説明

放熱部材用プレコートアルミニウム合金板及びこれを用いた放熱部材

【課題】放熱性に優れ軽量の放熱部材を構成することができる素材およびこの素材を用いて作製した軽量で低コストの放熱部材を提供すること。
【解決手段】アルミニウム合金板10と、その一方の面に形成された第1塗膜11と、他方の面に形成された第2塗膜12とを備える放熱部材用プレコートアルミニウム合金板1、及びこれを用いた放熱部材5である。第1塗膜11は、アルミニウム合金板10の表面よりも優れた放熱性を有しており、第2塗膜12は、加熱することによって溶融又は軟化して接着剤となる接着機能を有している。第1塗膜11は、軟化点が150℃超えであって、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種からなる第1ベース樹脂中に放熱性物質を含有してなる構成をとることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具等の電気機器の放熱を促進させる放熱部材の素材として好適な放熱部材用プレコートアルミニウム合金板及びこれを用いて作製した放熱部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばLEDの高性能化に伴い、LEDを光源とした照明器具が実用化されてきた。このような照明器具には、例えば、放熱を促進するために放熱フィンを一体的に形成した放熱部材が備えられている。従来の放熱部材は、例えば特許文献1において示されたような放熱フィンを一体的に備えたアルミニウム合金の鍛造品あるいは鋳造品が多く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−73654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アルミニウム合金の鍛造品あるいは鋳造品よりなる従来の放熱部材は、ある程度放熱性を確保できるものの、重量が重く、生産性が低く、比較的コストの高いものとなっている。そのため、従来の放熱部材と同等以上の放熱性を発揮すると共に、軽量で低コストの放熱部材の開発が望まれている。
【0005】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、放熱性に優れ軽量の放熱部材を構成することができる素材およびこの素材を用いて作製した軽量で低コストの放熱部材を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、アルミニウム合金板と、その一方の面に形成された第1塗膜と、他方の面に形成された第2塗膜とを備えるプレコートアルミニウム合金板であって、
上記第1塗膜は、上記アルミニウム合金板の表面よりも優れた放熱性を有しており、
上記第2塗膜は、加熱することによって溶融又は軟化して接着剤となる接着機能を有していることを特徴とする放熱部材用プレコートアルミニウム合金板にある(請求項1)。
【0007】
本発明の他の態様は、他の部材に接合するための接合面を有する底面部と、該底面部から立設させたフィン部とを有する放熱部材であって、
上記底面部及び上記フィン部は、上記放熱部材用プレコートアルミニウム合金板を折り曲げ加工することにより形成されており、
上記底面部における上記接合面は、上記第2塗膜を有する面により構成されていることを特徴とする放熱部材にある(請求項10)。
【0008】
本発明のさらに他の態様は、上記放熱部材用プレコートアルミニウム合金板を複数の折り曲げ起点線に沿って折り曲げてコルゲート状にした放熱部材であって、
上記折り曲げ起点線の形成方向の一端側に、他の部材に接合するための接合端部を有することを特徴とする放熱部材にある(請求項13)。
【発明の効果】
【0009】
上記放熱部材用プレコートアルミニウム合金板は、上記のごとく放熱性に優れた第1塗膜と、上記接着機能を有する第2塗膜とを有している。そのため、上記第2塗膜を有する面を他の部材に当接させて加熱することにより、上記第2塗膜が接着剤として機能し、上記放熱部材用プレコートアルミニウム合金板を用いて構成した放熱部材を上記他の部材と容易に一体化できる。これにより、他の部材が発する熱は、上記放熱部材用プレコートアルミニウム合金板によって構成した放熱部材における上記第1塗膜の優れた放熱性を利用して効率よく放熱させることができる。
【0010】
また、上記放熱部材用プレコートアルミニウム合金板は、上記アルミニウム合金板を基材として備えたものであり、加工性に優れ、所望の形状に容易に加工することができる。そのため、放熱特性を向上させる対象物である他の部材(照明器具その他の電気機器等の部材)にとって最適な形状に容易に加工することができる。
【0011】
また、上記放熱部材用プレコートアルミニウム合金板は、上記第1塗膜及び第2塗膜の塗装についても連続ラインを用いて大量に効率よく実施することができる。そのため、非常に効率よく安価に加工することができる。
【0012】
また、上記放熱部材用プレコートアルミニウム合金板は、板状のまま対象物の表面に沿って貼り付けるだけの形態で使用することもでき、この場合においても、上記第1塗膜の優れた放熱性を利用して他の部材から伝達される熱を効率よく放熱させることができる。
【0013】
また、上記放熱部材用プレコートアルミニウム合金板を折り曲げ加工することにより上記底面部とフィン部とを形成したタイプの上記放熱部材は、上記のごとく、底面部における接合面を上記第2塗膜を有する面により構成する。これにより、他の部材と底面部とを上記第2塗膜の接着機能を用いて容易に一体化することができ、上記フィン部が立設した状態を容易に得ることができる。そして、フィン部の存在によって、上記第1塗膜の表面積を大きくすることができ、優れた放熱性を得ることができる。
【0014】
また、上記放熱部材用プレコートアルミニウム合金板を複数の折り曲げ起点線に沿って折り曲げてコルゲート状にした放熱部材においても、上記第1塗膜の表面積を大きくすることができ、優れた放熱性を得ることができる。また、上記折り曲げ起点線の形成方向の一端側に、他の部材に接合するための接合端部を有する放熱部材は、コルゲート状の側面の表面積が大きくなり、側面からの放熱性を高めることができる。
また、他の部材との接合時には、例えば上記放熱部材の接合端部を他の部材上に配置して加熱する。これにより、上記放熱部材の上記第2塗膜が少なくとも部分的に溶融又は軟化し、溶融又は軟化した第2塗膜は自重により他の部材上に広がる。さらに放冷させることにより、溶融又は軟化した第2塗膜が硬化し、他の部材と放熱部材とを簡単に接合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1における、放熱部材用プレコートアルミニウム合金板の構成を示す説明図。
【図2】実施例1における、放熱部材のフィン部及び底面部の折り曲げ形状を示す説明図。
【図3】実施例1における、放熱部材の底面部と反対側から見た状態を示す説明図。
【図4】実施例1における、放熱部材を装着したダウンライトの構成を示す説明図。
【図5】実施例1における、他の部材に接着した状態の放熱部材を示す説明図。
