説明

携帯電話機

【課題】2つの筐体の回転方向のずれが抑えられた携帯電話機を提供すること。
【解決手段】第1面を有する第1筐体と、前記第1筐体に接続され、前記第1面に垂直に設けられた第1軸と、第2面を有し、前記第2面が前記第1面と平行な状態で前記第1軸周りに回動可能な第2筐体と、前記第1面上に設けられた第1嵌合部と、前記第2面上に設けられた第2嵌合部と、を具備する。前記第1嵌合部及び前記第2嵌合部は、前記第2面が前記第1面に対向した際に嵌合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
第1の筐体と、第2の筐体と、ヒンジ部と、を備え、そのヒンジ部により広げたり閉じたりすることのできる携帯電話機が知られている。その閉じ方の一つとして、第1の筐体と第2の筐体とを平行にした状態で、ヒンジ部を軸として第2の筐体を平面方向(第1の筐体、第2の筐体に平行な平面)に回動させる方式(以下、平面回動方式)が知られている。
【0003】
図1は、上述の平面回動方式の携帯電話機を開いた時の状態を示す平面図である。2つの筐体のうち、第1の筐体102の一面上にはキーボタン105や送話器106が設けられている。一方、第2の筐体101の一面上には、表示画面104や受話器104が設けられている。
【0004】
図2の状態において、第2の筐体101は、ヒンジ部103を軸として平面(紙面に平行な平面)方向に回動することができる。平面方向に90°回動したときの状態が、図2に描かれている。図2の状態から更に回動させ、合計180°回動した状態が図3に描かれている。図3には、携帯電話機が、表示画面などの設けられた面を外側に向けた状態で閉じられている様子が描かれている。
【0005】
一方、図2の状態において、第2の筐体101を、表示画面104等が設けられた面とその背面とが逆になるように回動させることもできる。そして、これらの面が逆となった状態でも、図2と同様に平面方向に回動させることができる。図4は、このようにして携帯電話機を閉じた状態を示している。即ち、図4では、携帯電話機が、表示画面などの設けられた面を内側に向けた状態で閉じられている。
【0006】
ところで、このように平面回動方式の携帯電話機を閉じた際、第1の筐体102と第2の筐体101との相対位置が所望の位置から回転方向にずれてしまう場合がある。これは、筐体やヒンジ部等の各部品を製造する際における寸法ばらつきや、各部品を組み立てた際の組み立てばらつきによるものである。このようなずれは、図5に示されるように、表示画面などを内側にした状態でも起こり得るし、図6に示されるように、表示画面などを外側にした状態でも起こり得る。
【0007】
2つの筐体の回転方向のずれを抑えるための技術が望まれている。
【0008】
上記と関連して、特許文献1には、携帯式コンピュータの止め合わせを行うための装置が記載されている。
【特許文献1】特開2004−272869号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、2つの筐体の回転方向のずれを押さえることのできる携帯電話機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
その課題を解決するための手段が、下記のように表現される。その表現中に現れる技術的事項には、括弧()つきで、番号、記号等が添記されている。その番号、記号等は、本発明の実施の複数の形態又は複数の実施例のうちの少なくとも1つの実施の形態又は複数の実施例を構成する技術的事項、特に、その実施の形態又は実施例に対応する図面に表現されている技術的事項に付せられている参照番号、参照記号等に一致している。このような参照番号、参照記号は、請求項記載の技術的事項と実施の形態又は実施例の技術的事項との対応・橋渡しを明確にしている。このような対応・橋渡しは、請求項記載の技術的事項が実施の形態又は実施例の技術的事項に限定されて解釈されることを意味しない。
【0011】
本発明にかかる携帯電話機(100)は、第1面(8)を有する第1筐体(2)と、第1筐体(2)に接続され、第1面(8)に垂直に設けられた第1軸(31)と、第2面(9)を有し、第2面(9)が第1面(8)と平行な状態で第1軸(31)周りに回動可能な第2筐体(1)と、第1面(8)上に設けられた第1嵌合部(12、14)と、第2面(9)上に設けられた第2嵌合部(13−1、15−1)と、を具備する。第1嵌合部(12、14)及び第2嵌合部(13−1、15−1)とは、第2面(9)が第1面(8)に対向した際に嵌合し合うように設けられている。
