説明

撮像装置

【課題】小型化しても十分な立体感をもった立体画像を取得することのできる撮像装置を提供する。
【解決手段】複数の光学素子で構成される撮像レンズ群と、撮像レンズ群の複数の光学素子間に配置される絞りと、トリガ信号を入力すると共に、1つのトリガ信号に基づいて、少なくとも第1の同期信号と第2の同期信号を出力する同期信号生成部と、第1の同期信号に基づいて第1の撮影を実施し、第2の同期信号に基づいて第2の撮影を実施する撮像部と、絞りと撮像部との間にある少なくとも1つの光学素子を特定光学素子と定義するとき、第1の撮影が実施された後であって第2の撮影が実施されるまでの間に、特定光学素子の中心軸が絞りの光軸に垂直な方向に移動するように、特定光学素子をシフトさせるレンズシフト駆動部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、立体画像を取得する方法として、デジタルカメラ本体の左右水平方向に並設されて、被写体光を同時に入射可能とする2組の撮像光学系と、この2組の撮像光学系のそれぞれに対応して、各撮像光学系により結像されたそれぞれの被写体光を画像信号に変換して出力する2組のCCDと、で構成された撮像装置がある。この撮像装置では、得られた2組の像の差(視差)により、立体画像を取得・再生する。
【0003】
また、従来の撮像装置においては、撮像光学系内に配置された、少なくとも1つのレンズをシフトすることで、時分割に視差画像を取得する方法が考案されている。
例えば、特許文献1のデジタルカメラでは、光軸上に配置された複数のレンズのうち、少なくとも1つを、光軸と直交する左右方向に移動させることで、左右視差画像を取得している。
【0004】
また、特許文献2の電子カメラにおいては、特許文献1と同様に、光軸上に配置された複数のレンズのうち、少なくとも1つを、光軸と直交する左右方向に移動させることで、左右視差画像を取得している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−323065号公報
【特許文献2】特開2010−41381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の撮像装置においては、2組の撮像光学系と、2つのCCDを使用して立体画像を取得する場合、コスト的に高価なデジタルカメラになってしまうことや、撮像光学系を2つカメラに搭載することで、装置が大型化するといった問題がある。
【0007】
また、特許文献1は、視差のある立体撮影について開示しているものの、具体的にどのように立体撮影を行うのか、又、撮影のときに必要な光学素子の条件等については開示していない。
【0008】
さらにまた、特許文献2は、光学系の少なくとも一つを光軸に対してシフトさせ視差の異なる撮影画像を取得する方法について開示しているが、撮影レンズが小型化すると十分な視差が得られなくなるという課題がある。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、小型化しても十分な立体感をもった立体画像を取得することのできる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る撮像装置は、複数の光学素子で構成される撮像レンズ群と、撮像レンズ群の前記複数の光学素子間に配置される絞りと、トリガ信号を入力すると共に、1つのトリガ信号に基づいて、少なくとも第1の同期信号と第2の同期信号を出力する同期信号生成部と、第1の同期信号に基づいて第1の撮影を実施し、第2の同期信号に基づいて第2の撮影を実施する撮像部と、絞りと撮像部との間にある少なくとも1つの光学素子を特定光学素子と定義するとき、第1の撮影が実施された後であって第2の撮影が実施されるまでの間に、特定光学素子の中心軸が絞りの光軸に垂直な方向に移動するように、特定光学素子をシフトさせるレンズシフト駆動部と、を備えることを特徴としている。
【0011】
本発明に係る撮像装置において、レンズシフト駆動部は、撮像部に結像される像面が傾く条件で特定光学素子をシフトさせることが好ましい。
【0012】
本発明に係る撮像装置において、レンズシフト駆動部がシフトさせる特定光学素子は、撮像部に結像される像のぶれを光学的に補正するぶれ補正レンズであることが好ましい。
【0013】
本発明に係る撮像装置において、レンズシフト駆動部による特定光学素子のシフト量は自由に設定可能であることが好ましい。
【0014】
