説明

摩擦圧接方法および摩擦圧接装置

【課題】摩擦圧接によって接合したワークの引っ張り強度を強くしかつ見栄えに優れ得る摩擦圧接方法を提供する。
【解決手段】一対のワークW1,W2を相対回転させつつ押し当てることで一対のワークW1,W2を摩擦圧接する摩擦圧接工程と、摩擦圧接した一対のワークW1,W2の接合部W3近傍に高周波誘導加熱によって熱処理を施す熱処理工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のワークを相対回転させつつ押し当てることで一対のワークを摩擦圧接する摩擦圧接方法および摩擦圧接装置に関する。
【背景技術】
【0002】
摩擦圧接によって接合した一対のワークを引っ張り試験した場合、ワークは、一般に熱影響を受けた接合部近傍のHAZ部において破断が生じる。摩擦圧接した後にワークを焼き鈍しした場合は、HAZ部における強度が強くなって、ワークは、母材部において破断して引っ張り強度が強くなる。従来、摩擦圧接ではないが、溶接によって一対の配管を接合し、溶接部近傍に高周波誘導加熱による熱処理を施す方法も知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−248350号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常、摩擦圧接されたワークに焼き鈍しを行う場合、電気炉が使用されている。例えば直径12mmのS55C材の摩擦圧接部に焼き鈍しを行う場合は650℃で2時間程の処理時間が必要とされていた。しかしこの際、ワークの外表面が酸化して見栄えが悪くなるという問題が生じる。そこで本発明は、摩擦圧接によって接合したワークの引っ張り強度を強くしかつ見栄えに優れ得る摩擦圧接方法および摩擦圧接装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するために本発明は、各請求項に記載の通りの構成を備える摩擦圧接方法または摩擦圧接装置であることを特徴とする。すなわち請求項1に記載の発明によると、摩擦圧接方法は、一対のワークを相対回転させつつ押し当てることで一対のワークを摩擦圧接する摩擦圧接工程と、摩擦圧接した一対のワークの接合部近傍に高周波誘導加熱によって熱処理を施す熱処理工程を有している。
【0005】
したがってワークは、高周波誘導加熱によって引っ張り強度が強くなる。引っ張り強度が強くなる理由は、鋭意研究した結果、下記のように推測することができる。すなわち摩擦圧接によってワークの接合部の外周部近傍にミクロ的に急激な硬度変化する部分が生じ、その部分が引っ張り試験時に破壊起点になる。そしてこの硬度変化が高周波誘導加熱による熱処理によって緩和され、これによって引っ張り強度が強くなると、推測することができる。
【0006】
そして本発明による熱処理は、従来にない作用効果によって効果的にワークに施され得る。すなわち一対のワークを摩擦圧接すると、ワークには、溶接等では生じ得ない径方向に延出するファイバーフロー(金属組織流れ)が発生する。誘導電流は、ファイバーフローに沿って流れやすいために、ワークの接合部にて高周波誘導加熱がワークの軸方向よりワーク中心方向に発生しやすい。したがって接合部近傍に生じるミクロ的に急激な硬度変化部分を高周波誘導加熱によって効率良く緩和することができる。また高周波誘導加熱を利用することで、熱処理によって酸化する領域を焼き鈍しに比べて小さくすることができる。かくして見栄えも向上する。
【0007】
請求項2に記載の発明によると、棒状のワークで、かつ軸方向に延出するファイバーフローを備える一対のワークを準備する。そして摩擦圧接工程において一対のワークを軸中心に相対回転させつつ押し当てて、一対のワークの接合部において径方向に延出するファイバーフローを形成する。したがってワークの引っ張り強度を効果的に強くすることができる。
【0008】
請求項3に記載の発明によると、熱処理工程の高周波誘導加熱は、1〜15秒間、一対のワークの接合部の最外周面温度を300〜650°にて保持する。したがって本熱処理は、焼き鈍しをする場合に比べて、設定温度を低くかつ処理時間を短くすることができる。
【0009】
