説明

撮像装置及びその制御方法

【課題】無効に設定されている操作部材を操作した場合、直ぐに今は操作が無効中であると直感的に認識できるようにする。
【解決手段】複数の操作部材と、前記複数の操作部材のそれぞれについて、ロック状態にした際に操作無効とする対象とするか否かを設定する対象設定手段と、前記操作無効とする対象に設定された操作部材に対する操作を無効とする状態である前記ロック状態に設定するロック状態設定手段と、前記操作部材に割り当てられた機能に関する情報を表示する表示手段と、前記ロック状態の際に、前記操作無効とする対象に設定された操作部材が操作されたことに応じて、該操作された操作部材に割り当てられた機能に関する情報を表示している表示領域に、該操作が無効である旨の警告を表示するように制御する表示制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部材の有効、無効の設定が行える撮像装置、撮像装置の制御方法、プログラム、記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、操作部材が使用者の意図しない時に誤操作されない様に操作禁止(ロック)を求められる事がある。これに対し、各操作部材に近接して操作を無効にするスイッチを個々に設ける事例が存在する。(特許文献1)これは直感的で良いが、操作部材の数が増えると個々にスイッチとそのスペースを必要とするなど、コスト的に負担が大きい。
【0003】
これに対し、操作部材それぞれに無効とするスイッチは無いが、操作無効をソフト的に設定する方法があり、スイッチ等の追加無く安価に実現可能となる。(特許文献2)
前記特許文献2では、指定した操作部材の単独操作の有効/無効を設定可能とし、無効とした場合に、その操作部材に対する機能の表示に隣接して無効であることを表示するとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−210424号公報
【特許文献2】特開平8−220582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2では、『設定変更が不可能なときロック表示セグメント(L)が表示される』とし、設定変更が不可能なカメラ状態の時に、その操作部材に対する機能の表示に隣接して常に『L』が表示される。この場合、設定操作の有無に関わらず常に『L』が表示されたままとなるので、自分自身で操作無効に設定していない、あるいは『L』の意味も知らない使用者には気が付かれない事も想定される。
そこで本発明の目的は、いかなる使用者であっても、無効に設定されている操作部材を操作した場合、直ぐに今は操作が無効中であると直感的に認識できるようにする事である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の撮像装置は、
複数の操作部材と、
前記複数の操作部材のそれぞれについて、ロック状態にした際に操作無効とする対象とするか否かを設定する対象設定手段と、
前記操作無効とする対象に設定された操作部材に対する操作を無効とする状態である前記ロック状態に設定するロック状態設定手段と、
前記操作部材に割り当てられた機能に関する情報を表示する表示手段と、
前記ロック状態の際に、前記操作無効とする対象に設定された操作部材が操作されたことに応じて、該操作された操作部材に割り当てられた機能に関する情報を表示している表示領域に、該操作が無効である旨の警告を表示するように制御する表示制御手段と
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、使用者に対する操作無効の表示が明確になり、いかなる使用者にとっても分かりやすい警告が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一眼レフデジタルカメラの構成を示すブロック図
【図2】一眼レフデジタルカメラの操作部材の説明図
【図3】操作部材の有効/無効を設定する設定画面の説明図
【図4】操作部材の操作が無効である時の表示の第一の説明図
【図5】操作部材の操作が無効である時の表示フローの第一の説明図
【図6】操作部材の操作が無効である時の表示の第二の説明図
