説明

方向転換装置

【課題】物品13の方向転換を正確かつ安定してでき、物品13の方向転換の制御および調整も容易にでき、高性能な駆動機器も必要ない方向転換装置11を提供する。
【解決手段】搬送コンベヤ17の始端部に、物品13を検知するセンサPR0を設ける。センサPR0で方向転換対象の物品13を検知したとき、2列のコンベヤ列18a,18bの搬送方向上流側のブロックB1から少なくとも物品13の方向転換が完了する例えばブロックB4までの複数のブロックB1〜B4を一度に異速制御する。2列のコンベヤ列18a,18bのブロックB1〜B4を一度に異速制御することにより、2列のコンベヤ列18a,18bに跨って載る物品13を方向転換する。異速制御を下流側の各ブロックに順次シフトするのに比べ、物品13の方向転換が正確でかつ安定し、物品13の方向転換の制御および調整も容易で、瞬時に変速可能な高性能な駆動機器も必要ない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を方向転換して搬送する方向転換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、段ボール箱などの物品をパレット上に段積みするパレタイザでは、パレタイザの入口部でパレットに段積みする1段分の段積みパターンに合わせて物品を配列し、この段積みパターンに配列した1段分の物品をパレット上に1段ずつ段積みしている。そして、パレタイザの入口部には、段積みパターンに合わせて物品の向きを左または右に90°方向転換して搬送したり、物品を方向転換せずにそのまま直進させて搬送する方向転換装置が用いられている。
【0003】
従来の方向転換装置は、物品が跨って載る2列のコンベヤ列を備え、これら各コンベヤ列が搬送方向に沿った複数のブロック毎にそれぞれ個別に搬送速度を変速可能とし、そして、方向転換しない物品を搬送するときには、2列のコンベヤ列を等速制御して物品を一定向きのまま搬送し、また、方向転換する物品を搬送するときには、2列のコンベヤ列を異なる搬送速度に異速制御してその速度差でもって物品を方向転換して搬送している。
【0004】
そして、物品を方向転換する場合には、2列のコンベヤ列における複数のブロックのうち物品が直接載るブロックのみを等速制御から異速制御に切り換え、下流側のブロックへの物品の移動とともに、等速制御から異速制御への切り換えを下流側のブロックに順次シフトすることにより、物品を方向転換している(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−322059号公報(第6−7頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の方向転換装置では、2列のコンベヤ列の下流側の各ブロックへの物品の移動とともに、等速制御から異速制御への切り換えを下流側の各ブロックに順次シフトするため、その等速制御から異速制御への切り換えを下流側のブロックに順次シフトするシフトデータと実際の物品の位置とが一致せず、物品の方向転換が不十分であったり過剰となるなど物品の方向転換が正確にできないおそれがあり、方向転換の安定性に欠ける問題がある。
【0006】
さらに、2列のコンベヤ列の下流側の各ブロックへの物品の移動とともに、等速制御から異速制御への切り換えを下流側の各ブロックに順次シフトするための正確なタイミングの調整に手間がかかる問題がある。
【0007】
また、2列のコンベヤ列の物品が順次乗り移っていく各ブロックを等速制御から異速制御するため、各ブロックの搬送速度の変速を瞬時にする必要があり、高性能な駆動モータなどの駆動機器を必要とする問題がある。