説明

撮像装置

【課題】被写体が大きく動いている場合でも、ユーザが被写体を見失うことなく動画を撮影することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】二次元の行列状に配置された複数の画素を有する固体撮像装置を具備し、固体撮像装置に配置された全ての画素の領域の内、予め定められた画素領域内に配置された画素から出力された画素信号に応じた画像信号を出力する撮像部と、撮像部から出力された画像信号に対して画像処理を行った動画像データを生成する複数の画像処理部と、を備え、複数の画像処理部のそれぞれは、撮像部から出力された画像信号を該画像処理部の数に分割した、いずれか1つの分割画像信号に対して画像処理を行って、該分割画像信号のそれぞれに応じた動画像データを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、デジタルスチルカメラやビデオカメラなど、動画を撮影することができる撮像装置においては、光学ズームや電子ズームなどのズーム機能を備えている。ズーム機能を用いることによって、広角(以下、「ワイド側」という)から望遠(以下、「テレ側」という)まで、様々な画角で被写体を撮影することができる。
【0003】
しかし、例えば、運動会の徒競走のように、大きく動いている被写体を撮影する場合、ズームの倍率を上げてテレ側で撮影しようとすると、撮影者(ユーザ)が被写体を見失う、すなわち、被写体を画角の中に収めるのが難しくなる。逆に、ワイド側で撮影すると、被写体を見失うことは少なくなるが、画角の中に収まっている被写体が小さくなってしまう、という問題がある。
【0004】
また、例えば、特許文献1で開示された技術では、画角の異なる複数の画像(例えば、ワイド側の画像とテレ側の画像)を1枚の合成画像として記録する方法が開示されている。このような技術を採用することによって、ワイド画像とテレ画像とのように、画角の異なる複数の画像を同時に撮影することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4697078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1で開示された技術のように、ワイド画像とテレ画像とを同時に撮影することができる場合であっても、被写体を画角内に収める必要があることには変わりない。このため、動きが大きい被写体をテレ側で撮影するときに、ユーザが被写体を見失ってしまうという問題は、解決することができない。
【0007】
本発明は、上記の課題認識に基づいてなされたものであり、被写体が大きく動いている場合でも、ユーザが被写体を見失うことなく動画を撮影することができる撮像装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の撮像装置は、動画像を撮影する撮像装置であって、二次元の行列状に配置された複数の画素を有する固体撮像装置を具備し、該固体撮像装置に配置された全ての前記画素の領域の内、予め定められた画素領域内に配置された前記画素から出力された画素信号に応じた画像信号を出力する撮像部と、前記撮像部から出力された前記画像信号に対して画像処理を行った動画像データを生成する複数の画像処理部と、を備え、複数の前記画像処理部のそれぞれは、前記撮像部から出力された前記画像信号を該画像処理部の数に分割した、いずれか1つの分割画像信号に対して画像処理を行って、該分割画像信号のそれぞれに応じた前記動画像データを生成する、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の撮像装置において、前記撮像部に予め定められる前記画素領域は、前記固体撮像装置に有する、被写体光が入射される全ての前記画素の領域である有効画素領域の内、予め定められた上下の領域を除いた領域である、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の撮像装置において、複数の前記画像処理部のそれぞれは、上下の領域を除いた前記画素領域に対応した前記画像信号を、左右方向に分割した前記分割画像信号のそれぞれに応じた前記動画像データを生成する、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の撮像装置において、前記撮像部に予め定められる前記画素領域は、前記固体撮像装置に有する、被写体光が入射される全ての前記画素の領域である有効画素領域の内、予め定められた左右の領域を除いた領域である、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の撮像装置において、複数の前記画像処理部のそれぞれは、左右の領域を除いた前記画素領域に対応した前記画像信号を、上下方向に分割した前記分割画像信号のそれぞれに応じた前記動画像データを生成する、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の撮像装置において、それぞれの前記分割画像信号には、隣接する他の前記分割画像信号との境界部分に、重複する画像信号が含まれており、複数の前記画像処理部のそれぞれは、前記重複する画像信号を含めた前記分割画像信号のそれぞれに応じた前記動画像データを生成する、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の撮像装置は、当該撮像装置によって撮影を行う際の撮影画角のズーム倍率を制御する制御部、をさらに備え、前記制御部は、前記動画像の撮影を行う際の撮影画角のズーム倍率を広角の状態に制御する、ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の撮像装置は、前記動画像を表示する表示部、をさらに備え、前記表示部は、複数の前記画像処理部のそれぞれが生成した、前記分割した画像信号のそれぞれに応じた複数の前記動画像データを合成し、前記撮像部から出力された前記画像信号に応じた動画像の状態で、該合成した動画像を表示する、ことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の撮像装置は、前記表示部に表示する動画像の領域を指示する領域指示部、をさらに備え、前記表示部は、前記合成した動画像に、前記領域指示部が指示する動画像の領域を表す領域枠を重畳して表示し、前記領域指示部が指示する領域内の動画像を出力する、ことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の撮像装置は、前記動画像を表示する表示部と、前記表示部に表示する動画像の領域を指示する領域指示部と、をさらに備え、前記表示部は、複数の前記画像処理部のそれぞれが生成した、前記分割した画像信号のそれぞれに応じた複数の前記動画像データを合成し、前記撮像部から出力された前記画像信号に応じた動画像の状態とし、該合成した動画像の内、前記領域指示部が指示する領域内の動画像を表示する、ことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