説明

支持用板金

【課題】薄型で変形に強い支持用板金を提供すること。
【解決手段】流体を噴射し移動可能に設けられる流体噴射ヘッドを支持する支持用板金であって、複数のディンプル部が設けられ、前記流体噴射ヘッドの移動面を形成するベース部と、前記ベース部に対して折り曲げられ、外部に固定させる固定部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持用板金に関する。
【背景技術】
【0002】
流体噴射装置は、流体を噴射可能な噴射ヘッドを備え、この噴射ヘッドから各種の流体を被記録材等に向けて噴射する装置である。流体噴射装置の代表的なものとして、例えば、インクジェット式噴射ヘッド(以下、単に噴射ヘッドという)を備え、この噴射ヘッドのノズルから液体状のインクをインク滴として記録媒体等の記録媒体に向けて噴射、着弾させドットを形成することで記録を行うインクジェット式記録装置が知られている。
【0003】
噴射ヘッドはキャリッジに搭載されて用いられ、該キャリッジの移動に伴って移動可能に設けられている。キャリッジは、例えばプーリ機構及びベルト部材を介して支持基板に移動可能に取り付けられている。支持基板は、キャリッジを介して噴射ヘッドを支持する部分であるため、捩れや撓みなどの変形に強い構成であることが求められる。このため、このような変形に強い金属材料を用いて支持基板を形成することで強度向上を図っている。
【0004】
一方、近年では、流体噴射装置の小型化・軽量化が求められている。このような要請に対して、例えば流体噴射装置を構成する各構成部材を薄型化する対応が考えられている。特に金属材料を用いて形成される支持基板を用いる場合、重量が大きくなってしまうため、薄型化の検討がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−216647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、支持基板を薄型化させると、捩れや撓みなどの変形に対する耐性が弱くなってしまう虞がある。支持基板に変形が発生すると、噴射ヘッドを安定して移動させることができず、噴射性能が低下してしまう。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明は、薄型であっても変形に強い支持用板金を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る支持用板金は、流体を噴射し移動可能に設けられる流体噴射ヘッドを支持する支持用板金であって、複数のディンプル部が設けられ、前記流体噴射ヘッドの移動面を形成するベース部と、前記ベース部に対して折り曲げられ、外部に固定させる固定部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の発明者は、ベース部に複数のディンプル部が設けられる構成とすることにより、支持用板金の捩れや撓みに対する強度が向上することを見出した。そこで、本発明によれば、流体噴射ヘッドの移動面を形成するベース部に複数のディンプル部が設けられる構成としたので、当該ベース部の強度を向上させることができる。これにより、薄型であっても変形に強い支持用板金を得ることができる。
【0010】
上記の支持用板金は、複数の前記ディンプル部は、平面視で円形に形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、ディンプル部が平面視で円形に形成されていることとしたので、ベース部に対して加工が容易となる。
【0011】
上記の支持用板金は、複数の前記ディンプル部は、前記ベース部のうち前記移動面とは反対面が突出するように形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、複数のディンプル部がベース部のうち移動面とは反対面が突出するように形成されていることとしたので、変形に強い支持用板金を得ることができる。
【0012】
上記の支持用板金は、複数の前記ディンプル部は、前記ベース部のうち前記移動面が突出するように形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、複数のディンプル部がベース部のうち移動面が突出するように形成されていることとしたので、変形に強い支持用板金を得ることができる。
【0013】
上記の支持用板金は、複数の前記ディンプル部は、前記ベース部のうち前記移動面及び当該移動面の反対面の両方に形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、複数のディンプル部がベース部のうち移動面及び当該移動面の反対面の両方に形成されていることとしたので、より変形に強い支持用板金を得ることができる。
【0014】
上記の支持用板金は、複数の前記ディンプル部は、平面視で所定方向に複数列配列されており、前記ディンプル部は、隣接する列の前記ディンプル部間に配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、複数のディンプル部が平面視で所定方向に複数列配列されており、ディンプル部が隣接する列のディンプル部間に配置されていることとしたので、より変形に強い支持用板金を得ることができる。