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、異速制御をコンベヤ列の下流側の各ブロックに順次シフトすることなく、物品の方向転換を正確かつ安定してでき、物品の方向転換の制御および調整も容易にでき、高性能な駆動機器も必要ない方向転換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の方向転換装置は、物品が跨って載る複数列のコンベヤ列を有し、これら各コンベヤ列が搬送方向に沿った複数のブロック毎にそれぞれ個別に駆動可能とし、複数列のコンベヤ列を異なる搬送速度に異速制御したときに方向転換対象の物品を方向転換させながら搬送する搬送コンベヤと、この搬送コンベヤに搬入される物品および搬送コンベヤで搬送する物品の搬送方向の位置を検知する検知手段と、この検知手段により搬送コンベヤに搬入される方向転換対象の物品を検知したとき、複数列のコンベヤ列の搬送方向上流側のブロックから少なくとも物品の方向転換が完了するブロックまでの複数のブロックを一度に異速制御する制御手段とを具備しているものである。
【0010】
請求項2記載の方向転換装置は、請求項1記載の方向転換装置において、制御手段は、一度に異速制御したブロックのうち物品が通過したブロックを等速制御するとともに、方向転換が完了するブロックに物品が達したらその物品が位置するブロックを等速制御するものである。
【0011】
請求項3記載の方向転換装置は、請求項1または2記載の方向転換装置において、制御手段は、複数のブロックを一度に異速制御しようとする際、その異速制御しようとするブロックのうち下流側のブロックに先行搬送する物品が位置している場合には、その下流側のブロックのみは先行搬送する物品の搬送に基づく制御を継続させて先行搬送する物品の通過後に異速制御するものである。
【0012】
請求項4記載の方向転換装置は、請求項1ないし3いずれか記載の方向転換装置において、制御手段は、通常時には複数列のコンベヤ列を等速制御し、検知手段により搬送コンベヤに搬入される方向転換対象の物品を検知したときには複数列のコンベヤ列の搬送方向上流側のブロックから少なくとも物品の方向転換が完了するブロックまでの複数のブロックを一度に等速制御から異速制御に切り換え、検知手段により搬送コンベヤに搬入される非方向転換対象の物品を検知したときには複数列のコンベヤ列の等速制御を維持するものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の方向転換装置によれば、検知手段により搬送コンベヤに搬入される方向転換対象の物品を検知したとき、複数列のコンベヤ列の搬送方向上流側のブロックから少なくとも物品の方向転換が完了するブロックまでの複数のブロックを一度に異速制御するため、異速制御をコンベヤ列の下流側の各ブロックに順次シフトするのに比べて、物品の方向転換を正確かつ安定してでき、物品の方向転換の制御および調整も容易にでき、瞬時に変速可能な高性能な駆動機器も必要なく安価にできる。
【0014】
請求項2記載の方向転換装置によれば、請求項1記載の方向転換装置の効果に加えて、一度に異速制御したブロックのうち物品が通過したブロックを等速制御するため、後続の物品の搬入に待機することができ、方向転換が完了するブロックに物品が達したらその物品が位置するブロックを等速制御し、方向転換の完了した物品を搬送できる。
【0015】
請求項3記載の方向転換装置によれば、請求項1または2記載の方向転換装置の効果に加えて、複数のブロックを一度に異速制御しようとする際、その異速制御しようとするブロックのうち下流側のブロックに先行搬送する物品が位置している場合には、その下流側のブロックのみは先行搬送する物品の搬送に基づく制御を継続させて先行搬送する物品の通過後に異速制御するため、物品の搬送間隔が小さい場合にも対応できる。
【0016】
請求項4記載の方向転換装置によれば、請求項1ないし3いずれか記載の方向転換装置の効果に加えて、通常時には複数列のコンベヤ列を等速制御し、検知手段により搬送コンベヤに搬入される方向転換対象の物品を検知したときには複数列のコンベヤ列の搬送方向上流側のブロックから少なくとも物品の方向転換が完了するブロックまでの複数のブロックを一度に等速制御から異速制御に切り換え、検知手段により搬送コンベヤに搬入される非方向転換対象の物品を検知したときには複数列のコンベヤ列の等速制御を維持するため、方向転換する物品と方向転換しない物品とを処理できるとともに、方向転換する物品を正確かつ安定して方向転換できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1ないし図3において、11は方向転換装置で、この方向転換装置11は、搬送方向Fの上流側の図示しない搬送装置と下流側の図示しないパレタイザの入口部との間に設置され、搬送装置から送り込まれる例えばダンボールケースなどの物品13の向きを、パレタイザの入口部で配列させる段積みパターンに応じて左または右に90°回転させて、あるいは回転させずに直進させて、パレタイザの入口部に搬送する。
