説明

携帯端末及び画像方向補正方法

【課題】携帯端末内で画像データを自動補正して出力する。
【解決手段】被写体を撮像して画像信号を出力する撮像処理と、天頂方向に対して撮像時の自端末の向きを検出する向き検出処理とを行う。そして、検出した向きの情報を付加して画像信号を記憶部に記憶させる。記憶部が記憶した画像信号を読み出して外部に出力させる際には、向きの情報により、選択的に縦横を変換して出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばカメラ機能付き携帯電話端末に適用して好適な携帯端末、及びその携帯端末に適用される画像方向補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話端末に内蔵されたカメラや、一般のカメラで撮像する場合のいずれであっても、通常撮像して得られる画像の縦横比は1:1でなく、横長の画像が一般的である。画像の縦横は、複数種類ある。従って、撮像する被写体に応じて、カメラを構成する筐体の向きを90°変えて、縦長の画像として撮像する場合と、横長の画像として撮像する場合とがある。例えば、一人の人物を撮像する場合には、縦長の画像として撮像し、複数人が横に並んだ状態で撮像する場合には、横長の画像として撮像する。
【0003】
その結果、撮像して得た画像信号には縦画像と横画像が混在する場合がある。通常、これらの画像データは携帯端末から外部機器(PCや、デジタルフォトフレーム等)に出力して鑑賞ことが多い。しかし、従来の携帯端末の場合は携帯端末内に保存してあるとおりにしかデータを外部に出力できず、その結果、外部機器にて鑑賞する場合、画面に縦や横の写真が混在して現れることになる。
【0004】
特許文献1には、カメラ撮影時の傾斜角を示す情報をフィルムに記憶させることにより、現像所等のプリント過程でその情報に基づいてこの傾斜角が解消されるようにプリント画像を回転させるという技術についての記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−242284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたように、傾斜角情報を画像データに付加して出力した場合には、その画像データを受けた機器側で、表示される画像の縦横を変換する補正処理が必要である。従って、外部機器として、傾斜角情報を判断して補正することに対処した機器である必要がある。このような機能に対応していない外部機器では、縦横が逆の画像が表示されてしまう問題がある。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、どのような外部機器でも適正な縦横の向きで画像を表示させることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、被写体を撮像して画像信号を出力する撮像処理と、撮像処理時の自端末の向きを検出する筐体向き検出処理と、筐体向き検出処理で検出した向きの情報を付加して、前記撮像処理で得た画像信号を記憶する記憶処理とを行う。
そして、記憶された画像信号を読み出す際に、この読み出す画像信号に付加された向きの情報を用いて、読み出した画像信号の縦横を変換する補正を選択的に行う補正処理を行い、その補正処理を行った画像信号を外部機器に出力する。
【0009】
このようにしたことで、自端末に格納されている画像データを外部機器に出力する際に、ユーザは意識することなく、その画像データの天頂方向に自動で補正処理したうえで、外部機器に出力が行われる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、カメラ撮影時に画像データを得ると同時にそのときの自端末の向きの情報を得ることで、外部機器に出力する際に自端末の撮影状況にあわせた画像補正が行われて出力される。従って、出力先である外部機器に特別な画像補正機能を装備する必要がないので、外部機器の機種を問わずに向きが揃った画像データの表示などが行え、違和感ない画像の閲覧が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態の例に係る内部構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態の例に係る撮影時の処理の説明図である。
【図3】本発明の一実施の形態の例に係る画像データの出力時の処理の説明図である。
【図4】本発明の一実施の形態の例に係る出力時における各画像処理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態について、以下の順序で説明する。
1.端末の内部構成(図1)
2.撮影時の処理(図2)
3.画像データの出力時の処理(図3)
4.出力時における各画像の処理(図4)
5.変形例の説明
【0013】