請求項4に記載の発明によると、摩擦圧接工程は、一対のワークを相対回転させつつ押し当てて摩擦熱を発生させる摩擦工程と、摩擦工程において一対のワークに寄り代が発生する前に開始され、ワークの相対回転を規制し、かつワーク間にアプセット圧を加えて寄り代を発生させるアプセット工程とを有している。この摩擦圧接工程によれば、摩擦工程において寄り代が発生せず、アプセット工程のみにおいて寄り代が生じ得る。そのため摩擦圧接全体における寄り代が小さくなり、これによって形成され得るバリが小さくなる。しかも一対のワーク間の摩擦圧接工程は、非常に短くなる。しかし従来のLHI法や通常のブレーキ式摩擦圧接に比べて、生じる熱量が少なくなり、ワークが急冷されやすいために、接合部の外周面近傍にミクロ的に急激な硬度変化部分が生じるおそれがある。しかしこの部分は、高周波誘導加熱による熱処理(請求項1参照)によって緩和され得る。そのため引っ張り強度を確実に高くすることができる。
【0010】
請求項5に記載の発明によると、摩擦圧接装置には、摩擦圧接した一対のワークの接合部近傍に高周波誘導加熱によって熱処理を施すための高周波誘導加熱器が設けられている。したがって高周波誘導加熱器によってワークを効果的に熱処理することができる。しかも摩擦圧接によって生じる径方向のファイバーフローによってワークの接合部近傍を効果的に熱処理することができる。また本装置は、摩擦圧接装置と電気炉とを別々に有する従前の装置等に比べて小さくすることができる。
【0011】
請求項6に記載の発明によると、高周波誘導加熱器は、摩擦圧接されたワークの接合部の外周の一部近傍に配設されるコイルを有している。そしてワークを回転させつつコイルに高周波電流を流すことで接合部の外周全周に高周波誘導加熱を発生させる。したがって摩擦圧接装置は、一対のワークを相対回転させるモータ等を備えているため、モータ等を利用してワークを回転させつつコイルに高周波電流を流すことができる。つまりワークを回転させることで、ワークの外周全周を囲むような高周波誘導加熱器を設けなくとも、ワークの接合部全周を加熱処理することが可能になる。したがって高周波誘導加熱器をわざわざワークの端から入れる必要がなくなるので、作業が容易になる。
【0012】
請求項7に記載の発明によると、高周波誘導加熱器は、コイルをワークの接合部に対して進退させる進退機構を有している。したがって容易にコイルをワークの接合部に近接させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態を図1〜8にしたがって説明する。摩擦圧接装置1は、図1に示すようにベッド8と第一の保持台(主軸箱)2と第二の保持台3を有している。第一の保持台2は、ベッド8に設けられたガイド6に対して移動可能に取付けられ、図示省略の推力モータによってガイド6に沿って移動する。第二の保持台3は、ベッド8の一端部に移動不能に取付けられる。第一と第二の保持台2,3は、丸棒のワークW1,W2を着脱可能に保持するチャック2a,3aを有している。チャック2a,3aは、第一と第二の保持台2,3に装着されたモータ4,5の動力によって軸回転する。
【0014】
図1,2に示すように第一の保持台2には、高周波誘導加熱器7が設けられている。高周波誘導加熱器7は、ワークWに高周波誘導加熱を発生させる装置であって、コイル7aと進退機構7bを有している。進退機構7bは、第一の保持台2に装着される本体部7b1と、本体部7b1に上下方向に移動可能に設けられる可動部7b2を有している。可動部7b2の下端部には、コイル7aが装着される。コイル7aは、U字状に形成されており、下側に開口する開口部7a1を有している。したがってコイル7aは、進退機構7bによってワークWに向けて進出して、開口部7a1からワークWが挿入されて、ワークWの外周の一部を覆う。
【0015】
摩擦圧接装置1によって一対のワークW1,W2を接合する場合は、先ず図3に示すように摩擦圧接工程を行い、その後、熱処理工程を行う。摩擦圧接工程では、先ず、チャック2a,3aに第一と第二のワークW1,W2を保持させる(図1参照、なお、図1は摩擦圧接工程後にチャック3aから第二のワークW2を外した状態である)。次に、第一のワークW1をチャック2aとともにモータ4によって軸回転させ、第二のワークW2をチャック3aとともにモータ5によって軸回転不能に保持する。続いて、第一の保持台2を第二の保持台3に向けて移動させ、第一と第二のワークW1,W2を当接させる。これによりワークW1,W2間に摩擦熱が発生して、ワークW1,W2間が摩擦圧接される。
【0016】
摩擦圧接工程は、さまざまな摩擦圧接方法が適用できる。例えば通常のブレーキ式摩擦圧接やLHI法が適用できる。ここでバリの発生を極力抑えることのできる摩擦圧接工程の一例を説明する。詳細は、図8に示す工程で示される。すなわち制御手段(図示省略)によってモータ4を制御して第一のワークW1を圧接回転速度A1、例えば3300rpm〜10000rpmの高速にて回転させる。回転数が低すぎると、ワークの外周部に焼き付きが生じ、直後にワーク間の相対回転により捩り破断が生じ、この捩り破断によって発熱量が急上昇するとともにバリが発生する虞が生じる。
