説明

携帯端末、並びにこれに用いる警告制御方法及びプログラム

【課題】Bluetooth機能を利用するユーザと、その周辺に存在する他者とが衝突してしまう危険性を低減可能とする。
【解決手段】携帯端末1を構成するBluetooth通信部10は、他の携帯端末2から送出されるBluetooth方式に則した無線信号101を受信する。制御部30は、無線信号101の受信強度を監視し、前記受信強度が増大する傾向にある場合、警告部20に、他の携帯端末2が自端末1に接近している旨の警告を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末、並びにこれに用いる警告制御方法及びプログラムに関し、特に携帯電話機等のBluetooth機能を利用する他者の接近を警告する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、Bluetooth機能を有する携帯電話機が普及している。ここで、Bluetooth機能とは、携帯電話機が、Bluetooth方式に則してヘッドセット等の外部ユニットとの無線通信を行う機能のことである。
【0003】
このような携帯電話機を所持するユーザは、Bluetooth機能を利用し、以てハンズフリー状態で、通話を行うことや音楽を聴くこと等ができる。
【0004】
なお、参考技術として、特許文献1には、近接する2つの携帯端末同士間でのデータ交換に先立ち、一方の携帯端末が、他方の携帯端末を、Bluetooth方式に則した識別子の無線交換により識別する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−188989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、Bluetooth機能を利用するユーザは、通話や音楽等に意識が集中するあまりに、周辺への配慮が散漫な状態となり、以て他者と衝突する虞がある。
【0007】
従って、本発明の目的は、Bluetooth機能を利用するユーザと、その周辺に存在する他者とが衝突してしまう危険性を低減可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様に係る携帯端末は、Bluetooth方式に則した無線通信を行う通信手段と、自端末を所持するユーザに対して警告を発生する警告手段と、前記通信手段で受信された他の携帯端末からの無線信号の受信強度を監視し、前記受信強度が増大する傾向にある場合、前記警告手段に、前記他の携帯端末が自端末に接近している旨の警告を発生させる制御手段とを備える。
【0009】
また、本発明の一態様に係る警告制御方法は、Bluetooth方式に則した無線通信を行う携帯端末に用いる警告制御方法を提供する。この警告制御方法は、他の携帯端末からの無線信号の受信強度を監視し、前記受信強度が増大する傾向にある場合、前記他の携帯端末が前記携帯端末に接近している旨を、前記携帯端末を所持するユーザに対して警告することを含む。
【0010】
さらに、本発明の一態様に係る警告制御プログラムは、Bluetooth方式に則した無線通信を行う携帯端末に、他の携帯端末からの無線信号の受信強度を監視する処理と、前記受信強度が増大する傾向にある場合、前記他の携帯端末が前記携帯端末に接近している旨を、前記携帯端末を所持するユーザに対して警告する処理とを実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、Bluetooth機能を利用するユーザと、その周辺に存在する他者とが衝突してしまう危険性を低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1に係る携帯端末の概略的な構成例を示したブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る携帯端末の具体的な構成例を示したブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る携帯端末の動作例を示したフローチャート図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る携帯端末の構成例を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る携帯端末の実施の形態1及び2を、図1〜図4を参照して説明する。なお、各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0014】
[実施の形態1]
図1に示すように、本実施の形態に係る携帯端末1は、Bluetooth通信部10と、警告部20と、制御部30とを備えている。
【0015】
この内、Bluetooth通信部10は、大略、Bluetooth方式に則した無線通信を行う。具体的には、Bluetooth通信部10は、他の携帯端末2を所持するユーザ(以下、他ユーザと呼称する)がBluetooth機能を利用した際に送出される無線信号101(以下、Bluetooth無線信号と呼称する)を受信する。
