説明

新規なエリスロマイシン誘導体、製造方法及び医薬としての利用

【課題】グラム陽性細菌及びグラム陰性細菌に対して抗菌活性を有する新規なエリスロマイシン誘導体の提供。
【解決手段】下記の化合物並びにそれらの酸付加塩の使用:2,3−ジデヒドロ−11,12−ジデオキシ−3−デ[(2,6−ジデオキシ−3−C−メチル−3−O−メチル−アルファ−L−リボ−へキソピラノシル)オキシ]−6−O−メチル−12,11−[オキシカルボニル[[4−[4−(3−ピリジニル)−1H−イミダゾール−1−イル]ブチル]イミノ]]−エリスロマイシン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なエリスロマイシン誘導体、それらの製造方法及びそれらの医薬としての利用に関するものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
この発明は、下記式(I)の化合物並びにそれらの酸付加塩に関係する:
【化1】

{式中:
− A及びBはOH基を表すか、
− 又は BはOH基を表し且つAはそれを有する炭素と10位の炭素とで二重結合を形成し、
− 又は A及びBは、一緒に、カーボネート基を形成し、
− 又は A及びBは、一緒に、それらを有する炭素原子と共に環:
【化2】

(式中、XはCH2、NH又はSO2基を表し、Rは(CH2)nAr、N−(CH2)nAr又はN=CH(CH2)nAr基(式中、nは1〜6の整数を表し、Arはアリール又はヘテロアリール基を表し、必要なら置換されている))を形成し、点線は、2(3)位の随意の二重結合を表し、そしてYは、水素原子又は最大で18炭素原子を含む有機カルボン酸の残基を表す。
【0003】
アリール基は、フェニル基又はナフチル基であってよい。
【0004】
アリール基は又、置換された若しくはされてないヘテロ環状基例えばチエニル、フリル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル若しくはイソピラゾリル基、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル若しくはピラジニル基、又はインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアジル若しくはキノリニル基であってもよい。
【0005】
これらのアリール基は、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、NO2、NH2若しくはC≡N基、アルキル、アルケニル若しくはアルキニル基、O−アルキル、O−アルケニル若しくはO−アルキニル基、S−アルキル、S−アルケニル若しくはS−アルキニル基及びN−アルキル、N−アルケニル若しくはN−アルキニル基(最大で12炭素原子を含み、適宜、少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている)、N(Ra)−Rb基(式中、Ra及びRbは、同一か又は異なって、水素原子又は最大で12炭素原子を含むアルキル基を表す)、−CO−R3基(式中、R3は最大で12炭素原子を含むアルキル基、又は適宜置換されたアリール若しくはヘテロアリール基を表す)、カルボキシル化したアリール、O−アリール若しくはS−アリール基、少なくとも1つのヘテロ原子を含む5員若しくは6員のヘテロ環式のアリール、O−アリール若しくはS−アリール基(適宜、少なくとも1つの上記の置換基により置換されている)を含む群から選択する少なくとも1つの基を含むことができる。
【0006】
好適なヘテロ環として、我々は、他のものの内から、下記のもの:
【化3】

【化4】

及び欧州特許出願第487411号、596802号、676409号及び680967号において構想されたヘテロ環式基を挙げることができる。これらの好適ヘテロ環式基は、少なくとも1つの官能基によって置換することができる。
【0007】
酸付加塩の内で、我々は、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、リンゴ酸、酒石酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸及び特にステアリン酸、エチルコハク酸又はラウリルスルホン酸により形成される塩を挙げることができる。
【0008】
この発明は、特に、XがCH2又はNH基を表し、Rが(CH2)nAr、N−(CH2)nAr又はN=CH(CH2)nAr基(式中、nは1〜6の整数を表しArは適宜置換されたアリール又はヘテロアリール基を表す)を表し、点線が2(3)位の随意の二重結合を表し、且つYが水素原子又は最大で18炭素原子を含む有機カルボン酸の残基を表す式(I)に従う化合物並びにそれらの酸付加塩に関係する。
【0009】
この発明は、一層特に、点線が2(3)位の二重結合を表す式(I)の化合物、Yが水素原子を表すもの及びRが(CH2)nAr基(n及びArは前と同じ意味を有する)を表すものに関係する。
【0010】
この発明の好適な化合物の内で、我々は、全く特に、Rが(CH2)3Ar、(CH2)4又はAr(CH2)5Ar基を表す式(I)の化合物を挙げることができ、特に、Arが、適宜置換された基:
【化5】