【0015】
上記の支持用板金は、複数の前記ディンプル部は、前記ベース部の平面視中央部の配置密度が前記ベース部の平面視周縁部の配置密度よりも高くなるように配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、複数のディンプル部について、ベース部の平面視中央部の配置密度がベース部の平面視周縁部の配置密度よりも高くなるように配置されていることとしたので、捩れや撓みなどの変形が集中しやすいベース部の中央部を確実に変形に強くすることができる。
【0016】
上記の支持用板金は、複数の前記ディンプル部は、同一の寸法に形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、複数のディンプル部が同一の寸法に形成されていることとしたので、容易に加工を行うことができる。
【0017】
上記の支持用板金は、前記ベース部の平面視中央部に配置される前記ディンプル部は、前記ベース部の平面視周縁部に配置される前記ディンプル部に比べて、平面視での寸法が大きくなるように形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、ベース部の平面視中央部に配置されるディンプル部について、ベース部の平面視周縁部に配置されるディンプル部に比べて、平面視での寸法が大きくなるように形成されていることとしたので、捩れや撓みなどの変形が集中しやすいベース部の中央部を確実に変形に強くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る支持用板金を備えるインクジェット式記録装置の構成を示す図。
【図2】インクジェット式記録装置の構成を示す図。
【図3】支持用板金の構成を示す図。
【図4】支持用板金の構成を示す図。
【図5】支持用板金の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0020】
図1は、本発明における液体噴射装置の実施形態であるインクジェット式記録装置10の概略斜視図を示す。図2は、図1のインクジェット式記録装置10を搬送ローラ駆動ギア49の側から見た概略側面図を示す。
【0021】
インクジェット式記録装置10は、装置本体11と、記録媒体19を載置する給紙部13と、給紙部13の記録媒体19を搬送する搬送ローラ40と、搬送ローラ40により搬送された記録媒体19を下方から支持するプラテン600と、プラテン600の上方に設けられ記録媒体19上に記録をする記録部20と、記録媒体19を排紙口17へ排出する排出部60と、搬送ローラ40および排出部60を駆動する駆動部100(図2参照)とを備える。
【0022】
記録部20は、多芯ケーブル27、電子回路25、キャリッジモータ32、タイミングベルト30、キャリッジ22、噴射ヘッド24、インクカートリッジ26及び支持部材70を有する。支持部材70は、例えば金属材料を用いて形成されており、キャリッジ22を移動可能に支持する部材である。支持部材70として、本発明に係る支持用板金が用いられている。
【0023】
キャリッジ22は、タイミングベルト30に接続されている。タイミングベルト30は、キャリッジモータ32から回転駆動力を受けて回転する。キャリッジモータ32がタイミングベルト30を回転駆動することで、キャリッジ22が記録媒体19上を記録媒体19の搬送方向と直交する方向に往復移動するようになっている。キャリッジ22は、テープ状の多芯ケーブル27を介して、電子回路25に結合されている。多芯ケーブル27は、キャリッジ22の移動にしたがって柔軟に撓むので、キャリッジ22の往復移動を妨げることはない。
【0024】
キャリッジ22には噴射ヘッド24が装着されている。噴射ヘッド24は、インクカートリッジ26を装着可能に形成されている。噴射ヘッド24は、ノズルプレート500を有している。ノズルプレート500は、噴射ヘッド24の下方に記録媒体19が搬送された場合に記録媒体19と対向する側の面に配置されるようになっている。ノズルプレート500は、インクを下方に向かって吐出するための開口510を有する。
【0025】
キャリッジ22が通過する領域の下方には、プラテン600が配置されている。プラテン600は、キャリッジ22の下を通過する記録媒体19を下側から支持し、ノズルプレート500と記録媒体19との間隔を一定に維持する。
【0026】
搬送ローラ40は、搬送駆動ローラ41、搬送従動ローラ43、シャフト45、ロータ47、および搬送ローラ駆動ギア49を有している。搬送ローラ40は、給紙部13と記録部20との間に設けられている。シャフト45は、装置本体11の上フレーム80に回転自在に支持されている。搬送ローラ駆動ギア49、上フレーム80、ロータ47、搬送駆動ローラ41は、図2の手前側から、シャフト45の軸方向において、この順に配置されている。搬送駆動ローラ41、ロータ47、および搬送ローラ駆動ギア49は、シャフト45を回転の軸として、それぞれシャフト45と固定されて接続している。したがって、これらはシャフト45と一体的に回転する。搬送従動ローラ43は、装置本体11に回転自在に支持され、押圧部材77によってプラテン600側へ押圧される構成となっている。搬送従動ローラ43は、搬送駆動ローラ41の回転に伴って回転する。