【図6】実施例2における、放熱部材のフィン部及び底面部の折り曲げ形状を示す説明図。
【図7】実施例2における、放熱部材の底面部と反対側から見た状態を示す説明図。
【図8】実施例2における、放熱部材を装着したダウンライトの構成を示す説明図。
【図9】実施例2における、他の部材に接着した状態の放熱部材を示す説明図。
【図10】比較例1における、放熱部材を装着したダウンライトの構成を示す説明図。
【図11】実施例1、2及び比較例1の評価結果を示す説明図。
【図12】実施例12における、ベース板を接合した放熱部材の斜視図。
【図13】実施例12における、ベース板を接合した放熱部材の上面図。
【図14】実施例12における、ベース板を接合した放熱部材の側面図。
【図15】実施例12における、円筒形状の放熱部材の径方向の部分断面を拡大して示す説明図。
【図16】実施例12における、放熱部材を装着したダウンライトの構成を示す説明図。
【図17】実施例12における、他の部材に接着した状態の放熱部材を断面構造にて示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上記放熱部材用プレコートアルミニウム合金板の基材であるアルミニウム合金板の材質としては、1000系、3000系、5000系、6000系など、成形加工に好適な材質を用いることができる。例えば、1050、8021、3003、3004、3104、5052、5182、5N01などがある。アルミニウム合金板の板厚は、特に限定されないが、製造しやすさ及び加工しやすさの観点からみれば、0.3mm〜1.5mmにすることが好ましい。
【0017】
上記放熱部材用プレコートアルミニウム合金板において、上記第1塗膜は、軟化点が150℃超えであって、フッ素樹脂、数平均分子量10000〜40000のウレタン樹脂、数平均分子量10000〜40000のポリオレフィン樹脂、数平均分子量1000〜15000のエポキシ樹脂、数平均分子量10000〜40000のポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種からなる第1ベース樹脂中に放熱性物質を含有してなる構成をとることができる(請求項2)。
【0018】
すなわち、上記第1塗膜としては、そのベース樹脂として、軟化点が150℃超えの合成樹脂を用いることができる。これにより、第2塗膜を加熱して溶融又は軟化させる際にも第1塗膜が溶融又は軟化してしまうことを容易に防止することができる。より好ましくは、第1塗膜のベース樹脂の軟化点は170℃以上がよく、さらに好ましくは200℃以上がよい。また、入手の容易性という観点からは、上記第1塗膜のベース樹脂としては、軟化点300℃以下の合成樹脂を用いることができる。
【0019】
また、上記第1塗膜としては、それぞれ上述の数平均分子量の範囲の合成樹脂を用いることができる。この範囲の数平均分子量を有する合成樹脂を用いることにより、塗膜の成形性を確保することが容易となる。各合成樹脂の数平均分子量が下限に定めた数値未満の場合には、塗膜が硬くなり成形性が悪化するおそれがあり、一方、上限に定めた数値を超える場合には、塗膜が軟らかすぎて耐疵付き性が低下するおそれがある。
また、上記第1塗膜としては上述のようにフッ素樹脂を用いることができ、フッ素樹脂の分子量は、特に限定されず、工業的に入手可能な範囲のものを採用することができる。入手のしやすさという観点から、好ましくは、フッ素樹脂の分子量は5万〜1000万であることがよい。
また、ポリオレフィン樹脂としては、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などを用いることができる。
【0020】
また、上記第1塗膜は、上記放熱性物質として、酸化チタン、カーボン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウムの1種または2種以上を含有させることができる(請求項3)。これらの物質を上記放熱性物質として採用することにより、上記第1塗膜の放熱性を容易に高めることができる。
【0021】
上記第1塗膜の放熱性の特性としては、赤外線の積分放射率によって評価することができる。たとえば、上記第1塗膜は、赤外線の積分放射率が70%以上となるように調整することが好ましい。これによって、安定した放熱特性が得られる。赤外線の積分放射率は、FT−IRによって試料と理想黒体の赤外線放射量を比較することにより測定することができる。なお、一般に、アルミニウム合金板の赤外線の積分放射率は、15〜18%である。
【0022】
また、上記第1塗膜においては、上記第1ベース樹脂100重量部に対して、平均粒径0.1〜100μmの酸化チタン0.5〜200重量部、微粉末のカーボン0.5〜25重量部、シリカ0.5〜200重量部、アルミナ0.5〜200重量部、及び酸化ジルコニウム0.5〜200重量部から選ばれる少なくとも1種を含有させることができる(請求項4)。
【0023】
すなわち、上記第1塗膜に酸化チタンを含有させる場合には、その平均粒径を0.1〜100μmの範囲にすることが好ましい。これにより、酸化チタンの粒子が第1塗膜から分離して脱落する不具合を抑制して安定的な放熱性向上効果を得ることができる。
【0024】
また、上記第1塗膜に酸化チタンを含有させる場合の含有量は、上記第1ベース樹脂100重量部に対して、0.5〜200重量部とすることが好ましい。これにより、酸化チタンの粒子が第1塗膜から分離して脱落する不具合を抑制しつつ安定的な放熱性向上効果を得ることができる。
【0025】
また、上記微粉末のカーボンとしては、平均粒径が1nm〜500nmのカーボンを用いることができる。また、上記第1塗膜にカーボンを含有させる場合の含有量は、0.5〜25重量部であることが好ましい。これにより、カーボンの粒子が第1塗膜から分離して脱落する不具合を抑制しつつ安定的な放熱性向上効果を得ることができる。
【0026】
また、上記シリカとしては、例えば、平均粒径が0.1〜100μmのものを用いることができる。また、上記第1塗膜にシリカを含有させる場合の含有量は、0.5〜200重量部であることが好ましい。これにより、シリカの粒子が第1塗膜から分離して脱落する不具合を抑制しつつ安定的な放熱性向上効果を得ることができる。
【0027】
また、上記アルミナとしては、例えば、平均粒径が0.1〜100μmのものを用いることができる。また、上記第1塗膜にアルミナを含有させる場合の含有量は、0.5〜200重量部であることが好ましい。これにより、アルミナの粒子が第1塗膜から分離して脱落する不具合を抑制しつつ安定的な放熱性向上効果を得ることができる。
【0028】
また、上記酸化ジルコニウムとしては、例えば、平均粒径が0.1〜100μmものを用いることができる。また、上記第1塗膜に酸化ジルコニウムを含有させる場合の含有量は、0.5〜200重量部であることが好ましい。これにより、酸化ジルコニウムの粒子が第1塗膜から分離して脱落する不具合を抑制しつつ安定的な放熱性向上効果を得ることができる。
【0029】
また、上記第1塗膜の膜厚は、例えば0.5〜100μmとすることができる。
【0030】
