説明

播種機

【課題】簡単な機構で種子詰まりを防止できる播種機を提供する。
【解決手段】本発明による播種機は、側面に切り欠き部が設けられた目皿板と、切り欠き部の底部と側部をふさぎつつ目皿板をスライド可能に支持する台座とが備えられ、切り欠き部と台座が形成する空間に種子を侵入させ、次に切り欠き部の空間に種子を抱えたまま、目皿板を切り欠き部の底部と側部が開放される台座の位置までスライドさせて、切り欠き部が抱えた所定量の種子が落下するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は播種機に係り、より詳しくは種子詰まりを防止する機構に関する。
【背景技術】
【0002】
農作業の省力化を目的として、種子の発芽率の向上に伴い、限定粒数の点播きができる播種機の発達が望まれ、各種の装置が開発されている。(特許文献1参照)
【0003】
図6は、従来の目皿板が用いられた播種機の構造図である。播種機100は矩形板の目皿板20が台座30にスライド可能に取り付けられ、目皿板20の前方には、種子が種子ホッパ10から投入される通孔25が設けられ、台座30の後方には、種子の落下口31が設けられる。通孔25の底部は、目皿板20が台座30の前方に位置するときは、台座30でふさがれている。通孔25に種子が投入された状態で、目皿板20が後方にスライドされると、仕切り板35で通孔25からあふれた種子が停止され、通孔25の中に入った種子のみが運ばれ、通孔25が落下口31に合致すると、種子が下方に落下するものである。
【0004】
図6の引出円C1は、従来の播種機100の通孔25に球状の種子1が詰まった状態を示す斜視図である。例えば、目皿板20の通孔25の径が5mmの場合で、種子1が2〜3mmとすると、通孔25が3粒の種子1で詰まることがある。すなわち、3つの種子が通孔25の側部でささえられブリッジ状態となって落下しなくなる。このような場合、播種機を取り外して分解し通孔25に詰まった種子1を取り除く必要があり、種蒔き作業を一時中断せざるを得なかった。
【0005】
種子詰まりを解消するため、種子1が落下する直前に通孔25に棒状のものを差し込んで下方に押圧する機構や、エアーを通孔25内に吹き付ける機構を付加することが考えられるが、播種機100が複雑になることは否めない。
【特許文献1】特開2001−69814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、その目的は、簡単な機構で種子詰まりを防止できる播種機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による播種機は、側面に切り欠き部が設けられた目皿板と、前記切り欠き部の底部と側部をふさぎつつ前記目皿板をスライド可能に支持する台座とが備えられ、前記切り欠き部と前記台座が形成する空間に種子を侵入させ、次に前記切り欠き部の空間に種子を抱えたまま、前記目皿板を前記切り欠き部の底部と側部が開放される前記台座の位置までスライドさせて、前記切り欠き部が抱えた所定量の種子が落下するように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明による請求項1による播種機によれば、切り欠き部の底部と側部の囲いが無いので、種子によるブリッジ形成がなく、時間差なく、目詰まりなく、すみやかに種子を落下させることができる。また、1粒から数粒の限定された数の正確な種子量、正確な点播き位置を維持した高速連続播種作業が可能になる。また、この目詰まりのない播種機は、変形種子、コーティング種子も有効に扱うことができる。正確な播種は、芽が出た後の間引き作業を不要とする。以上のことがらにより農作業の省力化に貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施例を図面によって詳細に説明する。なお、図6に示す播種機100と共通の構成要素は同じ符号を使用する。
【実施例1】
【0010】
図1は本発明による第1の実施例で、播種機の斜視図である。図1に示すように、播種機200は、矩形板の目皿板20が台座30にスライド可能に取り付けられたものである。目皿板20には側面に切り欠き部45が設けられる。切り欠き部45は、スライド方向60に並行な目皿板20の側面に設けられる。また、切り欠き部45が種子ホッパ10の下部にある時は、切り欠き部45の底部は台座30でふさがれ、切り欠き部45の側面は台座30の側面でふさがれている。切り欠き部45に種子が侵入して、次に目皿板20が後方にスライドされると、切り欠き部45は、台座30に設けられた落下口31に達する。同時に切り欠き部受け55に達する。これにより、切り欠き部45の底部と側部が開放されるので種子が下方に落下する。目皿板20が前方に戻されると、切り欠き部45が種子ホッパ10の下部に位置して、再び種子が投入される状態となる。
