説明

撮影装置及び撮影システム

【課題】表示パネルを見ながら撮影を実行する際、撮影で取得した画像を容易に確認できる撮影装置及び撮影システムを提供する。
【解決手段】証明写真撮影装置2には表示パネル7が備えられている。撮影を開始すると表示パネル7にはスルー画像が表示される。シャッタレリーズに応答してイメージセンサ22からの画像信号を基に画像データの形成が開始される。表示制御回路34はシャッタレリーズから第1の期間開始前まで表示パネル7をミュートさせる。表示制御回路34は表示パネル7を一定時間ミュートさせた後プレビュー画像を表示させる。第1の期間プレビュー画像を表示させた後、表示制御回路34は表示パネル7をミュートさせる。第2の期間ミュートさせた後、表示制御回路34は表示パネル7にスルー画像を表示させ、次の撮影に備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示パネルを備えた撮影装置に関し、さらに詳しくは表示パネルに撮影で取得した画像を表示する撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、イメージセンサからの画像信号を処理して画像データを取得する撮影装置が様々な分野で普及している。例えば、ユーザが簡単に持ち運びできるようにコンパクトに設計されたデジタルカメラや、電話機能を備えたカメラ付き携帯電話の分野では、利便性を高めるために様々な工夫が試みられている。
【0003】
利便性を高めるため画像を表示するための表示パネルが備えられた撮影装置が考案され、この表示パネルに撮影で取得した画像が表示されることでユーザは画像の出来を確認することができた。例えば特許文献1の発明では、連続撮影した画像の数に応じて表示パネルを複数の表示エリアに分割し、それぞれの表示エリアに連続撮影で取得された画像を表示する撮影装置が示されている。ところで、セルフで証明用の写真などを撮影できる撮影装置にも表示パネルが備えられている。このような撮影装置には、例えば、自分を撮影するように配置されたイメージセンサ、イメージセンサからの電気信号を処理して画像データを形成する信号処理回路、信号処理回路で形成された画像データを基にラスタイメージを作成して印刷するプリンタなどが備えられており、これによって撮影した自分自身の画像が印刷された印刷用紙をその場で取得することができた。
【特許文献1】特開2000−287106号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、撮影装置に備えられた表示パネルを見ながら撮影を実行する場合、表示パネルには、イメージセンサからの画像信号を基に形成された1画面分のフレーム画像が一定時間ごとに更新されるスルー画像が表示され、このスルー画像の表示中に行われたシャッタレリーズ操作に応じてイメージセンサからの信号を基に画像データの形成が開始される。画像データの形成が開始された後、表示パネルにはレリーズ操作時のフレーム画像が停止表示されたフリーズ画像や単色で構成された単色画像が一定期間表示され、この後にレリーズ操作に応じて生成された画像データを圧縮処理した静止画像が表示パネルに表示される。続けて2回目の撮影が行われる場合では、表示パネルは静止画像から再びスルー画像に切り替えられる。
【0005】
しかしながら、スルー画像が表示された表示パネルに、シャッタレリーズ操作に応じてフリーズ画像もしくは単色画像が一定期間表示され、次いでシャッタレリーズ操作に応答して取得された画像データが圧縮処理された静止画像が表示される際、例えば、ユーザがほぼ動かずに位置していた場合では、フリーズ画像から静止画像に切り替わったことに気付かない場合があり、このためユーザが撮影で取得した画像の出来を確認することが出来ない場合があった。また、続けて撮影を行う場合では、表示パネルは静止画像を一定期間表示した後に次の撮影に備えてスルー画像を表示するため、ユーザはいつ1回目の撮影が終了し、2回目の撮影が開始されたのかを識別することが困難な場合があった。
【0006】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、撮影で取得した静止画像を容易に確認できる撮影装置及び撮影システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の撮影装置では、イメージセンサからの画像信号を基に所定時間ごとに更新されるスルー画像を表示パネルに表示し、シャッタレリーズに応じてイメージセンサからの画像信号を基に画像データの形成を開始する撮影装置であって、画像データ形成終了後の第1の期間と、この第1の期間に続く第2の期間とをそれぞれ計時する計時手段と、計時手段からのカウント信号に応じて第1の期間に画像データに基づいた静止画像を表示パネルに表示させ、第2の期間に表示パネルをミュートさせる表示制御手段とを設けたことを特徴とする。