の撮像装置は、前記領域指示部は、複数の前記画像処理部のそれぞれが生成した、前記分割した画像信号のそれぞれに応じた複数の前記動画像データに、前記表示部に表示する動画像の領域を指示する情報を追加する、ことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の撮像装置は、前記領域指示部が指示する領域内の動画像に対応した前記画像信号に対して画像処理を行った第2の動画像データを生成する画像処理部、をさらに備え、前記領域指示部は、複数の前記画像処理部のそれぞれが生成した、前記分割した画像信号のそれぞれに応じた複数の前記動画像データに、前記第2の動画像データを関連付ける、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、被写体が大きく動いている場合でも、ユーザが被写体を見失うことなく動画を撮影することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態における撮像装置の概略構成を示したブロック図である。
【図2】本実施形態の撮像装置において動画を撮影する際の処理手順の一例を説明する図である。
【図3】本実施形態の撮像装置において静止画を撮影する各処理段階の画素数の関係の一例を説明する図である。
【図4】本実施形態の撮像装置において動画を撮影する各処理段階の画素数の関係の一例を説明する図である。
【図5】本実施形態の撮像装置において動画を撮影する各処理段階の画素数の関係の一例を説明する図である。
【図6】本実施形態の撮像装置において動画を再生する際の処理手順の一例を説明する図である。
【図7】本実施形態の撮像装置において動画を再生する際の処理手順の別の一例を説明する図である。
【図8】本実施形態の撮像装置において動画を再生する際の画素数の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態における撮像装置の概略構成を示したブロック図である。図1において、撮像装置10は、イメージセンサ100と、前処理部200と、画像処理部301および302と、表示処理部400と、表示デバイス401と、外部ディスプレイ402と、カードインタフェース部500と、記録媒体501と、DRAMコントローラ600と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)601と、CPU700と、操作ボタン800と、を備えている。
【0023】
撮像装置10内の前処理部200、画像処理部301および302、表示処理部400、カードインタフェース部500、DRAMコントローラ600、およびCPU700は、データバス900を介してそれぞれ接続され、例えば、DMA(Direct Memory Access)によってDRAMコントローラ600に接続されたDRAM601からのデータの読み出し、およびDRAM601へのデータの書き込みを行う。
【0024】
イメージセンサ100は、図示しないズームレンズによって結像された被写体の光学像を光電変換するCCD(Charge Copled Device:電荷結合素子)イメージセンサや、CMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサに代表されるイメージセンサである。イメージセンサ100は、被写体光に応じた画素信号を、入力画像データとして前処理部200に出力する。
【0025】
前処理部200は、イメージセンサ100から入力された入力画像データに、キズ補正やシェーディング補正などの前処理を施し、前処理した結果の画像データ(以下、「前処理画像データ」という)を、DRAM601に転送する(書き込む)。
【0026】
画像処理部301および302のそれぞれは、DRAM601に記録されている前処理画像データを取得し(読み出し)、ノイズ除去、YC変換処理、リサイズ処理、JPEG圧縮処理、およびMPEG圧縮処理やH.264圧縮処理等の動画圧縮処理などの各種の画像処理を施して、表示用の画像データや記録用の画像データを生成する。また、画像処理部301および302のそれぞれは、DRAM601に記録されている記録用の画像データを取得し(読み出し)、JPEG伸張処理、MPEG伸張処理やH.264伸張処理等の動画伸張処理などの各種の画像処理を施して、表示用の画像データを生成する。また、画像処理部301および302のそれぞれは、生成した表示用の画像データおよび記録用の画像データを、DRAM601に転送する(書き込む)。
【0027】
表示処理部400は、DRAM601に記録されている表示用の画像データを取得し(読み出し)、取得した表示用の画像データにOSD(On−Screen Display)表示用のデータを重畳する処理などの表示処理を施す。そして、表示処理後の画像データを、表示デバイス401や外部ディスプレイ402に出力する。
【0028】
表示デバイス401は、TFT(薄膜トランジスター:Thin Film Transistor)液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどの表示デバイスであり、表示処理部400から出力された表示処理後の画像データに応じた画像を表示する。
【0029】
外部ディスプレイ402は、テレビなどの外部の表示デバイスであり、表示処理部400から出力された表示処理後の画像データに応じた画像を表示する。なお、図1においては、外部ディスプレイ402も撮像装置10の構成要素としているが、外部ディスプレイ402は、撮像装置10に着脱可能な構成である。
【0030】
カードインタフェース部500は、DRAM601に記録されている記録用の画像データを取得し(読み出し)、記録媒体501に記録させる。また、カードインタフェース部500は、記録媒体501に記録している画像データを読み出し、読み出した画像データを、DRAM601に転送する(書き込む)。
【0031】
記録媒体501は、SDメモリカード(SD Memory Card)やコンパクトフラッシュ(CompactFlash:CF(登録商標))などの記録媒体であり、カードインタフェース部500から出力された記録用の画像データを記録する。また、カードインタフェース部500によって記録している画像データが読み出される。なお、図1においては、記録媒体501も撮像装置10の構成要素としているが、記録媒体501は、撮像装置10に着脱可能な構成である。
【0032】
DRAMコントローラ600は、データバス900に接続されている撮像装置10内の複数の構成要素からのDRAM601へのアクセス要求、例えば、DMAアクセス要求に応じて、接続されているDRAM601へのデータの転送(書き込み)、およびDRAM601からのデータの取得(読み出し)を行う。
【0033】
DRAM601は、DRAMコントローラ600によってアクセス制御されるメモリである。DRAM601は、撮像装置10内のそれぞれの構成要素の処理過程における様々なデータを記録する。
【0034】