また、上記第2塗膜は、軟化点が150℃以下であって、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂の1種あるいは2種以上からなる第2ベース樹脂を含有させることができる(請求項5)。この場合には、軟化点を150℃以下とすることにより、上記第2塗膜の接着機能を発揮させる場合の加熱を比較的低温で実施することができる。この軟化点の調整は、各樹脂の数平均分子量の調整などにより容易に行うことができる。より好ましくは、上記第2塗膜の軟化点は140℃以下がよい。なお、軟化点の下限は、上記放熱部材用プレコートアルミニウム合金板を保管する際の反応抑制の観点から50℃以上に制限することが好ましく、70℃以上がより好ましい。
第2塗膜におけるポリオレフィン樹脂としては、上記第1塗膜と同様に、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等を用いることができる。
【0031】
また、上記第2塗膜は、上記第2ベース樹脂中に、熱伝導性物質を含有させることができる(請求項6)。ここでいう熱伝導性物質は、上記第2ベース樹脂よりも熱伝導性に優れ、第2塗膜全体の熱伝導性を向上させうる物質である。上記熱伝導性物質を含有することによって、上記第2塗膜が他の部材からの伝熱効率が向上し、上記放熱部材用プレコートアルミニウム合金板を用いて構成した放熱部材による放熱性をさらに向上させることができる。
【0032】
また、上記熱伝導性物質として、アルミナ、酸化チタン、シリカ、カーボン又はニッケルを含有させることができる(請求項7)。これらの物質は、熱伝導性に優れ、上記第2塗膜に含有させるものとして好適である。また、上記アルミナ、酸化チタン、シリカ、カーボン又はニッケルの形態としては、粒状あるいは粉末状とすることが好ましい。これらの物質の粒径や含有量は特に限定されず、第2塗膜の塗装性を損なわない範囲で選択可能である。例えば、アルミナ、酸化チタン、シリカ、又はニッケルの平均粒径は0.1〜100μmとすることができ、含有量は上記第2ベース樹脂100重量部に対して、0.5〜200重量部とすることができる。また、カーボンの平均粒径は10〜100nmとすることができ、含有量は上記第2ベース樹脂100重量部に対して、0.5〜25重量部とすることができる。
【0033】
また、上記第2塗膜に含有させる上記熱伝導性物質がニッケルである場合には、例えば、入手が容易な平均粒径0.3〜100μmのNi球状フィラーと0.2〜5μmの厚さで2〜50μmの長径を有する鱗片状のNiフィラーの少なくとも一方を選択することができる。
【0034】
また、上記放熱部材料プレコートアルミニウム合金板においては、上記第1塗膜の軟化点をTm1℃、上記第2塗膜の軟化点をTm2℃とすると、Tm1−Tm2≧20であることが好ましい(請求項8)。
Tm1−Tm2<20の場合には、第2塗膜を加熱して溶融又は軟化させる際に、第1塗膜を軟化させることなく第2塗膜を溶融又は軟化させることが困難になるおそれがある。より好ましくは、Tm1−Tm2≧40がよく、さらにより好ましくはTm1−Tm2≧800がよい。
【0035】
また、上記第1塗膜と上記第2塗膜の少なくとも一方には、カルナバ、ポリエチレン、マイクロクリスタリン、ラノリンのうち1種あるいは2種のインナーワックスを含有させることができる(請求項9)。これにより、加工性の向上及び耐疵付き性向上効果を高めることができる。
【0036】
上記インナーワックスの含有量は、例えば、各ベース樹脂100重量部に対して、0.05〜3重量部とすることができる。この範囲を選択することにより、加工性及び耐疵付き性向上効果を容易に得ることができると共に、プレコートアルミニウム合金板同士がひっついて離れなくなるブロッキングという現象が生じることを抑制することができる。
【0037】
また、上記第1塗膜及び第2塗膜は、アルミニウム合金板の表面に形成された塗布型あるいは反応型のクロメートまたはノンクロメート層の上層に形成されていることが好ましい。この場合には、アルミニウム合金板と上記プレコート層との密着性を向上させることができ、加工性、耐久性等をより高めることができる。なお、上記第1塗膜及び上記第2塗膜は、それぞれ1層のみで構成しても良いし、下層に他の合成樹脂塗膜を下地塗膜として配置することも可能である。
【0038】
また、上記第1塗膜及び上記第2塗膜には、放熱性、加工性、密着性等の特性を阻害しない範囲で、顔料及び染料を添加し、意匠性を向上させてもよい。
【0039】
次に、上記放熱部材用プレコートアルミニウム合金板を折り曲げ加工することにより形成されており、上記底面部とフィン部とを有する放熱部材としては、後述する実施例に限定されるものではなく、適用させる他の部材の形状や機能に対応して様々な形態をとることができる。なお、放熱部材の作製に用いる放熱部材用プレコートアルミニウム合金板としては、1枚だけであることが望ましいが、複数枚を組み合わせても良い。
【0040】
また、上記フィン部は、上記放熱部材用プレコートアルミニウム合金板を上記第1塗膜が表面に来るよう180度折り曲げて2枚重ねにして構成することができる(請求項11)。具体的には、例えば後述する実施例2にも示すように、1枚の放熱部材用プレコートアルミニウム合金板を用い、90度の折り曲げと、180度の折り曲げとを複数回組合せることにより、底面部と、折り重なった2枚層よりなるフィン部とを交互に形成すると共に各底面部を略面一に並べた構成とすることができる。
【0041】
また、上記の180度の折り曲げにより構成したフィン部は、2枚層の互いの第2塗膜同士を当接させてあるので、底面部における上記第2塗膜よりなる接合面を他の部材に接着する際の加熱により、上記フィン部における第2塗膜も溶融又は軟化して接着機能を発揮する。それ故、上記2枚重ねのフィン部を一体化させることができ、剛性の向上等を図ることができる。
【0042】
また、上記フィン部は、上記放熱部材用プレコートアルミニウム合金板を重ね合わせることなく1枚の状態でコルゲート状に折り曲げて構成することもできる(請求項12)。具体的には、例えば後述する実施例1にも示すように、1枚の放熱部材用プレコートアルミニウム合金板を用い、90度の折り曲げを複数回組合せることにより、底面部と、隙間を設けて対向した1枚ずつからなるフィン部とをジグザグ状に形成すると共に各底面部を隙間を介して略面一に並べた構成とすることができる。
【0043】
なお、上述の底面部とフィン部とを有する構成の放熱部材においては、複数のフィン部を設ける場合に、各フィンの間の間隔は、通気性を向上させるために、5mm以上設けることが好ましく、より好ましくは8mm以上とするのがよい。各フィン間の間隔が均一でない場合には、最短の間隔を上述のように5mm以上にすることが好ましく、8mm以上にすることがより好ましい。
【0044】
また、上述の底面部とフィン部とを有する構成の放熱部材においては、上記放熱部材用プレコートアルミニウム合金板からなるフィン部に、該フィン部を板厚方向に貫通する貫通孔を形成することができる。この場合には、放熱部材の通気性が向上し、放熱性をより向上させることができる。