本発明に係る撮像装置において、レンズシフト駆動部は、第1の撮影の際に特定光学素子の中心軸が絞りの光軸に対してシフトしていた量と略対称となるように、第2の撮影のために特定光学素子をシフトさせることが好ましい。
【0015】
本発明に係る撮像装置において、レンズシフト駆動部は、第1の撮影の際に特定光学素子の中心軸が絞りの光軸上に設定されていなかった場合、絞りの光軸上にくるように特定光学素子をシフトさせることが好ましい。
【0016】
本発明に係る撮像装置において、レンズシフト駆動部は、第1の撮影の際に特定光学素子の中心軸が絞りの光軸に垂直な方向に移動するように、特定光学素子をシフトさせることが好ましい。
【0017】
本発明に係る撮像装置において、レンズシフト駆動部は、第1の撮影の際に、特定光学素子の中心軸が絞りの光軸上にくるように特定光学素子をシフトさせることが好ましい。
【0018】
本発明に係る撮像装置において、撮像装置の姿勢を検出するセンサを更に有し、レンズシフト駆動部は、センサの検出結果に基づいて特定光学素子をシフトさせることが好ましい。
【0019】
本発明に係る撮像装置において、レンズシフト駆動部は、撮像部のブランキング期間に特定光学素子をシフトさせることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る撮像装置は、小型化しても十分な立体感をもった立体画像を取得することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態に係るデジタルカメラの概念を示す上面図である。
【図2】第1実施形態に係るデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図3】シャインプルーフの定理を説明するための概念図である。
【図4】垂直同期信号と撮像素子の状態を対応して示す図である。
【図5】実施例1に係るデジタルカメラの概念を示す上面図である。
【図6】第2実施形態に係るデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図7】第2実施形態に係るデジタルカメラを横向きにした状態を示す正面図である。
【図8】第2実施形態に係るデジタルカメラを縦向きにした状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明に係る撮像装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
本発明に係る撮像装置においては、複数枚の光学素子で構成された撮像光学系のうち、絞り(開口)より撮像素子側に配置された光学素子のうちの少なくとも1つの光学素子(特定光学素子)を、絞りの光軸に対して垂直な面内でシフトさせることによって、結像される像の像面を傾けることができる。
【0023】
より具体的には、一方の方向にレンズをシフトさせることにより像面が傾いた像を取得することができ、このレンズを逆の方向にシフトすることにより、逆側に像面が傾いた像を取得することができる。このようにして得られた2枚の画像を重ねることで、立体画像を取得することが可能となる。
本発明に係る撮像装置によれば、特に視差のない2枚の画像から、特殊な画像処理をすることなく立体画像を取得できる。即ち、小型の撮像素子でも十分な立体感をもつ立体画像を取得できる。さらに、本発明に係る撮像装置においては、レンズをシフトさせる方式に、視差をつける方式を組み合わせることが可能である。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るデジタルカメラの概念を示す上面図である。図2は、第1実施形態に係るデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
デジタルカメラ100(撮像装置)は、撮像レンズ群110と、レンズシフト駆動部131と、撮像素子120と、システム制御部151と、を備えている。
撮像レンズ群110は、複数の光学素子として、物体側から順に配置された、レンズ111、112と、絞り113と、レンズ114、115を備える。
【0025】
レンズシフト駆動部131は、絞り113と撮像素子120の間に配置された、特定光学素子としてのレンズ114を、絞り113の光軸113cに垂直な方向にシフトさせることができる。レンズ114をシフトすると、その光軸114cは、絞り113の光軸113cに平行な位置にシフトする。このシフト動作を2方向に行うごとに撮影することにより、奥行き情報を有し、視差のない一対の画像を得ることができる。
【0026】