【図7】操作部材の操作が無効である時の表示フローの第二の説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
(実施例1)
以下、図を参照して、本発明の第1の実施例によるデジタルカメラについて説明する。
【0011】
図1は本発明の実施形態に関わる一眼レフデジタルカメラ100の構成を示すブロック図である。図1において、101は撮影レンズである。102はAF(オートフォーカス)駆動部である。AF駆動部102は、例えばDCモータやステッピングモータによって構成され、マイクロコンピュータ123の制御によって撮影レンズ101のフォーカスレンズ位置を変化させることによりピントを合わせる。103は撮影レンズ光学系のズーム駆動部である。ズーム駆動部103は、例えばDCモータやステッピングモータによって構成され、マイクロコンピュータ123の制御によって撮影レンズ101の変倍レンズ位置を変化させることにより撮影レンズ101の焦点距離を変化させる。104は絞りで、複数枚の絞り羽根で構成される。105は絞り駆動部である。絞り駆動部105は、絞り104を駆動する。駆動されるべき量はマイクロコンピュータ123によって算出され、光学的な絞り値を変化させる。
【0012】
106は撮影レンズ101から入射した光束をファインダ側と撮像素子側とに切替えるための主ミラーである。主ミラー106は常時はファインダ部へと光束を導くよう反射させるように配されているが、撮影が行われる場合には、撮像素子112へと光束を導くように上方に跳ね上がり光束中から待避する。また主ミラー106はその中央部が光の一部を透過できるようにハーフミラーとなっており、光束の一部を焦点検出用のセンサに入射するように透過させる。なお、動画撮影の場合は、撮影(記録)開始前から常に撮像素子112へ光束を導くように上方に跳ね上がったまま維持される。
【0013】
107は主ミラー106から透過してきた光束を反射させ焦点検出を行うためのセンサ(焦点検出回路109内に配置されている)に導くためのサブミラーである。
【0014】
108はファインダを構成するペンタプリズムである。ファインダは他にピント板、アイピースレンズ(不図示)などによって構成させる。
【0015】
109は焦点検出回路である。ミラー106の中央部を透過し、サブミラー107で反射された光束は、焦点検出回路109の内部に配置された光電変換を行うためのセンサに至る。フォーカス演算に用いるデフォーカス量は、センサの出力を演算することによって求められる。マイクロコンピュータ123は演算結果を評価してAF駆動部102に指示し、フォーカスレンズを駆動させる。
【0016】
110はフォーカルプレーンシャッターである。111はシャッター駆動回路であり、フォーカルプレーンシャッター110を駆動する。静止画撮影に対するシャッターの開口時間は、マイクロコンピュータ123によって制御される。動画撮影の場合は、前記主ミラー106が上方に跳ね上がると共に全開状態が維持される。
【0017】
112は撮像素子である。撮像素子112には、CCDやCMOSセンサなどが用いられ、撮影レンズ101によって結像された被写体像を電気信号に変換する。113はクランプ回路である。114はAGC回路である。クランプ回路113やAGC回路114は、A/D変換をする前の基本的なアナログ信号処理を行い、後述する映像信号処理回路116を通じてマイクロコンピュータ123により、クランプレベルやAGC基準レベルの変更が行われる。115はA/D変換器である。A/D変換器115は撮像素子112のアナログ出力信号をデジタル信号に変換する。
【0018】
116は映像信号処理回路であり、ゲートアレイなどのロジックデバイスにより実現される。詳細は後述する。117は液晶パネル駆動回路である。118は液晶パネルによる外部液晶モニタで、撮影画像のプレビューや再生、あるいは動画撮影中のビューファインダ表示、またカメラの設定状態表示などを表示する。119はメモリコントローラである。120はメモリである。121はコンピュータ等と接続可能な外部インターフェイスである。122はバッファメモリである。
【0019】