一実施の形態の例を図1〜4を参照して説明する。本実施の形態においては、カメラ付きの携帯電話端末に適用した例である。
【0014】
[1.端末の内部構成]
図1は、本実施の形態の例である携帯電話端末100の内部構成例を示すブロック図である。携帯電話端末100は、マイクロプロセッサ等よりなる制御部101を備え、制御部101は、制御信号が伝送される制御ライン150又はデータが伝送されるデータライン160を介して、携帯電話端末100内の各部と接続されている。そして、制御部101はこれらのラインを通して各部と通信を行い、各部の動作制御を行う。後述するカメラ201で撮像して得た画像に関する処理についても、制御部101が行う。
【0015】
制御ライン150には、通信回路102と、表示部103と、操作部104と、メモリ105と、ジャイロセンサ109と、撮像制御部202と、外部出力部301とが接続されている。
【0016】
通信回路102にはアンテナ106が接続してあり、通信回路102は、アンテナ106で得られた電波を復調して、基地局から伝送された音声信号や各種データなどを取り出す。また、データライン160を介して入力された音声信号を音声処理部109に供給し、出力用の処理をしてスピーカ107に供給して出力させる。また、マイクロホン108を備えて、端末の周囲の音声を拾ってアナログ音声信号として音声処理部110に供給し、音声処理部110で所定のフォーマットの音声信号に変換する。変換された音声信号は、通信回路102に供給する。また、音声信号以外の送信させる各種データについても通信回路102に供給する。通信回路102では、供給される音声信号やその他のデータを、電波に変換してアンテナ106に出力する処理を行う。
【0017】
表示部103は、液晶パネル等で構成される表示パネルと、その表示パネルの駆動部とで構成され、着信した電話の電話番号や、アンテナ106を通して送受信される電子メールの文章等や、カメラからの撮像が表示される。操作部104は、数字などのダイヤルキーやその他の各種機能キーで構成される。そして、それらのキーがユーザに押下された場合に、操作内容に応じた操作信号を生成して制御部101に供給する。
【0018】
メモリ105は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)で構成され、メモリ105には、携帯電話端末100の制御に必要なソフトウェア等が格納されている。また、メモリ105には、制御部101で制御が行われる際に一時的に発生するデータ、カメラ201が撮像して得られた画像データ、ジャイロセンサ109で得た傾斜角に基づいた天頂位置の情報を記憶する領域も備える。
なお、一時的に発生するデータは1次キャッシュメモリとして記憶され、その記憶するデータには、外部機器に出力する前で傾斜角の情報に基づいて補正を行った画像データをも含まれる。またメモリ105は、図1では端末が内蔵したメモリとして示してあるが、例えばメモリカードなどの着脱自在なメモリを使って、画像データや天頂位置の情報を記憶させる構成としてもよい。
【0019】
カメラ201は、撮像制御部202と接続してある。カメラ201で撮像して得られた画像データは、撮像制御部202を通して出力する。カメラ201としてズームレンズなどを備えて、撮像する画角の調整が可能である場合には、撮像制御部202によりその画角調整が制御される。
【0020】
ジャイロセンサ109は、カメラ201の撮像時での、携帯電話端末100本体を構成する筐体の傾斜角を検出する。制御部101は、カメラ201で撮像するタイミングに検出した傾斜角の情報に基づいて、筐体を横向きで撮像したのか、或いは筐体を縦向きで撮像したのかを判断する。そして制御部101は、この判断した横向きか横向きの情報を、撮像時の天頂位置の情報として、撮像して得た画像信号に付加し、メモリ105に記憶させる。例えば、ストレート式携帯電話端末の右側面を上にしてカメラ撮影をした場合は、「天頂位置:左回りに90度に傾斜した向き」という情報となる。なお、ここでの天頂位置とは、撮像して得た画像の上が向いている位置であり、ここでは最大で以下の4つの情報a,b,c,dのいずれかである。
情報a・・・天頂位置:画像の上がそのままの向き
情報b・・・天頂位置:左回りに90度傾斜した向き
情報c・・・天頂位置:右回りに90度傾斜した向き
情報d・・・天頂位置:180度傾斜した向き
通常の撮像状態を想定した場合、180度傾斜した向きで撮像することは希であり、情報dはなくてもよい。
【0021】
コネクタ接続部301は、USBケーブル又は18ピンコネクタを使用して、外部機器と接続を行う。なお、このコネクタ接続部301を通して、外部機器に画像データを出力することができる。
【0022】
この場合、画像データの出力にケーブル接続による通信を示したが、赤外線通信、無線LAN通信、ICデータ通信及びBluetoothなどの電波による近距離無線通信で行っても良い。
【0023】
