説明

撮像装置、像振れ補正方法、及びプログラム

【課題】像振れ補正時の周辺光量不足補正をより適切に行うことが可能な撮像装置、像振れ補正方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】被写体像を光電変換する撮像部8または光学要素部9のいずれか一方を駆動し、駆動された撮像部8または光学要素部9の位置情報を生成する被像振れ補正機構11を有する撮像装置において、補正画像生成部6は、撮像装置1の振れ情報と振れ情報により決定された周期で取得される位置情報とに基づいて、被像振れ補正機構11における補正によって撮像部8の撮像面に生じる周辺光量不足に対して補正を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体像を光電変換する撮像部または補正レンズ等の光学要素部を駆動する像振れ補正に関し、特に当該像振れ補正時の周辺光量不足補正を行う撮像装置、像振れ補正方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像装置に対しては、手振れ補正等の高機能を搭載しつつ、小型軽量化を実現することがより強く求められるようになってきている。従来、手振れ補正機能に関しては、撮影者による手振れ等の撮像装置の振れに応じて、光軸に垂直な平面内で補正レンズを移動させることにより、かかる振れによる画像振れの影響を抑制する撮像装置が一般的に知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1においては、像振れを補正するために光軸に垂直な面に沿ってCCD(Charge Coupled Device)を駆動する。そして、CCDの有効画素領域を構成する各画素について、CCDの駆動後に撮影レンズのイメージサークルの外に位置することとなる画素の輝度情報を補正係数によって補正する技術を開示している。しかし、特許文献1に記載されている技術によれば、イメージサークルの周辺光量不足による検出精度の低下や、計算時間の増大化によるフレームレートの低下が課題となってくる。
【0004】
そこで、被写体像を光電変換する撮像部と、振れ情報を検出する検出部と、振れ情報に基づいて撮像光学系の光軸に垂直な平面上で移動して像振れを補正する補正部と、補正部の位置情報を検出する位置検出部とを有する撮像装置に関する技術を開示している(例えば、特許文献2)。特許文献2に記載されている技術によれば、撮像部の露光期間中に検出される位置情報だけでなく振れ情報も併用して、撮像画面の周辺光量不足に対する補正量を決定することで、特許文献1の課題を解決している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−42320号公報
【特許文献2】特開2009−145629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載されている技術においては、振れ情報を変換して補正部の変位(角度変化)を求め、求めた補正部の変位を利用して周辺光量不足に対する補正量を決定している。このような方法によれば、パンニング/チルティング撮影のように、撮影者による意図的な振れがなされた場合、振れ量が周辺光量不足に対する補正量に影響することとなる。すなわち、パンニング/チルティング撮影のような振れが撮像装置に対しなされた場合には、検出される振れ量は大きいが、実際の撮像光学系の光軸のずれは比較的小さいため、最適な周辺光量不足に対する補正ができない虞がある。
【0007】
本発明は、像振れ補正時の周辺光量不足補正をより適切に行うことが可能な撮像装置、像振れ補正方法、及びプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明の態様のひとつである撮像装置は、被写体像を光電変換する撮像部または光学要素部のいずれか一方を駆動し、駆動された当該撮像部または当該光学要素部の位置情報を生成する被像振れ補正機構を有する撮像装置において、撮像装置の振れ情報と当該振れ情報により決定された周期で取得される位置情報とに基づいて、被像振れ補正機構における補正によって撮像部の撮像面に生じる周辺光量不足に対して補正を行わせる補正画像生成部を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の別の態様のひとつである像振れ補正方法は、被写体像を光電変換する撮像部または光学要素部のいずれか一方を駆動し、駆動された当該撮像部または当該光学要素部の位置情報を生成する被像振れ補正機構を有する撮像装置による像振れ補正方法であって、撮像装置の振れ情報を取得する段階と、振れ情報により位置情報の検出周期を決定する段階と、振れ情報と決定された周期で取