説明

撮像装置、及びプログラム

【課題】当該撮像装置の傾きによって変化する撮影条件をより適切に制御する。
【解決手段】 撮像部2は、被写体を撮像して撮影画像を取得する。加速度センサ7は、当該デジタルカメラ1の水平面に対する傾きを検出する。制御部3は、撮像部2による撮影画像の撮影シーンを判別することにより撮影条件を取得し、加速度センサ7により検出された傾きに応じて、撮影画像の撮影条件(露出量)を制御する。このとき、当該デジタルカメラ1の傾きが変更されると、輝度センサ8により検出される輝度分布に応じて、撮影条件を取得するために判別される撮影シーンを更に特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラにおいては、正確なシーン判別を行い、より適切な画質補正を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。該従来技術では、シーン判定を行う際に逆光判定であれば、画面中央付近の明るさを元に判定を行う。また、青空判定であれば、青空と同じ色空間に含まれる画素が画面のどのくらいの割合を占めるのかで判定を行う。同様に、夕日判定も、夕日と同じ色空間に含まれる画素が画面にどのくらいの割合を占めるのかで判定を行う。また、風景判定は、画像の輝度値がある閾値以上の場合に風景と判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−239772
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、逆光判定であれば、画像中央に黒い物体がある場合、逆光ではないにもかかわらず逆光と誤判定してしまう。また、青空判定では、青空に近い色の物体がある場合、青空が画像に含まれていなくても青空と誤判定してしまう。同様に、夕日判定では、夕日に近い色の物体がある場合、夕日が画像に含まれていなくても夕日と誤判定してしまう。また、風景判定では、輝度値がある閾値以上ある場合、風景でないにもかかわらず風景と誤判定してしまうという問題がある。
【0005】
また、デジタルカメラを水平より上方に向けると、空や、照明等が写る面積が増す。空のような凄く明るい被写体を撮影する場合には、アンダー露出になりやすい傾向があることは周知である。このような場合、ユーザがEVシフト操作により露光量を増やし明るく撮影することで適正露出を得ることができる。一方、下方に向けると、空や、照明の面積は少なくなる。この場合もユーザがEVシフトを操作することで、露光量を減らし適正露出を得ることができる。しかしながら、いずれの場合もユーザが手動で操作する必要があるという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、当該撮像装置の傾きによって変化する撮影条件をより適切に制御することができる撮像装置、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的達成のため、請求項1記載の発明は、被写体を撮像して撮影画像を得る撮像手段と、前記撮像手段による撮影方向の重力方向に対して垂直の水平面に対する傾きを検出する検出手段と、前記撮像手段による撮影画像の撮影条件を取得する取得手段と、前記検出手段により検出された傾きに応じて、前記取得手段により取得された撮影画像の撮影条件を制御する撮影制御手段とを備えることを特徴とする撮像装置である。
【0008】
また、好ましい態様として、例えば請求項2記載のように、請求項1に記載の撮像装置において、前記取得手段は、前記撮像手段による撮影画像の撮影シーンを判別することにより撮影条件を取得し、前記撮影制御手段は、前記検出手段により検出された傾きに応じて、前記取得手段により撮影条件を取得するために判別される撮影シーンを特定することを特徴とする。
【0009】
また、好ましい態様として、例えば請求項3記載のように、請求項2に記載の撮像装置において、前記撮像手段による撮影画像の輝度の分布を検出する輝度分布検出手段を更に備え、前記検出手段は、前記水平面に対する傾きが変更される方向を更に検出し、前記撮影制御手段は、前記検出手段により検出された傾きが変更される方向に応じて変化する前記輝度分布検出手段により検出される輝度の分布に応じて、前記取得手段により撮影条件を取得するために判別される撮影シーンを更に特定することを特徴とする。
【0010】
また、好ましい態様として、例えば請求項4記載のように、請求項3に記載の撮像装置において、前記撮影制御手段は、前記検出手段により前記水平面に対する傾きが上方向に変更されたと検出された場合であって、前記輝度分検出手段により画面上部の明るい範囲が広がり、中央部の暗い範囲が下側に移動した場合に、撮影シーンは逆光であると判別することを特徴とする。