【0019】
方向転換装置11は、床面などに設置する基台16を有し、この基台16上に物品13を載せて搬送方向Fに搬送する搬送コンベヤ17が配設されている。この搬送コンベヤ17は、搬送方向Fに対し交差する方向に並設された2列のコンベヤ列18a,18bを有し、これら2列のコンベヤ列18a,18b上に物品13が跨って載り、2列のコンベヤ列18a,18bで物品13を方向転換搬送あるいは直進搬送する。
【0020】
各コンベヤ列18a,18bは、基台16上に設置された複数の取付台19によって支持された取付フレーム20を有し、この取付フレーム20の両端に、搬送コンベヤ17の外側に配置される外側フレーム21と搬送コンベヤ17の中央側である内側に配置される内側フレーム22とがそれぞれ取り付けられ、これら外側フレーム21と内側フレーム22とが複数の横継ぎ部材23によって一体に連結されている。
【0021】
各コンベヤ列18a,18bの外側フレーム21と内側フレーム22との間には複数のローラ24が搬送方向Fに沿って等間隔に並設されている。各ローラ24は、外側フレーム21と内側フレーム22とに両端が回り止め状態に取り付けられるローラ軸25、このローラ軸25に対して回転可能に取り付けられたローラ部26を有し、ローラ部26の外側の端部側にプーリ部27が設けられている。そして、搬送方向Fの上流側から下流側の順に3本のローラ24を一組として個別に駆動可能とするブロックB1〜B5が構成され、各ブロックB1〜B5のローラ24のプーリ部27がベルト28によって同一方向に連動回転可能に連結され、3本のローラ24が一体的に回転するコンベヤ部29が構成されている。各ブロックB1〜B5の中央の1つのローラ24はモータを内蔵したモータローラ24aであり、このモータローラ24aの駆動により各ブロックB1〜B5のローラ24を回転駆動する。モータローラ24aは、例えば、第1の搬送速度とこの第1の搬送速度より高速とする第2の搬送速度とに2速制御する。そして、2列のコンベヤ列18a,18bのうち一方を第1の搬送速度に、他方を第2の搬送速度に異速制御したときに、その速度差によって物品13を方向転換させながら搬送し、また、2列のコンベヤ列18a,18bを第1の搬送速度および第2の搬送速度のいずれか一方で等速制御したときに、物品13を方向転換することなく一定姿勢のまま搬送する。
【0022】
2列のコンベヤ列18a,18bのローラ24は、2列のコンベヤ列18a,18bの互いに接近するローラ24の内側の端部側の高さが外側の端部側より低い内向きの傾斜で、水平面に対して所定の角度で傾斜されている。
【0023】
一方のコンベヤ列18aは、基台16上に配設されたスライドガイド30によって他方のコンベヤ列18bに対し接近、離反移動可能に支持されている。そして、使用時には、一方のコンベヤ列18aを他方のコンベヤ列18bに接近させた状態で使用し、また、メンテナンス時などには、一方のコンベヤ列18aを他方のコンベヤ列18bから離反させ、各コンベヤ列18a,18b内に配置されているモータローラ24aなどのメンテナンスを容易にできるように構成している。
【0024】
また、方向転換装置11のブロックB1の始端部でブロックB1の最上流のローラ24の軸線上方の一側位置、各ブロックB1〜B5の終端部で各ブロックB1〜B5の最下流側のローラ24の軸線上方の一側位置に、物品13を検知するセンサPR0,PR1〜PR5がそれぞれ配設されている。これら各センサPR0,PR1〜PR5は、例えば光電センサで、方向転換装置11の一側から他側にセンサ光を投光するとともに、方向転換装置11の他側に配置される反射器31で反射する反射光を受光するように構成し、反射器31で反射するセンサ光の受光状態のときに物品無しを検知し、物品13でセンサ光が遮光されてセンサ光の非受光状態となったときに物品有りを検知する。