映像信号処理回路116は、デジタル化された画像データに、フィルター処理、色変換処理、ガンマ処理を行うと共に、JPEGなどの圧縮処理を行い、メモリコントローラ119に出力する。映像信号処理回路116は、撮像素子112からの映像信号や、メモリコントローラ119から逆に入力される画像データを、液晶パネル駆動回路117を通して液晶モニタ118に出力することも可能である。これらの機能切り替えはマイクロコンピュータ123の指示により行われる。映像信号処理回路116は、必要に応じて撮像素子112の信号の露出情報やホワイトバランスなどの情報をマイクロコンピュータ123に出力することが可能である。それらの情報を基にマイクロコンピュータ123はホワイトバランスやゲイン調整の指示を行う。静止画の連続撮影動作の場合においては、一旦、未処理画像のままバッファメモリ122に撮影データを格納し、メモリコントローラ119を通して未処理の画像データを読み出し、映像信号処理回路116にて画像処理や圧縮処理を行い連続撮影を行う。連像撮影枚数は、バッファメモリの大きさに左右される。
【0020】
メモリコントローラ119では、映像信号処理回路116から入力された未処理のデジタル画像データをバッファメモリに格納し、処理済みのデジタル画像データをメモリ120に格納する。また、逆にバッファメモリ122やメモリ120から画像データを映像信号処理回路部116に出力する。メモリ120は取り外し可能である場合もある。メモリコントローラ119は、コンピュータ等と接続可能な外部インターフェイス121を介してメモリ120に記憶されている画像を出力可能である。
【0021】
123はマイクロコンピュータである。124は操作部材である。操作部材124は、マイクロコンピュータ123にその状態を伝え、マイクロコンピュータ123はその操作部材の変化に応じて各部をコントロールする。
【0022】
125はスイッチ1(以後SW1)である。126はスイッチ2(以後SW2)である。スイッチSW1とスイッチSW2は、レリーズボタンの操作でオンオフするスイッチであり、それぞれ操作部材124の入力スイッチのうちの1つである。スイッチSW1のみオンの状態はレリーズボタン半押し状態であり、この状態でオートフォーカス動作や測光動作を行う。スイッチSW1,SW2が共にオンの状態はレリーズボタンの全押し状態であり、画像を記録するためのレリーズボタンオン状態である。この状態で撮影が行われる。またスイッチSW1、SW2がONし続けている間は、静止画の連続撮影動作が行われる。操作部材124には他にISO設定ボタン、画像サイズ設定ボタンなど不図示のボタンや、後述する操作部材の有効/無効切り換えスイッチ、各ダイヤルなどが接続されており、それぞれのボタン、スイッチおよびダイヤルの状態が検出されている。
【0023】
127は液晶駆動回路である。128は外部液晶表示部材である。129はファインダ内液晶表示部材である。液晶駆動回路127は、マイクロコンピュータ123の表示内容命令に従って、外部液晶表示部材128やファインダ内液晶表示部材129を駆動する。また、ファインダ内液晶表示部材129には、不図示のLEDなどのバックライトが配置されており、そのLEDも液晶駆動回路127で駆動される。マイクロコンピュータ123は撮影前に設定されているISO感度、画像サイズ、画質に応じた、画像サイズの予測値データをもとに、メモリコントローラ119を通して、メモリの容量を確認した上で撮影可能残数を演算することができる。必要に応じて外部液晶表示部材128、ファインダ内液晶表示部材129にも表示することができる。
【0024】
130は不揮発性メモリ(EEPROM)で、カメラに電源が入れられていない状態でも、データを保存することができる。
【0025】
131は電源部である。電源部131は、各ICや駆動系に必要な電源を供給する。
【0026】
図2は本発明の実施形態にかかわる一眼レフデジタルカメラの操作部材の説明図である。
【0027】
図2(a)において、201はメインダイヤルである。メインダイヤル201は主たる設定操作部材として位置づけられており、例えば、露出設定がシャッター優先モード(Tv優先)の場合、シャッター秒時、即ちフォーカルプレーンシャッター110による露光時間の設定を行う操作部材である。同様に、露出設定が絞り優先モード(Av優先)の場合は撮影光学系の絞り104の開口を設定する操作部材となる。このように、特に一眼レフカメラは同じ操作部材であっても、カメラの動作状態(モード)により異なる機能を担うという特徴がある。尚、208は上記露出設定モードを選択するモードダイヤルである。また、図1に記載の外部液晶表示部材128は、カメラの外観上は図2(a)の位置に設けられる。
