説明

断路器のインターロック装置

【課題】通電状態での断路器の切断操作をロックする一方、断路器の接続操作を自由に行わせるインターロック装置を提供すること。
【解決手段】架台1の側壁1a,1a間をわたる基軸2にレバー3を回転自在に支持させ、レバー3の一端部を断路器のブレードに連結し、中間部に係合片3cを設ける。架台1上のケース5に、電流検出器により断路器が介入する主回路の無電流を検知したときだけ有効に作動する解除操作スイッチ6を設ける。ケース5内にソレノイドを固定し、ロックピン9を下方に突出させる。ロックピン9は、ソレノイドによりレバー3の係合片3cの移動途上に出没し、ロック位置で係合片3cに係合してレバー3の切断操作を拘束し、解除位置で係合片3cの切欠きから脱してレバー3の接続操作を許容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電車線の電路などを接続・切断する断路器の誤操作による機器の破損と作業者の人身事故を防ぐインターロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
断路器は無通電の回路の一定区間を絶縁して切り離すもので、例えば、鉄道車両を車庫に入れて保守点検及び修理を行う場合、セクションインシュレータで分離された一定区間内にある電車のパンタグラフを降下させて無通電状態にし、その区間に通ずる電路を断路器で切り離すことによって安全に作業を行うことができる。断路器は一対の接触子と両者を接続可能なブレードとを備えたものが一般的である。断路器は遮断器のように負荷電流を開閉する能力を持っていないため、万一通電状態で遮断を行うと、大きなアークが発生し、機器の破損のみならず、作業者に危険を及ぼす虞れがある。
このような危険を防止するために、従来、特許文献1に記載の断路器用のインターロック装置は、中間部を架台の相対向する側壁間にわたる基軸に回転自在に支持し、その一端を断路器のブレードに連結して他端部を回動操作可能に構成したブレード操作用レバーを備える。このレバーは架台の側壁に貫通する抜き差し可能なロックバーにより回動操作を拘束される。ロックバーは、直交方向にわたるロックアームによりロックバーを抜止めする。ロックアームは、ソレノイドの通電によって磁心棒でロックバーの抜止めを解除する。ソレノイドは、断路器附近の電路上に設けられた電流検知器が無電流を検知したときだけ操作可能なロックアーム解除用通電操作スイッチに接続される。しかして、ブレードが接続位置にある状態で、電流検知器が無電流を検知すれば、通電操作スイッチを押すと、ソレノイドの作用でロックアームが吊上げられ、ロックバーを引き抜くことができるので、レバーを回動させて、ブレードの切断操作が可能になる。ブレードが接続位置にある状態で、電流検知器が通電を検知すれば、通電操作スイッチは作動せず、ソレノイドを通電できないので、ロックアームが引き続きロックバーの引き抜きを阻止し、レバーの接続位置が拘束されたまま切断操作ができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−162301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の断路器のインターロック装置においては、ロックバーの出し入れでレバーの操作を規制するため、構造が複雑になるし、ロックバーに対する追加的な操作が必要になるので、レバーの接続操作後に、ロックバーを架台に挿入し忘れ、レバー操作をロックできず、通電状態でのレバーの切断操作が可能となって、負荷電流により作業者に危険が及んだり、設備を破損する虞がある。また、ブレードの切断状態では、負荷電流が流れないため、レバーの接続操作に何ら危険が伴わないにも関わらず、ロックバーを抜き出すまでのロック解除操作を必要とする。
そこで、本発明は、簡易な構造及び簡単な操作によって、通電状態での断路器の操作をロックできるインターロック装置を提供することを課題にしている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明においては、断路器のブレードBを接続・切断位置に切替え操作可能なレバー3を架台1に変位自在に支持し、架台1に固定されたソレノイド8の通電により、レバー3の切替動作の変位途上にロックピン9を出没させ、レバー3の切替え操作を規制し、断路器が接続される電路の通電状態を電流検知器17により検知し、この電流検知器17に解除操作スイッチ6を接続して、無電流を検知した場合のみソレノイド8を作動させてロックピン9による切替え操作の拘束を解除してレバーの切替え操作が可能なインターロック装置を構成した。