CPU700は、撮像装置10の構成要素、すなわち、撮像装置10全体を制御する。例えば、撮像装置10における撮影動作や再生動作に応じて、撮像装置10内の各構成要素の動作を制御する。また、例えば、CPU700は、撮像装置10が撮影動作を行う際に、図示しないズームレンズを広角側(ワイド側)や望遠側(テレ側)、またはその中間の状態に制御する。
【0035】
操作ボタン800は、撮像装置10の使用者(ユーザ)が、撮像装置10を操作するときに使用する各種ボタンやスイッチ類である。ユーザは、操作ボタン800を操作することによって、撮像装置10における様々な動作や設定の指示を行う。ユーザによる操作ボタン800の操作は、CPU700に出力される。CPU700は、操作ボタン800から入力された操作に応じて、撮像装置10内の各構成要素の動作を制御する。なお、操作ボタン800は、各種ボタンやスイッチ類のみで構成されるのではなく、例えば、タッチパネルなどを含んだ構成であってもよい。
【0036】
次に、撮像装置10における動画の撮影動作について説明する。図2は、本実施形態の撮像装置10において動画を撮影する際の処理手順の一例を説明する図である。撮像装置10における動画の撮影は、以下の手順で行われる。
【0037】
(手順1):まず、ズームレンズを広角側(ワイド側)、またはさらに広角にした状態で、被写体の光学像をイメージセンサ100に結像する。イメージセンサ100は、結像した被写体光に応じた画素信号(入力画像データ)を前処理部200に出力する際に、イメージセンサ100の有効画素の内、上下の部分を除いた(カットした)領域の画素信号を入力画像データとして、前処理部200に出力する。なお、イメージセンサ100においては、常に遮光されたオプティカルブラック(OB)の画素が存在する。このOB画素が、有効画素の上か下、または上下の両方の領域にある場合には、入力画像データを前処理部200に出力する際に、このOB画素の画素信号はカットせずに、前処理部200に出力する。以下の説明においては、被写体光に応じた画素信号のみに注目し、OB画素の画素信号に関しては、説明を省略する。そして、ここでは、図2(a)に示したような、イメージセンサ100の有効画素の上下部分をカットした領域の入力画像データが、前処理部200に出力されるものとする。
【0038】
(手順2):前処理部200は、図2(b)に示したような、上下の部分がカットされた入力画像データに対して前処理を施し、前処理後の前処理画像データを、DRAM601に記録する(書き込む)。
【0039】
(手順3):画像処理部301および302のそれぞれは、DRAM601に記録されている前処理画像データに対して動画圧縮処理を施した表示用の画像データ(以下、「表示動画データ」という)と記録用の画像データ(以下、「記録動画データ」という)を生成し、再度、DRAM601に記録する(書き込む)。
【0040】
なお、画像処理部301および302のそれぞれが動画圧縮処理を行う際、画像処理部301および302はそれぞれ、2つに分割した前処理画像データのいずれか一方に対してのみ、動画圧縮処理を行う。図2(c)には、画像処理部301が、2つに分割した前処理画像データの一方(左側)の前処理画像データに対して動画圧縮処理を行う場合を示し、図2(d)には、画像処理部302が、2つに分割した前処理画像データの他方(右側)の前処理画像データに対して動画圧縮処理を行う場合を示している。そして、DRAM601には、画像処理部301が動画圧縮処理した表示動画データおよび記録動画データと、画像処理部302が動画圧縮処理した表示動画データおよび記録動画データとが、それぞれ記録される。
【0041】
また、画像処理部301および302のそれぞれが動画圧縮処理を行う際、2つに分割した前処理画像データの区切りの部分に、画像処理部301および302のそれぞれで、例えば、空間フィルタ処理を行う際に必要な、重複領域(オーバーラップ領域)である、いわゆる「画像処理におけるのり代部分」を設けることもできる。オーバーラップ領域を設けて画像処理することにより、2つに分割した区切りの部分の画像の繋ぎ目を目立たなくすることができる。なお、オーバーラップ領域は、画像処理において用いるのみではなく、記録動画データや表示動画データに残しておき、後述する記録動画データの再生や、表示動画データの画像の表示のときに再度処理する構成とすることもできる。また、オーバーラップ領域のデータを、記録動画データや表示動画データに残さず、後述する記録動画データの再生や、表示動画データの画像の表示のときに処理しない構成とすることもできる。
【0042】
(手順4):表示処理部400は、撮像装置10において動画の撮影を行っているとき、撮影している被写体の画像を表示デバイス401に表示させる。このとき、表示処理部400は、DRAM601に記録されている2つの表示動画データを読み出し、読み出した2つの表示動画データを合成して、図2(e)に示したように、撮影している被写体の全体が表示されるようにする表示処理を施す。そして、表示処理後の表示動画データを、表示デバイス401に出力する。なお、表示処理部400は、撮影している被写体の画像を外部ディスプレイ402にも表示させることができる。この場合、表示処理部400は、表示処理後の表示動画データを、外部ディスプレイ402に出力する。
【0043】
なお、表示処理部400が2つの表示動画データを合成する表示処理を施す際、2つの表示動画データの区切りの部分に、画像の繋ぎ目を目立たなくするためのオーバーラップ領域が含まれている場合には、オーバーラップ領域の処理を含めた表示動画データの表示処理を行う。
【0044】
(手順5):また、カードインタフェース部500は、DRAM601に記録されている2つの記録動画データを読み出し、読み出した2つの記録動画データを、それぞれ記録媒体501に記録させる。なお、2つの記録動画データを記録媒体501に記録させる場合、図2(f)に示したように、2つの記録動画データをそれぞれ関連した別のファイルとして記録媒体501に記録させることもできるが、2つの記録動画データを結合(マージ)して1つのファイルとして記録媒体501に記録させることもできる。
【0045】
このような手順によって、撮像装置10では、ズームレンズを広角側(ワイド側)、またはさらに広角にした状態で撮影した入力画像データを、2つの画像処理部301および302のそれぞれで動画圧縮処理を行う。そして、2つの画像処理部301および302のそれぞれが生成したそれぞれの動画ファイルを、表示デバイス401に表示しながら、記録媒体501に記録(保存)する。これにより、被写体が大きく動いている場合でも、ユーザが被写体を見失うことなく撮影することができる。
【0046】
従来の撮像装置では、一般に、静止画を撮影した画像よりも、動画を撮影した画像の方が、記録されている画素数(記録画素数)が少ない。これは、イメージセンサ内で画素数を変換するための画素加算や、画素を間引く処理を行うことによって、動画の画素数を少なくし、動画を撮影する際の処理間隔、すなわち、動画のフレームレートを確保するためである。
【0047】