【0028】
図2(b)の202はマルチコントローラー(MC)で、各動作状況に応じて、様々な機能を担う操作部材で、文字通りマルチな操作部材である。
【0029】
一方、203はサブダイヤルで、201のメインダイヤルと補完的に操作される位置付けである。例えば、自動の露出設定モード時、つまり前記シャッター優先モードや絞り優先モード、あるいはシャッター秒時と撮影光学系の絞り値の両方を自動に設定するプログラムモードと言われるモードでは、使用者の好みに応じた露出補正値を設定する機能を担う。また、マニュアル(手動)露出設定モードでは、メインダイヤル201がシャッター秒時の設定を、サブダイヤル203が撮影光学系の絞り値を設定する機能となる。
【0030】
204はカメラ本体の電源オン/オフと前記メインダイヤル201、マルチコントローラー202およびサブダイヤル203をロック状態とするか否かを切り換えるメインスイッチである(ロック状態設定のための操作部材)。
【0031】
図2(c)は前記サブダイヤル203とメインスイッチ204部分の詳細図で、図の様にメインスイッチ204は205から207までの3つの位置で切り換えられる。「OFF」位置205はカメラ本体の電源がオフとなる位置である。「ON/LOCK」位置206はカメラ本体の電源がオンし、かつロック状態になり、3つの操作部材(201、202、203)のうちロック状態で操作無効とする対象として設定された操作部材は操作無効となる位置である。「ON」位置207はカメラ本体の電源がオンし、かつロック状態ではなく、3つの操作部材(201、202、203)の操作が常に有効となる位置である。ロック状態で操作無効とする対象を設定する方法は図3を用いて後述する。尚、図1に記載の外部液晶モニタ118は、カメラの外観上は図2(b)の位置に設けられる。
【0032】
図3は前記メインスイッチ204を「ON/LOCK」位置206にしてロック状態とした際に、前記メインダイヤル201、マルチコントローラー202およびサブダイヤル203の操作を有効とするか無効とするかを設定するためのUI画面の例である。すなわち、複数の操作部材のそれぞれについて、ロック状態において操作無効とする対象とするか否かを設定する画面である(無効対象設定)。この設定画面は、外部液晶モニタ118に表示される。
【0033】
不図示のメニュー画面状態から「ロック操作選択」メニューに移行し、ダイヤルやマルチコントローラー等のフォーカス移動操作部材により設定変更させたい項目までフォーカスを移動させる。そこで任意の項目決定操作部材(例えば、マルチコントローラー202、あるいはサブダイヤル203の中央部ボタン)を押す度に選択状態、即ち「無効」/「有効」(チェックマークの有/無)が交互に選択できるという一般的な操作方法を採用している。希望の選択状態にした後、フォーカスを「OKボタン」(301)に移動させ、前記項目決定操作部材を押す事で設定完了となり、メニューが一階層戻る。一方、フォーカスを「キャンセルボタン」(302)にして同様の操作を実行すれば、元の状態に戻り、メニューも一階層戻る。
【0034】
図3(a)は前記サブダイヤル203の操作のみ無効に設定(ロック状態の際に操作無効とする対象に設定)した場合のUI画面で、「サブダイヤル」の項目に対してのみチェックマークが付いている。ロック状態に設定するためのメインスイッチ204に最も近くに配置された操作部材がサブダイヤル203であるため、これをデフォルト(工場出荷時の初期設定)状態としている。これによって、使用者(購入者)が最初に手にした時には、操作部材(サブダイヤル203)に近接して操作無効にするスイッチ(メインスイッチ204)が設けられ、直感的に操作の有効/無効がわかる状態になっている。これで、メニューでの設定を理解することなく直ぐに使えるデジタルカメラが提供可能となる。全ての設定を初期化(リセット)した場合も、サブダイヤル203のみが無効対象に設定される。
【0035】
図3(b)は前記メインダイヤル201、マルチコントローラー202およびサブダイヤル203の全ての操作を無効に設定した場合のUI画面である。前記(a)同様のUI操作でチェックマークを3つ全てに付けた状態である。このように本発明によれば、複数の操作部材のうち、ロック状態で操作された際に機能を実行する(有効)か否(無効)かを、操作部材毎に設定することができる。