【0027】
駆動部100は、ロータ47の内側(図2における奥側)に設けられており、駆動部固定フレーム85に固定されている。駆動部固定フレーム85は、下フレーム83に固定されている。駆動部100の一端である当接部230は、シャフト45よりも大きい径の円板状であるロータ47の回転軸に対して垂直な面のうち、上フレーム80から遠い側(図2における奥側)の面と対向する位置に設けられている。
【0028】
排出部60は、排出駆動ローラ61、排出従動ローラ63、シャフト65、および排出部駆動ギア69を有し、記録部20と排紙口17との間に配される。排出駆動ローラ61および排出部駆動ギア69は、シャフト65を回転の軸として、それぞれシャフト65と固定されて接続している。シャフト65は、装置本体11の上フレーム80に回転自在に支持される。排出従動ローラ63は、装置本体11に対して回転自在に支持され、排出駆動ローラ61の回転に伴って回転するようになっている。
【0029】
伝動部50は、搬送ローラ40の回転駆動力を排出部60に伝達する。この伝動部50は、シャフト55、第一伝動ギア57、および第二伝動ギア59を有する。第一伝動ギア57および第二伝動ギア59は、図2における手前側からこの順に配され、シャフト65を回転の軸として、それぞれシャフト55と固定されて接続している。シャフト55は、装置本体11の上フレーム80に回転自在に支持される。
【0030】
図3〜図5は、支持部材70の構成を示す図である。図3は、支持部材70をキャリッジ22側から見たときの斜視図である。図4は、キャリッジ22との間で支持部材70を挟んだ位置から見たときの斜視図である。図5は、支持部材70の断面構成を示す図である。
【0031】
これらの図に示すように、支持部材70は、例えば鋼などの金属材料を用いて形成される1枚の金属板が曲げ加工されて形成されている。支持部材70は、ベース部71、固定部72を有している。支持部材70を構成する金属板は、例えば厚さが0.5mm程度に形成されている。金属板の厚さは、当該金属板全体において均一に形成されていることが好ましい。
【0032】
ベース部71は、キャリッジ22の移動面を形成する矩形部分である。ベース部71は、キャリッジ22の移動方向に長手となるように形成されている。ベース部71のうちキャリッジ22に対向する面71aがキャリッジの移動面を形成することになる。ベース部71には、ディンプル部73が形成されている。ベース部71は、噴射ヘッド24の噴射面(例えば、ノズルプレート500の下面)に対してほぼ直交方向に立てた状態で配置されている。
【0033】
ディンプル部73は、ベース部71のほぼ全面に亘って複数形成されている。より具体的には、ディンプル部73は、ベース部71の長手方向に沿って複数列形成されている。各列のディンプル部73は、ベース部71の長手方向に等ピッチで配列されている。ディンプル部73は、隣接する列のディンプル部73間の位置に配置されている。すなわち、ディンプル部73は、平面視で千鳥状に配置されていることになる。
【0034】
各列のディンプル部73をベース部71の長手方向に等ピッチで配置させると共に、当該ディンプル部73を千鳥状に配置することにより、ディンプル部73がベース部71の長手方向に対して傾いた方向にも配列されていることになる。このため、ベース部71においては、長手方向の強度が向上されているのに加えて、当該長手方向に対して傾いた方向についても強度が向上されている状態になっている。
【0035】
図5に示すように、ディンプル部73は、ベース部71を構成する金属板の一部を、面71a側から当該面71aの反対面である面71b側へ押し込んだように形成されている。具体的には、ディンプル部73は、ベース部71の面71aにおいては凹状に形成されており、ベース部71の面71bにおいては凸状に形成されている。
【0036】
ディンプル部73は、例えば平面視で円形に形成されている。ディンプル部73を平面視円形に形成されることで、当該ディンプル部73を容易に加工することができるようになっている。ディンプル部73の平面視における形状は円形に限られることは無く、他の形状(例えば矩形など)であっても勿論構わない。
【0037】
各ディンプル部73は、平面視における形状が等しく形成されていると共に、平面視における径及び断面視における高さがそれぞれ等しくなるように形成されている。各ディンプル部73の形状及び寸法を等しく形成することにより、ベース部71全体の強度が均一に向上された状態になっている。
【0038】
ベース部71の上端は、図中下方に折り返されている。当該折り返し部分71cには、キャリッジ22の上部に配置される係合部22aが係合するようになっている。図3及び図4に示すように、折り返し部分71cは、ベース部71の長手方向に沿って形成されており、当該ベース部71の長手方向のうちキャリッジ22の移動範囲Rに一致する範囲に形成されている。このため、ベース部71は、折り返し部分71cに対して長手方向にはみ出した部分71dを有することになる。ベース部71には、当該はみ出し部分71dにおいてもディンプル部73が形成されているため、変形に対する強度に一層優れた構成となっている。