本実施形態の撮像装置10では、2つの画像処理部301および302のそれぞれが、2つに分割した前処理画像データを分担して動画圧縮処理を行う。これにより、本実施形態の撮像装置10では、前処理画像データに含まれる画素数が多くても、前処理画像データを分割せずに1つの画像処理部で動画圧縮処理を行う場合より、それぞれの画像処理部(画像処理部301および302)における動画圧縮処理の負荷の増大を抑えることができる。このことにより、記録画素数を低下させることなく、記録動画データを記録媒体501に記録(保存)することができる。このため、本実施形態の撮像装置10では、より高画質の記録動画データを、記録媒体501に記録(保存)することができる。また、より高性能の画像処理部を開発する必要もない。
【0048】
ここで、撮像装置10が撮影して記録する画像データの記録画素数について説明する。図3〜図5は、本実施形態の撮像装置10において撮影を行う場合の各処理段階の画素数の関係の一例を説明する図である。図3には、撮像装置10が静止画を撮影する際の各処理段階の画素数の関係の一例を示している。また、図4には、撮像装置10が通常の動画を撮影する際の各処理段階の画素数の関係の一例を示している。また、図5には、撮像装置10が、上述したように、広角側(ワイド側)、またはさらに広角にした状態で動画を撮影する際の各処理段階の画素数の関係の一例を示している。なお、以下の説明においては、イメージセンサ100の有効画素の数(有効画素数)が、1600万画素(16Mpixel)であるものとして説明する。
【0049】
まず、図3を参照して、撮像装置10が静止画を撮影する際の各処理段階の画素数の関係について説明する。撮像装置10による静止画の撮影では、イメージセンサ100の有効画素数と同じ16Mpixelの記録用の画像データ(以下、「記録静止画データ」という)が、記録媒体501に記録(保存)される。なお、図3に示した静止画を撮影する際の各処理段階の画素数の関係は、従来の撮像装置が静止画を撮影する際の各処理段階の画素数の関係と同様である。
【0050】
撮像装置10が静止画を撮影する際には、図3(a)に示したイメージセンサ100の有効画素数の全ての画素の画素信号を、16Mpixelの入力画像データとして前処理部200に出力する(図3(b)参照)。その後、前処理部200は、図3(c)に示したように、イメージセンサ100から入力された全ての入力画像データに対して前処理を施し、前処理後の16Mpixelの前処理画像データを、DRAM601に記録する(書き込む)。その後、画像処理部301は、前処理部200が前処理した後の前処理画像データに対してJPEG圧縮処理を施した、図3(d)に示したような16Mpixelの記録静止画データを生成し、再度、DRAM601に記録する(書き込む)。ここで生成された16Mpixelの記録静止画データが、その後、記録媒体501に記録(保存)される。
【0051】
なお、撮像装置10が静止画を撮影する場合には、画像処理部301または画像処理部302のいずれか一方(本一例では、画像処理部301)のみが、JPEG圧縮処理を行う。このように、いずれか一方の画像処理部のみが動作し、他方の画像処理部が停止することにより、撮像装置10が静止画を撮影するときの消費電力の増大を抑えることができる。
【0052】
続いて、図4を参照して、撮像装置10が通常の動画を撮影する際の各処理段階の画素数の関係について説明する。撮像装置10による通常の動画の撮影では、外部ディスプレイ402に表示できる画素数(本一例では、2Mpixel)の記録動画データが、記録媒体501に記録(保存)される。なお、図4に示した通常の動画を撮影する際の各処理段階の画素数の関係は、従来の撮像装置が動画を撮影する際の各処理段階の画素数の関係と同様である。
【0053】
撮像装置10が通常の動画を撮影する際、イメージセンサ100は、図4(a)に示した有効画素数の全ての画素から画素信号を得るが、入力画像データを出力する際に、得られたそれぞれの画素信号に基づいて、4Mpixelに画素数変換するための画素加算が行われる。そして、イメージセンサ100は、画素加算した後の4Mpixelの入力画像データを、前処理部200に出力する(図4(b)参照)。その後、前処理部200は、図4(c)に示したように、イメージセンサ100から入力された画素加算後の入力画像データに対して前処理を施し、さらに、2Mpixelに縮小(リサイズ)する処理を施す。そして、前処理部200は、リサイズ処理後の2Mpixelの前処理画像データを、DRAM601に記録する(書き込む)。その後、画像処理部301は、前処理部200が前処理とリサイズ処理とを施した後の前処理画像データに対して動画圧縮処理を施した、図4(d)に示したような2Mpixelの記録動画データを生成し、再度、DRAM601に記録する(書き込む)。ここで生成された2Mpixelの記録動画データが、その後、記録媒体501に記録(保存)される。
【0054】
なお、撮像装置10が通常の動画を撮影する場合には、画像処理部301または画像処理部302のいずれか一方(本一例では、画像処理部301)のみが、動画圧縮処理を行う。このように、いずれか一方の画像処理部のみが動作し、他方の画像処理部が停止することにより、撮像装置10が通常の動画を撮影するときの消費電力の増大を抑えることができる。
【0055】
また、図4に示した撮像装置10が通常の動画を撮影において、前処理部200で行った4Mpixelから2Mpixelへのリサイズ処理は、画像処理部301が行うこともできる。しかし、画像処理部301がサイズ処理を行うよりも、前処理部200がリサイズ処理を行う方が望ましい。これは、前処理部200がリサイズ処理を行う方が、撮像装置10の各処理において、データバス900を介して各処理部間でやり取りされる画像データの量を少なくすることができる、すなわち、DRAM601のバス帯域を低減することができるからである。
【0056】
続いて、図5を参照して、撮像装置10が、上述したように、広角側(ワイド側)、またはさらに広角にした状態で動画を撮影する際の各処理段階の画素数の関係について説明する。なお、広角側(ワイド側)、またはさらに広角にした状態での動画の撮影は、本実施形態の撮像装置10に特有の動画撮影の機能である。以下の説明においては、本実施形態の撮像装置10に特有の広角側(ワイド側)、またはさらに広角にした状態で撮影する動画の撮影を、「ワイド動画撮影」という。撮像装置10によるワイド動画撮影では、上述したように、2つの記録動画データが、記録媒体501に記録(保存)される。記録媒体501に記録(保存)される記録動画データは、それぞれ、外部ディスプレイ402に表示できる画素数(本一例では、2Mpixel)の記録動画データである。
【0057】
撮像装置10がワイド動画撮影をする際、イメージセンサ100は、有効画素数の全ての画素の内、上下の部分をカットした領域の画素から画素信号を得る。図5(a)では、イメージセンサ100の全ての有効画素の領域の内、上下それぞれ4Mpixelをカットした領域の画素から画素信号を得る場合を示している。そして、イメージセンサ100は、中央の8Mpixel(右側の4Mpixelと、左側の4Mpixelとの合計)の画素信号を、8Mpixelの入力画像データとして前処理部200に出力する(図5(b)参照)。その後、前処理部200は、図5(c)に示したように、イメージセンサ100から入力された8Mpixelの入力画像データに対して前処理を施し、さらに、4Mpixel(右側の2Mpixelと、左側の2Mpixelとの合計)に縮小(リサイズ)する処理を施す。そして、前処理部200は、リサイズ処理後の4Mpixelの前処理画像データを、DRAM601に記録する(書き込む)。
