説明

撮像装置

【課題】 本発明は、デジタルカメラ等の撮像装置に関し、撮像素子ユニットの前方に比較的大きなスペースを確保することを目的とする。
【解決手段】 レンズマウント部が設けられた主構造体と、前記レンズマウント部および前記主構造体を通過した撮影光束を受光する撮像素子ユニットとを備え、前記主構造体に前記撮像素子ユニットを固定するとともに、前記主構造体と前記撮像素子ユニットとの間に構造体を配置することなく空間部を形成してなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一眼レフデジタルカメラとして、レンズマウント部が設けられたミラーボックスの後側にメインシャーシを介して撮像素子ユニットを設けたものが知られている。そして、メインシャーシに撮像素子ユニットを固定することなく、メインシャーシに貫通穴を形成し、撮像素子ユニットをミラーボックスに固定したものが知られている。このようなカメラでは、撮影レンズに外力が作用した場合に、レンズマウント面とセンサ受光面との距離が変化することを有効に防止することができる。
【特許文献1】特開2004−104168号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したカメラでは、ミラーボックスと撮像素子ユニットとの間にメインシャーシが位置しているため、撮像素子ユニットの前方のスペースが小さくなり、電気実装基板等の部材を効率良く配置することが困難になるという問題があった。
本発明は、かかる従来の問題を解決するためになされたもので、撮像素子ユニットの前方に比較的大きなスペースを確保することができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の撮像装置は、レンズマウント部が設けられた主構造体と、前記レンズマウント部および前記主構造体を通過した撮影光束を受光する撮像素子ユニットとを備え、前記主構造体に前記撮像素子ユニットを固定するとともに、前記主構造体と前記撮像素子ユニットとの間に構造体を配置することなく空間部を形成してなることを特徴とする。
また、本発明の撮像装置は、レンズマウント部が設けられた主構造体と、前記レンズマウント部および前記主構造体を通過した撮影光束を受光する撮像素子ユニットとを備え、前記主構造体に前記撮像素子ユニットを固定するとともに、前記主構造体の少なくとも一側に側部構造体を固定してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明では、撮像素子ユニットの前方に比較的大きなスペースを確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態である一眼レフデジタルカメラに配置される構造体の構成を示している。ここで構造体とは、カメラの基本的な強度を維持する強度部材をいう。
主構造体であるミラーボックス11の一側(後述するレンズマウント部19を通過する撮影光路を挟んで一方の側部の側)には、第1の側部構造体13が配置されている。ミラーボックス11の他側(レンズマウント部19を通過する撮影光路を挟んで他方の側部の側)には、第2の側部構造体15が配置されている。ミラーボックス11、第1の側部構造体13、第2の側部構造体15の下方(−Z方向)には、底部構造体17が配置されている。ミラーボックス11、第1の側部構造体13、第2の側部構造体15、底部構造体17は、アルミ、鉄、ステンレス、マグネシウム、チタン等の金属により形成されている。
【0007】
ミラーボックス11の前部に形成される大径部11aには、レンズマウント部19が設けられている。レンズマウント部19には、交換レンズ(不図示)がバヨネット機構等によって着脱可能に装着される。レンズマウント部19に交換レンズを装着することにより、一眼レフタイプの撮像システムが構成される。なお、本実施形態のレンズマウント部19は、ミラーボックス11に取り付け固定されているが、ミラーボックスと一体的に形成しても良い。
【0008】
ミラーボックス11の上部(Z方向)には、ペンタプリズム21が設けられている。ミラーボックス11の両側側面には、それぞれ4箇所のボス部23が突出形成されている。
第1の側部構造体13は、上面視(−Z方向からカメラを見た場合)で断面がU字状をしており、開口側を前方に向けて位置されている。第1の側部構造体13のミラーボックス11側の辺部13aには、ミラーボックス11のボス部23に対応する位置に貫通穴25が形成されている。貫通穴25の内径は、ビス27の頭部27aより小径で螺子部27bより大径とされている。第1の側部構造体13のミラーボックス11と反対側の辺部13bには、貫通穴25に対応する位置に貫通穴29が形成されている。貫通穴29の内径は、ビス27の頭部27aより大径とされている。そして、治具(不図示)によりビス27を貫通穴29の方向から進入させ、ビス27の螺子部27bを貫通穴25に挿入し、ボス部23の雌螺子部23aに螺合することにより、第1の側部構造体13がミラーボックス11に固定される。
【0009】
第2の側部構造体15は第1の側部構造体13と同様に、上面視で断面がU字状をしており、開口側を前方に向けて位置されている。この実施形態では、第2の側部構造体15は、第1の側部構造体13と略同様に構成されており、第1の側部構造体13と略同様にしてミラーボックス11のボス部23に固定される。従って、詳細な説明を省略する。
