説明

撮像システム、撮像装置、記録媒体

【課題】 メモリカードをカメラに装着しなくても、カメラがメモリカードの情報を簡単に読みとることができる、操作性の良い撮像システムを実現する。
【解決手段】 撮像装置と、撮像装置に対して交換可能な記録媒体から構成される撮像システムであって、記録媒体は、情報を記憶する第1の記憶手段と、第1の記憶手段に記憶された情報を変調し、人体を介して送信する送信手段を有し、撮像装置は、記録媒体の送信手段から人体を介して送信された情報を受信して復調する受信手段と、受信手段で復調した情報を記憶する第2の記憶手段を有することを特徴とする撮像システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像システム、撮像装置、記録媒体に関し、詳しくは記録媒体内の情報を読み出す装置、システムの関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラやカメラ付き携帯電話などの記録媒体としてCF(Compact Flash)(登録商標)カード、SD(Secure Digital)カード、メモリースティック(Memory Stick)といった記憶メディアが使用されている。デジタルカメラを使った撮影時には、複数の記録媒体を携行し、画像を記録することにより記録媒体の使用可能な空き容量が無くなってきたら、記録媒体を交換して以降の撮影を行うことが多い。
【0003】
これらの記録媒体は、外観に全記録容量は表示されているが、外観からは使用済み容量または使用可能な空き容量、撮影可能枚数を確認することができない。これらを確認するためには、使用する機器に記録媒体を装着し、機器の表示部で確認することが一般に行われている。
【0004】
記録媒体の使用済み容量または使用可能な空き容量を機器の表示部で確認する例としては、記録媒体をカメラに装着し、カメラ背面の表示部に、撮影可能枚数と使用可能容量を表示する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、記録媒体をカメラに装着し、カメラの2つ以上の表示部に、記録媒体の空き容量または撮影可能な残り枚数を表示する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
一方、異なる2つの機器間におけるデータ通信を、人体を介して行なう人体通信が提案されている。
【0006】
人体通信では、人体をケーブルの代わりとして、人体を流れる電流の変化により信号を伝送するので、ケーブル類を用いた有線通信と比べてケーブルを使わなければならない煩わしさがなくなるという利点がある。また、無線で伝送する場合と比べて、伝送距離が短いため少ない消費電力で信号を伝送でき、回路規模を小さくすることができる。
【0007】
例えば、トレーニングでの脈拍や心拍数などを測定する計測器を耳に装着し、腕に装着する腕時計のような表示手段とのデータのやり取りを人体を介して行なう方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。また、腕時計のような形状の送信部を装着し、受信部を備えた端末に振れることにより、人体を介してデータを送信する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特開平6−261281号公報
【特許文献2】特開平6−350950号公報
【特許文献3】特開2003−557号公報
【特許文献4】特開2003−132031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
デジタルカメラの撮影において、使用可能な空き容量が多い記録媒体に交換する必要がある。しかしながら、記録媒体の使用済み容量または使用可能な空き容量、撮影可能枚数は、記録媒体を撮像装置に装着しないとわからないので、十分な枚数を撮影可能な記録媒体を選択するのに時間がかかることがあった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、人物が記録媒体と撮像装置に触れることで、撮像装置が記録媒体の情報を簡単に読みとることができる、操作性の良い撮像システム、撮像装置および記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、下記構成により達成することができる。
【0011】
(請求項1)
撮像装置と、
該撮像装置に対して交換可能な記録媒体と、
から構成される撮像システムであって、
前記記録媒体は、
情報を記憶する第1の記憶手段と、
第1の記憶手段に記憶された情報を変調し、人体を介して送信する送信手段を有し、
前記撮像装置は、
前記記録媒体の送信手段から人体を介して送信された情報を受信して復調する受信手段と、
前記受信手段で復調した情報を記憶する第2の記憶手段を有することを特徴とする撮像システム。
