説明

方向転換装置

【課題】物品を搬送しつつ物品の向きを適正な向きに修正できる方向転換装置を提供する。
【解決手段】方向転換装置1は、物品Wをその向きを変更しながら搬送方向Aに向けて搬送する方向転換搬送手段11を備える。方向転換搬送手段11の下流には、方向転換搬送手段11からの物品Wを受け入れて傾斜搬送方向Bの搬送力を付与する傾斜搬送手段12を設ける。傾斜搬送手段12上には、物品Wの向きが適正な向きでない場合に物品Wの向きを適正な向きに修正するとともに物品Wを搬送方向Aに向けて案内する案内手段13を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送しつつ物品の向きを適正な向きに修正できる方向転換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載された方向転換装置が知られている。
【0003】
この従来の方向転換装置は、物品が跨って載る左右1対のローラコンベヤ部を備え、向き変更時には両ローラコンベヤ部が異なる搬送速度で作動することにより物品が回転によりその向きを変更しながら搬送され、向き一定時には両ローラコンベヤ部が同じ搬送速度で作動することにより物品がその向きを一定にしたまま搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−67863号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の方向転換装置では、例えば使用時における周囲の空気の温度や湿度等の変化、或いは、段ボールケース等の物品の底面状態によって、物品とローラコンベヤ部との間の摩擦係数が変わるため、向き変更時に回転不足や回転過多が生じ、その結果、物品の向きが適正な向きからずれてしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、物品を搬送しつつ物品の向きを適正な向きに修正できる方向転換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の方向転換装置は、物品をその向きを変更しながら搬送方向に向けて搬送する方向転換搬送手段と、この方向転換搬送手段からの物品を受け入れ、この受け入れた物品に前記搬送方向に対して傾斜する傾斜搬送方向の搬送力を付与する傾斜搬送手段と、この傾斜搬送手段上に配設され、物品の向きが適正な向きでない場合に物品の向きを適正な向きに修正するとともに物品を前記搬送方向に向けて案内する案内手段とを備えるものである。
【0008】
請求項2記載の方向転換装置は、請求項1記載の方向転換装置において、案内手段は、傾斜搬送手段上に移動可能に配設されているものである。
【0009】
請求項3記載の方向転換装置は、向き変更時には物品をその向きを変更しながら搬送方向に向けて搬送し、向き一定時には物品をその向きを一定にしたまま前記搬送方向に向けて搬送する方向転換搬送手段と、この方向転換搬送手段からの物品を受け入れ、この受け入れた物品に前記搬送方向に対して傾斜する傾斜搬送方向の搬送力を付与する傾斜搬送手段と、この傾斜搬送手段上に少なくとも第1位置および第2位置に移動可能に配設され、第1位置に位置した状態時には前記方向転換搬送手段にて向きが変更されなかった物品に関して物品の向きが適正な向きでない場合に物品の向きを適正な向きに修正するとともに物品を前記搬送方向に向けて案内し、第2位置に位置した状態時には前記方向転換搬送手段にて向きが変更された物品に関して物品の向きが適正な向きでない場合に物品の向きを適正な向きに修正するとともに物品を前記搬送方向に向けて案内する案内手段とを備えるものである。
【0010】