【0039】
固定部72は、ベース部71の面71a(又は71b)に対して垂直な方向に折り曲げられた部分である。固定部72は、例えば不図示のネジ部材などを介して装置本体11の固定部材78(図5参照)に固定されている。固定部72の長手方向の寸法は、ベース部71の折り返し部分71cの長手方向の寸法とほぼ等しくなるように形成されている。すなわち、固定部72は、キャリッジ22の移動範囲Rに一致する範囲に形成されていることになる。固定部72の先端は、図中上方に折り返されている。当該折り返し部分72aには、キャリッジ22の下部に配置される係合部22cが係合するようになっている。折り返し部分72aは、固定部72の長手方向全体に亘って形成されている。
【0040】
図5に示すように、ベース部71の面71aには、プーリ機構30aが取り付けられている。プーリ機構30aには、タイミングベルト30が巻き掛けられている。タイミングベルト30は、装置本体11の幅方向に渡って架け渡されている。キャリッジ22は、係合部22a及び22cを介して支持部材70に支持されており、把持部22bを介してタイミングベルト30を把持している。なお、図を判別しやすくするため、図3及び図4においては、プーリ機構30a及びタイミングベルト30の図示を省略している。
【0041】
図4及び図5に示すように、ベース部71の面71bには、バネ部材76が取り付けられている。バネ部材76は、ベース部71の長手方向に沿って例えば3つ取り付けられている。各バネ部材76は、押圧部材77の上端に接続されている。各バネ部材76は、ベース部71と押圧部材77の上端との間に張力を発生させた状態になっている。図5に示すように、押圧部材77は、腹部分が係合部材79に係合されており、下端部が搬送従動ローラ43に当接する構成となっている。
【0042】
支持部材70は固定部72を介して固定部材に固定されているため、押圧部材77の上端部がバネ部材76によってベース部71側に引っ張られ、押圧部材77の下端部が梃子の原理で搬送従動ローラ43をプラテン600側へ押圧するようになっている。この場合、バネ部材76に接続された押圧部材77の上端部が力点、係合部材79に係合された腹部分が支点、従動ローラ43に当接する下端部が作用点となる。
【0043】
押圧部材77が搬送従動ローラ43を押圧することにより、搬送従動ローラ43とプラテン600との間で記録媒体19が挟まれることになる。この状態で搬送駆動ローラ41を回転させて記録媒体19を搬送することにより、記録媒体19の移動に併せて搬送従動ローラ43が回転するようになっている。
【0044】
次に、インクジェット式記録装置10における記録の動作について説明する。
駆動部100がロータ47に対して回転駆動力を与え、ロータ47を回転駆動させる。これにより、ロータ47とシャフト45で接続した搬送駆動ローラ41が回転駆動し、搬送駆動ローラ41と搬送従動ローラ43と間で記録媒体19を挟んで、記録媒体19をプラテン600上に搬送する。
【0045】
この状態で、キャリッジモータ32がタイミングベルト30を回転駆動することにより、タイミングベルト30を把持するキャリッジ22は、記録媒体19上を装置本体11の幅方向に往復移動する。画像データに応じて適宜キャリッジ22を往復移動させながら、噴射ヘッド24から記録媒体19に対してインクを吐出させ、記録媒体19への記録を行う。
【0046】
噴射ヘッド24は、往復移動の両方向に移動しながらインクを吐出してもよいし、いずれか一方向に移動しながらインクを吐出してもよい。その後、搬送駆動ローラ41および搬送従動ローラ43が記録媒体19をさらに微小量だけ搬送し、さらに噴射ヘッド24が記録媒体19上を往復移動しつつインクを吐出する。この動作を繰り返すことにより、記録媒体19の上面全体に記録が行われる。排出駆動ローラ61および排出従動ローラ63は、搬送駆動ローラ41および搬送従動ローラ43に連動して、記録が行われた記録媒体19をプラテン600上から排紙口17へ排出する。
【0047】
本発明の発明者は、ベース部71に複数のディンプル部73が設けられる構成とすることにより、支持部材70の捩れや撓みに対する強度が向上することを見出した。本実施形態では、この発見に基づいて支持部材70を構成した。すなわち、噴射ヘッド24の移動面を形成するベース部71に複数のディンプル部73が設けられる構成とした。この構成により、当該ベース部71の強度を向上させることができ、薄型であっても変形に強い支持部材70を得ることができる。
【0048】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
上記実施形態では、ベース部71に設けられるディンプル部73が、面71a側から面71b側へ押し込まれたように、面71a側が凹状、面71b側が凸状に形成されている例を挙げて説明したが、これに限られることは無い。
【0049】
例えば面71a側が凸状、面71b側が凹状に形成されている構成としても構わない。また、面71aあるいは面71bのうち一方のみが凹状に形成されている構成であっても構わない。更には、複数のディンプル部73のうち一部については面71a側が凹状、面71b側が凸状に形成されている構成とし、他は面71a側が凸状、面71b側が凹状に形成されている構成としても構わない。