【0036】
図4は前記メインスイッチ204が「ON/LOCK」位置206(ロック状態)における、前記外部液晶モニタ118での表示説明図である。本実施例では、前記3つの操作部材(201、202および203)のいずれかが無効対象に設定されていて、かつロック状態で実際に操作された場合に、操作されてから一定時間だけ、操作無効である旨の警告として「LOCK」を表示する。
【0037】
図4(a)は撮影露出モードが絞り優先モード(Av)時の標準表示状態と、各表示領域の説明図である。図中、401はシャッター秒時の表示領域、402は絞り値の表示領域、403は露出モードの表示領域、404は露出補正値の表示領域、405はISO感度値の表示領域である。ここでは、絞り優先モード(Av)で、シャッター秒時が「1/125」、絞り値「8.0」、露出補正値は「0(無)」、ISO感度は自動設定(AUTO)を表している。
【0038】
図4(b)は(a)同様のカメラ動作状態にて、図3(a)の設定時、即ち、サブダイヤル203の操作のみを無効に設定した状態で、メインスイッチ204が図2(c)の位置、つまり「ON/LOCK」位置206での操作無効の警告表示の例である。
【0039】
前述した様に、サブダイヤル203は自動の露出設定モードである絞り優先モード時は露出補正値を設定する機能を担う。従って、この状態で実際にサブダイヤル203が操作された場合には、図4(b)の様に露出補正値の表示領域404に操作無効である事を示す「LOCK」が一定の時間だけ表示される。本実施例では、500msだけ表示する、としている。なお、この表示については、表示時間の変更のみならず、点灯表示でなく点滅表示するなどしても良く、更に点滅のサイクルにも工夫の余地はある。勿論、カラー表示装置ならば使用者により目立つ様、通常とは異なった色で表示するのも良い。
【0040】
同様に、図4(c)は撮影露出モードがマニュアルモード(M)時の標準表示状態の一例を表している。この例では、ISO感度は400である。そして、マニュアル(手動)露出設定モードなので、露出補正という操作自体に意味がないので、露出補正値の表示領域404には前記(a)での表示は必要無く、無表示となっている。
【0041】
図4(d)は(c)同様のカメラ動作状態にて、図3(b)の設定時の例である。即ち、サブダイヤル203の操作のみならず、メインダイヤル201とマルチコントローラー202も無効に設定した状態で、メインスイッチ204が図2(c)に示した「ON/LOCK」位置206での操作無効表示の例である。
【0042】
前述した様に、マニュアル(手動)露出設定モードでは、メインダイヤル201がシャッター秒時の設定を、サブダイヤル203が撮影光学系の絞り値を設定する機能となる。従って、この状態で実際にメインダイヤル201とサブダイヤル203が操作された場合には、図4(d)の様にシャッター秒時の表示領域401と絞り値の表示領域402に(b)と同様に一定の時間だけ操作無効である事を示す「LOCK」が表示される。この際、メインダイヤル201だけが操作されると、メインダイヤル201の機能の情報を表示するシャッター秒時の表示領域401だけに「LOCK」と表示する。サブダイヤル203だけが操作されると、サブダイヤル203の機能の情報を表示する絞り値の表示領域402だけに「LOCK」と表示する。このようにすることで、ユーザーが操作した無効に設定されている操作部材で、現在どの機能が実行できないのかをユーザに認識させることができる。なお、無効に設定された複数の操作部材のうち何れか1つが操作された際に、操作されていない操作部材も含めて無効に設定されている操作部材の機能の情報を表示する領域で「LOCK」と表示しても良い。このようにすることで、ユーザーは機能の実行が無効とされている全ての操作部材及びその機能を知ることができる。
【0043】
図5は、以上説明してきた操作無効である「LOCK」を、その時点の動作モードでの機能に応じた表示領域に一定の時間だけ表示する本実施例の動作フローの説明図である。ここでは一例として、サブダイヤル203がロック状態で操作無効とする対象と設定されていた場合の、サブダイヤル203の動作について説明する。このフローはマイクロコンピュータ123にて制御、実施される動作フローである。
