説明

撮像装置

【課題】記憶媒体を積載した1つの基板が交換された場合でも、撮影回数のデータが失われない撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置100であって、撮像装置内の所定の電気部品を実装するとともに、互いに独立して交換可能な複数の回路基板101,102と、複数の回路基板上にそれぞれ配置され、撮像装置の動作中に累積されていく数値を記憶する複数の不揮発性の記憶媒体103,106とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子スチルカメラ等の撮像装置に関し、特に不揮発性の記憶媒体を備えた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カメラの累積撮影回数を不揮発性の記憶媒体に記録することは、特許文献1に記載のカメラなどのように一般的に行われており、記録された値はサービスサポートなどに使われてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−96642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1に開示された従来技術では累積撮影回数を単一の不揮発性記憶媒体に記憶しているため、記憶媒体を積載した基板が交換された場合などに、累積撮影回数のデータが失われるという問題があった。
【0005】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、記憶媒体を積載した1つの基板が交換された場合でも、撮影回数のデータが失われない撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係わる撮像装置は、撮像装置であって、前記撮像装置内の所定の電気部品を実装するとともに、互いに独立して交換可能な複数の回路基板と、前記複数の回路基板上にそれぞれ配置され、前記撮像装置の動作中に累積されていく数値を記憶する複数の不揮発性の記憶媒体と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、記憶媒体を積載した1つの基板が交換された場合でも、撮影回数のデータが失われない撮像装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係わるカメラの構成を示すブロック図。
【図2】カメラの起動時に撮影回数をEEPROMから読み出す流れを説明したフローチャート。
【図3】EEPROMに撮影回数を書き込む流れを説明したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の撮像装置の一実施形態であるデジタルカメラ100の構成を示すブロック図である。
【0010】
図1において、撮像系基板101は撮像装置内に配置され主に撮像センサの制御を行う部品(所定の電気部品)が実装された基板である。メイン基板102は撮像センサ以外の制御を行う部品(所定の電気部品)が実装された基板である。撮像系基板EEPROM103は撮像系基板101上に配置された電気的に書き換え可能な不揮発性の記憶媒体であり、撮影回数(撮影実行回数)を記憶する領域を有する。撮像制御マイコン104は撮像センサ105と撮像系基板EEPROM103の制御を行うLSIである。撮像センサ105は画像情報を取得するCMOSセンサである。
【0011】
メイン基板EEPROM106はメイン基板102上に配置された電気的に書き換え可能な不揮発性の記憶媒体であり、撮影回数を記憶する領域を有する。カメラ制御マイコン107はデジタルカメラ100を制御するマイコンであり、内部に揮発性の記憶領域(RAM)を有している。RAMには撮影回数を保持する領域を有する。なお、撮像系基板101とメイン基板102は物理的に分離されており、独立して交換可能である。
【0012】
すなわち、撮像装置100は、撮像装置内の所定の電気部品を実装するとともに、互いに独立して交換可能な複数の回路基板と、複数の回路基板上にそれぞれ配置され、撮像装置の動作中(撮像装置の寿命全体)に累積されていく数値を記憶する複数の不揮発性の記憶媒体とを備えている。
【0013】
カメラ制御マイコン107はユーザ操作部108からユーザの操作情報を受け取り、接続されている他の構成要素を制御してさまざまな処理を行う。例えば、ユーザ操作部108から撮影ボタンONの通知を受け取った場合には撮影の処理を行い、RAMに保持している撮影回数をインクリメントする。また、カメラ制御マイコン107は自身を低消費電力モードに遷移させる機能を有する。
【0014】
ユーザ操作部108は、ユーザからの各種ボタンの押下やスイッチの切り替えなどの操作を受け付け、カメラ制御マイコン107に制御を依頼する。本実施形態のユーザ操作部108は操作部材として少なくとも「電源スイッチ」、「測光ボタン」、「撮影ボタン」を備え、そのON/OFFをカメラ制御マイコン107に通知する機能を有する。また、一定時間操作部材が操作されなかったときは「測光タイマOFF」をカメラ制御マイコン107に通知する。
【0015】
本実施形態では省略しているが、ユーザ操作部108に「カード蓋スイッチ」を持たせて、着脱可能な記憶媒体の収納蓋であるカード蓋を開けたこと(開動作)に伴って電源スイッチOFFの処理をさせてもよい。また、長時間操作が無かった時は「オートパワーオフ」として電源スイッチOFFの処理をさせてもよい。
【0016】