【0008】
また、表示制御手段はシャッタレリーズ後から第1の期間の開始前まで表示パネルをミュートさせることを特徴とする。
【0009】
また、スルー画像は1画面分のフレーム画像が所定のフレームレートで表示される画像であり、表示制御手段は前記シャッタレリーズ後から第1の期間の開始前までシャッタレリーズ時のフレーム画像を表示パネルに停止表示させることを特徴とする。
【0010】
また、第2の期間中に音声を出力させる音声出力制御手段を設けたことを特徴とする。
【0011】
また、第1の期間と第2の期間とのうちの少なくともどちらか一方の期間の設定を変更するための設定変更手段を設けたことを特徴とする。
【0012】
また、静止画像の表示中もしくは表示パネルのミュート中にユーザによる操作入力が検知された場合、表示制御手段は当該操作が無効である旨を示す警告を表示パネルに表示することを特徴とする。
【0013】
また、イメージセンサからの画像信号を基に所定時間ごとに更新されるスルー画像を表示パネルに表示し、シャッタレリーズに応じてイメージセンサからの画像信号を基に画像データの形成を開始する撮影装置であって、画像データ形成終了後の第1の期間と、第1の期間に続く第2の期間とをそれぞれ計時する計時手段と、計時手段からのカウント信号に応じて第1の期間に前記画像データに基づいた静止画像を表示パネルに表示させ、第2の期間に単色で構成された単色画像を表示パネルに表示させる表示制御手段とを設けたことを特徴とする
【0014】
また、単色画像の色を設定するための表示色設定手段を設けたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の撮影システムでは、シャッタレリーズに応じて画像データの形成を開始するカメラ装置と、このカメラ装置から入力される画像データに応じて画像を表示する画像表示装置とを有し、画像データ形成終了後の第1の期間と、第1の期間に続く第2の期間とをそれぞれ計時する計時手段と、計時手段からのカウント信号に応じて第1の期間に前記画像データに基づいた静止画像を画像表示装置に表示させ、第1の期間に続く第2の期間に画像表示装置にミュート表示させる表示制御手段とを設けたことを特徴とする
【0016】
また、表示制御手段は画像表示装置をシャッタレリーズ後から第1の期間の開始前までミュート表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の撮影装置によれば、画像データ形成終了後の第1の期間と、この第1の期間に続く第2の期間とをそれぞれ計時する計時手段と、計時手段からのカウント信号に応じて第1の期間に画像データに基づいた静止画像を表示パネルに表示させ、第2の期間に表示パネルをミュートさせる表示制御手段とを設けたことにより、表示パネルは第1の期間に画像データを基に静止画像を表示し第2の期間でミュートされるため、第1の期間で表示される静止画像が強調され、このためユーザは静止画像を容易に確認することができ、利便性の高い撮影装置を提供することができる。
【0018】
また、表示制御手段はシャッタレリーズ後から第1の期間の開始前まで表示パネルをミュートさせることにより、第1の期間で表示される静止画像がさらに強調され、ユーザは静止画像をより確認しやすくなる。
【0019】
また、スルー画像は1画面分のフレーム画像が所定のフレームレートで表示される画像であり、表示制御手段は前記シャッタレリーズ後から第1の期間の開始前までシャッタレリーズ時のフレーム画像を表示パネルに停止表示させることにより、第1の期間で表示される静止画像が強調され、ユーザは静止画像をさらに確認しやすくなる。
【0020】
また、第2の期間中に音声を出力させる音声出力制御手段を設けたことにより、表示パネルのミュートを強調することができる。また、シャッタレリーズに応じた一連の処理が終了することをユーザに告知することができ、利便性を高めることができる。
【0021】
