説明

携帯電話機及び携帯電話機のアラーム制御方法

【課題】ユーザのパスワードを記憶する負担を軽減させるとともに、新たな特別な動作を必要とせずに日常の動作の中で、自然にかつ未然に複数のパスワードの忘却を防止すること。
【解決手段】本発明の携帯電話機100のパスワード管理部103は、携帯電話機100のアラーム機能以外の機能毎に設定されるパスワードを記憶し、アラーム実行部108は、所定の時刻にアラームを起動する。パスワード照合部109は、アラームが起動された際にユーザによって入力されるパスワードとパスワード管理部103の記憶するパスワードとを照合し、アラーム制御部106は、パスワード照合部109の照合結果が一致した場合にアラーム実行部108を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アラーム機能付きの携帯電話機及びこの携帯電話機のアラーム制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理システムや情報処理端末を利用する機会が急増しており、利用者はそれぞれにおいてパスワードを設定し、個人情報等の機密を保持している。そして、利用者は、自身で設定したパスワードを入力することにより、情報処理システム等を利用することができる。このように、パスワードが必要なシステムを利用するためには、利用者はパスワードを忘れないようにする必要がある。
【0003】
従来、一定期間毎に利用者に対して暗証番号の入力を促す入退室管理装置が開示されている(特許文献1)。この入退室管理装置は、利用者情報を識別した時に、暗証番号入力時期である場合には、利用者に対して、暗証番号の入力を促す。そして、入退室管理装置は、利用者により入力された暗証番号の照合を行うことにより、暗証番号の忘却防止を図っている。
【0004】
また、パスワードを忘れてしまった後に、ユーザにそのパスワードを思い出させるようにする情報処理装置も開示されている(特許文献2)。この情報処理装置は、利用者がパスワードを忘れた時に、利用者自身がその忘れたパスワードを比較的容易に思い出すことができるように援助する。
【0005】
一方、暗証番号を入力することによりアラーム音を停止する携帯電話機のアラーム通知装置が開示されている(特許文献3)。この携帯電話機のアラーム通知装置は、マナーモード、消音モードでも携帯電話のアラーム機能を目覚まし時計として使用していると判断した場合、アラーム音を強制的に鳴らし、アラーム停止のための暗証番号が入力された場合にアラーム音を停止する。
【特許文献1】特開2000−274122号公報
【特許文献2】特開平06−243099号公報
【特許文献3】特開2003−066172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の入退室管理装置では、定期的に暗証番号の入力を促されるので、ユーザにとって、通常必要の無い動作を新たに追加して行うという煩わしさが伴う。
【0007】
また、特許文献2記載の情報処理装置では、利用者がパスワードを忘れた後、つまり、事後的にパスワードを思い出すヒントを提供しているので、利用者は当該装置を利用する前、つまり事前にパスワードの忘却を防止することはできない。
【0008】
さらに、特許文献3記載の携帯電話機のアラーム通知装置では、アラーム音を停止するためだけにパスワードを設定する必要があるので、例えば、携帯電話機の機能毎に設定されるパスワードが複数ある場合には、ユーザの覚えるパスワードの数はさらに増えることになる。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、ユーザのパスワードを記憶する負担を軽減させるとともに、新たに特別な動作を必要とせずに日常行う動作の中で、自然にかつ未然に複数のパスワードの忘却を防止することができる携帯電話機及びこの携帯電話機のアラーム制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の携帯電話機は、携帯電話機のアラーム機能以外の機能毎に設定されるパスワードを記憶するパスワード管理手段と、所定の時刻にアラームを起動するアラーム実行手段と、前記アラームが起動された際にユーザによって入力されるパスワードと前記パスワード管理手段の記憶するパスワードとを照合するパスワード照合手段と、前記パスワード照合手段の照合結果が一致した場合に前記アラーム実行手段のアラームを停止させるアラーム制御手段と、を具備する構成を採る。