得される位置情報とに基づいて、被像振れ補正機構における補正によって撮像部の撮像面に生じる周辺光量不足に対する補正量を決定する段階と、被写体像の読込後に周辺光量不足補正を行う段階と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の更なる別の態様のひとつであるプログラムは、被写体像を光電変換する撮像部または光学要素部のいずれか一方を駆動し、駆動された当該撮像部または当該光学要素部の位置情報を生成する被像振れ補正機構を有する撮像装置による像振れ補正を演算処理装置に行わせるためのプログラムであって、撮像装置の振れ情報を取得する処理と、振れ情報により位置情報の検出周期を決定する処理と、振れ情報と決定された周期で取得される位置情報とに基づいて、被像振れ補正機構における補正によって撮像部の撮像面に生じる周辺光量不足に対する補正量を決定する処理と、被写体像の読込後に周辺光量不足補正を行う処理と、を演算処理装置に行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、像振れ補正時の周辺光量不足補正をより適切に行うことが可能な撮像装置、像振れ補正方法、及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態に係る撮像装置の構成図である。
【図2】撮像部及び光学要素部の位置関係を説明する図である。
【図3】振れ情報と位置情報の検出周期との関係を説明する図である。
【図4】第1の実施形態に係る撮像装置による周辺光量不足に対する補正処理を示したフローチャートである。
【図5】動画を撮影する場合における周辺光量不足に対する補正処理の実行タイミングを説明する図である。
【図6】第2の実施形態に係る撮像装置による周辺光量不足に対する補正処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態に係る撮像装置の構成図である。図1に示す撮像装置1は、トリガー情報2、振れ検出部3、制御部4、記憶部5、補正画像生成部6、及び被像振れ補正機構11を含む。図1においては、本実施形態に係る周辺光量不足に対する補正処理に係わる構成を中心に記載している。
【0014】
トリガー情報2は、本実施形態に係る周辺光量不足に対する補正処理を開始する契機となる情報である。具体的には、静止画像を撮像する場合については、露光開始を示す情報がトリガー情報2に相当し、撮影者が撮像装置1のシャッターボタンを押下すると、撮像装置1は、トリガー情報2を取得する。また、動画を撮影する場合については、撮像開始を示す情報がこれに相当し、撮影者が撮像装置1の録画ボタン(RECボタン)を押下すると、撮像装置1は、トリガー情報2を取得する。
【0015】
振れ検出部3は、例えばジャイロスコープ等の角加速度センサを用い、撮像装置1の角加速度等の振れを検出し、制御部4に対して、検出した振れを示す振れ情報を通知する。
被像振れ補正機構11は、位置検出部7、撮像部8、光学要素部9、及び駆動部10を含む。光学要素部9は、複数のレンズ等を含み、被写体像を結像させる。撮像部8は、光学要素部9により結像された被写体像を光電変換し、得られた信号についてA/D変換を行う。A/D変換により得られたデジタルデータは、図1においては不図示の信号処理部において処理が施され、得られた画像信号は制御部4に受け渡される。駆動部10は、制御部4からの像振れ補正を行うための像振れ補正信号にしたがって、撮像部8または光学要素部9のいずれか一方を駆動して、撮像部8または光学要素部9を移動させることにより像振れ補正を行う。撮像部8または光学要素部9のいずれを移動させるかについては、撮像装置1の仕様による。位置検出部7は、例えばホール素子等を用い、撮像部8または光学要素部9の位置情報を検出する。具体的には、位置検出部7は、駆動部10により駆動された撮像部8または光学要素部9の位置情報を検出する。制御部4は、位置検出部7から検出された位置情報を取得する。
【0016】
補正画像生成部6は、例えば制御部4の演算処理装置により実行される補正画像生成までの一連の処理を行う電子回路、または制御部4の演算処理装置により実行されるプログラムとする。補正画像生成部6は、このようなプログラムとした場合、記憶部5に予め記憶させるようにしてもよい。
【0017】
以降説明では、補正画像生成部6は制御部4の演算処理装置により実行される制御プログラムで構成した場合とする。
図2は、撮像部8及び光学要素部9の位置関係を説明する図である。撮像装置1の光軸方向と一致する向きにz軸をとり、光軸と直交する平面上にx軸及びy軸をとる。本実施形態においては、撮像部8、または光学要素部9を移動させて像振れ補正を行う。また、本実施形態においては、位置検出部7が位置情報として、撮像部8、または光学要素部9の光軸と交差する位置座標を原点O´とした場合のx軸及びy軸方向の座標位置を検出する。図2に示す角度θについては、後述する。