【0011】
図2は、目皿板の斜視図である。図2(a)に示す状態は、目皿板20の切り欠き部45に種子が投入される状態を示す。図2(b)に示す状態は、目皿板20が、後方にスライドされて、種子が下方に落ちる状態を示す。すなわち、種子を落下させるには、切り欠き部45の底部と側部が、閉じられた状態から開放された状態にすればよく、このために落下口31や切り欠き部受け55が設けられてもよいし、図2のように何もない空間に切り欠き部45を位置させてもよい。
【0012】
図3は、切り欠き部の形状を示す平面図である。図3(a)は切り欠き部が半円形の場合、図3(b)は切り欠き部が三角形の場合、図3(c)は切り欠き部が四角形の場合、図3(d)は切り欠き部が台形の場合である。このような切り欠き部45の形状は、目皿板の厚さの大小などと合わせて、切り種子の量や大きさによって選定する。
【実施例2】
【0013】
図4は本発明による第2の実施例で、円板の目皿板が用いられた播種機の斜視図である。図5に示すように、播種機300は、回転可能な円板の目皿板40と、目皿板40の底部と側部を囲むように設けられた台座30からなる。目皿板40には外周面に切り欠き部45が設けられる。台座30の目皿板40の側面には、切り欠き部45と面することができる切り欠き部受け55が設けられる。切り欠き部受け55は、台座30の落下口31の上部に位置するように設けられる。この播種機300の特徴は、目皿板40が回転することで、その他の動作は播種機200と同じである。図5に示すように、目皿板40の円板の外周には、1つに限らず、複数の切り欠き部45を設けてもよい。
【実施例3】
【0014】
図5は、本発明による第3の実施例で、回転ベルト式目皿板の播種機の斜視図である。回転ベルト式の目皿板50は、ゴムやプラスチックなどで形成されるが、両側の側面に切り欠き部45を設けた。すなわち、一度に2条の種播きができるように構成した。種子は、回転ベルトの目皿板50が前方と後方の側面から斜め下方にパイプ36でガイドして落下させる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明は、種子詰まりを防止した播種機であり、複合農作業機などに限らず、手動のハンディタイプの播種機としても好適である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による播種機の斜視図である。(実施例1)
【図2】目皿板の斜視図である。(実施例1)
【図3】切り欠き部の形状を示す平面図である。(a)は半円形、(b)は三角形、(c)は四角形、(d)は台形の切り欠き部の例である。(実施例1)
【図4】円板の目皿板が用いられた播種機の斜視図である。(実施例2)
【図5】回転ベルト式目皿板の播種機の斜視図である。(実施例3)
【図6】従来の播種機の斜視図である。
【符号の説明】
【0017】
1 種子
10 種子ホッパ
11 傾斜板
20 目皿板(矩形板)
25 通孔
30 台座
31 落下口
35 仕切り板
36 パイプ
40 目皿板(円板)
45 切り欠き部
46 上部開口部
47 底部開口部
50 目皿板(回転ベルト)
55 切り欠き部受け
60 スライド方向
100、200、300、400 播種機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面に切り欠き部が設けられた目皿板と、
前記切り欠き部の底部と側部をふさぎつつ前記目皿板をスライド可能に支持する台座とが備えられ、
前記切り欠き部と前記台座が形成する空間に種子を侵入させ、次に前記切り欠き部の空間に種子を抱えたまま、前記目皿板を前記切り欠き部の底部と側部が開放される前記台座の位置までスライドさせて、前記切り欠き部が抱えた所定量の種子が落下するように構成したことを特徴とする播種機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−288285(P2006−288285A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−113739(P2005−113739)
【出願日】平成17年4月11日(2005.4.11)
【出願人】(596000523)総和工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】