撮影時駆動メカ109は撮影時に駆動させる機構部で、ミラーやシャッターなどから構成されている。画像記録部110は、撮像センサ105により得られた画像データに撮影時のパラメータなどを加えた画像ファイルを作成し、フラッシュメモリ等の記録メディアへ書き込む。表示部111は、カメラ制御マイコン107からの依頼を受けて、ユーザに対して各種情報を表示する。上記の103〜111は図1に示されるように電気的に接続されている。
【0017】
前述したように、撮像系基板101とメイン基板102は物理的に分離されており、個別に交換可能である。撮像系基板EEPROM103とメイン基板EEPROM106に配置された撮影回数を記憶する領域の初期値は0である。したがって基板を交換した直後は撮影回数を読み出すと0が読みだされる。
【0018】
次に図2のフローチャートを用いてカメラの起動時に撮影回数をEEPROMから読み出す流れを説明する。
【0019】
まず、S200において、カメラ制御マイコン107はユーザ操作部108から定期的にスイッチの情報を取得し、電源スイッチがONになるのを待つ。ONになったらS201の処理を行う。
【0020】
S201では、カメラ制御マイコン107は撮像制御マイコン104に対して撮影回数の取得を要求する。撮像制御マイコン104は撮像系基板EEPROM103から撮影回数を読み出し、カメラ制御マイコン107に送信する。カメラ制御マイコン107は受信した撮影回数を撮像系基板101の撮影回数としてRAMに保持する。
【0021】
S202では、カメラ制御マイコン107はメイン基板EEPROM106から撮影回数を読み出し、メイン基板102の撮影回数としてRAMに保持する。
【0022】
S203では、カメラ制御マイコン107は、S201で取得した撮像系基板101の撮影回数とS202で取得したメイン基板102の撮影回数を比較する。撮像系基板101の撮影回数が大きければS204の処理を行う。そうでなければS205の処理を行う。
【0023】
S204では、カメラ制御マイコン107は、S201で取得した撮像系基板101の撮影回数が正しい値だと判断してRAMに保持する。S205では、S202で取得したメイン基板102の撮影回数が正しい値だと判断してRAMに保持する。
【0024】
上記の処理を行うことにより、片方の基板を交換して撮影回数が0にクリアされても他方の基板から撮影回数を読み出すことができる。
【0025】
次に図3のフローチャートを用いてカメラがEEPROMに撮影回数を書き込む流れを説明する。
【0026】
S301では、カメラ制御マイコン107はユーザ操作部108から電源スイッチの状態を取得する。電源OFFならS302の処理を行う。電源OFFでないならS311の処理を行う。
【0027】
S302では、カメラ制御マイコン107は自身のRAMに保持した撮影回数をメイン基板EEPROM106(主たる記憶媒体)に書き込む。S303では、カメラ制御マイコン107は自身のRAMに保持した撮影回数を撮像制御マイコン104に送信する。撮像制御マイコン104は受信した撮影回数を撮像系基板EEPROM103(主たる記憶媒体以外の記憶媒体)に書き込む。S304では、カメラ制御マイコン107は必要な処理を行い、自身を低消費電力状態へ移行させる。
【0028】
S311では、カメラ制御マイコン107はユーザ操作部108からスイッチの情報を取得し、測光タイマがOFFしているかチェックする。S311において測光タイマがOFFしていたら、カメラ制御マイコン107は、S312の処理を行う。測光タイマがOFFしていなかったらS301の処理に戻る。S312では、カメラ制御マイコン107は自身のRAMに保持した撮影回数をメイン基板EEPROM106に書き込む。上記の流れでEEPROMに撮影回数を記憶する。
【0029】
なお、撮像系基板EEPROM103への書き込みはメイン基板EEPROM106への書き込みより時間がかかるので、頻繁に発生する測光タイマOFFのタイミングでは撮像系基板EEPROM103に撮影回数を書き込まない。
【0030】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置であって、
前記撮像装置内の所定の電気部品を実装するとともに、互いに独立して交換可能な複数の回路基板と、
前記複数の回路基板上にそれぞれ配置され、前記撮像装置の動作中に累積されていく数値を記憶する複数の不揮発性の記憶媒体と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮像装置の動作中に累積されていく数値とは、前記撮像装置の撮影実行回数であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記複数の不揮発性の記憶媒体のうちの最もデータの書き込み時間が短い記憶媒体を主たる記憶媒体とするとともに、該最もデータの書き込み時間が短い記憶媒体以外の記憶媒体を従たる記憶媒体とし、前記主たる記憶媒体には、前記撮像装置の電源スイッチのオフ、オートパワーオフ、前記撮像装置に着脱可能な記憶媒体の収納蓋の開動作、前記撮像装置の測光タイマのオフのいずれかのタイミングで前記累積されていく数値を記憶し、前記従たる記憶媒体には、前記電源スイッチのオフ、前記オートパワーオフ、前記収納蓋の開動作のいずれかのタイミングで前記累積されていく数値を記憶することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−102357(P2013−102357A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244985(P2011−244985)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】