【0018】
なお、図2は、像振れ補正において、撮像部8及び光学要素部9のうち撮像部8を移動させる場合を例示しているため、撮像部8の光軸と交差する位置座標を原点O´としている。光学要素部9を移動させて像振れ補正を行う撮像装置において、例えば図2に示すような形状のレンズを光学要素部9に用いる場合には、光学要素部9の光軸と交差する位置座標をO´とする。そして、位置検出部7が検出した光学要素部9のx軸及びy軸方向の位置座標より、光学要素部9のずれ量を求める。一方、例えばプリズム等を光学要素部9に用いる場合には、必ずしも像振れ補正処理における光学要素部9の移動の中心が光軸と交差する位置座標と一致するとは限らない。しかし、このような場合であっても、例えば記憶部5に光学要素部9の移動中心の位置座標をオフセット値として記憶しておくことで、記憶させておいたオフセット値と位置検出部7が検出した位置座標とから、光学要素部9のずれ量を求めることができる。
【0019】
補正画像生成部6は、振れ検出部3において検出した振れ情報と、振れ情報から決定された周期で位置検出部7が検出した位置情報とに基づいて、被像振れ補正機構11における振れ補正による撮像光学系の光軸ずれを考慮し、撮像部8の撮像面に生じる周辺光量不足に対する補正を制御部4に実行させる。
【0020】
記憶部5は、撮像装置1の制御等に必要なプログラムや撮像した画像を記憶する。被像振れ補正機構11において補正を行う場合には、制御部4が補正画像生成部6に基づいて、周辺光量不足に対する補正がなされた画像が記憶部5に記憶される。
【0021】
制御部4は、撮像装置1の各部の制御を行う。具体的には、補正画像生成部6に基づいてトリガー情報2や振れ検出部3からの情報を取得し、記憶部5、及び被像振れ補正機構11の制御を行う。また、制御部4は、像振れ補正が有効である旨の通知を受けると、被像振れ補正機構11の位置検出部7が検出した位置情報から撮像部8または光学要素部9のずれ量を算出し、算出したずれ量に応じた像振れ補正信号を生成し、駆動部10に通知する。本実施形態においては、制御部4は、撮像部8、または光学要素部9のx軸方向及びy軸方向についてのずれ量を算出する。前述したように、駆動部10は、制御部4からの像振れ補正信号にしたがって撮像部8または光学要素部9を駆動して、像振れ補正を行う。
【0022】
なお、撮像装置1は、制御部4と被像振れ補正機構11との間での信号経路において、負帰還を形成している。
制御部4は、補正画像生成部6に基づいて、振れ情報の大きさと位置情報の検出周期とを関連付けた例えば記憶部5に予め記憶されたテーブルを参照して検出周期を決定する。そして、制御部4は、決定した周期で位置検出部7において検出された位置情報に対応する周辺光量不足に対する補正量を決定する。次に、図3を参照して、振れ情報と位置情報の検出周期との関係について説明する。
【0023】
図3は、振れ情報と位置情報の検出周期との関係を説明する図である。図3に示すグラフの縦軸は、位置検出部7が位置情報を検出する周期を、横軸は、振れ検出部3が出力する振れ情報を表す。
【0024】
図3に示すとおり、本実施形態では、振れ情報が閾値a以下の場合(周辺光量不足に影響しない振れの場合)は、検出周期には所定の値Taを設定し、振れ情報が閾値aを超え、且つ閾値b以下の場合、振れ情報が大きくなるほど短い検出周期を設定する。これは、検出周期の設定では、撮像装置1の振れが大きいほど振れの周期が短いため、これに応じて位置情報の検出周期を短く設定する必要があるためである。また、検出周期の設定では、撮像装置1の振れが小さいほど振れの周期が長いため、これに応じて位置情報の検出周期を長く設定する必要があるためである。これにより、検出周期は、撮像装置1の振れの大きさに応じて適切に設定される。
【0025】
また、検出周期の設定では、振れ情報が所定の閾値bを超える場合、所定値Tb<所定値Tcの範囲Tαにおいて、所定の周期に設定される。
なお、この範囲Tαに設定される所定の周期は、図3に示すとおり、例えば撮影者が意図的にパンニング/チルティング撮影した場合を想定している。
【0026】
本実施形態に係る撮像装置1は、振れ情報の大きさと位置情報の検出周期とを互いに対応付けてそれぞれの値を格納したテーブル等を、記憶部5に予め記憶させておく。
なお、図3に示すグラフは一例であり、振れ情報と位置情報の検出周期との関係は、これに限定されるものではない。
【0027】
次に、制御部4が、前述した補正画像生成部6におけるプログラムに基づいて、振れ検出部3が検出した振れ情報から決定した検出周期で位置情報を検出し、周辺光量不足に対する補正量を決定する方法について、フローチャートを参照して具体的に説明する。