底部構造体17は平板状をしている。底部構造体17には、複数の貫通穴31が形成されている。貫通穴31の内径は、ビス27の頭部27aより小径で螺子部27bより大径とされている。一方、第1の側部構造体13および第2の側部構造体15の底部構造体17側には、取付部33が直角方向に突出して一体形成されている。そして、第1の側部構造体13、第2の側部構造体15が、ビス27の螺子部27bを貫通穴31に挿入し取付部33の雌螺子部33aに螺合することにより底部構造体17に固定される。また、ミラーボックス11が、ビス27の螺子部27bを貫通穴31に挿入し、ミラーボックス11の大径部11aの底面に形成される雌螺子部(不図示)に螺合することにより底部構造体17に固定される。
【0010】
図2および図3は、図1の構造体の構成を有する一眼レフデジタルカメラを示している。
図2において、ミラーボックス11の前部の大径部11aには、レンズマウント部19が固定されている。ミラーボックス11内には、ミラーユニット35が配置されている。ミラーユニット35は、周知のメインミラー(不図示)とサブミラー(不図示)を有している。ミラーボックス11の底部には、開口部11bが形成されている。開口部11bの下側には、図3示すように焦点検出ユニット37が配置されている。
【0011】
図2において、ミラーボックス11の後方(+Y方向)には、撮像素子ユニット39が配置されている。撮像素子ユニット39は、レンズマウント部19およびミラーボックス11を通過した撮影光束を受光する。撮像素子ユニット39は、撮像素子39a、支持部材39bを有している。撮像素子39aはCCD、C−MOS等からなり撮影光束を光電変換する。支持部材39bは撮像素子39aを支持する。支持部材39bは、ミラーボックス11の後面に形成されるボス部11cにビス41により固定されている。これにより、ミラーボックス11の後面と撮像素子ユニット39との間に構造体が配置されない比較的大きな空間部S1を形成することができる。また、撮像素子ユニット39をミラーボックス11に直接固定することにより、レンズマウント部19と撮像素子39aの受光面との距離が変化することを有効に防止することができる。
【0012】
空間部S1には、シャッタユニット43、第1の電気実装基板45が配置されている。シャッタユニット43は、駆動部43aとシャッタ43bとを有している。駆動部43aは、第1の側部構造体13側に配置されている。シャッタ43bは、撮像素子39aの前方を覆って配置されている。第1の電気実装基板45は、シャッタ43bと撮像素子39aとの間に配置されている。第1の電気実装基板45は、電源、駆動機構等を制御する基板として補助的に用いられる。また、第1の電気実装基板45には、SDカード47を挿脱するためのSDスロット49が実装されている。第1の電気実装基板45には、撮像素子39aに対応する位置に撮影光束を通過させる開口(不図示)が形成されている。
【0013】
撮像素子ユニット39を挟んで空間部S1と反対側(撮像素子ユニット39の+Y側)には、空間部S2が形成されている。空間部S2には、第2の電気実装基板51が配置されている。第2の電気実装基板51は、撮像処理等を行う主基板として用いられる。第2の電気実装基板51の後方(+Y側)には、背面液晶ユニット53が配置されている。
第1の側部構造体13内には、閃光装置(不図示)用のコンデンサ55が配置されている。コンデンサ55は支持部材57に支持されている。第2の側部構造体15内には、電源用のバッテリー59が配置されている。バッテリー59は、支持部材61に支持されている。
【0014】
第1の側部構造体13、ミラーボックス11、第2の側部構造体15、第2の電気実装基板51の外側を覆って、カメラ筐体63が配置されている。カメラ筐体63の第2の側部構造体15側には、グリップ部65が形成されている。
図3において、ミラーボックス11の上方(+Z方向)には、ペンタプリズム21が配置されている。ペンタプリズム21は、ファインダ光学系の構成要素の1つであり、ピント板(不図示)に結像した被写体像をファインダ接眼部(不図示)へ導く。カメラ筐体63の上部には、閃光装置(不図示)を装着するためのホットシュー67が配置されている。
【0015】
上述した図1は構造体の構成を簡略的に示したものであるが、図2および図3に示す構造体の図示形状とは一部異なっている。しかしながら本発明上は、どちらの図示の形態を採用しても構わない。例えば、第1の側部構造体13および第2の側部構造体15に形成される取付部33の位置が図1と図2では異なっている。すなわち、図2において、第1の側部構造体13の底部には、3箇所全ての取付部33が第1の側部構造体13の内側に向けて形成されている。図2の構成を採用すれば、取付部33が第1の側部構造体13から外側に向けて突出することがなくなり、取付部33がカメラ筐体63に干渉することがなくなる。また、図2において、第2の側部構造体15のカメラ筐体63側(−X側)の辺部15aは、ミラーボックス11側の辺部15bより長くなっているが、この構成を採用すれば、バッテリー59を確実に支持することが可能になる。また図2では、第2の側部構造体15の辺部15aの底部には、取付部33がカメラ筐体63側(−X側)に突出して形成されているが、この構成を採用すれば、第2の側部構造体15を底部構造体17により強固に固定することができる。
【0016】
上述したカメラでは、ミラーボックス11と撮像素子ユニット39との間に構造体を配置することなく空間部S1を形成するようにしたので、撮像素子ユニット39の前方に比較的大きなスペースを確保することができる。従って、カメラ内に電気実装基板45,51等の部材を効率良く配置することが可能になる。
また、ミラーボックス11の両側に側部構造体13,15を配置し、ミラーボックス11と側部構造体13,15を底部構造体17に連結したので、構造体全体としての強度を高めることができる。すなわち、ミラーボックス11の両側に側部構造体13,15を単に固定するだけでは、特に、上下方向の強度が不足する。しかしながら、ミラーボックス11と側部構造体13,15を底部構造体17に連結することにより、上下左右方向の強度を増大することができる。