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、アラーム機能以外の機能に設定されるパスワードを用いてアラームを停止することにより、ユーザのパスワードを記憶する負担を軽減させるとともに、新たに特別な動作を必要とせずに日常行う動作の中で、自然にかつ未然に複数のパスワードの忘却を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る携帯電話機の概要を説明するための図である。
【0014】
図1(a)に示すように、従来の装置では、(1)パスワードを入力してから所定期間(例えば、1週間)経過後に、(2)ユーザはパスワードの入力を促されていた。
【0015】
一方、図1(b)に示すように、本発明に係る携帯電話機では、(1)携帯電話機の有するアラーム機能以外の機能毎にパスワードが設定され、(2)ユーザは、このパスワードが設定された機能から、アラーム停止のためのパスワードを選択する。そして、携帯電話機では、(3)例えば、目覚ましとして利用されるアラーム機能が起動しアラーム音が鳴った時に、ユーザは選択した機能のパスワードを入力し、(4)この入力されたパスワードの照合が行われて、アラーム音が停止される。このように、アラーム機能以外の機能に設定されるパスワードを用いてアラームを停止するだけで、ユーザにパスワードを記憶する負担を強いることなく、日常行う動作の中で自然にかつ未然にパスワードの忘却を防止することができる。以下、具体的に説明する。
【0016】
図2は、本発明の実施の形態に係る携帯電話機100の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0017】
図2に示す携帯電話機100は、入力部101と、複数の機能部102と、パスワード管理部103と、表示部104と、ハッシュ生成部105と、アラーム制御部106と、アラーム選択情報記憶部107と、アラーム実行部108と、パスワード照合部109と、から主に構成される。なお、図1に示す携帯電話機100は、通常の携帯電話機が有するアンテナ、無線通信部、送受信制御部、スピーカ及びマイク等は当然有するものであるが、本実施の形態ではその説明を省略する。また、本実施の形態に係る携帯電話機100においては、説明を簡単にするために機能部102を2個用いて説明を行うが、機能部102の数はこれに限定されるものではない。
【0018】
入力部101は、例えば、携帯電話機100の各種操作ボタン及びスイッチ等(図示せず)で構成され、ユーザからの入力操作を受け付け、操作内容に応じて入力情報を各部に出力する。特に、入力部101は、機能毎のパスワード設定の入力がされた場合は、この入力情報を機能部102に出力する。また、入力部101は、アラームの諸設定及びこのアラームを停止するためのパスワード設定の入力がされた場合は、これらの入力情報をアラーム制御部106に出力する。
【0019】
機能部102は、例えば、非接触決済機能やメール機能等のパスワードを必要とする機能で構成され、ユーザが入力部101により機能毎に設定したパスワードを保持するとともに、このパスワードをパスワード管理部103に出力する。ここで、この機能毎に設定されたパスワードが入力された場合、機能部102は、パスワード照合部109の照合機能とは別の照合機能によりパスワードの照合を行う。そして、機能部102は、照合結果を表示部104に出力し、照合結果が一致した場合には当該パスワードが設定された機能のロックを解除する。また、機能部102は、当該機能がユーザに利用された回数を示す利用回数情報をパスワード管理部103に出力する。
【0020】
パスワード管理部103は、機能部102から入力されるパスワードをハッシュ生成部105に出力し、ハッシュ生成部105で生成されたハッシュ値を保存する。このハッシュ値は、機能名、当該機能の利用回数及び照合回数と関連付けられたパスワード情報として保存される。そして、アラーム制御部106からのアラーム設定の入力情報を受けた際に、パスワード管理部103は、アラーム停止のために設定可能なパスワード情報を表示部104及びアラーム制御部106に出力する。このパスワード情報は、例えば、機能名からパスワードを指定する「機能指定」情報及び当該機能の利用回数からパスワードを指定する「利用頻度指定」情報である。なお、パスワード情報については、後述して説明する。