また、第1の期間と第2の期間とのうちの少なくともどちらか一方の期間の設定を変更するための設定変更手段を設けたことにより、撮影装置の管理者は第1、第2の期間をそれぞれ自在に設定して静止画像を強調することが可能となり、より利便性の高い撮影装置を提供することができる。
【0022】
また、静止画像の表示中もしくは表示パネルのミュート中にユーザによる操作入力が検知された場合、表示制御手段は当該操作が無効である旨を示す警告を表示パネルに表示することにより、利便性の高い撮影装置を提供することができる。
【0023】
また、画像データ形成終了後の第1の期間と、第1の期間に続く第2の期間とをそれぞれ計時する計時手段と、計時手段からのカウント信号に応じて第1の期間に前記画像データに基づいた静止画像を表示パネルに表示させ、第2の期間に単色で構成された単色画像を表示パネルに表示させる表示制御手段とを設けたことにより、表示パネルは第1の期間に画像データを基に静止画像を表示し第2の期間に単色画像を表示するため、第1の期間で表示される静止画像が強調され、このためユーザは静止画像を容易に確認することができ、利便性の高い撮影装置を提供することができる。
【0024】
また、単色画像の色を設定するための表示色設定手段を設けたことにより、より利便性の高い撮影装置を提供することができる。
【0025】
本発明の撮影システムによれば、シャッタレリーズに応じて画像データの形成を開始するカメラ装置と、このカメラ装置から入力される画像データに応じて画像を表示する画像表示装置とを有し、画像データ形成終了後の第1の期間と、第1の期間に続く第2の期間とをそれぞれ計時する計時手段と、計時手段からのカウント信号に応じて第1の期間に前記画像データに基づいた静止画像を画像表示装置に表示させ、第1の期間に続く第2の期間に画像表示装置にミュート表示させる表示制御手段とを設けたことにより、第1の期間で表示される静止画像が強調され、ユーザは静止画像を容易に確認することができ、利便性の高い撮影システムを提供することができる。
【0026】
また、表示制御手段はシャッタレリーズ後から第1の期間の開始前まで画像表示装置をミュート表示させることにより、第1の期間で表示される静止画像がさらに強調され、ユーザは静止画像をより確認しやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1に本発明の撮影装置である証明写真撮影装置の部分的な斜視図を示す。証明写真撮影装置2にはユーザを収容するための収容室4が形成され、ユーザが動かないように座るための椅子5がセットされている。椅子5に座ったユーザと正対するように、収容室4内には画像やガイド文を表示する表示パネル7が設けられ、表示パネル7の下には撮影レンズ9が露呈している。撮影レンズ9の下方には十字操作ボタン12やシャッタレリーズボタン13が配置されている。それぞれの操作ボタンのさらに下方にはユーザを照明するための下部照明部16が設けられ、表示パネル7の上方には上部照明部15が設けられている。収容室4の外には印刷された証明写真を受け取るための取り出し口17が設けられている。
【0028】
図2に証明写真撮影装置2の電気的な構成を概略的に示すブロック図を示す。デジタルカメラ2にはレンズ鏡筒20、CCDイメージセンサ22、信号処理回路24、SDRAM26、照明制御回路28、AF検出回路30、画像処理回路32、表示制御手段である表示制御回路34、計時手段であるタイマ回路35、音声出力制御回路40、圧縮/伸張エンジン45、プリントエンジン47、外部インターフェース(以降、外部I/Fと言う)49、設定変更手段である設定変更操作部50、ROM51、及びCPU53などが備えられている。
【0029】
レンズ鏡筒20には撮影レンズ9が備えられ、撮影レンズ9はCCDイメージセンサ22の受光エリア上に光束を結像させる。レンズ鏡筒20にはレンズを光軸方向に移動させるためのモータやこのモータの駆動を制御するためのモータコントローラが備えられている。CCDイメージセンサ22は、例えば各フィールド内の水平方向に並んだ2画素のうちどちらか一方から信号が読み出されるインターレース方式のものが用いられ、信号が読み出されるタイミングは図示しないタイミングジェネレータによって制御されている。タイミングジェネレータから供給される駆動パルスに応じて各画素から取り出された電気信号は信号処理回路24に入力される。
【0030】
信号処理回路24には相関二重サンプリング回路、増幅回路、A/D変換回路等が含まれており、CCDイメージセンサ22から入力される電気信号がデジタル処理されたCCD−RAWデータがここで形成される。信号処理回路24で形成されたCCD−RAWデータはSDRAM26や表示制御回路34に順次入力される。SDRAM26ではCCD−RAWデータを一時的に蓄積する。
