放射線診断装置及び放射線検出装置
【課題】より多くの検出器(カメラ)を同時に実装して検出感度を上げることができ、高い分解能の画像を得ることができ、かつ、小形化が可能である放射線検出装置及び放射線診断装置を提供する。
【解決手段】 放射線検出装置は、複数の半導体カメラ(21)を有する。各カメラ(21)は、放射線(例えばガンマ線)を電気信号に変換する半導体の層で形成された画素を2次元状に配列した画素部、及び、当該各画素により検出された電気信号を処理し且つ各画素からはみ出さない状態で当該画素部と一体に形成された信号処理回路を有する検出ブロックを複数個、平面状に且つ相互に隣接して並べて配置した放射線検出器(31)と、放射線入射側に当該検出器に装着したピンホール型コリメータ(33)と、を備える。
【解決手段】 放射線検出装置は、複数の半導体カメラ(21)を有する。各カメラ(21)は、放射線(例えばガンマ線)を電気信号に変換する半導体の層で形成された画素を2次元状に配列した画素部、及び、当該各画素により検出された電気信号を処理し且つ各画素からはみ出さない状態で当該画素部と一体に形成された信号処理回路を有する検出ブロックを複数個、平面状に且つ相互に隣接して並べて配置した放射線検出器(31)と、放射線入射側に当該検出器に装着したピンホール型コリメータ(33)と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体から収集されるX線などの放射線のデータを用いて被検体の画像を生成する放射線診断装置、及び、この放射線診断装置に搭載する放射線検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の医療現場では、各種の診断装置の果たす役割は益々重要になっている。そのような診断装置の中で、心筋や脳機能の変化を収集できる核医学診断装置が脚光を浴びている。この核医学診断装置の代表的なものに、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置がある。
このSPECT装置では、従来、例えば特許文献1に見られるようにアンガー型のガンマカメラを搭載し、このガンマカメラにより被検体内に投与した核種から放射されるガンマ線を検出する構造のものが知られている。とくに、このアンガー型のガンマカメラについては、このカメラにピンホールコリメータを実装してデータ収集を行い、その収集データに複数軌道撮像法を適用して完全再構成を実現し、超高分解能(100μm程度)のSPECT画像を得られた事例の報告がある。この報告は、被検体を小動物に限定して実現したものである。
【0003】
【特許文献1】特開2001−59872号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、アンガー型ガンマカメラ(検出器)に複数軌道撮像法を適用した手法の場合、上述した超高分解能を実現するための撮像条件や装置に対する制約が厳しく、実用性に乏しいという問題に直面している。
【0005】
例えば、アンガー型ガンマカメラの固有分解能は通常、4.0mm以上と低いため、核種がTl−201線源の場合、ピンホールコリメータで拡大倍率を上げないと、上述した所望の分解能は得らない。このため、ピンホールコリメータの大形化が余儀なくされる。これにより、カメラ(検出器)全体も大形化する。このため、検出感度を上げるために、カメラを複数個、配置したいような場合でも、1個のカメラが大形あるため、配置できても、せいぜい3個までであり、それ以上の実装は難しい。
【0006】
また小動物を撮影する割には、全体のシステムは大掛かりとなり、実用上の大きな障害になっている。
【0007】
一方、小形化の観点から、ポジションセンシティブな光電子増倍管とシンチレータを組み合わせる構造のものも知られている。しかしながら、この構造の場合、位置分解能は改善するものの、小形化の割合に、分解能はそれほど良くない。このため、所望の再構成分解能を得ようとすると、実現不可能な検出器サイズが求められこともある。さらに、エネルギ分解能や画像の直線性が優れないことや、計数率特性がそれほど上げられないこと等に起因して、画質が思ったように向上しないという問題点があった。
また核医学の機能画像にX線による形態情報を重ね合わせたい場合、被検体である小動物を、X線CTシステムやX線撮影装置に移し替えないと撮影は出来ず、重ね合わせを保証するような十分に安定した画像は得にくいと言ったのが現状で、実質的にはこのような要求に答えられないのが現状である。
【0008】
本発明は、上述したSPECT装置に代表される、従来の放射線診断装置の放射線検出装置が直面している問題に鑑みてなされたもので、より多くの検出器(カメラ)を同時に実装して検出感度を上げることができ、高い分解能の画像を得ることができ、かつ、小形化が可能である放射線検出装置、及び、この放射線検出装置を搭載した放射線診断装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するため、本発明に係る放射線検出装置は、放射線を電気信号に変換する半導体の層で形成された画素を2次元状に配列した画素部、及び、当該各画素により検出された電気信号を処理し且つ各画素からはみ出さない状態で当該画素部と一体に形成された信号処理回路を有する検出ブロックを複数個、平面状に且つ相互に隣接して並べて配置した放射線検出器と、この放射線検出器の放射線入射側に当該検出器に装着したピンホール型コリメータと、を備えている。
【0010】
また、上述した目的を達成するため、本発明に係る放射線診断装置は、上述した放射線検出装置と、前記放射線検出器及び前記コリメータの組を複数個、配設した支持体と、この支持体を所定方向に回転させる回転手段と、前記複数の放射線検出器から出力された信号に基づいて被検体の画像を生成する手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、より多くの検出器(カメラ)を同時に実装して検出感度を上げることができ、高い分解能の画像を得ることができ、かつ、小形化が可能である放射線検出装置、及び、この放射線検出装置を搭載した放射線診断装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(実施形態)を説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1〜5を参照して、本発明に係る放射線診断装置としてのSPECT装置の第1の実施形態を説明する。
【0014】
このSPECT装置は、ラジオアイソトープ(RI)又はその標識化合物が生体内の特定の組織や臓器に選択的に取り込まれる性質を利用して、そのRIから放射されるガンマ線を体外から測定し、RIの線量分布を画像化する核医学診断装置である。
【0015】
図1に示すように、この第1の実施形態に係るSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置1は、ガントリ11及びコンソール12を備える。ガントリ11は、ピンホールコリメータを備えた半導体型ガンマカメラ21を複数台、備える。各ガンマカメラ21は、本発明に係る放射線検出装置に相当する。コントロール12は、ガントリ11の駆動を制御するとともに、各ガンマカメラ21により収集されたデータをSPECT画像に再構成する機能を有する。
【0016】
このうち、ガントリ11は、支持体として回転リング体22と、この回転リング体22に装着された6台のガンマカメラ21と、回転リング体22を回転自在に支持するベース23と、このベース23に装備され且つ回転リング体22を回転駆動する手段の駆動を制御する駆動装置24とを備える。これらのガンマカメラ21、回転リング体22、ベース23、及び駆動装置24はガントリカバー25に覆われている。
【0017】
回転リング体22は、所定厚さの板状部材を、回転中心を有する円環状に形成した円環部材で成る。この回転リング体22の一方の側面には、その円周に沿って、上述した6台のガンマカメラ21が一例として、等角度間隔で配設されている。回転リング体22の中央部、すなわちガントリカバー25の中央部には、寝台の天板TPを進退可能に挿入する円環状の撮像空間ISが形成される。この撮像空間ISに被検体Pとしての天板TPが挿入される。本実施形態では、この被検体Pは小型動物(マウスなど)である。
【0018】
6台のガンマカメラ21の夫々は、図2に示すように、ガンマ線やX線などの放射線を検出する半導体タイプの検出器31と、この検出器31の放射線入射面に留め具32により着脱自在に装着する視野拡大用のピンホール型コリメータ(ピンホールコリメータ)33とを備える。ピンホールコリメータ33は、モリブデン製あるいはタングステンあるいは鉛製の素材を用いて略円錐形を成すように形成され、その頂部にガンマ線を通すピンホールが1つ以上、形成されている。このコリメータの内部は、ピンホールに繋がる円錐状の空間を有し、その内部空間が検出器31の放射線入射面に開口している。この6台のガンマカメラ21は回転リング体22によって、被検体Pの周りを回りながら、被検体Pから照射されてくるガンマ線を検出する。
【0019】
各ガンマカメラ21の検出器31は、図3に示すように、被検体Pの体軸方向に相当するスライス方向と、このスライス方向に直交するチャンネル方向とを有し、この2次元面に沿って複数の多数の画素が2次元平面のアレイ状に配置された2次元検出器になっている。
【0020】
この検出器31は、かかる2次元面を複数の面に分割するように複数の検出ブロック31Jに分割され、且つ、その検出ブロック31J同士を着脱自在に結合可能になっている。
【0021】
各検出ブロック31Jは、化合物半導体から成り且つ所定サイズ(例えば数センチ×数センチ)の層状の半導体セルSと、この半導体セルSの放射線入射面を電圧印加用の荷電電極E1で覆うとともに、この半導体セルSの放射線入射面に反対側の面を2次元アレイ状(碁盤目状)に分割した複数の集電電極E2で覆うモノリシック構造を有する。この集電電極E2が各画素に対応している。この半導体セルSの材料としては、テルル化カドミウム半導体(CdTe半導体)、カドミュームジンクテルライド半導体(CdZnTe半導体)、シリコン半導体(Si半導体)などが用いられる。電極E1,E2には、Pt(白金)が使用される。
