、前記鋸刃の上側を覆う上カバー及び前記鋸刃の下側を覆う下カバーと、前記上カバーに設けられ前記鋸刃による被加工材の切断作業により発生した切粉を排出する排出口と、前記下カバーに設けられたレバーと、を備えた携帯用切断機において、
前記下カバーに前記レバーの長さを調整可能な調整手段を設けたことを特徴とする携帯用切断機。
【請求項2】
前記調整手段は、前記下カバーに取り付けられる第1部材と、該第1部材の長手方向に摺動可能に取り付けられる第2部材からなり、
該第2部材を前記第1部材に対して摺動することにより前記レバーの長手方向の長さを変えられることを特徴とする請求項1記載の携帯用切断機。
【請求項3】
前記第1部材及び前記第2部材には長穴が設けられ、前記第1部材及び前記第2部材の少なくとも一方には突起が設けられ、
該突起を前記長穴に挿入した状態で前記第2部材を前記第1部材に対して摺動可能なことを特徴とする請求項2記載の携帯用切断機。
【請求項4】
前記鋸刃の前記ベース底面からの突出量を変更可能なことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の携帯用切断機。
【請求項5】
前記鋸刃の前記ベース底面に対する相対角度を変更可能なことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の携帯用切断機。
【請求項1】
モータにより回転駆動される鋸刃と、前記モータを収納するハウジングと、被加工材上を摺動可能な底面を持ち、該底面より前記鋸刃を下方に突出可能な開口部を有するベースと、前記鋸刃の上側を覆う上カバー及び前記鋸刃の下側を覆う下カバーと、前記上カバーに設けられ前記鋸刃による被加工材の切断作業により発生した切粉を排出する排出口と、前記下カバーに設けられたレバーと、を備えた携帯用切断機において、
前記下カバーに前記レバーの長さを調整可能な調整手段を設けたことを特徴とする携帯用切断機。
【請求項2】
前記調整手段は、前記下カバーに取り付けられる第1部材と、該第1部材の長手方向に摺動可能に取り付けられる第2部材からなり、
該第2部材を前記第1部材に対して摺動することにより前記レバーの長手方向の長さを変えられることを特徴とする請求項1記載の携帯用切断機。
【請求項3】
前記第1部材及び前記第2部材には長穴が設けられ、前記第1部材及び前記第2部材の少なくとも一方には突起が設けられ、
該突起を前記長穴に挿入した状態で前記第2部材を前記第1部材に対して摺動可能なことを特徴とする請求項2記載の携帯用切断機。
【請求項4】
前記鋸刃の前記ベース底面からの突出量を変更可能なことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の携帯用切断機。
【請求項5】
前記鋸刃の前記ベース底面に対する相対角度を変更可能なことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の携帯用切断機。
【図1】
【図2】
【図3(A)】
【図3(B)】
【図4(A)】
【図4(B)】
【図5(A)】
【図5(B)】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9(A)】
【図9(B)】
【図10(A)】
【図10(B)】
【図2】
【図3(A)】
【図3(B)】
【図4(A)】
【図4(B)】
【図5(A)】
【図5(B)】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9(A)】
【図9(B)】
【図10(A)】
【図10(B)】
【公開番号】特開2009−184304(P2009−184304A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29119(P2008−29119)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】
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