又は適宜置換された基:
【化6】

を表す化合物例えばArが下記の基を表す式(I)の化合物を挙げることができる:
【化7】

この発明は、一層特に、実施例1の化合物に関係している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一般式(I)の生成物は、グラム陽性細菌例えばブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎双球菌に対する非常に優れた抗菌活性を有している。
【0012】
それ故、この発明の化合物は、感受性の細菌による感染症の治療、特に、ブドウ球菌感染症例えばブドウ球菌による敗血症、顔又は皮膚の悪性のブドウ球菌感染症、膿疱性皮膚炎、腐敗性の又は化膿性の傷、せつ、癰、蜂巣炎、丹毒及び座瘡、ブドウ球菌感染症例えば一次の若しくはインフルエンザ後の咽頭炎、気管支肺炎、肺の化膿、連鎖球菌感染症例えば急性咽頭炎、耳炎、副鼻腔炎、猩紅熱、肺炎双球菌感染症例えば肺炎、気管支炎;ブルセラ症、ジフテリア、淋菌感染症の治療における医薬として用いることができる。
【0013】
本発明の生成物は又、インフルエンザ菌、リケッチア、肺炎マイコプラズマ、クラミジア、レジュネラ、ウレアプラスマ、トキソプラズマ等の微生物による感染症、又はミコバクテリウム属の微生物による感染症に対しても活性である。
【0014】
それ故、本発明は、医薬としての特に抗生物質としての、上記の式(I)の生成物並びにそれらの製薬上許容し得る無機又は有機酸付加塩でもある。
【0015】
この発明は、特に、医薬としての特に抗生物質医薬としての、実施例1の生成物及びそれらの製薬上許容し得る塩である。
【0016】
この発明は又、活性成分として少なくとも一の上記の医薬を含む医薬組成物にも関係する。
【0017】
これらの組成物は、口腔、直腸若しくは非経口経路により投与することができ又は皮膚及び粘膜に対する局所適用により局所的に投与することができるが、好適な投与経路は、口腔経路である。
【0018】
それらは、固体であっても液体であってもよく、ヒトの医薬において現在用いられている製薬形態例えば単なる若しくは糖衣の錠剤、カプセル、顆粒、坐剤、注射用製剤、軟膏、クリーム及びゲルにて与えることができ;それらは、通常の方法によって調製される。活性な成分をそれらに、医薬組成物において通常用いられる賦形剤例えばタルク、アラビアゴム、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、ココアバター、水性若しくは非水性ビヒクル、動物若しくは植物起源の脂肪物質、パラフィン誘導体、グリコール、種々の湿潤剤、分散助剤若しくは乳化剤及び防腐剤と共に取り込ませることができる。
【0019】
これらの組成物は又、適当なビヒクル例えば非発熱性の無菌水に使用時に溶解させるための粉末形態であってもよい。
【0020】
投与量は、治療中の病気、個々の患者、投与経路及び考究中の生成物によって変化する。例えば、それは、実施例1の生成物については、成人に対して経口投与で、一日当たり50〜300mgであってよい。
【0021】
この発明は又、下記を特徴とする方法にも関係する:
下記式(II)の化合物:
【0022】
【化8】

(式中、A及びBは、それらの前の意味を保持する)を、グリコシド結合の開裂剤の作用にかけて3位のヒドロキシルを遊離させて下記式(III)の化合物:
【化9】

を得、3位のヒドロキシルをメシレートの形態でブロックして、下記式(IV)の化合物:
【化10】

を得、これを塩基の作用にかけて、下記式(V)の化合物:
【化11】

を得、所望であれば、これを、2’位のヒドロキシルの開裂剤の作用にかけて、式(I)の対応する化合物を得る。
【0023】
この発明は、特に、下記を特徴とする式(I)の化合物の製造方法に関係する:
下記式(IIA)の化合物:
【化12】

をグリコシド結合の開裂剤の作用にかけて3位のヒドロキシルを遊離させ、下記式(IIIA)の化合物:
【化13】

を得、3位のヒドロキシルをメシレートの形態でブロックして下記式(IVA)の化合物:
【化14】

を得、これを、塩基の作用にかけて下記式(VA)の化合物:
【化15】

を得、これを、カルボニジイミダゾールの作用にかけて下記式(VI)の化合物:
【化16】

を得、これを、下記式(VII)の化合物:
RXNH2 (VII)
(式中、R及びXは、それらの前の意味を保持する)の作用にかけて下記式(IA)の化合物:
【化17】