【0022】
荷電電極E1には例えば数十V〜数百V程度の比較的高い電圧が印加される。これにより、半導体セルSに入射した放射線(X線やガンマ線)光子に因り、その内部に電子と正孔の対が発生し、このうちの電子が相対的に正電位の集電電極E2それぞれに集められ、この電子による電荷がパルス状の信号として検知される。つまり、放射線入射面に入射したX線は電気量のパルス信号に直接、変換される。
【0023】
碁盤目状に分割された複数の電極E2それぞれのサイズにより、X線に対する収集画素のサイズが決まる。このサイズは、X線を光子(粒子)として検出することが可能な十分小さい値になっている。これにより、フォトンカウンティング(光子計数)が可能な検出器31が構成され、その全体では所定数個でかつマトリクス状の収集画素チャンネルが形成されている。
【0024】
本実施形態において、放射線をその粒子として検出可能なサイズとは、「放射線粒子が同一位置又はその近傍に複数個連続して入射したときの各入射に応答したパルス信号間の重畳現象の発生を実質的に無視可能なサイズ」であると定義される。この重畳現象が発生すると、放射線粒子の「入射数対実際の計測数」の特性に放射線粒子の数え落とし特性が発生する。このため、検出器31に形成する収集画素のサイズは、この数え落とし特性が発生しない又は実質的に発生しないとみなせる大きさに設定されている。
【0025】
これにより、検出器31に入射した放射線は、X線粒子(すなわちX線光子)として一定時間毎に計数され、光子エネルギに応じたアナログ量の検出信号が画素毎に出力される。この各画素の検出信号は、同じ検出器31の半導体セル(センサ)の裏面にASIC層(特定用途向け集積回路)として作り込まれたデータ収集回路113に送られる。
【0026】
このデータ収集回路113は、図4に示すように、検出器31の各収集画素を成す半導体セルSに応じて、各チャンネルのデータ収集回路部Cが形成されている。この各データ収集回路部Cは、半導体セルS(センサ)から出力されたアナログ量の電気信号を受けるチャージアンプ41を有し、このチャージアンプ41の後段に、波形整形回路42、多段の比較器143、エネルギ領域振分け回路144、多段のカウンタ145、重み付け回路146、及び加算回路147を順次備える。つまり、各収集画素に対するデータ収集チャンネルを成す、それらの回路42、143、144、145、146及び147が検出器31と一体に形成されている。
【0027】
図4に示す各データ収集チャンネルにおいて、チャージアンプ41は、半導体セルSの各集電電極E2に接続され、放射線粒子の入射に応答して集電される電荷をチャージアップして電気量のパルス信号として出力する。このチャージアンプ41の出力端は、ゲイン及びオフセットが調整可能な波形整形回路42に接続されており、検知したパルス信号の波形を、予め調整されているゲイン及びオフセットで処理して波形整形する。この波形整形回路42のゲイン及びオフセットは、半導体セルSの収集画素毎の電荷チャージアップ特性に対する不均一性を考慮した調整パラメータである。収集画素チャンネル毎の波形整形回路42のゲイン及びオフセットをキャリブレーション作業にて事前に調整しておくことにより、かかる不均一性を排除した波形整形を行うことができる。この結果、各データ収集チャンネルの波形整形回路42から出力された、波形整形済みのパルス信号は実質的に入射γ線粒子のエネルギ量を反映した特性を有することになり、収集画素チャンネル間のかかるばらつきは殆ど解消される。
【0028】
波形整形されたパルス信号は、多段の比較器143に送られる。この多段の比較器143は、波形整形回路42の出力端に互いに並列に接続された第1の比較器1431、第2の比較器群1432、及び第3の比較器1433を備える。さらに、第2の比較器群1432は、波形整形回路42の出力端に互いに並列に接続された1段目比較器14321、2段目比較器14322、及び3段目比較器14323を備える。これにより、波形整形回路42の出力信号は、全ての比較器の非反転入力端に並列に出力される。
【0029】
この比較器1431〜1433の反転入力端のうち、第1の比較器1431の反転入力端にはエネルギ領域弁別用の基準値TH1が与えられ、第2の比較器群1432のうちの1段目比較器14321、2段目比較器14322、及び3段目比較器14323の反転入力端には基準値TH2、TH21、TH22がそれぞれ与えられ、さらに、第3の比較器1433の反転入力端には基準値TH3が与えられている。これらの基準値には、TH1<TH2<TH21<TH22<TH3の大小関係が設定されており、このうちの基準値TH1,TH2,TH3により、図5(A)に示す如く、低エネルギ側から順に計測不能領域、エネルギ領域1、エネルギ領域2、及びエネルギ領域3が設定されている。さらに、基準値TH21およびTH22を基準値TH1、TH3の間に設定することにより、中間のエネルギ領域2が更にその低エネルギ側から順に3つのサブエネルギ領域21,22,23に分割されるようになっている。この中間のエネルギ領域2は、通常、検出器113の各収集画素の位置に入射するガンマ線のエネルギースペクトルのフォトピークPKが入るように設定される。
【0030】
この比較器1431〜1433で比較された結果はエネルギ領域振分回路144にそれぞれ送られる。このため、この振分回路144により、検出器31の各収集画素に入射したガンマ線(粒子と見做す)がどのエネルギ領域1(〜3)(およびサブエネルギ領域21(〜23)に分類されるのかについて最終的に確定される。
【0031】
複数のカウンタ145は、低エネルギ側及び高エネルギ側のエネルギ領域1,3および中間のサブエネルギ領域21,22,23のそれぞれ各別に対応した複数のカウンタ145(:1451,14521,14522,14523,1453)から成る。このため、各カウンタ145は、エネルギ領域振分回路145からの出力される、粒子と見做したガンマ線の担当エネルギ領域に入ったことを示す信号を受け、この信号がオンのときには、カウントアップする。この複数のカウンタ145の計数データは重み付け回路146に送られる。
【0032】
この重み付け回路146には、図5(B)に示すように、エネルギ領域1,3および中間のサブエネルギ領域21,22,23のそれぞれに応じて、重み付け係数Wが与えられている。この重み付け係数Wは、それらの領域毎に割り当てられるW1、W2,W3,W4,W5の5個から成り、本実施形態では、W5≦W1<W2<W3<W4の関係に設定されている。低エネルギ側のエネルギ領域1には重み付け係数W1が割り当てられ、中間のエネルギ領域2の1段目〜3段目のサブエネルギ領域21,22,23には重み付け係数W2〜W4がこの順に割り当てられ、そして、高エネルギ側のエネルギ領域3には重み付け係数W5が割り当てられている。このうち、高エネルギ側のエネルギ領域3に割り当てる重み付け係数W5は、本実施形態では、W5=0にしているが、W5はおよそ0であってもよい。また、W1=0であっても良い。
【0033】
この結果、重み付け回路146では、エネルギ領域毎に、ガンマ線の粒子数の計数データ(計数値)に、与えられた重み付け計数Wが乗算されて重み付けされる。この重み付けされた計数データは加算回路147に送られ、その加算回路147で相互に加算される。これにより、各収集画素のSPECT画像生成用のデータが得られ、このデータがコンソール12に送られる。
【0034】
コンソール12は、図1に示すように、入出力インターフェース51、再構成装置52、記憶装置53、制御装置54、表示器55、及び入力器56を備え、これらのユニットがバス57により相互に通信可能に接続されている。このため、再構成装置52は、コンソール12に入力したデータに適宜なアルゴリズムの再構成処理を施し、SPECT画像を得ることができる。このSPECT画像のデータは記憶装置53に格納されるとともに、表示器55に表示される。入力器56はオペレータが必要な上述をシステムに与えるために使用される。制御装置54は、ガントリ11の駆動を含むシステム全体の制御を担っている。
【0035】
以上のように、本実施形態に係るSPECT装置1は、その放射線検出装置としての複数のガンマカメラ21を備えている。各ガンマカメラ21は、半導体セルS、電極E1,E2、及びチャージアンプなどのデータ収集回路113が一体化したモノリシック構造になっていることから、各収集画素を0.5mmx0.5mm以下の画素サイズまで微細化できるとともに製造コストを低下させることができる。また回路実装スペースと回路からの発熱量、設計に関わるコストなどのバランスを総合すると約0.3mmx0.3mm〜0.35mmx0.35mm程度の画素形成までは十分に可能と判断される。
【0036】
また、核種がTI−201の場合、従来のアンガー型検出器ではFWHM(半値全幅)=4.5mm程度の分解能であるのに対し、本実施形態に係るガンマカメラ21は画素が0.5mmx0.5mmの場合FWHMが約0.56mmの分解能を達成できる。このため、ピンホール径を拡大して、検出感度を上げることもできる。
【0037】
また、1mm角当たりの計数特性として、100Kcps以上の値を達成できる。この超高計数特性によって、検出するアイソトープ強度が増加する。
【0038】
さらに、ピンホールコリメータ33を含めたガンマカメラ21を、従来のアンガー型カメラに比べて、大幅に小形化及び軽量化させることができる。例えば、従来のアンガー型検出器とピンホールコリメータとを組み合わせた構造の検出装置の場合、重量250〜300kgもの重量であったものが、CdTe半導体検出器とピンホールコリメータとを組み合わせた、本実施形態に係る構造のガンマカメラの場合、重量は10kg以下にまで軽量化できる。この結果、多検出器化を容易に推し進めることができる。
【0039】
このように分解能を上げるとともに、検出器系の小形化及び軽量化を実現できる。この結果、動物実験レベルで超高分解能及び高感度の動態解析を実現して、創薬支援に多大な貢献が可能になる。
【0040】