【0016】
また、警告部20は、制御部30からの指示に従って、携帯端末1を所持するユーザ(以下、自ユーザと呼称する)に対して警告を発生する。
【0017】
さらに、制御部30は、Bluetooth無線信号101の受信強度を監視し、当該受信強度が増大する傾向にある場合、警告部20に対して、他の携帯端末2が自端末1に接近している旨の警告(すなわち、Bluetooth機能を利用する他ユーザが自ユーザに接近している旨の警告)を発生するよう指示する。
【0018】
これにより、自ユーザは、周辺への配慮が散漫な状態で在り得る他ユーザの存在を認識でき、以て他ユーザに対して注意を払うことができる。従って、他ユーザ(Bluetooth機能を利用するユーザ)と、自ユーザ(周辺に存在する他者)との衝突を未然に回避することができる。
【0019】
また、Bluetooth方式による通信範囲は10m程度と狭いため、自ユーザにとっては、衝突の危険性がある程に他ユーザと近接している場合にのみ注意を払えば良いというメリットもある。
【0020】
以下、本実施の形態の具体的な構成例及び動作例を、携帯端末1を携帯電話機として機能させる場合を例に取り、図2及び図3をそれぞれ参照して詳細に説明する。
【0021】
まず、図2に示すように、携帯端末1は、上記のBluetooth通信部10及び制御部30を備えている。また、携帯端末1は、上記の警告部20の一例として、ディスプレイ20aを備えている。さらに、携帯端末1は、無線通信部40と、計時部50と、メモリ60と、キー操作部70と、各種の周辺回路80とを備えている。
【0022】
この内、Bluetooth通信部10は、アンテナ11を介して受信した無線信号を復調し、制御部30へ出力する。また、Bluetooth通信部10は、制御部30から出力された各種信号を変調して無線信号に変換し、当該無線信号をアンテナ11を介して送出する。なお、アンテナ11は、Bluetooth方式で規定される周波数帯域での無線信号の送受信に対応している。
【0023】
ディスプレイ20aは、制御部30からの指示(表示命令)に応じて、メモリ60に記憶された、地図や撮影画像等の画像データ、電話番号データ、及びテキストデータ等を表示する。
【0024】
無線通信部40は、大略、各種の移動体通信方式に則して、基地局との無線通信を行う。具体的には、無線通信部40は、アンテナ41を介して受信した無線信号を復調し、制御部30へ出力する。また、無線通信部40は、制御部30から出力された各種信号を変調して無線信号に変換し、当該無線信号をアンテナ41を介して送出する。なお、アンテナ41は、移動体通信方式で規定される周波数帯域での無線信号の送受信に対応している。アンテナ41は、内蔵式又は伸縮式のいずれでも良い。
【0025】
計時部50は、一般的な計時機能を有する。
【0026】
メモリ60は、上記の画像データ、電話番号データ、及びテキストデータ等に加えて、制御部30により実行される制御プログラムと、Bluetooth無線信号101の受信強度に関する計測データとを記憶する。
【0027】
キー操作部70は、決定キーや記号等のファンクションキーを備え、ユーザからのキー操作に応じた信号を、制御部30へ出力する。
【0028】
制御部30は、キー操作部70からの入力信号に応じて、メモリ60に記憶された制御プログラムを実行し、以てBluetooth通信部10、ディスプレイ20a、無線通信部40、計時部50、メモリ60、及び周辺回路80を制御する。
【0029】
動作においては、Bluetooth通信部10が、図1に示した他の携帯端末2から送出されたBluetooth無線信号101を受信する。図3に示すように、制御部30は、Bluetooth無線信号101の受信強度102を定期的に計測する(ステップS1)。具体的には、制御部30は、受信強度102を計測する度毎に、メモリ60に、計時部50により計時された時刻と、計測した受信強度102とを対応付けて記憶する。
【0030】
また、制御部30は、受信強度102を計測する度毎に、メモリ60に記憶した受信強度を時系列にトレースし、以て受信強度102が増大する傾向にあるか否かを判定する(ステップS2)。
【0031】
この結果、受信強度102が増大する傾向にないと判定した場合、制御部30は、上記のステップS1に戻って、受信強度102の計測を継続する。
【0032】
一方、受信強度102が増大する傾向にあると判定した場合、制御部30は、ディスプレイ20aに対して、他の携帯端末2が自端末1に接近している旨の警告を表示するよう指示する。これに応じて、ディスプレイ20aは、例えばテキストデータを用いて警告を表示する(ステップS3)。
【0033】
これにより、自ユーザは、メール作成やブラウザ操作等を行っている場合(すなわち、意識がディスプレイ20aに集中し、周辺への配慮が散漫な状態に在る場合)であっても、接近して来る他ユーザの存在を確実に認識できる。なお、図示を省略するが、自ユーザに対する警告は音や光等を用いて発生しても良く、この場合も同等の効果が得られることとなる。
【0034】
[実施の形態2]
