説明

搾乳動物の発情行動を検出するための方法

本発明によれば、搾乳動物の発情行動を検出するための方法(10)が提供される。搾乳動物は搾乳動物の活動レベルを検出するためのセンサー手段を与えられている。方法(10)は、センサー手段によって搾乳動物の活動レベルの増加を監視し(11)、そして設定しきい値活動レベルの増加に依存して発情行動を検出する(12)ことを含み、前記しきい値活動レベルの増加は搾乳動物の発情行動を示し、一日の時間に依存して設定される。本発明は搾乳動物の発情時を決定するための信頼性のある手段を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搾乳動物の分野に関し、特に請求項1の導入部分に規定された搾乳動物の発情行動を検出するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の雄牛の望ましい性質を多くの雌に遺伝させるために又は繁殖問題を克服するために酪農産業では人工授精が使用されている。従って、改良された乳製品のための形質を有する雄牛の精子を受胎させるために、多くの乳牛又は他の搾乳動物に対して人工授精を行う。しかしながら、うまく人工授精を行うための前提条件は、飼育者が排卵の時期を正確に推定できることである。
【0003】
多くのアジアの国々は主要な牛の種としてスイギュウに依存し、スイギュウの飼育がこれらの国々の多くにおいて優勢である。スイギュウの乳の脂肪含有量は家畜動物の中で最も高く、従ってスイギュウは搾乳動物として広範に使用されている。スイギュウを例として挙げると、雌のスイギュウは例えば乳牛と比較して弱い発情の兆候を示す。それゆえ、排卵の時期を推定することは特に難しい。スイギュウの雄牛であっても雌のスイギュウが排卵するときを正確に知ることに困難性を持ちうる。スイギュウの目立たない発情の高い頻度は人工授精をうまく導入するための主な障害である。
【0004】
しかしながら、発情行動は同様に他の搾乳動物でも検出することは困難でありうる。乳牛は拘束されて保持されることが多く、かかるシステムでは、発情の検出は、乳牛がそれらの自然の行動を表現することに対する制限のためにより困難になっている。それゆえ、拘束された環境の発情行動の検出は困難である。
【0005】
乳牛の発情行動を検出するための公知の方法がある。例えば、活動の監視は乳牛が発情しているか否かを決定するための手段として使用されることができる。なぜならば乳牛は発情時に落ち着かなくなり、高い活動レベルを持つからである。それゆえ、乳牛によってとられる歩数の増加は発情の兆候としてとられることができる。
【0006】
活動の監視は発情行動を検出するためにかなり信頼性があるが、搾乳動物の発情行動を見落とすことがなお存在しうる。発情行動は一年の季節、昼間及び夜間の温度のような様々な要因によって影響され、例えば乳牛は一般に、寒い天候のときにより顕著に発情行動を示す。発情行動に影響する要因の別の例は収容状態であり、それはまた、24時間の発情の分布に対して影響を持ちうる。さらに、ある搾乳動物、例えばスイギュウは昼間及び夜間に異なるレベルの活動を持ち、それは乳牛が発情しているときを検出することをより困難にする。
【0007】
検出されない発情は妊娠間隔を数週間長くし、搾乳動物は正当な理由のない不妊に対して処分されうる。さらに、見落とした発情はまた、飼育者に対してコストをもたらす。
【0008】
上記に照らして、搾乳動物が発情しているときを検出するための手段を提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、従来技術の欠点を克服又は少なくとも緩和しながら、搾乳動物が発情しているときを検出するための信頼性のある方法及び手段を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、飼育者が繁殖を最適な方法で計画するために雄牛によるマウンティング又は授精のための最適な時機を飼育者が決定するための方法を提供することである。
【0011】
これらの目的は特に、特許請求の範囲に記載されたように、搾乳動物の発情行動を検出するための方法によって及びコンピュータプログラム製品によって達成される。
【0012】