一方、本実施形態のSPECT装置1にあっては、ガンマ線を光子(粒子)と見做してその光子数を計数する光子計数型(フォトンカウンティング型)の信号処理回路を行っているので、これに拠る作用効果も得られる。SPECT装置では、温度や磁場の影響を受けて、その検出特性にドリフトを生じることがあるが、そのようなドリフトの影響を最小限に抑えることができる。具体的には、かかるドリフト現象が発生すると、図5(A)の矢印Dで示すように、計数値のピーク(フォトピーク)が横軸方向に移動して、この移動量による計数値曲線の変化を無視できないこともある。これは、SPECT画像のアーチファクトの原因ともなり、散乱線を多く含む画像の場合、そのようなドリフト現象の影響を受け易い。これに対して、本実施形態によれば、フォトピークが入るであろう中間のエネルギ領域2(サブエネルギ領域21(〜23))はより細かく分割してフォトンカウンティング及び重み付けを行い、かつ、高エネルギ側のエネルギ領域3は急落させた重み付係数=0で重み付けを行なっている。
【0041】
これにより、以下のような利点が得られる。核医学では散乱線にも位置情報がある程度含まれている。このため、中間のエネルギ領域2及び低エネルギ側のエネルギ領域1に設定した段階的に細かく変化させた重み付け係数W1〜W4で、その情報を取り込むとともに、高エネルギ側のエネルギ領域3に設定した重み付け係数W5=0で、ドリフト現象により高エネルギ側に移動した係数値曲線を補正することができ、散乱線を除去したのと似た効果が得られる。また、これにより、SPECT画像のドリフトに因るアーチファクトを低減させることができる一方で、統計的なノイズの増大も極力回避でき、より高品質で安定したSPECT画像を提供することができる。
【0042】
なお、核医学診断装置の場合、通常、RIからの放射線のエネルギ値を連続的な値として計測することができるので、この値に乗算する重み付け係数を連続的に変えることもできる。この場合には、デジタル値で出力されるエネルギ値そのものが、各ウインドウで比較された結果であると解釈できる。
【0043】
エネルギ領域の分別は前述したように必ずしも3つのエネルギ領域1〜3に限定する必要な無く、閾値を2つとする3つ以上の、任意数の分別領域を設定してもよい。
【0044】
(第2の実施形態)
図6〜8を参照して、本発明の第2の実施形態に係る放射線診断装置を説明する。なお、この第2の実施形態及びそれ以降の実施形態の説明において、前述した第1の実施形態の構成要素と同一又は同等の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略又は簡略化する。
【0045】
この第2の実施形態は、特に、大型の被検体の撮像に好適なSPECT装置に係り、その縮小投影と呼ばれる撮像に関する。
【0046】
図6には、この縮小投影の概念を、SPECT装置1のガントリ11について示している。このガントリ11には、同図に示すように、放射線検出装置としての6台のガンマカメラ21を備える。このガンマカメラ21の夫々は、回転リング体22の径方向に沿って、すなわち、天板TPに置かれた被検体Pから遠ざかる方向に移動可能に構成されている。
【0047】
この移動を可能にするため、図7に示すように、各ガンマカメラ21は回転リング体22の側面に例えばリニアガイド61を介して取り付けられている。このリニアガイド61は、図示しないが、コンソール12の制御装置54から駆動信号を受け取って駆動するようになっている。
【0048】
このため、被検体Pが例えば小型動物から大型動物や人間に変わった場合、操作者は、その大きさに合わせた縮小投影を行なうようにコンソール12の入力器56を操作する。これにより、ガンマカメラ21はそれぞれ、ガントリ11の径方向の外側、つまり、被検体Pから離れる方向に適宜な距離だけ移動して、縮小投影に基づく撮像が行なわれる。
【0049】
例えば図8に示すように、小型動物の場合には、被検体Pまでの距離がAであってものが、大型動物の場合には、その全体が、各ガンマカメラ21のピンホールコリメータ33の視野内に収まるように距離B(>A)に変更される。このように、ガンマカメラ21を被検体Pから更に離間させることで、ガンマカメラ21の視野を拡大し、この視野拡大分だけ縮小したSPECT画像を得ることができる。この縮小投影によって解像度は低下するものの、半導体検出器31とピンホールコリメータ33との組み合わせであるので、従来のSPECT像よりも優れた解像度を確保することできる。
【0050】
好適な一例として、ピンホールコリメータ33で被検体P(人体)を少なくとも1/6以上に圧縮(縮小)投影し、少なくとも人体の所望臓器のSPECT再構成分解能がFWHM(半値全幅)=7mm以下の値を確保することである。
【0051】
その他の作用効果は、第1の実施形態で説明したものと同等のものが得られる。
【0052】
なお、本実施形態において、マルチ検出器システムを成す放射線検出装置としての複数のガンマカメラ21の数は、図6に示した6台に限定されることなく、従来のアンガー型検出装置がせいぜい3台であったことを考慮して、4台以上の適宜な数まで増加させることができる。
【0053】
(第3の実施形態)
図9、10を参照して、本発明に係る放射線診断装置の第3の実施形態を説明する。
【0054】
この第3の実施形態に係る放射線診断装置は、SPECT装置とX線CT装置に対する両検出装置の機能を1台のガントリで済ますことができる複合型の放射線検出装置を備える。このため、この放射線診断装置(兼用機)もSPECT装置及びX線CT装置として選択的に機能することができる。
【0055】
この複合型放射線検出装置の概要を図9に示す。同図に示すように、この放射線検出装置71にあっては、回転リング体22に前述したガンマカメラ21が例えば6台隣接して配置される。各ガンマカメラ21のピンホールコリメータ33の視野は、天板TPに置かれた被検体P(例えば大型動物)の全体をカバーするように配置あれる。一方、回転リング体22における、それら6台のガンマカメラ21に対向する位置には、X線管72が配置されている。このため、X線管72は、図示しない高電圧電源装置から供給されるパルス高電圧を受けて、X線を被検体Pに向けて照射可能になっている。さらに、X線管72にはX線遮蔽体73を着脱自在に装着できるようになっている。
【0056】
なお、このように6台のガンマカメラ21を隙間無く相互に隣接させて配置するので、6台のピンホールコリメータ33を最初から一体構造で製造するようにしてもよい。
【0057】
以上によって、本実施形態にあっては、放射線検出装置をSPECT装置用の検出装置として機能させる場合、図9に示すように、各ガンマカメラ21にピンホールコリメータ33を装着し、かつ、X線管72にX線遮蔽体73を装着した状態にする。この状態で、回転リング体22を被検体Pの回りに回転させながら、各ビューにおける、被検体Pから放射されるガンマ線をガンマカメラ21に検出させる。これにより、6台のガンマカメラ21の収集データに基づいてSPECT像が再構成される。
【0058】
これに対し、この放射線検出装置をX線CT装置として機能させる場合、図10に示すように、各ガンマカメラ21からピンホールコリメータ33を外し、かつ、X線管72からX線遮蔽体73を外した状態にする。これにより、6台のガンマカメラ21は、その全体を、スライス方向及びチャンネル方向に沿って画素配列した2次元X線検出器として機能させることができる。したがって、回転リング体22を回転させながら(矢印A参照)、各ビューにて、X線管72から照射され且つ被検体Pから透過してきたX線のデータを収集することができる。
【0059】
このデータ収集時の回転は多回転とし、かつ、その回転毎に、X線管72に対する6台のカメラ21の相対的な位置を回転リング体22の円周方向(矢印B参照)で微小距離ずつスライドさせながらビューデータを収集する。これにより、複数のカメラ21を相互に隣接配置したことに伴うカメラ間の隙間に存在するデータをも収集でき、X線CT像を完全再構成することができる。この周方向のスライドは、一例として、前述した図7に示す回転リング体22とリニアガイド61との間に別のリニアガイドをそのリニアガイド61に直交させて配置して、コンソールからの制御手段に応答して駆動させればよい。
【0060】
このため、コンソール12の再構成装置52は適宜な再構成アルゴリズムを用いて、かかるビームデータからX線CT像を再構成することができる。
【0061】
このX線CT装置として機能させる場合には、図10に示すように、更に、X線管72の前面にスリットコリメータ74を配置することが望ましい。このスリットコリメータ74に形成するスリットは、各カメラ21(X線検出器)のX線入射面にのみX線が照射されるように位置決めされ、X線管72と一体に装着される。これにより、カメラ21のX線入射面が存在しない場所へのX線照射や遮断されるので、被検体PへのX線被曝量を低減させることができる。
【0062】
このように本実施形態に係る放射線検出装置は、SPECT装置とX線CT装置とに共用することができるので、その利用価値は高まる。つまり、放射線診断装置をSPECT装置として用いて被検体Pの機能画像を得ることができるとともに、そのSPECT撮影からX線CT撮影にそのまま移行して、形態画像を得ることができる。被検体Pを動かすこと無く、各ピンホールコリメータ33を検出器31から取り外し、またX線遮蔽体73を取り外して、制御パラメータをX線CT用に変更して行なうことができる。X線CT像(形態画像)を先に収集する場合、ピンホールコリメータ33及びX線遮蔽体73の着脱は上述とは逆になる。
【0063】
このため、被検体Pの機能画像と形態画像を同じジオメトリのまま一気に撮影することができ、撮影に要する操作者の労力低減と撮影効率の向上とを図ることができる。
【0064】
なお、隣接配置する複数のガンマカメラ21(X線検出器)は必ずしも6台に限定されるものではなく、2台以上の適宜な数であればよい。
【0065】
(変形例)
図11に、上述した第3の実施形態の変形例を示す。この変形例は、前述したガンマカメラ21を1台又は少数台をピンホールコリメータを外して用い、小動物などの被検体PのX線CT像(形態画像)を得るときのジオメトリを示している。このときの、ガンマカメラ(X線検出器)21は、第3の実施形態で説明した6台のガンマカメラ21のうちの一部であってもよいし、この1台又は少数台のガンマカメラ21のみを設置したカメラ構成であってもよい。このガンマカメラ21をSPECT装置及びX線CT装置として用いるときのピンホールコリメータ及びX線遮幣体の用い方は、第3実施形態のものと同様である。