【0050】
また、上記実施形態においては、ベース部71に設けられるディンプル部73の全部が同一の寸法に形成されている構成としたが、これに限られることは無く、ディンプル部73ごとに大きさを変更させる構成としても構わない。例えば、ベース部71の長手方向中央部に配置されるディンプル部73の寸法を、他の部分に配置されるディンプル部73の寸法よりも大きく形成することも可能である。ベース部71の長手方向の中央部は、長手方向の端部に比べて捩れや撓みなどの変形が生じやすい部分である。このため、当該部分の強度を重点的に向上させることにより、一層変形に強い支持部材70を得ることができる。
【0051】
更には、上記実施形態の構成においては、ベース部71の面71bにはバネ部材76が取り付けられた構成となっており、バネ部材76に接続される部分71e(図5参照)ではより高い強度が求められる。そこで、当該バネ部材76の接続部分71eの近傍に設けられるディンプル部73の寸法を、他の部分に設けられるディンプル部73の寸法よりも大きく形成する構成としても良い。変形しやすい部分の強度を重点的に向上させることにより、一層変形に強い支持部材70を得ることができる。
【0052】
また、上記実施形態においては、ベース部71の全体に亘ってディンプル部73が均一に配置されている構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無く、ディンプル部73の配置密度に分布を形成しても構わない。例えば、ベース部71の長手方向中央部に配置されるディンプル部73の配置密度を、他の部分に配置されるディンプル部73の配置密度よりも高くすることも可能である。変形しやすい部分の強度を重点的に向上させることにより、一層変形に強い支持部材70を得ることができる。
【0053】
上記同様に、ベース部71のうちバネ部材76に接続される部分71e(図5参照)については、他の部分に比べてディンプル部73の配置密度を高くなるようにすることも可能である。これにより、変形しやすい部分の強度を重点的に向上させることにより、一層変形に強い支持部材70を得ることができる。
【符号の説明】
【0054】
10…インクジェット式記録装置 22…キャリッジ 24…噴射ヘッド 43…搬送従動ローラ 70…支持部材(支持用板金) 71…ベース部 71a、71b…面 72…固定部 73…ディンプル部 76…バネ部材 77…押圧部材 78…固定部材 79…係合部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を噴射し移動可能に設けられる流体噴射ヘッドを支持する支持用板金であって、
複数のディンプル部が設けられ、前記流体噴射ヘッドの移動面を形成するベース部と、
前記ベース部に対して折り曲げられ、外部に固定させる固定部と
を備えることを特徴とする支持用板金。
【請求項2】
複数の前記ディンプル部は、平面視で円形に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の支持用板金。
【請求項3】
複数の前記ディンプル部は、前記ベース部のうち前記移動面とは反対面が突出するように形成されている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の支持用板金。
【請求項4】
複数の前記ディンプル部は、前記ベース部のうち前記移動面が突出するように形成されている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の支持用板金。
【請求項5】
複数の前記ディンプル部は、前記ベース部のうち前記移動面及び当該移動面の反対面の両方に形成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の支持用板金。
【請求項6】
複数の前記ディンプル部は、平面視で所定方向に複数列配列されており、
前記ディンプル部は、隣接する列の前記ディンプル部間に配置されている
ことを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の支持用板金。
【請求項7】
複数の前記ディンプル部は、前記ベース部の平面視中央部の配置密度が前記ベース部の平面視周縁部の配置密度よりも高くなるように配置されている
ことを特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の支持用板金。
【請求項8】
複数の前記ディンプル部は、同一の寸法に形成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項7のうちいずれか一項に記載の支持用板金。
【請求項9】
前記ベース部の平面視中央部に配置される前記ディンプル部は、前記ベース部の平面視周縁部に配置される前記ディンプル部に比べて、平面視での寸法が大きくなるように形成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項7のうちいずれか一項に記載の支持用板金。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate