説明

撮像装置

【課題】被写体に応じて適切な使用モードを設定することが可能な撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置は、被写体に関する情報を取得する情報取得部と、情報に基づいて、設定された第1使用モードを別の第2使用モードに切り替える使用モード切り替え制御を行う制御部とを備える。第1使用モードは、撮像時にストロボ発光を強制的に行うストロボ強制発光モードである。情報取得部は、測光を行い、被写体に関する情報として被写体の明るさに関する情報を取得する。制御部は、被写体の明るさに関する情報と、時間情報とに基づいて、使用モード切り替え制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、特に被写体に応じて使用モードを切り替える制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のようにストロボ発光モードや撮影モードなど使用モードが選択的に設定可能な撮像装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−217861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、設定された使用モードが適切でない場合も起こり得る。例えば、昼間で明るい状況下にあり輝度が高い被写体を撮像する場合に、ストロボ発光を行う必要がない場合であっても、撮像装置がストロボ強制発光モードに設定されている場合には、ストロボ発光を伴う撮像が行われる。
【0005】
したがって本発明の目的は、被写体に応じて適切な使用モードを設定することが可能な撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る撮像装置は、被写体に関する情報を取得する情報取得部と、情報に基づいて、設定された第1使用モードを別の第2使用モードに切り替える使用モード切り替え制御を行う制御部とを備え、情報取得部は、測光を行い、情報として被写体の明るさに関する情報を取得し、制御部は、情報と、時間情報とに基づいて、使用モード切り替え制御を行うことを特徴とする。
【0007】
好ましくは、第1使用モードは、撮像時にストロボ発光を強制的に行うストロボ強制発光モードである。
【0008】
これにより、昼間で明るい状況下にあり輝度が高い被写体を撮像する場合など、被写体の明るさに関わらずストロボ発光を伴う撮像を行うことが適当でないと撮像装置(制御部)が判断した場合に、使用モード(ストロボ発光モード)を別のモードに切り替えることが可能になる。
【0009】
また、好ましくは、第1使用モードは、夜景を撮影するのに最適なプログラムラインを有する夜景モードである。
【0010】
これにより、昼間で明るい状況下にあり輝度が高い被写体を撮像する場合など、夜景モードで撮像を行うことが適当でないと撮像装置(制御部)が判断した場合に、使用モード(撮影モード)を別のモードに切り替えることが可能になる。
【0011】
撮像装置が起動されたときに制御部が使用モード切り替え制御を行うことが好ましい。
【0012】
撮像装置が起動されたときに情報取得部は測光を行い、情報を取得することが好ましい。
【0013】
撮像装置は、半押し及び全押しが可能なシャッターレリーズを備え、シャッターレリーズが半押しされたときに、制御部が使用モード切り替え制御を行うことが好ましい。
【0014】
シャッターレリーズが半押しされたときに、情報取得部は測光を行い、情報を取得することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
以上のように本発明によれば、被写体に応じて適切な使用モードを設定することが可能な撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態における撮像装置の構成図である。
【図2】起動時の動作を示すフローチャートである。
【図3】撮影モードの切り替え制御を示すフローチャートである。
【図4】ストロボ発光モードの切り替え制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本実施形態について、図を用いて説明する。撮像装置1は、デジタルカメラである。撮像装置1の撮像に関する部分は、撮像装置1の電源のオンオフ状態の切り替えのために使用される電源ボタン9、操作部10、レリーズボタン13、各部の制御を行う制御部30、レンズ駆動部45、露出制御部47、レンズ51、CCDなどの撮像素子53、AFE(アナログフロントエンド)55、DSP(映像信号処理回路)60、ストロボ65、記録部70、及び表示部90を備える(図1参照)。