を得、所望であれば、2’位のヒドロキシルを遊離させて下記式(IB)の化合物:
【化18】

を得、これを、所望であれば、2’位のヒドロキシルをエステル化剤の作用にかけ及び/又は2(3)位の二重結合を還元剤の作用にかけ及び/又は該化合物を酸の作用にかけてその塩を形成する。
【0024】
出発物質として用いられる式(I)の生成物は、BAKER等{J.Org.Chem.1988, 53,2340, 2345}により記載された方法によって製造することのできる公知の生成物である。
【0025】
この発明を実施する好適な態様においては:
− 3位のクラジノースの加水分解を濃塩酸によって行い、
− メシル化をメタンスルホン酸又はその誘導体の一つ例えばメタンスルホン酸無水物によって行い、
− 式(IV)の化合物の式(V)の化合物への変換中に用いる塩基は、ジアザビシクロ−ウンデセン、例えばDBU(即ち、1,8−ジアザビシクロ[5−4−0]ウンデク−7−エン)、又はジアザビシクロノネン、又は2,6−ルチジン、又は2,4,6−コリジン又はテトラメチルグアニジンであり、
− 式(V)の化合物の式(VI)の化合物への変換をカルボニルジイミダゾールにより行い、
− 式(IV)の化合物の式(VII)の化合物RXNH2との反応を塩基例えばジアザビシクロウンデセン例えばDBU又はジアザビシクロノネン又は2,6−ブチジン又は2,4,6−コリジン又はテトラメチルグアニジンの存在下で開始する。
【0026】
この方法の適用中に得られた化合物は新規な生成物であり、それら自身、本発明の目的である。
【0027】
それ故、この発明は、その主題事項として、新規な化学物質として、式(III)、(IV)、(V)及び(VI)の化合物を有する。
【0028】
一層特に、この発明は、その主題事項として、新規な化学生成物として、下記の実験部にその製法を与えた生成物を有する。
【実施例】
【0029】
実施例1:2,3−ジデヒドロ−11,12−ジデオキシ−3−デ[(2,6−ジデオキシ−3−C−メチル−3−O−メチル−アルファ−L−リボ−ヘキソピラノシル)オキシ]6−O−メチル−12,11−[オキシカルボニル[[4−[4−(3−ピリジニル)−1H−イミダゾール−1−イル]ブチル]イミノ]]−エリスロマイシン
ステージA:3−O−デ(2,6−ジデオキシ−3−C−メチル−3−O−メチル−アルファ−L−リボ−ヘキソピラノシル)−6−O−メチル−エリスロマイシンのサイクリック11,12−カーボネート2’−アセテート
17.9gの6−O−メチル−エリスロマイシンのサイクリック11,12−カーボネート2’−アセテート4”−(フェニルメチルカーボネート)と360mlのメタノールとの混合物を5℃まで冷却する。90mlの濃塩酸溶液を加える。温度を室温まで上げ、溶液を撹拌しながら6時間放置する。この反応媒質を氷アンモニア混合物上に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、水で洗い、乾燥して減圧下で濃縮する。11.62gの生成物が単離され、ジエチルエーテル中で結晶化する。得られた結晶の水を切り、それらを洗い、真空中で70℃で乾燥する。7.83gの期待する生成物が得られる。F=226〜228℃。
NMR − CDCl3 ppm
0.87(t):CH3−CO2;0.95(d):4−Me;1.11(d):8−Me;1.19(d):10−Me;1.23(d):2−Me;1.27(d):5’−Me;1.28−1.49:6及び12−Me;〜1.34及び1.73:CH2(4’位);〜1.49及び1.63:CH2(7位);〜1.59及び1.90:CH2(14位);1.86(d):3−OH;1.98(dq):H4;2.07(s):OAc;2.26(s):N(Me)2;2.58(m):H8;2.71(m):H2及びH3’;2.92(s):6−OMe;2.95(q):H10;3.48(m):H3及びH5’;3.70(d):H5;4.58(d):H1’;4.74(s):H11;4.75(dd):H2’;5.13(dd):H13
【0030】
ステージB:3−O−デ(2,6−ジデオキシ−3−C−メチル−3−O−メチル−アルファ−L−リボ−ヘキソピラノシル)−6−O−メチル−エリスロマイシンのサイクリック11,12−カーボネート2’−アセテート3−(メタンスルホネート)
