説明

改良した折畳み式播種機

本発明は、播種要素(4)が規則的に配置された実質的に水平な横方向ビーム(3)を有するシャシ(2)を具備した播種機(1)であって、前記横方向ビーム(3)は中央部分(5)及び2つの側部部分(6)を有し、2つの側部部分(6)は作業位置において前記中央部分(5)のそれぞれの側に配置され、且つ、輸送位置において前記中央部分(5)の実質的に上方に持ち上げられ、各側部部分(6)は各々のアーム(7)によって前記シャシ(2)に連結され、且つ、操作ジャッキ(9)によって制御される形状可変機構(8)によって前記シャシ(2)に対して横方向且つ垂直に変位可能である播種機(1)に関するものである。この播種機は、進行方向(A)において、一方の形状可変機構(8)が他方の形状可変機構に対してズレている点で注目すべきである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業機械の技術分野全般に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明が対象とする播種機は、播種要素が規則的に配置された実質的に水平な横方向ビームを有するシャシを具備し、前記横方向ビームは中央部分及び2つの側部部分を有し、2つの側部部分は作業位置において前記中央部分のそれぞれの側に配置され、且つ、輸送位置において前記中央部分の実質的に上方に持ち上げられ、各側部部分は各々のアームによって前記シャシに連結され、且つ、操作ジャッキによって制御される形状可変機構によって前記シャシに対して横方向且つ垂直に変位可能である。
【0003】
折り畳み式シャシを有するこの種の播種機は、例えば、クーンソシエテアノニム(KUHN S.A.)のパンフレット「MAXIMA 2 圧縮空気式精密播種機」に掲載されている。この種の播種機は、播種要素が一定且つ調整可能な間隔で配置された横方向ビームを有するシャシを具備している。横方向ビームは固定された中央部分及び2つの側部部分によって構成されている。側部部分は各々のアームを介してシャシに連結されている。このように装備された播種機は、側部部分が中央部分のそれぞれの側に延在しているときに、作業幅が6mであり、路面移動用の全体寸法は幅が3mである。輸送の場合は、操作ジャッキによって制御される形状可変機構を介して側部部分を、輸送のために中央部分の横方向且つ垂直上方に持ち上げる。形状可変機構は水平で且つ進行方向に向けられた上側関節継手によってレバーに接続された連結ロッドを有する。
【0004】
6mの作業幅では道路走行できないため、播種機を折り畳んで占有空間の幅を、路面移動を可能にするのに十分な程度に縮小する。輸送位置では、側部部分を中央部分の上方で一方が他方に接するように配置する。アーム及び連結ロッドは実質的に垂直に延びている。このように輸送位置において側部部分を端と端を向い合わせて配置することによって、道路法に基づく路面移動用の全体寸法の限界値に達する。それ故に、路面移動用の規制全体寸法の限界値を超えなければ、この播種機の作業幅を増やすことはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、堅固で且つ安定なシャシを有し、より広い作業幅を有し、且つ、路面移動用の許容される全体寸法を順守する播種機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のために、本発明の重要な特徴は、進行方向において、一方の形状可変機構が他方の形状可変機構に対してズレていることにある。このようにズラすことによって形状可変機構を一方が他方のそばを通って互いに交差でき、輸送位置において非常にコンパクトな播種機が得られる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の有利な実施例によれば、少なくとも一つの関節継手は輸送位置において、播種機の垂直中心面を超えて延在している。この特徴によって、播種機は、より広い作業幅を有する一方で、路面移動用の全体寸法の占有空間幅及び占有空間高さを順守する。
【0008】
他の重要な特徴によれば、各関節継手は輸送位置において播種機の垂直中心面を超えて延在している。このようにすることによって、路面移動用の全体寸法は折畳まれた播種機の輸送幅に対して順守される。占有空間の高さも減少する。この高さの減少によって、播種機の地上高を増大できるのが有利である。地面に対するこの追加の遊びによって起伏のある細道での移動が容易になる。
本発明の他の特徴及び利点は、非限定的な実施例を示す添付図面を参照した以下の詳細な説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、輸送位置にある本発明の播種機を正面で表す。