請求項4記載の方向転換装置は、請求項3記載の方向転換装置において、案内手段は、搬送方向に沿って並ぶ複数の分割案内体にて構成され、前記複数の分割案内体は、第1位置および第2位置にそれぞれ個別に移動可能となっているものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、傾斜搬送手段上に配設され物品の向きが適正な向きでない場合に物品の向きを適正な向きに修正するとともに物品を搬送方向に向けて案内する案内手段を備えるため、物品を搬送しつつ物品の向きを適正な向きに修正できる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、案内手段は傾斜搬送手段上に移動可能に配設されているため、例えば長手方向を有する物品に適切に対応できる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、傾斜搬送手段上に少なくとも第1位置および第2位置に移動可能に配設され第1位置に位置した状態時には方向転換搬送手段にて向きが変更されなかった物品に関して物品の向きが適正な向きでない場合に物品の向きを適正な向きに修正するとともに物品を搬送方向に向けて案内し第2位置に位置した状態時には方向転換搬送手段にて向きが変更された物品に関して物品の向きが適正な向きでない場合に物品の向きを適正な向きに修正するとともに物品を搬送方向に向けて案内する案内手段を備えるため、物品を搬送しつつ物品の向きを適正な向きに修正できる。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、案内手段は搬送方向に沿って並ぶ複数の分割案内体にて構成され、これら複数の分割案内体は第1位置および第2位置にそれぞれ個別に移動可能となっているため、案内手段が1つの案内体にて構成された場合に比べて、搬送方向に隣り合う物品間の距離を短くでき、搬送効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態に係る方向転換装置の平面図である。
【図2】同上方向転換装置の案内手段の背面図である。
【図3】同上案内手段の正面図である。
【図4】同上案内手段を移動させる駆動手段を示す平面図である。
【図5】同上方向転換装置の制御系のブロック図である。
【図6】同上方向転換装置の動作説明図である。
【図7】図6に続く動作説明図である。
【図8】図7に続く動作説明図である。
【図9】図8に続く動作説明図である。
【図10】図9に続く動作説明図である。
【図11】図10に続く動作説明図である。
【図12】図11に続く動作説明図である。
【図13】図12に続く動作説明図である。
【図14】図13に続く動作説明図である。
【図15】本発明の他の実施の形態に係る方向転換装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0017】
図1において、1は方向転換装置で、この方向転換装置1は、物品Wを搬送し、その搬送途中で物品Wの方向を転換可能、つまり物品Wの向きを変更可能なものである。なお、物品Wは、例えば商品が入った段ボールケースで、長手方向を有する外形略直方体状のものである。
【0018】
方向転換装置1は、上流側搬送装置2および下流側搬送装置3間に配設されている。つまり、物品Wを搬送方向(図1上、左方向)Aに向けて搬送可能な上流側搬送装置2が方向転換装置1の上流に配設され、物品Wを搬送方向Aに向けて搬送可能な下流側搬送装置3が方向転換装置1の下流に配設されている。
【0019】
上流側搬送装置2は、物品Wを搬送方向Aに1列に並んだ状態に貯留するとともに物品Wを方向転換装置1に対して一定間隔で1個ずつ供給するピッチ切り出し用コンベヤである。上流側搬送装置2は、物品Wを搬送方向Aに向けて搬送する搬送ローラ4および搬送ベルト5を有している。なお、この上流側搬送装置2上の物品Wは、その長手方向が搬送方向Aに一致した状態となっている。
【0020】
下流側搬送装置3は、物品Wをパレット上に物品Wの種類等に応じた所定の積付けパターンで積付けるパレタイザの入口部を構成するもので、方向転換装置1の下流端部からの物品Wを受け入れこの受け入れた物品Wを搬送方向Aに向けて搬送するパレタイザ入口用コンベヤである。
【0021】
この下流側搬送装置3に対して方向転換装置1から供給される物品Wには、図示しないパレタイザの積付け部での積付けパターンに対応するように、方向転換装置1にて向きが変更されなかった物品Wと、方向転換装置1にて例えば90度右回転(左回転でもよい)により向きが変更された物品Wとがある。
【0022】
なお、図1から明らかなように、この下流側搬送装置3上では、向き変更されなかった物品Wの中心点Oと向き変更された物品Wの中心点Oとが、平面視で搬送方向Aに沿った同一直線上に位置する。つまり、下流側搬送装置3は、平面視で物品Wの中心点Oが常に基準線X上を移動するように、物品Wを搬送方向Aに向けて搬送する。