また、放熱部材用プレコートアルミニウム合金板を重ね合わせることなく1枚の状態でコルゲート状に折り曲げて構成した放熱部材においては、上記フィン部は、上記底面部からほぼ垂直方向に起立する起立面と、該起立面から上記底面部とほぼ平行方向に伸びる天板面と、該天板面から上記底面部へほぼ垂直方向に下降する下降面とから形成される凸状体によって構成することができる。上記貫通孔は、上記フィン部における起立面、天板面、下降面のいずれに形成することもできる。
【0045】
また、複数の折り曲げ起点線に沿って折り曲げてコルゲート状にした放熱部材においては、上記折り曲げ起点線の形成方向の一端側を他の部材に接合させるための接合端部とすることもできる。
具体的には、上記放熱部材は、上記折り曲げ起点線を軸方向に揃えた状態で全体形状が筒形状を呈しており、該筒形状の軸方向の一端に上記接合端部を有することが好ましい(請求項14)。
この場合には、筒形状の上記放熱部材の側面の表面積を増大させることができ、側面からの放熱性を高めることができる。また、筒形状の放熱部材の内部には、空間が形成されるため、空冷性能を向上させることができる。
なお、上述の折り曲げ起点線の形成方向の一端側に接合端部を有する構成の放熱部材において、複数のフィン部を設ける場合には、各フィンの間の間隔は、通気性を向上させるために、3mm以上設けることが好ましい。各フィン間の間隔が均一でない場合には、最短の間隔を上述のように3mm以上にすることが好ましく、より好ましくは5mm以上にすることがよい。
【0046】
上記放熱部材は、全体形状が円筒形状を呈していること好ましい(請求項15)。
この場合には、放熱部材用プレコートアルミニウム合金板を複数の折り曲げ起点線に沿って折り曲げてコルゲート状にした部材を、筒形状に形成(曲成)することにより、簡単に筒形状の放熱部材を作製することができる。また、円筒形状が好適なダウンライトなどの照明器具用の放熱部材へ適用し易くなる。
【0047】
また、上記放熱部材は、上記円筒形状の径方向に放射状に配された複数のフィン部を有し、隣り合う上記フィン部は、上記円筒形状の内周側及び外周側においてそれぞれ交互に連結されており、上記フィン部同士の上記内周側及び上記外周側の連結部は、上記円筒形状の周方向に配された平面又は曲面で形成されていることが好ましい(請求項16)。
この場合には、上記フィン部の存在によって、上記第1塗膜の表面積を大きくすることができ、優れた放熱性を得ることができる。また、径方向に配されたフィン部及び周方向に配された連結部に放熱性に優れた面が形成される。そのため、多方向への放熱を促すことが可能になる。
【0048】
また、上記連結部には貫通孔が形成されていることが好ましい(請求項17)。
この場合には、円筒形状の上記放熱部材の通気性を向上させることができる。
上記内周側の連結部は、円筒形状の放熱部材の内面部を構成し、外周側の連結部は、円筒形状の放熱部材の外面部を構成する。これらの内面部及び外面部に上述のごとく貫通孔を形成することにより、円筒形状の放熱部材の側面からの通気性が上述のごとく向上し、空冷性能をより向上させることができる。
【0049】
貫通孔は、具体的には、放熱部材を構成するプレコートアルミニウム合金板の厚み方向を貫通する孔である。貫通孔は、一つ又は複数設けることができる。好ましくは、全ての外周側の連結部、及び/又は全ての内周側の連結部に貫通孔を設けることがよい。
また、連結部における放熱面を確保するという観点から、連結部に貫通孔を形成する場合であっても、少なくとも部分的には平面状又は曲面状のプレコートアルミニウム合金板から構成される部分を連結部に残存させておくことが好ましい。
【0050】
上記連結部を上述のように平面状又は曲面状にすることにより、連結部に貫通孔を形成させることができるが、連結部を筒形状の軸方向と平行な線で形成することもできる。即ち、ジグザグ状に折り曲げたプレコートアルミニウム合金板を、複数の折り曲げ起点線を軸方向に揃えた状態で筒形状にした放熱部材を構成することもできる。この場合には、連結部は平面又は曲面でなく、軸方向に平行な線状となり、連結部には鋭角の突出角部が形成される。
【0051】
上記第1塗膜及び上記第2塗膜がそれぞれ表裏面に形成された上記放熱部材用プレコートアルミニウム合金板を用いて上述の筒形状の放熱部材を形成する場合には、第1塗膜を筒形状の外周側及び内周側のいずれに配置してもよい。第2塗膜についても同様である。
好ましくは、上記放熱部材用プレコートアルミニウム合金板の上記第1塗膜が上記円筒形状の外周側であり、上記第2塗膜が上記円筒形状の内周側であることが好ましい(請求項18)。
この場合には、外気と接触し易い外周側に放熱性に優れた第1塗膜が配置される構成となるため、より放熱性を向上させることができる。
また、全体を円筒形状に曲成した上記放熱部材においては、上記円筒形状の軸方向の一端が他の部材に接合するための接合端部になる。他の部材と接合時には、上記放熱部材の軸方向の一端を他の部材上に配置して加熱すると、上記第2塗膜が少なくとも部分的に溶融又は軟化し、溶融又は軟化した第2塗膜が他の部材上に広がって放冷により硬化する。このとき、第2塗膜を上述のように円筒形状の内周側に配置しておくと、第2塗膜による接着部分を外部からの視認が困難な円筒形状の内側に形成させることができる。そのため、接合後の美観を向上させることが可能になる。
【実施例】
【0052】
(実施例1)
放熱部材用プレコートアルミニウム合金板を用いて作製した放熱部材の1例として、照明器具の一種であるダウンライトに適用した例を示す。本例の放熱部材5は、図2に示すごとく、他の部材(ベース部材)81(図4)に接合するための接合面51を有する底面部50と、底面部50から立設させたフィン部52とを有する。
【0053】
底面部50及びフィン部52は、図1に示す放熱部材用プレコートアルミニウム合金板1を折り曲げ加工することにより形成されている。同図に示すごとく、放熱部材用プレコートアルミニウム合金板1は、アルミニウム合金板10と、その一方の面に形成された第1塗膜11と、他方の面に形成された第2塗膜12とを備えている。第1塗膜11は、アルミニウム合金板の表面よりも優れた放熱性を有している。第2塗膜は、加熱することによって溶融又は軟化して接着剤となる接着機能を有している。そして、底面部50における接合面51(図2)は、第2塗膜12を有する面により構成されている。
【0054】
放熱部材用プレコートアルミニウム合金板1は次のようにして作製した。まず、基材であるアルミニウム合金板10としては、材質A1050−O材、厚み0.5mmのものを用いた。このアルミニウム合金10の両面をアルカリ系脱脂剤で脱脂した後、リン酸クロメート浴に浸漬して化成処理を行った。得られた化成皮膜(リン酸クロメート皮膜)105は、皮膜中のCr含有量として20±5mg/m2の範囲内とした。
【0055】
次に、アルミニウム合金板10の一方の面に、第1塗膜11を形成した。塗料としては、融点が200℃超え(軟化点:240℃)であり、数平均分子量が16000のポリエステル樹脂を第1ベース樹脂とし、固形分比において、第1ベース樹脂100重量部に対して、放熱性物質として平均粒径0.3μmの酸化チタンが100重量部含有され、インナーワックスとしてのポリエチレンワックスが1重量部含有されているものを用いた。塗装はバーコーターを用いて行い、第1塗膜11の膜厚は50μmとした。また、第1塗膜11の焼き付け条件は、表面温度が230℃になるように240℃のオーブン中に60秒保持する条件とした。
【0056】
次に、アルミニウム合金板10の他方の面に、第2塗膜12を形成した。塗料としては、数平均分子量が10000のビスフェノールA型エポキシ樹脂40%水溶液に(株)村山化学研究所製ブロックイソシアネート:フィキサー#212を7:3の割合で混合したもののみからなるものを用いた。塗装はバーコーターを用いて行い、第2塗膜12の膜厚は20μmとした。また、第2塗膜12の焼き付け条件は、表面温度が230℃になるように240℃のオーブン中に60秒保持する条件とした。得られた第2塗膜12は、融点が170℃で、軟化点が85℃である。なお、上記第1塗膜11及び第2塗膜12は、大量生産時には、連続コーティングラインを使用して塗装することが可能である。
【0057】
このようにして得られた放熱部材用プレコートアルミニウム合金板1を用いて、次のようにして放熱部材5を作製した。まず、図2及び図3に示す最終形状の放熱部材5を平板状に展開した形状に相当するブランク材(図示略)を放熱部材用プレコートアルミニウム合金板1から形成した。
【0058】
次に、図2及び図3に示すごとく、上記ブランク材を90度折り曲げることを繰り返してコルゲート状に成形し、略水平状に並んだ底面部50と、底面部50から立設させたフィン部52とを設けた。また、底面部50は、フィン部52が立設している側と反対側の面が接合面51であり、第2塗膜12を有する面となっている。
【0059】
また、放熱部材5は、図3に示すごとく、上方から見た状態では輪郭が円形状となるように形成した。また、図2に示すごとく、各フィン部52はそれぞれ1枚のプレコートアルミニウム合金板のみから構成されており、隣り合うフィン部52同士の間隔D1は8mmに設定した。
【0060】
得られた放熱部材5は、上記底面部50を他の部材に当接させて加熱することにより、その他の部材と一体的に接合した状態で使用することができる。照明器具の一種であるダウンライト8に適用した具体的な構成としては、図4に示すごとく、上記他の部材としてのベース板81に放熱部材5を接合した構成とすることができる。ベース部材81と放熱部材5とを組み合わせた全体を放熱部材として認識することも可能である。
【0061】
ベース部材81は、アルミニウム合金製の円盤(直径:85mmm、厚み3mm)からなる。ベース部材81と放熱部材5との接合は、ベース部材81の上面に放熱部材5の底面部50の接合面51を載せ、ある程度の荷重をかけた状態でベース部材81と放熱部材5の全体を170℃に加熱した後放冷することにより行う。この加熱により、放熱部材5を構成する放熱部材用プレコートアルミニウム合金板1の第2塗膜12が溶融又は軟化し、その後放冷することによって第2塗膜12が硬化して接着機能を発揮する。これにより、図4、図5に示すごとく、ベース部材81と放熱部材5とが一体化する。なお、第2塗膜21の溶融又は軟化時に若干流動して、ベース部材81の表面を覆うように広がった部分127が形成される。
【0062】
また、同図に示すごとく、LED素子からなる光源82を搭載した基板83と光源82から発せられる光を所望方向に反射させるための反射体84とを組み付けたダウンライト本体部80を別途準備しておく。そして、放熱部材5と一体化したベース部材81を、ダウンライト本体部80の基板83上に配置して絶縁フィルム85を介して接合する。これにより、放熱部材5を備えたダウンライト8が完成する。
【0063】
このダウンライト8を点灯させた際には、光源82が発熱する。この熱は、基板83、絶縁フィルム85及びベース部材81を介して放熱部材5に伝達される。放熱部材5においては、アルミニウム合金板10を伝達してくる熱が、放熱性に優れた第1塗膜11の作用によって効率よく放熱される。それ故、ダウンライト8における光源82の温度が過度に上昇することを抑え、寿命低下の防止及び発光性能の維持を図ることができる。
【0064】
(実施例2)
本例の放熱部材6は、実施例1と同様にダウンライトタイプの照明器具に適用可能なものである。
本例の放熱部材6は、図6に示すごとく、他の部材(ベース部材)81(図8)に接合するための接合面61を有する底面部60と、底面部60から立設させたフィン部62とを有する。
【0065】
底面部60及びフィン部62は、実施例1と同じ構成の放熱部材用プレコートアルミニウム合金板1を折り曲げ加工することにより形成されている。放熱部材6の作製は、まず、図6及び図7に示す最終形状の放熱部材6を平板状に展開した形状に相当するブランク材(図示略)を放熱部材用プレコートアルミニウム合金板1から形成する。
【0066】
次に、図6及び図7に示すごとく、上記ブランク材を90度折り曲げること及び180度折り曲げることを適宜繰り返して、略水平状に並んだ底面部60と、底面部60から立設させたフィン部62とを設けた。また、底面部60は、フィン部62が立設している側と反対側の面が接合面61であり、第2塗膜12を有する面となっている。
【0067】
また、放熱部材6は、図7に示すごとく、上方から見た状態では輪郭が円形状となるように形成した。また、図6に示すごとく、各フィン部62はそれぞれ第1塗膜11が表面に来るよう放熱部材用プレコートアルミニウム合金板を180度折り曲げて2枚重ねにして構成した。また、隣り合うフィン部62同士の間隔D2は8mmに設定した。
【0068】
得られた放熱部材6は、底面部60を他の部材に当接させて加熱することにより、その他の部材と一体的に接合した状態で使用することができる。実施例1と同様の構成のダウンライトに適用した具体的な構成としては、図8に示すごとく、上記他の部材としてのベース板81に放熱部材6を接合して使用する。ベース部材81と放熱部材6とを組み合わせた全体を放熱部材として認識することも可能である。
【0069】
ベース部材81と放熱部材6との接合は、ベース部材81の上面に放熱部材6の底面部60の接合面61を載せ、ある程度の荷重をかけた状態でベース部材81と放熱部材6の全体を170℃に加熱した後放冷することにより行う。この加熱により、放熱部材6を構成する放熱部材用プレコートアルミニウム合金板1の第2塗膜12が溶融又は軟化し、その後放冷することによって第2塗膜12が硬化して接着機能を発揮する。これにより、図9に示すごとく、ベース部材81と放熱部材6とが一体化すると共に、各フィン部62の2枚重ね部分が一体的に接合される。
【0070】
また、図8に示すごとく、実施例1と同様に別途準備したダウンライト本体部80に対して、放熱部材6と一体化したベース部材81を絶縁フィルム85を介して接合することにより、ダウンライト802が完成する。
【0071】
本例においても、ダウンライト802を点灯させた際の光源82から発せられる熱は、基板83、絶縁フィルム85及びベース部材81を介して放熱部材6に伝達される。放熱部材6においては、アルミニウム合金板10を伝達してくる熱が、放熱性に優れた第1塗膜11の作用によって効率よく放熱される。それ故、ダウンライト802における光源82の温度が過度に上昇することを抑え、寿命低下の防止及び発光性能の維持を図ることができる。
【0072】
また、本例の放熱部材6は、図9に示すごとく、フィン部62が2枚重ね構造となっているため、実施例1の場合に比べて、フィン部62の剛性が高い。また、底部60の接合面61の面積も、実施例1の場合に比べて大きいため、接合安定性も高い。
【0073】
なお、実施例1、2では、放熱部材5、6の外形状を円形にしたが、四角形、八角形など、ベース部材81の面積の範囲内で形状を変更可能であることは言うまでもない。
【0074】
(比較例1)
図10に示すごとく、上記実施例1、2の放熱部材の有効性を定量的に評価するため、比較例として、上述したベース部81と放熱部材5又は6とを一体化した部分を、材質ADC12のアルミニウム合金よりなる鋳造放熱部材95に変更したダウンライト809を準備した。
【0075】
(評価)
評価試験としては、供試材1、2、3として、ダウンライト8(実施例1)、ダウンライト802(実施例2)、ダウンライト809(比較例1)を準備し、これらをそれぞれ雰囲気温度25℃の恒温室内に配置して、1時間点灯した時点での各部の温度を測定する試験を行った。また、安定的に温度を測定するため、塩化ビニル製の角筒(図示略)中に供試材1、2、3をそれぞれ配置して点灯させた。温度測定位置は、図4、図8、図10に示すごとく、A点(基板外周端)、B点(ベース部外周端)、C点(放熱部材下部)、D点(放熱部材上部)、E点(角筒下部)、F点(角筒上部)の6箇所である。
【0076】
また、各供試材における放熱部材の重量を測定した。実施例1、2の放熱部材5、6の重量は、ベース部材81を含まない重量である。
【0077】
温度測定結果及び放熱部材の重量を表1に示す。さらに、上記A点の測定結果を、図11に示す。同図は、横軸に測定対象材の種類を、左縦軸にA点の温度、右縦軸に放熱部材の重量をとったものであり、A点の温度を棒グラフにより示し、放熱部材の重量をプロット点(○)により示した。
【0078】
【表1】

【0079】
表1および図11から知られるごとく、従来の鋳造放熱部材95に比べて、実施例1の放熱部材5及び実施例2の放熱部材6の方が、重量が軽い一方、放熱効果が向上することがわかる。
【0080】
(実施例3〜11)
上述の実施例1及び2においては、特定の組成の第1塗膜及び第2塗膜を形成した放熱部材用プレコートアルミニウム合金板の例を示したが、本例は、実施例1及び2とは異なる組成の第1塗膜及び第2塗膜を形成した放熱部材用プレコートアルミニウム合金板の例である。
本例において形成した第1塗膜及び第2塗膜の組成をそれぞれ後述の表2及び表3に示す。実施例3〜11は、第1塗膜及び第2塗膜が異なる点を除いては、実施例1と同様の構成の放熱部材用プレコートアルミニウム合金板である。第1塗膜及び第2塗膜の具体的な形成方法は、実施例1と同様である。
【0081】
なお、表2及び3において、酸化チタンとしては平均粒径0.3μmのものを用い、カーボンブラックとしては平均粒径24nmのものを用い、アルミナフィラーとしては平均粒径4μmのものを用いた。
また、表3において、第2ベース樹脂のアクリル樹脂としては東亜合成(株)(株)製の「ジュリマーAT613」、ウレタン樹脂としては三井化学(株)製の「タケラックW615」、ポリエステル樹脂としては東亜合成(株)製の「PES375S40」、ブロックイソシアネートとしては(株)村山化学研究所製の「フィキサー#212」を用いた。
【0082】
また、表2には、第1塗膜の放射率(%)、軟化点Tm1(℃)を示す。
第1塗膜の放射率は、赤外線の積分放射率によって測定することができる。なお、本例におけるアルミニウム合金板(材質A1050−O材、厚み0.5mm)の放射率は、15%である。
【0083】
また、表3には、第2塗膜の軟化点Tm2(℃)、剥離強度(kg/0.5cm2)を示す。
第2塗膜の剥離強度は、JIS−K6854−3「接着剤−はく離接着強さ試験方法:T型はく離」に従って測定した。
具体的には、まず、第2塗膜を形成したアルミニウム合金板を10mm幅×100mm長さに切断した。そして、第2塗膜を形成したアルミニウム合金板の第2塗膜の塗装面と、無塗装のアルミニウム合金板とを接着面が50mmの長さとなるように重ね合わせ、金属クリップて固定した。次いで、温度150℃で20分加熱した。測定は、引張試験機にて、引張速度:50mm/minで引張試験を行うことにより行い、このときの剥離強度を測定した。試験温度は25℃とした。
【0084】
また、表2及び表3における軟化点Tm1及びTm2は、JIS−K7206(1999年)に規定のプラスチック−熱可塑性プラスチックのビカット軟化温度(VST)試験方法に従って測定した。
【0085】
【表2】

【0086】
【表3】

【0087】
次に、表2及び表3に示す第1塗膜及び第2塗膜を表4に示す組み合わせでそれぞれ形成し、9種類の放熱部材用プレコートアルミニウム合金板(実施例3〜11)を作製した。第1塗膜と第2塗膜の具体的な形成方法は、実施例1と同様である。
次いで、これらの放熱部材用プレコートアルミニウム合金板をそれぞれ用いて、実施例1と同様にコルゲート状の放熱部材を作製した。そして、これらの放熱部材を用いて実施例1と同様にダウンライトを構成し、これらのダウンライトをそれぞれ雰囲気温度25℃の恒温室内に配置して1時間点灯した時点での基板外周端(A点)の温度を上述の評価試験と同様にして測定した。その結果を表4に示す。なお、表4には、比較用として上述の比較例1の結果を併記する。また、表4には、第1塗膜と第2塗膜との軟化点の差(Tm1−Tm2)を示す。
【0088】
【表4】

【0089】
表4より知られるごとく、実施例3〜11のプレコートアルミニウム合金板を用いた放熱部材は、従来の鋳造放熱部材(比較例1)に比べて優れた放熱効果を示すことができる。また、表3に示すように、実施例3〜11のプレコートアルミニウム合金板は、剥離強度に優れた第2塗膜を有している。そのため、放熱部材として用いた際に、ダウンライトのベース部材などの他部材と優れた密着性で接着させることができる。
【0090】
なお、本例においては、実施例3〜11の放熱部材料プレコートアルミニウム合金板を用いて、実施例1と同様のコルゲート状の放熱部材を作製したが、実施例2のように2枚重ねの構成の放熱部材を作製することもできる。
【0091】
(実施例12)
本例は、実施例1及び2とは形状の異なる放熱部材の例である。本例の放熱部材7は、実施例1及び2と同様にダウンライトタイプの照明器具に適用可能なものである(図12参照)。
本例の放熱部材7は、図12〜図14に示すごとく、放熱部材用プレコートアルミニウム合金板1を複数の折り曲げ起点線71に沿って折り曲げてコルゲート状に形成されている。放熱部材7は、折り曲げ起点線71の形成方向の一端側715に、他の部材81に接合するための接合端部72を有する。放熱部材7は、折り曲げ起点線71を軸方向Xに揃えた状態で全体形状が円筒形状を呈しており、該円筒形状の軸方向Xの一端715に接合端部72を有する。放熱部材7は、この接合端部72を他の部材81に接合させて用いることができる。
【0092】
放熱部材7は、円筒形状の径方向に放射状に配された複数のフィン部73を有する。放熱部材7において、隣り合うフィン部73は、円筒形状の内周側701及び外周側702においてそれぞれ交互に連結されている。フィン部73同士の内周側701及び外周側702の連結部74、75は、上記円筒形状の周方向に配された平面で形成されている。以下、適宜、内周側701の連結部を内面部74、外周側702の連結部を外面部75という。
【0093】
図13に示すごとく、本例において、隣り合うフィン部73同士の間隔は径方向で異なり、内周側701から外周側702に向けて間隔が大きくなっている。隣り合うフィン部73同士の間隔は内周側701で最小になる。本例においては、内周側701の連結部である内面部74が存在する部位でも、存在しない部位でも内周側701の間隔D3、D4は同じに設定してあり、いずれも5mmである。即ち、フィン部73同士の内周側701の間隔は全て均一で、5mmとなっている。
また、隣り合うフィン部73同士の外周側702の間隔も、外周側702の連結部である外面部75の存在の有無にかかわらず、全て均一であり、本例においては8mmに設定されている。
なお、本例においては、隣り合うフィン部73同士の内周側701の間隔、及び外周側702の間隔をそれぞれ均一にしてあるが、間隔を変えることもできる。放熱性の観点から、隣り合うフィン部73同士の最短の間隔は3mm以上にすることが好ましい。
【0094】
また、図12及び図14に示すごとく、連結部、即ち平坦な内面部74及び外面部75には、放熱部材7を構成するプレコートアルミニウム合金板を厚み方向に貫通する貫通孔740、750がそれぞれ形成されている。本例においては、全ての内面部74及び外面部75に貫通孔740、750が設けられている。なお、フィン部73に貫通孔を形成することも可能である。内面部74には、円筒形状の軸方向Xに直列に配置した2つの貫通孔740a、740bをそれぞれ設けてある。同様に、外面部75にも軸方向Xに直列に配置した2つの貫通孔750a、750bを設けてある。貫通孔740a、740b、750a、750b間には、プレコートアルミニウム合金板1から構成される部分を残存させてある。
【0095】
放熱部材7は、1枚のプレコートアルミニウム合金板1をコルゲート状に折り曲げ加工し、折り曲げ起点線を軸方向に揃えた状態で全体形状を筒形状に曲成して形成されている。プレコートアルミニウム合金板1としては、実施例1において示した放熱部材用プレコートアルミニウム合金板1を用いる。したがって、放熱部材7は、図15に示すごとく、アルミニウム合金板10とその一方の面に形成された第1塗膜11と、他方の面に形成された第2塗膜12とを備えている。なお、上述の実施例3〜11の放熱部材用プレコートアルミニウム合金板を用いて、本例と同様の構成の放熱部材を形成することももちろん可能である。
【0096】
本例の放熱部材7の形成にあたっては、まず、実施例1と同様の構成の放熱部材用プレコートアルミニウム合金板1(ブランク材)を準備し、このプレコートアルミニウム合金板1を重ね合わせることなく、1枚の状態で複数の折り曲げ起点線71に沿ってコルゲート状に折り曲げる。次いで、コルゲート状に折り曲げたプレコートアルミニウム合金板1において、最終形状(図12〜14参照)の連結部74、75となる部位に貫通孔740、750を予め形成しておく。次いで、折り曲げ起点線71を軸方向Xに揃えた状態で全体形状を円筒形状(直径85mmm、高さ5cm)に曲げる。このとき、周方向の端部同士は、接着剤等を用いて接合することができる。また、全体形状を円筒形状に曲げた状態で、放熱部材用プレコートアルミニウム合金板1の第2塗膜を加熱により軟化又は溶融させた後、放冷により硬化させて全体形状を円筒形状に固定させることもできる。
【0097】
本例においては、図15に示すごとく、放熱部材用プレコートアルミニウム合金板1の第1塗膜11が円筒形状の外周側702であり、第2塗膜12が円筒形状の内周側701となるように成形されている。なお、図12〜図14及び後述の図16においては、図面作成の便宜のため第1塗膜及び第2塗膜を省略して示してあるが、実際には、図15に示すように、アルミニウム合金板10の表面にそれぞれ第1塗膜11及び第2塗膜が形成されている。
【0098】
図12〜図14に示すごとく、円筒形状の放熱部材7は、軸方向Xの一端を他の部材81に対する接合端部72とすることができる。放熱部材7の接合端部72を他の部材81に当接させた状態で加熱することにより、その他の部材81と一体的に接合した状態で使用することができる。照明器具の一種であるダウンライトに適用した具体的な構成としては、図16に示すごとく、上記他の部材としてのベース板81に放熱部材7を接合した構成とすることができる。ベース部材81と放熱部材7とを組み合わせた全体を放熱部材として認識することも可能である。なお、図16において、ダウンライト本体部80上に配置される放熱部材7は、図13におけるA−A線矢視断面を示す。
【0099】
ベース部材81は、アルミニウム合金製の円盤(直径:85mmm、厚み3mm)からなり、ベース部材81と放熱部材7との接合は、ベース部材81の上面に、直径85mmm、高さ5cmの円筒形状の放熱部材7を、その軸方向Xの一端(接合端部72)を当接させるように載せ、ある程度の荷重をかけた状態で、実施例1と同様に加熱し、放冷することにより行う。図17に示すごとく、加熱により、放熱部材7を構成する放熱部材用プレコートアルミニウム合金板1の第2塗膜12が溶融又は軟化し、自重により他の部材81上に広がる。その後放冷することによって第2塗膜12が硬化して接着機能を発揮する。これにより、図16及び図17に示すごとく、ベース部材81と放熱部材7とが一体化する。なお、一体化後には、ベース部材81の表面を覆うように第2塗膜の構成成分が広がった部分127が形成される(図17参照)。
【0100】
また、図16に示すごとく、実施例1と同様に別途準備したダウンライト本体部80に対して、放熱部材7と一体化したベース部材81を絶縁フィルム85を介して接合することにより、放熱部材7を備えたダウンライト803が完成する。
【0101】
このダウンライト803を点灯させた際には、光源82が発熱する。この熱は、基板83、絶縁フィルム85及びベース部材81を介して放熱部材7に伝達される。放熱部材7においては、アルミニウム合金板10を伝達してくる熱が、放熱性に優れた第1塗膜11の作用によって効率よく放熱される。それ故、ダウンライト803における光源82の温度が過度に上昇することを抑え、寿命低下の防止及び発光性能の維持を図ることができる。
【0102】
また、本例の放熱部材7は、折り曲げ起点線の形成方向の一端側に、他の部材に接合するための接合端部72を有する。そのため、円筒形状の側面の表面積が大きくなり、側面からの放熱性を高めることができる。
また、放熱部材7においては、フィン部73同士の内周側701及び外周側702の連結部74、75が円筒形状の周方向に配された平面又は曲面で形成されている。そして、連結部74、75には貫通孔740、750が形成されている。円筒形状の放熱部材7の側面からの通気性を向上させることができる。したがって、優れた放熱性能を発揮することができる。本例の放熱部材7のその他の作用効果は、実施例1と同様である。
【符号の説明】