【0017】
次に、推力用モータを推力P0に制御してワークW1,W2を接触させ、ワークW1,W2の間に摩擦熱を発生させ、推力用モータを推力P1に保持する。この時、第一の保持台2は、ワークW1,W2が接触した位置よりも押す方向に移動せず、かつ押戻し方向に移動可能に保持される(摩擦工程、T1)。P1は例えば5〜10MPaに設定する。P1が低すぎると摩擦工程での摩擦熱が不足する。また本発明は寄り代が発生する前に摩擦工程終了するので、P1が高すぎるとすぐに寄り代が発生してしまい、バリの発生が多くなってしまう。上記のような低い押圧力P1、上記のような高い圧接回転速度A1で保持するため、摩擦工程において寄り代が発生しない状態で、接合面を加熱することが可能となる。時間T1は例えば予め設定されている。ワークW1,W2が鋼材の丸棒の場合には、T1を0.05〜1秒で設定し得る。
【0018】
次に、摩擦工程が終了すると、第一のワークW1の回転規制を開始する。続いて推力用モータを制御してワークW1,W2の間にアプセット圧P2を加える。アプセット圧P2は、摩擦工程の推力P1の2〜4倍に設定することが好ましい。例えばP2を10〜30MPaに設定することが好ましい。またワークW1の回転規制と同時に、モータ5を制御してチャック3aを軸回転可能なフリー状態にする。これにより第二のワークW2が第一のワークW1に対して連れ回り始め、T1+T2経過後にワークW1,W2が同じ回転速度A2で回転し、その後、停止する(アプセット工程、T2,T3)。例えばT2とT3がともに0.5〜1秒になる。そしてワークW1,W2の相対回転が0になる前後時間T4において、ワークW1,W2間に寄り代B(例えば0.05〜0.2mm)が発生する。
【0019】
図3に示すように摩擦圧接工程の後に熱処理工程を行う。熱処理工程は、先ず、図1に示すように第二のワークW2をチャック3aから外す。次に、図2に示すようにコイル7aをワークWの接合部W3に近接させてコイル7aに高周波電流を流す。続いてモータ4を制御してワークWを軸回転させる。これにより接合部W3の近傍の全周に高周波誘電加熱が発生する。なお高周波誘加熱は、摩擦圧接工程において発生した摩擦熱が冷える前に開始することが好ましい。これにより高周波誘電加熱に必要なエネルギーを少なくすることができる。
【0020】
コイル7aに流す高周波電流は、図7に示すように接合部W3の最外周面の温度を所定温度(Temp1〜Temp1+α)にするように制御される。例えばTemp1が300〜600℃、αが50℃になるようにON・OFF制御される。電流の周波数は、例えば5〜120kHzであり、所定温度範囲の保持時間t1は、例えば1〜15秒である。高周波誘導加熱を発生させた後、放置することによってワークWを除冷する。
【0021】
ワークW1,W2は、鋼材製、例えばS55Cなどの高炭素鋼、S15Cなどの軟鋼などであって、中実または中空状の棒状(丸棒等)に形成される。ワークW1,W2は、図6に示すように押出成形等によって成形されることで、軸方向に延出するファイバーフローW5,W6(金属組織流れ)を有している。そして図4,5に示すようにワークWには、摩擦圧接されることで、接合部W3に径方向および周方向に延出するファイバーフローW7が形成される。
【0022】
通常の電気炉による加熱は、ワークWの外表面が加熱されやすく、ワークWの中心において加熱され難い。一方、高周波誘導加熱は、誘導電流がファイバーフローに沿って流れやすいという性質を有している。したがって上記の様に摩擦圧接されたワークWは、接合部W3の近傍においてコイル7aに高周波電流を流すと、ファイバーフローW7に沿って接合部W3の近傍においてワークWの軸方向よりもワークWの中心側に向けて径方向に高周波誘導加熱が生じやすい。かくして摩擦圧接工程において熱影響を受けた接合部W3近傍のワークWのHAZ部W4において温度が高くなり、HAZ部W4において熱処理が施され易い。なお摩擦圧接工程によって発生したバリW8は、熱処理工程の後に除去しても良いし、熱処理工程の前に除去しても良い。
【0023】
実際の熱処理試験を行ない、効果を確認した。まず、S55C材丸棒をLHI法によって摩擦圧接した。その後、表1に示す保持時間、接合部最外周面の温度、コイルの発振周波数で昇温5秒→目標温度保持→放冷という工程の熱処理を施した。
【0024】
【表1】

【0025】