【0021】
また、アラーム設定の際に「利用頻度指定」が選択された場合には、パスワード管理部103は、アラーム起動時の利用頻度に対応する機能名をアラーム制御部106に出力する。また、パスワード管理部103は、アラーム制御部106から入力されるパスワードをハッシュ生成部105に出力し、ハッシュ生成部105で生成されたハッシュ値を保存する。
【0022】
表示部104は、例えば、液晶ディスプレイ(図示せず)で構成され、機能毎のパスワード設定時のパスワードの入力画面、アラーム設定時のパスワード選択画面及びアラーム停止時のパスワードの入力画面等を表示する。ここで、パスワード選択画面は、アラーム機能が設定可能な機能、つまり、パスワードが設定可能な機能の一覧画面であり、例えば、「機能指定」及び「利用頻度低指定」等の選択方式が表示される。
【0023】
ハッシュ生成部105は、パスワード管理部103から入力されるパスワードから、逆生成不可能なロジックにより当該パスワード毎に異なるハッシュ値を生成し、パスワード管理部103に出力する。このハッシュ値は、アラームが起動された際に、ユーザが入力するパスワードの照合に使われる。
【0024】
アラーム制御部106は、例えば、目覚まし等に利用されるアラームの設定、アラームの起動及び停止を制御する。ここで、アラームの起動は、着信音等のアラーム音、バイブレータ等の振動、及びこのアラーム音と振動の両方を鳴動させることである。
【0025】
具体的には、入力部101から日付、時刻、アラーム音等及びスヌーズ(Snooze)機能等のアラーム設定情報が入力されると、アラーム制御部106は、アラーム停止用のパスワードとして選択可能なパスワードを問い合わせるために、この入力情報をパスワード管理部103に出力し、パスワード管理部103からのパスワード情報を取得する。そして、ユーザから入力部101によりパスワード情報の中から選択したパスワードのパスワード選択情報が入力されると、アラーム制御部106は、このパスワード選択情報をアラーム設定情報とともに、アラーム選択情報記憶部107に出力する。ここで、パスワード選択情報は、「機能指定」により選択された場合には、例えば、非接触決済機能等の機能名であり、「利用頻度指定」により選択された場合には、例えば、利用回数に基づく利用頻度情報である。
【0026】
また、アラーム制御部106は、所定の時刻にアラームを起動させるようにアラーム実行部108を制御するとともに、アラーム選択情報記憶部107に記憶されるパスワード選択情報を表示部104に出力する。ここで、パスワード選択情報が「機能指定」に基づく場合には、選択された機能名がそのまま出力される。一方、パスワード選択情報が「利用頻度指定」基づく場合には、アラーム制御部106は、アラーム起動時の利用頻度情報に基づく機能名をパスワード管理部103から取得し、表示部104に出力する。そして、アラーム制御部106は、アラーム実行部108のアラームの起動後に、パスワード選択情報に従いユーザが入力部101により入力したパスワードをパスワード管理部103に出力する。この時に、アラーム制御部106は、パスワード照合部109に、照合開始の指示情報を出力する。そして、パスワード照合部109からの照合結果が入力され、照合結果が一致した場合には、アラーム制御部106は、アラームを停止させるようアラーム実行部108を制御する。
【0027】
アラーム選択情報記憶部107は、アラーム制御部106から入力されるアラーム設定情報及びパスワード選択情報を記憶する。
【0028】
アラーム実行部108は、アラーム制御部106の指示に従い、所定の時刻にアラームを起動する。また、アラーム実行部108は、アラーム制御部106の指示に従い、アラームを停止する。
【0029】
パスワード照合部109は、アラーム制御部106からの指示情報に従い、パスワード管理部103に記憶される2つのハッシュ値、つまり、アラームの起動後にアラーム制御部106から入力されるパスワードから生成されるハッシュ値と、事前に機能部102から入力されるパスワードから生成されるハッシュ値とを照合して照合結果を生成する。そして、パスワード照合部109は、この照合結果を、パスワード管理部103、表示部104及びアラーム制御部106に出力する。ここで、照合結果が一致しない場合には、パスワード管理部103のパスワード情報の照合に使われたハッシュ値に対応する照合回数は、インクリメントされる。