ロックピン9は、レバー3を接続位置にのみ拘束するように、レバー3に係合するものとした。
レバー3には、ソレノイド8により作動するロックピン9が係合する係合部材3cを設け、係合部材3cの係合に位置に応じて切替操作を阻止するものとした。
架台1には、ロックピン9に係合してレバー3の切替え操作の拘束を解除させる移動可能な解除ピン10を設け、解除操作スイッチ6を操作することなくレバー3の切替え操作の拘束を手動で解除できるようにした。
架台1には、レバー3の動作途上を横断して操作を拘束するロックバー14を抜き差し自在に支持させた。
【発明の効果】
【0006】
本発明においては、断路器のレバーの切替え操作をソレノイドにより規制するので、構造を簡易化することができ、またレバーの切替操作を自動的にロックすることができる一方、解除操作スイッチの操作のみで簡単にロック解除できるので、断路器の切替操作を安全にかつ簡単に行うことができる。
また、ロックピンとレバーとの係合位置を択一的に変更することにより、レバーの一方向への切替操作のみをロックしたり、必要に応じて両方向への切替操作をロックすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明のインターロック装置の正面図である。
【図2】同側面図である。
【図3】A−A矢視図である。
【図4】ケースの一部を切り欠いた正面図である。
【図5】同側面図である。
【図6】断路器の概略的構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して本発明の実施の一形態を説明する。
図1乃至図5において、架台1は側壁1a,1a間に基軸2が支持されている。基軸2にはレバー3が回転自在に支持される。レバー3の一端部には図7に示すように断路器のブレードBにリンク部材を介して連結される連結部3aを、他端部にはハンドル部3bを、中間部には基軸2及びレバー3の直交方向に延出する係合片3cとを備えている。係合片3cには、切欠きによって回転方向に直交する段差面が形成される。レバー3は、架台1の上下位置に固定されたストッパ4,4で回動範囲が規制されると共に、架台1との間のばね3dに押されて断路器のブレードBの接続・切断位置に対応する回動位置に保持される。
【0009】
ケース5は架台1の側壁1a,1aを上端部で結合する天板1b上に固定される。ケース5の前面には、解除操作スイッチ6と表示灯7を備えている。
【0010】
ケース5内には、磁心片8aが下方に突出して支持されたソレノイド8が固定されている。磁心片8aにはこれと共に昇降し、ロック位置と解除位置の上下に変位可能なロックピン9が結合する。ロックピン9は、ソレノイド8の作動によりレバー3の係合片3cの回転途上に出没し、ロック位置で係合片3cに係合してレバー3の操作を拘束し、解除位置で係合片3cの切欠きから脱してレバー3の操作を許容する。
【0011】
ソレノイド8には、解除操作スイッチ6が故障してソレノイド8が作動しない場合を想定して手動でレバー3の拘束を解除するための解除ピン10を附設する。このロック解除ピン10はケース5の底面を貫通し、上部にロックピン9に係合する横方向に延びたブラケット11が結合している。ブラケット11はロックピン9に自由に貫通されるが、ロックピン9の途上で横方向に突出した係合ピン12が引っ掛かりロックピン9を一体に上昇移動させる。従って、ソレノイド8が機能を失ってロックピン9が解除不能になったら、ロック解除ピン10を持ち上げれば、ロックピン9を一体に押し上げレバー3の切断動作を可能にする。誤ってこのロック解除ピン10を持上げることのないように解除ピン10の下端部には押上げ防止錠13を設けている。
【0012】
架台1には、レバー3の回転操作の途上を横断するように配置され、架台1の側壁1a,1aを抜き差し自在に貫通するロックバー14を備えている。ロックバー14の一端部には架台1の側壁1aに係止されたチェーン15が連結され、他端部には引抜き防止錠16を備える。
【0013】