【0031】
画像処理回路32にはSDRAM26からCCD―RAWデータが順次入力され、シャープネス、ホワイトバランス、カラーバランス、明るさ等が補正され、所定のデータ形式に沿うように画像データが形成される。形成された画像データはSDRAM26に一時的に記憶される。
【0032】
表示制御回路34には、図示は省略するがFIFO( First In First Out )メモリやビデオエンコーダが備えられており、信号処理回路24からのCCD―RAWデータがFIFOメモリに逐次入力される。ビデオエンコーダではFIFOメモリに記憶されたCCD―RAWデータを読み出して1画面分のフレーム画像データが構成され、このフレーム画像データを基に表示パネル7が駆動される。フレーム画像データは一定時間ごとに構成されるため、表示パネル7にはフレーム画像が一定時間ごとに新しく切換表示されるスルー画像が示される。
【0033】
AF検出回路30では被写体のコントラストを評価するための評価式に従って合焦状態が判定される。合焦状態の判定に応じた判定信号がAF検出回路30からレンズ鏡筒20に入力され、この判定信号に応じてレンズ鏡筒20に組み込まれたモータが作動し、被写体にピントが合わせられる。
【0034】
照明制御回路28は上部照明灯15と下部照明灯16との点灯を制御している。例えば、照明制御回路28ではCCDイメージセンサ22からの画像信号を基に明度の分布を検知し、この検知された明度分布から上部照明灯15と下部照明灯16との発光強度をコントロールする。これにより、良好な被写体画像を取得することができる。
【0035】
音声出力制御回路40はスピーカ56の駆動を制御している。ROM51に格納された音声データが音声出力制御回路40に読み出され、音声出力制御回路40はこの音声データを基にスピーカ56を駆動する。例えば金銭が投入された場合には、撮影をスムーズに進めるための音声ガイドがスピーカ56から出力され、その他の場合でも音声出力制御回路40はROM51から読み出された音声データを基にスピーカ56を駆動して撮影をスムーズに進行させる。
【0036】
外部I/F49は十字ボタン12やシャッタレリーズボタン13などの操作に応じて操作信号をCPU53に入力させる。十字ボタン12が操作された場合には上下左右それぞれの操作に応じた操作信号をCPU53に入力させ、シャッタレリーズボタン13が押圧された場合にはレリーズ信号がCPU53に入力される。
【0037】
圧縮/伸張エンジン45では、ユーザによって指定されたモードで画像を印刷するために画像データを圧縮処理する。例えば、パスポート用の証明写真では縦45mm横35mmとサイズが予め規定されており、このサイズに合わせて縦63mm横47mmの画像をプリントするために画像処理回路で補正された画像データを圧縮処理する。他にもピザ用の証明写真や、免許証用の証明写真を取得する場合では、それぞれに合わせて画像データを圧縮処理する。
【0038】
プリントエンジン47では、圧縮/伸張エンジン45で処理された画像データを基にラスタイメージが構築され、このラスタイメージに基づいて印刷用紙に画像が印刷される。印刷用紙には、例えば、パスポート用の証明写真を印刷する場合では、画像が5つ並べて印刷され、ビザ用の証明写真を印刷する場合では、画像が4つ並べて印刷される。画像が印刷された印刷用紙は乾燥室にて一定時間乾燥され、取り出し口17に排出される。
【0039】
表示制御回路34は、スルー画像や、撮影で取得された画像データを基に形成された静止画像であるプレビュー画像を表示パネル7に表示させる他、表示パネル7をミュートさせる。表示パネル7がミュート制御されると表示パネル7は何も表示されない無表示状態となる。図3のタイミングチャートに示すように、表示制御回路34はシャッタレリーズに応じて表示パネル7をミュートさせる。表示パネル7は、シャッタレリーズの後一定期間T0でミュート制御され、一定期間T0に続く第1の期間T1でプレビュー画像を表示する。そして第1の期間T1に続く第2の期間T2でミュート制御される。シャッタレリーズに応じてCCDイメージセンサ22からの画像信号を基に画像データの形成が開始され、シャッタレリーズ後の一定期間T0が終了するまでに画像データの形成が完了する。第2の期間T2で表示パネル7がミュートされた後、表示パネル7には次の撮影に備えて再びスルー画像が表示される。