[2.撮影時の処理]
図2のフローチャートを参照して、携帯電話端末100が、撮像を行い、撮像と同時に自端末の傾斜角の情報を取得して、撮像した画像データと向きの情報を保存する処理例について説明する。
【0024】
図2のフローチャートに従って説明すると、まず、ユーザが携帯電話端末100のカメラ201で撮影を行う(ステップS101)。
【0025】
撮影した画像を画像データとして取得する(ステップS102)。そして、ジャイロセンサ109で、カメラ201の撮影時での、携帯電話端末100本体を構成する筐体の傾斜角を取得する(ステップS103)。
取得した筐体の傾斜角から、画像の天頂位置を検出し、その検出した天頂位置の情報を、画像データと共にメモリ105に記憶させる(ステップS104)。
【0026】
[3.画像データの出力時の処理]
次に、携帯電話端末100が格納してある画像データを、外部機器に出力する場合におけるシーケンスの例を、図3のフローチャートを参照して説明する。図3で示した処理は、携帯電話端末100と外部機器がUSBケーブル又は18ピンコネクタで接続してある場合に行われる処理である。
【0027】
まず、携帯電話端末100の画像補正機能を使用するかを判断する(ステップS201)。この画像補正機能は、メモリ105に保存してある天頂位置の情報に従って、その傾斜角の情報と共に保存されている画像データを天頂方向に向くように、画像補正を行える機能である。例えば、傾斜角の情報が「天頂位置:左回りに90度方向に傾斜」という情報であれば、画像データは右回りに90度方向に回転する補正が行われることである。
なお、この画像補正機能についての例については、別途、[4.出力時における各画像の処理]で説明する。
【0028】
まず、画像補正機能を使用しない場合は、何も変更を加えずに、そのままの状態の画像データはコネクタ接続部301を通して、外部機器に出力する(ステップS205)。
【0029】
画像補正機能を使用する場合、メモリ105に保存してある傾斜角の情報に従って、その傾斜角の情報と共に保存されている画像データが天頂方向に向くように補正処理がなされる(ステップS202)。
【0030】
そして、補正処理がされた画像データは、メモリ105に1次キャッシュメモリとして保存する(ステップS203)。その後、その補正された画像データはコネクタ接続部301を通して、外部機器に出力する(ステップS204)。
【0031】
なお、この補正処理及び出力処理は、選択した画像データのみを行うようにしてもよい。即ち、画像出力させる際などのユーザ操作で1枚の画像ごとに補正のオンオフを選択させて、選択された画像データに対してだけ行うようにしてもよい。
【0032】
[4.出力時における各画像の処理]
図4では、携帯電話端末100内で行われる画像補正処理についての例を説明する。
【0033】
まず、携帯電話端末100本体を構成している筐体の上端が天頂方向を向けて「A」という文字を撮影した場合について例を説明する。この場合に取得する傾斜角の情報は、「上」ということにする。
【0034】
画像補正処理機能がオフにした場合、何もせずにその状態のままで、外部機器に出力する(図4のNo.1参照)。
これに対して、画像補正処理機能がオンにした場合、傾斜角の情報に従って、補正をする。ただ、この場合は天頂方向と天頂位置情報「上」は同一であるので、その状態のままで1次キャッシュメモリに保存される。そして、その画像データを外部機器に出力する(図4のNo.2参照)。
【0035】
次に、携帯電話端末100本体を構成している筐体の上端が天頂方向に対して左まわりに90度方向にあるときに、「A」という文字を撮影した場合についてである。この場合の天頂位置情報は「天頂位置:右回りに90度傾斜した方向」ということにする。
【0036】
画像補正処理機能がオフにした場合、何もせずにその状態のままで、外部機器に出力する。つまり、「A」の文字が右まわりに90度の傾斜した状態の画像のままで、外部機器に出力する(図4のNo.3参照)。
【0037】
画像補正処理機能をオンにした場合、天頂位置情報に従って、補正をする。この場合は、傾斜角の情報は「天頂位置:右回りに90度傾斜した方向」であるため、画像データは左まわりに90度回転させる縦横変換の補正処理を行う。つまり、画像データが撮影時の天頂方向に補正されて、「A」の文字が天頂方向に向く画像データに補正されることである。そして、この補正された画像データが、1次キャッシュメモリに保存されて、外部機器に出力する(図4のNo.4参照)。
また、図示はしないが、傾斜角の情報が「天頂位置:左回りに90度に傾斜」である場合には、図4のNo.4とは逆の補正処理が行われる。即ち、画像データは右まわりに90度回転させる縦横変換の補正処理を行う。さらに、「天頂位置:180度に傾斜」である場合には、画像の上下を反転させる補正処理を行う。
【0038】