【0058】
その後、画像処理部301および302のそれぞれは、前処理部200が前処理とリサイズ処理とを施した後の4Mpixelの前処理画像データを2つに分割した、いずれか一方の2Mpixelの前処理画像データに対して動画圧縮処理を施して、2つの2Mpixelの記録動画データを生成し、再度、DRAM601に記録する(書き込む)。図5(d)には、画像処理部301が、2つに分割した前処理画像データの一方(左側)の2Mpixelの前処理画像データに対して動画圧縮処理を行った2Mpixelの記録動画データを生成し、画像処理部302が、2つに分割した前処理画像データの他方(右側)の2Mpixelの前処理画像データに対して動画圧縮処理を行った2Mpixelの記録動画データを生成する場合を示している。ここで生成された2つの2Mpixelの記録動画データが、その後、記録媒体501に記録(保存)される。
【0059】
なお、撮像装置10がワイド動画撮影をする場合は、イメージセンサ100が上下の部分をカットせずに、全ての有効画素の領域、すなわち、16Mpixelの入力画像データを前処理部200に出力し、前処理部200が、イメージセンサ100から入力された全ての入力画像データに対して前処理を施した後に上下の部分をカットし、さらに、4Mpixelに縮小(リサイズ)する処理を施した前処理画像データを出力することもできる。しかし、イメージセンサ100が全ての有効画素の入力画像データを出力するよりも、イメージセンサ100が上下の部分をカットした入力画像データを出力するモードを設ける方が望ましい。これは、イメージセンサ100に上下の部分をカットして入力画像データを出力するモードを設けることによって、イメージセンサ100による入力画像データの出力に要する時間を短く、すなわち、イメージセンサ100が入力画像データを出力する際の速度を向上することができるからである。これにより、撮像装置10におけるワイド動画撮影のフレームレートの向上が見込めるからである。
【0060】
また、イメージセンサ100が、上下の部分をカットした入力画像データを前処理部200に出力する代わりに、画素加算を行って、画素加算後の入力画像データを、前処理部200に出力する構成にすることもできる。この場合でも、イメージセンサ100が入力画像データを出力する際の速度の向上が見込めるため、撮像装置10におけるワイド動画撮影のフレームレートの向上が見込める。
【0061】
このように、本実施形態の撮像装置10では、ワイド動画撮影によって、複数の記録動画データを記録媒体501に記録(保存)することができる。また、それぞれの記録動画データは、通常の動画の撮影で得られる記録動画データと同等の記録画素数の記録動画データである。従って、ワイド動画撮影で得られる全ての記録動画データは、通常の動画の撮影で得られる記録動画データよりも多くの記録画素数の記録動画データである。このため、通常の動画の撮影で得られる記録動画データの上下をカットすることによって、ワイド動画撮影と同様の画角の動画を再生する場合よりも、再生される動画の画質劣化を低減することができ、より高画質の動画を再生することができる。
【0062】
次に、撮像装置10における動画の再生動作について説明する。図6は、本実施形態の撮像装置10において動画を再生する際の処理手順の一例を説明する図である。撮像装置10における動画の再生は、以下の手順で行われる。なお、以下の説明においては、記録媒体501に記録(保存)されている、本実施形態の撮像装置10のワイド動画撮影によって生成された2つの記録動画データを、再生する場合について説明する。
【0063】
(手順1):まず、カードインタフェース部500は、記録媒体501に記録されている2つの記録動画データを読み出し、読み出した2つの記録動画データを、それぞれDRAM601に記録する(書き込む)。なお、記録媒体501に記録されている2つの記録動画データは、図6(a)に示したように、2つの記録動画データがそれぞれ関連した別のファイルとして記録媒体501に記録されていてもよいが、2つの記録動画データを結合(マージ)した1つのファイルとして記録媒体501に記録されていてもよい。また、2つの記録動画データが1つのファイルとして結合(マージ)して記録されている場合、カードインタフェース部500が、結合(マージ)された2つの記録動画データを分割して、それぞれの記録動画データをDRAM601に記録する(書き込む)構成とすることもできる。
【0064】
(手順2):画像処理部301および302のそれぞれは、DRAM601に記録されているそれぞれの記録動画データに対して動画伸張処理を施して、表示用の画像データ(表示動画データ)を生成し、再度、DRAM601に記録する(書き込む)。なお、画像処理部301および302のそれぞれが表示動画データを生成する際には、表示デバイス401が表示することができる大きさの表示動画データに変換(リサイズ)する処理を行った表示動画データと、外部ディスプレイ402が表示することができる大きさの表示動画データに変換(リサイズ)する処理を行った表示動画データと、をそれぞれ生成してもよい。
【0065】
なお、画像処理部301および302のそれぞれが動画伸張処理を行う際、画像処理部301および302はそれぞれ、2つに分割された記録動画データのいずれか一方に対してのみ、動画伸張処理を行う。図6(b)には、画像処理部301が、2つに分割された記録動画データの一方(左側)の記録動画データに対して動画伸張処理を行う場合を示し、図6(c)には、画像処理部302が、2つに分割された記録動画データの他方(右側)の記録動画データに対して動画伸張処理を行う場合を示している。そして、DRAM601には、画像処理部301が動画伸張処理した表示動画データと、画像処理部302が動画伸張処理した表示動画データとが、それぞれ記録される。
【0066】
また、画像処理部301および302のそれぞれが動画伸張処理を行う際、2つに分割された記録動画データの区切りの部分に、画像の繋ぎ目を目立たなくするためのオーバーラップ領域が含まれている場合には、オーバーラップ領域を処理した表示動画データを生成する。なお、オーバーラップ領域は、画像処理において用いるのみではなく、生成する表示動画データに残しておき、後述する表示動画データの表示のときに再度処理する構成とすることもできる。また、オーバーラップ領域のデータを表示動画データに残さず、後述する表示動画データの画像の表示のときに処理しない構成とすることもできる。
【0067】