本発明によれば、搾乳動物の発情行動を検出するための方法が提供される。搾乳動物は活動レベルを検出するためのセンサー手段を与えられる。この方法は、センサー手段によって搾乳動物の活動レベルの増加を監視し、設定しきい値活動レベルの増加に依存して発情行動を検出する工程を含み、しきい値活動レベルの増加は搾乳動物の発情行動を示し、一日の時間に依存して設定される。本発明は、搾乳動物が発情しているときを決定するための信頼性のある手段を提供する。信頼性の向上は、搾乳動物の発情行動を示す調整可能な活動レベルの増加を利用することによって達成される。それによって、飼育者は、搾乳動物が発情しているときを決定するための最も効率的な手段を与えられ、飼育者は繁殖プログラムを最適化することができる。これは、妊娠ごとの飼育者の世話が少なくなることにより繁殖コストの低下に導く。本発明はまた、目立たない発情を有する搾乳動物の妊娠を増加する。従って、この方法は、例えばスイギュウのような一日の時間に依存して異なる発情行動を有する搾乳動物のために好適である。なぜならば彼らの発情行動は昼間と夜間の時で異なるからである。
【0013】
本発明の別の実施形態によれば、活動の監視は搾乳動物についての他のデータと組み合わされる。活動の監視は、例えば動物IDを記録するためのリーダを備えた搾乳所外の自動給餌器又は他の家畜小屋の装置(例えば水鉢または飼い葉桶)への訪問の頻度、視覚的監視システムからの情報、最後の分娩からの時間についてのデータ、手動で観察される発情の最後の日、確認された妊娠の日、及び乳中のプロゲステロンレベルの測定からのデータのうちの一つ以上と組み合わされることができる。それによって、搾乳動物の排卵の時間を検出する際にさらに向上した信頼性が得られる。
【0014】
本発明のさらに別の実施形態によれば、搾乳動物の発情行動の検出時にユーザーに警告するために警報が始動される。かかる警報は例えば可聴警報又は視覚的警報であることができるだろう。
【0015】
本発明のさらなる実施形態は従属請求項に規定され、また以下の詳細な説明から明らかであるだろう。
【0016】
本発明のさらなる側面によれば、コンピュータプログラム製品が提供され、それによって上記と同様の利点が達成される。特に、本発明はそれによって既に存在する搾乳システムにおいて容易に実施されることができる。
【0017】
本発明のさらなる特徴及びその利点は、以下に与えられた本発明の実施形態の詳細な説明及び添付図面から明らかであるだろう。それらは例示によって与えられるにすぎない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、夜間及び昼間の搾乳動物の活動レベルの増加の差を概略的に示す。
【0019】
【図2】図2は、本発明の工程を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
一般に、搾乳動物の発情行動を示すために設定される予め決められた活動レベルの増加がある。特に、搾乳動物の活動は経時的に監視され、活動レベルの一定の増加は発情行動を示すために設定される。しかしながら、導入部で述べたように、搾乳動物の発情行動に影響を与える様々な要因があり、彼らが発情しているときを検出することは困難であることが多い。
【0021】
本発明によれば、搾乳動物の活動レベルの増加は発情の検出に関して調整可能にされる。即ち、搾乳動物が発情していることを示す活動レベルの増加は個々の基準で別々に設定される。特に、活動レベルの増加は一日の時間に依存して設定され、24時間にわたって異なることができる。
【0022】
例えば、特定の第一搾乳動物は朝に最も顕著に(活動増加によって測定される)発情行動を示しうるが、第二搾乳動物は正午〜午後6時に最も顕著に発情行動を示しうる。さらに、第一搾乳動物は発情していないときと比べて発情時に活動レベルに小さな差を持つことができ、第二搾乳動物は発情時と発情していない時で活動レベルに大きな差を持つことができる。要するに、第一搾乳動物の一定の活動レベルの増加はこの動物の発情を示しうるが、第二搾乳動物に対する同じ活動レベルの増加はこの動物の発情を示すとは限らない。
【0023】
特に、もししきい値活動レベルの増加が24時間にわたって全ての搾乳動物に対して等しく設定される(それは今日の一般的な慣習である)なら、ある搾乳動物に対しては誤った発情行動が検出されることがあり、又は別の搾乳動物に対しては発情行動を見落とすことがありうる。
【0024】
本発明によれば、各個々の動物の知識は特定の搾乳動物の発情行動を示す最も適切な活動レベルの増加を設定するために使用される。以下において、調整可能で個々に設定される活動レベルの増加はΔLTODで示される。
【0025】
以下において、スイギュウは本発明の態様を示すための例として使用される。スイギュウは、発情行動になるときに昼間は夜間ほど活動的でなく、それはスイギュウが発情しているときを検出することを困難にする。特に、スイギュウが発情していることを示すはずである好適な活動レベルの増加を設定することは難しい。スイギュウの一定の昼間の活動レベルの増加は発情していることを示すかもしれないが、夜間の同じ活動レベルの増加は発情していることを必ずしも示さない。
【0026】