【0018】
被写体像は、レンズ51を介した光学像として、撮像素子53で撮像される。撮像により得られた画像データは、AFE55でアナログ信号からデジタル信号に変換され、DSP60で画像処理される。かかる動作が一定時間(1/30秒)ごとに行われ、表示部90に、画像データに基づいてスルー画像が表示される(ライブビュー表示)。
【0019】
操作部10は、撮像装置1の使用モードを設定するために使用される。例えば、操作部10は、使用モードの1つであるストロボ発光モードを、撮像時にストロボ65によるストロボ発光を強制的に行うストロボ強制発光モードと、測光結果に基づいてストロボ発光を行うか否かを判断するオートストロボ発光モードと、ストロボ発光を禁止するストロボ発光禁止モードとの間で切り替え設定を行うために使用される。また、操作部10は、使用モードの1つである撮影モードを、測光結果に基づいて絞りやシャッタースピードなどの露出条件を算出し露出制御を行うプログラムAEモードやオートピクチャーモードと、夜景を撮影するのに最適なプログラムラインやISO感度を有する夜景モードと、その他の撮影モードとの切り替え設定を行うために使用される。使用者によって設定された使用モードは、制御部30に設けられたRAM31などに記録され、起動時に読み出しされる。
【0020】
レリーズボタン13は、半押しすることにより測光スイッチ(不図示)がオン状態にされ測光やレンズ駆動部45による測距及び合焦動作が行われる。測光は、撮像素子53における撮像で得られた画像データに基づいて行われる。具体的には、DSP60は、画像処理において生成される輝度信号から測光領域における輝度値(被写体の明るさに関する情報)を求め、これを測光結果として、制御部30に出力する。制御部30は、輝度値に基づいて適正な露出(絞りやシャッタースピード)を算出する(露出演算)。また、撮像装置1がオートストロボ発光モードに設定されている場合には、制御部30は、露出演算と共に、輝度値に基づいて撮像時にストロボ発光を行うか否かを判断する。
【0021】
レリーズボタン13は、全押しすることによりレリーズスイッチ(不図示)がオン状態にされ、制御部で算出された露出で撮像が行われるように、露出制御部47により絞りやシャッタースピードが制御された状態で、撮像が行われる。撮像により得られた画像データに対応する画像は、表示部90に表示され、画像データは記録部70に記録される。
【0022】
また、本実施形態では、起動時であってレリーズボタン13が半押しされる前も、測光が行われ、測光結果等に基づいて、使用モードの最適化が行われる。具体的には、電源ボタン9の操作により撮像装置1の電源がオン状態にされた起動時に、測光が行われ、DSP60(情報取得部)が被写体の明るさに関する情報を取得し、これを測光結果として、制御部30に出力する。また、制御部30は、自身に設けられたRTC(Real Time Clock)32から時間情報を取得する。制御部30は、明るさに関する情報と、時間情報とに基づいて、被写体が明るく且つ夜間でない場合には、撮像装置1(制御部30)が設定された使用モード(ストロボ強制発光モードや夜景モード)で撮像を行うことが適当でないと判断して、これらの使用モードを、別の使用モードに切り替える。具体的には、ストロボ強制発光モードは、オートストロボ発光モードに切り替えられ、夜景モードは、プログラムAEモードまたはオートピクチャーモードに切り替えられる。
【0023】
次に、撮像装置1の起動時の動作について図2のフローチャートを用いて説明する。使用者が電源ボタン9を操作して、撮像装置1の電源がオン状態にされると、ステップS11で、レンズ駆動部45によってレンズ51を撮像のための所定位置まで移動させるレンズ駆動が行われる。ステップS12で、表示部90に、画像データに基づいてスルー画像が表示される。ステップS13で、測光が行われ、DSP60は、被写体の明るさに関する情報を取得し、これを測光結果として、制御部30に出力する。測光結果は、後述する撮影モードの切り替えやストロボ発光モードの切り替えに使用される。
【0024】