【0011】
また、好ましい態様として、例えば請求項5記載のように、請求項2に記載の撮像装置において、前記撮影制御手段は、前記検出手段により前記水平面に対する傾きが所定の角度以上下向きであると検出された場合には、前記撮影シーンの判別で前記撮像画像に逆光被写体は含まれないと特定することを特徴とする。
【0012】
また、好ましい態様として、例えば請求項6記載のように、請求項2に記載の撮像装置において、前記撮影制御手段は、前記検出手段により前記水平面に対する傾きが所定の角度以上下向きであると検出された場合には、前記撮影シーンの判別で前記撮像画像に青空は含まれないと特定することを特徴とする。
【0013】
また、好ましい態様として、例えば請求項7記載のように、請求項2に記載の撮像装置において、前記撮影制御手段は、前記検出手段により前記水平面に対する傾きが所定の角度以上下向きであると検出された場合には、前記撮影シーンの判別で前記撮像画像に夕日は含まれないと特定することを特徴とする。
【0014】
また、好ましい態様として、例えば請求項8記載のように、請求項2に記載の撮像装置において、前記撮影制御手段は、前記検出手段により前記水平面に対する傾きが所定の角度以上下向きであると検出された場合には、前記撮影シーンの判別で前記撮像画像に風景は含まれないと特定することを特徴とする。
【0015】
また、好ましい態様として、例えば請求項9記載のように、請求項1に記載の撮像装置において、前記取得手段は、前記撮像手段による撮影画像の露出を取得し、前記撮影制御手段は、前記検出手段により検出された傾きに応じて、前記取得手段により取得された露出の補正量を制御することを特徴とする。
【0016】
また、好ましい態様として、例えば請求項10記載のように、請求項9に記載の撮像装置において、前記撮像手段による撮影画像の輝度を検出する輝度検出手段を更に備え、前記撮影制御手段は、前記輝度検出手段により検出された輝度が所定値以下の場合には、前記露出補正量を制限することを特徴とする。
【0017】
また、好ましい態様として、例えば請求項11記載のように、請求項9に記載の撮像装置において、前記取得手段は、前記撮像手段による撮影画像の撮影シーンを判別することにより撮影条件を更に取得し、前記撮影制御手段は、前記取得手段により撮影条件を取得するために判別される撮影シーンに応じて前記露出補正量を制限することを特徴とする。
【0018】
また、上記目的達成のため、請求項12記載の発明は、撮像装置のコンピュータに、被写体を撮像して撮影画像を得る撮像機能、前記撮像機能による撮影方向の重力方向に対して垂直の水平面に対する傾きを検出する検出機能、前記撮像機能による撮影画像の撮影条件を取得する取得機能、前記検出機能により検出された傾きに応じて、前記取得機能により取得された撮影画像の撮影条件を制御する撮影制御機能を実行させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、当該撮像装置の傾きによって変化する撮影条件をより適切に制御することができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態によるデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態において、デジタルカメラを横方向から見たときのデジタルカメラの水平方向(0°)に対するデジタルカメラの傾きχ°を示す概念図である。
【図3】本実施形態において、デジタルカメラがどの程度、上向きか、下向き化を判断するための基準となる判断角度値α°と下方向の判断角度値β°とを説明するための概念図である。
【図4】本実施形態において、デジタルカメラが上向きである場合のデジタルカメラの傾きχ°と判断角度値α°との関係を示す概念図である。
【図5】本実施形態において、デジタルカメラが下向きである場合のデジタルカメラの傾きχ°と判断角度値β°との関係を示す概念図である。
【図6】本実施形態において、デジタルカメラの傾きと露出補正量との関係を示す概念図である。
【図7】本実施形態において、デジタルカメラの傾きχ°に応じて撮影シーンを判別するための撮影シーン判別テーブルの一例を示す概念図である。
【図8】本実施形態において、デジタルカメラの傾きχ°に応じて露出を補正するための露出補正テーブルの一例を示す概念図である。