(手順3):表示処理部400は、撮像装置10において動画の再生を行っているとき、画像処理部301および302によって動画伸張処理された表示動画データの画像を表示デバイス401に表示させる。このとき、表示処理部400は、DRAM601に記録されている2つの表示動画データを読み出し、読み出した2つの表示動画データを合成して、図6(d)に示したように、記録媒体501に記録されている動画の全体が表示されるようにする表示処理を施す。また、表示処理部400は、合成した後の表示動画データの内、外部ディスプレイ402に表示する領域を表す表示領域枠AのOSD表示用のデータを重畳する表示処理を施す。そして、OSD表示用のデータを重畳した表示動画データを、表示デバイス401に出力する。これにより、図6(d)に示したように、表示領域枠Aが重畳された全体の表示動画データの画像が、表示デバイス401に表示される。
【0068】
なお、表示領域枠Aは、ユーザが表示デバイス401の表示を確認しながら、操作ボタン800を操作することによって、例えば、左右に移動させることができる。表示処理部400は、ユーザによる操作ボタン800の操作に応じて、表示領域枠Aを表示させる位置を変更する表示処理を行う。より具体的には、ユーザによる操作ボタン800の操作に応じた位置に、表示領域枠AのOSD表示用のデータを重畳する表示処理を施す。そして、表示領域枠Aの位置を変更した表示動画データを、表示デバイス401に出力する。
【0069】
また、表示処理部400が2つの表示動画データを合成する表示処理を施す際、2つの表示動画データの区切りの部分に、画像の繋ぎ目を目立たなくするためのオーバーラップ領域が含まれている場合には、オーバーラップ領域の処理を含めた表示動画データの表示処理を行う。
【0070】
(手順4):表示処理部400は、撮像装置10において動画の再生を行っているとき、ユーザが操作ボタン800を操作して指示した表示領域枠A内の表示動画データの画像を、図6(e)に示したように、外部ディスプレイ402に表示させる。このとき、表示処理部400は、DRAM601に記録されている表示動画データを読み出し、読み出した表示動画データを、外部ディスプレイ402に表示させるが、表示領域枠A内の表示動画データが、2つの表示動画データに跨っている場合には、表示デバイス401に表示する場合と同様に、2つの表示動画データを合成し、合成した後の表示動画データを、外部ディスプレイ402に出力する。
【0071】
なお、外部ディスプレイ402に出力する表示動画データは、手順3と同様に、事前にDRAM601に記録されている2つの表示動画データを合成して、動画の全体が表示されるように表示処理を施した表示動画データを生成し、生成した表示動画データの画像の一部を外部ディスプレイ402に出力するようにしてもよい。
【0072】
このような手順によって、撮像装置10では、記録媒体501に記録(保存)されているワイド動画撮影の記録動画データを、2つの画像処理部301および302のそれぞれで動画伸張処理を行う。そして、2つの画像処理部301および302のそれぞれが生成したそれぞれの表示用の動画ファイルを、表示デバイス401に表示する。また、撮像装置10では、表示デバイス401に表示されている表示領域枠Aを確認しながら、ユーザが操作ボタン800を操作することによって、表示デバイス401に表示されているワイド動画撮影の表示動画データの画像の一部を、外部ディスプレイ402に表示する。すなわち、撮像装置10では、全体の表示動画データの画像と、ユーザに指示された領域の表示動画データの画像とを同時に表示することができる。これにより、被写体が大きく動いている場合でも、ズームレンズの広角側(ワイド側)、またはさらに広角の状態で撮影された動画から、ユーザが所望する主要被写体を効率的に指示し、主要被写体に注目した動画の再生を効率的に行うことができる。
【0073】
さらに、撮像装置10では、ユーザが操作ボタン800を操作して指示した表示領域枠Aの情報を、記録動画データに関連付けて、記録することもできる。ここで記録された表示領域枠Aの情報は、次回、同じ記録動画データを再生する際に用いる。これにより、同じ記録動画データを再生する際に、ユーザが再度、表示領域枠Aの位置を指示する必要がなくなる。
【0074】
表示領域枠Aの情報を記録動画データに関連付けて記録する方法としては、記録動画データのヘッダ部分に、表示領域枠Aの情報を追加する方法が考えられる。また、外部ディスプレイ402に表示している表示領域枠A内の表示動画データ、または動画伸張処理された記録動画データの表示領域枠Aの位置に対応する記録動画データを再度、動画圧縮処理して、別の記録動画データのファイルとして生成し、すでに記録媒体501に記録されている2つの記録動画データに関連した別のファイルとして記録する方法が考えられる。この場合には、記録動画データに対して動画伸張処理を施している画像処理部301および302と同時に、表示領域枠A内の動画を動画圧縮処理する別の画像処理部を、撮像装置10にさらに備えることが望ましい。別の画像処理部を撮像装置10に搭載することにより、外部ディスプレイ402に表示しながら、別の記録動画データを生成することができる。また、外部ディスプレイ402に表示している表示動画データに編集を加えた後に記録動画データを生成することもできる。なお、ユーザが操作ボタン800を操作して表示領域枠Aを指示する、または編集を行う際には、外部ディスプレイ402に表示している表示動画データをスローで再生すると、表示領域枠Aの指示や編集が容易になる。なお、表示領域枠Aの情報を記録動画データに関連付けて記録する方法は、上述した方法に限定されるものではない。
【0075】
なお、撮像装置10では、外部ディスプレイ402が接続されていない場合でも、表示デバイス401に、ユーザが所望する主要被写体に注目した動画を再生することができる。この場合には、図6を参照して説明した動画再生の処理手順の内、手順3における処理が異なる処理になる。図7は、本実施形態の撮像装置10において動画を再生する際の処理手順の別の一例を説明する図である。図7には、撮像装置10に外部ディスプレイ402が接続されていないときの、図6を参照して説明した動画再生の手順3に代わる手順を示している。以下の説明においては、この手順を「手順3’」ということとする。
【0076】
(手順3’):表示処理部400は、撮像装置10において動画の再生を行っているとき、画像処理部301および302によって動画伸張処理された表示動画データの画像を表示デバイス401に表示させる。このとき、表示処理部400は、DRAM601に記録されている2つの表示動画データを読み出し、読み出した2つの表示動画データを合成して、記録媒体501に記録されている動画の全体に対する表示処理を施す。そして、表示処理部400は、合成した後の表示動画データの内、表示デバイス401に表示する領域を表す表示領域枠を内部で設定し、設定した表示領域枠内の表示動画データの画像を、表示デバイス401に出力する。これにより、図7(a)に示したように、内部で設定した表示領域枠内の表示動画データの画像が、表示デバイス401に表示される。
【0077】