【0023】
下流側搬送装置3は、物品Wを搬送方向Aに向けて搬送する複数の搬送ローラ6を有し、これら複数の搬送ローラ6は搬送方向Aに互いに等間隔をおいて並んでいる。上流端位置の搬送ローラ6と方向転換装置1の下流端部との間には、複数の受渡ローラ7が配設されている。
【0024】
方向転換装置1は、物品Wを搬送方向Aに向けて搬送可能な上流側の方向転換搬送手段11と、物品Wを搬送方向Aに対して傾斜する傾斜搬送方向(図1上、左斜め上方)Bに向けて搬送可能な下流側の傾斜搬送手段12と、この傾斜搬送手段12上に搬送方向Aと交差する方向に沿って少なくとも第1位置および第2位置に移動可能に配設されたサイドガイド手段である案内手段13とを備えている。
【0025】
方向転換搬送手段11は、向き変更時には物品Wを回転によりその向きを変更しながら搬送方向Aに向けて搬送しかつ向き一定時には物品Wをその向きを一定にしたまま搬送方向Aに向けて搬送するものである。
【0026】
方向転換搬送手段11は、搬送方向Aに対して直交する方向に並んで位置し物品Wが跨って載る左右1対のコンベヤ部であるローラコンベヤ部16を有している。そして、向き変更時には両ローラコンベヤ部16が異なる搬送速度で作動することにより物品Wが左右の速度差に基づく水平回転によりその向きを変更しながら搬送方向Aに向って搬送され、向き一定時には両ローラコンベヤ部16が同じ搬送速度で作動することにより物品Wがその向きを一定にしたまま搬送方向Aに向って搬送される。つまり、方向転換搬送手段11は、搬送方向Aに沿った2列のローラコンベヤ部(コンベヤ列)16を有し、向き変更時には2列のローラコンベヤ部16の異速制御により物品Wを方向転換させながら搬送し、向き一定時には2列のローラコンベヤ部16の等速制御により物品Wを向き一定のまま搬送する。
【0027】
各ローラコンベヤ部16は、物品Wの底面に搬送方向Aの搬送力を付与して物品Wを搬送方向Aに向けて搬送する複数の搬送ローラ17を有し、これら複数の搬送ローラ17は搬送方向Aに互いに等間隔をおいて並んでいる。
【0028】
各搬送ローラ17は、互いに離間対向する外側フレーム18および内側フレーム19にて両端部が支持されたローラ支軸部20と、このローラ支軸部20にてこのローラ支軸部20を中心として回転可能に支持され搬送方向Aに対して直交する方向に細長い略円筒状をなすローラ部21とを有している。
【0029】
そして、各ローラコンベヤ部16は搬送方向Aに沿って上流から下流へ順に並ぶ複数、例えば5つの駆動ゾーンZ1〜Z5にて構成されている。各駆動ゾーンZ1〜Z5は、1組をなす3本の搬送ローラ17からなり、それぞれが個別に作動可能となっている。つまり、各駆動ゾーンZ1〜Z5の中央の1つの搬送ローラ17がモータを内蔵したモータローラ17aにて構成され、残りの2つの搬送ローラ17がフリーローラ17bにて構成され、フリーローラ17bはモータローラ17aに伝動ベルト等の動力伝達手段を介して接続されている。
【0030】
なお、モータローラ17aのローラ部21は、内蔵されたモータが制御されることにより、第1速度で回転駆動する場合と、その第1速度より速い第2速度で回転駆動する場合とがある。
【0031】
傾斜搬送手段12は、方向転換搬送手段11の下流に配設され、方向転換搬送手段11の下流端部からの物品Wを受け入れこの受け入れた物品Wに搬送方向Aに対して傾斜する傾斜搬送方向Bの搬送力を付与するものである。
【0032】
傾斜搬送手段12は、図2ないし図4にも示されるように、物品Wの底面に傾斜搬送方向Bの搬送力を付与して物品Wを傾斜搬送方向Bに向けて搬送する複数の搬送ローラ31を有し、これら複数の搬送ローラ31は傾斜搬送方向Bに互いに等間隔をおいて並んでいる。すなわち、各搬送ローラ31は、搬送方向Aに対して、平面的に斜めに傾けられた状態で配設されている。
【0033】
そして、各搬送ローラ31は、互いに離間対向するフレーム32,33にて両端部が支持されたローラ支軸部35と、このローラ支軸部35にてこのローラ支軸部35を中心として回転可能に支持され傾斜搬送方向Bに対して直交する方向に細長い略円筒状をなす略円筒状のローラ部36とを有している。このローラ部36の上端は、方向転換搬送手段11の搬送ローラ17のローラ部21の上端と同じ高さに位置する。つまり、方向転換搬送手段11の搬送面11aと傾斜搬送手段12の搬送面12aとは、同一平面上に位置する。