9.20gのステージAで得られた生成物、60mlの塩化メチレン及び7.90gのDMAPを含む混合物を10℃まで冷却する。5.99gのメタンスルホン酸無水物を加える。この反応混合物を室温で17時間30分間にわたって撹拌する。この反応混合物を氷上に注ぎ、塩化メチレンで抽出し、水で次いで塩水で洗い、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で濃縮する。11.078gの期待する生成物が単離される。F=194〜196℃。
NMR CDCl3 ppm
0.89(t):CH3−CH2;1.00(d):4−Me;1.12(d):8−Me;1.19(d):10−Me;1.21(d):5−Me;1.27(d):2−Me;1.48−1.34:6及び12−Me;〜1.48及び1.57:CH2(7位);〜1.25及び1.70:CH2(4’位);〜1.62及び〜1.91:CH2(14位);2.02(dq):H4;2.06(s):OAc;2.25(s):N(Me)2;2.63(m):H8;2.72(m):H3’;2.93(ql):H10;2.99:6−OMe;2.99(マスク):H2;3.13(s):OSO2Me;3.57(m):H5’;4.01(d、J=5):H5;4.50(d):H1’;4.68(sl):H11;〜4.71(dd):H2’;4.74(d):H3;5.10(dd):H13
【0031】
ステージC:11−デオキシ−3−デ[(2,6−ジデオキシ−3−C−メチル−3−O−メチル−アルファ−L−リボ−ヘキソピラノシル)オキシ]−6−O−メチル−2,3,10,11−テトラデヒドロ−エリスロマイシンの2’−アセテート
9.56gのステージBで得られた生成物、95mlのアセトン及び15.5mlのDBUの混合物を、6時間30分間にわたって環流下に維持する。この反応媒質を氷と水の混合物上に注ぐ。沈殿を濾過して酢酸エチルに溶解させ、硫酸ナトリウム上で乾燥して、減圧下で濃縮する。5.45gの期待する粗生成物が単離され、ジエチルエーテルでペースト状にする。濾過し、70℃で、真空下で乾燥する。2.781gの期待する生成物が単離される。F=156〜158℃。
NMR CDCl3 ppm
1.02(t):CH3−CH2;1.14(d):4−Me;1.23(d):8−Me;1.27(d):5’−Me;1.30−1.34:6及び12−Me;1.78−2.02−2.04:2−Me−10−Me及び2’−OAc;〜1.35及び1.75:CH2(4’位);〜1.49及び1.99:CH2(7位);〜1.62及び1.83:CH2(14位);〜2.70:H3’及びH4;2.27(s):N(Me)2;3.01(m):H8;3.07(s)6−OMe;3.52(m):H5’;3.70(d):H3;4.44(d):H1’;4.76(dd):H2’;4.81(dd):H13;6.28(s、l):H11;7.01(dl):H3
【0032】
ステージD:2,3−ジデヒドロ−11,12−ジデオキシ−3−デ[(2,6−ジデオキシ−3−C−メチル−3−O−メチル−アルファ−L−リボ−ヘキソピラノシル)オキシ]−6−O−メチル−12,11−[オキシカルボニル[[4−[4−(3−ピリジニル)−1H−イミダゾール−1−イル]ブチル]イミノ]]−エリスロマイシン
507mgのステージCで得られた生成物、6mlのTHF、22.4μlのDBU及び243mgのCDIを一緒に攪拌する。溶液が得られ、それを、345mgのアミノブチルイミダゾールピリジンと4mlの塩化メチレンとの混合物に加える。一滴のDBUを加えて反応混合物を8.5日間にわたって0℃で攪拌する。幾らかの酢酸エチルを反応媒質に加え、温度を室温まで上げ、水で洗い、アンモニア水で洗い、次いで、水で洗う。水相を酢酸エチルで抽出し、有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で濃縮する。694mgの生成物が単離され、それを7mlのメタノールに溶解させる。この溶液を環流し、減圧下で濃縮する。639mgの期待する粗生成物が単離され、それをシリカ上でのクロマトグラフィーにかける(90−10の酢酸エチル/トリエチルアミン混合物で溶出)。292mgの結晶が単離され、それをジエチルエーテルでペースト状にする。得られた生成物の水分を切り、洗い、50℃で、減圧下で乾燥する。170mgの生成物が得られ、これを酢酸エチルに溶解させ、アンモニア水で洗い、無水硫酸ナトリウム上で乾燥して濃縮する。140mgの結晶が単離され、これらを酢酸エチルにてペースト状にし、洗い、減圧下で60℃で乾燥する。94mgの期待する生成物が得られる。F=196〜198℃。
NMR CDCl3 ppm