【図2】図2は、作業位置にある本発明の播種機の正面図である。
【図3】図3は、本発明の播種機の平面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の農業機械は、単一播種機又は要素播種機タイプの播種機(1)である。このような播種機(1)は播種ライン上に一定の間隔で種を一つずつ並べる。図1は輸送位置にあるこのような播種機を正面で表す。播種機(1)はシャシ(2)を具備し、このシャシは実質的に水平な横方向ビーム(3)で構成され、この横方向ビームには播種要素(4)が規則的に配置されている。播種要素(4)は図では点線で概略的に表されている。横方向ビーム(3)は中央部分(5)及び2つの側部部分(6)を有する。側部部分(6)は作業位置において前記中央部分(5)のそれぞれの側に配置される。側部部分(6)は輸送位置において前記中央部分(5)の実質的に上方に持ち上げられる。各側部部分(6)は各々のアーム(7)によって前記シャシ(2)に接続される。各側部部分(6)は操作ジャッキ(9)によって制御される各々の形状可変機構(8)によってシャシ(2)に対して横方向且つ垂直に変位可能である。各形状可変機構(8)は進行方向(A)に対して実質的に平行で水平な軸を有する関節継手(12)によってレバー(11)に接続された連結ロッド(10)を有する。側部部分(6)は播種機(1)の又はシャシ(2)の垂直中心面(13)のそれぞれの側に配置される。播種要素(4)は垂直中心面(13)に対して横方向ビーム上で対称的に配置されるのが有利である。
【0011】
本発明の重要な特徴によれば、進行方向(A)において、一方の形状可変機構(8)は他方の形状可変機構に対してズレている。播種機(1)の平面図を表す図3では、進行方向(A)において、左に配置された形状可変機構(8)は右に配置された形状可変機構(8)より前方に延在している。このズレによって形状可変機構(8)は一方が他方のそばを通って互いに交差でき、輸送位置において非常にコンパクトな播種機が得られる。各形状可変機構(8)は、対応するアーム(7)の幅にわたって占有空間内に実質的に延在している。左側の連結ロッド(10)及びレバー(11)は右側の連結ロッド(10)及びレバー(11)に対して前方にズレている。連結ロッド(10)の幅は対応するアーム(7)の幅より狭い。アーム(7)の幅は連結ロッド(10)の幅の二倍に対応するのが好ましい。
【0012】
本発明の他の特徴によれば、少なくとも一つの関節継手(12)は輸送位置において、播種機(1)の垂直中心面(13)を超えて延在している。このようにすることによって、輸送用にコンパクトな折畳みが得られる。関節継手(12)は進行方向(A)に対して実質的に平行で水平な軸を有する。それ故に、播種機は、より広い作業幅を有する一方で、路面移動用の全体寸法の占有空間の幅を順守する。
【0013】
図1を見ると、シャシ(2)の設計は、垂直中心面(13)に対して対称であるのが有利である。この設計は、応力が作業中及び輸送中に対称であるので有利である。従って、播種機(1)はバランスが良く且つ安定である。側部部分(6)は中央部分(5)の上方に折畳まれ、有利には整合される。2つの側部部分(6)の内側端は端と端をつなげて配置され、それによって、シャシを変位中に剛性にすることができる。
【0014】
本発明の他の重要な特徴によれば、各関節継手(12)は輸送位置において播種機(1)の垂直中心面(13)を超えて延在している。関節継手(12)は、垂直中心面(13)を超えて折畳むことによって、占有空間の幅をさらに減らすことができる。播種機(1)の占有空間の高さも減り、それによって、地面に対する追加の遊びがもたらされる。従って、路面移動用の全体寸法は播種機の幅及び高さに関して輸送中に順守されている。
【0015】
図2は作業位置にある播種機(1)を表す。シャシ(2)は上側連結点(14)及び2つの下側連結点(15)から成る三点タイプの連結装置を備えている。この播種機(1)はトラクタ(図示せず)の連結システムに連結するようになされており、これはトラクタによって支持されている。トラクタは変位し且つ播種機(1)をコース及び矢印(A)で示す進行方向に従って駆動する。以降の説明では、「前方」、「後方」及び「前方に」、「後方に」という用語は進行方向(A)に対して定義し、「右」及び「左」という用語は前記進行方向(A)において後方から播種機(1)を見て定義する。
【0016】