【0017】
さらに、第1の側部構造体13および第2の側部構造体15をU字状(上面視)にしたので、構造体の剛性を高めることができる。また、第1の側部構造体13、第2の側部構造体15内に配置される部材を確実に保護することができる。
(実施形態の補足事項)
以上、本発明を上述した実施形態によって説明してきたが、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のような形態でも良い。
【0018】
(1)上述した実施形態では、ミラーボックス11、第1の側部構造体13、第2の側部構造体15、底部構造体17を別体で形成した例について説明したが、これらのうちの少なくともいずれか2つ、または全てを一体的に形成しても良い。
(2)上述した実施形態では、ミラーボックス11、第1の側部構造体13、第2の側部構造体15、底部構造体17を金属により形成した例について説明したが、例えば、樹脂により形成しても良い。
【0019】
(3)上述した実施形態では、第1の側部構造体13、第2の側部構造体15をU字状(上面視)にした例について説明したが、例えば、L字状等(上面視)にしても良い。その場合、第1の側部構造体13は、凹部13bが、第2の側部構造体15は辺部15aが、それぞれ削除された構成となる。
(4)上述した実施形態では、空間部S1に第1の電気実装基板45を配置した例について説明したが、電気実装基板以外の部材を配置しても良い。
【0020】
(5)上述した実施形態では、ミラーボックス11の両側に側部構造体13,15を配置した例について説明したが、片側にのみ側部構造体を配置するようにしても良い。
(6)上述した実施形態では、本発明を一眼レフデジタルカメラに適用した例について説明したが、ビデオカメラ等の撮像装置に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態のカメラの構造体構造を示す説明図である。
【図2】図1の構造体構造を有するカメラの水平断面を示す説明図である。
【図3】図1の構造体構造を有するカメラの垂直断面を示す説明図である。
【符号の説明】
【0022】
11…ミラーボックス、13…第1の側部構造体、15…第2の側部構造体、17…底部構造体、19…レンズマウント部、39…撮像素子ユニット、45…第1の電気実装基板、51…第2の電気実装基板、S1,S2…空間部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズマウント部が設けられた主構造体と、
前記レンズマウント部および前記主構造体を通過した撮影光束を受光する撮像素子ユニットとを備え、
前記主構造体に前記撮像素子ユニットを固定するとともに、前記主構造体と前記撮像素子ユニットとの間に構造体を配置することなく空間部を形成してなることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1記載の撮像装置において、
前記主構造体の一側に、第1の側部構造体を固定してなることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2記載の撮像装置において、
前記主構造体の前記一側とは反対側の他側に、第2の側部構造体を固定してなることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の撮像装置において、
前記空間部に、電気実装基板を配置してなることを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項4記載の撮像装置において、
前記撮像素子ユニットを挟んで前記空間部とは反対側に存在する空間部にも、電気実装基板を配置してなることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
レンズマウント部が設けられた主構造体と、
前記レンズマウント部および前記主構造体を通過した撮影光束を受光する撮像素子ユニットとを備え、
前記主構造体に前記撮像素子ユニットを固定するとともに、前記主構造体の少なくとも一側に側部構造体を固定してなることを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項6記載の撮像装置において、
前記主構造体の両側に側部構造体を固定してなることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項2、3、6、7のいずれか1項記載の撮像装置において、
前記主構造体および前記側部構造体を、底部構造体に固定してなることを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項2、3、6、7、8のいずれか1項記載の撮像装置において、
前記側部構造体は、撮像装置の上面視L字状またはU字状をしていることを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれか1項記載の撮像装置において、
前記主構造体は、ミラーボックスであることを特徴とする撮像装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−228070(P2008−228070A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−65385(P2007−65385)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】