【0025】
また、図4に示すように、方向転換装置11の各モータローラ24aにはその駆動を制御するモータドライバを備えた制御基板51が接続され、これら制御基板51が方向転換装置11を含むパレタイザ全体を制御するコントロール盤52に接続されている。コントロール盤52は、CPU53、メモリ54、カウンタ55などを有する制御部56を備え、この制御部56には、物品13の品種などを入力する入力装置57、センサPR0,PR1〜PR5を含むセンサ58がそれぞれ接続されている。
【0026】
制御部56のCPU53は、搬送コンベヤ17に搬入される物品13および搬送コンベヤ17によって搬送する物品13の搬送方向Fの位置を検知する検知手段59の機能、物品13の大きさや質量などの品種別に搬送コンベヤ17上で物品13の方向転換が完了する方向転換完了位置を自動生成して設定する設定手段60の機能、2列のコンベヤ列18a,18bを異速制御あるいは等速制御する制御手段61の機能を有している。
【0027】
検知手段59は、各センサPR0,PR1〜PR5で物品13の搬送方向Fの位置を直接検知するとともに、各センサPR0,PR1〜PR5の検知後のカウンタ55によるカウント値と物品13を搬送する搬送速度とから物品13の搬送方向Fの位置を求める。
【0028】
設定手段60で設定する方向転換完了位置は、搬送コンベヤ17の下流側の各ブロックB2〜B5毎に、搬送方向Fに例えば11等分に細分化したエリアであって、搬送コンベヤ17上で物品13の方向転換が完了する方向転換完了エリアA1〜A11である。
【0029】
そして、制御手段61は、2列のコンベヤ列18a,18bを異速制御していない待機時である通常時には、2列のコンベヤ列18a,18bを等速制御し、また、検知手段59のセンサPR0により搬送コンベヤ17に搬入される方向転換対象の物品を検知したときには、2列のコンベヤ列18a,18bの搬送方向上流側のブロックB1から少なくとも物品13の方向転換が完了するブロックB2,B3,B4,B5のいずれかまでであって例えばブロックB1〜B5を一度に等速制御から異速制御に切り換え、一度に異速制御したブロックB1〜B5のうち物品13が通過した例えばブロックB1,B2などを等速制御するとともに、検知手段59の検知に基づき設定手段60で設定されたブロックB2〜B5の方向転換完了エリアA1〜A11に物品13が達したら2列のコンベヤ列18a,18bの物品13が位置するブロックB2〜B5を等速制御し、また、検知手段59のセンサPR0により搬送コンベヤ17に搬入される非方向転換対象の物品13を検知したときには、複数列のコンベヤ列18a,18bの等速制御を維持する機能を有している。
【0030】
さらに、複数のブロックB1〜B5を一度に等速制御から異速制御に切り換えようとする際、その異速制御しようとする下流側の例えばブロックB3,B4,B5などに先行搬送する物品13が位置している場合には、その下流側のブロックB3,B4,B5などのみは先行搬送する物品13の搬送に基づく制御を継続させて先行搬送する物品13の通過後に異速制御する機能を有している。
【0031】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0032】
入力装置57によって処理する物品13の大きさ、質量などの品種を入力することにより、設定手段60によって搬送コンベヤ17上で物品13の方向転換が完了するブロックB2〜B5の方向転換完了エリアA1〜A11を自動生成し、メモリ54に記憶する。例えば、図5に示すW1の物品13の例の場合には、ブロックB4の方向転換完了エリアA5を設定する。
【0033】
方向転換装置11は、W1の物品13を受け入れようとする待機状態において、2列のコンベヤ列18a,18bとも第1の搬送速度で各モータローラ24aを回転駆動して等速制御している。