それゆえ、発情検出に関するスイギュウの活動レベルの増加に対する調整可能な感度が本発明に従って使用される。即ち、発情しているスイギュウを示す活動レベルの増加ΔLTODは一日の時間に依存して異なるように、特に昼間及び夜間の時に異なるように設定される。昼間は、発情行動を示す活動レベルの増加ΔLTODが夜間より少ない。かかる発情関連の活動レベルの増加に対して昼間は夜間に比べてより高い感度が要求される。
【0027】
一定の昼間の活動レベルの増加は、昼間にスイギュウが発情しているときを決定するためのしきい値として使用される。もし昼間の活動レベルの増加が昼間に測定されるなら、そのときスイギュウが発情していることが決定される。
【0028】
同様に、昼間の活動レベルの増加とは一般に異なる夜間の活動レベルの増加は、夜間にスイギュウが発情しているときを決定するためのしきい値として使用される。もし夜間の活動レベルの増加が夜間に測定されるなら、そのときスイギュウが発情していることが決定される。
【0029】
時間依存の活動レベルの増加は昼間と夜間の通常の活動レベルに対してそれぞれ設定される。通常の活動レベルは、スイギュウが発情しているときにスイギュウの平均化された活動レベルとして設定されてもよい。スイギュウは一般に、昼間により活動的であるので、スイギュウが発情していないときであってもスイギュウは夜間の活動レベルと比較して昼間により高い活動レベルを持つ。
【0030】
発情行動を示すために設定された活動レベルの増加ΔLTODは、スイギュウが発情していないときの活動レベルと比較した活動レベルの増加である。スイギュウの発情と関連する昼間の活動レベルの増加は一般に、スイギュウが発情しているときの夜間の活動レベルの増加より低い。同様に、活動の増加に対する感度は夜間より昼間の方が高い。
【0031】
図1は、夜間及び昼間の上述の活動レベルの差を示す。示されたレベルは、昼間及び夜間の活動レベルの差を明確にしかつ説明するためにだけ使用され、実際の値又は関係ではないことが指摘される。左手側には、スイギュウの夜間活動レベルLが示されている。夜間は、例えばある日の最後の搾乳時と次の日の最初の搾乳時の間、又は例えば21:00時〜06:00時のような特定の時間の間であることができるだろう。右手側には、スイギュウの昼間活動レベルLが示されている。昼間は24時間の残っている部分である。図の昼間及び夜間の部分の両方に対して、それぞれの通常の活動レベルL及びL、並びにスイギュウが発情しているときを示すそれぞれの活動レベルの増加ΔL及びΔLが示されている。即ち、ΔLTODは夜間のΔLに、そして昼間のΔLに設定される。
【0032】
図1を研究することによって理解されることができるように、発情行動を示す活動レベル増加ΔL及びΔLが昼間及び夜間で同一であるならスイギュウの発情行動を検出することが難しいだろう。もしΔLがΔLとΔLの間のどこかのレベルのΔLに等しく設定されるなら、そのとき夜間に誤った発情行動を検出するか又は昼間の実際の発情行動を見落とすだろう。
【0033】
本発明によれば、発情行動を決定するために使用される活動レベルの増加は一日の時間に依存して調整可能であることができる。一般に、ΔL>ΔLであるが、スイギュウの中には個々に違いがあるかもしれない。それゆえ、活動レベルの増加は問題の特定のスイギュウに対して好適な個々の基準で設定されることができる。異なる活動レベル増加が使用される時間はスイギュウ間で異なってもよく、それを考慮されて設定されることができる。
【0034】
上の記載では、スイギュウに対する昼間及び夜間の活動レベルの増加の違いを記載したが、発情行動が一日の時間に依存して異なる他の搾乳動物も存在する。本発明の出願人によって実施される研究は、拘束されたシステムで収容される乳牛が発情時に活動レベルの増加が少ないことを示す。特に、搾乳動物のために利用可能な限定された空間は活動レベル、即ち「通常の」行動及び高低レベルの両方に影響する。それゆえ、拘束された搾乳動物に対して、通常の活動レベルと高い活動レベルの間の比は自由な収容の搾乳動物と比較して減少する。それゆえ、飼い葉桶の活動のような昼間の房内の出来事は搾乳動物の発情行動の検出を難しくする。即ち、房内の出来事によって生じる搾乳動物の活動レベルの増加は発情行動として間違って判断されうる。乳牛の行動に対する環境の影響は夜に最も少なく、それゆえスイギュウに対してのように発情行動が夜の時間により容易に検出されることができる。
【0035】