このように、第1嵌合部と第2嵌合部とが嵌合することで、第1筐体と第2筐体との相対位置が回転方向にずれることが抑制される。
【0012】
上記の携帯電話機(100)は、更に、第1軸(31)に直交し、第1軸(31)周りに回動する第2軸(32)を具備することが好ましい。第2筐体(1)は、第2軸(32)周りにも回動可能であり、第2筐体(1)は、第2軸(32)を介して第1軸(31)周りに回動可能である。
【0013】
上記の携帯電話機(100)において、第2筐体(1)は、第2面(9)に平行な裏面である第3面(10)を有している。第3面上(10)には、第3嵌合部(13−2、15−2)が設けられている。第3嵌合部(13−2、15−2)は、第3面(10)が第1面(8)に対向した際に、第1嵌合部(12、14)と嵌合するように設けられていることが好ましい。
【0014】
上記の携帯電話機(100)は、その1形態において、第1嵌合部(12、14)は、2つの凹部であり、第2嵌合部(13−1、15−1)は、2つの凸部である。
【0015】
上記の携帯電話機(100)は、他の1形態において、第1嵌合部(12、14)は、2つの凸部であり、第2嵌合部(13−1、15−1)は、2つの凹部であってもよい。
【0016】
上記の携帯電話機(100)において、第1面(8)上には送話器(6)が設けられ、第2面(9)上には受話器(7)が設けられている。
【0017】
上記の携帯電話器(100)において、第2面(9)上には、表示画面(4)がもうけられている。
【0018】
上記の携帯電話機(100)において、第1嵌合部(12、14)は、第1面(8)上に貼り付けられた弾性材(11)に形成されていることが好ましい。
弾性材に、第1嵌合部が設けられていることにより、嵌合時における衝撃が緩和される。よって、第1嵌合部及び第2嵌合部の損傷が防止され、長期的に使用することができる。
【0019】
上記の携帯電話機(100)において、第1嵌合部(12、14)は、第1軸(31)と第1面(8)とが交差する側の反対側に設けられている。
第1軸の反対側に第1嵌合部が設けられていることにより、回転方向に対するずれがより精度よく防止される。
【発明の効果】
【0020】
本発明に依れば、2つの筐体の回転方向のずれが押さえられた携帯電話機が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(実施形態)
図面を参照して、本実施の形態にかかる携帯電話機100の構成を説明する。図7Aは、携帯電話機100の構成を示す上面図であり、開いた状態の図が描かれている。また、図7Bは、図7Aの側面図である。尚、図7Bでは、後述する凹部及び凸部の図示は省略されている。
【0022】
図7A、Bに示されるように、携帯電話機100は、キーボタン側筐体2、表示側筐体1、及びヒンジ部3、を有している。表示側筐体1は、ヒンジ部3を介して、キーボタン側筐体2に接続されている。尚、以下の説明にあたり、キーボタン側筐体2において、キーボタン等が配置された側を上側とし、その背面を下側とする。
【0023】
キーボタン側筐体2の上面(第1面8)には、キーボタン5及び送話器6が設けられている。一方、表示側筐体1には、表示画面4及び受話器7が設けられている。表示画面4及び受話器7は、表示側筐体1の一面(第2面9)に設けられている。図7A、Bでは、表示側筐体1が、第2面9を上側にして配置されている状態が描かれている。尚、実際には、キーボタン側筐体2には凹部を有する弾性材11が貼りつけられ、表示側筐体1には凸部13が設けられているが、図7Bにおいては図示が省略されている。これらの構造については後述する。
【0024】
図7Bに示されるように、ヒンジ部3は、第1軸31と第2軸32と、を有している。第1軸31は、第1面8の一方の側で、第1面8に対して垂直に延びるように設けられている。第2軸32は、一端で第1軸31に接続されている。第2軸32は第1軸31に垂直である。第2軸32の他端は、表示側筐体1の側面に接続されている。
【0025】
このようなヒンジ部3の構造によって、表示側筐体1は、第2軸32回りに回動可能である。また、第2軸32を介して、第1軸31回りにも回動可能となっている。図7C〜図7Eは、この回動動作を説明するための側面図である。図7B〜図7Cを参照して、携帯電話器1を開閉する時の構造について説明する。
【0026】