【0044】
サブダイヤル203が操作され、その状態の変化がマイクロコンピュータ123に伝えられると、S500にてその操作に対する動作フローが開始する。
【0045】
S501にて、まず現在のカメラの動作判定が行われる。動作判定とは、カメラが撮影する動作状態にあるか、あるいは各種設定を行うメニュー動作状態であるかの判定である。メニュー動作状態において、本実施例はメインスイッチ204の位置が「OFF」位置205以外なら常にサブダイヤル203の操作を有効にしている。これは「ON/LOCK」位置206を設けたのは「意図しない時に誤操作されない様にする為」であり、サブダイヤル203で各設定項目を選択するという点で、各種設定をするメニュー画面では常に操作できた方が使用者にとっては便利との判断による。この考え方は、メインダイヤル201、マルチコントローラー202に対しても、各設定項目を選択する操作部材という点で同じである。
【0046】
S501にて「撮影動作」中と判断されたなら、続くS502で今のサブダイヤル203の操作が有効か無効かを判定する。具体的にはメインスイッチ204の位置が「ON/LOCK」位置206(ロック状態)か「ON」位置207(非ロック状態)かを、マイクロコンピュータ123が判断する。
【0047】
S502にてロック状態、即ちメインスイッチ204の位置が「ON/LOCK」位置206であったならば、S503にて現在のカメラの露出設定モードの判定を行う。具体的には、図2(a)のモードダイヤル208の設定状態をマイクロコンピュータ123が判断する。ここでは、自動設定モード、即ち、シャッター優先モード(Tv優先)、絞り優先モード(Av優先)およびプログラムモード(P)であるか、あるいは手動(M:マニュアル)露出設定モードであるかの判定のみを行う。これは先述した様に、本実施例でのサブダイヤル203が、上記露出の自動設定モードでは使用者の好みに応じた露出補正値を設定する機能を、マニュアル(手動)露出設定モードでは撮影光学系の絞り値を設定する機能を担うからである。これで、操作無効である事を示す「LOCK」表示をどこに行うかが判断される。
【0048】
S503にて現在のカメラの露出設定モードが自動設定モードであったならば、続くS504にて操作無効を示す「LOCK」表示を行う領域として、露出補正値の表示領域404が選択される。一方、S503にて現在のカメラの露出設定モードが手動設定モードであったならば、S505にて絞り値(Av)の表示領域402が選択される。そして、S506で、上記選択されたそれぞれの表示領域に対して、操作無効を示す「LOCK」表示を開始する(表示制御)。
【0049】
先述した様に本実施例では、「LOCK」表示を500msだけ表示するとしている。そこでまず、S507にて、タイマー(カウンター)の初期設定を500msで初期化する。
続くS508で、上記タイマーにて500msが経過したかどうかの判定を行う。500ms経過未満であったならば、使用したタイマーの設定に従い、S509でタイマーの値を1サイクル分カウントダウンする。その後、再びS508に戻り、上記タイマーにて500msが経過したかどうかの判定を行う。
【0050】
S508にて、上記タイマーにて500msが経過したと判定されたならば、S510にて操作無効を示す「LOCK」表示を終了する。
【0051】
一方、S501にて、現在のカメラ動作がメニュー動作状態であった、または、S502にて現在のサブダイヤル203の操作が有効、即ち、メインスイッチ204が「ON」位置207であった場合は、S511に移行する。そして、S511で、本来のサブダイヤル203の操作に応じた動作が、例えば、サブダイヤル203のクリック量に応じた設定値の遷移が実施される。
【0052】
他方、上記説明した図5のフローに従えば、操作無効を示す「LOCK」表示をする場合には、S511の様な動作は一切行われず、まさしく「操作無効」が実現されている。
【0053】
以上説明した様に本実施例では、各操作部材が無効に設定されていながらその操作がされた時、カメラの動作状態での前記操作部材に対する機能の表示領域に一定の時間だけ操作無効である事を表示する。従って、例えば同じサブダイヤル203で無効な操作がされた場合でも、操作無効を示す警告である「LOCK」表示が露出補正値の表示領域404で表示されたり、絞り値の表示領域402で表示されたりする。使用者にとっては、それぞれのカメラ動作状態で設定するつもりであった機能に応じた表示領域に、実際に無効な操作をした場合にだけ操作無効である表示が出る事になり、とても分かりやすい表示となる。
