説明

文字入りプランター及びその製造方法

【課題】 本発明は、頑丈で壊れにくく、簡単に作成することができ、維持費もほとんど掛からずに、広告宣伝の効果も大きくすることができる文字入りプランターを提供することを目的とするものである。
【解決手段】 本発明は、石板を箱形に組み立てたプランターの外面に研磨剤を吹き付けることにより文字又は図柄を彫り込み、前記文字又は図柄の溝に発光塗料を圧縮空気により霧状にして吹き付けることを特徴とする文字入りプランター及びその製造方法の構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プランターに文字又は図柄を入れ、広告宣伝することができるようにした文字入りプランターに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
植物の栽培容器の1つであるプランターは、直方体状の箱型に形成されたプラスチック製のものが多く利用されている。プランターにより手軽に草花を栽培することができ、家庭で利用する他に歩道や公園等の様々な場所に設置される。
【0003】
商店街等に置かれたプランターは、広告宣伝に利用されることもあり、特許文献1に記載の発明のように、プランターに複数の発光ダイオードを配置し、文字や図形を表示させて広告宣伝する発明も公開されている。
【特許文献1】特開平07−255284号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、発光ダイオードを使用した場合、広告宣伝の効果は大きいが、電気代などの維持費も大きく掛かるし、電源等の配線を引いたり、電池を交換するなどの手間も掛かってしまう。
【0005】
また、歩道などに置いた場合、プラスチック製のプランターでは、物が当たって割れたり壊れたりすることもあるし、雨などが降った際には、電気回路が故障して発光することができなくなる可能性もある。
【0006】
そこで、本発明は、頑丈で壊れにくく、簡単に作成することができ、維持費もほとんど掛からずに、広告宣伝の効果も大きくすることができる文字入りプランターを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために、石板を箱形に組み立てたプランター2の外面に研磨剤6bを吹き付けることにより文字又は図柄3を彫り込み、前記文字又は図柄3の溝3aに発光塗料8bを圧縮空気により霧状にして吹き付けることを特徴とする文字入りプランター1及びその製造方法1aの構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、以上の構成であるから以下の効果が得られる。第1に、磨くことで光沢の出る御影石などでプランターを作成するため、頑丈で壊れにくく、見た目にも良いプランターにすることができる。
【0009】
第2に、サンドブラスト加工により文字や図柄を彫り込み、発光塗料を吹き付けるだけで、簡単にプランターに広告宣伝を付けることができ、作成後はほとんど維持費も掛かることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
石の種類又は発光塗料の成分や色は、プランターを使用する場所に応じて自由に調整できるものとする。また、文字や図柄の溝の彫り方又は発光塗料の吹付けについても、他に優れた方法があれば、その方法で行っても良い。
【実施例1】
【0011】
以下に、添付図面に基づいて、本発明である文字入りプランターについて詳細に説明する。図1は、本発明である文字入りプランターの斜視図である。文字入りプランター1を使用した状況を示す。
【0012】
文字入りプランター1は、石板を箱形に組み立てたプランター2の外面に研磨剤6bを吹き付けることにより文字又は図柄3を彫り込み、前記文字又は図柄3の溝3aに発光塗料8bを圧縮空気により霧状にして吹き付けることを特徴とする。
【0013】
文字入りプランター1は、外面に文字又は図柄3を付したプランター2からなる。プランター2は、上面の空いた石製の箱で、内側に草花等4を植えて、場所を選ばずに栽培することができる。
【0014】
文字又は図柄3を付する箇所は、通常は正面側に付するが、背面側、左側面側又は右側面側にも付して良い。図1では、文字又は図柄3は「ありがとうございました」の文字であるが、文字又は図柄3の大きさ、書体及び内容も自由である。
【0015】
草花等4は、プランター2の内部に直接土を入れて植えることもできるし、従来のプラスチックのプランターに植えたまま、本発明のプランター2の内部に収納するようにしても良い。
【0016】
更に、従来のプラスチックのプランターを利用する場合、図1では、5本の草花等4が植えてあるが、従来のプラスチックのプランター1つに5本植えても良いし、5個の植木鉢に1本ずつ植えても良い。
【0017】
プランター2は、草花等4を栽培するのが最も主要な目的であるため、プランター2を置く場所や植える草花等4の種類等により、適した大きさや形状のものを使用する必要がある。
【0018】
図2は、本発明である文字入りプランターの文字又は図柄の拡大図である。文字入りプランター1のプランター2の外面には、文字又は図柄3が刻み込まれる。図1における文字又は図柄3のうち「ありが」の部分のみ拡大して示す。
【0019】
