説明

放射線画像検出システム及び放射線画像検出器

【課題】放射線画像検出器において、切替え操作の簡易化を図りつつ、撮影待機モードにおける消費電力をさらに削減し、省電力化及び長寿命化を可能とする放射線画像検出器及び放射線画像検出システムを提供すること。
【解決手段】照射された放射線を検出して放射線画像情報を取得する放射線画像検出器1において、外部機器と通信を行う通信部28と、消費電力量の異なる複数の駆動モードを制御する状態制御部29とを備え、状態制御部29は、外部機器から送信される指示信号に基づき複数の駆動モードを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像検出器及び放射線画像検出システムに係り、特に切替え操作の簡易化と省電力化と装置の長寿命化に対応可能な放射線画像検出器及び放射線画像検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、医療診断にあっては、被写体にX線等の放射線を照射し、当該被写体を透過した放射線の強度分布を検出して得られた放射線画像が広く利用されており、近年では、撮影に際し放射線を検出して電気信号に変換し、放射線画像情報として蓄積するFPD(Flat Panel Detector)を用いた放射線撮影システムが提案されている。
【0003】
この放射線撮影システムにあっては、システム構成の自由度を向上させる上で、撮影室に配設されたFPDを所定の通信回線を介して画像処理を行うためのPC(Personal Computer)等の所定のコンソールと接続して使用するように構成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、カセッテ型FPDとコンソールとが無線方式により放射線画像情報等の各種情報を通信可能に構成されたものも提案されている(例えば、特許文献2参照)。このカセッテ型FPDでは、FPDがカセッテに収容されており、FPDの運搬性・取り扱い性を向上させて、さらにシステム構成の自由度を向上させている。
【0005】
カセッテ型FPDは、自由度の向上という点では、邪魔な配線を持たないことが特徴の一つとして挙げられる。その場合、カセッテ型FPDは、電力供給源として充電池を内蔵することになる。充電池が消耗して電源が切れると、充電を行ってから再び使用する構成になっている。
【0006】
そのため、使用状況等により電源がすぐに切れてしまうと、1日に何度も充電を行わなければならず、非常に不便である。また、撮影しようと思ったときに電源が切れてしまうと、すぐに撮影が出来ないといった不都合が生じてしまう。あるいは、撮影中に電源が切れてしまうと再撮影を行わなければならなくなり、被写体に対し被爆に伴う危険が高まる可能性があり、軽量で長時間駆動できるカセッテ型FPDの開発が望まれていた。
【0007】
そこで、従来から使用時における無駄な消費電力の削減が試みられており、通常、FPDでは、1日の始まりとともに、放射線画像検出器の電源をいれ、撮影時以外は、例えば撮影されてから作動する全ての部材に電圧を印加させた状態にある撮影待機モードで待機させており、患者の撮影がすぐに開始できるように終日稼動させた後に、電源を切るように構成されていた。その際、FPDでは、実際に撮影を行っている撮影モードと、実際に撮影を行っていないが、撮影モードより消費電力が少なく、迅速に撮影モードへの立ち上げが可能な撮影待機モードとの切り換えが行われており、各モードの切り換えは、特許文献3のようにFPD内にアダプタを持ち、当該アダプタの着脱により行わせていた。
【0008】
その結果、FPDが、撮影に使用されていない撮影待機モードでは、待機時に不必要な部材への電圧の印加を行わないことにより消費電力を削減しつつ、電源をいれてから実際に撮影を行うことが可能な状態、すなわち撮影モードになるまでの時間を短縮させており、撮影待機モードにおける消費電力の削減によるFPDの省電化と、撮影モードへの迅速な移行が図られていた。
【特許文献1】特開2003−199736号公報
【特許文献2】特開2003−210444号公報
【特許文献3】特開2004−141473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の撮影待機モードでは、撮影モードに比べると消費電力量が削減されたものではあるが、全く電源を入れていない状態に比べると、消費電力量は多くなってしまう。これは、特に1日に数回しか撮影を行わない場合では非常に不経済であり、省電力と呼ぶには不十分であった。
【0010】
また、撮影モードにすぐに移行させるために、FPDの構成部材の多くに電圧を長時間印加させることで、フォトダイオードやTFT等は劣化し、感度の低下を生じさせてしまう。その結果、実際には撮影に使用されていないにも関わらずFPDの寿命を縮めてしまうことになっていた。
【0011】
また、撮影モードから撮影待機モードへの切り換えを、アダプタの着脱により行われており、操作者の手を煩わせていた。
【0012】
このように、従来では、省電力化と、長寿命化と、切替え操作の簡易化とを両立させることができなかった。
【0013】
そこで、本発明の課題は、放射線画像検出器において、切替え操作の簡易化を図りつつ、撮影待機モードにおける消費電力をさらに削減し、省電力化及び長寿命化を可能とする放射線画像検出器及び放射線画像検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の発明は、
照射された放射線を検出して放射線画像情報を取得する放射線画像検出器において、
外部機器と通信を行う通信部と、消費電力量の異なる複数の駆動モードを制御する状態制御部とを備え、
前記状態制御部は、前記外部機器から送信される指示信号に基づき前記複数の駆動モードを制御することを特徴とする。
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、照射された放射線を検出して放射線画像情報を取得する放射線画像検出器において、
外部機器と通信を行う通信部と、消費電力量の異なる複数の駆動モードを制御する状態制御部とを備え、
前記状態制御部は、前記外部機器から送信される指示信号に基づき前記複数の駆動モードを制御している。
したがって、状態制御部は、外部機器から送信される指示信号を検知し、検知された指示信号に基づき、消費電力量の異なる駆動モード間を遷移させることができる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の放射線画像検出器において、
前記外部機器が複数存在することを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、前記外部機器が複数存在するので、前記状態制御部は、異なる外部機器から送信された指示信号に基づき、駆動モードを制御することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明は、
請求項2に記載の放射線画像検出器において、
前記指示信号の同時受信時に、予め設定された前記外部機器からの前記指示信号を優先することを特徴とする。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、
前記指示信号の同時受信時に、予め設定された前記外部機器からの前記指示信号を優先するので、複数の外部機器からの指示信号を同時に受信した場合、指示信号を優先させる外部機器を設定することができる。
【0020】
請求項4に記載の発明は、
請求項3に記載の放射線画像検出器において、
前記予め設定された外部機器がコンソールであることを特徴とする。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、
前記予め設定された外部機器がコンソールであるので、複数の外部機器からの指示信号を同時に受信した場合、指示信号を優先させる外部機器として予めコンソールに設定することができる。
【0022】
請求項5に記載の発明は、
請求項3に記載の放射線画像検出器において、
前記予め設定された外部機器がホストコンピュータであることを特徴とする。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、
前記予め設定された外部機器がホストコンピュータであるので、複数の外部機器からの指示信号を同時に受信した場合、指示信号を優先させる外部機器として予めホストコンピュータに設定することができる。
【0024】
請求項6に記載の発明は、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の放射線画像検出器において、
前記駆動モードは、撮影モードと、前記撮影モードより消費電力量が少ない撮影待機モードであることを特徴とする。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、前記駆動モードは、撮影モードと、前記撮影モードより消費電力量が少ない撮影待機モードであるので、駆動モードは、撮影モードと撮影モードより消費電力の少ない撮影待機モードから構成される。
【0026】
請求項7に記載の発明は、
請求項6に記載の放射線画像検出器において、
前記撮影待機モードは、消費電力量が異なる複数の待機モードを備えることを特徴とする。
【0027】
請求項7に記載の発明によれば、前記撮影待機モードは、消費電力量が異なる複数の待機モードを備えるので、外部機器から送信される指示信号に基づき、撮影モードと複数の撮影待機モードを遷移させることができる。
【0028】
請求項8に記載の発明は、照射された放射線を検出して放射線画像情報を取得する放射線画像検出器と、指示信号を送信する外部機器とを備えた放射線画像検出システムにおいて、
前記放射線画像検出器は、前記外部機器と通信を行う通信部と、消費電力量の異なる複数の駆動モードを制御する状態制御部とを備えるとともに、
前記状態制御部は、前記通信部を介して前記外部機器から送信された指示信号に基づき、前記複数の駆動モードを制御する放射線画像検出システムであることを特徴とする。
【0029】
請求項8に記載の発明によれば、照射された放射線を検出して放射線画像情報を取得する放射線画像検出器と、指示信号を送信する外部機器とを備えた放射線画像検出システムにおいて、前記放射線画像検出器は、前記外部機器と通信を行う通信部と、消費電力量の異なる複数の駆動モードを制御する状態制御部とを備えるとともに、前記状態制御部は、前記通信部を介して前記外部機器から送信された指示信号に基づき、前記複数の駆動モードを制御するので、状態制御部は、外部機器から送信される指示信号を検知し、検知された指示信号に基づき、消費電力量の異なる駆動モード間を遷移させることができる放射線画像検出システムを構築することができる。
【発明の効果】
【0030】
請求項1に記載の発明によれば、状態制御部は、外部機器から送信される指示信号を検知し、検知された指示信号に基づき、消費電力量の異なる駆動モード間を遷移させることができるので、操作者の手を煩わせることがなく、指示信号により駆動モードを遷移させることができ、切替え操作の簡易化を図ることができる。また、放射線画像検出器の全ての構成部材に電圧を印加した駆動モード(撮影モード)に対し、外部機器との通信に必要な部材にのみ電圧を印加させるような駆動モードを備えることで、従来の迅速に撮影モードに移行できる部材以外全ての構成部材に電圧を印加する駆動モード(通信に必要な部材を含め、放射線画像検出器を構成する他の部材に電圧を印加する駆動モード)より、消費電力を削減することができ、省電力化を図ることができる。その際、長時間電圧が印加されることで劣化する部材への電圧印加時間を短縮させることができるので、放射線画像検出器の長寿命化を図ることができる。
【0031】
請求項2に記載の発明によれば、前記状態制御部は、異なる外部機器から送信された指示信号に基づき、駆動モードを制御することができるので、使用状況に応じて様々な外部機器から指示信号を送信することができ、操作性を向上させることができる。
【0032】
請求項3に記載の発明によれば、複数の外部機器からの指示信号を同時に受信した場合、指示信号を優先させる外部機器を設定することができるので、複数の外部機器からの指示信号を同時に受信した場合、予め設定された外部機器から送信された指示信号を優先し、使用状況に応じた指示信号を優先させることができる
【0033】
請求項4に記載の発明によれば、複数の外部機器からの指示信号を同時に受信した場合、指示信号を優先させる外部機器として予めコンソールに設定することができるので、指示信号を同時に受信した場合、コンソールから送信された指示信号を優先し、撮影中や撮影前後においてコンソールの近くにいることが多い操作者がコンソールから送信した指示信号を優先し、撮影状況に応じた指示信号を優先させることができる。
【0034】
請求項5に記載の発明によれば、複数の外部機器からの指示信号を同時に受信した場合、指示信号を優先させる外部機器として予めホストコンピュータに設定することができるので、指示信号を同時に受信した場合、ホストコンピュータから送信された指示信号を優先することができる。例えばホストコンピュータは、コンソールを管理しており、コンソールの管理に関する規則に従った指示信号を送信する。この場合、コンソールが正常に動作していない場合では、ホストコンピュータは、撮影動作を行わず、放射線画像検出器を強制的に待機させるような指示信号を送信することができ、ホストコンピュータが管理する装置の管理状況に応じた指示信号を優先させることができる。
【0035】
請求項6に記載の発明によれば、駆動モードは、撮影モードと撮影待機モードから構成されるので、画像転送時に外部機器から送信される指示信号に基づき、撮影モードと撮影待機モードを遷移させることができる。
【0036】
請求項7に記載の発明によれば、外部機器から送信される指示信号に基づき、撮影モードと複数の撮影待機モードを遷移させることができるので、細目に撮影モードと複数の撮影待機モードを切り換えることで消費電力を削減することができ省電力化及び長寿命化を図ることができる。
【0037】
請求項8に記載の発明によれば、状態制御部は、外部機器から送信される指示信号を検知し、検知された指示信号に基づき、消費電力量の異なる駆動モード間を遷移させることができる放射線画像検出システムを構築することができるので、切替え操作の簡易化を図りつつ、撮影待機モードにおける消費電力をさらに削減し、省電力化及び長寿命化を可能とする放射線画像検出システムとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照しながら本発明に係る放射線画像検出器及び放射線画像検出システムの実施形態について説明する。ただし、本発明は図示例のものに限定されるものではない。
【0039】
図1は、本発明を適用した実施形態として例示する放射線画像検出システムの概略構成を示す図である。
図1に示すように、放射線画像検出システム100は、病院内で行われる放射線画像撮影を想定しており、例えば撮影室内に設置され、被写体にX線等の放射線を照射して放射線画像を放射線画像検出器1にて取得することで放射線撮影を行う放射線画像撮影装置2と、放射線画像撮影に関する操作及び得られた放射線画像の表示と画像処理を行うコンソール3と、院内の放射線画像撮影の予約管理を行い、所定の撮影室の撮影予約が入るとコンソール3に撮影要求の指示を送信するホストコンピュータ4と、無線LAN(Local Area Network)等の無線通信方式による通信を行うための図示しない基地局とを備え、これら装置どうしがネットワークNを介して接続されている。ここで、ネットワークNには、他の撮影室のコンソール5,5や放射線画像検出器6,6が接続されており、各放射線画像検出器で取得された放射線画像情報のやり取りをすることが可能になっている。また、ネットワークNは、当該システム専用の通信回線であってもよいが、システム構成の自由度が低くなってしまう等の理由のため、イーサネット(Ethernet;登録商標)等の既存の回線である方が好ましい。
【0040】
放射線画像撮影装置2は、放射線照射装置7及び放射線画像検出器1から構成されている。
放射線照射装置7は、ケーブルを介してコンソール3に接続されるとともに、放射線源8及び放射線源制御手段9を有しており、放射線源8は、コンソール3から指示された照射する放射線の特性(放射線源8にかける管電圧、管電流、照射時間等)に従って放射線源制御手段9により制御され、放射線を発生するように構成されている。
【0041】
放射線画像検出器1は、放射線照射装置7から照射されて被写体Sを透過した放射線を検出して放射線画像を取得するようになっており、撮影を行う際には、放射線画像検出器1を放射線源8から放射線が照射される放射線照射範囲に設置された撮影台に装着するなどして使用する。
【0042】
コンソール3は、操作者が撮影の指示をする操作部10と、操作部10からの指示に基づき放射線照射装置7を制御する撮像制御部11と、放射線画像検出器1で得られた画像データに色調の補正などの画像処理を行う画像処理部12と、画像処理がなされた画像データをハードディスク、光磁気ディスク等に記憶する画像記憶部13と、操作者が撮影が適切に行われたか目視確認をするために放射線画像検出器1で得られた画像信号を基に画像を表示する表示部14と、ネットワークNに接続するLANボード15と、これらコンソール3のシステムを制御するシステム制御部16とが備えられている。
【0043】
放射線画像検出器1は、発光層と、光電変換層と、駆動回路とを備えて放射線を検出する間接型フラットパネルディテクタである。以下、図2〜図7を用いて、放射線画像検出器1の構造について説明する。
【0044】
図2(a)に示すように、放射線画像検出器1は、内部を保護する筐体20を備えており、放射線画像検出器1はカセッテとして携帯可能に構成されている。
【0045】
筐体20の外部には、操作者がスイッチング操作をすることにより放射線画像検出器1の動作を切り換えるための操作部21や、放射線画像の撮影準備の完了や内蔵されている画像記憶手段に所定量の画像信号が書き込まれたことを示す表示部22(図3参照)が設けられている。
【0046】
筐体20の内部には、照射された放射線を電気信号に変換する撮像パネル23が層を成して形成されている。図2(b)に示すように、撮像パネル23における放射線の照射面側には、入射された放射線の強度に応じて発光を行う発光層231が設けられている。ここで、発光層231には、例えば波長が1Å(1×10-10m)程度であって、人体や船舶、航空機の部材等を透過する電磁波である所謂X線が照射される。
【0047】
発光層231は、蛍光体を主たる成分とするものであり、入射した放射線に基づいて、波長が300nmから800nmの電磁波、すなわち、可視光線を中心に紫外光から赤外光にわたる電磁波(光)を出力する。なお、発光層231は、一般的にシンチレータ層と呼ばれている。
【0048】
この発光層231で用いられる蛍光体は、CaWO、CdWO等を母体とするものや、CsI:TlやGd22S:Tb、ZnS:Ag等の母体内に発光中心物質が付活されたものを用いることができる。
また、希土類元素をMとしたとき、(Gd,M,Eu)の一般式で示される蛍光体を用いることができる。
【0049】
特に、X線吸収及び発光効率が高いことよりCsI:TlやGdS:Tbが好ましく、これらを用いることで、ノイズの低い高画質の画像を得ることができる。
【0050】
この発光層231の放射線が照射される側の面と反対側の面には、発光層から出力された電磁波(光)を電気エネルギーに変換して蓄積し、蓄積された電気エネルギーに基づく画像信号の出力を行う光電変換層232が形成されている。
【0051】
光電変換層232は、電気エネルギーを生成し、画素毎に蓄える光電変換素子と、蓄えられた電気エネルギーを信号として出力するためのスイッチング素子であるトランジスタから形成されている。なお光電変換層232は、スイッチング素子を用いるものに限られるものではなく、例えば蓄えられた電気エネルギーのエネルギーレベルに応じた信号を生成して出力する構成とすることもできる。一般には、ガラス基板上に配されたアモルファスシリコンで形成される。
【0052】
光電変換素子は、例えばフォトダイオード(PD)233が用いられるが、特に限定する必要はなく、その他の固体撮像素子(電荷結合型素子など)あるいは光電子倍増管のような素子であってもよい。
【0053】
トランジスタは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)234が用いられる。このTFT234は、液晶ディスプレイ等に使用されている無機半導体系のものでも、有機半導体を用いたものでもよい。
【0054】
この光電変換層232の発光層231側の面と反対側の面には、前記発光層231及び光電変換層232を支持する基板235が形成されている。
【0055】
基板235上であって、光電変換層232の側方には、駆動回路が設けられており、駆動回路は、蓄積された電気エネルギーを画像信号として出力する走査駆動回路236と、照射された放射線の強度に応じて蓄積された電気エネルギーを読み出す信号読み出し回路237とから形成されている。
【0056】
基板235の光電変換層232側の面と反対側の面には、放射線画像検出器1で行われる各種動作を制御する制御部24設けられている。
【0057】
ここで、撮像パネル23の回路構成について説明する。図4は、光電変換層232を構成する1画素分の光電変換部の等価回路図である。
【0058】
図4に示すように、1画素分の光電変換部の構成は、フォトダイオード233と、フォトダイオード233で蓄積された電気エネルギーをスイッチングにより電気信号として取り出すTFT234とから構成されている。取り出された電気信号は、増幅器238により信号読み出し回路237が検出可能なレベルにまで電気信号を増幅するようになっている。なお、増幅器238には、TFT234とコンデンサで構成された図示しないリセット回路が接続されており、TFT234にスイッチを入れることにより蓄積された電気信号をリセットするリセット動作が行われるようになっている。また、フォトダイオード233は、単に寄生キャパシタンスを有したものでもよいし、フォトダイオード233と光電変換部のダイナミックレンジを改良するように追加コンデンサを並列に含んでいるものでもよい。
【0059】
図5は、このような光電変換部を二次元に配列した等価回路図であり、画素間には、走査線Llと信号線Lrが直交するように配設されている。前述のフォトダイオード233には、TFT234が接続されており、TFT234が接続されている側のフォトダイオード233の一端は信号線Lrに接続されている。一方、フォトダイオード233の他端は、各行に配された隣接するフォトダイオード233の一端と接続されて共通のバイアス線Lbを通じてバイアス電源239に接続されている。このバイアス電源239の一端は制御部24に接続され、制御部24からの指示によりバイアス線Lbを通じてフォトダイオード233に電圧がかかるようになっている。また各行に配されたTFT234は、共通の走査線Llに接続されており、走査線Llは走査駆動回路236を介して制御部24に接続されている。同様に、各列に配されたフォトダイオード233は、共通の信号線Lrに接続されて制御部24に制御される信号読み出し回路237に接続されている。信号読み出し回路237には、撮像パネル23から近い順に、増幅器238、サンプルホールド回路240、アナログマルチプレクサ241、A/D変換機242が共通の信号線Lr上に配されている。
【0060】
このような回路構成を備える制御部24には、図3に示すように、前述した操作部21、走査駆動回路236、信号読み出し回路237が接続される他、後述するバッテリ25、画像記憶部26、通信部28、状態制御部29が接続されている。
【0061】
制御部24の基板235側の面と反対側の面には、放射線画像検出器1を構成する各部位に電力を供給する電力供給源としてプレート状のバッテリ25が設けられている。バッテリ25は、例えばマンガン電池、ニッケル・カドミウム電池、水銀電池、鉛電池などの一次電池、充電可能な二次電池が適用可能である他、筐体20の側部から引き出して交換可能になっている。
【0062】
この他、筐体20の内部には、記憶手段としてフラッシュメモリなどの書き換え可能な読み出し専用メモリ等を用いて撮像パネル23から出力された画像信号を記憶する画像記憶手段としての画像記憶部26と、ネットワークN上に接続された外部機器と各種通信信号を送受信して通信を行う通信部28と、放射線画像検出器1の複数の駆動モードを制御する状態制御部29とが備えられている。
【0063】
通信部28では、外部機器から送信される指示信号や、撮影開始信号、放射線照射開始信号、放射線照射終了信号を受信し、放射線画像検出器1を構成する各部材に転送するようになっており、転送先の各部材では、これら信号に基づき放射線画像検出器1の動作を制御するように構成されている。外部機器としては、放射線源8やコンソール3,5、ホストコンピュータ4、ネットワークN上に接続されるプリンタ(図示せず。)などの各種機器が挙げられるが、好ましくはコンソール3,5及びホストコンピュータ4である。
【0064】
例えば、通信部28では、外部機器から送信される指示信号を受信し、後述する状態制御部29に転送する他、撮影開始信号、放射線照射開始信号、放射線照射終了信号を受信し、制御部24に転送するようになっている。また、通信部28では、撮像パネル23から出力された画像信号を外部機器へ転送するようになっている。ここで、指示信号とは、複数の駆動モード間を遷移させる信号を表しており、以下の記載では、コンソール3を外部機器として使用した場合について説明を行う。
【0065】
ここで、指示信号の受信により遷移される駆動モードについて説明する。
本実施形態の放射線画像検出器1では、主電源のON/OFFが、1日周期で行われており、例えば、放射線源8のテスト動作時に、放射線画像検出器1の電源を投入し、その後、患者等の被写体が訪れる可能性のある間、電源は投入された状態が維持され、その日の放射線撮影が終了する時に電源を遮断するように構成されている。放射線画像検出器1に電源が投入されている間、放射線画像検出器1の駆動状態(駆動モード)は、撮影を行っている状態(撮影モード)と、撮影モードよりも消費電力の少ない撮影を待機している状態(撮影待機モード)とを遷移するように構成されており、主電源がONになると、自動的に撮影待機モードに遷移するように構成されている。
【0066】
撮影モードは、放射線画像検出器1を構成する部材のうち、撮影に必要な全ての部材が稼動している、すなわち、放射線画像検出器1を構成する部材のうち、撮影に必要な全ての部材に電圧が印加されている状態にあり、一連の撮影動作である初期化、放射線の照射、電気信号の読み取り、画像信号の転送が行われるように構成されている。なお、初期化では、撮像パネル23におけるリセット動作及び空読み動作が行われるようになっている。
【0067】
例えば、撮影モードでは、図6に示すように撮影時に必要な部材である信号読み出し回路237、走査駆動回路236、フォトダイオード233、TFT234、画像記憶部26、通信部28に対して電圧を印加するように構成されているのに対し、撮影待機モードでは、画像記憶部26及び通信部28に対してのみ電圧を印加した状態として構成されており、通信を行うのに不必要な部材への電圧印加を省いて消費電力の削減を試みている。
【0068】
あるいは、撮影待機モードを、少なくとも撮影モードへの迅速な立ち上げが可能な構成部材に対しては電圧を印加しない構成とし、例えば図7に示すような信号読み出し回路237を除いて全ての部分を立ち上げた状態として構成してもよい。この場合では、消費電力を削減しつつ、迅速に撮影待機モードから撮影モードに遷移させて速やかに撮影を開始させることができ、繰り返し撮影を行う場合には特に効果を発揮する。
【0069】
状態制御部29は、指示信号を常に受信しているかチェックするように構成されており、通信部28を介してコンソール3から送信された指示信号を基に検知された状態指示情報に基づき、駆動モードの遷移を行うようになっている。ここで、状態指示情報とは、駆動モードの遷移あるいは維持を指示する情報であり、ここでは、撮影待機モードから撮影モードへの遷移及び撮影待機モードの維持、撮影モードから撮影待機モードへの遷移、撮影モードの維持を指示する情報を表している。
【0070】
例えば、状態制御部29は、撮影待機モードでは、通信部28を介して指示信号を常に受信しているか検知するように構成されており、指示信号を受信すると、指示信号に基づき撮影待機モードから撮影モードへの遷移及び撮影待機モードの維持を行うように構成されている。
【0071】
また、状態制御部29は、撮影モードでは、通信部28を介して指示信号を常に受信しているか検知するように構成されており、指示信号を受信すると、指示信号に基づき撮影モードから撮影待機モードへの遷移、撮影モードの維持を行うように構成されている。
【0072】
また、状態制御部29では、指示信号を受信すると、コンソール3から放射線画像検出器1に指示信号の送信が正常に行われていることを示す情報として、通信部28を介して受け取り信号を送信するようになっている。
【0073】
コンソール3は、受け取り信号を受信することで指示信号が正常に行われたことを確認するが、指示信号を送信しても受け取り信号の受信が所定時間内に検知されない場合には、指示信号が正常に送信されなかったと判断し、自動的に再送信するか、あるいは、表示部14に表示し、操作部10からの操作による再送信を行わせるようになっている。
【0074】
また、コンソール3では、コンソール3に受け取り信号の受信が検知されなくなってから所定時間が経過すると、放射線画像検出器1に撮影モードから撮影待機モードへ遷移する指示信号が送信されるように構成されている。
【0075】
また、撮影モードにおいて、放射線画像検出器1に印加される電圧が安定し、撮影動作が開始できる状態であることを検知すると、コンソール3は撮影動作を開始する撮影開始信号を放射線画像検出器1に対して送信する他、撮影開始信号を送信してから所定時間後、放射線照射の開始及び終了を示す放射線照射開始信号及び放射線照射終了信号を送信するようになっている。
【0076】
上述した指示信号に基づき撮影モードへ遷移した後に行われる撮影動作において、放射線画像検出器1では、まず、信号読み出し回路237でリセット動作と空読み動作が行われ後に、放射線照射開始信号が受信されて放射線が照射されるようになっており、フォトダイオード233では放射線量に応じて電気信号が発生して蓄積されるようになっている。そして、放射線照射後、放射線照射終了信号が受信されると、走査駆動回路236により走査線Llが選択され、選択された走査線Ll上のTFT234がスイッチングされて、フォトダイオード233に蓄積された電気信号が導通し、信号読み出し回路237に送られて増幅された後、デジタル信号へ変換されるようになっている。そして、制御部24はこのデジタル信号を画像信号として画像記憶部26に一旦保持した後、通信部27によりコンソール3に送信させるようになっている。
【0077】
次に、この放射線画像検出システム100の動作について説明する。
図8に示すように、放射線画像検出器1の主電源がONになると(ステップS1)、自動的に撮影待機モードに移行する(ステップS2)。
【0078】
撮影待機モードでは、常に画像記憶部26、通信部28を立ち上げており、状態制御部29は通信部28に指示信号が受信されていないか常に検知している(ステップS3)。
【0079】
そして、コンソール3が撮影待機モードから撮影モードに遷移させる指示信号を送信し(ステップS4)、この指示信号が通信部28で受信されると(ステップS3;yes)、通信部28は、状態制御部29に指示信号を転送する。状態制御部29は、コンソール3に受け取り信号を送信すると同時に、指示信号に基づき、駆動モードを撮影モードに切り換える(ステップS5)。
【0080】
このとき、コンソール3では、所定時間受け取り信号の受信を検知するようになっており(ステップS6)、受け取り信号の受信が検知されると(ステップS6;yes)、指示信号が放射線画像検出器1に正常に送信されたと判断し、そのまま受け取り信号の受信の検知を維持し続ける。
【0081】
そして、放射線画像検出器1で撮影開始信号が受信されると(ステップS7)、制御部24は、初期化を行った後(ステップS8)、放射線照射開始信号を受信して(ステップS9)、放射線照射を行う。放射線照射が終了し、放射線照射終了信号が受信されると(ステップS10)、制御部24は駆動回路の駆動により電気信号の読み取りを行わせ(ステップS11)、読み取られた画像信号は、画像記憶部26に保存させるとともに、コンソール3へ送信させる(ステップS12)。
【0082】
このとき、コンソール3では、ホストコンピュータ4から送信される撮影要求のリストがすべて終了しているかチェックしており(ステップS13)、撮影要求のリストがすべて終了したことを確認すると(ステップS13;yes)、放射線画像検出器1からの受け取り信号の受信が検知されなくなってから所定時間が経過しているかを検知し(ステップS14)、受け取り信号の受信が検知されなくなってから所定時間が経過したことを確認して(ステップS14;yes)、放射線画像検出器1に撮影モードから撮影待機モードへ遷移させる指示信号を送信する(ステップS15)。
そして、放射線画像検出器1の状態制御部29は、通信部28を介してコンソール3からの指示信号を検知し(ステップS16)、撮影モードから撮影待機モードへ駆動モードを遷移させ、ステップS2以降の動作が繰り返される。
【0083】
なお、ステップS3で、撮影待機モードから撮影モードに遷移させる指示信号が通信部28で受信されない場合には(ステップS3;no)、駆動モードを撮影待機モードに維持して、ステップS2以降の動作が繰り返される。
【0084】
また、ステップS4で、コンソール3が撮影待機モードを維持させる指示信号を送信し、ステップS3で、撮影待機モードを維持させる指示信号が通信部28で受信された場合には、通信部28は、状態制御部29に指示信号を転送する。状態制御部29は、コンソール3に受け取り信号を送信すると同時に、指示信号に基づき、駆動モードを撮影待機モードに維持して、ステップS2以降の動作が繰り返される。
【0085】
また、ステップS6で、コンソール3において受け取り信号の受信が検知されないと判断されると(ステップS6;no)、再び放射線画像検出器1に指示信号を送信し(ステップS4)、ステップS4以降の動作が繰り返される。
【0086】
また、ステップS13で、ホストコンピュータ4から送信される撮影要求のリストがすべて終了したことが確認されないと(ステップS13;no)、コンソール3は、放射線画像検出器1に撮影モードのまま維持させる指示信号を送信する(ステップS17)。
そして、放射線画像検出器1の状態制御部29は、通信部28を介してコンソール3からの指示信号を検知し(ステップS18)、撮影モードを維持させ、ステップS5以降の動作が繰り返される。
【0087】
以上のように、本実施形態の放射線画像検出器1では、消費電力の異なる2つの駆動モードを備え、画像転送する際に、コンソール3から送信される指示信号を検知し、検知された通信状態情報を基に、転送後に駆動させる駆動モードを判断してその駆動モードとなるように状態を制御することができるので、消費電力量の削減し、省電力化を図ることができる。
【0088】
その際、撮影待機モードでは、放射線画像検出器1を構成する多くの部材に電圧を印加せず、消費電力を削減することができ、省電力化を図ることができるとともに、長時間電圧が印加されることにより、劣化しやすいフォトダイオード及びTFTへの電圧印加時間を短縮させることができるので、放射線画像検出器1の長寿命化を可能とすることができる。
【0089】
したがって、放射線画像検出システム100では、切替え操作を簡易化させながらも撮影待機モードにおける消費電力の削減し、省電力化及び長寿命化を図ることが可能となる。
【0090】
なお、本実施形態では、外部機器をコンソール3とし、1つの外部機器からの指示信号に基づき、状態制御部29に駆動モードの遷移を行わせたが、複数の外部機器、例えば、コンソール3とホストコンピュータ4の両方からの指示信号に基づき、状態制御部29に駆動モードの遷移を行わせる構成としてもよい。つまり、状態制御部29は、ネットワークN上に接続されている全ての外部機器から指示信号の受信を検知することができる。
【0091】
この場合において、1つの放射線画像検出器1に対して、複数の外部機器から同時に指示信号が送信されることで、放射線画像検出器1は複数の指示信号を同時に受信する可能性があるが、予め、放射線画像検出器1の操作部21において指示信号の同時受信時に優先させる外部機器を設定しておくことで指示信号の同時受信時の駆動モードの遷移を行わせればよい。
【0092】
例えば、予め優先させる外部機器をコンソール3と設定した場合には、状態制御部29は、コンソール3からの指示信号を優先し、予め優先させる外部機器をホストコンピュータ4と設定した場合には、状態制御部29は、ホストコンピュータ4からの指示信号を優先するように構成させる。
【0093】
コンソール3からの指示信号を優先させた場合には、撮影中や撮影前後においてコンソールの近くにいることが多い操作者がコンソールから送信した指示信号を優先し、撮影状況に応じた指示信号を優先させることができる。
【0094】
一方、ホストコンピュータ4からの指示信号を優先させた場合には、ホストコンピュータ4は、コンソールの管理に関する規則に従った指示信号を送信し、例えば、コンソールが正常に動作していない場合、撮影動作を行わず、放射線画像検出器を強制的に待機させるような指示信号を送信し、ホストコンピュータが管理する装置の管理状況に応じた指示信号を優先させることができる。
【0095】
このような構成とすることで、使用状況に応じて様々な外部機器から指示信号を送信することができ、操作性をさらに向上させることができる。
【0096】
また、本実施形態では、放射線画像検出器1と、コンソール3との通信を無線通信方式としたが、ケーブルを介した有線通信方式であってもよい。
【0097】
また、通信部28を外部機器へ各種信号を送信する送信部及び外部機器からの各種信号を受信する受信部として別体に構成するなど、送信部及び受信部への電力供給をそれぞれ切り離して行ってもよい。その場合には、撮影待機モードは送信部及び受信部のうち少なくともどちらか一方へ電圧を印加した状態とすることが好ましい。
【0098】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、複数の撮影待機モードを駆動させる場合について、図9又は図10を参照して説明する。なお、第1実施形態と同様の箇所の説明は省略する。
【0099】
まず、撮影待機モードについて説明する。
本実施形態における撮影待機モードは、撮影モードよりも消費電力の少ない2つの待機モードから構成されており、撮影モードに先駆けて、光電変換層232に一定時間電圧を印加し、溜まった残留電荷を取り除く動作を行う第1の待機モードと、第1の待機モードより消費電力の少ない第2の待機モードとから構成されている。すなわち、第1の待機モードは、すぐに撮影を行う可能性が高い状態にある撮影待機モードであり、第2の待機モードは、すぐに撮影を行う可能性が低い状態にある撮影待機モードである。
【0100】
例えば、図9に示すように、撮影モードでは、信号読み出し回路237、走査駆動回路236、フォトダイオード233、TFT234、画像記憶部26、通信部27、通信部28と放射線画像検出器1を構成する全ての構成部材に電圧が印加されるように構成されているのに対し、撮影待機モードでは、少なくとも信号読み出し回路に電圧を印加しない構成とし、撮影モードへの迅速な立ち上げが可能な信号読み出し回路237を除いて全ての部分を立ち上げた状態である第1の待機モードと、少なくとも光電変換部に電圧を印加しない状態とし、画像保存や外部への転送、外部からの信号受信に関わる部分である画像記憶部26、通信部28のみを立ち上げた状態である第2の待機モードとから構成することが可能である。
【0101】
本実施形態の状態制御部29は、指示信号を基に検知される状態指示情報に基づき複数の駆動モードを制御するようになっており、前述した撮影待機モードと撮影モード間の状態遷移あるいは維持に加え、撮影待機モード間の状態遷移あるいは維持を行うように構成されている。つまり、本実施形態の状態指示情報は、第2の待機モードから第1の待機モードへの遷移、及び、第2の待機モードの維持、第1の待機モードから撮影モードへの遷移、第1の待機モードの維持、撮影モードから第1の待機モードへの遷移、撮影モードから第2の待機モードへの遷移とから構成されている。
【0102】
例えば、状態制御部29は、第2の待機モードでは、通信部28を介して指示信号を常に受信しているか検知するように構成されており、指示信号を受信すると、指示信号に基づき第2の待機モードから第1の待機モードへの遷移、及び、第2の待機モードの維持を行うように構成されている。
【0103】
また、状態制御部29は、第1の待機モードでは、通信部28を介して指示信号を常に受信しているか検知するように構成されており、指示信号を受信すると、指示信号に基づき第1の待機モードから撮影モードへの遷移、及び、第1の待機モードの維持を行うように構成されている。
【0104】
また、状態制御部29は、撮影モードでは、通信部28を介して指示信号を常に受信しているか検知するように構成されており、指示信号を受信すると、指示信号に基づき撮影モードから第1の待機モードへの遷移、及び、撮影モードから第2の待機モードへの遷移を行うように構成されている。
【0105】
なお、放射線画像検出器1では、主電源がONになると、自動的に第2の待機モードに遷移し、画像記憶部26、通信部27、通信部28に電圧を印加するように構成されている。
【0106】
次に、このような状態制御部29を備えた放射線画像検出システム100の動作について説明する。
【0107】
図10に示すように、放射線画像検出器1の主電源がONになると(ステップS21)、自動的に第2の待機モードに移行する(ステップS22)。
【0108】
第2の待機モードでは、常に画像記憶部26、通信部28を立ち上げており、状態制御部29は通信部28に指示信号が受信されていないか常に検知している(ステップS23)。
【0109】
そして、コンソール3から第2の待機モードから第1の待機モードに遷移させる指示信号を送信し(ステップS24)、この指示信号が通信部28で受信されると(ステップS23;yes)、通信部28は、状態制御部29に指示信号を転送する。状態制御部29は、コンソール3に受け取り信号を送信すると同時に、指示信号に基づき、駆動モードを第1の待機モードに切り換える(ステップS25)。
【0110】
このとき、コンソール3では、所定時間受け取り信号の受信を検知するようになっており(ステップS26)、受け取り信号の受信が検知されると(ステップS26;yes)、指示信号が放射線画像検出器1に正常に送信されたと判断し、そのまま受け取り信号の受信の検知を維持し続ける。
【0111】
そして、第1の待機モードでは、状態制御部29は、通信部28に指示信号が受信されていないか常に検知している(ステップS27)。
【0112】
そして、コンソール3から第1の待機モードから撮影モードに遷移させる指示信号を送信し(ステップS28)、指示信号が通信部28に受信されると(ステップS27;yes)、状態制御部29は、コンソール3に受け取り信号を送信すると同時に、指示信号に基づき、駆動モードを撮影モードに切り換える(ステップS29)。
【0113】
このとき、コンソール3では、所定時間受け取り信号の受信を検知するようになっており(ステップS30)、受け取り信号の受信が検知されると(ステップS30;yes)、指示信号が放射線画像検出器1に正常に送信されたと判断し、そのまま受け取り信号の受信の検知を維持し続ける。
【0114】
そして、放射線画像検出器1で撮影開始信号が受信されると(ステップS31)、制御部24は、初期化を行った後(ステップS32)、放射線照射開始信号を受信して(ステップS33)、放射線照射を行う。放射線照射が終了し、放射線照射終了信号が受信されると(ステップS34)、制御部24は駆動回路の駆動により電気信号の読み取りを行わせ(ステップS35)、読み取られた画像信号は、画像記憶部26に保存させるとともに、コンソール3へ送信させる(ステップS36)。
【0115】
このとき、コンソール3では、ホストコンピュータ4から送信される撮影要求のリストがすべて終了しているかチェックしており(ステップS37)、撮影要求のリストがすべて終了したことを確認すると(ステップS37;yes)、放射線画像検出器1からの受け取り信号の受信が検知されなくなってから所定時間が経過しているかを検知し(ステップS38)、受け取り信号の受信が検知されなくなってから所定時間が経過したことを確認して(ステップS38;yes)、放射線画像検出器1に撮影モードから第2の待機モードへ遷移させる指示信号を送信する(ステップS39)。
【0116】
そして、放射線画像検出器1の状態制御部29は、通信部28を介してコンソール3からの指示信号を検知し(ステップS40)、撮影モードから第2の待機モードへ駆動モードを遷移させ、ステップS22以降の動作が繰り返される。
【0117】
なお、ステップS23で、第2の待機モードから第1の待機モードに遷移させる指示信号が通信部28で受信されない場合には(ステップS23;no)、駆動モードを第2の待機モードに維持して、ステップS22以降の動作が繰り返される。
【0118】
また、ステップS24で、コンソール3が第2の待機モードを維持させる指示信号を送信し、ステップS23で第2の待機モードを維持させる指示信号が通信部28で受信された場合には、通信部28は、状態制御部29にこの指示信号を転送する。状態制御部29は、指示信号に基づき、駆動モードを第2の待機モードに維持したまま、コンソール3に受け取り信号を送信して、ステップS22以降の動作が繰り返される。
【0119】
また、ステップS26で、受け取り信号の受信が検知されないと判断されると(ステップS26;no)、再び放射線画像検出器1に指示信号を送信し(ステップS24)、ステップS24以降の動作が繰り返される。
【0120】
また、ステップS27で、第1の待機モードから撮影モードに遷移させる指示信号が通信部28で受信されない場合には(ステップS27;no)、駆動モードを第1の待機モードに維持して、ステップS25以降の動作が繰り返される。
【0121】
また、ステップS28で、コンソール3が第1の待機モードを維持させる指示信号を送信し、ステップS27で、第1の待機モードを維持させる指示信号が通信部28で受信された場合には、通信部28は、状態制御部29にこの指示信号を転送する。状態制御部29は、指示信号に基づき、駆動モードを第1の待機モードに維持したまま、コンソール3に受け取り信号を送信して、ステップS25以降の動作が繰り返される。
【0122】
また、ステップS30で、受け取り信号の受信が検知されないと判断されると(ステップS30;no)、再び放射線画像検出器1に指示信号を送信し、ステップS30以降の動作が繰り返される。
【0123】
また、ステップS37で、ホストコンピュータ4から送信される撮影要求のリストがすべて終了したことが確認されないと(ステップS37;no)、コンソール3は、放射線画像検出器1に撮影モードから第1の待機モードへ遷移させる指示信号を送信する(ステップS41)。
【0124】
そして、放射線画像検出器1の状態制御部29は、通信部28を介してコンソール3からの指示信号を検知し(ステップS42)、撮影モードから第1の待機モードへ駆動モードを遷移させ、ステップS25以降の動作が繰り返される。
【0125】
以上のように、本実施形態の放射線画像検出器1では、消費電力の異なる2つの撮影待機モード(第1の待機モード及び第2の待機モード)を備えることで、撮影待機モードにおいてさらに消費電力量の削減し、省電力化を図ることができる。
【0126】
その際、第1の待機モードでは、安定化に時間のかからない部材である信号読み出し回路のみに電圧を印加させないので、迅速に撮影モードに移行して、速やかに撮影を開始することができ、繰り返し撮影に対応させることができる。
【0127】
また、第2の待機モードでは、光電変換層232に長時間電圧を印加することもないので、光電変換層232の劣化を防ぐことができ、放射線画像検出器1の長寿命化を図ることもできる。
【0128】
なお、本実施形態では、画像転送後に駆動される駆動モードを第1の待機モードと第2の待機モードとしたが、コンソール3からの指示信号に基づき、第1の待機モードと撮影モードの組み合わせや第2の待機モードと撮影モードの組み合わせとする構成であっても構わない。また、コンソール3からの指示信号に基づき、第2の待機モードから直接撮影モードに遷移させる構成としても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明の第1実施形態における放射線画像検出システムの概要構成図である。
【図2】図2(a)は、放射線画像検出器の構造を示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)で囲まれた部分の放射線画像検出器の断面図である。
【図3】コンソールから指示信号が送られる時の放射線画像検出器の制御構成図である。
【図4】光電変換層を構成する光電変換部の1画素分の等価回路構成図である。
【図5】図3の光電変換部を二次元に配列した等価回路構成図である。
【図6】駆動モードの具体例を示す図である。
【図7】駆動モードの具体例を示す図である。
【図8】放射線画像検出システムの動作を示すフローチャートである。
【図9】第2実施形態における駆動モードの具体例を示す図である。
【図10】図9の放射線画像検出システムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0130】
1 放射線画像検出器
3 コンソール
4 ホストコンピュータ
8 放射線源
9 放射線源制御手段
10 操作部
11 撮像制御部
12 画像処理部
13 画像記憶部
14 表示部
15 LANボード
16 システム制御部
20 筐体
21 操作部
22 表示部
23 撮像パネル
24 制御部
25 バッテリ
26 画像記憶部
28 通信部
29 状態制御部
100 放射線画像検出システム
231 発光層
232 光電変換層
233 フォトダイオード
234 TFT
235 基板
236 走査駆動回路
237 信号読み出し回路
238 増幅器
239 バイアス電源
240 サンプルホールド回路
241 アナログマルチプレクサ
242 A/D変換機
Ll 走査線
Lr 信号線
Lb バイアス線
N ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射された放射線を検出して放射線画像情報を取得する放射線画像検出器において、
外部機器と通信を行う通信部と、消費電力量の異なる複数の駆動モードを制御する状態制御部とを備え、
前記状態制御部は、前記外部機器から送信される指示信号に基づき前記複数の駆動モードを制御することを特徴とする放射線画像検出器。
【請求項2】
前記外部機器が複数存在することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像検出器。
【請求項3】
前記指示信号の同時受信時に、予め設定された前記外部機器からの前記指示信号を優先することを特徴とする請求項2に記載の放射線画像検出器。
【請求項4】
前記予め設定された外部機器がコンソールであることを特徴とする請求項3に記載の放射線画像検出器。
【請求項5】
前記予め設定された外部機器がホストコンピュータであることを特徴とする請求項3に記載の放射線画像検出器。
【請求項6】
前記駆動モードは、撮影モードと、前記撮影モードより消費電力量が少ない撮影待機モードであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の放射線画像検出器。
【請求項7】
前記撮影待機モードは、消費電力量が異なる複数の待機モードを備えることを特徴とする請求項6に記載の放射線画像検出器。
【請求項8】
照射された放射線を検出して放射線画像情報を取得する放射線画像検出器と、指示信号を送信する外部機器とを備えた放射線画像検出システムにおいて、
前記放射線画像検出器は、前記外部機器と通信を行う通信部と、消費電力量の異なる複数の駆動モードを制御する状態制御部とを備えるとともに、
前記状態制御部は、前記通信部を介して前記外部機器から送信された指示信号に基づき、前記複数の駆動モードを制御することを特徴とする放射線画像検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−208301(P2006−208301A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−23598(P2005−23598)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】