【0054】
(実施例2)
以下、図6、7を参照して、本発明の第2の実施例による操作無効表示例について説明する。
【0055】
図6は上記実施例1で説明した外部液晶モニタ118での操作無効表示に対し、外部液晶表示部材128とファインダ内液晶表示部材129での操作無効表示の例である。
【0056】
実施例1で説明した外部液晶モニタ118での操作無効表示は、通常、外部液晶モニタ118がドットマトリックス液晶であるので、字体や色などで自由な表現が出来る。一方、外部液晶表示部材128とファインダ内液晶表示部材129は8セグメントで代表される固定の表示領域となる制約が伴う。従って、これらに対しては、8セグメントの表示領域を利用した「LOCK」の「L」という表示のみにする。本実施例でも「L」を表示する領域は、ある機能の表示を担う表示領域であるため、「L」の表示は無効な操作がされた時のみ行い、操作無効の設定がある状態で常に「L」を表示する様な事はしない。
【0057】
図6(a)は外部液晶表示部材128での表示例である。ここでは、シャッター秒時表示領域の1つの8セグメントで「L」を表示している。また、図6(b)はファインダ内液晶表示部材129での表示例である。同様に、シャッター秒時表示領域の1つの8セグメントで「L」を表示している。本実施例では、外部液晶表示部材128とファインダ内液晶表示部材129での操作無効表示を、表示内容および表示領域、表示領域での表示位置もカメラ動作状態に関わらず常に同じとしている。理由は、外部液晶モニタ118とは異なり、露出補正値の表示領域が固定の表示しか出来ない為である。無効操作がされた場合、使用者に対し上記2つの液晶表示部材では常に同じ警告表示をすることで、混乱を招く事が無い様にしている。
【0058】
図7は以上説明してきた操作無効である「L」を特定の表示領域に一定の時間だけ表示する本実施例の動作フローの説明図である。ここでも実施例1同様に、サブダイヤル203の動作について説明する。このフローもマイクロコンピュータ123にて制御、実施される動作フローである。
【0059】
サブダイヤル203が操作され、その状態の変化がマイクロコンピュータ123に伝えられると、S700にてその操作に対する動作フローが開始する。
【0060】
S701にて、まず現在のカメラの動作状態が、撮影する動作状態にあるか、あるいは各種設定を行うメニュー動作状態であるかの判定を行う。メニュー動作状態においては、本実施例でもメインスイッチ204の位置が「OFF」位置205以外なら常にサブダイヤル203の操作を有効にしている。
【0061】
S701にて「撮影動作」中と判断されたなら、続くS702で今のサブダイヤル203の操作が有効か無効かを判定する。
【0062】
S702にて操作無効中ならば、S703でシャッター秒時表示領域であるTv表示領域において、操作無効を示す「L」表示を開始する。
【0063】
本実施例でも、「L」表示を500msだけ表示する。そこでS704にて、タイマー(カウンター)の初期設定を500msで初期化する。
【0064】
続くS705で、上記タイマーにて500msが経過したかどうかの判定を行う。500ms経過未満であったならば、使用したタイマーの設定に従い、S706でタイマーの値を1サイクル分カウントダウンする。その後、再びS705に戻り、上記タイマーにて500msが経過したかどうかの判定を行う。
【0065】
S705にて、上記タイマーにて500msが経過したと判定されたならば、S707にて操作無効を示す「L」表示を終了する。
【0066】
一方、S701にて、現在のカメラ動作がメニュー動作状態、または、S702にて現在のサブダイヤル203の操作が有効であった場合は、S708に移行して、本来のサブダイヤル203の操作に応じた動作が実施される。
【0067】
一方、上記図7のフローに従えば、操作無効を示す「L」表示をする場合には、S708の様な動作は一切行わずに「操作無効」を実現する。
【0068】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0069】