【0034】
また、フレーム32,33は本体フレーム37の上面に取り付けられ、この本体フレーム37は複数本の脚部材38にて支持されている。
【0035】
なお、上流端位置および下流端位置の各搬送ローラ31は、中間位置の搬送ローラ31に比べて、軸方向長さ寸法が短いものであり、上流端位置の搬送ローラ31が一方側に配設され、下流端位置の搬送ローラ31が他方側に配設されている。
【0036】
案内手段13は、第1位置に位置した状態時には方向転換搬送手段11にて向きが変更されなかった物品Wに関して物品Wの向きが適正な向きでない場合に物品Wの向きを適正な向きに修正するとともに物品Wを搬送方向Aに向けて案内しかつ第2位置に位置した状態時には方向転換搬送手段11にて向きが変更された物品Wに関して物品Wの向きが適正な向きでない場合に物品Wの向きを適正な向きに修正するとともに物品Wを搬送方向Aに向けて案内するものである。
【0037】
案内手段13は、図1ないし図4に示されるように、搬送方向Aに沿って並ぶ略鉛直板状の複数、例えば2つの分割案内体41,42、つまり同一構成の第1分割案内体41および第2分割案内体42にて構成されている。
【0038】
そして、これら鉛直面に沿った略矩形板状の第1分割案内体41および第2分割案内体42は、傾斜搬送手段12に対して、第1位置および第2位置にそれぞれ個別に移動可能となっている。
【0039】
すなわち例えば方向転換装置1は、上流側の第1分割案内体41を第1位置および第2位置に選択的に移動させる駆動手段である第1駆動手段43と、下流側の第2分割案内体41を第1位置および第2位置に選択的に移動させる駆動手段である第2駆動手段44とを備えている。
【0040】
駆動手段43,44は、同一構成のもので、図4等に示されるように、傾斜搬送手段12の本体フレーム37に取り付けられ傾斜搬送方向Bに対して直交する方向に伸縮する伸縮駆動部46を有している。
【0041】
伸縮駆動部46は、モータおよびエンコーダ等を内蔵した本体47と、モータから出力される動力に基づいて本体47内に対して出入りする可動ロッド48とを有している。そして、可動ロッド48の先端部には、取付フレーム部49が取り付けられている。
【0042】
取付フレーム部49は、隣り合う搬送ローラ31間の隙間50に挿通された鉛直状の取付板51を有し、この取付板51のうち搬送ローラ31より上方に位置する取付部分52に分割案内体41,42が取り付けられている。また、取付フレーム部49は嵌挿孔53を有し、この嵌挿孔53に丸軸状の案内棒54が嵌挿されている。
【0043】
そして、伸縮駆動部46が伸びると、取付フレーム部49が案内棒54にて案内されながら可動ロッド48とともに移動し、その結果、分割案内体41,42が第1位置から第2位置まで移動する。また、伸縮駆動部46が縮むと、取付フレーム部49が案内棒54にて案内されながら可動ロッド48とともに移動し、その結果、分割案内体41,42が第2位置から第1位置まで移動する。なお、第1位置は、第2位置よりも傾斜搬送手段12の左右方向中央側の位置である。
【0044】
また、伸縮駆動部46の伸縮量の調整により、分割案内体41,42が停止する各停止位置(第1位置、第2位置)を変更することが可能となっている。なお、各駆動手段43,44は、伸縮駆動部46および取付フレーム部49にて構成されている。
【0045】
分割案内体41,42は、図1ないし図3に示されるように、駆動手段43,44の取付フレーム部49の取付部分52に固定的に取り付けられ傾斜搬送手段12の上方に鉛直面状に位置する略板状のローラ支持部55と、このローラ支持部55に上下方向の軸57を中心として回転可能に取り付けられ物品Wの一側面と接触して回転しながら物品Wを搬送方向Aに向けて案内する複数の小ローラである案内ローラ部56とを有している。複数の案内ローラ部56は、ローラ支持部55の全体にわたって千鳥状に配設されている。
【0046】
また、方向転換装置1は、図5に示すように、駆動手段43,44およびモータローラ17a等を制御する制御手段60を備えている。制御手段60には、物品Wを検知する第1検知手段61、第2検知手段62および第3検知手段63が電気的に接続されている。各検知手段61,62,63は、例えば反射板を利用する回帰反射式の光センサ等にて構成されている、