搾乳動物の活動レベルを監視するために利用可能な様々なセンサー手段が存在する。歩数計は動物によってとられる歩数をカウントし、かかる歩数計は本発明において搾乳動物の活動レベルを決定するためのセンサー装置として使用されることができる。使用可能なセンサー装置の別の例は、例えば搾乳動物の首又は脚に装着される加速計である。加速計は歩数計と似ているが、歩数をカウントする代わりに、それは単位時間(例えば分)あたり活動カウントを記録し、肉体的活動の強さを示し、歩数計が見落とす小さな動きを拾い上げる。搾乳動物の運動パターンを記録することができるセンサー手段は全て本発明において使用可能である。
【0036】
センサー装置は好ましくは活動レベルを連続的に監視するように配置されるべきであるが、活動レベルを間欠的に記録するセンサー装置を使用することができる。センサー装置、例えば活動メーターは内部メモリーに活動データを記憶するように配置されることができる。センサー装置によって記録された情報は次いで、一つ以上の情報受け取りユニットに、好ましくは少なくとも1時間ごとに、より好ましくはさらに頻繁に送られることができる。情報が送られる頻度は昼間及び夜間で異なることができ、又は24時間のうちの他の時間に依存して異なることができる。センサー装置からの情報の送信は無線送信又は有線送信のいずれによってもなされることができる。あるいは、飼育者はセンサー装置から直接に情報の手動読み取りを行うことができる。
【0037】
活動監視から収集されたデータは搾乳動物についての他のデータと組み合わされ相関されることができる。例えば、活動監視は、水鉢又は飼い葉桶のような動物のIDを記録するための読み取り器を備えた搾乳所外の自動給餌器又は他の家畜装置への訪問の頻度と組み合わされることができる。搾乳動物の発情行動の検出の信頼性を高めるために使用されることができる他のデータの例は、視覚的監視システム(例えば、カメラ)からの情報、最後の分娩からの時間についてのデータ、手動で観察される発情の最後の日、確認された妊娠の日、及び乳中のプロゲステロンレベルの測定からのデータを含む。さらに別の例として、他の搾乳動物のライディングは発情の兆候であることができるが、全てのライディングが必ずしも発情を伴うわけではない。それゆえ、スイギュウがライディングするとき又はスイギュウが他の搾乳動物によってライディングされるときに特定の動物に対して発情の最も決定的な兆候でありうる。かかる行動は視覚的に検出されるか又は発情量検出器によって検出されることができ、かかるデータは一日の時間に依存するしきい値活動レベルの増加ΔLTODと組み合わされることができる。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、活動レベルは夜間の時間のみ監視される。これは、ある場合において、例えば拘束された環境にある搾乳動物のための前述のような場合において発情行動のより信頼性のある検出を提供する。
【0039】
本発明によれば、搾乳動物の活動レベルに影響しかつ房内で起こる出来事は、特定の時間の間に記録される活動レベルを無視することによって考慮されることができる。例えば、搾乳動物が給餌される特定の時間は無視されることができる。房内の出来事はスイギュウの行動に、さらに活動レベルに影響を持ちうる。一定時間の間の活動増加の記録のこの省略は、発情行動によってではなく房内の出来事によって生じる活動増加を考慮したためである。
【0040】
データはいかなる好適な方法でも組み合わされることができ、搾乳動物が発情し、それによって最適な繁殖の時間にあるときに搾乳動物の管理者又は生産者に警告するための最も効果的なツールを得るための基準として適切なソフトウェア及びアルゴリズムによって処理されることができる。
【0041】
さらに、発情行動を示す個々に設定されたしきい値活動レベルの増加ΔLTODは、検出され確認される発情期間の後に更新されることができ、それによって設定しきい値活動レベルの増加ΔLTODの精度をさらに向上させる。即ち、特定の動物が発情しているときを決定するために使用されるデータは評価されることができ、しきい値活動レベルの増加ΔLTODはそれに依存して調整されることができる。例えば、もしかかる評価が、検出された活動レベルの増加が発情していることを決定する設定しきい値活動レベルの増加ΔLTODよりずっと上であることを示すなら、そのとき発情行動を示す設定しきい値活動レベルΔLTODは増大されることができる。同様に、もし検出された活動レベルの増加が発情行動を示す設定しきい値活動レベルの増加に近いなら、そのとき設定しきい値活動レベルΔLTODは低下されることができる。
【0042】
図2は、本発明による方法の工程を示す。さらなる工程は図に示されていないが、含めることができる。搾乳動物の発情行動を検出するための方法10では、好適なセンサー手段が搾乳動物の活動レベルを検出するために使用される。工程11では、搾乳動物の活動レベルはセンサー手段によって監視される。その後、工程12では、発情行動はしきい値活動レベルの増加ΔLTODに依存して検出される。設定しきい値活動レベルの増加ΔLは搾乳動物の発情行動を示す。しきい値活動レベルの増加ΔLTODは特定の搾乳動物に対するデータに依存して、特に一日の時間に依存して設定される。即ち、検出された活動レベルの増加が設定しきい値活動レベルの増加ΔLTODに到達するとき、スイギュウが発情していることが確立される。