ステップS14で、制御部30は、RTCから時間情報を取得する。ステップS15で、制御部30は、前回の使用時までに設定された撮像装置1の使用モード(撮影モード、及びストロボ発光モード)をRAM31から読み出す。ステップS16で、制御部30は、ステップS13の測光結果などに基づいて、撮影モードの切り替え制御を行う。撮影モードの切り替え制御の詳細については、図3のフローチャートを用いて後述する。ステップS17で、制御部30は、ステップS13の測光結果などに基づいて、ストロボ発光モードの切り替え制御を行う。ストロボ発光モードの切り替え制御の詳細については、図4のフローチャートを用いて後述する。
【0025】
ステップS18で、アイコンなどが表示部90に表示される。ステップS16で撮影モードが切り替えられた場合や、ステップS17でストロボ発光モードが切り替えられた場合には、かかる旨を表示部90に表示して使用者に知らせるのが望ましい。ステップS19で、制御部30は、レンズ駆動(レンズ51の所定位置までの移動)が完了したか否かを判断する。完了していない場合は、ステップS19が繰り返し行われ、完了した場合は、ステップS20に進められる。ステップS20で、撮像装置1がレリーズボタン13の操作など通常使用が可能な入力待ち状態にされ、起動時の動作は終了する。
【0026】
次に、撮影モードの切り替え制御について図3のフローチャートを用いて説明する。ステップS31で、撮像装置1の撮影モードが夜景モードに設定されているか否かが判断される。夜景モードに設定されている場合は、ステップS32で、制御部30は、測光結果に基づいて被写体が明るいか否か(輝度値が閾値以上であるか否か)を判断する。明るい場合には、ステップS33で、制御部30は、時間情報に基づいて、現時点が夜間でないか否かを判断する。夜間でない場合は、ステップS34で、制御部30は、撮影モードが夜景モードからプログラムAEモードまたはオートピクチャーモードに切り替える。切り替え後は、使用者が操作部10を使って他の撮影モードに切り替えられるまでプログラムAEモードまたはオートピクチャーモードの設定が維持される。撮影モードが夜景モードでない場合、被写体が明るくない場合、現在の時間が夜間である場合には、撮影モードの切り替えを行わないで終了する。
【0027】
次に、ストロボ発光モードの切り替え制御について図4のフローチャートを用いて説明する。ステップS51で、撮像装置1のストロボ発光モードがストロボ強制発光モードに設定されているか否かが判断される。ストロボ強制発光モードに設定されている場合は、ステップS52で、制御部30は、測光結果に基づいて被写体が明るいか否か(輝度値が閾値以上であるか否か)を判断する。明るい場合には、ステップS53で、制御部30は、時間情報に基づいて、現時点が夜間でないか否かを判断する。夜間でない場合は、ステップS54で、制御部30は、ストロボ発光モードがストロボ強制発光モードからオートストロボ発光モードに切り替える。切り替え後は、使用者が操作部10を使って他のストロボ発光モードに切り替えられるまでオートストロボ発光モードの設定が維持される。ストロボ発光モードがストロボ強制発光モードでない場合、被写体が明るくない場合、現在の時間が夜間である場合には、ストロボ発光モードの切り替えを行わないで終了する。
【0028】
夜景モードでは、暗い被写体を最適に撮像出来るように設定されたプログラムラインに沿って露出制御が行われるので、遅めのシャッタースピードが設定される。このため、昼間で明るい状況下にあり輝度が高い被写体を撮像する場合であっても、必要以上に遅いシャッタースピードで撮像が行われるおそれがある。また、画像データは、夜景モードで撮像したことを示す情報が添付された状態で記録部70に記録される。ストロボ強制発光モードでは、撮像前にストロボ充電が行われ不必要に電力が消費され、被写体の明るさに関わらずストロボ発光を伴う撮像が行われる。このため、昼間で明るい状況下にあり輝度が高い被写体を撮像する場合には、これらの使用モードで撮像を行うことが適当でないことが多い。本実施形態では、かかる条件下においては、設定された使用モード(夜景モード、及びストロボ強制発光モード)で撮像を行うことが適当でないと判断されて、制御部30が、該設定された使用モードよりも適切な別の使用モード(プログラムAEモードまたはオートピクチャーモード、及びオートストロボ発光モード)で撮像が行われるような使用モード切り替え制御を行う。
【0029】
なお、本実施形態では、撮像装置1の使用モードの切り替えとして、撮影モードの切り替え(夜景モードからプログラムAEモードなど)と、ストロボ発光モードの切り替え(ストロボ強制発光モードからオートストロボ発光モード)を説明したが、被写体に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて使用モードを切り替える形態は、これらに限られない。