図1に示されるように、第1検知手段61は、方向転換搬送手段11の下流端部の上方の第1通過位置に位置する物品Wを検知するもので、方向転換搬送手段11の下流端付近に配設されている。
【0047】
また、第2検知手段62は、傾斜搬送手段12の搬送方向略中央部(前後方向略中央部)の上方の第2通過位置(中間位置)に位置する物品Wを検知するもので、傾斜搬送手段12の搬送方向中央付近に配設されている。なお、第2通過位置に第2分割案内体42の上流端部が位置している。
【0048】
さらに、第3検知手段63は、傾斜搬送手段12の下流端部の上方の第3通過位置に位置する物品Wを検知するもので、傾斜搬送手段12の下流端付近に配設されている。
【0049】
次に、方向転換装置1の作用等を説明する。
【0050】
図6に示すように、向き変更すべき物品W1が、上流側搬送装置2から方向転換装置1の方向転換搬送手段11に切り出されて供給された場合には、その物品W1は、方向転換搬送手段11の両ローラコンベヤ部16が異なる搬送速度で作動することにより、その向きを変更しながら搬送方向Aに向って搬送される。
【0051】
このとき、通常は物品W1が方向転換搬送手段11上で90度回転して物品W1の向きが所望の適正な向きになる、つまり、平面視で物品W1の長手方向が搬送方向Aと直交する方向に一致する状態になるが、その使用の際における周囲の空気の温度や湿度等の変化或いは物品Wの底面状態によって物品W1の底面とローラコンベヤ部16の搬送ローラ17の外周面との間の摩擦係数が変わったことに起因して、例えば回転不足や回転過多が生じてしまい、その結果、物品Wの向きが適正な向きからずれて、中途半端な不適正な向きとなる場合がある。
【0052】
図6の物品W1は、例えば回転不足により不適正な向きを向いた状態となっている。また、この物品W1より1つ前の物品W0は、方向転換搬送手段11上で向き変更されなかったもので、傾斜搬送手段12の搬送ローラ31からの搬送力を受けつつ、案内手段13にて搬送方向Aに向って案内されている。
【0053】
なお、図6の状態では、第1検知手段61が物品W1を検知し、第2検知手段62が物品W0を検知している。
【0054】
そして、図7に示すように、第1検知手段61が物品W1を検知した状態で、物品W0が第2通過位置を通過することにより第2検知手段62が物品W0を検知しなくなると、案内手段13の第1分割案内体41が移動可能な状態となる。
【0055】
すると、図8に示すように、制御手段60から第1駆動手段43に作動信号が送られ、この第1駆動手段43の伸縮駆動部46が所定量だけ伸び、第1分割案内体41が第1位置から第2位置まで移動する。なお、制御手段60は、第1検知手段61で検知された物品W1の向きを認識している。
【0056】
この際、第2分割案内体42は、第1位置に停止したままで、物品W0を搬送方向Aへ案内する。つまり、物品W0は、傾斜搬送手段12の搬送ローラ31からの傾斜搬送方向Bの搬送力に基づき、一側面が第2分割案内体42の案内ローラ部56に押し付けられた状態で、この案内ローラ部56にて案内されることで搬送方向Aへ移動する。
【0057】
そして、図9に示すように、物品W0は傾斜搬送手段12の搬送ローラ31上から下流側搬送装置3の搬送ローラ6上に乗り移り、第3検知手段63が物品W0を検知する。また、物品W1は、不適正な向きのまま、方向転換搬送手段11の両ローラコンベヤ部16の搬送ローラ17から傾斜搬送手段12の搬送ローラ31上に乗り移る。
【0058】
次いで、図10に示すように、物品W0が第3通過位置を通過することにより第3検知手段63が物品W0を検知しなくなると、案内手段13の第2分割案内体42が移動可能な状態となる。
【0059】
すると、図11に示すように、制御手段60から第2駆動手段44に作動信号が送られ、この第2駆動手段44の伸縮駆動部46が所定量だけ伸び、第2分割案内体42が第1位置から第2位置まで移動する。なお、制御手段60は第1検知手段61で検知された物品W1の向きを認識し、物品向きデータが傾斜搬送手段12を通過するまでトラッキングされている。
【0060】