【0030】
ここで、アラーム停止時のパスワードの入力は、パスワードの忘却防止のための学習が目的であるため、本来の機能がロックされてしまうのはふさわしくない。従って、パスワード照合部109は、パスワード自体ではなく、当該パスワードから生成されるハッシュ値を用いて照合を行うことにより、パスワードが必要な機能に予め備えられている照合機能を使わずにパスワードの照合を行うことができる。その結果、アラーム停止のために入力するパスワードを間違え続けた場合、アラーム機能のみをロックすることができるので、本来の機能自体をロックしてしまう虞がない。なお、ハッシュ値の照合回数が規定回数以上になった場合には、アラーム停止のためのパスワード(ハッシュ値)照合をロックする。この場合に、通常のアラーム機能はロックされず、所定の時刻にアラームは起動する。これにより、例えば、携帯電話機のユーザ以外の第三者が使用した場合には、一定のセキュリティ効果を得ることができる。なお、このロックは、一定期間後に解除される。
【0031】
次に、パスワード情報300について、図3を用いて説明する。図3は、パスワード管理部103に保存されるパスワード情報300のデータ構造を示す図である。パスワード情報300のデータ構造は、機能名301と、ハッシュ値302と、利用回数303と、照合回数304と、で構成される。
【0032】
機能名301は、どの機能のパスワードかを判断するためのキーである。ハッシュ値302は、各機能で設定されるパスワードから逆生成不可能なロジックで生成されたハッシュ値であり、パスワード照合部109での照合に利用される。利用回数303は、各機能の利用回数であり、当該機能の利用回数に応じて更新される。また、この利用回数は、アラーム停止のためのパスワードを、利用頻度の一番低いパスワードに設定するために利用される。また、スヌーズ機能が設定されている場合には、一定の間隔でアラームが起動する毎に、利用回数はインクリメントされる。照合回数304は、アラーム起動後に入力されるパスワードの照合回数であり、照合結果が一致しなかった場合には、インクリメントされる。また、照合回数は、アラーム停止のためのパスワードの照合機能をロックするために用いられる。
【0033】
次に、アラーム停止のためのパスワードを設定する際のパスワード情報について説明する。図4は、パスワード情報400のデータ構造を示す図であり、選択方式401及び選択情報オプション402で構成される。
【0034】
選択方式401は、アラームを停止させるために設定される、つまり、パスワード照合時に使われるパスワードの選択方式である。選択情報オプション402は、各選択方式401に必要な基準情報である。
【0035】
例えば、アラーム設定の際に、ユーザが「機能指定」を選択した場合には、選択された機能名(図4では、機能A)に設定されるパスワードが、アラームを停止するためのパスワード、つまり、照合に使われるパスワードとして設定される。この場合、日常、あまり利用しない利用頻度の低い機能のパスワードを設定することにより、新たに特別な動作を必要とせずに日常行う動作の中で、利用頻度の低い機能のパスワードの忘却を防止することができる。
【0036】
また、アラーム設定の際に、ユーザが「利用頻度指定」を選択した場合には、例えば、利用回数が5回未満のように、利用頻度の比較的低い機能を選択した場合には、アラーム起動時に選択した利用回数未満の機能がソートされ、利用回数の低いパスワードが、照合時に使われるパスワードとしてパスワード管理部103により自動的に設定される。また、例えば、利用頻度が最も低い「利用頻度低指定」を選択した場合には、アラーム起動時に最も利用頻度の低い機能に設定されるパスワードが、照合時に使われるパスワードとしてパスワード管理部103により自動的に設定される。この場合、機能の利用頻度に応じてアラーム停止のパスワードを自動的に設定することができるので、特定のパスワードのみ覚えているような偏りをなくし、満遍なく複数のパスワードの忘却防止を図ることができる。なお、この利用回数は、スヌーズする度にインクリメントされる。また、パスワードの選択方式は、機能名がランダムに選択されるランダム方式としてもよい。
【0037】