【0066】
以上、上述した各種の実施形態の利点をまとめると以下のようになる。
【0067】
まず、アンガー型検出器をCdTe製の微細画素を持つ半導体検出器に置き換えた、画素が精細であるが故に、同一な幾何学的な設計を行なったピンホールコリメータで、検出器のサイズがアンガー検出器より1/8〜1/10のサイズ(重量からの観点では1/30以下)で実現できるシステムを構築できる。このことにより、検出器系の大幅な小型化と、それに伴い従来実装が難しかった4個以上の複数個の検出器を被検体の周りに設置することが可能となる。したがって、感度の大幅な向上をもたらすことができる。
【0068】
また、半導体検出器がX線源のフラックス強度も十分に計数可能に設計されていることに拠って、X線管電流を1mA前後と通常のX線CTの1/100前後のフラックス強度にしか耐えられないまでも、30秒前後の収集時間で十分に正確なCT画像が得られるような計数特性を有することができる。これにより、小動物に必要な分解能(CT分解能が150〜250μm)のCT画像も撮影できるのが大きな特徴である。この結果、形状の小形化、高分解能化、及び、精細なCT画像を提供できる。このため、必要な動物実験が真に実施し易いシステムとなる。
【0069】
また、現状の人間用X線CTの検出器のピクセルサイズは最高でも1.0mm前後であるのに対して、上述した実施形態では0.35mm程度にまで微細化できる。このため、最高水準のCT分解能を得られ、かつ、計測をフォトンカウンティングの手法で行なうため、従来の積分型の検出器と比較して、X線被爆線量を低減できるほか、画像のコントラスト分解能も向上する。
【0070】
さらに、この人間用のX線CT装置の構成で小動物のCT撮影を行なえば、本来の画素に、微細化による効果と、X線管を動物側に近づけることに拠る拡大効果も得られる。この結果、前述した150μmの分解能が10〜50μm程度まで向上させることができ、圧倒的な高分解能を実現できる。この高分解能な性能が得られる理由として、下記事項が挙げられる。
【0071】
(1)特性が安定している、Pt−Pt電極に拠るオーム接触(Ohmic Contact)構造のCdTe検出器を採用している。エネルギの吸収係数が高く、安定な結晶が提供可能である。
【0072】
(2)Monolithic構造であり製造の容易性がある。
【0073】
(3)各画素が0.5mm角以下のサイズで構成され、かつ、各プリアンプが各CdTe結晶の真下で且つ各画素をはみ出さないように構成される。
【0074】
(4)上記構造の検出器がモジュール構造に構成され、任意の大きさの検出器を構成することが可能となる。
【0075】
(5)各画素の計数特性が25kcps以上に設計され、かつ核医学に必要なエネルギ分解能(例えばTl−201で15%以下)を実現している。この計数特性は100kcps/mm2で、十分とは言えないが、X線CTを撮影するに十分な性能である。
【0076】
(6)半導体のエネルギ描出能力はピクセルの大きさとエネルギを止める方向の厚みの関係で決まる。これが最適化されていないとチャージシェアリングというイオン化された信号が隣接ピクセルに漏れる現象が発生する。しかしながら、前述した検出器は画素サイズが0.35〜0.5で厚みが0.5〜2.0mm程度であり、チャージシェアリングが発生しないように設計されているため、核医学で良く使うTl−201で90%を超える感度、Tc−99mで50%前後の感度を実現できる。
【0077】
なお、本発明は、小動物の実験のみならず、人間の頭部の超高分解能SPECTや全身SPECT,マンモSPECTなどにも応用することは可能である。例えば、0.35μm程度の画素を構成し、視野サイズが44mm程度とすれば、15倍程度にピンホールコリメータを使って拡大できる。このため、ピンホールの穴の大きさによる位置分解能の劣化を加味したとしても、FWHMで7mm以下のSPECT分解能を得ることは可能ある。しかも、そのときの視野は最大で66cmと十分に人体全体が検出器視野の中にはいるような設定となり、いわゆるトランケーションエラーのない再構成が可能となる。頭部に至っては直径で22cm程度なので、7倍程度の拡大率で、頭部全体にトランケーションエラーの無いデータ収集ができる。このため、FWHMで3.0mm以下の再構成分解能が得られ、現状の最高のSPECT分解能よりも高い性能が実現できる。このように目的臓器に応じて視野と分解能のバランスを得てしかも、もっと大臓器の分解能でも最高の分解能と感度を得られるのは、卓越した性能と自由度があるといえる。
【0078】
その他、検出器が小さくても大視野までカバーできる。半導体検出器を単純に大視野化すると、製品としては採用しにくいコストになり、実用化の観点で非現実的なあった。しかし、小形の検出器は比較的製造性が高く、多検出器化することで、量産効果も生まれ易い。このため、一気に製品化可能なレベルに検出器のコストが至ると考えられる。
【0079】
このように、本検出器を採用したピンホールSPECT装置とX線CT装置の兼用機として、小動物のマイクロCTから人間用CTまで対応可能で、かつCTスキャナを併せ持ち、形態情報との照合まで可能な柔軟性の高いシステムを提供できる。
【0080】
なお、本発明は上述した実施形態及び変形例で示す構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の本発明の要旨を逸脱しない範囲で、さらに適宜に変形して実施可能であり、それらの変形も本発明の概念に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る放射線診断装置としてのSPECT装置の概略構成を示す図。
【図2】ガンマカメラの装着を説明する図。
【図3】ガンマカメラにおけるピンホールコリメータと検出器の概要を示す斜視図。
【図4】SPECT装置のガンマ線検出器及びデータ収集回路を中心とした電気的な概略構成を示すブロック図。
【図5】SPECT装置で設定するエネルギ領域及び重み付け係数と、ガンマ線のフォトンカウンティングされた計数値曲線の重み付け処理を説明する図。
【図6】本発明の放射線診断装置の第2の実施形態に係るSPECT装置の放射線検出装置のジオメトリを説明する図。
【図7】第2の実施形態に係る縮小投影のための機構を説明する図。
【図8】縮小投影の原理を説明する図。
【図9】本発明の放射線診断装置の第3の実施形態に係るSPECT装置とX線CT装置との兼用機の搭載する放射線検出装置のジオメトリを説明する図(兼用機をSPECT装置としての使用を説明する図)。
【図10】第3の実施形態において兼用機をX線CT装置としての使用を説明する図。
【図11】第3の実施形態の変形例に係る、サイズが小さい被検体に対する兼用機のX線CT装置としての使用を説明する図。
【符号の説明】
【0082】
1 SPECT装置(放射線診断装置)
11 ガントリ
12 コンソール
21 ガンマカメラ
22 回転リング体
23 ベース
24 駆動装置
31 検出器
32 留め具
33 ピンホールコリメータ
61 リニアガイド
71 複合型放射線検出装置
71 X線管
73 X線遮蔽体
P 被検体
S 半導体セル
E1、E2 電極
AS ASIC層
C データ収集回路部
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体から収集されるX線などの放射線のデータを用いて被検体の画像を生成する放射線診断装置、及び、この放射線診断装置に搭載する放射線検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の医療現場では、各種の診断装置の果たす役割は益々重要になっている。そのような診断装置の中で、心筋や脳機能の変化を収集できる核医学診断装置が脚光を浴びている。この核医学診断装置の代表的なものに、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置がある。
このSPECT装置では、従来、例えば特許文献1に見られるようにアンガー型のガンマカメラを搭載し、このガンマカメラにより被検体内に投与した核種から放射されるガンマ線を検出する構造のものが知られている。とくに、このアンガー型のガンマカメラについては、このカメラにピンホールコリメータを実装してデータ収集を行い、その収集データに複数軌道撮像法を適用して完全再構成を実現し、超高分解能(100μm程度)のSPECT画像を得られた事例の報告がある。この報告は、被検体を小動物に限定して実現したものである。
【0003】
【特許文献1】特開2001−59872号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、アンガー型ガンマカメラ(検出器)に複数軌道撮像法を適用した手法の場合、上述した超高分解能を実現するための撮像条件や装置に対する制約が厳しく、実用性に乏しいという問題に直面している。
【0005】
例えば、アンガー型ガンマカメラの固有分解能は通常、4.0mm以上と低いため、核種がTl−201線源の場合、ピンホールコリメータで拡大倍率を上げないと、上述した所望の分解能は得らない。このため、ピンホールコリメータの大形化が余儀なくされる。これにより、カメラ(検出器)全体も大形化する。このため、検出感度を上げるために、カメラを複数個、配置したいような場合でも、1個のカメラが大形あるため、配置できても、せいぜい3個までであり、それ以上の実装は難しい。
【0006】
また小動物を撮影する割には、全体のシステムは大掛かりとなり、実用上の大きな障害になっている。
【0007】
一方、小形化の観点から、ポジションセンシティブな光電子増倍管とシンチレータを組み合わせる構造のものも知られている。しかしながら、この構造の場合、位置分解能は改善するものの、小形化の割合に、分解能はそれほど良くない。このため、所望の再構成分解能を得ようとすると、実現不可能な検出器サイズが求められこともある。さらに、エネルギ分解能や画像の直線性が優れないことや、計数率特性がそれほど上げられないこと等に起因して、画質が思ったように向上しないという問題点があった。