【0034】
図5(a)に示すように、上流側の搬送装置で搬入してくる方向転換対象のW1の物品13を方向転換装置11の始端部のセンサPR0で検知したときには、2列のコンベヤ列18a,18bの搬送方向上流側のブロックB1からW1の物品13の方向転換が完了する下流側のブロックB4までのブロックB1〜B4を一度に等速制御から異速制御に切り換え(以下、ブロックB1〜B5のうち異速制御しているものを図中に斜線にて示す)、例えば、一側のコンベヤ列18aのブロックB1〜B4を第1の搬送速度のまま、他側のコンベヤ列18bのブロックB1を第1の搬送速度より高速の第2の搬送速度に切り換える。そのため、図5(b)に示すように、方向転換装置11の2列のコンベヤ列18a,18bに跨って載るW1の物品13を、2列のコンベヤ列18a,18bの各ブロックB1〜B4の速度差によって図5反時計回り方向に方向転換させながら搬送方向Fの下流側に搬送する。
【0035】
図5(c)に示すように、一度に異速制御したブロックB1〜B4のうち、センサPR1でW1の物品13の通過した上流側のブロックB1については、異速制御から等速制御に戻し、すなわち、他側のコンベヤ列18bのブロックB1を第1の搬送速度に戻す。
【0036】
W1の物品13の搬送中は検知手段59の検知によってW1の物品13の搬送方向Fの位置を監視しており、図5(d)に示すように、検知手段59により、設定手段60で設定されたブロックB4の方向転換完了エリアA5にW1の物品13が達したことを検知したら、W1の物品13が位置していて異速制御しているブロックB2〜B4を等速制御に切り換える。すなわち、他側のコンベヤ列18bのブロックB2〜B4を第1の搬送速度に戻す。これにより、2列のコンベヤ列18a,18bの全てのブロックB1〜B5を第1の搬送速度の等速制御に切り換える。
【0037】
このW1の物品13がブロックB4の方向転換完了エリアA11に達した時点ではW1の物品13の向きが90°の方向転換が完了しており、2列のコンベヤ列18a,18bのW1の物品13が位置するブロックB2〜B4を等速制御に切り換えることにより、90°方向転換完了後のW1の物品13をその向きで搬送方向Fの下流側に搬送する。
【0038】
なお、他側のコンベヤ列18bのブロックB1〜B5を第1の搬送速度のまま、一側のコンベヤ列18aのブロックB1〜B4を第1の搬送速度より高速の第2の搬送速度に切り換えることにより、物品13を図1時計回り方向に方向転換させることができる。
【0039】
また、図6(a)に示すように、先行するW1の物品13と後続のW2の物品13との搬送間隔が小さく、先行するW1の物品13がまだブロックB3,B4上にあるときに、後続の方向転換対象のW2の物品13をセンサPR0で検知した場合には、2列のコンベヤ列18a,18bの搬送方向上流側のブロックB1からW2の物品13の方向転換が完了する下流側のブロックB4までのブロックB1〜B4を一度に等速制御から異速制御に切り換えようとするが、その異速制御しようとするブロックB3,B4に先行するW1の物品13が位置しているため、そのブロックB3,B4は先行するW1の物品13の搬送に基づく制御つまり等速制御を継続させ、ブロックB1,B2までを一度に等速制御から異速制御に切り換える。
【0040】
そのため、図6(b)(c)に示すように、先行するW1の物品13を方向転換後の姿勢で搬送方向Fの下流側に搬送し、先行するW1の物品13が通過したブロックB3,B4を順に異速制御する。また、2列のコンベヤ列18a,18bに跨って載ってきた後続のW2の物品13は、2列のコンベヤ列18a,18bの異速制御する各ブロックB1,B2さらには各ブロックB3,B4の速度差によって図6反時計回り方向に方向転換させながら搬送方向Fの下流側に搬送する。
【0041】
図6(d)に示すように、検知手段59により、設定手段60で設定されたブロックB4の方向転換完了エリアA5にW2の物品13が達したことを検知したら、W2の物品13が位置していて異速制御しているブロックB2〜B4を等速制御に切り換える。
【0042】