【0012】
(請求項2)
前記記録媒体または前記撮像装置の少なくとも一方は通信を開始するための操作部材を有し、
前記操作部材を操作することにより通信を開始することを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。
【0013】
(請求項3)
前記操作部材は人体と接触する電極部を有し、
電極部を介して通信信号を送信または受信することを特徴とする請求項2に記載の撮像システム。
【0014】
(請求項4)
前記情報は記録媒体の容量に関する情報であることを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。
【0015】
(請求項5)
前記撮像装置は表示手段を有し、前記第2の記憶手段に記憶した情報を前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。
【0016】
(請求項6)
撮像装置と、該撮像装置に対して交換可能な記録媒体から構成される撮像システムに用いられる撮像装置であって、
前記撮像装置は、
前記記録媒体から人体を介して送信された情報を、受信して復調する受信手段と、
前記受信手段で復調した情報を、記憶する第2の記憶手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【0017】
(請求項7)
撮像装置に対して交換可能な記録媒体であって、
前記記録媒体は、
情報を記憶する第1の記憶手段と、
前記記録媒体または前記撮像装置の少なくとも一方に備えられた操作部材の操作に応答して、前記第1の記憶手段に記憶された前記情報を変調し、人体を介して撮像装置に送信する送信手段と、
を有することを特徴とする記録媒体。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、記録媒体の情報を撮像装置に送信する際に、人体を介して情報の送受信を行うので、記録媒体を撮像装置に装着しなくても、人物が記録媒体と撮像装置に触れるだけで記録媒体の情報を得ることが可能な、操作性の良い撮像システムを提供できる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、記録媒体または前記撮像装置の少なくとも一方の操作部材を操作することにより通信を開始するので、必要な時にデータの取得ができる操作性の良い撮像システムを提供できる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、操作部材は人体と接触する電極部を有しているので、操作部材を操作すると電極部に触れ、通信可能になる、操作性の良い撮像システムを提供できる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、前記情報は記録媒体の空き容量や使用済み容量などの容量に関する情報であるので、記録媒体をカメラに装着しなくとも空き容量のある記録媒体を選択できる、操作性の良い撮像システムを提供できる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、前記撮像装置は表示手段を有し、記録媒体の情報を前記表示手段に表示するので、記録媒体を装着しなくても撮像装置に記録媒体情報が表示される操作性の良い撮像システムを提供できる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、記録媒体の情報を撮像装置が受信する際に、人体を介して情報の受信を行うので、記録媒体を撮像装置に装着しなくても、記録媒体の情報を得ることが可能な、操作性の良い撮像装置を提供できる。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、記録媒体の情報を撮像装置に送信する際に、操作部材の操作により人体を介して情報の送信を行うので、記録媒体を撮像装置に装着しなくても、記録媒体の情報を得ることが可能な、操作性の良い記録媒体を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。
【0026】
まず、本発明の実施形態について、図1を用いて説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係るカメラ1の一例を示す外観図である。図1(a)はカメラ1前面の斜視図、図1(b)はカメラ1背面の斜視図である。
【0028】
図1(a)において、100はレンズ鏡胴であり、内部にはズーム撮像光学系が内包されている。111はファインダ窓、112はシャッタボタン、113はフラッシュ発光部、114は調光用センサ窓、115はストラップ取り付け部、116は外部入出力端子(例えば、USB端子)である。117はスライドバリアであり、開状態で図示のようにレンズ鏡胴100は撮影可能状態となり、閉方向へ少し移動させることでレンズ鏡胴100は沈胴する。すなわち、スライドバリア117の開閉に連動してカメラ1は起動状態またはオフ状態になる。