作業位置では、側部部分(6)は中央部分(5)の延長線上に位置して延在している。アーム(7)はシャシ(2)と各々の側部部分(6)との間に関節接合され、実質的に水平に延びている。関節継手(12)は連結ロッド(10)の外側端の位置に配置されている。連結ロッド(10)はアーム(7)の上方に延在している。形状可変機構(8)はアーム(7)の実質的に上方に延び、変形可能な四辺形、好ましくは平行四辺形を形成している。それ故に、各側部部分(6)は作業位置から輸送位置へまたその逆に地面に対して実質的に平行に変位する。関節継手(12)は形状可変機構(8)の、それぞれ平行四辺形の上側外側端を構成する。この関節継手(12)は外側関節継手ともよばれる。アーム(7)は一方で、実質的に水平で且つ進行方向(A)に向けられた軸を有する第1関節継手(16)を介してシャシ(2)に連結され、他方で、実質的に水平で且つ進行方向(A)に向けられた軸を有する第2関節継手(17)によって各々のレバー(11)に連結されている。連結ロッド(10)は、それ自体、一方で実質的に水平で且つ進行方向(A)に向けられた軸を有する内側関節継手(18)を介してシャシ(2)に連結され、他方で、外側関節継手(12)によって各々のレバー(11)に連結されている。各操作ジャッキ(9)はシャシ(2)と各々のアーム(7)との間に延在している。ジャッキは第3関節継手(19)を介してシャシに関節接合され、且つ、第4関節継手(20)を介してアーム(7)に関節接合されている。第3関節継手(19)及び第4関節継手(20)はそれぞれ、進行方向(A)に対して実質的に平行で水平な軸を有する。
【0017】
本発明の播種機は広い作業幅、好ましくは9メートルの作業幅を有する。このような作業幅は従って、道路及び細道で移動するために側部部分(6)を折り畳む必要がある。シャシ(2)は、横方向ビーム(3)上に一定且つ調整可能な間隔で配置された播種要素(4)を支持している。各播種要素(4)はホッパ、計量装置及び植付装置を有する。播種要素(4)は変形可能な平行四辺形によってシャシ(2)に取り付けられ、この変形可能な平行四辺形によって、播種要素(4)は地面に対して平行に移動することができる。種子の均一な計量を保証するために、計量装置の回転速度は播種機(1)の進行速度に比例するのが有利である。図2に示された実施例では、シャシ(2)は12個の播種要素(4)を支持している。部分(5、6)は二重伸縮ビームによって構成されている。シャシ(2)の設計によって、播種要素(4)の間隔を、大きな差に応じて70から80cmまで変えることができる。中央部分(5)は6つの播種要素(4)を支持し、各側部部分(6)は3つの播種要素(4)を支持している。
【0018】
播種要素(4)は、播種要素(4)の占有空間の高さ及び幅を示す点線の枠によって簡略化して表されている。これらの播種要素(4)は計量装置が植付装置の上方に配置されていることを特徴とし、これは播種要素の高さが高く、長さが短くされていることを意味する。計量装置が植付装置の前方に配置されたその他の播種要素も存在し、これらは占有空間の長さが大きく、高さが減少している。
【0019】
作業中に、シャシ(2)は車輪(21)によって地面と係合する。図2の実施例では、2つの車輪(21)は中央部分(5)に接続され、一つの車輪(21)が各側部部分(6)に接続される。これらの車輪(21)は播種要素(4)の計量装置を駆動するようになされている。車輪(21)が横方向ビーム(3)の前方に配置されていることは注目される。前方でこのように配置すると、車輪(21)が播種要素(4)間に挿入されず、且つ、播種要素(4)の間隔を調整する可能性が制限されない。さらに、各車輪(21)の位置は播種要素(4)のいろいろな間隔に合わせることができ、各車輪が2つの播種列の間を走行できるようになっている。
【0020】
車輪(21)が側部部分(6)の中央部分に連結されることから、側部部分(6)とアーム(7)との連結はその内側端の位置で達成される。播種要素(4)の望ましい間隔に合わせるために、側部部分(6)はアーム(7)に調整可能な状態で取り付けられる。
【0021】
路面輸送中にこの幅の広い播種機が占有する空間を減らすために、側部部分(6)は操作ジャッキ(9)によって垂直且つ横方向に折畳まれる。図1によれば、播種要素(4)はこうして2つの高さで対称的に配置される。折畳まれるときに、シャシ(2)は9mの作業幅から、単一の伸縮ビームを有する3m50の輸送幅になる。このような配置はフランスの道路法に従っている。折畳める部分(5、6)の二重伸縮ビームによって、占有空間の幅は3mに減少する。この折り畳みによって、占有空間の幅を、多くの欧州諸国で路面移動を可能にするのに十分な程度に減らすことができる。従って、輸送中の播種機(1)の占有空間は幅3m及び高さ4mの路面移動用の全体寸法を順守する。求められる路面移動用の全体寸法に応じて、部分(5、6)は二重伸縮ビーム又は単一伸縮ビームのいずれかから成る。変形可能な平行四辺形機構(8)によって、播種要素(4)は折り畳まれている間は実質的に水平上に維持され、それによって、ホッパに入れられた種子が落ちるのを防いでいる。
【0022】