文字又は図柄3は、プランター2に対して約3ミリメートルの深さの溝3aを彫ることにより付される。プランター2は石製であるが、サンドブラスト等の方法により簡単に文字又は図柄3の溝3aを彫り込むことができる。
【0020】
サンドブラストとは、エアコンプレッサーを用いて、表面に砂などの研磨剤6bを吹き付け、彫刻を施す加工方法のことである。尚、エアコンプレッサーは、空気ポンプの一種で圧縮空気を作る機械で、往復式、回転式又は遠心式などの種類がある。
【0021】
文字又は図柄3を彫った溝3aに対しては、エアブラシ8a等で色を付ける。エアブラシ8aは、圧縮空気により塗料を霧状にして吹き付ける器具であり、エアガンと言うこともある。
【0022】
文字又は図柄3に付ける塗料には、発光塗料8bを使用するので、周りが暗くなった場合でも、文字又は図柄3が光って目立たせることができるため、広告宣伝としての効果も大きくなる。
【0023】
石製のプランター2に文字又は図柄3の溝3aを刻むので、単に塗料で文字又は図柄3を描いた場合に比べて消えてしまうということがほとんどなく、広告宣伝効果が永久的に持続する。
【実施例2】
【0024】
図3は、本発明である文字入りプランターの製造方法を示すフローチャートである。図1の文字入りプランター1は、文字入りプランターの製造方法1aの手順により製造することができる。
【0025】
文字入りプランターの製造方法1aは、石板を箱型に組み立てるプランター製造5の工程、前記プランター製造5の工程で組み立てたプランター2の外面に研磨剤6bを吹き付けて文字又は図柄3の溝3aを彫り込むサンドブラスト加工6の工程、前記サンドブラスト加工6の工程で彫った文字又は図柄3に付ける発光塗料8bを作成する塗料作成7の工程及び前記塗料作成7の工程で作成した発光塗料8bを圧縮空気により霧状にして文字又は図柄3の溝3aに吹き付ける塗料吹付け8の工程からなることを特徴とする。
【0026】
プランター製造5の工程では、石板を直方体状の箱型に組み立て、プランター2を製造する。尚、プランター2を構成する石板を用意するだけで、組み立てを後の工程に回しても構わない。
【0027】
サンドブラスト加工6の工程では、プランター製造5の工程で組み立てたプランター2にサンドブラスト等の方法により文字又は図柄3の溝3aを彫り込む。尚、サンドブラスト加工6の工程は、プランター2を組み立てる前であっても構わない。
【0028】
塗料作成7の工程では、サンドブラスト加工6の工程で刻んだ文字又は図柄3に付ける発光塗料8bを作成する。尚、塗料作成7の工程は、塗料吹付け8の工程の前であれば、どの段階で行っても良い。
【0029】
塗料吹付け8の工程では、サンドブラスト加工6の工程で彫った文字又は図柄3の溝3aに、塗料作成7の工程で作成した発光塗料8bを、エアブラシ8a等を用いて吹き付けて仕上げる。
【0030】
文字入りプランターの製造方法1aは、工程の順番を変えて行うことができる場合もあるが、プランター製造5、サンドブラスト加工6、塗料作成7及び塗料吹付け8の工程を経ることにより、文字入りプランター1が完成する。
【0031】
図4は、本発明である文字入りプランターの製造方法のプランター製造の工程で製造するプランターの斜視図である。プランター製造5の工程におけるプランター2は、正面板2a、背面板2b、左側面板2c及び右側面板2dからなる。
【0032】
プランター2は、4枚の板を箱型に組んだもので、内部は中空であり、上面は空き面2eである。尚、下面は空き面としても良いし、板を嵌めて底板としても良い。プランター2に直接草花等4を植える場合は、底板を付けた方が良く、従来のプランターの周りを囲む場合には、底板は無くても構わない。
【0033】
プランター2の材質である石の種類としては、G633という御影石などが用いられる。御影石は、兵庫県御影地方が主産地である花崗岩であり、磨くことで光沢が出るため、建築用材などに利用される。G633の特徴としては、太陽が当たり日焼けすることで、鮮やかなピンク色に変化する。
【0034】
プランター2の寸法の例としては、正面板2a及び背面板2bを縦63cm、横221cm、厚さ3cmとし、左側面板2c及び右側面板2dを縦63cm、横80cm、厚さ3cmとする。ただし、プランター2の寸法や形状は、例として挙げたものに限定されず、例えば多角柱状や円柱状にしたりすることもできる。
【0035】
図5は、本発明である文字入りプランターの製造方法のサンドブラスト加工の工程を示す図である。サンドブラスト加工6の工程における文字又は図柄3の溝3aは、サンドブラストの方法により彫る。
【0036】
サンドブラストでは、エアコンプレッサー6aにより、表面に砂などの研磨剤6bを吹き付け、プランター2を削る。プランター2には、文字又は図柄3の部分を切り抜いたシート6cを被せ、切り抜きの箇所のみを削り取る。
【0037】
図5においては、プランター2にはまだ文字又は図柄3の溝3aは彫られておらず、「ありがとう」という文字を切り抜いたシート6cを被せ、エアコンプレッサー6aから研磨剤6bを吹き付けている。
【0038】
シート6cを利用することにより、余計な部分は削られず、文字又は図柄3の部分のみ綺麗に溝3aを彫ることができる。石などのように削りづらい材質の場合は、サンドブラスト等の方法が有効である。
【0039】
図6は、本発明である文字入りプランターの製造方法の塗料混合の工程における塗料の成分及び分量を示す表である。塗料作成7の工程における発光塗料8bは、複数の成分を混合したものである。
【0040】
図6に示すように、発光塗料8bの成分7aは、ラッカーエナメル白、ラッカーシンナー、砂及び貝の粉であり、ラッカーエナメル白、ラッカーシンナーが液体で、砂及び貝の粉が固体である。
【0041】
成分7aの分量7bについては、ラッカーエナメル白が20ml、ラッカーシンナーが30ml、砂が0.2g、貝の粉が0.5gである。砂及び貝の粉を混合することにより、文字又は図柄3がキラキラと光って見える。
【0042】
尚、ラッカーエナメルとは、硝酸セルロース等を揮発性溶剤に溶かした光沢のある塗料で、乾燥が非常に速く、耐水性及び耐摩耗性に優れる。また、ラッカーシンナーとは、塗料の原料を薄めて塗りやすくするための有機溶媒である。
【0043】
発光塗料8bの成分7aは、図6の表以外のものを混合しても良いし、分量7bも発光塗料8bとしてより効果の大きくなるように調整するものとする。発光塗料8bの色についても、石との関係で見やすいものになるようにする。
【0044】
図7は、本発明である文字入りプランターの製造方法の塗料吹付けの工程を示す図である。塗料吹付け8の工程においては、エアブラシ8a等を使用して発光塗料8bを吹き付ける。
【0045】
図7では、文字又は図柄3として「ありが」が示されており、「ありが」の文字のうち、「あ」の溝3aのみが塗装済みで、「り」の溝3aにエアブラシ8aを使用して発光塗料8bを吹き付けている状況である。
【0046】
プランター2の素材が石であるため、エアブラシ8aを使用した方が発光塗料8bを付着させやすく、また、エアブラシ8aを使用すると、発光塗料8bの濃淡を調整することも容易である。
【0047】
図5のサンドブラストで使用したシート6cを付けたままであれば、溝3a以外に発光塗料8bが付くことを防ぐことができる。見た目に良いことも、広告宣伝する上では重要なことである。
【0048】
以上のように、本発明である文字入りプランター1は、磨くことで光沢の出る御影石などでプランターを作成するため、頑丈で壊れにくく、見た目にも良いプランターにすることができる。
【0049】
また、サンドブラスト加工により文字や図柄を彫り込み、発光塗料を吹き付けるだけで、簡単にプランターに広告宣伝を付けることができ、作成後はほとんど維持費も掛かることがない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
プランター以外にも、石製の壁や床のタイルなどに対して、文字を彫り込んで、塗料を吹き付けることにより、広告宣伝することができる。また、石碑に文字を刻んだり、石の置物に文字を入れる場合など様々なものに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明である文字入りプランターの斜視図である。
【図2】本発明である文字入りプランターの文字又は図柄の拡大図である。
【図3】本発明である文字入りプランターの製造方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明である文字入りプランターの製造方法のプランター製造の工程で製造するプランターの斜視図である。
【図5】本発明である文字入りプランターの製造方法のサンドブラスト加工の工程を示す図である。
【図6】本発明である文字入りプランターの製造方法の塗料混合の工程における塗料の成分及び分量を示す表である。
【図7】本発明である文字入りプランターの製造方法の塗料吹付けの工程を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1 文字入りプランター
1a 文字入りプランターの製造方法
2 プランター
2a 正面板
2b 背面板
2c 左側面板
2d 右側面板
2e 空き面
3 文字又は図柄
3a 溝
4 草花等
5 プランター製造
6 サンドブラスト加工
6a エアコンプレッサー
6b 研磨剤
6c シート
7 塗料作成
7a 成分
7b 分量
8 塗料吹付け
8a エアブラシ
8b 発光塗料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
石板を箱形に組み立てたプランターの外面に研磨剤を吹き付けることにより文字又は図柄を彫り込み、前記文字又は図柄の溝に発光塗料を圧縮空気により霧状にして吹き付けることを特徴とする文字入りプランター。
【請求項2】
石板を箱型に組み立てるプランター製造の工程、前記プランター製造の工程で組み立てたプランターの外面に研磨剤を吹き付けて文字又は図柄の溝を彫り込むサンドブラスト加工の工程、前記サンドブラスト加工の工程で彫った文字又は図柄に付ける発光塗料を作成する塗料作成の工程及び前記塗料作成の工程で作成した発光塗料を圧縮空気により霧状にして文字又は図柄の溝に吹き付ける塗料吹付けの工程からなることを特徴とする文字入りプランターの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−34226(P2006−34226A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221971(P2004−221971)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(304025057)有限会社リーフ彫工 (1)
【Fターム(参考)】