【0043】
上述したように、方法10はさらなる工程を含めることができる。例えば、搾乳動物の活動レベルを監視する工程は一時間に少なくとも一回活動レベルを更新することを含むことができる。方法10は好適な方法でセンサー手段からの情報を情報受け取りユニットに送る追加の工程を含むことが好ましい。情報受け取りユニットはコンピュータのような処理ユニットを含むことができる。センサー手段から得られたデータはそのときコンピュータで処理されることができる。データは、前述したように、搾乳動物についての他のデータと組み合わせることができ、それによって検出の信頼性を高めることができる。追加工程のさらに別の例は、搾乳動物についての新しいデータに依存してしきい値活動レベルの増加ΔLTODを更新することを含む。追加工程のさらに別の例は、発情行動についてその検出時に飼育者に警告することを含む。かかる警報は可聴警報又は照明装置などの形の視覚的警報であることができる。
【0044】
搾乳動物の発情行動を検出するための本発明による方法の別の実施形態では、搾乳動物が識別される。識別は公知の方法で、例えば手動で又は識別タグもしくはトランスポンダーユニットのような他の識別手段を搾乳動物に装着させることによってなされることができる。識別はそのとき受け取りユニットに送られる情報に含めるべきである。
【0045】
発情行動を示す活動レベルの増加ΔLTODは、夜間より昼間の方が活動増加に対して高い感度を有するように設定されることができる。これは特にスイギュウに対して好適である。なぜならば彼らの発情行動は昼間と夜間では異なるからである。これは拘束された環境で収容される乳牛に対しても好適である。
【0046】
従って、個別の基準でしきい値活動レベルの増加を設定することよりむしろ、しきい値はある群の動物に対して、又は搾乳動物の特定の種(例えばスイギュウ又はラクダ)に対して設定される。
【0047】
三つ以上のしきい値活動レベルの増加、例えば午前6:01〜午後2:00の第一活動レベルの増加、午後2:01〜午後10:00の第二活動レベルの増加、及び午後10:01〜午前6:00の第三活動レベルの増加を設定できることが注意される。あるいは、四つ又はさらに多いしきい値活動レベルの増加が設定されることができる。
【0048】
本発明はまた、コンピュータの内部メモリにロード可能なコンピュータプログラム製品に関する。コンピュータは、搾乳動物によって担持される活動センサー手段から得られたデータを監視及び/又は処理するために使用される。コンピュータはセンサー手段からのデータを直接的に又はアンテナによって又は他の受け取りユニットによって受け取るように配置されることができる。コンピュータプログラム製品は、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実施されるときに上記の方法を実施するためのソフトウェアコード部分を含む。即ち、コンピュータプログラム製品は活動レベルを監視するため及び搾乳動物の発情行動を検出するために、特定の搾乳動物のために好適なデータに基づいて各動物に対して個々に活動しきい値を設定するためのソフトウェアコード部分を含む。ソフトウェアコード部分は例えば通常の活動レベルを、センサー装置から受け取った活動レベルと比較する仕事を実施することができる。それはそのとき発情行動を示すしきい値活動レベルの増加ΔLTODが到達されるときを決定することができる。それによって本発明は既存のスイギュウ搾乳システムで容易に実施される。
【0049】
コンピュータプログラム製品は代替的にコンピュータ可読記憶媒体、例えばコンパクトディスクに記憶されてもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータが上記方法を実施するためのコンピュータ可読プログラムコード手段を含む。
【0050】
一日の時間に依存して活動レベルが異なる発情行動(それは様々な要因に依存しうる)を持つ全ての搾乳動物は本発明から利益をもたらされうる。上の記載において、スイギュウは畜牛の一例として使用され、それに対して本発明が有利である。しかしながら、本発明はウシ科の他の種類、例えばアフリカスイギュウのような他のスイギュウ又はバイソンに対しても適用可能である。搾乳動物のさらなる例としては、乳牛、ヤギ、羊及びラクダが挙げられる。本発明はここに述べられていない他の搾乳動物と関連して実施されることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搾乳動物の発情行動を検出するための方法(10)であって、搾乳動物が前記搾乳動物の活動レベルを検出するためのセンサー手段を与えられている場合において、以下の工程を含むことを特徴とする方法:
− 前記センサー手段によって搾乳動物の活動レベルの増加を監視し(11)、そして
− 設定しきい値活動レベルの増加(ΔLTOD)に依存して発情行動を検出する(12)、但し前記しきい値活動レベルの増加(ΔLTOD)は搾乳動物の発情行動を示し、一日の時間に依存して設定される。
【請求項2】
発情行動を示す前記活動レベルの増加(ΔLTOD)は、夜間より昼間の方が活動レベルの増加に対して高い感度を有するように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
情報を前記センサー手段から情報受け取りユニットに送る工程をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記情報を前記センサー手段から送る工程は一時間に少なくとも一回実施されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記情報受け取りユニットにおいて前記情報を処理する工程をさらに含むことを特徴とする請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記処理する工程は前記センサー手段からの情報と前記搾乳動物についての他のデータと組み合わせることを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記他のデータは、搾乳所外の自動給餌器への訪問の頻度、視覚的監視システムからの情報、最後の分娩からの時間についてのデータ、手動で観察される発情の最後の日、確認された妊娠の日、及び乳中のプロゲステロンレベルの測定からのデータのうちの一つ以上を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
発情行動の検出時にユーザーに警告するために警報が始動されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記しきい値活動レベルの増加(ΔLTOD)は検出された発情期間後に更新されることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記搾乳動物の活動レベルの増加を監視する工程は連続的に実施されることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記搾乳動物はスイギュウ(buffalo)であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記活動レベルの増加を監視する工程は夜間だけ実施されることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
給餌時間のような予め決められた時間の間、活動レベルの増加を無視する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
搾乳動物によって担持されるセンサー手段からの情報を受け取るための手段を含むコンピュータの内部メモリ内にロード可能なコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品が前記コンピュータ上で実施されるときに請求項1〜13のいずれかに記載の方法を実施するためのソフトウェアコード部分を含むことを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項15】
コンピュータ可読記憶媒体に記憶されることを特徴とする請求項14に記載のコンピュータプログラム製品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2010−532991(P2010−532991A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516005(P2010−516005)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【国際出願番号】PCT/SE2008/050732
【国際公開番号】WO2009/011641
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(500215931)デラヴァル ホルディング アーベー (13)
【Fターム(参考)】