【0029】
シャッタボタン112には、シャッタボタン112を押すと指と接触するように電極C 201が設けられている。また、カメラ1の上面には人体を介して通信するためのもう一方の電極D 202が設けられている。
【0030】
なお、電極C 201は通信時に指など人体に接触するように配置されれば良く、シャッタボタン112上に限定されるものではない。例えば、電極C 201を後述する再生ボタン126や選択ボタン124など他のボタン上に配置しても良いし、グリップ部など筐体表面の一部に配置しても良い。一方、電極D 202はカメラ1が後述するメモリカード25と通信時に、人体の近くで人体に接触しない位置に配置されれば良く、カメラ1の下面や筐体内部などに配置しても良い。
【0031】
シャッタボタン112はその1段の押し込みによりONになるSW1 181と、さらに、その2段の押し込みによりONになるSW2 182が連動している。シャッタボタン112を1段押し込むと(SW1 ON)、カメラ1はメモリカード25の情報を人体を介して受信する。また、撮影準備動作として焦点合わせ動作や測光動作が行われる。さらに、シャッタボタン112を2段押し込むと(SW2 ON)、撮影露光動作が行われる。
【0032】
図1(b)において、120はファインダ接眼部、121は赤と緑の表示ランプであり、AFやAEの情報を、点灯もしくは点滅により撮影者に表示するものである。122はズームボタンであり、ズームアップ、ズームダウンをおこなうボタンである。123はメニュー/セットボタン、124は選択ボタンで4方向スイッチであり、125は画像表示部であり画像やその他文字情報等を表示する。メニュー/セットボタン123で、画像表示部125上に各種のメニューを表示させ、選択ボタン124でいずれかのメニューを選択し、メニュー/セットボタン123で確定させる機能を有している。例えば、操作者は画像表示部125上に表示されるメニューから静止画モード、動画モードなどの撮影モードを選択ボタン124で選択し、メニュー/セットボタン123で確定させることで撮影モードを選択できる。
【0033】
再生ボタン126を押すと再生モードになり、撮影した画像の再生をおこなうことができる。127はディスプレイボタンで、画像表示部125に表示された画像やその他文字情報の表示や消去を選択するボタンである。再生モードにおいて、操作者は画像表示部125上に表示される複数の縮小画像や文字を選択ボタン124で選択し、メニュー/セットボタン123で確定させることで、再生や編集する画像を選択できる。
【0034】
128は消去ボタンであり、撮影記録した画像の消去をおこなうボタンである。129は三脚穴、130は電池/カード蓋である。電池/カード蓋130の内部には、本カメラの電源を供給する電池と、撮影した画像を記録するカード用のスロットが備えられており、電池及び画像を記録するCFカード、SDカードなどのカード型の記録媒体である後述するメモリカード25が挿脱可能になっている。
【0035】
図2は、本発明の実施形態に係る記録媒体の一例であるメモリカード25の外観図である。図2(a)はメモリカード25の表面の外観図、図2(b)はメモリカード25の裏面の外観図である。
【0036】
メモリカード25の表面には、操作ボタン303aが配置され、操作ボタン上に人体を介してカメラ1と通信するための電極A 301が設けられている。また、メモリカード25の裏面を構成する基板の裏側に、人体を介して通信するためのもう一方の電極B 302が設けられており、直接人体と触れないようになっている。
【0037】
なお、電極A 301はメモリカード25がカメラ1と通信時に人体に接触するか、もしくはポケットの中など人体に非常に近い位置になるように配置されば良く、図2(a)の位置に限定されるものではない。一方、電極B 302はメモリカード25がカメラ1と通信時に、人体の近くで人体に接触しない位置に配置されれば良く、メモリカード25の内部などに配置しても良い。
【0038】
以下、メモリカード25が、カメラ1に装着されている場合はメモリカード25aとし、カメラ1に装着されていない場合は、メモリカード25bと表記して区別する。
【0039】
図3は、本発明に係る撮像システム10の実施の形態における回路ブロック図である。撮像システム10はカメラ1とメモリカード25から構成される。図中、図1、図2と同じ部分には同じ番号を付与した。
【0040】
最初に、デジタルカメラであるカメラ1について説明する。
【0041】
カメラ制御部7は、カメラCPU70(中央処理装置)、カメラRAM75,カメラROM76等から構成され、不揮発性の記憶部であるカメラROM76に記憶されているプログラムをカメラRAM75に読み出し、当該プログラムに従ってレンズ鏡胴100を含むカメラ1の各部を集中制御する。カメラRAM75は本実施形態おける第2の記憶手段である。