次に、熱処理工程を施していないワークと、上記した熱処理工程を施したワークとを引っ張り試験した。その結果、熱処理工程を施していないワークは、756MPaにてHAZ部において破断した。一方、上記の熱処理工程を施したワークは、HAZ部ではない母材部分において破断して、引っ張り強度も高くなった。例えば、No.6,7の強度はそれぞれ、782、773MPaであった。また、No.1のように最外周温度が300℃で保持時間が10秒でも母材部分で破断し、接合部分の熱処理が充分であることがわかった。またNo.5のように保持時間が0秒でも母材部分で破断し、熱処理が充分であることがわかった。
【0026】
以上のように、摩擦圧接方法は、図3に示すように摩擦圧接工程と、高周波誘導加熱によって熱処理を施す熱処理工程を有している。したがってワークWは、高周波誘導加熱によって引っ張り強度が強くなる。引っ張り強度が強くなる理由は、鋭意研究した結果、下記のように推測することができる。すなわち摩擦圧接によってワークWの接合部W3の外周部近傍にミクロ的に急激な硬度変化する部分が生じ、その部分が引っ張り試験時の破壊起点になる。そしてこの硬度変化が高周波誘導加熱による熱処理によって緩和され、これによって引っ張り強度が強くなると、推測することができる。
【0027】
また本形態による熱処理は、従来にない作用効果によって効果的にワークに施され得る。すなわち一対のワークW1,W2を摩擦圧接すると、ワークWには、溶接等では生じ得ない径方向に延出するファイバーフロー(金属組織流れ)W7が発生する。そして誘導電流は、ファイバーフローに沿って流れやすいために、ワークWの接合部W3にて高周波誘導加熱がワークWの軸方向よりワークW中心方向に発生しやすい。したがって接合部W3近傍に生じるミクロ的に急激な硬度変化部分を高周波誘導加熱によって効率良く緩和することができる。また高周波誘導加熱を利用することで、熱処理によって酸化する領域を焼き鈍しに比べて小さくすることができる。かくして見栄えも向上する。
【0028】
またワークW1,W2は、図6に示すように棒状であって、軸方向に延出するファイバーフローW5,W6を備える。そして摩擦圧接工程において一対のワークW1,W2を軸中心に相対回転させつつ押し当てて、図4に示すように一対のワークW1,W2の接合部W3において径方向に延出するファイバーフローW7を形成する。したがって高周波誘導加熱は、ファイバーフローW5,W6,W7に沿って接合部W3近傍において発生しやすくなる。かくしてワークWの引っ張り強度を効果的に強くすることができる。
【0029】
また熱処理工程の高周波誘導加熱は、1〜15秒間、一対のワークW1,W2の接合部W3の最外周面温度を300〜650°にて保持する。したがって本熱処理は、焼き鈍しをする場合に比べて、設定温度を低くかつ処理時間を短くすることができる。
【0030】
また摩擦圧接工程は、図8に示すような摩擦工程(T1)とアプセット工程(T2,T3)を適用しても良い。この場合、一対のワークW1,W2間の摩擦圧接工程は、非常に短くなる。またバリの発生も抑制できる。しかし生じる熱量が少なくなり、ワークWが急冷されやすいために、接合部W3の外周面近傍にミクロ的に急激な硬度変化部分が生じるおそれがある。しかしこの部分は、高周波誘導加熱による熱処理によって緩和され得る。そのため引っ張り強度を確実に高くすることができる。また、バリの発生も少ないのでバリ除去をする前でも高周波誘導加熱が効果的に適用できる。
【0031】
また摩擦圧接装置1には、図1に示すように高周波誘導加熱器7が設けられている。したがって本装置は、摩擦圧接装置と電気炉を別々に有している従前の装置等に比べて小さくすることができる。
【0032】
また高周波誘導加熱器7は、図1,2に示すようにワークWの接合部W3の外周の一部近傍に配設されるコイル7aを有している。そしてワークWを回転させつつコイル7aに高周波電流を流すことで接合部W3の全周に高周波誘導加熱を発生させる。したがって従来のようにワークの全周をコイルによって囲む必要がないため、作業が容易になる。また摩擦圧接装置1は、一対のワークW1,W2を相対回転させるモータ4を備えているため、そのモータ4を利用してワークWを回転させつつコイル7aに高周波電流を流すことができる。
【0033】
(他の実施の形態)
本発明は、上記実施の形態に限定されず、以下の形態等であっても良い。
(1)上記実施の形態は、摩擦圧接装置1に高周波誘導加熱器7が装着されていた。しかし高周波誘導加熱器が摩擦圧接装置と別個に設けられる形態であっても良い。