【0028】
図4は、本実施形態に係る撮像装置1による周辺光量不足に対する補正処理を示したフローチャートである。
本フローチャートの説明では、前述したように、制御部4の演算処理装置が補正画像生成部6における制御プログラムを実行した場合とする。図4に示す周辺光量不足に対する補正処理を実行する前提としては、像振れ補正が「有効」に設定されており、像振れ補正処理が、図4に示す周辺光量不足に対する補正の処理と並列して行われていることとする。まず、静止画像を撮像する場合を例に、周辺光量不足に対する補正処理について、図4を参照して説明する。
【0029】
まず、制御部4は、ステップS1において、トリガー情報2及び振れ情報を取得する。トリガー情報2は、静止画像の撮像において、露光開始を示す情報である。振れ情報については、像振れ補正が「有効」のときに振れ検出部3が定期的に取得する振れ情報のうち、トリガー情報2である露光開始を示す情報を取得したタイミングと最も近いタイミングで取得した情報を利用する。例えば、露光開始直後に取得した振れ情報を利用することとしてもよい。あるいは、露光開始の時点において取得していた最新の振れ情報を利用することとしてもよい。
【0030】
次に、制御部4は、ステップS2において、振れ情報が示す振れの大きさに基づき、位置情報の検出周期を決定する。前述のとおり、図3に示す振れ情報と位置情報の検出周期との関係を格納するテーブル等を参照して、ステップS1で取得した振れ情報と対応する検出周期を取得することにより、位置情報の検出周期を決定する。
【0031】
次に、制御部4は、ステップS3において、ステップS2で決定した検出周期を例えば割り込み処理の周期として設定し、ステップS4で、検出周期の経過待ちを行う。制御部4は、設定した検出周期が経過すると、ステップS5へ処理を移行する。
【0032】
次に、制御部4は、ステップS5において、位置検出部7より位置情報を取得する。前述のとおり、本実施形態の制御部4は、位置情報として、撮像部8のx軸及びy軸方向の座標位置を示す情報(X,Y)を取得する。取得した位置情報(X,Y)は記憶部5に記憶させる。また、これとともに、位置情報を取得した取得回数の更新として、取得回数に1を加算した数値を記憶しておく。
【0033】
次に、制御部4は、ステップS6において、露光期間が終了したか否かを判定する。露光期間は、撮影者が撮影パラメータの設定時に設定した値や、自動露光により撮像装置1が決定した値を用いる。制御部4は、ステップS6において、露光期間がまだ終了していないと判定した場合、ステップS4に戻り、露光期間内は前述と同様の処理を繰り返す。制御部4は、露光期間が終了したと判定すると、ステップS6からステップS7へ処理を移行する。
【0034】
次に、制御部4は、ステップS7において、取得した位置情報(X,Y)から周辺光量不足に対する補正量を決定する。具体的には、制御部4は、まず、記憶部5に記憶させておいた位置情報(X,Y)の総和をとり、これを記憶しておいた取得回数で除することにより、撮像部8の位置情報の平均値を求める。制御部4は、求めた平均値を光軸からのずれとし、光軸からのずれに応じて周辺光量不足に対する補正量を算出する。光軸からのずれから周辺光量不足に対する補正量を求める際は、例えば互いを対応付けしたテーブルを記憶部5に記憶させおき、求めた撮像部8の位置の平均値に対応する補正係数等を抽出することで、行うことができる。
【0035】
ここで、制御部4は、ステップS1において、取得した振れ情報より、前述したパンニング/チルティング撮影したと判定している場合、パンニング/チルティング撮影用の補正テーブルを参照し、パンニング/チルティング撮影ではないと判定している場合(振れ情報の大きさが閾値a以下の場合も含む)、パンニング/チルティング撮影用とは異なる補正テーブルを参照して、補正値を決定する。これにより、制御部4は、例えば撮影者が意図的にパンニング/チルティング撮影した場合にも、好適な周辺光量不足に対する補正量を決定する。
【0036】
次に、制御部4は、ステップS8において、記憶部5から被写体画像を読み込む。次に、制御部4は、ステップS9において、ステップS7で決定した周辺光量不足に対する補正量を用いて、ステップS8で読み込んだ被写体画像の周辺光量不足に対する補正を行う。次に、制御部4は、ステップS10において、補正した被写体画像を記憶部5に記憶して、本フローチャートの一連の処理を終了する。
【0037】
前述したフローチャートの一連の処理では、静止画像を撮像する場合の周辺光量不足に対する補正方法について説明している。かかる補正方法は、動画像の撮影に対しても適用が可能である。
【0038】