【図9】本実施形態によるデジタルカメラの動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】本実施形態によるデジタルカメラの動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】本実施形態によるデジタルカメラの動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】本実施形態によるデジタルカメラでの撮影シーン判別処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0022】
一般的に、デジタルカメラを被写体に向けたとき、デジタルカメラの傾きが水平より上方であると、空や照明等が写る面積が増し、アンダー露出になりやすい傾向があり、逆に下方であるとオーバー露出になりやすい傾向があった。そこで、本発明では、三軸加速度センサの情報を元に、空や照明、芝、土等が多く映る場合でもデジタルカメラの傾きに応じて補正量を決定し最適露出を実現する。
【0023】
A.実施形態の構成
図1は、本発明の実施形態によるデジタルカメラの構成を示すブロック図である。図において、デジタルカメラ1は、撮像部2、制御部3、操作部4、表示部5、記憶部6、加速度センサ7、輝度センサ8、及び電源部9を備えている。
【0024】
撮像部2は、カメラレンズ部2−1、撮像素子2−2、アナログ処理部2−3、画像信号処理部2−4、圧縮伸張部2−5、各種センサ部2−6を備えている。カメラレンズ部2−1は、フォーカスレンズ、ズームレンズなどを含み、被写体像を撮像素子2−2上に結像する。撮像素子2−2は、投影された被写体の光を電気信号に変換する。
【0025】
アナログ処理部2−3は、撮像素子2−2から出力される撮像信号を相関二重サンプリングして保持するCDS(Correlated
Double Sampling)回路、そのサンプリング後の撮像信号の自動利得調整を行うAGC(Automatic
Gain Control)回路、その自動利得調整後のアナログの撮像信号をデジタル信号に変換するA/D変換器から構成されている。
【0026】
画像信号処理部2−4は、アナログ処理部2−3から送られてきた画像データの画像処理(画素補間処理、γ補正、輝度色差信号の生成、ホワイトバランス処理、露出補正処理等)を行う。圧縮伸張部2−5は、画像データの圧縮・伸張(例えば、JPEG形式やM−JPEG形式又はMPEG形式の圧縮・伸張)の処理を行う。各種センサ部2−6は、撮像部2を駆動するための各種センサからなる。
【0027】
制御部3は、デジタルカメラ1の各部を制御するワンチップマイコンである。特に、本実施形態では、制御部3は、デジタルカメラ1の撮影時の傾きに応じて、撮影シーンの特定や、露出補正などを制御するようになっている。操作部4は、シャッタスイッチ、ズームスイッチ、モードキー、SETキー、十字キー等の複数の操作キーを含み、ユーザのキー操作に応じた操作信号を制御部3に出力する。表示部5は、カラーLCDや有機EL(Electro
Luminescence)ディスプレイなどとその駆動回路を含み、撮像待機状態にあるときには、撮像部2によって撮像された被写体をスルー画像として表示し、記録画像の再生時には、記憶部6から読み出され、伸張された記録画像を表示する。
【0028】
記憶部6は、撮像された画像データを記憶するメモリと、制御部3によるデジタルカメラ1の各部の制御に必要なプログラム、及び各部の制御に必要なデータを保持するメモリなどからなる。特に、本実施形態では、記憶部6は、デジタルカメラ1の傾きに応じて撮影シーンを判別するための撮影シーン判別テーブル6−1と、デジタルカメラ1の傾きに応じて露出補正するための露出補正量を判別するための露出補正テーブル6−2とを保持している。該撮影シーン判別テーブル6−1、及び露出補正テーブル6−2の詳細については後述する。加速度センサ7は、三軸加速度センサなどからなり、デジタルカメラ1の傾きを検出する。輝度センサ8は、撮影時の輝度を検出する。電源部9は、上述した各部に電力を供給する。
【0029】
図2は、本実施形態において、横向きに構えたデジタルカメラ1を横方向から見たときのデジタルカメラ1の重力方向に対して垂直の水平方向(0°)に対するデジタルカメラ1の撮影方向の傾きχ°を示す概念図である。デジタルカメラ1の水平を基準に0°とした場合、デジタルカメラ1の傾きは、図2に示すように、水平方向(0°)からデジタルカメラ1の水平ラインまでの角度χ°で表す。図2に示すように、デジタルカメラ1を構えときの傾きχ°により、デジタルカメラ1を上に向けているのか、下に向けているのか判断できる。なお、撮影方向とは光軸のことをいう。
【0030】
図3は、本実施形態において、デジタルカメラ1がどの程度、上向きか、下向き化を判断するための基準となる判断角度値α°と下方向の判断角度値β°とを説明するための概念図である。本実施形態では、デジタルカメラ1の水平面を0°としたとき、上方向に上向きスレッシュ(規定値)、下方向に下向きスレッシュ(規定値)を設定し、水平面(0°)から上向きスレッシュ(規定値)までの間を判断角度値α°、水平面(0°)から下向きスレッシュ(規定値)までの間を判断角度値β°としている。