なお、内部で設定した表示領域枠も、ユーザが操作ボタン800を操作することによって、例えば、左右に移動させることができる。表示処理部400は、ユーザによる操作ボタン800の操作に応じて、表示領域枠の位置の設定、すなわち、表示デバイス401に表示させる表示動画データの範囲を変更する。そして、変更した表示領域枠内の表示動画データの画像を、表示デバイス401に出力する。これにより、表示デバイス401に表示される表示動画データの画像の位置が変更される。
【0078】
このように、撮像装置10に外部ディスプレイ402が接続されていない場合でも、生成した表示動画データの画像の一部を、表示デバイス401に表示することができる。すなわち、撮像装置10では、ユーザに指示された領域の表示動画データの画像を表示デバイス401に表示することができる。これにより、被写体が大きく動いている場合でも、ズームレンズの広角側(ワイド側)、またはさらに広角の状態で撮影された動画から、ユーザが所望する主要被写体に注目した動画を再生することができる。
【0079】
なお、外部ディスプレイ402が接続されている場合と同様に、ユーザが操作ボタン800を操作して指示した表示領域枠の情報を、記録動画データに関連付けて、記録することもできる。ここで記録された表示領域枠の情報も同様に、次回、同じ記録動画データを再生する際に用いることができ、同じ記録動画データを再生する際に、ユーザが再度、表示領域枠を指示する必要がなくなる。なお、表示領域枠の情報を記録動画データに関連付けて記録する方法は、上述した表示領域枠Aの情報を記録動画データに関連付けて記録する方法と同様に考えることができるため、詳細な説明は省略する。
【0080】
また、本実施形態の撮像装置10では、再生されるユーザが所望する主要被写体に注目した動画の画素数は、従来の撮像装置で撮影された記録動画データ(本実施形態の撮像装置10による通常の動画の撮影による記録動画データでも同様)を再生したときの画素数と同様である。
【0081】
従来の撮像装置で撮影された記録動画データを用いて、図6および図7を参照して説明した、撮像装置10のワイド動画撮影によって撮影した記録動画データの再生と同様の再生を行う、すなわち、従来の撮像装置による動画の撮影で得られる記録動画データの上下をカットすることによって、ワイド動画撮影と同様の画角の動画を再生すると、表示される表示動画データの画像の画素数は、少なくなってしまう。しかし、本実施形態の撮像装置10では、ワイド動画撮影によって得られた複数の記録動画データのそれぞれは、通常の動画の撮影で得られる記録動画データと同等の記録画素数の記録動画データであるため、表示される表示動画データの画像の画素数が少なくなることがない。従って、本実施形態の撮像装置10では、より高画質な動画を再生することができる。
【0082】
ここで、撮像装置10が再生する動画の画素数について説明する。図8は、本実施形態の撮像装置10において動画を再生する際の画素数の一例を説明する図である。図8には、記録されている記録動画データの画素数と、表示する動画の画素数との関係の一例を示している。図8(a)には、ワイド動画撮影によって記録された記録動画データと表示動画データとの画素数を示し、図8(b)には、通常の動画撮影によって記録された記録動画データと表示する動画の画素数を示している。
【0083】
図8(a)に示したように、ワイド動画撮影では、2つの記録動画データ(本一例では、2Mpixel)が記録媒体501に記録(保存)されている。そして、この2つの記録動画データを再生する場合には、図8(a)に示した表示領域枠A内の表示動画データの画像(本一例では、2Mpixel)が、外部ディスプレイ402に表示される。
【0084】
すなわち、本実施形態の撮像装置10において再生されるユーザが所望する主要被写体に注目した動画の画素数は、従来の撮像装置で撮影された記録動画データを、そのまま再生したときの画素数と同様である。従って、本実施形態の撮像装置10においては、ワイド動画撮影の表示動画データの一部を外部ディスプレイ402に表示しているが、表示される画像は、画質が劣化することがない。
【0085】
一方、図8(b)に示したように、通常の動画撮影では、1つの記録動画データ(本一例では、2Mpixel)が記録媒体501に記録(保存)されている。そして、この1つの記録動画データを用いて、図8(a)と同様の考えに基づいた再生、すなわち、図6および図7を参照して説明した動作と同様の処理の再生を行うと、図8(b)に示した表示領域枠B内の表示動画データの画像を外部ディスプレイ402に表示することになる。しかし、図8(b)を見てわかるように、外部ディスプレイ402に表示する画像の画素数は、0.5Mpixelである。すなわち、従来の撮像装置で撮影された記録動画データを用いて、ワイド動画撮影と同様の画角の動画を再生しようとすると、表示される動画の画像の画素数が少なくなってしまう、すなわち、表示される画像の画質が低下してしまう。
【0086】
上記に述べたとおり、本発明を実施するための形態によれば、動画を撮影する際に、ズームレンズを広角側(ワイド側)、またはさらに広角にした状態で、被写体の光学像をイメージセンサに結像させる。これにより、例えば、運動会の徒競走やF1(Formula One)などの自動車レースのように、大きく動いている被写体の動画を撮影する場合でも、ユーザが被写体を見失うことなく撮影することができる。
【0087】
また、本発明を実施するための形態によれば、撮像装置に複数の画像処理部を搭載する。そして、イメージセンサの有効画素の内、上下の部分を除いた(カットした)領域を複数に分割し、分割したそれぞれの領域の画像データに対する画像処理を、搭載したそれぞれの画像処理部が分担して行うことにより、複数の動画データを生成する。これにより、被写体を結像した画像データの画素数が多くても、それぞれの画像処理部における処理の負荷を増大させることなく、また、記録画素数を低下させることなく、より高画質の動画データを生成することができる。
【0088】
また、本発明を実施するための形態では、同じ画像処理部を複数搭載するのみであるため、構成が複雑になることを抑えることもできる。また、撮像装置の動作によっては、予め定めた画像処理部以外の動作を停止させることができ、撮像装置の消費電力の増大を抑えることができる。
【0089】
また、本発明を実施するための形態によれば、動画を再生する際に、ズームレンズを広角側(ワイド側)、またはさらに広角にした状態で撮影した動画データに含まれる主要被写体部分を指示する。これにより、所望する主要被写体に注目した領域の動画を再生することができる。
【0090】
なお、本実施形態においては、イメージセンサ100の有効画素の上下の部分をカットした領域の入力画像データに基づいて、記録動画データおよび表示動画データを生成する場合、すなわち、左右に動きが大きい(速い)被写体を撮影するために、左右に広角の動画データを生成する場合について説明した。しかし、イメージセンサ100の有効画素の一部分をカットする領域は、本発明を実施するための形態に限定されるものではない。例えば、イメージセンサ100の有効画素の左右の部分をカットした領域の入力画像データに基づいて、記録動画データおよび表示動画データを生成する、すなわち、上下に動きが大きい(速い)被写体を撮影するために、上下に広角の動画データを生成する場合にも、同様に適用することができる。また、左右の広角と上下の広角とを切り替える構成にすることもできる。