図7Bの状態から、表示側筐体1を第1軸31回りに180°回動させた状態が図7Cに描かれている。図7Cに示されるように、携帯電話機100は、表示画面4などの設けられた第2面9を上側にした状態で折り畳まれている。
【0027】
一方、図7Bの状態から、表示側筐体1を第2軸32周りに180°回動させた状態が図7Dに描かれている。第2面9が下向きとなった状態である。図7Dの状態から、表示側筐体1を第1軸31周りに180°回動させた状態が、図7Eに描かれている。携帯電話機100は、第2面9を第1面10に対向させた状態で折り畳まれている。
【0028】
このように、携帯電話機100は、表示側筐体1の表示画面側を上側と下側の何れの側に向けることができる。そして、表示側筐体1の第2面9とキーボタン側筐体2の第1面8と平行にした状態で、平面方向に回転させることにより、折り畳むことのできる構造となっている。
【0029】
尚、ヒンジ部3に、更に軸を追加し、平面方向とは直交する方向に表示側筐体1を回転させて折り畳むこともできる構造にしてもよい。
【0030】
再び図7Aを参照する。既述のように、キーボタン側筐体2には、弾性材11が貼りつけられている。弾性材11は、第1面8上において、ヒンジ部3が設けられた側とは逆側の端部近傍に貼りつけられている。弾性材11としては、例えばシリコンゴムを用いることができる。弾性材11には、二箇所に凹部12が設けられている。図9は、図7Aにおいて弾性材11を通るAA断面を示す図である。図9に示されるように、凹部12は、弾性材11の両脇に1箇所づつ設けられている。
【0031】
再び、図7A戻り、表示側筐体1に設けられた凸部13について説明する。凸部13は、表示側筐体1に直接に設けられている。凸部13は、4箇所に設けられている。四つの凸部13のうち2つの凸部13−1は、第2面9上に設けられている。図7Aには、第2面9上の二箇所に凸部13−1が設けられている様子が描かれている。2つの凸部13−1は、第2面9上において、ヒンジ部3と接続する側とは反対側に設けられている。
【0032】
図11は、第2面9を第1面8に対向させて携帯電話機を折り畳んだ状態を示す図である。弾性材11などの構成は透視させて示している。図11に示されるように、第2面9上の2つの凸部13−1は、第2面9を第1面8に対向させて携帯電話機を折り畳んだ時に、二箇所に設けられた凹部12の夫々に対応する位置に設けられている。
【0033】
図13は、図11において、凸部13−1及び凹部12を通るCC断面を示す図である。図13に示されるように、携帯電話機100を折り畳んだ時に、凹部12と凸部13−1とが嵌合するようになっている。
【0034】
一方、4つの凸部13のうち、他の2つの凸部13−2は、第2面9の背面である第3面10に設けられている。図10は、図7Aにおいて、2つの凸部13−2を通るBB断面を示す図である。図10に示されるように、第3面10において、第2面9に設けられた凸部13−1に対応する位置に、2つの凸部13−2が設けられている。図12は、第2面を上側として、即ち第3面10を第1面8に対向させて、携帯電話機100を折りたたんだ状態を示す図である。図12に示されるように、第2面9を上側にして携帯電話機100を折り畳んだ時には、第3面10上に設けられた凸部13−2が、凹部12に嵌合する。
【0035】
これらの凸部13は、曲面で形成されていることが好ましい。曲面で形成されていることにより、回転時の凸部13と筐体との擦れによる塗装剥がれなどを抑制することができる。また、凹部12及び凸部13の高さは、携帯電話機100を閉じた時に、表示側筐体1とキーボタン側筐体2との間のクリアランスが適切なものとなるように設計される。
【0036】
以上説明したように、本実施の携帯にかかる携帯電話機100では、キーボタン側筐体2に対して表示側筐体1を平面方向で回転させて折り畳んだ時に、凸部13と凹部12とが嵌合するので、回転方向の位置ずれが抑制される。
【0037】
また、キーボタン側筐体2に設けられた凸部13は、弾性材11に設けられているので、表示側筐体1が凸部13上を移動する時にも妨害とならない。さらには、嵌合時の衝撃が防止されるので、凹部12及び凸部13の損傷が防止される。
【0038】
尚、本実施の形態においては、キーボタン側筐体2の弾性材に凸部13が設けられた場合について説明したが、図14に示されるように、キーボタン側筐体2の弾性材11には凹部14が設けられ、表示側筐体1には凸部15−1、15−2が設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】従来の携帯電話機の構造を示す上面図である。