図1(a)に示す通常状態では、絞り113の光軸113c上にレンズ114の光軸114cがあり、被写体面S11及び撮像素子120の撮像面は光軸113cに垂直である。
これに対して、図1(b)に示すように、絞り113の光軸113cに垂直な面内でレンズ114をシフトさせた場合、被写体面S11は、右端側(図1の上側)が撮像レンズ群110に近づくとともに左端側(図1の下側)が撮像レンズ群110から遠ざかるように傾斜する。このとき、像面S21は、右端側が撮像レンズ群110に近づくとともに左端側が撮像レンズ群110から遠ざかるように傾斜する。このように撮像素子120に対して像面S21が傾いた場合、撮像素子120にピントの合う部分は、奥行き方向にピントが合う位置が違う画像を取得できることになる。これにより、奥行き情報をもった、第1画像を取得できることになる。
【0027】
また、図1(c)に示すように、絞り113の光軸113cに垂直な面内であって、光軸113cに関して図1(b)の場合と対称な方向にレンズ114をシフトさせた場合、被写体面S11は、左端側が撮像レンズ群110に近づくとともに右端側が撮像レンズ群110から遠ざかるように傾斜する。このとき、像面S21は、左端側が撮像レンズ群110に近づくとともに右端側が撮像レンズ群110から遠ざかるように傾斜する。このように像面S21が傾いた場合、撮像素子120にピントの合う部分は、奥行き方向にピントが合う位置が違う画像を取得できることになり、これが第2画像となる。
【0028】
デジタルカメラ100は、図1(b)に示すように、被写体面S11が左奥から右手前に傾くように、レンズ114をシフトさせて撮影した第1画像を右眼用画像として取得し、図1(c)に示すように、被写体面S11が左手前から右奥に傾くように、レンズ114をシフトさせて撮影した第2画像を左眼用画像として取得し、これらの一対の画像により立体画像を取得する。
【0029】
第1画像と第2画像で異なる視点からの煽り画像を取得できる。
第1画像と第2画像は、一対の立体(3D)画像として、映像出力時に同時に出力することで、立体画像を出力することが可能となる。
【0030】
以上のような被写体面S11の傾きは、シャインプルーフの定理に基づいている。図3は、シャインプルーフの定理を説明するための概念図である。
撮像面とレンズ主面を平行でない配置にすると物体面は平行ではなくなり、撮像面、レンズ主面、物体面は同一直線上の1点(図3の交点55)で交わる。
従って、撮像レンズ50の光軸51に対して、撮像素子の撮像面60が垂直な状態では被写体面70も光軸51に対して垂直となる。これに対して、図3に例示するように、撮像面60が90度以外の角度に傾くと、シャインプルーフの定理により、撮像面60の傾きに対応するように被写体面70が煽られて傾斜する。また、撮像面60の角度を変化させた断面上での像面の高さ方向に光軸51を中心に逆方向に倍率が変化する。
これらの現象により、視差の有無にかかわらず、奥行き方向にピント位置が合った画像を取得することでき、立体画像を生成することができる。
【0031】
ここで、図2を参照して、デジタルカメラ100の動作・制御について、より詳細に説明する。
図2に示すように、デジタルカメラ100は、撮像レンズ群110、撮像素子120、レンズシフト駆動部131、レンズシフト制御部132、同期信号生成部133、駆動部134、画像処理部141、出力処理部143、記録部144、システム制御部151、及び指示部152を備えている。
なお、第1実施形態のデジタルカメラ100は、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ、監視カメラ、撮影機能付きの携帯電話など、動画表示や動画撮影の機能を備える各種の機器に広く適用することができる。
【0032】
撮像レンズ群110は、光学的な被写体像を撮像素子120の撮像面上に結像するための撮影光学系であり、複数の光学素子として、物体側から順に配置された、レンズ111、112と、絞り113と、レンズ114、115を備える。
【0033】
撮像素子120は、複数の画素が配列された撮像面を備え、撮像レンズ群110により結像された光学的な被写体像を光電変換して電気的な画像信号を生成するものである。撮像素子120は、画素単位やライン単位での画素リセット(電子シャッタ先幕)および画素読み出し(電子シャッタ後幕)を所望のタイミングで順次行うことができる、つまり露光時間を変更可能な、撮像素子となっている。この撮像素子120の具体例としては、CMOS撮像素子等のXYアドレス型撮像素子を挙げることができるが、勿論、これに限定されるものではない。
【0034】