0.98(t):CH3−CH2;1.01(d):10−Me;1.15(d):8−Me;1.25(d):5’−Me;1.28(d):4−Me;1.30及び1.48:6及び12−Me;1.89(sl):2−Me;2.27(s):N−(CH3)2;2.47(m):H3’;2.64(m):H8;2.76(m):H4;2.76(s):6−OMe;3.00(q):H10;3.16(dd):H2’;3.52:H5;3.27:H11;3.52(m)、4.04(m):CH2−N−C=基;4.41(d):H1’;4.71(dd):H13;6.69(dl):H3;7.27(cm):H5−8.10(dt):H4−8.45(dd):H6−9.01(dd):H2(ピリジン);7.40(d)−7.56(d)(Hイミダゾール)。
【0033】
この発明の製造方法の変法の生成物(IV)即ち11−デオキシ−3−デ[(2,6−ジデオキシ−3−C−メチル−3−O−メチル−アルファ−L−リボ−ヘキソピラノシル)オキシ]−6−O−メチル−2,3,10,11−テトラデヒドロ−エリスロマイシンの2’−アセテートも又、下記のように製造することができる:
ステージA:3−O−デ(2,6−ジデオキシ−3−C−メチル−3−O−メチル−アルファ−L−リボ−ヘキソピラノシル)11−デオキシ−6−O−メチル−エリスロマイシン
5gの3−O−デ(2,6−ジデオキシ−3−C−メチル−3−O−メチル−アルファ−L−リボ−ヘキソピラノシル)−6−O−メチル−エリスロマイシン、85cm3の酢酸エチル、2.8gのエチレンカーボネート及び1.1gの炭酸カリウムの混合物を環流し、160℃で乾燥する。撹拌を80時間にわたって続ける。濾過し、減圧下で蒸発させ;8.54gの生成物が得られ、これを、シリカ上でのクロマトグラフィーにかける(96/4の酢酸エチル/トリエチルアミン混合物で溶出)。3.07gの求める生成物が得られる。
【0034】
ステージB:3−O−デ(2,6−ジデオキシ−3−C−メチル−3−O−メチル−アルファ−L−リボ−ヘキソピラノシル)11−デオキシ−6−O−メチル−エリスロマイシンの2’−アセテート
1.0612gのステージAの生成物、15cm3の酢酸エチル及び0.2cm3の無水酢酸を室温で一晩撹拌する。20cm3の水及び4cm3のアンモニアを加える。酢酸エチルで抽出し、水で洗い、乾燥して濃縮する。0.9426gの求める生成物が得られる。
【0035】
ステージC:11−デオキシ−3−O−デ(2,6−ジデオキシ−3−C−メチル−3−O−メチル−アルファ−L−リボ−ヘキソピラノシル)−6−O−メチル−エリスロマイシン
10℃で、194μlの塩化メシルを、600mgのステージBの生成物、3cm3の塩化メチレン及び404μlのピリジンを含む溶液に加える。温度を室温まで上げ、撹拌を8時間にわたって続ける。氷上に注ぎ、塩化メチレンで抽出し、水で洗い、乾燥し、濾過して濃縮する。クロマトグラフィー及びエーテル中での結晶化の後に、0.675gの求める生成物が得られる。
【0036】
ステージD:11−デオキシ−3−デ[(2,6−ジデオキシ−3−C−メチル−3−O−メチル−アルファ−L−リボ−ヘキソピラノシル)オキシ]−6−O−メチル−2,3,10,11−テトラデヒドロ−エリスロマイシンの2’−アセテート
100mgの前のステージで製造した生成物、255μlのDBU及び6mlのアセトンの混合物を24時間にわたって環流させる。水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、水で洗い、乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮し、シリカ上でのクロマトグラフィーにかける(98−2の酢酸エチル−トリエチルアミン混合物)。51mgの求める生成物が得られる。
【0037】
医薬組成物の例
下記を含む配合物を調製した:
実施例1の生成物 150mg
賦形剤 1gにするのに足りる量
賦形剤の詳細:澱粉、タルク、ステアリン酸マグネシウム
【0038】
この発明の生成物の薬理学的研究
液体培地での希釈物を用いる方法
それぞれ同量の無菌栄養培地を含む一連の試験管を準備した。研究中の生成物の増加する量を各試験管に分配し、次いで、各試験管に細菌株を接種する。37℃の炉中で24時間インキュベートした後に、生育の阻止を透視法により評価する。該方法は、マイクログラム/cm3で表した最小阻止濃度(MIC)を決定することを可能にする。
下記の結果が得られた:
【表1】