【0031】
図4は、本実施形態において、デジタルカメラ1が上向きである場合のデジタルカメラ1の傾きχ°と判断角度値α°との関係を示す概念図である。また、図5は、本実施形態において、デジタルカメラ1が下向きである場合のデジタルカメラ1の傾きχ°と判断角度値β°との関係を示す概念図である。
【0032】
すなわち、
χ>αの場合(上に向けている場合:図4を参照)には、目標値を高くするなどして明るめに撮れるように補正する。
χ<βの場合(下に向けている場合:図5を参照)には、 目標値を低くするなどして暗めに撮れるように補正する。
【0033】
また、図4に示すように、デジタルカメラ1が上方向に傾くに従って、画像上部の明るい範囲が広がり、中央部の逆光とは認識されない程度の暗い部分が下方向に移動するシーンでは逆光と判定する。
【0034】
図6は、本実施形態において、デジタルカメラ1の傾きと露出補正量との関係を示す概念図である。露出補正量として、水平面(0°)に対して上下方向の所定の角度範囲で±0%、上方向に傾きが大きくなるに従って、+5%、+10%、+15%、+20%、+25%、+30%、下方向に傾きが大きくなるに従って、−5%、−10%、−15%、−20%、−25%、−30%とになるように、角度に応じて露光量を補正するようになっている。
【0035】
このような露出補正処理を行う理由として、空を多く含む場合、露出を抑えようと働き主要被写体が暗くなってしまうことが多いが、明るめに補正することで、空は多少白飛びしてしまう恐れはあるが、主要被写体は適正露出になるので許容できると考える。一方、下を向けている場合には、空のように明るいものが少ないため、白飛びをさせないよう暗めに補正することで適正露出にすることができる。但し、これらの露出補正は、夜景撮影時(もしくは、LV値が小さい時)は、雰囲気を損なわないようにするため行わないようにしてもよい。
【0036】
このように、主要被写体以外のものが画角の多くを占める場合、すなわち、空や、照明、芝、土等が多く映る場合でも、デジタルカメラ1の傾きに応じて露出の補正量を決定し最適露出を実現することで、空や、照明等の影響を受けることなく、被写体を適正露出で撮影することができる。
【0037】
図7は、本実施形態において、デジタルカメラ1の傾きχ°に応じて撮影シーンを判別するための撮影シーン判別テーブル6−1の一例を示す概念図である。加速度センサ7などによりデジタルカメラ1が、水平方向(0°)に対して下方向−a°の角度であると検出したときには、「逆光被写体はない」と判定し、水平方向(0°)に対して下方向−b°の角度であると検出したときには、「青空はない」と判定し、水平方向(0°)に対して下方向−c°の角度であると検出したときには、「夕日はない」と判定し、水平方向(0°)に対して下方向−d°の角度であると検出したときには、「風景はない」と判定する。このように、デジタルカメラ1が下方向を向いているときは、逆光被写体はない、青空はない、夕日はない、風景ではない、と判断することで、撮影シーン判定の誤判定を軽減することができる。
【0038】
図8は、本実施形態において、デジタルカメラ1の傾きχ°に応じて露出を補正するための露出補正テーブル6−2の一例を示す概念図である。図6に示すデジタルカメラ1の傾きと露出補正量との関係をテーブル化したものである。本実施形態では、露出補正量として、水平面(0°)に対して+u°以上の場合には+30%、+t°〜+u°の場合には+25%、+s°〜+t°の場合には+20%、+r°〜+s°の場合には+15%、+q°〜+s°の場合には+10%、+p°〜+q°の場合には+5%、−p°〜+p°の場合には±0%、−q°〜−p°の場合には−5%、−r°〜−q°の場合には−10%、−s°〜−r°の場合には−15%、−t°〜−s°の場合には−20%、−u°〜−t°の場合には−25%、−u°以下の場合には−30%としている。なお、p<q<r<s<t<uの関係を有する。
【0039】
B.実施形態の動作
次に、上述した実施形態の動作について説明する。
図9から図11は、本実施形態によるデジタルカメラ1の動作を説明するためのフローチャートである。まず、撮影モードであるか否かを判断し(ステップS10)、撮影モードである場合には(ステップS10でYES)、撮影モード初期設定を行うとともに、撮像部2により取り込んだ画像をモニタ出力、すなわち表示部5に出力する(ステップS12)。
【0040】
次に、加速度センサ7の値を取得し(ステップS14)、デジタルカメラ1の傾きが変更されたか否かを判断する(ステップS16)。そして、デジタルカメラ1の傾きが変更された場合には(ステップS16でYES)、水平方向に対する傾きを算出する(ステップS18)。次に、輝度センサ8の値を取得する(ステップS20)。
【0041】
次に、傾きχ°を基に撮影シーン判別テーブル6−1を参照し、傾きχ°に応じた撮影シーンを取得し(ステップS22)、後述する撮影シーン判別処理により逆光を含めた撮影シーンを判別する(ステップS24)。次に、撮影画像の平均輝度を算出し(ステップS26)、算出した平均輝度が所定値以上であるか否かを判断し(ステップS28)、所定値以上でない場合には(ステップS28でNO)、ステップS14に戻る。
【0042】
一方、算出した平均輝度が所定値以上である場合には(ステップS28でYES)、判別した撮影シーンが露出補正対象であるか否かを判断する(ステップS30)。なお、撮影シーンが夜景、書籍・書類、ホワイトボードモードなどの場合には、露出補正の対象外である。そして、判別した撮影シーンが露出補正対象外である場合には(ステップS30でNO)、ステップS14に戻る。
【0043】
一方、判別した撮影シーンが露出補正対象である場合には(ステップS30でYES)、傾きχ°を基に露出補正テーブル6−2を参照して露出補正値を取得し(ステップS32)、取得した露出補正値で露出を補正する(ステップS34)。その後、ステップS14に戻る。
【0044】
一方、ステップS16でデジタルカメラ1の傾きに変化がない場合には(ステップS16でNO)、シャッタ操作があったか否かを判断する(図10のステップS36)。そして、シャッタ操作があった場合には(ステップS36でYES)、判別した撮影シーン、取得した露出補正値で補正した露出で撮影処理を行い(ステップS38)、撮影した画像を保存する(ステップS40)。その後、図9のステップS14に戻る。
【0045】
また、ステップS16でデジタルカメラ1の傾きに変化がなく(ステップS16でNO)、シャッタ操作がない場合には(図10ステップS36でNO)、モード選択操作があったか否かを判断し(ステップS42)、モード選択操作がない場合には(ステップS42でNO)、その他の操作(露出設定、ズーム、設定等)があったか否かを判断し(ステップS44)、その他の操作があった場合には(ステップS44でYES)、操作に応じた処理を実行し(ステップS46)、図9のステップS14に戻る。その他の操作がなかった場合には(ステップS44でNO)、そのまま図9のステップS14に戻る。
【0046】
また、ステップS10で再生モードであると判断された場合(ステップS10でNO)、あるいは、図10のステップS42で、モード選択操作があったと判断された場合には(ステップS42でYES)、再生モード初期設定を行い、撮影画像を表示部5に表示し(図11のステップS48)、モード変更操作があったか否かを判断する(スップS50)。そして、モード変更操作があった場合には(ステップS50でYES)、図9のステップS12に戻る。
【0047】
一方、モード変更操作がない場合には(図11のステップS50でNO)、その他の操作(画像送り、ズーム、スライドショー等)があったか否かを判断し(ステップS52)、その他の操作があった場合には(ステップS52でYES)、操作に応じた処理を実行し(ステップS54)、ステップS50に戻る。その他の操作がなかった場合には(ステップS52でNO)、そのままステップS50に戻る。
【0048】
図12は、本実施形態によるデジタルカメラ1での、上述した撮影シーン判別処理(図9のステップS24)の動作を説明するためのフローチャートである。撮影シーン判別処理では、まず、図9のステップS14で取得した傾きχ°が、逆光被写体がない角度であるか否か、すなわち撮影シーン判別テーブル6−1から参照した撮影シーンが「逆光被写体はない」であったか否かを判断し(ステップS60)、逆光被写体はない角度でない場合には(ステップS60でNO)、輝度センサ8から輝度分布を検出する(ステップS62)。
【0049】
次に、前回の輝度分布と今回の輝度分布とを比較し(ステップS64)、上部の明るい範囲が広がっているか否かを判断し(ステップS66)、明るい範囲が広がっている場合には(ステップS66でYES)、中央部の暗い範囲が下側に移動しているか否かを判断する(ステップS68)。そして、上部の明るい範囲が広がっており、かつ、中央部の暗い範囲が下側に移動している場合には(ステップS68でYES)、撮影シーンを逆光として判別し(ステップS70)、今回の輝度分布を保存し(ステップS72)、メインルーチンに戻る。このように、デジタルカメラ1が上方向に傾くに従って、画像上部の明るい範囲が広がり、中央部の暗い部分が下側に移動するシーンでは、逆光と判定することで、逆光判定の精度が向上する。