【0040】
タイマ回路35には第1タイマ回路36及び第2タイマ回路38とが含まれており、図示しないタイミングジェネレータからのタイミング信号を基に時間を計時する。シャッタレリーズに応じて一定の期間T0のカウントが開始され、一定期間T0のカウントの終了に応じてカウント終了信号がCPU53に入力される。これに応じてCPU53から表示制御回路34に切換信号が入力され、これに応答して表示制御回路34は表示パネル7にプレビュー画像を表示させる。
【0041】
第1タイマ回路36では、一定期間T0のカウント終了に応じて第1の期間T1がカウントが開始される。第1の期間T1のカウント終了に応じて第1タイマ回路36からはカウント終了信号がCPU53に入力され、これに応じてCPU53から表示制御回路34に切換信号が入力される。表示制御回路34は切換信号の入力に応じてプレビュー画像を表示パネル7に表示させる表示制御から表示パネル7をミュートさせるミュート制御に切り換わる。
【0042】
第2タイマ回路38では、第1の期間T1のカウント終了に応じて第2の期間T2のカウントが開始される。第2の期間T2のカウント終了に応じて第2タイマ回路38からはカウント終了信号がCPU53に入力され、これに応じてCPU53から表示制御回路34に切換信号が入力される。表示制御回路34は、切換信号の入力に応じてミュート制御からスルー画像を表示パネル7に表示させる表示制御に切り換わる。
【0043】
設定変更操作部50は第1タイマ回路36及び第2タイマ回路38の計時時間の設定を変更する際に操作される。例えば、第1の期間T1を長くしてプレビュー画像をより長時間表示することでユーザにプレビュー画像をよりはっきりと確認させることができる。第2タイマ回路38で計時される第2の期間T2は、第1の期間T1と同様に適宜設定変更することができる。例えば、第2の期間T2を長くして表示パネル7のミュートをより長時間にすることでユーザに撮影の終了を強く印象付けることができる。このように証明写真撮影装置2の管理者が設定変更操作部50を操作することにより、証明写真撮影装置2の利便性を高めることができる。
【0044】
表示制御回路34はROM51に予め格納された警告表示データを読み出して、表示パネル7に警告を表示させることができる。第1、第2の期間T1,T2など操作が禁止された時間帯で十字ボタン12などが操作された場合には、外部I/F49から操作信号がCPU53に入力され、これに応じて警告表示データがROM53から表示制御回路34に入力される。表示制御回路34は警告表示データに基づいて表示パネル7に警告を表示させる。
【0045】
音声出力制御回路40は第2の期間T2のカウント開始に応じてスピーカ56を駆動させて効果音を外部に出力させる。これによって表示パネル7のミュートとともに効果音が外部に出力されてミュートの印象を強めることができ、1回の撮影の終了をより強く示唆することが可能となる。
【0046】
上記構成の作用について図4のフローチャートを用いて説明する。ユーザによって証明写真撮影装置2に金銭が投入されると、スピーカ56から音声ガイダンスが出力される。表示パネル7には、CCDイメージセンサ22からの画像信号を基に生成されたフレーム画像が一定時間ごとに更新されるスルー画像が表示される。表示パネル7に表示されたスルー画像を見ながら配置などを調整してシャッタレリーズが実行されると、表示パネル7はミュートされる。一定期間T0だけミュートされると表示パネル7にはプレビュー画像が表示される。プレビュー画像は第1の期間T1だけ表示され、第1の期間T1が経過すると表示パネル7はミュートされ、このミュートは第2の期間T2の間だけ行われる。ミュートの最中はスピーカ56から効果音が出力され、ミュートが強調される。第2の期間T2の経過後、表示パネル7にはスルー画像が再び表示され、次の撮影に備えられる。プレビュー画像の表示中もしくは表示パネル7のミュート中にユーザによって十字ボタン12やシャッタレリーズボタン13が操作された場合には表示パネル7に操作無効を示す警告が表示される。
【0047】
このように、シャッタレリーズに応じて表示パネル7がミュートに切り換わり、さらに一定期間経過後ミュート状態からプレビュー画像に切り換わり、第1の期間の経過後プレビュー画像からミュート状態に切り換わることで、プレビュー画像が強調され、表示パネル7を見たユーザはよりはっきりとプレビュー画像を認識することができる。これによって撮影で取得した画像をはっきり識別でき、利便性の高い証明写真撮影装置2を提供することができる。