同期信号生成部133は、システム制御部151の制御の下に、撮像素子120を駆動するタイミングの基礎となる垂直同期信号VDを生成するものである。
システム制御部151は、指示部152からの入力に基づいて定まる垂直同期期間(撮像フレームレートに対応する垂直同期期間)がある場合には、同期信号生成部133に対してトリガ信号を出力するとともに、垂直同期期間を同期信号生成部133に設定する。
【0035】
一方、システム制御部151は、指示部152からの入力に基づいて定まる垂直同期期間がない場合には、予め定められた垂直同期期間を同期信号生成部133に設定する。予め定められた垂直同期期間としては、例えば、標準値として与えられている撮像フレームレートに対応する垂直同期期間や、撮像素子120の駆動に今現在用いられている撮像フレームレートに対応する垂直同期期間がある。
このようにして同期信号生成部133に設定された垂直同期期間の垂直同期信号VDを発生させるように、システム制御部151は同期信号生成部133を制御する。
【0036】
駆動部134は、システム制御部151の制御の下に、同期信号生成部133によって生成された垂直同期信号VDをタイミングの基礎として、読出開始パルスや電子シャッタ開始パルスを発生して撮像素子120を駆動する。
【0037】
レンズシフト制御部132は、システム制御部151の制御の下に、同期信号生成部133によって生成された垂直同期信号VDをタイミングの基礎として、撮像レンズ群110のレンズ114のシフト制御を行う。具体的には、垂直同期信号VDのブランキング期間中にレンズ114のシフト動作が完了するように制御を行う。ここで、システム制御部151は、指示部152からの入力に基づいて定まる3Dモードに従って、レンズ114のシフト方向、シフト量、及び撮影パターンを選択しレンズシフトの制御を行う。
【0038】
レンズシフト駆動部131は、レンズシフト制御部132の制御指示に従って、レンズ114をシフトさせる。このシフト駆動は、例えば、ボイスコイルモーター(VCM)、ステッピングモーター、超音波モーターを用いて行うことができる。
【0039】
画像処理部141は、撮像素子120により撮像されて読み出された画像信号に各種の画像処理を施すものであり、3Dフォーマット変換部142を含んで構成されている。3Dフォーマット変換部142は、指示部152が3Dモードを選択すると、システム制御部151によって3Dモードに設定される。3Dフォーマット変換部142は、設定されたモードに対応し、3Dフォーマット変換を行う。3Dフォーマット変換としては、例えば、SIDE BY SIDE、LINE BY LINE、ABOVE−BELOW、CHECKERBOARDを用いる。
【0040】
出力処理部143は、画像処理部141により表示用に処理された画像(3Dフォーマット変換された画像を含む)を、TV等の外部表示装置への画像出力を行う。さらに、このデジタルカメラ100の操作に係るメニューの表示などを行う表示デバイスへの画像出力処理も行う。
【0041】
記録部144は、画像処理部141により記録用に処理された画像データを不揮発に記憶するものであり、例えばメモリカードなどのデジタルカメラ100の外部に搬出し得るリムーバブルメモリとして構成されている。従って、記録部144は、デジタルカメラ100に固有の構成でなくても構わない。
【0042】
指示部152は、このデジタルカメラ100に対する操作入力を行うためのユーザーインタフェースであり、電源のオン/オフを指示するための電源ボタンや撮影開始を指示するための撮影ボタン、3Dモード等を設定するための撮像モード設定ボタン、その他各種の設定ボタンなどを含む。
【0043】
次に、図4を用いてレンズのシフト方法を詳細に説明する。図4は、垂直同期信号と撮像素子の状態を対応して示す図である。
図4は、撮像素子の垂直同期信号VD、撮像素子の露光期間「Exposure」、撮像素子の垂直ブランキング期間「V Blank」、3D撮像モード時の右側画像を撮像している状態「R固定」、及び、3D撮像モード時の左側画像を撮像している状態「L固定」を、横方向を経過時間として示している。
【0044】
デジタルカメラ100が3Dモードに設定されたときは、撮像素子120の垂直同期信号VDを基準として、撮像素子120が垂直ブランキング中にレンズ114をシフトすることにより、左側あるいは右側を撮像可能とする。これに対して、撮像素子120の露光期間中はシフトした状態で撮像レンズ群110を固定する。このようなシフト動作を繰り返し、右側、左側の画像を交互に撮像する。
【0045】