次に、上述した構成を有する携帯電話機100の動作を説明する。まず、携帯電話機の各機能のパスワード設定動作について図3及び図5を用いて説明する。図5は、初期登録時のパスワード設定動作を示すフローチャートである。ここで、図3に示すパスワード情報において、機能Aを非接触決済機能として、機能Bをメール機能として説明を行う。
【0038】
まず、ステップS501で、入力部101は、ユーザからパスワード設定操作の入力を受け付けると、機能部102は、表示部104に機能毎のパスワードの入力画面を表示させる。ユーザは、この画面の指示に従って入力部101によりパスワードの入力を行い、機能部102は、機能毎に設定されるパスワードを保存して、設定したパスワードをパスワード管理部103に出力する。また、機能部102は、ユーザが機能を利用した回数を示す利用回数情報をパスワード管理部103に出力する。
【0039】
次いで、ステップS502で、パスワード管理部103は、機能部102から入力されたパスワードをハッシュ生成部105に出力し、ハッシュ生成部105はこのパスワード毎に異なるハッシュ値を生成して、パスワード管理部103に出力する。具体的には、パスワード管理部103は、機能Aの非接触決済機能に設定されたパスワードからハッシュ値「12345678」を生成し、機能Bのメール機能に設定されたパスワードからハッシュ値「98765432」を生成する。
【0040】
次いで、ステップS503で、パスワード管理部103はハッシュ生成部105で生成されハッシュ値を保存する。このハッシュ値は、機能名、当該機能の利用回数及び照合回数に関連付けられて保存される。そして、パスワード設定動作を終了する。
【0041】
次に、アラーム設定動作について説明する。図6は、アラーム設定動作を説明するためのフローチャートである。
【0042】
まず、ステップS601で、入力部101は、ユーザから時刻及びアラーム音等のアラーム諸設定の入力を受けると、入力されたアラーム設定情報をアラーム制御部106に出力する。アラーム制御部106は、入力情報をパスワード管理部103に出力して、アラームの設定可能な機能、つまり、パスワードが設定可能な機能を問い合わせる。そして、パスワード管理部103は、アラームが設定可能なパスワード情報を表示部104及びアラーム制御部106に出力する。
【0043】
次いで、ステップS602で、表示部104は、パスワード管理部103から、例えば、図7に示すようなアラームの設定可能な機能の選択画面700を表示する。この選択画面700には、例えば、「以下の方法から、パスワードを選択してください。」のようなメッセージ701と、パスワードの選択方法である「機能指定」702及び「利用頻度指定」703と、が表示される。
【0044】
次いで、ステップS603で、ユーザは入力部101により「機能指定」又は「利用頻度指定」を選択し、パスワード選択情報をアラーム制御部106に出力する。ここで、ユーザが「機能指定」によりパスワードが設定可能な機能を選択した場合には、当該機能名がパスワード選択情報となる。一方、ユーザが「利用頻度指定」により機能を特定する利用頻度情報を選択した場合には、当該利用頻度情報がパスワード選択情報となる。
【0045】
次いで、ステップS604で、アラーム制御部106は、入力部101から入力されるアラーム設定情報及びパスワード選択情報をアラーム選択情報記憶部107に出力し、アラーム選択情報記憶部107はアラーム設定情報及びパスワード選択情報を記憶する。そして、アラーム設定動作を終了する。
【0046】
次に、アラームが起動した場合の携帯電話機100の動作について図8を用いて説明する。図8は、アラームが起動した場合の携帯電話機100の動作を示すフローチャートである。
【0047】
まず、ステップS801で、アラーム制御部106で設定された所定の時刻にアラーム実行部108がアラームを起動させると、ステップS802で、アラーム制御部106は、パスワード選択情報を表示部104に出力する。ここで、パスワード選択情報が「機能指定」に基づく場合には、アラーム制御部106は、現時点のパスワードが設定される機能名をパスワード管理部103から取得して、表示部104に出力する。これにより、アラーム設定後にパスワードの変更があった場合にも、対応することができる。また、パスワード選択情報が「利用頻度指定」に基づく場合には、アラーム制御部106は、現時点における利用頻度情報に対応する機能名をパスワード管理部103から取得して、表示部104に出力する。これにより、アラーム起動時の利用頻度に応じてパスワードが設定される。そして、表示部104は、例えば、図9に示すパスワード入力画面900のように、アラーム選択情報を表示する。このパスワード入力画面900には、アラーム設定時に選択されたパスワードが設定可能な機能名が表示される。