図5は、動画を撮影する場合における周辺光量不足に対する補正処理の実行タイミングを説明する図である。図5の横軸は時間を表し、上段から順に動画の撮影期間、露光期間、振れ情報の取得と位置情報の検出周期の決定タイミング及びフレームレートを表す。「フレーム画像(k)(kは0以上の整数)」は、フレーム番号がkのフレーム画像であることを示す。
【0039】
撮像装置1の制御部4は、図1トリガ情報における例えばRECボタンの押下により動画の撮影が開始されると、所定のフレームレートで撮影画像の記録を開始する。図5中の「露光期間」は、各フレームの露光タイミングを表し、ハイレベル区間が露光期間を表している。制御部4は、振れ情報の取得当該振れ情報に応じて位置情報の検出周期の決定を、各フレームの露光期間の開始のタイミングに応じて実行する。制御部4は、決定した検出周期で撮像部8の位置情報を取得し、周辺光量不足に対する補正を行う。すなわち、制御部4は、各フレームの露光期間の開始のタイミングで、図4のフローチャートにおいてはステップS1のトリガー情報2の入力と認識して、ステップS2以降の処理を実行する。
【0040】
制御部4は、撮影終了のタイミングにおいて、記録中であった撮影画像に係わるデータは破棄する。図5に示す例では、フレーム番号nのフレーム画像を処理中に撮影終了となった場合、記録中のフレーム画像(n)に係わるデータは破棄し、フレーム画像(n−1)までを記録する。
【0041】
以上説明したように、本実施形態に係る撮像装置1によれば、振れ検出部3において検出した振れ情報から位置情報の検出周期を決定し、決定した周期で撮像部8または光学要素部9の位置情報を検出し、検出した位置情報に基づき、周辺光量不足に対する補正量を決定する。本実施形態に係る撮像装置1によれば、撮像部8または光学要素部9の光軸からのずれ量の算出には振れ情報を利用しないことで、撮像部8または光学要素部9の光軸からのずれをより正確に算出することができる。したがって、本実施形態に係る撮像装置1によれば、周辺光量不足に対する補正をより適切に行うことができる。
【0042】
また、本実施形態に係る撮像装置1によれば、振れ検出部3において検出した振れ情報が閾値bを超える場合、振れがパンニング/チルティング撮影によるものと判定し、位置情報の検出周期を所定値Tb<所定値Tcの範囲Tαにおいて、所定の周期に設定する。一方、本実施形態に係る撮像装置1によれば、振れ情報が閾値b以下である場合、振れ情報が示す振れの大きさに応じて、振れが大きいほど位置情報の検出周期が短くなるよう当該検出周期を決定する。このように、本実施形態に係る撮像装置1によれば、振れ情報に基づき、振れがパンニング/チルティング撮影によるものであるか否かに応じて、あるいはパンニング/チルティング撮影ではない場合の当該振れの大きさに応じて、適切に検出周期を設定することができる。本実施形態に係る撮像装置1によれば、振れに応じて設定した周期で位置情報を検出することで、撮像部8または光学要素部9のずれ量の算出がより適切になされ、これにより、最適な周辺光量不足に対する補正を行うことができる。
【0043】
<第2の実施形態>
第1の実施形態に係る撮像装置においては、撮像部8の位置情報として、光軸と直交するx軸及びy軸方向の位置(X,Y)を取得して、周辺光量不足に対する補正量を決定している。これに対して、本第2の実施形態に係る撮像装置においては、更に、図2の撮像部8の角度θについても位置情報として取得する点で異なる。
【0044】
本実施形態に係る撮像装置は、撮像部8または光学要素部9を移動させることにより像振れ補正を行っている。
本第2の実施形態に係る撮像装置の構成は、図1に示す構成と同様である。但し、撮像部8または光学要素部9の角度θを検出するためのセンサやプリズム等の検出部が、位置検出部7に追加されている。角度θは、撮像部8または光学要素部9の光軸Oと直交する面(図2においてはxy平面)を光軸周りに回動させた場合の位置を表す。図2に示す例では、角度θは、撮像部8を中心O´を中心に回動、または光学要素部9を光軸Oに直交する方向へ回動させた場合の位置を表す。制御部4は、補正画像生成部6における制御プログラムに基づいて、撮像部8、または光学要素部9の位置検出部7において検出した位置情報に基づき、x座標、y座標及び角度θのずれ量を算出する。制御部4は、補正画像生成部6における制御プログラムに基づいて、位置情報(X,Y,θ)を用いて周辺光量不足に対する補正を行わせる。他の構成については、前述した第1の実施形態と同様であるため、ここでは説明を割愛する。
【0045】
以下に、本第2の実施形態に係る撮像装置1が周辺光量不足に対する補正を行う方法について、前述した第1の実施形態に係る撮像装置と異なる点を中心に、具体的に説明する。
【0046】