以上述べた、レンズ114のシフトと被写体面S11及び像面S21の傾斜との関係は、絞り113と撮像素子120の間の複数のレンズをシフトする場合も同様である。
図5は、第1実施形態の実施例1に係るデジタルカメラの概念を示す上面図である。実施例1のデジタルカメラは、物体側から順に、レンズL1、L2と、絞りSと、レンズL3、L4を備え、特定光学素子としての2つのレンズL3、L4が絞りSの光軸S0に垂直な面内でシフト可能である。
【0046】
図5(a)に示すようにレンズL3、L4をシフトしていない状態では、像面Iは絞りSの光軸S0に垂直である。これに対して、図5(b)に示すようにレンズL3、L4をシフトすると、シフト方向に対応して像面Iが絞りSの光軸S0に対して傾斜する。図示はしないが、絞りSの光軸S0に垂直な面内においてレンズL3、L4を図5(b)に示す場合と逆の方向にシフトすると、シフト方向に対応して像面Iが絞りSの光軸S0に対して傾斜する。したがって、2方向へシフトした状態でそれぞれ画像を取得し、これらの画像から立体画像を出力することが可能である。
【0047】
(第2実施形態)
第2実施形態に係るデジタルカメラ200(撮像装置)においては、カメラの姿勢を検出する姿勢検出部260を備える点が第1実施形態に係るデジタルカメラ100と異なる。第1実施形態に係るデジタルカメラ100と同様の部材については同じ参照符号を使用し、その詳細な説明は省略する。
【0048】
図6は、デジタルカメラ200の構成を示すブロック図である。図7は、デジタルカメラ200を横向きにした状態を示す正面図である。図8は、デジタルカメラ200を縦向きにした状態を示す正面図である。
【0049】
デジタルカメラ200においては、第1実施形態におけるレンズシフト駆動部131に代えて水平レンズシフト駆動部231及び垂直レンズシフト駆動部235を備え、レンズシフト駆動部132及びシステム制御部151に代えてレンズシフト制御部232及びシステム制御部251を備える。さらに、デジタルカメラ200は姿勢検出部260を備える。また、システム制御部251はシフト軸選択部252を備える。
【0050】
姿勢検出部260は、デジタルカメラ200の姿勢が横向き(図7)か縦向き(図8)かを検出するセンサであって、検出結果をシステム制御部251のシフト軸選択部252に送信する。より具体的には、姿勢検出部260は、図7のようにデジタルカメラ200が横向きに保持され、横長の矩形形状の撮像素子120の長辺120aが水平方向に沿うようになる姿勢や、図8のようにデジタルカメラ200が縦向きに保持され、撮像素子120の長辺120aが鉛直方向に沿うようになる姿勢を検出する。
【0051】
シフト軸選択部252は、姿勢検出部260から受信した検出結果に基づいて、水平又は垂直のレンズシフト軸を決定し、レンズシフト制御部232に対してレンズシフト軸の設定を行う。
【0052】
レンズシフト制御部232は、シフト軸選択部252による設定に従って、水平方向が設定された場合(図7)、水平レンズシフト駆動部231を駆動させレンズ114を水平方向(図7の矢印の方向)にシフトさせる。一方、レンズシフト制御部232は、垂直方向が設定された場合(図8)、垂直レンズシフト駆動部14を駆動させレンズ114を垂直方向(図8の矢印方向)にシフトさせる。
以上の構成・動作により、デジタルカメラ200の姿勢に応じて適切な方向にレンズ114をシフトすることができるため、安定して立体画像を取得することができる。
なお、その他の構成、作用、効果については、第1実施形態と同様である。
【0053】
立体画像の取得は、次のような撮影の組み合わせで取得することができる。
(1)シフトするレンズの光軸が絞りの光軸上にない2つの状態での撮影の組み合わせ。
例えば、図1(b)の状態と図(c)の状態の組み合わせである。
(2)レンズをシフトさせない状態と、レンズをシフトさせてその光軸が絞りの光軸上にない状態と、の組み合わせ。
例えば、図1(a)の状態と、図1(b)又は図1(c)の状態との組み合わせである。
【0054】
取得した立体画像は、取得方法によって次のような特徴がある。
(a)(1)の取得方法のうち、図1(b)の状態と図(c)の状態の組み合わせのように、絞り113の光軸113cに関して2つのシフト位置が対称となる場合は、左右像の対称性が高い。
(b)(2)の取得方法では、図1(a)のように撮像素子120の撮像面が光軸113cに垂直な状態を含むため、良好な2D撮影と3D撮影を容易に両立することができる。さらに、さまざまな3D表現に柔軟に対応することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上のように、本発明に係る撮像装置は、デジタルカメラにおける立体(3D)画像取得に有用である。