この後続のW2の物品13がブロックB4の方向転換完了エリアA11に達した時点ではW2の物品13の向きが90°の方向転換が完了しており、2列のコンベヤ列18a,18bのW2の物品13が位置するブロックB2〜B4を等速制御に切り換えることにより、90°方向転換完了後のW2の物品13をその向きで搬送方向Fの下流側に搬送する。
【0043】
また、図7(a)(b)(c)に示すように、W2の物品13に続けて非方向転換対象のW3の物品13が搬入されてきた場合には、2列のコンベヤ列18a,18bの各ブロックB1〜B5を等速制御し、W3の物品13を方向転換せずに搬入姿勢のまま搬送方向Fの下流側に搬送する。
【0044】
また、図5および図6に示すW1,W2の物品13の場合にはブロックB1〜B4の異速制御によって方向転換が完了するが、W1,W2の物品13よりも小形および軽量で方向転換しやすい物品13の場合には、ブロックB1〜B3の異速制御によって方向転換が完了する。逆に、W1,W2の物品13,13よりも大形および質量が大きく方向転換しにくい物品13の場合には、ブロックB1〜B5の異速制御によって方向転換が完了する。
【0045】
このように、検知手段59により搬送コンベヤ17に搬入される方向転換対象の物品13を検知したとき、2列のコンベヤ列18a,18bの搬送方向上流側のブロックB1から少なくとも物品13の方向転換が完了する例えばブロックB4までの複数のブロックB1〜B4を一度に異速制御するため、異速制御をコンベヤ列18a,18bの下流側の各ブロックに順次シフトするのに比べて、物品13の方向転換を正確かつ安定してでき、物品13の方向転換の制御および調整も容易にでき、瞬時に変速可能な高性能な駆動モータなどの駆動機器も必要なく安価にできる。
【0046】
また、一度に異速制御したブロックB1〜B4のうち物品13が通過したブロックB1,B2などを等速制御するため、後続の物品13の搬入に待機することができる。
【0047】
また、複数のブロックB1〜B4を一度に異速制御しようとする際、その異速制御しようとする下流側のブロックB3,B4,B5などに先行搬送する物品13が位置している場合には、その下流側のブロックB3,B4,B5などは先行搬送する物品13の搬送に基づく制御を継続させて先行搬送する物品13の通過後に異速制御するため、物品13の搬送間隔が小さい場合にも対応できる。
【0048】
また、設定手段60で設定する方向転換完了位置は、搬送コンベヤ17の各ブロックB2〜B5毎に搬送方向Fに例えば11等分に細分化したエリアであって、搬送コンベヤ17上で物品13の方向転換が完了する方向転換完了エリアA1〜A11であるため、物品13の品種に応じた設定を容易にできる。
【0049】
なお、方向転換装置11は、前記実施の形態では物品Aを90°方向転換させる例を示したが、90°に限らず、任意の角度方向転換させることができ、例えば、物品Aを段積みするパレットの外周に面する物品Aの側面を指定の向きに合わせる場合などには180°方向転換させて搬送することもできる。
【0050】
また、一度に異速制御する対象を、物品13の方向転換が完了する下流側の例えばブロックB4までを対象としたが、全てのブロックB1〜B5を対象としてもよい。
【0051】
また、通常時(物品13が位置しないときや、等速制御によって物品13を方向転換せずに直進させるとき)は2列のコンベヤ列18a,18bを第1の搬送速度とし、方向転換時は2列のコンベヤ列18a,18bの一方を第1の搬送速度より高速の第2の搬送速度に切り換えたが、通常時は2列のコンベヤ列18a,18bを第2の搬送速度とし、方向転換時は2列のコンベヤ列18a,18bの一方を第2の搬送速度より低速の第1の搬送速度に切り換えてもよく、物品13の処理能力を向上できる。
【0052】
また、第1、第2の搬送速度のみならず、第3や第4など多速度による異速制御を行うこともできる。例えば第1速度を最低速度〜第4速度を最大速度とする。これにより、例えば品種毎の搬送物サイズの大きな違いに対し、第1速度と第4速度の大きな速度差の違いにより短い距離で方向転換を完了させることも可能で、これとエリア制御を組み合せると、例えば大きな搬送物でも短い距離で確実に方向転換ができる。逆に、例えば安定の悪い搬送物などは第1速度と第2速度の速度差をあまりつけない異速制御により、距離をかけて安定した確実な方向転換をさせることができる。