【0039】
更に、実施例1の生成物は、下記のグラム陰性細菌株に対する興味深い活性を示した:
Haemophilus influenzae 351HT3、351CB12、351CA1及び351GR6。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)の化合物並びにそれらの酸付加塩:
【化1】

{式中:
・A及びBは、それらを有する炭素原子と共に環:
【化2】

(式中:
XはCH2基を表し、Rは、(CH2nAr基(式中、nは1〜6の整数を表し、Arは、適宜置換された基:
【化3】

又は適宜置換された基:
【化4】

を表す)を表す。)
を形成し、点線は2(3)位の二重結合を表し、そしてYは、水素原子又は最大で18炭素原子を含む有機カルボン酸の残基を表す}。
【請求項2】
Yが水素原子を表す、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
Rが(CH2)3Ar、(CH2)4Ar又は(CH2)5Ar基を表す、請求項1又は2に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
Arが、
【化5】

を表す、請求項3に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
名称が下記の通りである、請求項1に記載の式(I)の化合物:
2,3−ジデヒドロ−11,12−ジデオキシ−3−デ[(2,6−ジデオキシ−3−C−メチル−3−O−メチル−アルファ−L−リボ−へキソピラノシル)オキシ]−6−O−メチル−12,11−[オキシカルボニル[[4−[4−(3−ピリジニル)−1H−イミダゾール−1−イル]ブチル]イミノ]]−エリスロマイシン。
【請求項6】
医薬としての、請求項1〜5のいずれかに記載の式(I)の化合物並びに製薬上許容し得るそれらの酸付加塩。
【請求項7】
医薬としての、請求項6に記載の化合物並びに製薬上許容し得るその酸付加塩。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の少なくとも一の医薬を活性成分として含む、医薬組成物。
【請求項9】
次式(I):
【化6】

(式中、点線は二重結合であり、A、B及びYは請求項1において定義した意味を有する。)
の化合物の製造方法であって、下記式(II)の化合物:
【化7】

(式中、A及びBは、上記の意味を保持する)を、グリコシド結合の開裂剤の作用にかけて3位のヒドロキシルを遊離させて下記式(III)の化合物:
【化8】

を得、3位のヒドロキシルをメシレートの形態でブロックして、下記式(IV)の化合物:
【化9】

を得、これを塩基の作用にかけて、下記式(V)の化合物:
【化10】

を得、所望であれば、これを、2’位のヒドロキシルの開裂剤の作用にかけて、式(I)の対応する化合物を得ることを特徴とする、請求項1に記載の式(I)の化合物の製造方法。
【請求項10】
次式(I):
【化11】

(式中、点線は二重結合であり、A、B及びYは請求項1で定義した意味を有する。)
の化合物の製造方法であって、下記式(IIA)の化合物:
【化12】

をグリコシド結合の開裂剤の作用にかけて3位のヒドロキシルを遊離させ、下記式(IIIA)の化合物:
【化13】

を得、3位のヒドロキシルをメシレートの形態でブロックして下記式(IVA)の化合物:
【化14】

を得、これを、塩基の作用にかけて下記式(VA)の化合物:
【化15】

を得、これを、カルボニルジイミダゾールの作用にかけて下記式(VI)の化合物:
【化16】

を得、これを、下記式(VII)の化合物:
RXNH2 (VII)
(式中、R及びXは、請求項1で定義した意味を有する)の作用にかけて下記式(IA)の化合物:
【化17】

を得、所望であれば、2’位のヒドロキシルを遊離させて下記式(IB)の化合物:
【化18】

を得、これを、所望であれば、2’位のヒドロキシルをエステル化剤の作用にかけ及び/又は2(3)位の二重結合を還元剤の作用にかけ及び/又は該化合物を酸の作用にかけてその塩を形成することを特徴とする、式(I)の化合物の製造方法。

【公開番号】特開2010−132683(P2010−132683A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20522(P2010−20522)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【分割の表示】特願平10−528474の分割
【原出願日】平成9年12月22日(1997.12.22)
【出願人】(301014948)アベンティス・ファーマ・ソシエテ・アノニム (14)
【Fターム(参考)】