【0103】
1 放熱部材用プレコートアルミニウム合金板
10 アルミニウム合金板
11 第1塗膜
115 放熱性物質
12 第2塗膜
125 熱伝導性物質
5、6、7 放熱部材
50、60 底面部
51、61 接合面
52、62、73 フィン部
8、802、803、809 ダウンライト
80 ダウンライト本体
81 ベース部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム合金板と、その一方の面に形成された第1塗膜と、他方の面に形成された第2塗膜とを備えるプレコートアルミニウム合金板であって、
上記第1塗膜は、上記アルミニウム合金板の表面よりも優れた放熱性を有しており、
上記第2塗膜は、加熱することによって溶融又は軟化して接着剤となる接着機能を有していることを特徴とする放熱部材用プレコートアルミニウム合金板。
【請求項2】
請求項1に記載の放熱部材用プレコートアルミニウム合金板において、上記第1塗膜は、軟化点が150℃超えであって、フッ素樹脂、数平均分子量10000〜40000のウレタン樹脂、数平均分子量10000〜40000のポリオレフィン樹脂、数平均分子量1000〜15000のエポキシ樹脂、数平均分子量10000〜40000のポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種からなる第1ベース樹脂中に放熱性物質を含有してなることを特徴とする放熱部材用プレコートアルミニウム合金板。
【請求項3】
請求項2に記載の放熱部材用プレコートアルミニウム合金板において、上記第1塗膜は、上記放熱性物質として、酸化チタン、カーボン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウムの1種または2種以上を含有していることを特徴とする放熱部材用プレコートアルミニウム合金板。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の放熱部材用プレコートアルミニウム合金板において、上記第1塗膜は、上記第1ベース樹脂100重量部に対して、平均粒径0.1〜100μmの酸化チタン0.5〜200重量部、微粉末のカーボン0.5〜25重量部、シリカ0.5〜200重量部、アルミナ0.5〜200重量部、及び酸化ジルコニウム0.5〜200重量部から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする放熱部材用プレコートアルミニウム合金板。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の放熱部材用プレコートアルミニウム合金板において、上記第2塗膜は、軟化点が150℃以下であって、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂の1種あるいは2種以上からなる第2ベース樹脂を含有していることを特徴とする放熱部材用プレコートアルミニウム合金板。
【請求項6】
請求項5に記載の放熱部材用プレコートアルミニウム合金板において、上記第2塗膜は、上記第2ベース樹脂中に、熱伝導性物質を含有していることを特徴とする放熱部材用プレコートアルミニウム合金板。
【請求項7】
請求項6に記載の放熱部材用プレコートアルミニウム合金板において、上記熱伝導性物質として、アルミナ、酸化チタン、シリカ、カーボン又はニッケルを含有していることを特徴とする放熱部材用プレコートアルミニウム合金板。
【請求項8】
請求項1〜7に記載の放熱部材用プレコートアルミニウム合金板において、上記第1塗膜の軟化点をTm1℃、上記第2塗膜の軟化点をTm2℃とすると、Tm1−Tm2≧20であることを特徴とする放熱部材用プレコートアルミニウム合金板。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の放熱部材用プレコートアルミニウム合金板において、上記第1塗膜と上記第2塗膜の少なくとも一方には、カルナバ、ポリエチレン、マイクロクリスタリン、ラノリンのうち1種あるいは2種のインナーワックスを含有していることを特徴とする放熱部材用プレコートアルミニウム合金板。
【請求項10】
他の部材に接合するための接合面を有する底面部と、該底面部から立設させたフィン部とを有する放熱部材であって、
上記底面部及び上記フィン部は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の放熱部材用プレコートアルミニウム合金板を折り曲げ加工することにより形成されており、
上記底面部における上記接合面は、上記第2塗膜を有する面により構成されていることを特徴とする放熱部材。
【請求項11】
請求項10に記載の放熱部材において、上記フィン部は、上記放熱部材用プレコートアルミニウム合金板を上記第1塗膜が表面に来るよう180度折り曲げて2枚重ねにして構成してあることを特徴とする放熱部材。
【請求項12】
請求項10に記載の放熱部材において、上記フィン部は、上記放熱部材用プレコートアルミニウム合金板を重ね合わせることなく1枚の状態でコルゲート状に折り曲げて構成してあることを特徴とする放熱部材。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の放熱部材用プレコートアルミニウム合金板を複数の折り曲げ起点線に沿って折り曲げてコルゲート状にした放熱部材であって、
上記折り曲げ起点線の形成方向の一端側に、他の部材に接合するための接合端部を有することを特徴とする放熱部材。
【請求項14】
請求項13に記載の放熱部材において、上記放熱部材は、上記折り曲げ起点線を軸方向に揃えた状態で全体形状が筒形状を呈しており、該筒形状の軸方向の一端に上記接合端部を有することを特徴とする放熱部材。
【請求項15】
請求項14に記載の放熱部材において、上記放熱部材は、全体形状が円筒形状を呈していることを特徴とする放熱部材。
【請求項16】
請求項15に記載の放熱部材において、上記円筒形状の径方向に放射状に配された複数のフィン部を有し、隣り合う上記フィン部は、上記円筒形状の内周側及び外周側においてそれぞれ交互に連結されており、上記フィン部同士の上記内周側及び上記外周側の連結部は、上記円筒形状の周方向に配された平面又は曲面で形成されていることを特徴とする放熱部材。
【請求項17】
請求項16に記載の放熱部材において、上記連結部には貫通孔が形成されていることを特徴とする放熱部材。
【請求項18】
請求項13〜17のいずれか1項に記載の放熱部材において、上記放熱部材用プレコートアルミニウム合金板の上記第1塗膜が上記円筒形状の外周側であり、上記第2塗膜が上記円筒形状の内周側であることを特徴とする放熱部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−14132(P2013−14132A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−125790(P2012−125790)
【出願日】平成24年6月1日(2012.6.1)
【出願人】(000002277)住友軽金属工業株式会社 (552)
【Fターム(参考)】