各関節継手(12)は中央部分(5)の対応する車輪(21)の実質的に上方に延在しているのが好ましい。第1関節継手(16)の位置によって、播種機(1)の占有空間の幅を輸送位置内に規定することができる。輸送用の2つの側部部分(6)の位置は各々のストップ(22)によって調整される。これらのストップ(22)は、側部部分(6)の内側端が互いに接触するように調整される。播種機を完全に安全な状態で移動させるために、各アーム(7)は各々のフックを介してシャシに固定されている。
【0023】
図示されていない実施例によれば、本発明の播種機は牽引される、すなわち、シャシは作業中及び輸送中に車輪によって地面に当接する。
本発明が添付図面に示して上述した実施例に限定されないことは自明である。以下の請求の範囲で規定される保護範囲から逸脱することなく、変更修正、特に様々な機素の構成や数又は技術的な均等物への置換は可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
播種要素(4)が規則的に配置された実質的に水平な横方向ビーム(3)を有するシャシ(2)を具備した播種機(1)であって、前記横方向ビーム(3)は中央部分(5)及び2つの側部部分(6)を有し、2つの側部部分(6)は作業位置において前記中央部分のそれぞれの側に配置され、且つ、輸送位置において前記中央部分(5)の実質的に上方に持ち上げられ、各側部部分(6)は各々のアーム(7)によってシャシ(2)に接続され、且つ、操作ジャッキ(9)によって制御される形状可変機構(8)によって前記シャシ(2)に対して横方向且つ垂直に変位可能である播種機(1)において、進行方向(A)において、一方の形状可変機構(8)が他方の形状可変機構に対してズレていることを特徴とする播種機。
【請求項2】
各形状可変機構(8)が、進行方向(A)に対して実質的に平行で水平な軸を有する関節継手(12)によってレバー(11)に接続された連結ロッド(10)を有すること、及び、少なくとも一つの関節継手(12)が輸送位置において播種機(1)の垂直中心面(13)を超えて延在していることを特徴とする請求項1に記載の播種機。
【請求項3】
各関節継手(12)が播種機(1)の垂直中心面(13)を超えて延在していることを特徴とする請求項2に記載の播種機。
【請求項4】
前記関節継手(12)が、作業位置において前記各々のアーム(7)の上方に延在していることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の播種機。
【請求項5】
前記アーム(7)の占有空間の幅が、前記対応する連結ロッド(10)の幅の2倍に対応することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の播種機。
【請求項6】
各形状可変機構(8)が平行四辺形タイプの四辺形であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の播種機。
【請求項7】
各形状可変機構(8)が、対応するアーム(7)の占有空間の幅内に実質的に延在していることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の播種機。
【請求項8】
車輪(21)が前記横方向ビーム(3)の前部に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の播種機。
【請求項9】
前記アーム(7)が、進行方向(A)に対して実質的に平行で水平な軸を有する第1関節継手(16)によってシャシ(2)に接続されており、前記第1関節継手(16)が前記中央部分(5)に取り付けられた前記車輪(21)の近くに延在していることを特徴とする請求項8に記載の播種機。
【請求項10】
輸送位置において、播種要素(4)が2つの高さに配置されていることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の播種機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−520192(P2013−520192A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554395(P2012−554395)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際出願番号】PCT/FR2011/050342
【国際公開番号】WO2011/104467
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(591090851)クーン ソシエテ アノニム (6)
【氏名又は名称原語表記】KUHN SOCIETE ANONYME
【Fターム(参考)】