説明

撮像装置の撮像素子保持構成

【課題】光電変換信号を読み出している最中に機械的な作動部の微振動が撮像素子に伝達するのを低減させることができ、且つ強い衝撃が加わった時にも、周囲の部品と干渉して破損することのない撮像素子の保持構成を提供する。
【解決手段】被写体の光学像を電気信号に変換する撮像素子と、前記撮像素子を保持する撮像素子保持部材510と、前記撮像素子保持部材510を取り付ける固定部材300と、前記固定部材300に対し、撮像素子保持部材510を締結する為の締結部材600と、前記撮像素子保持部材510と締結部材600の間に圧縮して挟持される弾性部材601を有し、前記締結部材600は、前記弾性部材601の圧縮量を規定する為の第一の突き当て部と、撮像素子保持部材510の光軸方向に移動可能な距離を規定する第二の突き当て部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタル一眼レフカメラに関し、特に撮像素子の保持構成に関する。
【背景技術】
【0002】
画像信号を電気信号に変換して撮像するデジタルカメラ等の撮像装置では、撮影光束をCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子で受光し、その撮像素子から出力される光電変換信号を画像データに変換して、メモリカード等の記録媒体に記録する。
【0003】
ところで、このような撮像装置では、シャッターユニットやクイックリターンミラーユニットといった機械的な作動部が撮像素子の近傍に配置されており、撮影時において、撮像素子での露光完了後に、光電変換信号を読み出している最中に、これらの作動部の振動が撮像素子に伝達してしまう事により、撮像素子内部の圧電効果としてノイズを発生させてしまい、画像に影響を及ぼしてしまうという問題が発生する。
【0004】
そこで特許文献1のように、画像信号の読み出し時に生じる振動を感知する圧電素子を配置し、その圧電素子により、振動に起因して発生する画像信号のノイズを出力信号に基づいて算出し、画像信号のノイズを抑制するように補正処理を行うものが提案されている。
【0005】
また特許文献2のように、周囲の環境の変化が起きてもその影響を撮像素子ユニットに伝えない為に、撮像素子が取り付けられているハウジング部材とカバー部材の2部材の締結を弾性部材を挟む事で十分に固定しない構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−114543号公報
【特許文献2】特開2006−150687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、新たに振動を検出するための圧電素子や、補正処理の時間等が必要となり、コストアップや、カメラのシーケンスに影響してしまう。
【0008】
また特許文献2のように、弾性部材を挟持して締結した場合、弾性部材が変形できる領域まで撮像素子ユニットが移動可能となってしまい、落下や振動といった外部から加わる衝撃によって、撮像素子ユニットが周囲の部材に干渉して破損してしまう可能性がある。
【0009】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、光電変換信号を読み出している最中に画像に影響を及ぼしてしまうような、シャッターユニットやクイックリターンミラーユニットといった機械的な作動部の微振動が撮像素子に伝達するのを低減させることができ、且つ強い衝撃が加わった時にも、周囲の部品と干渉することのない撮像素子の保持構成を実現させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
被写体の光学像を電気信号に変換する撮像素子(33)と、
前記撮像素子(33)を保持する撮像素子保持部材(510)と、
前記撮像素子保持部材(510)を取り付ける固定部材(300)と、
前記固定部材(300)に対し、撮像素子保持部材(510)を締結する為の締結部材(600)と、
前記撮像素子保持部材(510)と締結部材(600)の間に圧縮して挟持される弾性部材(601)を有し、
前記締結部材(600)は、前記弾性部材(601)の圧縮量を規定する為の第一の突き当て部(600b)と、
撮像素子保持部材(510)の光軸方向に移動可能な距離を規定する第二の突き当て部(600c)を有する。
【発明の効果】
【0011】
光電変換信号を読み出している最中に画像に影響を及ぼしてしまうような、シャッターユニットやクイックリターンミラーユニットといった機械的な作動部の微振動が撮像素子に伝達するのを低減させることができ、且つ強い衝撃が加わった時にも、周囲の部品と干渉することのない撮像素子の保持構成が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係るデジタル一眼レフカメラの外観を示す斜視図で、カメラ前面側より見た斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るデジタル一眼レフカメラの外観を示す背面斜視図である。
【図3】本実施の形態に係るデジタル一眼レフカメラの主要な電気的構成を示すブロック図である。
【図4】(a)は撮像素子周りの保持構造を示すための、カメラ内部の概略構成を示す背面図である。(b)は撮像素子周りの保持構造を示すための、カメラ内部の概略構成を示す分解斜視図である。
【図5】図4(a)のA-A線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳しく説明する。尚、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0014】
[実施の形態1]
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係るデジタル一眼レフカメラの外観を示す斜視図である。具体的には、図1はカメラ前面側より見た斜視図であって、撮影レンズユニットを外した状態を示し、図2はカメラ背面側より見た斜視図である。
【0015】
図1において、1はカメラ本体であり、撮影時に使用者がカメラを安定して握り易いように前方に突出したグリップ部1aが設けられている。2はマウント部であり、着脱可能な撮影レンズユニット(不図示)をカメラ本体1に固定させる。マウント接点21は、カメラ本体1と撮影レンズユニットとの間で制御信号、状態信号、データ信号などをやり取りすると共に、撮影レンズユニット側に電力を供給する機能を有する。また、マウント接点21は電気通信のみならず、光通信、音声通信等を可能な構成であってもよい。
【0016】
4は撮影レンズユニットを取り外す際に押し込むレンズロック解除釦である。5はカメラ筐体内に配置されたミラーボックスで、撮影レンズを通過した撮影光束はここへ導かれる。ミラーボックス5の内部には、クイックリターンミラーユニット700が配設されている。クイックリターンミラーユニット700は、撮影光束をペンタプリズム22(図3)の方向へ導くために撮影光軸に対して45°の角度に保持される状態と、撮像素子33(図3)の方向へ導くために撮影光束から退避した位置に保持される状態とを取り得る。
【0017】
カメラ上部のグリップ側には、撮影開始の起動スイッチとしてのシャッタボタン7と、撮影時の動作モードに応じてシャッタスピードやレンズ絞り値を設定するためのメイン操作ダイヤル8と、撮影系の動作モード設定ボタン10が配置されている。これら操作部材の操作結果の一部は、LCD表示パネル9に表示される。
【0018】
シャッタボタン7は、第1ストローク(半押し)でスイッチSW1(後述図3の7a)がオンし、第2ストローク(全押し)にてスイッチSW2(後述図3の7b)がオンする構成となっている。
【0019】
また、動作モード設定ボタン10は、シャッタボタン7の1回の押込みで連写になるか1コマのみの撮影となるかの設定や、セルフ撮影モードの設定などを行うものであり、LCD表示パネル9にその設定状況が表示されるようになっている。
【0020】
カメラ上部中央には、カメラ本体に対してポップアップするストロボユニット11とフラッシュ取付け用のシュー溝12とフラッシュ接点13が配置されており、カメラ上部の図1右寄りには撮影モード設定ダイヤル14が配置されている。
【0021】
グリップ側とは反対側の側面には、開閉可能な外部端子蓋15が設けられており、この外部端子蓋15を開けた内部には、外部インタフェースとしてビデオ信号出力用ジャック16とUSB出力用コネクタ17が納められている。
【0022】
図2において、カメラ背面側には上方にファインダ接眼窓18が設けられ、更に背面中央付近には画像表示可能なカラー液晶モニタ19が設けられている。カラー液晶モニタ19の横に配置されたサブ操作ダイヤル20は、メイン操作ダイヤル8の機能の補助的役割を担っている。例えばカメラのAEモードでは自動露出装置により算出された適正露出値に対する露出補正量を設定するために使用される。又或は、シャッタスピードとレンズ絞り値の各々を使用者の意志によって設定するマニュアルモードにおいて、メイン操作ダイヤル8でシャッタスピードを設定し、サブ操作ダイヤル20でレンズ絞り値を設定するように使用される。また、このサブ操作ダイヤル20は、カラー液晶モニタ19に表示される撮影済み画像の表示選択にも用いられる。43はカメラの動作を起動もしくは停止するためのメインスイッチである。44はクリーニングモードを動作させるためのクリーニング指示部材であり、光学フィルタ上に付着した、塵埃などの異物をふるい落とす動作を指示するためのものである。
【0023】
図3は、本実施形態に係るデジタル一眼レフカメラの主要な電気的構成を示すブロック図である。なお、前述の図面と共通する部分は同じ記号で示している。
【0024】
100はカメラ本体に内蔵されたマイクロコンピュータからなる中央処理装置(以下、MPUという)である。MPU100は、カメラの動作制御を司るものであり、各要素に対して様々な処理や指示を実行する。100aはMPU100に内蔵されたEEPROMであり、時刻計測回路109の計時情報やその他の情報を記憶可能である。
【0025】
MPU100には、ミラー駆動回路101、焦点駆動回路102、シャッタ駆動回路103、映像信号処理回路104、スイッチセンス回路105、測光回路106が接続されている。また、液晶表示駆動回路107、バッテリチェック回路108、時刻計測回路109、電源供給回路110、圧電素子駆動回路111も接続されている。これらの回路はMPU100の制御により動作するものである。
【0026】
また、MPU100は、撮影レンズユニット内に配置されたレンズ制御回路201と、マウント接点21を介して通信を行う。マウント接点21は撮影レンズユニットが接続されるとMPU100へ信号を送信する機能も備えている。これにより、レンズ制御回路201は、MPU100との間で通信を行い、撮影レンズユニット内の撮影レンズ200及び絞り204の駆動を、AF駆動回路202及び絞り駆動回路203を介して行うことが可能となる。なお、本実施形態では撮影レンズ200は便宜上1枚のレンズで示しているが、実際は多数のレンズ群により構成されている。
【0027】
AF駆動回路202は、例えばステッピングモータによって構成され、レンズ制御回路201の制御によって撮影レンズ200内のフォーカスレンズ位置を変化させることにより、撮像素子33に撮影光束の焦点を合わせるように調整する。絞り駆動回路203は、例えばオートアイリスなどによって構成され、レンズ制御回路201によって絞り204を変化させ、光学的な絞り値を得るように構成されている。
【0028】
クイックリターンミラーユニット700は、撮影レンズ200を通過する撮影光束をペンタプリズム22へ導くとともに、その一部を透過させるメインミラー6と、透過した撮影光束を焦点検出用センサユニット31へ導くサブミラー30により構成されている。
【0029】
ミラー駆動回路101は、このクイックリターンミラーユニット700を、ファインダにより被写体像を観察可能とする位置と、撮影光束から待避する位置とへ駆動するものである。又この動作と同時に、サブミラー30を、焦点検出用センサユニット31へ撮影光束を導く位置と、撮影光束から待避する位置とへ駆動する。具体的には、例えばDCモータとギヤトレインなどから構成される。
【0030】
焦点検出用センサユニット31は、不図示の結像面近傍に配置されたフィールドレンズ、反射ミラー、2次結像レンズ、絞り、複数のCCDから成るラインセンサ等から構成されている周知の位相差方式の焦点検出センサユニットである。この焦点検出センサユニット31から出力された信号は、焦点検出回路102へ供給され、被写体像信号に換算された後MPU100へ送信される。MPU100は、この被写体像信号に基づいて、位相差検出法による焦点検出演算を行う。そして、デフォーカス量及びデフォーカス方向を求め、これに基づき、レンズ制御回路201及びAF駆動回路202を介して、撮影レンズ200内のフォーカスレンズを合焦位置まで駆動する。
【0031】
ペンタプリズム22は、メインミラー6によって反射された撮影光束を正立正像に変換反射する光学部材である。使用者は、ファインダ光学系を介して、ファインダ接眼窓18から被写体像を観察することができる。またペンタプリズム22は、撮影光束の一部を測光センサ37にも導く。測光回路106は、この測光センサ37の出力を得て、観察面上の各エリアの輝度信号に変換し、MPU100に出力する。MPU100は、こうして得られる輝度信号から露出値を算出する。
【0032】
32はシャッターユニットであり、ユーザがファインダにより被写体像を観察している時には撮影光束を遮る。また撮像時にはレリーズ信号に応じて、不図示の先羽根群と後羽根群の走行する時間差により所望の露光時間を得るように構成されている機械式のフォーカルプレーンシャッタである。シャッターユニット32は、MPU100の指令を受けたシャッタ駆動回路103によって制御される。33は被写体の光学像を電気信号に変換する撮像素子で、例えば撮像デバイスであるCMOSが用いられる。この撮像デバイスには、CCD型、CMOS型およびCID型など様々な形態があり、何れの形態の撮像デバイスを採用してもよい。34はクランプ/CDS(相関二重サンプリング)回路であり、A/D変換する前の基本的なアナログ処理を行うとともに、クランプレベルの変更も可能である。35はAGC(自動利得調整回路)であり、A/D変換する前の基本的なアナログ処理を行うとともに、AGC基本レベルの変更も可能である。36はA/D変換器であり、撮像素子33のアナログ出力信号をデジタル信号に変換する。
【0033】
410は赤外線カットフィルタで、異物の付着を防止するために、表面は導電性物質で覆われている。420は光学ローパスフィルタで、水晶等からなる複屈折板及び位相板を複数枚貼り合わせて積層されている。光学ローパスフィルタ420は、撮像素子33に入射される光束を複数に分離し、偽解像信号や偽色信号の発生を効果的に低減させる。
【0034】
430は光学ローパスフィルタ420に振動を与える加振手段で、圧電素子を用いている。MPU100から指令を受けた圧電素子駆動回路111により加振され、赤外線カットフィルタ410と一体的に振動するように構成されている。400は、赤外線カットフィルタ410、圧電素子430、撮像素子33と後述する他の部品と共にユニット化された撮像ユニットである。映像信号処理回路104は、デジタル化された画像データに対してガンマ/ニー処理、フィルタ処理、モニタ表示用の情報合成処理など、ハードウエアによる画像処理全般を実行する。この映像信号処理回路104からのモニタ表示用の画像データは、カラー液晶駆動回路112を介してカラー液晶モニタ19に表示される。また、映像信号処理回路104は、MPU100からの指示により、メモリコントローラ38を通じて、バッファメモリ37に画像データを保存することも可能である。更に、映像信号処理回路104は、JPEGなどの画像データ圧縮処理を行う機能も有している。連写撮影など連続して撮影が行われる場合は、一旦バッファメモリ37に画像データを格納し、メモリコントローラ38を通して未処理の画像データを順次読み出すことも可能である。これにより映像信号処理回路104は、A/D変換器36から入力されてくる画像データの速度に関わらず、画像処理や圧縮処理を順次行うことが可能となる。
【0035】
メモリコントローラ38は、外部インタフェース40(図1におけるビデオ信号出力用ジャック16及びUSB出力用コネクタ17に対応する)から入力される画像データをメモリ39に記憶する機能を有する。また、メモリ39に記憶されている画像データを外部インタフェース40から出力する機能も有する。尚、メモリ39は、カメラ本体1に対して着脱可能なフラッシュメモリなどである。
【0036】
スイッチセンス回路105は、各スイッチの操作状態に応じて入力信号をMPU100に送信する。7aは、シャッタボタン7の第1ストローク(半押し)によりオンするスイッチSW1である。7bは、シャッタボタン7の第2ストローク(全押し)によりオンするスイッチSW2である。スイッチSW2がオンされると、撮影開始がMPU100に指示される。また、メイン操作ダイヤル8、サブ操作ダイヤル20、撮影モード設定ダイヤル14、メインスイッチ43、クリーニング指示部材44が接続されている。
【0037】
液晶表示駆動回路107は、MPU100の指示に従って、外部LCD表示パネル9やファインダ内液晶表示器41を駆動する。
【0038】
108はバッテリチェック回路であり、MPU100からの信号に従って、所定時間バッテリチェックを行い、その検出結果をMPU100へ送る。42は電源部であり、カメラの各要素に対して、必要な電源を供給する。
【0039】
時刻計測回路109は、メインスイッチ43がオフされて次にオンされるまでの時間や日付を計測し、MPU100からの指令により、その計測結果をMPU100へ送信することができる。
【0040】
図4(a)は、撮像ユニット400の周辺の保持構造について説明するための、カメラ内部の概略構成を示す背面図であり、図4(b)は撮像ユニット400の周辺の保持構成について説明するための、カメラ内部の概略構成を示す分解斜視図である。
【0041】
カメラ本体の骨格となる本体シャーシ300の被写体側には、被写体側から順に、ミラーボックス5、シャッターユニット32が配設されており、ミラーボックス5にはクイックリターンミラーユニット700が組み込まれている。また、本体シャーシ300の撮影者側には撮像ユニット400が配設されている。特に撮像ユニット400は、撮影レンズユニットが取り付けられる基準となるマウント2の取付け面に対して、撮像素子33の撮像面が所定の距離を空けて、かつ平行になるように、部品の寸法誤差を吸収するための調整ワッシャ602により調整されて固定される。
【0042】
撮像ユニット400は、振動ユニット470と、撮像素子ユニット500とを備えて構成されている。振動ユニット470は、弾性部材を挟み込んで撮像素子ユニット500に固定されるが、詳細な構成については既知の技術により省略する。
【0043】
撮像素子ユニット500は、少なくとも撮像素子33と撮像素子保持部材510により構成されている。
【0044】
図5は、撮像ユニット400と本体シャーシ300の締結部で、締結部材である段ビス600が本体シャーシ300に螺合し、弾性部材であるゴムブッシュ601が圧縮された状態の図4(a)のA−A線に沿う断面図である。
【0045】
以下この断面図を用いて撮像ユニット400の保持構成について詳細に説明する。
【0046】
撮像素子保持部材510と本体シャーシ300の間には、前述したように、調整ワッシャ602が挟持される。
【0047】
また、撮像素子保持部材510と段ビス600との間には、段ビス600のねじ頭の下面600aと、撮像素子保持部材510の上面との間にΔAの隙間ができるように段ビス600の第一の突き当て面600bの距離を設定する。
【0048】
この隙間ΔAに伸縮性のゴムブッシュ601を介在させることで、撮像素子保持部材501を、本体シャーシ300及び調整ワッシャ602に対して弾性力で保持している。
【0049】
これにより、光電変換信号を読み出している最中に画像に影響を及ぼしてしまうような、シャッターユニット32やクイックリターンミラーユニット700といった機械的な作動部の微振動が撮像素子33に伝達するのを低減させることができる。また、段ビス600の第二の突き当て面600cと撮像素子保持部材510の上面との間にΔBの隙間ができるように第二の突き当て面600cの距離を設定する。
【0050】
この隙間は、前述した微振動の振幅を吸収可能な距離以上で、且つ撮像ユニット400の周囲の部品とのクリアランスよりも小さくになるように設定する。これにより落下等の強い衝撃が加わったとしても、撮像ユニット400はΔB以上の距離を光軸方向に移動しないため、撮像ユニット400と、撮像ユニット400の周囲の部品との干渉による破損を防ぐ事ができる。
【0051】
本実施例では、弾性部材であるゴムブッシュ601を介在させる構成としたが、これに限定されるものではなく、コイルバネ等、他の弾性部材を使用してもよい。また、撮像素子保持部材510と本体シャーシ300との電気的な導通が必要な場合、落下等でΔBの距離だけ撮像ユニット400が光軸方向に移動し、導通が瞬断する可能性がある為、導電性のゴムブッシュやコイルバネ等の弾性部材を使用する事が望ましい。また本実施例では、撮像素子保持部材510の締結先を本体シャーシ300としたが、これに限らず、ミラーボックス5や、他の部品に締結する構成としてもよい。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 カメラ本体
2 マウント
5 ミラーボックス
19 カラー液晶モニタ
32 シャッターユニット
33 撮像素子
300 本体シャーシ
400 撮像ユニット
410 赤外線カットフィルタ
430 圧電素子
450 弾性部材
460 付勢部材
470 振動ユニット
500 撮像素子ユニット
510 撮像素子保持部材
600 段ビス
600a ねじ頭下面
600b 第一の突き当て部
600c 第二の突き当て部
601 ゴムブッシュ
602 調整ワッシャ
700 ミラーユニット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の光学像を電気信号に変換する撮像素子(33)と、
前記撮像素子(33)を保持する撮像素子保持部材(510)と、
前記撮像素子保持部材(510)を取り付ける固定部材(300)と、
前記固定部材(300)に対し、撮像素子保持部材(510)を締結する為の締結部材(600)と、
前記撮像素子保持部材(510)と締結部材(600)の間に圧縮して挟持される弾性部材(601)を有し、
前記締結部材(600)は、前記弾性部材(601)の圧縮量を規定する為の第一の突き当て部(600b)と、
撮像素子保持部材(510)の光軸方向に移動可能な距離を規定する第二の突き当て部(600c)を有することを特徴とする撮像装置の撮像素子保持構成。
【請求項2】
前記締結部材(600)は段ビスであることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置の撮像素子保持構成。
【請求項3】
前記弾性部材(601)はゴムブッシュであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の撮像装置の撮像素子保持構成。
【請求項4】
前記弾性部材(601)はコイルバネであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の撮像装置の撮像素子保持構成。
【請求項5】
前記弾性部材(601)は導電性の材質であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の撮像装置の撮像素子保持構成。
【請求項6】
前記固定部材(300)は本体シャーシであることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の撮像装置の撮像素子保持構成。
【請求項7】
前記固定部材(300)はミラーボックスであることを特徴とする1乃至請求項5の何れか1項に記載の撮像装置の撮像素子保持構成。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−54138(P2013−54138A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191175(P2011−191175)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】