【0048】
なお、この実施形態では、プレビュー画像を表示する前に表示パネル7をミュートさせたが、プレビュー画像の表示前の表示パネルの態様はこれに限らない。例えば表示パネルのミュートに代えて複数のフレーム画像からなるスルー画像のうち、シャッタレリーズ時のフレーム画像を表示パネルに一定期間停止表示させても構わない。プレビュー画像の前にフレーム画像を停止表示させることによっても、プレビュー画像を強調することができ、ユーザに撮影した画像の出来を容易にわからせることができる。
【0049】
また、上記の実施形態では証明写真撮影装置2を例示したが、本発明はこれに限らず携帯型の撮影装置、例えばデジタルカメラや携帯電話などに実施してもよい。例えば、デジタルカメラには、前面に撮影レンズ、ストロボ発光部などが露呈し、背面には画像を表示する表示パネルとして液晶パネルが備えられている。この液晶パネルにはメニュー画像が表示され、ユーザによって指定されたモードに応じて画面が切り替る。デジタルカメラが撮影モードに設定されると液晶パネルにはスルー画像が表示され、シャッタレリーズに応じて液晶パネルが一定期間ミュートされる。ミュートされた後に液晶パネルにはプレビュー画像が第1の期間表示され、プレビュー画像の表示後、第2の期間で液晶パネルがミュートされる。液晶パネルのミュート後、次の撮影に備えるため液晶パネルにはスルー画像が表示される。このように撮影モード時にスルー画像の表示、ミュート、プレビュー画像の表示、ミュートの順に液晶パネルを制御することで、シャッタレリーズに応じた処理の終了をより確実に認識させることができる。なお、シャッタレリーズ直後のミュートの代わりにシャッタレリーズ時のフレーム画像を停止表示しても同様の効果が期待できる。
【0050】
また、上記の実施形態では表示パネル7をミュートさせたが、本発明はこれに限らず、例えば表示パネル7をミュートさせる代わりに単色画像を表示パネル7に表示させても構わない。図5に示すように、証明写真撮影装置2には単色画像の色を設定するための表示色設定手段である色設定回路68が備えられる。例えば管理者によって証明写真撮影装置2が設定変更モードに切り換えられ、十字ボタン12の操作に応答して単色画像の設定色を変更する。設定色としては青色、赤色、灰色、白色などが予め用意されており、証明写真撮影装置2の設置環境に応じて管理者が色の設定を変更することで証明写真撮影装置2の利便性をより高めることが期待できる。第2の期間T2に単色画像を表示することでもプレビュー画像を強調することができ、ユーザにプレビュー画像を容易に確認させることができる。
【0051】
次に本発明の第2実施形態について図6、図7を用いて説明する。図6に示すように、撮影システム70には、カメラ装置72、表示制御手段である制御装置74、画像表示装置76、プリンタ装置78等を有し、カメラ装置72と画像表示装置76との通信は制御装置74によって制御されている。カメラ装置72には図示は省略するがCCDイメージセンサ、信号処理回路、記憶メモリが備えられ、CCDイメージセンサからの画像信号を処理してCCD―RAWデータが形成され、CCD―RAWデータが記憶メモリに記憶される。記憶メモリに記憶されたCCD―RAWデータは通信I/Fから制御装置74側に送信される。
【0052】
制御装置74は通信I/F、記憶メモリ、操作装置、計時手段であるタイマ回路などを備え、ユーザの操作に応じてカメラ装置72、画像表示装置76、プリンタ装置78を作動させる。操作装置にはレリーズボタン(図示省略)や各種操作ボタン(図示省略)が備えられ、レリーズボタンや各種選択操作ボタンの操作に応じて制御装置74には操作信号が入力されるようになっており、ユーザによってレリーズボタンが押圧されるとこれに応じてカメラ装置72が画像データの生成を開始する。画像表示装置76は制御装置74から入力される各種命令に応じて表示パネル80の画像を切り換える。
【0053】
プリンタ装置78は圧縮処理回路やプリントエンジンを備え、ユーザの印刷操作に応じて画像を印刷用紙に印刷する。ユーザによって印刷指示がなされるとプリンタ装置78に画像データが送信される。プリンタ装置78に入力された画像データは圧縮処理回路で所定の画質に圧縮され、プリントエンジンでラスタイメージに変換される。このラスタイメージを基にして、例えば、印刷用紙として用いられた離型紙に複数の画像が並べて印刷される。
【0054】