また核医学の機能画像にX線による形態情報を重ね合わせたい場合、被検体である小動物を、X線CTシステムやX線撮影装置に移し替えないと撮影は出来ず、重ね合わせを保証するような十分に安定した画像は得にくいと言ったのが現状で、実質的にはこのような要求に答えられないのが現状である。
【0008】
本発明は、上述したSPECT装置に代表される、従来の放射線診断装置の放射線検出装置が直面している問題に鑑みてなされたもので、より多くの検出器(カメラ)を同時に実装して検出感度を上げることができ、高い分解能の画像を得ることができ、かつ、小形化が可能である放射線検出装置、及び、この放射線検出装置を搭載した放射線診断装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するため、本発明に係る放射線検出装置は、放射線を電気信号に変換する半導体の層で形成された画素を2次元状に配列した画素部、及び、当該各画素により検出された電気信号を処理し且つ各画素からはみ出さない状態で当該画素部と一体に形成された信号処理回路を有する検出ブロックを複数個、平面状に且つ相互に隣接して並べて配置した放射線検出器と、この放射線検出器の放射線入射側に当該検出器に装着したピンホール型コリメータと、を備えている。
【0010】
また、上述した目的を達成するため、本発明に係る放射線診断装置は、上述した放射線検出装置と、前記放射線検出器及び前記コリメータの組を複数個、配設した支持体と、この支持体を所定方向に回転させる回転手段と、前記複数の放射線検出器から出力された信号に基づいて被検体の画像を生成する手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、より多くの検出器(カメラ)を同時に実装して検出感度を上げることができ、高い分解能の画像を得ることができ、かつ、小形化が可能である放射線検出装置、及び、この放射線検出装置を搭載した放射線診断装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(実施形態)を説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1〜5を参照して、本発明に係る放射線診断装置としてのSPECT装置の第1の実施形態を説明する。
【0014】
このSPECT装置は、ラジオアイソトープ(RI)又はその標識化合物が生体内の特定の組織や臓器に選択的に取り込まれる性質を利用して、そのRIから放射されるガンマ線を体外から測定し、RIの線量分布を画像化する核医学診断装置である。
【0015】
図1に示すように、この第1の実施形態に係るSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置1は、ガントリ11及びコンソール12を備える。ガントリ11は、ピンホールコリメータを備えた半導体型ガンマカメラ21を複数台、備える。各ガンマカメラ21は、本発明に係る放射線検出装置に相当する。コントロール12は、ガントリ11の駆動を制御するとともに、各ガンマカメラ21により収集されたデータをSPECT画像に再構成する機能を有する。
【0016】
このうち、ガントリ11は、支持体として回転リング体22と、この回転リング体22に装着された6台のガンマカメラ21と、回転リング体22を回転自在に支持するベース23と、このベース23に装備され且つ回転リング体22を回転駆動する手段の駆動を制御する駆動装置24とを備える。これらのガンマカメラ21、回転リング体22、ベース23、及び駆動装置24はガントリカバー25に覆われている。
【0017】
回転リング体22は、所定厚さの板状部材を、回転中心を有する円環状に形成した円環部材で成る。この回転リング体22の一方の側面には、その円周に沿って、上述した6台のガンマカメラ21が一例として、等角度間隔で配設されている。回転リング体22の中央部、すなわちガントリカバー25の中央部には、寝台の天板TPを進退可能に挿入する円環状の撮像空間ISが形成される。この撮像空間ISに被検体Pとしての天板TPが挿入される。本実施形態では、この被検体Pは小型動物(マウスなど)である。
【0018】
6台のガンマカメラ21の夫々は、図2に示すように、ガンマ線やX線などの放射線を検出する半導体タイプの検出器31と、この検出器31の放射線入射面に留め具32により着脱自在に装着する視野拡大用のピンホール型コリメータ(ピンホールコリメータ)33とを備える。ピンホールコリメータ33は、モリブデン製あるいはタングステンあるいは鉛製の素材を用いて略円錐形を成すように形成され、その頂部にガンマ線を通すピンホールが1つ以上、形成されている。このコリメータの内部は、ピンホールに繋がる円錐状の空間を有し、その内部空間が検出器31の放射線入射面に開口している。この6台のガンマカメラ21は回転リング体22によって、被検体Pの周りを回りながら、被検体Pから照射されてくるガンマ線を検出する。
【0019】
各ガンマカメラ21の検出器31は、図3に示すように、被検体Pの体軸方向に相当するスライス方向と、このスライス方向に直交するチャンネル方向とを有し、この2次元面に沿って複数の多数の画素が2次元平面のアレイ状に配置された2次元検出器になっている。
【0020】
この検出器31は、かかる2次元面を複数の面に分割するように複数の検出ブロック31Jに分割され、且つ、その検出ブロック31J同士を着脱自在に結合可能になっている。
【0021】
各検出ブロック31Jは、化合物半導体から成り且つ所定サイズ(例えば数センチ×数センチ)の層状の半導体セルSと、この半導体セルSの放射線入射面を電圧印加用の荷電電極E1で覆うとともに、この半導体セルSの放射線入射面に反対側の面を2次元アレイ状(碁盤目状)に分割した複数の集電電極E2で覆うモノリシック構造を有する。この集電電極E2が各画素に対応している。この半導体セルSの材料としては、テルル化カドミウム半導体(CdTe半導体)、カドミュームジンクテルライド半導体(CdZnTe半導体)、シリコン半導体(Si半導体)などが用いられる。電極E1,E2には、Pt(白金)が使用される。
【0022】
荷電電極E1には例えば数十V〜数百V程度の比較的高い電圧が印加される。これにより、半導体セルSに入射した放射線(X線やガンマ線)光子に因り、その内部に電子と正孔の対が発生し、このうちの電子が相対的に正電位の集電電極E2それぞれに集められ、この電子による電荷がパルス状の信号として検知される。つまり、放射線入射面に入射したX線は電気量のパルス信号に直接、変換される。
【0023】
碁盤目状に分割された複数の電極E2それぞれのサイズにより、X線に対する収集画素のサイズが決まる。このサイズは、X線を光子(粒子)として検出することが可能な十分小さい値になっている。これにより、フォトンカウンティング(光子計数)が可能な検出器31が構成され、その全体では所定数個でかつマトリクス状の収集画素チャンネルが形成されている。
【0024】
本実施形態において、放射線をその粒子として検出可能なサイズとは、「放射線粒子が同一位置又はその近傍に複数個連続して入射したときの各入射に応答したパルス信号間の重畳現象の発生を実質的に無視可能なサイズ」であると定義される。この重畳現象が発生すると、放射線粒子の「入射数対実際の計測数」の特性に放射線粒子の数え落とし特性が発生する。このため、検出器31に形成する収集画素のサイズは、この数え落とし特性が発生しない又は実質的に発生しないとみなせる大きさに設定されている。
【0025】
これにより、検出器31に入射した放射線は、X線粒子(すなわちX線光子)として一定時間毎に計数され、光子エネルギに応じたアナログ量の検出信号が画素毎に出力される。この各画素の検出信号は、同じ検出器31の半導体セル(センサ)の裏面にASIC層(特定用途向け集積回路)として作り込まれたデータ収集回路113に送られる。
【0026】
このデータ収集回路113は、図4に示すように、検出器31の各収集画素を成す半導体セルSに応じて、各チャンネルのデータ収集回路部Cが形成されている。この各データ収集回路部Cは、半導体セルS(センサ)から出力されたアナログ量の電気信号を受けるチャージアンプ41を有し、このチャージアンプ41の後段に、波形整形回路42、多段の比較器143、エネルギ領域振分け回路144、多段のカウンタ145、重み付け回路146、及び加算回路147を順次備える。つまり、各収集画素に対するデータ収集チャンネルを成す、それらの回路42、143、144、145、146及び147が検出器31と一体に形成されている。
【0027】
図4に示す各データ収集チャンネルにおいて、チャージアンプ41は、半導体セルSの各集電電極E2に接続され、放射線粒子の入射に応答して集電される電荷をチャージアップして電気量のパルス信号として出力する。このチャージアンプ41の出力端は、ゲイン及びオフセットが調整可能な波形整形回路42に接続されており、検知したパルス信号の波形を、予め調整されているゲイン及びオフセットで処理して波形整形する。この波形整形回路42のゲイン及びオフセットは、半導体セルSの収集画素毎の電荷チャージアップ特性に対する不均一性を考慮した調整パラメータである。収集画素チャンネル毎の波形整形回路42のゲイン及びオフセットをキャリブレーション作業にて事前に調整しておくことにより、かかる不均一性を排除した波形整形を行うことができる。この結果、各データ収集チャンネルの波形整形回路42から出力された、波形整形済みのパルス信号は実質的に入射γ線粒子のエネルギ量を反映した特性を有することになり、収集画素チャンネル間のかかるばらつきは殆ど解消される。
【0028】
波形整形されたパルス信号は、多段の比較器143に送られる。この多段の比較器143は、波形整形回路42の出力端に互いに並列に接続された第1の比較器1431、第2の比較器群1432、及び第3の比較器1433を備える。さらに、第2の比較器群1432は、波形整形回路42の出力端に互いに並列に接続された1段目比較器14321、2段目比較器14322、及び3段目比較器14323を備える。これにより、波形整形回路42の出力信号は、全ての比較器の非反転入力端に並列に出力される。
【0029】
この比較器1431〜1433の反転入力端のうち、第1の比較器1431の反転入力端にはエネルギ領域弁別用の基準値TH1が与えられ、第2の比較器群1432のうちの1段目比較器14321、2段目比較器14322、及び3段目比較器14323の反転入力端には基準値TH2、TH21、TH22がそれぞれ与えられ、さらに、第3の比較器1433の反転入力端には基準値TH3が与えられている。これらの基準値には、TH1<TH2<TH21<TH22<TH3の大小関係が設定されており、このうちの基準値TH1,TH2,TH3により、図5(A)に示す如く、低エネルギ側から順に計測不能領域、エネルギ領域1、エネルギ領域2、及びエネルギ領域3が設定されている。さらに、基準値TH21およびTH22を基準値TH1、TH3の間に設定することにより、中間のエネルギ領域2が更にその低エネルギ側から順に3つのサブエネルギ領域21,22,23に分割されるようになっている。この中間のエネルギ領域2は、通常、検出器113の各収集画素の位置に入射するガンマ線のエネルギースペクトルのフォトピークPKが入るように設定される。
【0030】
この比較器1431〜1433で比較された結果はエネルギ領域振分回路144にそれぞれ送られる。このため、この振分回路144により、検出器31の各収集画素に入射したガンマ線(粒子と見做す)がどのエネルギ領域1(〜3)(およびサブエネルギ領域21(〜23)に分類されるのかについて最終的に確定される。
【0031】
複数のカウンタ145は、低エネルギ側及び高エネルギ側のエネルギ領域1,3および中間のサブエネルギ領域21,22,23のそれぞれ各別に対応した複数のカウンタ145(:1451,14521,14522,14523,1453)から成る。このため、各カウンタ145は、エネルギ領域振分回路145からの出力される、粒子と見做したガンマ線の担当エネルギ領域に入ったことを示す信号を受け、この信号がオンのときには、カウントアップする。この複数のカウンタ145の計数データは重み付け回路146に送られる。
【0032】
この重み付け回路146には、図5(B)に示すように、エネルギ領域1,3および中間のサブエネルギ領域21,22,23のそれぞれに応じて、重み付け係数Wが与えられている。この重み付け係数Wは、それらの領域毎に割り当てられるW1、W2,W3,W4,W5の5個から成り、本実施形態では、W5≦W1<W2<W3<W4の関係に設定されている。低エネルギ側のエネルギ領域1には重み付け係数W1が割り当てられ、中間のエネルギ領域2の1段目〜3段目のサブエネルギ領域21,22,23には重み付け係数W2〜W4がこの順に割り当てられ、そして、高エネルギ側のエネルギ領域3には重み付け係数W5が割り当てられている。このうち、高エネルギ側のエネルギ領域3に割り当てる重み付け係数W5は、本実施形態では、W5=0にしているが、W5はおよそ0であってもよい。また、W1=0であっても良い。
【0033】
この結果、重み付け回路146では、エネルギ領域毎に、ガンマ線の粒子数の計数データ(計数値)に、与えられた重み付け計数Wが乗算されて重み付けされる。この重み付けされた計数データは加算回路147に送られ、その加算回路147で相互に加算される。これにより、各収集画素のSPECT画像生成用のデータが得られ、このデータがコンソール12に送られる。
【0034】
コンソール12は、図1に示すように、入出力インターフェース51、再構成装置52、記憶装置53、制御装置54、表示器55、及び入力器56を備え、これらのユニットがバス57により相互に通信可能に接続されている。このため、再構成装置52は、コンソール12に入力したデータに適宜なアルゴリズムの再構成処理を施し、SPECT画像を得ることができる。このSPECT画像のデータは記憶装置53に格納されるとともに、表示器55に表示される。入力器56はオペレータが必要な上述をシステムに与えるために使用される。制御装置54は、ガントリ11の駆動を含むシステム全体の制御を担っている。
【0035】
以上のように、本実施形態に係るSPECT装置1は、その放射線検出装置としての複数のガンマカメラ21を備えている。各ガンマカメラ21は、半導体セルS、電極E1,E2、及びチャージアンプなどのデータ収集回路113が一体化したモノリシック構造になっていることから、各収集画素を0.5mmx0.5mm以下の画素サイズまで微細化できるとともに製造コストを低下させることができる。また回路実装スペースと回路からの発熱量、設計に関わるコストなどのバランスを総合すると約0.3mmx0.3mm〜0.35mmx0.35mm程度の画素形成までは十分に可能と判断される。
【0036】
また、核種がTI−201の場合、従来のアンガー型検出器ではFWHM(半値全幅)=4.5mm程度の分解能であるのに対し、本実施形態に係るガンマカメラ21は画素が0.5mmx0.5mmの場合FWHMが約0.56mmの分解能を達成できる。このため、ピンホール径を拡大して、検出感度を上げることもできる。
【0037】
また、1mm角当たりの計数特性として、100Kcps以上の値を達成できる。この超高計数特性によって、検出するアイソトープ強度が増加する。
【0038】
さらに、ピンホールコリメータ33を含めたガンマカメラ21を、従来のアンガー型カメラに比べて、大幅に小形化及び軽量化させることができる。例えば、従来のアンガー型検出器とピンホールコリメータとを組み合わせた構造の検出装置の場合、重量250〜300kgもの重量であったものが、CdTe半導体検出器とピンホールコリメータとを組み合わせた、本実施形態に係る構造のガンマカメラの場合、重量は10kg以下にまで軽量化できる。この結果、多検出器化を容易に推し進めることができる。
【0039】
このように分解能を上げるとともに、検出器系の小形化及び軽量化を実現できる。この結果、動物実験レベルで超高分解能及び高感度の動態解析を実現して、創薬支援に多大な貢献が可能になる。
【0040】
一方、本実施形態のSPECT装置1にあっては、ガンマ線を光子(粒子)と見做してその光子数を計数する光子計数型(フォトンカウンティング型)の信号処理回路を行っているので、これに拠る作用効果も得られる。SPECT装置では、温度や磁場の影響を受けて、その検出特性にドリフトを生じることがあるが、そのようなドリフトの影響を最小限に抑えることができる。具体的には、かかるドリフト現象が発生すると、図5(A)の矢印Dで示すように、計数値のピーク(フォトピーク)が横軸方向に移動して、この移動量による計数値曲線の変化を無視できないこともある。これは、SPECT画像のアーチファクトの原因ともなり、散乱線を多く含む画像の場合、そのようなドリフト現象の影響を受け易い。これに対して、本実施形態によれば、フォトピークが入るであろう中間のエネルギ領域2(サブエネルギ領域21(〜23))はより細かく分割してフォトンカウンティング及び重み付けを行い、かつ、高エネルギ側のエネルギ領域3は急落させた重み付係数=0で重み付けを行なっている。
【0041】
これにより、以下のような利点が得られる。核医学では散乱線にも位置情報がある程度含まれている。このため、中間のエネルギ領域2及び低エネルギ側のエネルギ領域1に設定した段階的に細かく変化させた重み付け係数W1〜W4で、その情報を取り込むとともに、高エネルギ側のエネルギ領域3に設定した重み付け係数W5=0で、ドリフト現象により高エネルギ側に移動した係数値曲線を補正することができ、散乱線を除去したのと似た効果が得られる。また、これにより、SPECT画像のドリフトに因るアーチファクトを低減させることができる一方で、統計的なノイズの増大も極力回避でき、より高品質で安定したSPECT画像を提供することができる。
【0042】
なお、核医学診断装置の場合、通常、RIからの放射線のエネルギ値を連続的な値として計測することができるので、この値に乗算する重み付け係数を連続的に変えることもできる。この場合には、デジタル値で出力されるエネルギ値そのものが、各ウインドウで比較された結果であると解釈できる。
【0043】
エネルギ領域の分別は前述したように必ずしも3つのエネルギ領域1〜3に限定する必要な無く、閾値を2つとする3つ以上の、任意数の分別領域を設定してもよい。
【0044】
(第2の実施形態)
図6〜8を参照して、本発明の第2の実施形態に係る放射線診断装置を説明する。なお、この第2の実施形態及びそれ以降の実施形態の説明において、前述した第1の実施形態の構成要素と同一又は同等の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略又は簡略化する。
【0045】
この第2の実施形態は、特に、大型の被検体の撮像に好適なSPECT装置に係り、その縮小投影と呼ばれる撮像に関する。
【0046】
図6には、この縮小投影の概念を、SPECT装置1のガントリ11について示している。このガントリ11には、同図に示すように、放射線検出装置としての6台のガンマカメラ21を備える。このガンマカメラ21の夫々は、回転リング体22の径方向に沿って、すなわち、天板TPに置かれた被検体Pから遠ざかる方向に移動可能に構成されている。
【0047】
この移動を可能にするため、図7に示すように、各ガンマカメラ21は回転リング体22の側面に例えばリニアガイド61を介して取り付けられている。このリニアガイド61は、図示しないが、コンソール12の制御装置54から駆動信号を受け取って駆動するようになっている。
【0048】
このため、被検体Pが例えば小型動物から大型動物や人間に変わった場合、操作者は、その大きさに合わせた縮小投影を行なうようにコンソール12の入力器56を操作する。これにより、ガンマカメラ21はそれぞれ、ガントリ11の径方向の外側、つまり、被検体Pから離れる方向に適宜な距離だけ移動して、縮小投影に基づく撮像が行なわれる。
【0049】
例えば図8に示すように、小型動物の場合には、被検体Pまでの距離がAであってものが、大型動物の場合には、その全体が、各ガンマカメラ21のピンホールコリメータ33の視野内に収まるように距離B(>A)に変更される。このように、ガンマカメラ21を被検体Pから更に離間させることで、ガンマカメラ21の視野を拡大し、この視野拡大分だけ縮小したSPECT画像を得ることができる。この縮小投影によって解像度は低下するものの、半導体検出器31とピンホールコリメータ33との組み合わせであるので、従来のSPECT像よりも優れた解像度を確保することできる。
【0050】
好適な一例として、ピンホールコリメータ33で被検体P(人体)を少なくとも1/6以上に圧縮(縮小)投影し、少なくとも人体の所望臓器のSPECT再構成分解能がFWHM(半値全幅)=7mm以下の値を確保することである。
【0051】
その他の作用効果は、第1の実施形態で説明したものと同等のものが得られる。
【0052】
なお、本実施形態において、マルチ検出器システムを成す放射線検出装置としての複数のガンマカメラ21の数は、図6に示した6台に限定されることなく、従来のアンガー型検出装置がせいぜい3台であったことを考慮して、4台以上の適宜な数まで増加させることができる。
【0053】
(第3の実施形態)
図9、10を参照して、本発明に係る放射線診断装置の第3の実施形態を説明する。
【0054】
この第3の実施形態に係る放射線診断装置は、SPECT装置とX線CT装置に対する両検出装置の機能を1台のガントリで済ますことができる複合型の放射線検出装置を備える。このため、この放射線診断装置(兼用機)もSPECT装置及びX線CT装置として選択的に機能することができる。
【0055】
この複合型放射線検出装置の概要を図9に示す。同図に示すように、この放射線検出装置71にあっては、回転リング体22に前述したガンマカメラ21が例えば6台隣接して配置される。各ガンマカメラ21のピンホールコリメータ33の視野は、天板TPに置かれた被検体P(例えば大型動物)の全体をカバーするように配置あれる。一方、回転リング体22における、それら6台のガンマカメラ21に対向する位置には、X線管72が配置されている。このため、X線管72は、図示しない高電圧電源装置から供給されるパルス高電圧を受けて、X線を被検体Pに向けて照射可能になっている。さらに、X線管72にはX線遮蔽体73を着脱自在に装着できるようになっている。
【0056】
なお、このように6台のガンマカメラ21を隙間無く相互に隣接させて配置するので、6台のピンホールコリメータ33を最初から一体構造で製造するようにしてもよい。
【0057】
以上によって、本実施形態にあっては、放射線検出装置をSPECT装置用の検出装置として機能させる場合、図9に示すように、各ガンマカメラ21にピンホールコリメータ33を装着し、かつ、X線管72にX線遮蔽体73を装着した状態にする。この状態で、回転リング体22を被検体Pの回りに回転させながら、各ビューにおける、被検体Pから放射されるガンマ線をガンマカメラ21に検出させる。これにより、6台のガンマカメラ21の収集データに基づいてSPECT像が再構成される。
【0058】
これに対し、この放射線検出装置をX線CT装置として機能させる場合、図10に示すように、各ガンマカメラ21からピンホールコリメータ33を外し、かつ、X線管72からX線遮蔽体73を外した状態にする。これにより、6台のガンマカメラ21は、その全体を、スライス方向及びチャンネル方向に沿って画素配列した2次元X線検出器として機能させることができる。したがって、回転リング体22を回転させながら(矢印A参照)、各ビューにて、X線管72から照射され且つ被検体Pから透過してきたX線のデータを収集することができる。
【0059】
このデータ収集時の回転は多回転とし、かつ、その回転毎に、X線管72に対する6台のカメラ21の相対的な位置を回転リング体22の円周方向(矢印B参照)で微小距離ずつスライドさせながらビューデータを収集する。これにより、複数のカメラ21を相互に隣接配置したことに伴うカメラ間の隙間に存在するデータをも収集でき、X線CT像を完全再構成することができる。この周方向のスライドは、一例として、前述した図7に示す回転リング体22とリニアガイド61との間に別のリニアガイドをそのリニアガイド61に直交させて配置して、コンソールからの制御手段に応答して駆動させればよい。
【0060】
このため、コンソール12の再構成装置52は適宜な再構成アルゴリズムを用いて、かかるビームデータからX線CT像を再構成することができる。
【0061】
このX線CT装置として機能させる場合には、図10に示すように、更に、X線管72の前面にスリットコリメータ74を配置することが望ましい。このスリットコリメータ74に形成するスリットは、各カメラ21(X線検出器)のX線入射面にのみX線が照射されるように位置決めされ、X線管72と一体に装着される。これにより、カメラ21のX線入射面が存在しない場所へのX線照射や遮断されるので、被検体PへのX線被曝量を低減させることができる。
【0062】
このように本実施形態に係る放射線検出装置は、SPECT装置とX線CT装置とに共用することができるので、その利用価値は高まる。つまり、放射線診断装置をSPECT装置として用いて被検体Pの機能画像を得ることができるとともに、そのSPECT撮影からX線CT撮影にそのまま移行して、形態画像を得ることができる。被検体Pを動かすこと無く、各ピンホールコリメータ33を検出器31から取り外し、またX線遮蔽体73を取り外して、制御パラメータをX線CT用に変更して行なうことができる。X線CT像(形態画像)を先に収集する場合、ピンホールコリメータ33及びX線遮蔽体73の着脱は上述とは逆になる。
【0063】
このため、被検体Pの機能画像と形態画像を同じジオメトリのまま一気に撮影することができ、撮影に要する操作者の労力低減と撮影効率の向上とを図ることができる。
【0064】
なお、隣接配置する複数のガンマカメラ21(X線検出器)は必ずしも6台に限定されるものではなく、2台以上の適宜な数であればよい。
【0065】
(変形例)
図11に、上述した第3の実施形態の変形例を示す。この変形例は、前述したガンマカメラ21を1台又は少数台をピンホールコリメータを外して用い、小動物などの被検体PのX線CT像(形態画像)を得るときのジオメトリを示している。このときの、ガンマカメラ(X線検出器)21は、第3の実施形態で説明した6台のガンマカメラ21のうちの一部であってもよいし、この1台又は少数台のガンマカメラ21のみを設置したカメラ構成であってもよい。このガンマカメラ21をSPECT装置及びX線CT装置として用いるときのピンホールコリメータ及びX線遮幣体の用い方は、第3実施形態のものと同様である。
【0066】
以上、上述した各種の実施形態の利点をまとめると以下のようになる。
【0067】
まず、アンガー型検出器をCdTe製の微細画素を持つ半導体検出器に置き換えた、画素が精細であるが故に、同一な幾何学的な設計を行なったピンホールコリメータで、検出器のサイズがアンガー検出器より1/8〜1/10のサイズ(重量からの観点では1/30以下)で実現できるシステムを構築できる。このことにより、検出器系の大幅な小型化と、それに伴い従来実装が難しかった4個以上の複数個の検出器を被検体の周りに設置することが可能となる。したがって、感度の大幅な向上をもたらすことができる。
【0068】
また、半導体検出器がX線源のフラックス強度も十分に計数可能に設計されていることに拠って、X線管電流を1mA前後と通常のX線CTの1/100前後のフラックス強度にしか耐えられないまでも、30秒前後の収集時間で十分に正確なCT画像が得られるような計数特性を有することができる。これにより、小動物に必要な分解能(CT分解能が150〜250μm)のCT画像も撮影できるのが大きな特徴である。この結果、形状の小形化、高分解能化、及び、精細なCT画像を提供できる。このため、必要な動物実験が真に実施し易いシステムとなる。
【0069】
また、現状の人間用X線CTの検出器のピクセルサイズは最高でも1.0mm前後であるのに対して、上述した実施形態では0.35mm程度にまで微細化できる。このため、最高水準のCT分解能を得られ、かつ、計測をフォトンカウンティングの手法で行なうため、従来の積分型の検出器と比較して、X線被爆線量を低減できるほか、画像のコントラスト分解能も向上する。
【0070】
さらに、この人間用のX線CT装置の構成で小動物のCT撮影を行なえば、本来の画素に、微細化による効果と、X線管を動物側に近づけることに拠る拡大効果も得られる。この結果、前述した150μmの分解能が10〜50μm程度まで向上させることができ、圧倒的な高分解能を実現できる。この高分解能な性能が得られる理由として、下記事項が挙げられる。
【0071】
(1)特性が安定している、Pt−Pt電極に拠るオーム接触(Ohmic Contact)構造のCdTe検出器を採用している。エネルギの吸収係数が高く、安定な結晶が提供可能である。
【0072】
(2)Monolithic構造であり製造の容易性がある。
【0073】
(3)各画素が0.5mm角以下のサイズで構成され、かつ、各プリアンプが各CdTe結晶の真下で且つ各画素をはみ出さないように構成される。
【0074】
(4)上記構造の検出器がモジュール構造に構成され、任意の大きさの検出器を構成することが可能となる。
【0075】
(5)各画素の計数特性が25kcps以上に設計され、かつ核医学に必要なエネルギ分解能(例えばTl−201で15%以下)を実現している。この計数特性は100kcps/mm2で、十分とは言えないが、X線CTを撮影するに十分な性能である。
【0076】
(6)半導体のエネルギ描出能力はピクセルの大きさとエネルギを止める方向の厚みの関係で決まる。これが最適化されていないとチャージシェアリングというイオン化された信号が隣接ピクセルに漏れる現象が発生する。しかしながら、前述した検出器は画素サイズが0.35〜0.5で厚みが0.5〜2.0mm程度であり、チャージシェアリングが発生しないように設計されているため、核医学で良く使うTl−201で90%を超える感度、Tc−99mで50%前後の感度を実現できる。
【0077】
なお、本発明は、小動物の実験のみならず、人間の頭部の超高分解能SPECTや全身SPECT,マンモSPECTなどにも応用することは可能である。例えば、0.35μm程度の画素を構成し、視野サイズが44mm程度とすれば、15倍程度にピンホールコリメータを使って拡大できる。このため、ピンホールの穴の大きさによる位置分解能の劣化を加味したとしても、FWHMで7mm以下のSPECT分解能を得ることは可能ある。しかも、そのときの視野は最大で66cmと十分に人体全体が検出器視野の中にはいるような設定となり、いわゆるトランケーションエラーのない再構成が可能となる。頭部に至っては直径で22cm程度なので、7倍程度の拡大率で、頭部全体にトランケーションエラーの無いデータ収集ができる。このため、FWHMで3.0mm以下の再構成分解能が得られ、現状の最高のSPECT分解能よりも高い性能が実現できる。このように目的臓器に応じて視野と分解能のバランスを得てしかも、もっと大臓器の分解能でも最高の分解能と感度を得られるのは、卓越した性能と自由度があるといえる。
【0078】
その他、検出器が小さくても大視野までカバーできる。半導体検出器を単純に大視野化すると、製品としては採用しにくいコストになり、実用化の観点で非現実的なあった。しかし、小形の検出器は比較的製造性が高く、多検出器化することで、量産効果も生まれ易い。このため、一気に製品化可能なレベルに検出器のコストが至ると考えられる。
【0079】
このように、本検出器を採用したピンホールSPECT装置とX線CT装置の兼用機として、小動物のマイクロCTから人間用CTまで対応可能で、かつCTスキャナを併せ持ち、形態情報との照合まで可能な柔軟性の高いシステムを提供できる。
【0080】
なお、本発明は上述した実施形態及び変形例で示す構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の本発明の要旨を逸脱しない範囲で、さらに適宜に変形して実施可能であり、それらの変形も本発明の概念に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る放射線診断装置としてのSPECT装置の概略構成を示す図。
【図2】ガンマカメラの装着を説明する図。
【図3】ガンマカメラにおけるピンホールコリメータと検出器の概要を示す斜視図。
【図4】SPECT装置のガンマ線検出器及びデータ収集回路を中心とした電気的な概略構成を示すブロック図。
【図5】SPECT装置で設定するエネルギ領域及び重み付け係数と、ガンマ線のフォトンカウンティングされた計数値曲線の重み付け処理を説明する図。
【図6】本発明の放射線診断装置の第2の実施形態に係るSPECT装置の放射線検出装置のジオメトリを説明する図。
【図7】第2の実施形態に係る縮小投影のための機構を説明する図。
【図8】縮小投影の原理を説明する図。
【図9】本発明の放射線診断装置の第3の実施形態に係るSPECT装置とX線CT装置との兼用機の搭載する放射線検出装置のジオメトリを説明する図(兼用機をSPECT装置としての使用を説明する図)。
【図10】第3の実施形態において兼用機をX線CT装置としての使用を説明する図。
【図11】第3の実施形態の変形例に係る、サイズが小さい被検体に対する兼用機のX線CT装置としての使用を説明する図。
【符号の説明】
【0082】
1 SPECT装置(放射線診断装置)
11 ガントリ
12 コンソール
21 ガンマカメラ
22 回転リング体
23 ベース
24 駆動装置
31 検出器
32 留め具
33 ピンホールコリメータ
61 リニアガイド
71 複合型放射線検出装置
71 X線管
73 X線遮蔽体
P 被検体
S 半導体セル
E1、E2 電極
AS ASIC層
C データ収集回路部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を電気信号に変換する半導体の層で形成された画素を2次元状に配列した画素部、及び、当該各画素により検出された電気信号を処理し且つ各画素からはみ出さない状態で当該画素部と一体に形成された信号処理回路を有する検出ブロックを複数個、平面状に且つ相互に隣接して並べて配置した放射線検出器と、
この放射線検出器の放射線入射側に当該検出器に装着したピンホール型コリメータと、を備えたことを特徴とする放射線検出装置。
【請求項2】
前記収集画素は夫々0.5mmx0.5mm以下の画素サイズを有し、前記信号処理回路は前記放射線を光子(粒子)と見做してその光子数を計数する光子計数型(フォトンカウンティング型)の信号処理回路であり、前記ピンホール型コリメータは1つ以上の孔を有する請求項1に記載の放射線検出装置。
【請求項3】
前記各画素の1mm角当たりの計数特性が100Kcps以上である請求項2に記載の放射線検出装置。
【請求項4】
前記コリメータは前記放射線検出器に着脱自在に装着する構造を有する請求項1に記載の放射線検出装置。
【請求項5】
前記放射線検出器の前記半導体の層はCdTeで形成されている請求項1〜3の何れか一項に記載の放射線検出装置。
【請求項6】
前記半導体の層はオーム接触構造を持つCdTeの層である請求項1に記載の放射線検出装置。
【請求項7】
請求項1に記載の放射線検出装置と、
前記放射線検出器及び前記コリメータの組を複数個、配設した支持体と、
この支持体を所定方向に回転させる回転手段と、
前記複数の放射線検出器から出力された信号に基づいて被検体の画像を生成する手段と、を備えたことを特徴とする放射線診断装置。
【請求項8】
前記放射線検出器と前記コリメータの組を4個以上備えた請求項6に記載の放射線診断装置。
【請求項9】
前記支持体は、被検体を中心に挿入可能な環状の支持体であり、
前記放射線検出器と前記コリメータの組の位置を前記環状支持体の径方向に移動可能な移動手段を更に設けた請求項6に記載の放射線診断装置。
【請求項10】
前記放射線検出装置に、被検体に投与された核種からの放射線を検出させるように形成し、当該放射線診断装置を核医学診断装置として用いるように構成した請求項6〜8の何れか一項に記載の放射線診断装置。
【請求項11】
前記放射線検出器に向けて放射線を発生可能なように前記支持体に備えたX線発生器と、
このX線発生器の不使用時に当該X線発生器を遮蔽する遮蔽手段と、を備えた請求項6〜8の何れか一項に記載の放射線診断装置。
【請求項12】
前記放射線検出装置に、被検体に投与された核種から体外に放射された放射線と、前記X線発生器から照射され且つ前記被検体から透過してきたX線とを選択的に検出されるように形成し、当該放射線診断装置を核医学診断装置又はX線CT装置として用いるように構成した請求項10に記載の放射線診断装置。
【請求項13】
前記ピンホールコリメータで被検体を少なくとも1/6以上に圧縮投影する手段と、前記検体としての人体の所望臓器のSPECT画像の再構成分解能がFWHM(半値全幅)で7mm以下の値を採るように構成した請求項6〜8の何れか一項に記載の放射線診断装置。
【請求項1】
放射線を電気信号に変換する半導体の層で形成された画素を2次元状に配列した画素部、及び、当該各画素により検出された電気信号を処理し且つ各画素からはみ出さない状態で当該画素部と一体に形成された信号処理回路を有する検出ブロックを複数個、平面状に且つ相互に隣接して並べて配置した放射線検出器と、
この放射線検出器の放射線入射側に当該検出器に装着したピンホール型コリメータと、を備えたことを特徴とする放射線検出装置。
【請求項2】
前記収集画素は夫々0.5mmx0.5mm以下の画素サイズを有し、前記信号処理回路は前記放射線を光子(粒子)と見做してその光子数を計数する光子計数型(フォトンカウンティング型)の信号処理回路であり、前記ピンホール型コリメータは1つ以上の孔を有する請求項1に記載の放射線検出装置。
【請求項3】
前記各画素の1mm角当たりの計数特性が100Kcps以上である請求項2に記載の放射線検出装置。
【請求項4】
前記コリメータは前記放射線検出器に着脱自在に装着する構造を有する請求項1に記載の放射線検出装置。
【請求項5】
前記放射線検出器の前記半導体の層はCdTeで形成されている請求項1〜3の何れか一項に記載の放射線検出装置。
【請求項6】
前記半導体の層はオーム接触構造を持つCdTeの層である請求項1に記載の放射線検出装置。
【請求項7】
請求項1に記載の放射線検出装置と、
前記放射線検出器及び前記コリメータの組を複数個、配設した支持体と、
この支持体を所定方向に回転させる回転手段と、
前記複数の放射線検出器から出力された信号に基づいて被検体の画像を生成する手段と、を備えたことを特徴とする放射線診断装置。
【請求項8】
前記放射線検出器と前記コリメータの組を4個以上備えた請求項6に記載の放射線診断装置。
【請求項9】
前記支持体は、被検体を中心に挿入可能な環状の支持体であり、
前記放射線検出器と前記コリメータの組の位置を前記環状支持体の径方向に移動可能な移動手段を更に設けた請求項6に記載の放射線診断装置。
【請求項10】
前記放射線検出装置に、被検体に投与された核種からの放射線を検出させるように形成し、当該放射線診断装置を核医学診断装置として用いるように構成した請求項6〜8の何れか一項に記載の放射線診断装置。
【請求項11】
前記放射線検出器に向けて放射線を発生可能なように前記支持体に備えたX線発生器と、
このX線発生器の不使用時に当該X線発生器を遮蔽する遮蔽手段と、を備えた請求項6〜8の何れか一項に記載の放射線診断装置。
【請求項12】
前記放射線検出装置に、被検体に投与された核種から体外に放射された放射線と、前記X線発生器から照射され且つ前記被検体から透過してきたX線とを選択的に検出されるように形成し、当該放射線診断装置を核医学診断装置又はX線CT装置として用いるように構成した請求項10に記載の放射線診断装置。
【請求項13】
前記ピンホールコリメータで被検体を少なくとも1/6以上に圧縮投影する手段と、前記検体としての人体の所望臓器のSPECT画像の再構成分解能がFWHM(半値全幅)で7mm以下の値を採るように構成した請求項6〜8の何れか一項に記載の放射線診断装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−284472(P2006−284472A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−107237(P2005−107237)
【出願日】平成17年4月4日(2005.4.4)
【出願人】(305019772)株式会社 アクシオン・ジャパン (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月4日(2005.4.4)
【出願人】(305019772)株式会社 アクシオン・ジャパン (6)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]