【0053】
また、物品13を一方向にのみ回転させて方向転換させる場合には、2列のコンベヤ列18a,18bのうちの一方にのみブロックB1〜B5を設定し、他方はブロックB1〜B5の設定をなくして1つ駆動源により同一速度で駆動するようにしてもよく、構成を簡素化、低コスト化できる。
【0054】
また、2列のコンベヤ列18a,18bには、ローラ24のほか、ベルトを用いたベルトコンベヤを採用してもよい。
【0055】
また、コンベヤ列は、2列に限らず、3列以上として方向転換するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施の形態を示す方向転換装置の平面図である。
【図2】同上方向転換装置の側面図である。
【図3】同上方向転換装置の端面図である。
【図4】同上方向転換装置の構成図である。
【図5】同上方向転換装置の動作を(a)〜(d)に示す説明図である。
【図6】同上方向転換装置の図5に続く動作を(a)〜(d)に示す説明図である。
【図7】同上方向転換装置の図6に続く動作を(a)〜(c)に示す説明図である。
【符号の説明】
【0057】
11 方向転換装置
13 物品
17 搬送コンベヤ
18a,18b コンベヤ列
59 検知手段
61 制御手段
B1〜B5 ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が跨って載る複数列のコンベヤ列を有し、これら各コンベヤ列が搬送方向に沿った複数のブロック毎にそれぞれ個別に駆動可能とし、複数列のコンベヤ列を異なる搬送速度に異速制御したときに方向転換対象の物品を方向転換させながら搬送する搬送コンベヤと、
この搬送コンベヤに搬入される物品および搬送コンベヤで搬送する物品の搬送方向の位置を検知する検知手段と、
この検知手段により搬送コンベヤに搬入される方向転換対象の物品を検知したとき、複数列のコンベヤ列の搬送方向上流側のブロックから少なくとも物品の方向転換が完了するブロックまでの複数のブロックを一度に異速制御する制御手段と
を具備していることを特徴とする方向転換装置。
【請求項2】
制御手段は、一度に異速制御したブロックのうち物品が通過したブロックを等速制御するとともに、方向転換が完了するブロックに物品が達したらその物品が位置するブロックを等速制御する
ことを特徴とする請求項1記載の方向転換装置。
【請求項3】
制御手段は、複数のブロックを一度に異速制御しようとする際、その異速制御しようとするブロックのうち下流側のブロックに先行搬送する物品が位置している場合には、その下流側のブロックのみは先行搬送する物品の搬送に基づく制御を継続させて先行搬送する物品の通過後に異速制御する
ことを特徴とする請求項1または2記載の方向転換装置。
【請求項4】
制御手段は、通常時には複数列のコンベヤ列を等速制御し、検知手段により搬送コンベヤに搬入される方向転換対象の物品を検知したときには複数列のコンベヤ列の搬送方向上流側のブロックから少なくとも物品の方向転換が完了するブロックまでの複数のブロックを一度に等速制御から異速制御に切り換え、検知手段により搬送コンベヤに搬入される非方向転換対象の物品を検知したときには複数列のコンベヤ列の等速制御を維持する
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の方向転換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−308264(P2007−308264A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−139240(P2006−139240)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(000103426)オークラ輸送機株式会社 (84)
【Fターム(参考)】