【0048】
次いで、ステップS803で、ユーザは、入力部101により表示された機能名に設定したパスワードを入力し、アラーム制御部106に出力する。
【0049】
次いで、ステップS804で、アラーム制御部106は、入力部101から入力されたパスワードをパスワード管理部103に出力し、パスワード管理部103は、このパスワードをハッシュ生成部105に出力する。この時、アラーム制御部106は、パスワード照合部109に照合開始の指示情報を出力する。そして、ハッシュ生成部105は、逆生成不可能なロジックにより、この入力されたパスワードからハッシュ値を生成し、生成したハッシュ値をパスワード管理部103に出力する。
【0050】
次いで、ステップS805で、パスワード照合部109は、アラーム制御部106からの指示情報に従い、パスワード管理部103に記憶されるステップS804で生成されたハッシュ値および図5のステップS502で生成されたハッシュ値を照合する。すなわち、パスワード照合部109は、アラーム起動時に入力されるパスワードから生成したハッシュ値と、機能部102で当該機能名に設定されたパスワードから生成したハッシュ値とを照合して、照合結果をパスワード管理部103、表示部104及びアラーム制御部106に出力する。このように、パスワード照合部109は、パスワード自体ではなく、当該パスワードから生成されるハッシュ値を用いて照合を行うことにより、機能部102が当該機能の使用の際に用いる照合機能を使わずにパスワードの照合をすることができる。従って、アラーム停止のために入力するパスワードを間違え続けた場合、アラーム停止のためパスワードの照合機能のみをロックする、つまり、パスワード照合部103のハッシュ値の照合のみを停止させることができるので、機能部102の本来の機能自体をロックしてしまう虞がない。
【0051】
そして、ステップS806で、ハッシュ値が一致した場合には、ステップS807で、アラーム制御部106の指示に従い、アラーム実行部108はアラームを停止する。そして、動作を終了する。
【0052】
一方、ステップS806でハッシュ値が一致しない場合には、ステップS808で、パスワード管理部103は、当該機能名のハッシュ値の照合回数をインクリメントする。ここで、アラーム設定時に「利用頻度指定」によりパスワードが選択されている場合には、パスワード管理部103は、当該機能名の「利用頻度」をデクリメントする。つまり、当該パスワードが設定された機能の利用回数を減らす。
【0053】
次いで、ステップS809で、照合回数が規定回数未満の場合には、ステップS802に戻り、パスワード入力が再度行われる。
【0054】
一方、照合回数が規定回数以上の場合には、ステップS810で、パスワード照合部109はパスワードの照合機能をロックする。すなわち、パスワード照合部109は、ハッシュ値の照合を停止する。なお、このロックは、一定期間後に解除される。また、パスワードの照合機能のみがロックがされるだけで、設定された目覚まし機能自体は停止されず所定の時刻にアラーム実行部108はアラーム音等を鳴動する。このように、パスワードの照合回数が規定回数以上した場合には、例えば、ユーザ以外の第3者がこの携帯電話機100を利用していると判断し、照合機能のみをロックして所定の時間にアラーム機能を実行させることにより、防犯対策効果を得ることができる。
【0055】
また、電車に乗車している時等の緊急時には、アラームが動作している時であっても、マナーモード、又は消音モードに変更することも可能である。なお、この場合には、通常モードからマナーモード等にモードが変更されるだけで、アラーム機能自体は停止しない。
【0056】