電流検知器17は図6に示すように、例えばホール素子型電流センサを用い、断路器附近の電線Eに装着する。この電流検出器17はケース5の表示灯7とリード線18で接続されると共に、解除操作スイッチ6に接続される。そして、電流検出器17が無電流を検知したときだけ、解除操作スイッチ6が作動可能となる。
【0014】
本実施形態に係るインターロック装置においては、操作前に引抜き防止錠16を解錠して、ロックバー14を架台1から引き抜いておく。図3に示すように、いまレバー3が接続位置にあり、電流検出器17により無電流状態が検知されて表示灯7が操作可能を表す点灯状態になっているものとする。このとき、下方に突出しているロックピン9が係合片3cに係合しており、レバー3の回動を拘束する。この状態のとき解除操作スイッチ6を押すと、ソレノイド8が磁心片8aを引っ込めてロックピン9を引き上げ、レバー3を解放する。レバー3を図3の鎖線位置まで回動させると、ブレードBの切断となる。電流検出器17により通電状態が検知されて表示灯7が操作不可を表す消灯状態になっているときは、解除操作スイッチ6を押しても、ソレノイド8の磁心片8aが作動せず、ロックピン9が係合片3cに係合したままである。
【0015】
一方、レバー3が切断位置にあれば、ロックピン9が係合片3cに係合していないので、電流検出器17による電流の有無に関わらずレバー3を接続位置に自由に引き下げることができる。
【0016】
解除操作スイッチ6が故障して、ソレノイド8が作動しない場合には、錠13を解錠して、解除ピン10を持上げれば、係合片3cとの係合を解いてレバー3の切断動作が可能になる。
【0017】
なお、上記実施形態では、断路器を設けた電路の通電時にのみレバー3の切断操作をロックするものであるが、レバー3の接続操作をもロックする場合には、係合片3cの前後に一対の切欠きを設けてロックピン9を係合させる構成にすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は電車線の電路を切断及び接続する断路器の誤操作の危険を回避するのに有効なインターロック装置である。
【符号の説明】
【0019】
1 架台
2 基軸
3 レバー
3c 係合片
5 ケース
6 解除操作スイッチ
7 表示灯
8 ソレノイド
8a 磁心片
9 ロックピン
10 解除ピン
14 ロックバー
17 電流検知器
B ブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断路器のブレードを接続・切断位置に切替え操作するために架台に変位可能に支持されたレバーと、
前記架台に固定されたソレノイドの通電により、前記レバーの切替動作の変位途上に出没し、レバーの切替え操作を規制するロックピンと、
前記断路器が接続される電路の通電状態を検知する電流検知器と、
この電流検知器に接続され、無通電を検知した場合にのみ前記ソレノイドを作動させ、前記ロックピンによる前記レバーの切替え操作を解除する解除操作スイッチとを具備することを特徴とする断路器のインターロック装置。
【請求項2】
前記ロックピンは、前記レバーを接続位置にのみ拘束するようにレバーに係合することを特徴とする請求項1に記載の断路器のインターロック装置。
【請求項3】
前記レバーには、前記ロックピンに係合して、その係合に位置に応じたレバーの切替操作を阻止する係合部材を備えることを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載の断路器のインターロック装置。
【請求項4】
前記架台に移動可能に設けられ、前記ロックピンに係合して前記レバーの切替え操作の拘束を解除させる解除ピンを備え、
前記解除操作スイッチを操作することなくレバーの切替え操作の拘束を手動で解除できることを特徴とする請求項1ないし3に記載の断路器のインターロック装置。
【請求項5】
前記架台に抜き差し自在に支持され、前記レバーの動作途上を横断して操作を拘束するロックバー備えることを特徴とする請求項1ないし4に記載の断路器のインターロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−177129(P2010−177129A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20519(P2009−20519)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000001890)三和テッキ株式会社 (134)
【Fターム(参考)】