撮影システム70の作用について図7のフローチャートを用いて説明する。ユーザの操作に応じて撮影が開始されると、制御装置74から画像表示装置76にミュート命令が送信される。これを受けて画像表示装置76は表示パネル80をミュートさせる。制御装置74は画像表示装置76から入力されるミュート開始信号を受けてカメラ装置72に撮影準備命令を送信し、これに応じてカメラ装置72は撮影の準備を開始し、撮影準備完了に伴い撮影準備完了信号を制御装置74に送信する。カメラ装置72は撮影準備完了信号の他、スルー画像データを制御装置74に送信し、撮影準備完了信号の受信に応じて制御装置74は画像表示装置76にスルー画像表示命令及び、スルー画像データを送信する。画像表示装置76は、表示パネル80にスルー画像を表示し、制御装置74にスルー画像表示開始信号を送信する。制御装置74はスルー画像表示開始信号を受けて画像表示装置76にミュート命令を送信し、これを受けて画像表示装置76は表示パネル80を第1の期間だけミュートさせ、ミュート開始信号を制御装置74に送信する。
【0055】
制御装置74は、ミュート開始信号の受信に応じて静止画像取込命令をカメラ装置72に送信する。これを受けてカメラ装置72は被写体の撮影を開始し、カメラ装置72内に設けられた記憶メモリにCCD―RAWデータを一時的に記憶する。カメラ装置72からの静止画像取込完了信号を受信した制御装置74は、カメラ装置72に画像処理命令を送信し、カメラ装置72は、CCD―RAWデータ基にホワイトバランス、輪郭、色調などについて補正して画像データを生成して記憶メモリに一時的に格納し、制御装置74に画像処理完了信号を送信する。制御装置74は画像処理完了信号を受けて画像データ出力命令をカメラ装置72に送信し、これに応答してカメラ装置72は制御装置74に画像データを送信する。
【0056】
カメラ装置72からの画像データを受信した制御装置74は、静止画像表示命令、及び画像データを画像表示装置76に送信し、これに応じて画像表示装置76は画像データを基に表示パネル80に静止画像を表示するための表示用データを形成して表示パネル80に静止画像を第1の期間だけ表示させる。静止画像の表示に伴って画像表示装置76から制御装置74に静止画像表示開始信号が送信され、これに応じて制御装置74はミュート命令を画像表示装置76に送信する。画像表示装置76はミュート命令に応じて表示パネル80を第2の期間だけミュートさせる。ミュートの開始に応じて画像表示装置80から制御装置74にミュート開始信号が送信され、これを受けて制御装置74はカメラ装置72にスルー画像データ出力命令を送信する。カメラ装置はこれに応答してスルー画像データを制御装置74に送信し、制御装置74は受信したスルー画像データをスルー画像表示命令とともに画像表示装置76に送信する。画像表示装置76はスルー画像データを基に表示パネル80にスルー画像を表示するとともにスルー画像表示開始信号を制御装置74に送信する。
【0057】
このように、表示パネル80がスルー画像の表示、ミュート、静止画像の表示、ミュート、スルー画像の表示の順に切り替えられることで静止画像を強調することができ、これによって撮影で取得した画像をより確実にユーザに確認させることができる撮影システムを提供することができる。なお、上記ではスルー画像に続いて表示パネル80をミュートさせたが、表示パネル80のミュートの代わりにシャッタレリーズ時のフレーム画像を停止表示しても構わない。フレーム画像を停止表示した場合でも表示パネル80をミュートさせた場合と同様の効果が期待できる。また、表示パネル80のミュートの代わりに、例えば青色の単色画像を表示するようにしても構わない。単色画像を表示した場合でも表示パネル80をミュートさせた場合と同様の効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の撮影装置である証明写真撮影装置を斜めから観察した部分説明図である。
【図2】証明写真撮影装置の電気的な構成を概略的に示したブロック図である。
【図3】撮影する際、表示パネル上に表示される画像を時系列に基づいて示したタイミングチャートである。
【図4】証明写真撮影装置を使用して撮影を実行した際のフローチャートである。
【図5】第2の期間で表示パネルに単色画像を表示する証明写真撮影装置のブロック図である。
【図6】撮影システム全体の構成を概略的にした全体図である。
【図7】カメラ装置、制御装置、及び画像表示装置の動作順序を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