【符号の説明】
【0056】
100 デジタルカメラ(撮像装置)
110 撮像レンズ群
111、112 レンズ
113 絞り
113c 光軸
114 レンズ
114c 光軸
115 レンズ
120 撮像素子
131 レンズシフト駆動部
132 レンズシフト制御部
133 同期信号生成部
134 駆動部
141 画像処理部
142 3Dフォーマット変換部
143 出力処理部
144 記録部
151 システム制御部
152 指示部
200 デジタルカメラ(撮像装置)
231 水平レンズシフト駆動部
232 レンズシフト制御部
235 垂直レンズシフト駆動部
251 システム制御部
252 シフト軸選択部
260 姿勢検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光学素子で構成される撮像レンズ群と、
前記撮像レンズ群の前記複数の光学素子間に配置される絞りと、
トリガ信号を入力すると共に、1つの前記トリガ信号に基づいて、少なくとも第1の同期信号と第2の同期信号を出力する同期信号生成部と、
前記第1の同期信号に基づいて第1の撮影を実施し、前記第2の同期信号に基づいて第2の撮影を実施する撮像部と、
前記絞りと前記撮像部との間にある少なくとも1つの前記光学素子を特定光学素子と定義するとき、前記第1の撮影が実施された後であって前記第2の撮影が実施されるまでの間に、前記特定光学素子の中心軸が前記絞りの光軸に垂直な方向に移動するように、前記特定光学素子をシフトさせるレンズシフト駆動部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記レンズシフト駆動部は、前記撮像部に結像される像面が傾く条件で前記特定光学素子をシフトさせることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記レンズシフト駆動部がシフトさせる前記特定光学素子は、前記撮像部に結像される像のぶれを光学的に補正するぶれ補正レンズであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記レンズシフト駆動部による前記特定光学素子のシフト量は自由に設定可能であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記レンズシフト駆動部は、前記第1の撮影の際に前記特定光学素子の中心軸が前記絞りの光軸に対してシフトしていた量と略対称となるように、前記第2の撮影のために前記特定光学素子をシフトさせることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記レンズシフト駆動部は、前記第1の撮影の際に前記特定光学素子の中心軸が前記絞りの光軸上に設定されていなかった場合、前記絞りの光軸上にくるように前記特定光学素子をシフトさせることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記レンズシフト駆動部は、前記第1の撮影の際に、前記特定光学素子の中心軸が前記絞りの光軸に垂直な方向に移動するように、前記特定光学素子をシフトさせることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記レンズシフト駆動部は、前記第1の撮影の際に、前記特定光学素子の中心軸が前記絞りの光軸上にくるように前記特定光学素子をシフトさせることを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記撮像装置の姿勢を検出するセンサを更に有し、前記レンズシフト駆動部は、前記センサの検出結果に基づいて前記特定光学素子をシフトさせることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記レンズシフト駆動部は、前記撮像部のブランキング期間に前記特定光学素子をシフトさせることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−133185(P2012−133185A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285934(P2010−285934)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】