【0042】
撮影時において、カメラ制御部7はCCD5の画像出力から得られるピント情報と露出情報に基いて、ズームフォーカス駆動部332を制御して、レンズ群32を駆動し、絞りシャッタ駆動部331を制御して、絞り32を駆動する。また、カメラ制御部7は、CCD5によって撮像された画像のライブビューを、ディスプレイボタン127の設定に従って、画像表示部125に表示する。
【0043】
カメラ制御部7は、撮影に関するシーケンスを司っている。カメラ制御部7は、CCD駆動部6を介してCCD5の撮像動作を制御する。なお、撮像素子は、本実施形態のCCDに代えて、CMOSセンサ、CIDセンサ等の固体撮像素子であってもよい。CCD5にて取得されたアナログ信号の画像はA/D変換部21にてノイズ除去の処理後デジタル信号に変換され、画像処理部22に画像のデジタル信号を順次出力する。
【0044】
画像処理部22はガンマ補正、輪郭補正、画像の拡大、縮小、画像圧縮、画像合成などの画像処理機能を有する。これらの画像処理もカメラ制御部7の指令により行われる。
【0045】
カメラ制御部7はCCD5の画像出力を画像処理後、静止画ファイルまたは動画ファイルとして、画像メモリ23に一旦記録する。次に、カメラ制御部7は、画像メモリ23に一時記録された画像ファイルを、図示せぬコネクタ85によりカメラ1に装着されたメモリカード25aに記録する。
【0046】
また、カメラ制御部7は、操作部60に設けられたシャッタボタン112、ズームボタン122、メニュー/セットボタン123、選択ボタン124、再生ボタン126、ディスプレイボタン127、消去ボタン128、スライドバリア117等からの入力を受信してカメラ1全体を制御し、図示せぬ電源部を制御することでカメラ各部に電源を供給する。
【0047】
シャッタボタン112には半押しでONになるスイッチSW1 181と全押しでONになるスイッチSW2 182が連動しており、カメラ制御部7がシャッタボタン112の半押し(SW1 ON)、全押し(SW2 ON)のタイミングを検知できるようになっている。
【0048】
電極C201、電極D202が接続された受信部200は本実施形態の受信手段である。
【0049】
カメラ制御部7は受信部200が受信して復調した情報を、本実施形態の第2の記憶手段であるカメラRAM75に記憶する。人体を介しての通信の手順については後で詳しく説明する。
【0050】
カメラ制御部7は、カメラRAM75に記憶された情報、すなわち、カメラ1に装着されていないメモリカード25bの使用済み容量または使用可能な空き容量を画像表示部125に表示する。
【0051】
メモリカード25aとメモリカード25bは同じ内部構成の記録媒体であり、メモリカード25aはカメラに装着されているのに対し、メモリカード25bはカメラ1に装着されていない状態である。ここでは、メモリカード25bの内部ブロック図を用いてメモリカード25の各機能を説明する。
【0052】
メモリカード25bは、フラッシュメモリなどの大容量の後述するメモリ84のほか、メモリ容量を管理するメモリカードマイコン部320、本実施形態の操作部材である操作ボタン303aと、後述する操作ボタン303aに連動する通信開始スイッチ303、人体を介しての通信手段である送信部300、などから構成され、メモリカードマイコン部320が各部を制御している。
【0053】
メモリカードマイコン部320はカードCPU321、カードRAM322,カードROM323等から構成され、不揮発性の記憶部であるカードROM323に記憶されているプログラムをカードRAM322に読み出し、当該プログラムに従ってメモリ84、操作ボタン83、送信部300を含むメモリカード25の各部を集中制御する。
【0054】
また、メモリカードマイコン部320は、メモリ84にアクセスし、使用済み容量または使用可能な空き容量を読みとって、カードRAM322に記憶する。カードRAM322は本実施形態における第1の記憶手段である。
【0055】
送信部300は本実施形態における送信手段である。送信部300と接続される電極A301、電極B302とカメラ1の受信部200に接続される電極C201、電極D202の間で人体を介して通信が行われる。人体を介しての通信については後で詳しく説明する。メモリカードマイコン部320はカードRAM322に記憶した情報を、送信部300を制御して送信する。
【0056】
図4は、本発明の実施の形態において、人体を介して通信する際の伝送経路を説明する説明図である。
【0057】