図6は、本第2の実施形態に係る撮像装置1による周辺光量不足に対する補正処理を示したフローチャートである。補正画像生成部6は、前述した第1の実施形態と同様に、例えば制御部4の演算処理装置により実行される補正画像生成までの一連の処理を行う電子回路、または制御部4の演算処理装置により実行されるプログラムとする。補正画像生成部6は、このようなプログラムとした場合、記憶部5に予め記憶させるようにしてもよい。
【0047】
以降説明では、補正画像生成部6は制御部4の演算処理装置により実行される制御プログラムで構成した場合とする。
制御部4は、図6に示されるフローチャートの制御処理を実行する。
【0048】
本第2の実施形態に係る撮像装置1の制御部4は、ステップS21からステップS24までの処理において、それぞれ前述した図4のステップS1からステップS4と同様の処理を実行する。
【0049】
制御部4は、ステップS25において、位置検出部7より位置情報を取得する。本第2の実施形態においては、位置情報として、撮像部8、または光学要素部9のx軸及びy軸方向の位置及び角度θ(図2参照)を取得する。取得した位置情報(X,Y,θ)は、記憶部5に記憶させる。これとともに、第1の実施形態と同様に、位置情報を取得した取得回数の更新として、取得回数に1を加算した数値を記憶しておく。制御部4は、図1のステップS6と同様に、ステップS26において、露光期間が終了したか否かを判定する。制御部4は、露光期間が終了したと判定すると、ステップS26からステップS27へ処理を移行する。
【0050】
次に、制御部4は、ステップS27において、取得した位置情報(X,Y,θ)から周辺光量不足に対する補正量を決定する。前述した第1の実施形態に係る撮像装置1と同様に、露光期間に取得した位置情報(X,Y,θ)の総和をとり、記憶しておいた位置情報の取得回数で除することにより、撮像部8、または光学要素部9の位置の平均値を求める。求めた平均値は、光軸からのずれとし、光軸からのずれに応じた周辺光量不足に対する補正量を決定する。
【0051】
ここで、制御部4は、前述した第1の実施形態と同様に、先に取得しておいた振れ情報より、前述したパンニング/チルティング撮影したと判定している場合、パンニング/チルティング撮影用の補正テーブルを参照し、パンニング/チルティング撮影ではないと判定している場合、パンニング/チルティング撮影用とは異なる補正テーブルを参照して、補正値を決定する。
【0052】
これにより、制御部4は、例えば撮影者が意図的にパンニング/チルティング撮影した場合にも、撮像部8、または光学要素部9のx軸及びy軸方向の位置及び回転角の平均値に対応する周辺光量不足に対する補正係数等を補正テーブルから抽出することで、好適な周辺光量不足に対する補正量を決定する。
【0053】
制御部4は、ステップS28以降の処理については、図1のステップS8以降の処理と同様であり、ステップS30において、補正した被写体画像を記憶部5に記憶すると、処理を終了する。
【0054】
本第2の実施形態に係る撮像装置1で動画を撮影する場合には、先に図5を参照して説明したとおり、各フレームの露光期間の開始のタイミングでトリガー情報2の入力と認識して、ステップS22以降の処理を実行する。これにより、前述した第1実施形態と同様に、図6に示す静止画像の撮像において周辺光量不足に対する補正を行う処理を、動画を撮影する場合に適用することができる。
【0055】
以上説明したとおり、本第2の実施形態に係る撮像装置1によれば、第1の実施形態に係る撮像装置と同様の効果を得ることができる。本第2の実施形態に係る位置検出部7は、光軸と直交するx軸及びy軸方向の位置に加えて、撮像部8、または光学要素部9の角度θについても取得する。本第2の実施形態に係る撮像装置1によれば、撮像部8、または光学要素部9の回転方向の位置情報についても利用して周辺光量不足に対する補正量を決定することで、補正量をより正確に決定でき、これにより、周辺光量不足に対する補正をより適切に行うことができる。
【0056】
この他にも、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の改良及び変更が可能である。例えば、前述の各実施形態に示された全体構成からいくつかの構成要素を削除してもよく、更には各実施形態の異なる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 撮像装置
2 トリガー情報
3 振れ検出部
4 制御部
5 記憶部
6 補正画像生成部
7 位置検出部
8 撮像部
9 光学要素部
10 駆動部
11 被像振れ補正機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を光電変換する撮像部または光学要素部のいずれか一方を駆動し、駆動された当該撮像部または当該光学要素部の位置情報を生成する被像振れ補正機構を有する撮像装置において、