【0091】
なお、本実施形態においては、撮像装置10に2つの画像処理部(画像処理部301および302)を備え、2つの記録動画データを生成し、2つの記録動画データに基づいて生成した表示動画データを生成する場合について説明した。しかし、撮像装置に備える画像処理部の数は、本発明を実施するための形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において撮像装置に備える画像処理部の数を変更することができる。
【0092】
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。
【符号の説明】
【0093】
10・・・撮像装置
100・・・イメージセンサ(固体撮像装置,撮像部)
200・・・前処理部(撮像部)
301,302・・・画像処理部
400・・・表示処理部(表示部)
401・・・表示デバイス(表示部)
402・・・外部ディスプレイ
500・・・カードインタフェース部
501・・・記録媒体
600・・・DRAMコントローラ
601・・・DRAM
700・・・CPU(制御部,領域指示部)
800・・・操作ボタン(領域指示部)
900・・・データバス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画像を撮影する撮像装置であって、
二次元の行列状に配置された複数の画素を有する固体撮像装置を具備し、該固体撮像装置に配置された全ての前記画素の領域の内、予め定められた画素領域内に配置された前記画素から出力された画素信号に応じた画像信号を出力する撮像部と、
前記撮像部から出力された前記画像信号に対して画像処理を行った動画像データを生成する複数の画像処理部と、
を備え、
複数の前記画像処理部のそれぞれは、
前記撮像部から出力された前記画像信号を該画像処理部の数に分割した、いずれか1つの分割画像信号に対して画像処理を行って、該分割画像信号のそれぞれに応じた前記動画像データを生成する、
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮像部に予め定められる前記画素領域は、
前記固体撮像装置に有する、被写体光が入射される全ての前記画素の領域である有効画素領域の内、予め定められた上下の領域を除いた領域である、
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
複数の前記画像処理部のそれぞれは、
上下の領域を除いた前記画素領域に対応した前記画像信号を、左右方向に分割した前記分割画像信号のそれぞれに応じた前記動画像データを生成する、
ことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像部に予め定められる前記画素領域は、
前記固体撮像装置に有する、被写体光が入射される全ての前記画素の領域である有効画素領域の内、予め定められた左右の領域を除いた領域である、
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
複数の前記画像処理部のそれぞれは、
左右の領域を除いた前記画素領域に対応した前記画像信号を、上下方向に分割した前記分割画像信号のそれぞれに応じた前記動画像データを生成する、
ことを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
それぞれの前記分割画像信号には、隣接する他の前記分割画像信号との境界部分に、重複する画像信号が含まれており、
複数の前記画像処理部のそれぞれは、
前記重複する画像信号を含めた前記分割画像信号のそれぞれに応じた前記動画像データを生成する、
ことを特徴とする請求項3または請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
当該撮像装置によって撮影を行う際の撮影画角のズーム倍率を制御する制御部、
をさらに備え、
前記制御部は、
前記動画像の撮影を行う際の撮影画角のズーム倍率を広角の状態に制御する、
ことを特徴とする請求項3、請求項5、または請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記動画像を表示する表示部、
をさらに備え、
前記表示部は、
複数の前記画像処理部のそれぞれが生成した、前記分割した画像信号のそれぞれに応じた複数の前記動画像データを合成し、前記撮像部から出力された前記画像信号に応じた動画像の状態で、該合成した動画像を表示する、
ことを特徴とする請求項3、請求項5、請求項6、または請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記表示部に表示する動画像の領域を指示する領域指示部、
をさらに備え、
前記表示部は、
前記合成した動画像に、前記領域指示部が指示する動画像の領域を表す領域枠を重畳して表示し、前記領域指示部が指示する領域内の動画像を出力する、
ことを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記動画像を表示する表示部と、
前記表示部に表示する動画像の領域を指示する領域指示部と、
をさらに備え、
前記表示部は、
複数の前記画像処理部のそれぞれが生成した、前記分割した画像信号のそれぞれに応じた複数の前記動画像データを合成し、前記撮像部から出力された前記画像信号に応じた動画像の状態とし、該合成した動画像の内、前記領域指示部が指示する領域内の動画像を表示する、
ことを特徴とする請求項3、請求項5、請求項6、または請求項7に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記領域指示部は、
複数の前記画像処理部のそれぞれが生成した、前記分割した画像信号のそれぞれに応じた複数の前記動画像データに、前記表示部に表示する動画像の領域を指示する情報を追加する、
ことを特徴とする請求項9または請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記領域指示部が指示する領域内の動画像に対応した前記画像信号に対して画像処理を行った第2の動画像データを生成する画像処理部、
をさらに備え、
前記領域指示部は、
複数の前記画像処理部のそれぞれが生成した、前記分割した画像信号のそれぞれに応じた複数の前記動画像データに、前記第2の動画像データを関連付ける、
ことを特徴とする請求項9または請求項10に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−102324(P2013−102324A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244351(P2011−244351)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】