(2)上記実施の形態のコイル7aは、U字状であった。しかし円弧状または直線状であってワークWの外周面の一部近傍に沿って配設される形態であっても良い。
(3)上記実施の形態は、第一のワークW1を回転させるモータ4によって摩擦圧接後のワークWを回転させる形態であった。しかし第一のワークW1をチャック2aから外し、第二のワークW2を回転させるモータ5によってワークWを回転させる形態であっても良い。また、チャックから外さずに一方のモータをフリーにして、他方のモータを回転させたり、両方のモータを等速で回転させたりすることによってワークWを回転させる形態であっても良い。
(4)摩擦圧接工程は、図8に示すような工程や、LHI法に限らず、通常のブレーキ式摩擦圧接であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】摩擦圧接装置の正面図である
【図2】図1のII―II線矢視図である。
【図3】摩擦圧接方法の工程図である。
【図4】摩擦圧接したワークの正面図である。
【図5】図4のV―V線断面矢視図である。
【図6】摩擦圧接する前のワークの正面図である。
【図7】高周波誘導加熱における時間―温度線図である。
【図8】摩擦圧接時における各種制御値および状態値を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
1…摩擦圧接装置
2,3…保持台
2a,3a…チャック
4,5…モータ
7…高周波誘導加熱器
7a…コイル
7b…進退機構
8…ベッド
W,W1,W2…ワーク
W3…接合部
W4…HAZ部
W5,W6,W7…ファイバーフロー



【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のワークを相対回転させつつ押し当てることで前記一対のワークを摩擦圧接する摩擦圧接工程と、
摩擦圧接した前記一対のワークの接合部近傍に高周波誘導加熱によって熱処理を施す熱処理工程とを有する摩擦圧接方法。
【請求項2】
請求項1に記載の摩擦圧接方法であって、
棒状のワークで、かつ軸方向に延出するファイバーフローを備える一対のワークを準備し、
摩擦圧接工程において前記一対のワークを軸中心に相対回転させつつ押し当てて、前記一対のワークの接合部において径方向に延出するファイバーフローを形成することを特徴とする摩擦圧接方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の摩擦圧接方法であって、
熱処理工程の高周波誘導加熱は、1〜15秒間、一対のワークの接合部の最外周面温度を300〜650°にて保持することを特徴とする摩擦圧接方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つに記載の摩擦圧接方法であって、
摩擦圧接工程は、一対のワークを相対回転させつつ押し当てて摩擦熱を発生させる摩擦工程と、前記摩擦工程において前記一対のワークに寄り代が発生する前に開始され、前記ワークの相対回転を規制し、かつ前記ワーク間にアプセット圧を加えて寄り代を発生させるアプセット工程とを有することを特徴とする摩擦圧接方法。
【請求項5】
一対のワークを相対回転させつつ押し当てることで前記一対のワークを摩擦圧接する摩擦圧接装置であって、
摩擦圧接した前記一対のワークの接合部近傍に高周波誘導加熱によって熱処理を施すための高周波誘導加熱器が設けられていることを特徴とする摩擦圧接装置。
【請求項6】
請求項5に記載の摩擦圧接装置であって、
高周波誘導加熱器は、摩擦圧接されたワークの接合部の外周の一部近傍に配設されるコイルを有し、前記ワークを回転させつつ前記コイルに高周波電流を流すことで前記接合部の外周全周に高周波誘導加熱を発生させることを特徴とする摩擦圧接装置。
【請求項7】
請求項6に記載の摩擦圧接装置であって、
高周波誘導加熱器は、コイルをワークの接合部に対して進退させる進退機構を有することを特徴とする摩擦圧接装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−248090(P2009−248090A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−94930(P2008−94930)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【出願人】(000101994)イヅミ工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】