前記撮像装置の振れ情報と当該振れ情報により決定された周期で取得される前記位置情報とに基づいて、前記被像振れ補正機構における補正によって前記撮像部の撮像面に生じる周辺光量不足に対して補正を行わせる補正画像生成部
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
少なくとも前記被像振れ補正機構の制御を行う制御部と、
記憶部と
を更に備え、
前記制御部は、前記記憶部に予め記憶されている制御プログラムを当該制御部の演算処理装置に実行させることにより、前記補正画像生成部として機能する
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
少なくとも前記被像振れ補正機構の制御を行う制御部と、
前記制御部により制御される電子回路と
を更に備え、
前記制御部は、当該制御部の演算処理装置が前記電子回路を制御することにより、前記補正画像生成部として機能する
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
前記位置情報は、前記撮像装置の光軸方向と直交する前記撮像部の撮像面を、当該直交方向に移動させた場合の位置を示す情報を含む
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項5】
前記位置情報は、前記撮像装置の光軸方向と直交する前記撮像部の撮像面を、当該光軸を中心に回動させた場合の位置を示す情報を含む
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項6】
前記補正画像生成部は、前記振れ情報が示す前記撮像装置の振れの大きさが所定の閾値以下である場合、前記周期を振れが周辺光量不足に影響しないと判定した場合に適用する当該周期に決定することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項7】
前記補正画像生成部は、前記振れ情報が示す前記撮像装置の振れの大きさが所定の閾値以下である場合、当該振れ情報が大きくなるほど小さい値となるよう前記周期を決定し、当該振れ情報が当該閾値を超える場合、所定数値範囲内で周期が一定となる当該周期に決定する
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項8】
被写体像を光電変換する撮像部または光学要素部のいずれか一方を駆動し、駆動された当該撮像部または当該光学要素部の位置情報を生成する被像振れ補正機構を有する撮像装置による像振れ補正方法であって、
前記撮像装置の振れ情報を取得する段階と、
前記振れ情報により前記位置情報の検出周期を決定する段階と、
前記振れ情報と前記決定された周期で取得される前記位置情報とに基づいて、前記被像振れ補正機構における補正によって前記撮像部の撮像面に生じる周辺光量不足に対する補正量を決定する段階と、
前記被写体像の読込後に周辺光量不足補正を行う段階と、
を有することを特徴とする像振れ補正方法。
【請求項9】
前記被写体像に前記周辺光量不足補正を行った画像を記憶させる段階と、
を更に有することを特徴とする請求項8記載の像振れ補正方法。
【請求項10】
被写体像を光電変換する撮像部または光学要素部のいずれか一方を駆動し、駆動された当該撮像部または当該光学要素部の位置情報を生成する被像振れ補正機構を有する撮像装置による像振れ補正を演算処理装置に行わせるためのプログラムであって、
前記撮像装置の振れ情報を取得する処理と、
前記振れ情報により前記位置情報の検出周期を決定する処理と、
前記振れ情報と前記決定された周期で取得される前記位置情報とに基づいて、前記被像振れ補正機構における補正によって前記撮像部の撮像面に生じる周辺光量不足に対する補正量を決定する処理と、
前記被写体像の読込後に周辺光量不足補正を行う処理と、
を前記演算処理装置に行わせることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
前記被写体像に前記周辺光量不足補正を行った画像を記憶させる処理と、
を更に前記演算処理に行わせることを特徴とする請求項10記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−133253(P2012−133253A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286985(P2010−286985)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】