このように、本実施の形態によれば、パスワード管理部103は携帯電話機100が有するアラーム機能以外の機能毎に設定されるパスワードを記憶し、アラーム実行部108は所定の時刻にアラームを起動する。そして、パスワード照合部109は、アラームが起動された際にユーザによって入力されるパスワードと前記パスワード管理部103の記憶するパスワードとを照合し、アラーム制御部106は、前記パスワード照合部109の照合結果が一致した場合にはアラーム実行部108のアラームを停止させる。これにより、ユーザのパスワードを記憶する負担を軽減させるとともに、新たに特別な動作を必要とせずに日常行う動作の中で、自然にかつ未然に複数のパスワードの忘却を防止することができる。
【0057】
なお、本実施の形態では携帯電話機を例に説明したが、本発明の適用は携帯電話機に限定されるものではない。例えば、アラーム機能を有して、このアラーム機能以外の機能にパスワードが設定可能な情報端末装置であっても、本発明は適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、アラーム機能以外の機能毎に設定されたパスワードを用いて所定の時刻にアラームを停止することにより、新たに特別な動作を必要とせず、日常行う動作の中で自然にかつ未然に複数のパスワードの忘却を防止することができる効果を有し、アラーム機能付き携帯電話機に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態に係る携帯電話機の概要を説明するための図
【図2】本発明の実施の形態に係る携帯電話機の構成を示す機能ブロック図
【図3】本発明の実施の形態に係るパスワード管理部に保存されるパスワード情報を示す図
【図4】本発明の実施の形態に係るパスワード選択情報を示す図
【図5】本発明の実施の形態に係るパスワード設定動作を説明するためのフローチャート
【図6】本発明の実施の形態に係るアラーム設定動作を説明するためのフローチャート
【図7】本発明の実施の形態に係るパスワード設定可能な機能の選択画面の表示例を示す図
【図8】本発明の実施の形態に係るアラームが起動した場合の動作を説明するためのフローチャート
【図9】本発明の実施の形態に係るパスワード入力画面の表示例を示す図
【符号の説明】
【0060】
100 携帯電話機
101 入力部
102 機能部
103 パスワード管理部
104 表示部
105 ハッシュ生成部
106 アラーム制御部
107 アラーム選択情報記憶部
108 アラーム実行部
109 パスワード照合部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話機のアラーム機能以外の機能毎に設定されるパスワードを記憶するパスワード管理手段と、
所定の時刻にアラームを起動するアラーム実行手段と、
前記アラームが起動された際にユーザによって入力されるパスワードと前記パスワード管理手段の記憶するパスワードとを照合するパスワード照合手段と、
前記パスワード照合手段の照合結果が一致した場合に前記アラーム実行手段のアラームを停止させるアラーム制御手段と、
を具備する携帯電話機。
【請求項2】
前記パスワード管理手段が記憶する前記パスワード毎に第1のハッシュ値を生成し、前記ユーザが入力したパスワードから第2のハッシュ値を生成するハッシュ値生成手段を具備し、
前記パスワード照合手段は、前記第1のハッシュ値と前記第2のハッシュ値とを照合する請求項1記載の携帯電話機。
【請求項3】
前記パスワード照合手段は、照合回数が所定回数以上になった場合に、前記照合を停止する請求項2記載の携帯電話機。
【請求項4】
前記パスワード管理手段は、パスワードが設定された機能の利用回数を記憶し、
前記ユーザが前記アラームを停止するためのパスワードを前記利用回数の少ない順に指定するパスワード指定手段、を具備する請求項1記載の携帯電話機。
【請求項5】
携帯電話機のアラーム機能以外の機能毎に設定されるパスワードを記憶する工程と、
所定の時刻にアラームを起動する工程と、
前記アラームが起動された際にユーザによって入力されるパスワードと前記機能毎に設定されるパスワードとを照合する工程と、
照合結果が一致した場合に前記アラームを停止させる工程と、を具備する携帯電話機のアラーム制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−292546(P2007−292546A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−119260(P2006−119260)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】