【0050】
一方、ステップS60で逆光被写体はない角度である場合(ステップS60でYES)、あるいは、ステップS66で上部の明るい範囲が広がっていない場合(ステップS66でNO)、あるいはステップS68で中央部の暗い範囲が下側に移動していない場合には(ステップS68でNO)、撮影シーン判別テーブル6−1から傾きχ°に応じた撮影シーンを判別し(ステップS74)、メインルーチンに戻る。すなわち、撮影シーン判別テーブル6−1から傾きχ°に対応する撮影シーンを判別する。
【0051】
上述した実施形態によれば、被写体を撮像して撮影画像を取得し、撮影方向の重力方向に対して垂直の水平面に対する傾きを検出し、撮影画像の撮影条件を取得し、検出された傾きに応じて、取得された撮影画像の撮影条件を制御するようにしたので、当該撮像装置の傾きによって変化する撮影条件をより適切に制御することができる。
【0052】
また、撮影画像の撮影シーンを判別することにより撮影条件を取得し、検出された傾きに応じて、撮影条件を取得するために判別される撮影シーンを特定するようにしたので、撮影シーンを正確に判別できるとともに、判別のための処理量を低減することができる。
【0053】
また、撮影画像の輝度の分布を更に検出し、水平面に対する傾きが変更される方向を更に検出し、検出された傾きが変更される方向に応じて変化する検出される輝度の分布に応じて、撮影条件を取得するために判別される撮影シーンを更に特定するようにしたので、撮影シーンをより正確に判別することができる。
【0054】
また、水平面に対する傾きが上方向に変更されたと検出された場合であって、画面上部の明るい範囲が広がり、中央部の暗い範囲が下側に移動した場合に、撮影シーンは逆光であると判別するようにしたことで、逆光の判別が正確にできるようになる。
【0055】
また、水平面に対する傾きが所定の角度以上下向きであると検出された場合には、撮影シーンの判別で撮像画像に逆光被写体は含まれないと特定するようにしたので、撮影シーンをより正確に判別することができる。
【0056】
また、水平面に対する傾きが所定の角度以上下向きであると検出された場合には、撮影シーンの判別で撮像画像に青空は含まれないと特定するようにしたので、撮影シーンをより正確に判別することができる。
【0057】
また、水平面に対する傾きが所定の角度以上下向きであると検出された場合には、撮影シーンの判別で撮像画像に夕日は含まれないと特定するようにしたので、撮影シーンをより正確に判別することができる。
【0058】
また、水平面に対する傾きが所定の角度以上下向きであると検出された場合には、撮影シーンの判別で撮像画像に風景は含まれないと特定するようにしたので、撮影シーンをより正確に判別することができる。
【0059】
また、撮影画像の露出を取得し、検出された傾きに応じて、取得された露出の補正量を制御するようにしたので、従来傾きによってユーザが手動で行っていた露出補正を自動で行うことができる。
【0060】
また、撮影画像の輝度を検出し、検出された輝度が所定値以下の場合には、露出補正量を制限するようにしたので、露出補正が不要な状況で、不要な露出補正を防ぐことができる。
【0061】
また、撮影画像の撮影シーンを判別することにより撮影条件を更に取得し、撮影条件を取得するために判別される撮影シーンに応じて露出補正量を制限するようにしたので、露出補正が不要な状況で、不要な露出補正を防ぐことができる。
【0062】
また、上述の実施形態は、デジタルカメラ1を横向きに構えた場合について説明したが、縦向きに構えた場合であっても、上述の露出補正は角度に応じて処理を行うので向きによらず同じ処理が実行される。
【0063】
また、上述した実施形態においては、撮像装置としてデジタルカメラに適用した場合を示したが、撮像部を備えた携帯電話機・パーソナルコンピュータ(ノートパソコンなど)・PDAなどであってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 デジタルカメラ
2 撮像部
2−1 カメラレンズ部
2−2 撮像素子
2−3 アナログ処理部
2−4 画像信号処理部
2−5 圧縮伸張部
2−6 各種センサ部
3 制御部
4 操作部
5 表示部
6 記憶部
6−1 撮影シーン判別テーブル
6−2 露出補正テーブル
7 加速度センサ
8 輝度センサ
9 電源部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像して撮影画像を得る撮像手段と、
前記撮像手段による撮影方向の重力方向に対して垂直の水平面に対する傾きを検出する検出手段と、
前記撮像手段による撮影画像の撮影条件を取得する取得手段と、
前記検出手段により検出された傾きに応じて、前記取得手段により取得された撮影画像の撮影条件を制御する撮影制御手段と
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記取得手段は、
前記撮像手段による撮影画像の撮影シーンを判別することにより撮影条件を取得し、
前記撮影制御手段は、
前記検出手段により検出された傾きに応じて、前記取得手段により撮影条件を取得するために判別される撮影シーンを特定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像手段による撮影画像の輝度の分布を検出する輝度分布検出手段を更に備え、
前記検出手段は、
前記水平面に対する傾きが変更される方向を更に検出し、
前記撮影制御手段は、
前記検出手段により検出された傾きが変更される方向に応じて変化する前記輝度分布検出手段により検出される輝度の分布に応じて、前記判別手段により撮影条件を取得するために判別される撮影シーンを更に特定する
ことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮影制御手段は、
前記検出手段により前記水平面に対する傾きが上方向に変更されたと検出された場合であって、前記輝度分検出手段により画面上部の明るい範囲が広がり、中央部の暗い範囲が下側に移動した場合に、撮影シーンは逆光であると判別する
ことを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記撮影制御手段は、
前記検出手段により前記水平面に対する傾きが所定の角度以上下向きであると検出された場合には、前記撮影シーンの判別で前記撮像画像に逆光被写体は含まれないと特定することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮影制御手段は、
前記検出手段により前記水平面に対する傾きが所定の角度以上下向きであると検出された場合には、前記撮影シーンの判別で前記撮像画像に青空は含まれないと特定することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記撮影制御手段は、
前記検出手段により前記水平面に対する傾きが所定の角度以上下向きであると検出された場合には、前記撮影シーンの判別で前記撮像画像に夕日は含まれないと特定することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮影制御手段は、
前記検出手段により前記水平面に対する傾きが所定の角度以上下向きであると検出された場合には、前記撮影シーンの判別で前記撮像画像に風景は含まれないと特定することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記取得手段は、
前記撮像手段による撮影画像の露出を取得し、
前記撮影制御手段は、
前記検出手段により検出された傾きに応じて、前記取得手段により取得された露出の補正量を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記撮像手段による撮影画像の輝度を検出する輝度検出手段を更に備え、
前記撮影制御手段は、
前記輝度検出手段により検出された輝度が所定値以下の場合には、前記露出補正量を制限する
ことを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記取得手段は、
前記撮像手段による撮影画像の撮影シーンを判別することにより撮影条件を更に取得し、
前記撮影制御手段は、
前記取得手段により撮影条件を取得するために判別される撮影シーンに応じて前記露出補正量を制限する
ことを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項12】
撮像装置のコンピュータに、
被写体を撮像して撮影画像を得る撮像機能、
前記撮像機能による撮影方向の重力方向に対して垂直の水平面に対する傾きを検出する検出機能、
前記撮像機能による撮影画像の撮影条件を取得する取得機能、
前記検出機能により検出された傾きに応じて、前記取得機能により取得された撮影画像の撮影条件を制御する撮影制御機能
を実行させることを特徴とするプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−95067(P2012−95067A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240322(P2010−240322)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】