なお、マイクロコンピュータ123の制御は1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
【0070】
また、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0071】
また、上述した実施形態においては、本発明を一眼レフのデジタルカメラに適用した場合を例にして説明したが、これはこの例に限定されず、操作部材の有効と無効を切り換えられる撮像装置であれば適用可能である。例えば、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、フィルムカメラなどにも適用可能である。また、本願は撮像装置に限らず、操作部材の無効と有効を切り換えられる装置であれば適用可能である。すなわち、本発明はパーソナルコンピュータやPDA、携帯電話端末や携帯型の画像ビューワ、ディスプレイを備えるプリンタ装置、デジタルフォトフレーム、音楽プレーヤー、ゲーム機、電子ブックリーダーなどに適用可能である。
【0072】
(他の実施形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の操作部材と、
前記複数の操作部材のそれぞれについて、ロック状態にした際に操作無効とする対象とするか否かを設定する対象設定手段と、
前記操作無効とする対象に設定された操作部材に対する操作を無効とする状態である前記ロック状態に設定するロック状態設定手段と、
前記操作部材に割り当てられた機能に関する情報を表示する表示手段と、
前記ロック状態の際に、前記操作無効とする対象に設定された操作部材が操作されたことに応じて、該操作された操作部材に割り当てられた機能に関する情報を表示している表示領域に、該操作が無効である旨の警告を表示するように制御する表示制御手段と
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記警告を前記無効に設定されている操作部材が操作されてから一定の時間だけ表示することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記表示制御手段が前記警告を表示する表示領域は、前記撮像装置の動作モードに応じて操作部材に割り当てられた機能に関する情報を表示している表示領域であることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記対象設定手段は、初期設定として、前記ロック状態に設定するための操作部材に最も近い位置に配置された操作部材のみを操作無効とする対象として設定していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
複数の操作部材と、操作部材に割り当てられた機能に関する情報を表示する表示手段とを有する撮像装置の制御方法であって、
前記複数の操作部材のそれぞれについて、ロック状態にした際に操作無効とする対象とするか否かを設定する対象設定ステップと、
前記操作無効とする対象に設定された操作部材に対する操作を無効とする状態である前記ロック状態に設定するロック状態設定ステップと、
前記ロック状態の際に、前記操作無効とする対象に設定された操作部材が操作されたことに応じて、該操作された操作部材に割り当てられた機能に関する情報を表示している表示領域に、該操作が無効である旨の警告を表示するように制御する表示制御ステップと
を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1乃至4のいずれか1項に記載された撮像装置の各手段として機能させるプログラム。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1乃至4のいずれか1項に記載された撮像装置の各手段として機能させるプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−189883(P2012−189883A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54421(P2011−54421)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】