【図2】従来の携帯電話機の構造を示す上面図である。
【図3】従来の携帯電話機の構造を示す上面図である。
【図4】従来の携帯電話機の構造を示す上面図である。
【図5】従来の携帯電話機の構造を示す上面図である。
【図6】従来の携帯電話機の構造を示す上面図である。
【図7A】本発明にかかる携帯電話機の構造を示す上面図である。
【図7B】本発明にかかる携帯電話機の側面図である。
【図7C】本発明にかかる携帯電話機の側面図である。
【図7D】本発明にかかる携帯電話機の側面図である。
【図7E】本発明にかかる携帯電話機の側面図である。
【図8】本発明にかかる携帯電話機の構造を示す上面図である。
【図9】図7AのAA断面を示す図である。
【図10】図7AのBB断面を示す図である。
【図11】本発明にかかる携帯電話機の構造を示す上面図である。
【図12】本発明にかかる携帯電話機の構造を示す上面図である。
【図13】図11のCC断面を示す図である。
【図14】図11のCC断面の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1 表示側筐体
2 キーボタン側筐体
3 ヒンジ部
31 第1軸
32 第2軸
4 表示画面
5 キーボタン
6 送話器
7 受話器
8 第1面
9 第2面
10 第3面
11 弾性材
12 凹部
13 凸部
14 凹部
15 凸部
100 携帯電話機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を有する第1筐体と、
前記第1筐体に接続され、前記第1面に垂直に設けられた第1軸と、
第2面を有し、前記第2面が前記第1面と平行な状態で前記第1軸周りに回動可能な第2筐体と、
前記第1面上に設けられた第1嵌合部と、
前記第2面上に設けられた第2嵌合部と、
を具備し、
前記第1嵌合部及び前記第2嵌合部は、前記第2面が前記第1面に対向した際に嵌合する
携帯電話機。
【請求項2】
請求項1に記載された携帯電話機であって、
更に、
前記第1軸に直交し、前記第1軸周りに回動する第2軸
を具備し、
前記第2筐体は、前記第2軸周りにも回動可能であり、
前記第2筐体は、前記第2軸を介して前記第1軸周りに回動可能である
携帯電話機。
【請求項3】
請求項2に記載された携帯電話機であって、
前記第2筐体は、前記第2面に平行な裏面である第3面を有し、
前記第3面上には、第3嵌合部が設けられ、
前記第3嵌合部は、前記第3面が前記第1面に対向した際に、前記第1嵌合部と嵌合するように設けられている
携帯電話機。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載された携帯電話機であって、
前記第1嵌合部は、2つの凹部であり、
前記第2嵌合部は、2つの凸部である
携帯電話機。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載された携帯電話機であって、
前記第1嵌合部は、2つの凸部であり、
前記第2嵌合部は、2つの凹部である
携帯電話機。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載された携帯電話機であって、
前記第1面上には送話器が設けられ、
前記第2面上には受話器が設けられている
携帯電話機。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載された携帯電話器であって、
前記第2面上には、表示画面がもうけられている
携帯電話機。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載された携帯電話機であって、
前記第1嵌合部は、前記第1面上に貼り付けられた弾性材に形成されている
携帯電話機。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載された携帯電話機であって、
前記第1嵌合部は、前記第1軸と前記第1面とが交差する側の反対側に設けられている
携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−335949(P2007−335949A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−162151(P2006−162151)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】