図4に示すように、電極A 301と電極C 201が、人体と電気的に接続されることにより、「電極A 301→人体→電極C 201」というルートが構成される。メモリカード25の電極A 301と人体との界面のインピーダンス値をZ〔電極A−人〕、人体のインピーダンス値をZ〔人〕、人体とカメラ1の電極Cとの界面のインピーダンス値をZ〔電極C−人〕とすると、「電極A 301→人体→電極C 201」の間のインピーダンス値はZ〔電極A−人〕+Z〔人〕+Z〔電極C−人〕である。
【0058】
一方、電極B 302と人体との界面インピーダンス値は、電極A 301と人体との界面のインピーダンス値より大きくなるように電極を設けている。同様に、電極D 202と人体との界面インピーダンス値は、電極C 201と人体との界面のインピーダンス値より大きくなるように電極を設けているので、電極B 302と電極D 202は静電結合し、「電極B 302→電極D 202」というルートが構成される。このルートのインピーダンス値は、メモリカード25の電極B 302とカメラ1の電極D 202との静電結合のインピーダンス値Z〔電極B−電極D〕である。
【0059】
図5はこの2つの伝送経路を、上記のインピーダンス値を用いて等価回路で表現した等価回路図である。受信部200の入力インピーダンス値をZ〔受〕とすれば、単純な電圧分配により、Z〔受〕にかかる電圧を検出することによって、送信部300から受信部200への伝送信号を検出でき、通信が実現される。
【0060】
本実施の形態により、メモリカード25bからカメラ1までの通信が実現され、伝送線を必要とせず、また、無線発信機構を有さないので、小型、低コスト化が実現できる。
【0061】
図6は本発明の実施形態における送信部300を説明するためのブロック図、図7は本発明の実施形態における受信部200のブロック図である。
【0062】
図6に示すように、送信部300は、人体に対するインピーダンス値が小さい送信電極である電極A 301と、それに比較してインピーダンス値が大きい送信電極である電極B 302を備えている。
【0063】
送信部300は搬送波周波数を発生するPLL等の発振手段304と、その搬送波周波数に重畳して変調信号を生成する変調手段305と、変調信号に対応する電圧を印加する電圧印加手段306と、を備えている。
【0064】
操作ボタン303aを押すと、連動する通信開始スイッチ303がONになり、メモリカードマイコン部320は、図示せぬ電源部に指令し、各部に給電を開始するように構成されている。なお、メモリカードマイコン部320には低消費電力モードで常時給電されている。
【0065】
メモリカードマイコン部320はメモリ84にアクセスし、メモリ84の使用済み容量または使用可能な空き容量の情報を得る。メモリカードマイコン部320の出力端子は変調手段305に接続されているので、使用済み容量または使用可能な空き容量の情報を出力すれば、変調手段305で変調され、伝送信号として伝送されるようになっている。
【0066】
また、送信部300には、回路の基準電位となる回路グランド(図示せず)が設けられるが、この回路グランドを電極A 301、又は電極B 302のいずれか一方として形成すれば、別途回路グランドの電極を設けなくてもよい。
【0067】
図7ではシャッタボタン112に人体と接触する電極C 201を形成した受信部200の実施形態を説明する。
【0068】
受信部200には、人体に対するインピーダンス値が小さい受信電極である電極C 201と、それに比較してインピーダンス値が大きい受信電極である電極D 202を備えている。
【0069】
シャッタボタン112を半押しにすると(SW1 ON)、カメラ制御部7は図示せぬ電源部を制御し、受信部200が受信可能になるように制御する。このとき、人体(指)がシャッタボタン112に触れているので、電極C 201と人体を介して信号を受信できる経路ができる。
【0070】
受信部200は、送信部300の搬送波周波数のみを取り出すことができるように調節されたフィルタ手段203と、フィルタ手段203の出力信号を増幅するアンプ等の増幅手段204と、増幅手段204の出力から変調された伝送信号を復調する復調手段205と、を備えている。なお、受信部200には、回路の基準電位となる回路グランド(図示せず)が設けられるが、この回路グランドを人体に対するインピーダンス値が小さい方の電極である電極C 201として形成してもよい。
【0071】
また、電極A 301、電極C 201は、それぞれ電極B 302、電極D 202の人体に対するインピーダンス値より小さくなるように設けられていればよく、例えば、電極A 301及び電極C 201が、人体に近設されており、電極B 302及び電極D 202が人体から離設されていればよい。さらに、電極と人体との電気的接続を阻止するものでなければ、人体と電極との間に繊維やケーシング材料等が介在してもよく、直接人体に触れる必要はない。
【0072】
本実施の形態により、メモリカード25bからカメラ1までの通信が実現され、伝送線を必要とせず、また、無線発信機構を有さないので、小型、低コスト化が実現できる。
【0073】
図8は本発明の実施の形態におけるメモリカード25bが行うデータ送信の概略の手順を説明するフローチャートである。
【0074】
メモリカードマイコン部320は通信開始スイッチ303がONかどうか、判定する(ステップS101)。通信開始スイッチ303がONではない場合(ステップS101;No)ステップS101に戻り、再度通信開始スイッチ303がONかどうか、判定する。通信開始スイッチ303がONの場合(ステップS101;Yes)、メモリカードマイコン部320は送信部300の図示せぬ電源をONにし、データの数Nの情報を含むデータ送信開始信号を人体を介して送信する(ステップS102)。データは例えば使用済み容量、使用可能な空き容量などであり、各データを2バイトデータとして送信する。各データを識別するため、送信する順に固有の番号Nを割り当てている。例えばデータ1は使用済み容量、データ2は使用可能な空き容量である。
【0075】
ステップS103ではメモリカードマイコン部320は内部の第1の記憶手段であるカードRAM322のデータ1を読み出し、送信部300から変調信号を人体を介して送信する(ステップS103)。ステップS104までの間、データ2〜Nまで順次送信する(ステップS104)。
【0076】
データNまで送信を終えると、メモリカードマイコン部320はデータ送信終了信号を送信する(ステップS105)。これで、データ1〜Nの送信は終了し、ステップS101に戻る。通信開始スイッチ303がONのままの場合(ステップS101;Yes)、再度データ1〜Nの送信を行う。
【0077】
本実施の形態では通信開始スイッチ303を設け、メモリーカードマイコン部320は常に通信開始スイッチ303の状態を監視し、通信開始スイッチ303がONの場合にデータを送信するように構成している。別の実施形態としては、通信開始スイッチ303を無くしてステップS101を省略し、常にデータを繰り返し送信するようにしても良い。
【0078】
図9は本発明の実施の形態におけるカメラ1が行うデータ受信の概略の手順を説明するフローチャートである。このとき、操作者は例えば右手でカメラ1のシャッタボタン112を押し、電極A 301に指が触れている状態であり、もう一方の手にはメモリカード25を持ち、操作ボタン303aを押し、通信開始スイッチ303がONになっているものとする。また、本実施の形態では、カメラ制御部7は、内部タイマーにより一定時間間隔でシャッタボタン112の状態を監視し、シャッタボタン112を半押し(SW1 ON)にすると、人体を介しての伝送信号を受信可能となり、通信を開始するものとする。
【0079】
ステップS201において、カメラ制御部7はシャッタボタン112が半押し(SW1 ON)かどうか、を判定する。半押し(SW1 ON)ではない場合(ステップS201;No)ステップS201に戻り、再度半押し(SW1 ON)か、どうか、判定する。シャッタボタン112が半押し(SW1 ON)の場合(ステップS201;Yes)、カメラ制御部7は受信部200の図示せぬ電源をONにし、送信部300からのデータ送信開始信号の受信を開始する(ステップS202)。データ送信開始信号を所定時間以内に受信できなかったときは(ステップS202;No)、ステップS201に戻る。データ送信開始信号を所定時間以内に受信できたときは(ステップS202;Yes)、データ送信開始信号に含まれるデータの数Nの情報を得て、順次データ1から受信する(ステップS203)。
【0080】
データ1を所定時間以内に受信できなかったときは(ステップS203;No)、ステップS201に戻る。データ1を所定時間以内に受信できたときは(ステップS203;Yes)受信したデータをカメラRAM75に記憶する。
【0081】
次にデータ2〜Nまで順次データを受信する(ステップS204)。データNを所定時間以内に受信できなかったときは(ステップS204;No)、ステップS201に戻る。データNを所定時間以内に受信できたときは(ステップS204;Yes)、受信したデータを順にカメラRAM75に記憶する。次に、データ終了信号を所定時間以内に受信できなかったとき(ステップS205;No)は、ステップS201に戻る。データ終了信号を所定時間以内に受信できたときは(ステップS205;Yes)、カメラ制御部7はデータ1〜Nをすべて正常に受信し、第2の記憶手段であるカメラRAM75に記憶されている。このように、メモリカード25bの空き容量に関するデータを、メモリカード25bをカメラ1に装着する前に取得することができる。
【0082】
次に、ステップS206において、カメラ制御部7は画像表示部125に受信した使用済み容量、使用可能な空き容量を所定の時間表示し、ステップS201に戻る(ステップS206)。このようにして、操作者はメモリカード25bの空き容量を、カメラ1に装着しなくても知ることができる。
【0083】
なお、本実施の形態では操作者がシャッタボタン112を半押し(SW1 ON)にしたとき、受信部200が受信を開始するようにしているが、受信を開始する操作部材はシャッタボタン112に限定されるものではなく、ほかのスイッチやボタンでも良い。また、スイッチやボタンの操作に関係なく常時受信部200が受信するようにしても良い。
【0084】
以上のように本実施の形態によれば、人物が記録媒体と撮像装置に触れることで、撮像装置が記録媒体の情報を簡単に読みとることができる、操作性の良い撮像システム、撮像装置および記録媒体を提供できる。
【0085】
なお、本実施形態の撮像装置としてデジタルカメラを例示したが、カメラ付き携帯電話などにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明に係るカメラ1の外観図である。
【図2】本発明に係るメモリカード25の外観図である。
【図3】本発明の実施形態における撮像システム10の回路ブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態における伝送経路を説明する説明図である。
【図5】2つの伝送経路を、上記のインピーダンス値を用いて等価回路で表現した等価回路図である。
【図6】本発明の実施形態における送信部と周辺の回路ブロック図である。
【図7】本発明の実施形態における受信部と周辺の回路ブロック図である。
【図8】本発明の実施形態におけるメモリカード25で行われるデータ送信時の処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態におけるカメラ1で行われるデータ受信時の処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0087】
1 デジタルカメラ
7 メインマイコン部
10 撮像システム
25 メモリカード
200 受信部
201 電極C
202 電極D
300 送信部
301 電極A
302 電極B
303 通信開始スイッチ
320 カードマイコン部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置と、
該撮像装置に対して交換可能な記録媒体と、
から構成される撮像システムであって、
前記記録媒体は、
情報を記憶する第1の記憶手段と、
第1の記憶手段に記憶された情報を変調し、人体を介して送信する送信手段を有し、
前記撮像装置は、
前記記録媒体の送信手段から人体を介して送信された情報を受信して復調する受信手段と、
前記受信手段で復調した情報を記憶する第2の記憶手段を有することを特徴とする撮像システム。
【請求項2】
前記記録媒体または前記撮像装置の少なくとも一方は通信を開始するための操作部材を有し、
前記操作部材を操作することにより通信を開始することを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。
【請求項3】
前記操作部材は人体と接触する電極部を有し、
電極部を介して通信信号を送信または受信することを特徴とする請求項2に記載の撮像システム。
【請求項4】
前記情報は記録媒体の容量に関する情報であることを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。
【請求項5】
前記撮像装置は表示手段を有し、前記第2の記憶手段に記憶した情報を前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。
【請求項6】
撮像装置と、該撮像装置に対して交換可能な記録媒体から構成される撮像システムに用いられる撮像装置であって、
前記撮像装置は、
前記記録媒体から人体を介して送信された情報を、受信して復調する受信手段と、
前記受信手段で復調した情報を、記憶する第2の記憶手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
撮像装置に対して交換可能な記録媒体であって、
前記記録媒体は、
情報を記憶する第1の記憶手段と、
前記記録媒体または前記撮像装置の少なくとも一方に備えられた操作部材の操作に応答して、前記第1の記憶手段に記憶された前記情報を変調し、人体を介して撮像装置に送信する送信手段と、
を有することを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−43283(P2007−43283A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−222711(P2005−222711)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(303050159)コニカミノルタフォトイメージング株式会社 (1,066)
【Fターム(参考)】