【0030】
例えば、撮像装置1が被写体における大人と子供を判別する顔検出機能で、被写体に子供が含まれないと判断した場合に、被写体における人物(子供)の動きに対応して合焦動作を行うキッズモードを、別の撮影モードに切り替える形態が考えられる。この場合、DSP60(情報取得部)に顔検出部が設けられ、顔検出部は、被写体に関する情報として、被写体における顔に関する情報、特に大人と子供を判別するために使用される情報を取得し、制御部30に出力する。制御部30は、かかる判別情報に基づいて、被写体に子供が含まれない場合には、撮影モードを、キッズモードから、被写体における人物(子供)の動きに対応して合焦動作を行わない別の撮影モードに切り替える。
【0031】
また、風景モードなど、人物以外を対象にした撮影モードを、別の撮影モードに切り替える形態が考えられる。この場合も、DSP60に顔検出部が設けられ、顔検出部は、被写体に関する情報として、被写体における顔に関する情報を取得し、制御部30に出力する。制御部30は、かかる情報に基づいて、被写体の中心付近に顔が存在する場合や、被写体における顔と判断された領域の占める割合が大きい場合に、プログラムAEモードなど他の撮影モードに切り替える。
【0032】
また、撮像装置1の使用モードの切り替えを、起動時に行うものとして説明したが、これに限られるものではなく、レリーズボタン13の半押し時の通常の測光時に切り替える形態であってもよい。また、起動時のみに行われる形態であってもよいし、使用モードが手動で切り替えられてから所定時間の経過後または所定枚数の撮影が行われた後に行われる形態であってもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 撮像装置
9 電源ボタン
10 操作部
13 レリーズボタン
30 制御部
31 RAM
32 RTC
45 レンズ駆動部
47 露出制御部
51 レンズ
53 撮像素子
55 AFE
60 DSP
65 ストロボ
70 記録部
90 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体に関する情報を取得する情報取得部と、
前記情報に基づいて、設定された第1使用モードを別の第2使用モードに切り替える使用モード切り替え制御を行う制御部とを備え、
前記情報取得部は、測光を行い、前記情報として前記被写体の明るさに関する情報を取得し、
前記制御部は、前記情報と、時間情報とに基づいて、前記使用モード切り替え制御を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1使用モードは、夜景を撮影するのに最適なプログラムラインを有する夜景モードであることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1使用モードは、撮像時にストロボ発光を強制的に行うストロボ強制発光モードであることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像装置が起動されたときに前記制御部が前記使用モード切り替え制御を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記撮像装置が起動されたときに前記情報取得部は測光を行い、前記情報を取得することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮像装置は、半押し及び全押しが可能なシャッターレリーズを備え、
前記シャッターレリーズが半押しされたときに、前記制御部が前記使用モード切り替え制御を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項7】
前記シャッターレリーズが半押しされたときに、前記情報取得部は測光を行い、前記情報を取得することを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−215898(P2012−215898A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−141914(P2012−141914)
【出願日】平成24年6月25日(2012.6.25)
【分割の表示】特願2008−208497(P2008−208497)の分割
【原出願日】平成20年8月13日(2008.8.13)
【出願人】(311015207)ペンタックスリコーイメージング株式会社 (81)
【Fターム(参考)】