図4に示すように、本実施の形態に係る携帯端末1aは、Bluetooth通信部10が、図2に示したアンテナ11に代えて、n個の指向性アンテナ12_1〜12_nを介して無線信号の送受信を行う点で、上記の実施の形態1と異なる。ここで、指向性アンテナ12_1〜12_nは、互いに異なる指向性を有する。
【0035】
動作において、制御部30は、指向性アンテナ12_1〜12_nをそれぞれ介して受信されたBluetooth無線信号の受信強度の内のいずれかの受信強度が増大する傾向にあると判定した場合、ディスプレイ20aへの警告表示が必要と判断する。
【0036】
この時、制御部30は、指向性アンテナ12_1〜12_nにそれぞれ対応する受信強度の内で最大値を呈する受信強度に基づき、自端末1aに対する他の携帯端末2の相対位置を検出する。具体的には、制御部30は、最大値を呈する受信強度に対応するアンテナの指向性から、他の携帯端末2が接近して来る方向を推定する。また、制御部30は、当該受信強度から、他の携帯端末2と自端末1aとの間の距離を推定する。
【0037】
そして、制御部30は、ディスプレイ20aに、検出した相対位置を警告として表示させる。
【0038】
これにより、自ユーザは、接近して来る他ユーザの存在をより確実に認識できることに加えて、他ユーザとの衝突の危険度合いを把握することができる。
【0039】
なお、上記の実施の形態によって本発明は限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づき、当業者によって種々の変更が可能なことは明らかである。例えば、上記の実施の形態に示した携帯端末の各処理を、コンピュータに実行させるためのプログラムとして提供することもできる。この場合、当該プログラムを、コンピュータ内のプロセッサが実行可能なようにメモリ等の記憶媒体に格納すると好適である。或いは、当該プログラムは、既存の携帯端末に組み込まれたファームウェアへのプラグインとして提供しても良い。
【符号の説明】
【0040】
1, 1a, 2 携帯端末
10 Bluetooth通信部
11 アンテナ
12_1〜12_n 指向性アンテナ
20 警告部
20a ディスプレイ
30 制御部
40 無線通信部
41 アンテナ
50 計時部
60 メモリ
70 キー操作部
80 キー操作部
101 Bluetooth無線信号
102 受信強度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Bluetooth方式に則した無線通信を行う通信手段と、
自端末を所持するユーザに対して警告を発生する警告手段と、
前記通信手段で受信された他の携帯端末からの無線信号の受信強度を監視し、前記受信強度が増大する傾向にある場合、前記警告手段に、前記他の携帯端末が自端末に接近している旨の警告を発生させる制御手段と、
を備えた携帯端末。
【請求項2】
請求項1において、
前記警告手段が、前記警告を表示するディスプレイであることを特徴とした携帯端末。
【請求項3】
請求項2において、
前記通信手段が、前記無線通信を、互いに異なる指向性を有する複数のアンテナを介して行い、
前記制御手段が、前記複数のアンテナからの無線信号の受信強度に基づき、自端末に対する前記他の携帯端末の相対位置を検出すると共に、前記警告手段に、前記相対位置を前記警告として表示させることを特徴とした携帯端末。
【請求項4】
Bluetooth方式に則した無線通信を行う携帯端末に用いる警告制御方法であって、
他の携帯端末からの無線信号の受信強度を監視し、
前記受信強度が増大する傾向にある場合、前記他の携帯端末が前記携帯端末に接近している旨を、前記携帯端末を所持するユーザに対して警告する、
ことを含む警告制御方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記警告を、ディスプレイへの表示により行うことを特徴とした警告制御方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記無線通信が互いに異なる指向性を有する複数のアンテナを介して行われる場合、前記複数のアンテナからの無線信号の受信強度に基づき、前記携帯端末に対する前記他の携帯端末の相対位置を検出すると共に、前記相対位置を前記警告として表示することを特徴とした警告制御方法。
【請求項7】
Bluetooth方式に則した無線通信を行う携帯端末に、
他の携帯端末からの無線信号の受信強度を監視する処理と、
前記受信強度が増大する傾向にある場合、前記他の携帯端末が前記携帯端末に接近している旨を、前記携帯端末を所持するユーザに対して警告する処理と、
を実行させるための警告制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−166263(P2011−166263A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24011(P2010−24011)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】