2 証明写真撮影装置
7 表示パネル
20 レンズ鏡筒
22 CCDイメージセンサ
24 信号処理回路
26 SDRAM
34 表示制御回路(表示制御手段)
35 タイマ回路(計時手段)
36 第1タイマ回路
38 第2タイマ回路
40 音声出力制御回路(音声出力制御手段)
43 色設定回路
50 設定変更操作部(設定変更操作手段)
51 ROM
53 CPU
68 色設定回路(表示色設定手段)
70 撮影システム
72 カメラ装置
74 制御装置(表示制御手段)
76 画像表示装置
80 表示パネル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージセンサからの画像信号を基に所定時間ごとに更新されるスルー画像を表示パネルに表示し、シャッタレリーズに応じてイメージセンサからの画像信号を基に画像データの形成を開始する撮影装置において、
前記画像データ形成終了後の第1の期間と、前記第1の期間に続く第2の期間とをそれぞれ計時する計時手段と、
前記計時手段からのカウント信号に応じて前記第1の期間に前記画像データに基づいた静止画像を表示パネルに表示させ、前記第2の期間に表示パネルをミュートさせる表示制御手段とを設けたことを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は前記シャッタレリーズ後から前記第1の期間の開始前まで前記表示パネルをミュートさせることを特徴とする請求項1記載の撮影装置。
【請求項3】
前記スルー画像は1画面分のフレーム画像が所定のフレームレートで表示される画像であり、前記表示制御手段は前記シャッタレリーズ後から前記第1の期間の開始前までシャッタレリーズ時のフレーム画像を表示パネルに停止表示させることを特徴とする請求項1記載の撮影装置。
【請求項4】
前記第2の期間中に音声を出力させる音声出力制御手段を設けたことを特徴とする請求項1ないし3いずれか1つ記載の撮影装置。
【請求項5】
前記第1の期間と前記第2の期間とのうちの少なくともどちらか一方の期間の設定を変更するための設定変更手段を設けたことを特徴とする請求項1ないし4いずれか1つ記載の撮影装置。
【請求項6】
前記静止画像の表示中もしくは前記表示パネルのミュート中にユーザによる操作入力が検知された場合、前記表示制御手段は当該操作が無効である旨を示す警告を前記表示パネルに表示することを特徴とする請求項1ないし5いずれか1つ記載の撮影装置。
【請求項7】
イメージセンサからの画像信号を基に所定時間ごとに更新されるスルー画像を表示パネルに表示し、シャッタレリーズに応じてイメージセンサからの画像信号を基に画像データの形成を開始する撮影装置において、
前記画像データ形成終了後の第1の期間と、前記第1の期間に続く第2の期間とをそれぞれ計時する計時手段と、
前記計時手段からのカウント信号に応じて前記第1の期間に前記画像データに基づいた静止画像を表示パネルに表示させ、前記第2の期間に単色で構成された単色画像を表示パネルに表示させる表示制御手段とを設けたことを特徴とする撮影装置。
【請求項8】
前記単色画像の色を設定するための表示色設定手段を設けたことを特徴とする請求項7記載の撮影装置。
【請求項9】
シャッタレリーズに応じて画像データの形成を開始するカメラ装置と、このカメラ装置から入力される画像データに応じて画像を表示する画像表示装置とを有する撮影システムにおいて、
前記画像データ形成終了後の第1の期間と、前記第1の期間に続く第2の期間とをそれぞれ計時する計時手段と、
前記計時手段からのカウント信号に応じて前記第1の期間に前記画像データに基づいた静止画像を前記画像表示装置に表示させ、前記第1の期間に続く第2の期間に前記画像表示装置にミュート表示させる表示制御手段とを設けたことを特徴とする撮影システム。
【請求項10】
前記画像表示装置はシャッタレリーズ後から前記第1の期間の開始前までミュート表示することを特徴とする請求項9記載の撮影システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−217466(P2006−217466A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−30183(P2005−30183)
【出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】