なお、図4のNo.4の縦横変換を行う際に、元の画像データの縦横の画素数に納めるためには、画像サイズの縮小処理が必要になる。さらに、その縮小を行った場合には、そのNo.4の縦横変換を行った画像の左右の斜線で示した空白部分の領域が発生する。この空白部分の領域については、例えば全て黒や白などの色の画像として、補正後の画像データとするのが好ましい。
単に縦横の位置の変換処理だけを行った画像データをそのまま外部機器が入力できる場合には、この画像サイズの縮小処理や空白部分の付加処理は不要である。
【0039】
このようにして、本実施の形態によると、画像データの出力先である外部機器に特別な画像処理機能を装備することなく、携帯電話端末内で天頂方向に自動補正した画像データを出力することができる。
従って、携帯電話端末から出力される画像データを受けた外部機器では、供給される画像データをそのまま表示させるだけで、全ての画像の向きを、天頂方向を上とした正しい向きとすることができる。この場合、外部機器ではなんら向きを変える処理が必要なく、また画像データ以外のデータ(即ち天頂位置の情報)を受ける必要がなく、どのような表示装置でも対処が可能である。
【0040】
[5.変形例の説明]
なお、上述した実施の形態では、携帯電話端末に内蔵させたカメラ部について説明したが、いわゆるデジタルスチルカメラなどとして構成された単体のカメラ装置としての端末装置にも適用可能である。或いは、その他の各種電子機器にカメラ部を内蔵させたものにも適用が可能である。
また、上述した実施の形態では、端末の向きの検出にジャイロセンサを使用したが、その他のセンサを検出して向きを検出してもよい。即ち、カメラが内蔵された端末の撮影時の天頂方向(或いは地面方向)などの特定の方向が判るセンサであれば、どのようなセンサでもよい。また、このセンサは専用のセンサでなくてもよく、携帯電話端末などの端末が、その端末自身の動きを検出するために内蔵されたセンサを利用してもよい。
また、上述した実施の形態では静止画像データを得る処理について説明したが、動画像を撮像して保存して出力する場合にも適用可能である。
【符号の説明】
【0041】
100…携帯電話端末、101…制御部、102…通信回路、103…表示部、104…操作部、105…メモリ、106…アンテナ、107…スピーカ、108…マイクロホン、109…ジャイロセンサ、110…音声処理部、150…制御ライン、160…データライン、201…カメラ、202…撮像制御部、301…接続コネクタ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像して画像信号を出力するカメラ部と、
前記カメラ部を収納した筐体の向きを検出する筐体向き検出部と、
前記カメラ部が得た画像信号を記憶する際に、その画像信号を前記カメラ部が得る際に前記筐体向き検出部が検出した向きの情報を付加して記憶するメモリと、
前記メモリに記憶された画像信号を読み出す際に、この読み出す画像信号に付加された向きの情報を用いて、読み出した画像信号の縦横を変換する補正処理を選択的に行う制御部と、
前記補正処理を行った画像信号を外部機器に出力する外部出力部と
を備えた携帯端末。
【請求項2】
前記制御部での補正処理として、
撮影時の筐体の向きが、画像信号で示される画像を縦長に表示させる向きのとき、画像の縦横を変換する補正処理を行い、
撮影時の筐体の向きが、画像信号で示される画像を横長に表示させる向きのとき、補正処理を行わない
請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記制御部は、前記画像の縦横を変換する補正処理を行う際に画像を縮小すると共に、その縮小で生じる空白部分に所定の画像を付加する
請求項2記載の携帯端末。
【請求項4】
前記制御部は、補正処理機能をオンオフができる
請求項1記載の携帯端末。
【請求項5】
被写体を撮像して画像信号を出力する撮像処理と、
前記撮像処理時の自端末の向きを検出する筐体向き検出処理と、
前記筐体向き検出処理で検出した向きの情報を付加して、前記撮像処理で得た画像信号を記憶する記憶処理と、
前記記憶処理で記憶された画像信号を読み出す際に、この読み出す画像信号に付加された向きの情報を用いて、読み出した画像信号の縦横を変換する補正を選択的に行う補正処理と、
前記補正処理を行った画像信号を外部機器に出力する外部出力処理と
を行う画像方向補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−233075(P2010−233075A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79975(P2009−79975)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(502087507)ソニー エリクソン モバイル コミュニケーションズ, エービー (823)
【Fターム(参考)】