そして、図12および図13に示すように、物品W1は、傾斜搬送手段12の搬送ローラ31上で、搬送方向Aへ搬送されつつ、ともに第2位置に位置した状態の両分割案内体41,42との接触により回転してその向きが適正な向きに修正される。
【0061】
また、図14に示すように、物品W1より1つ後の物品W2が方向転換搬送手段11上で向き変更されない向き一定のものである場合には、第1検知手段61が物品W2を検知した状態で、物品W1の第2通過位置の通過により第2検知手段62が物品W1を検知しなくなり、第1分割案内体41が移動可能な状態となると、制御手段60から第1駆動手段43に作動信号が送られ、この第1駆動手段43の伸縮駆動部46が所定量だけ縮み、第1分割案内体41が第2位置から第1位置まで移動する。
【0062】
次いで、図示しないが、物品W1の第3通過位置の通過により第3検知手段63が物品W1を検知しなくなり、第2分割案内体42が移動可能な状態となると、制御手段60から第2駆動手段44に作動信号が送られ、この第2駆動手段44の伸縮駆動部46が所定量だけ縮み、第2分割案内体42が第2位置から第1位置まで移動する。
【0063】
そして、物品W2は、ともに第1位置に位置した状態の両分割案内体41,42にて案内されながら、搬送方向Aへ搬送される。
【0064】
ここで、図14の物品W2は、適正な向きを向いているが、仮に、何らかの外部からの衝撃や物品W2の底面状態等に起因して方向転換搬送手段11上で適正な向きからずれて不適正な向きになったとしても、その物品W2は、傾斜搬送手段12の搬送ローラ31上で、傾斜搬送方向Bに若干の距離だけ搬送された後に、搬送方向Aへ搬送されつつともに第1位置に位置した状態の両分割案内体41,42との接触により回転してその向きが適正な向きに修正される。
【0065】
なお、傾斜搬送手段12上から下流側搬送装置3上へ乗り移った適正な向きの物品Wは、例えば整列パターンに整列された後、パレタイザの積付け部に送られ、この積付け部にてパレット上に積付けられる。
【0066】
そして、このような方向転換装置1によれば、傾斜搬送手段12上に少なくとも第1位置および第2位置に移動可能に配設され第1位置に位置した状態時には方向転換搬送手段11にて向きが変更されなかった物品Wに関して物品Wの向きが適正な向きでない場合に物品Wの向きを適正な向きに修正するとともに物品Wを搬送方向Aに向けて案内し第2位置に位置した状態時には方向転換搬送手段11にて向きが変更された物品Wに関して物品Wの向きが適正な向きでない場合に物品Wの向きを適正な向きに修正するとともに物品Wを搬送方向Aに向けて案内する案内手段13を備えるため、物品Wを搬送しつつ、物品Wの向きを適正な向きに修正できる。
【0067】
よって、使用環境の変化や物品Wの製函状態によるフラップの重なり等の底面状態によって物品Wの向きが方向転換搬送手段11上で不適正な向きになったとしても、案内手段13によって物品Wの姿勢が矯正されるため、傾斜搬送手段12から搬出されるすべての物品Wの向きが適正な向きであるから、下流のパレタイザによる積付け作業に不具合が生じるようなことがなく、物品Wを所定の積付けパターンに積付けできる。
【0068】
また、案内手段13は搬送方向Aに沿って並ぶ複数の分割案内体41,42にて構成され、これら複数の分割案内体41,42は対応する駆動手段43,44の作動により第1位置および第2位置にそれぞれ個別に移動可能となっているため、案内手段13が1つの案内体にて構成された場合等に比べて、搬送方向Aに隣り合う物品W間の距離を短くでき、搬送効率の向上を図ることができる。
【0069】
さらに、案内手段13は傾斜搬送手段12上の複数位置に水平方向に沿って移動可能に配設されているため、例えば長手方向を有する物品Wに適切に対応できる。
【0070】
なお、方向転換装置1の案内手段13は、第1位置および第2位置に移動可能なものには限定されず、例えば図15に示すように、調整可能な固定位置に固定されたものでもよい。この図15に示す案内手段13は、物品Wの一側面と接触して物品Wの向きを適正な向きに修正するとともに物品Wを搬送方向Aに向けて案内する1枚板状の案内体71にて構成されている。
【0071】
また、案内手段13は、図1に示すようなそれぞれ個別に移動可能な2つの分割案内体41,42にて構成されたものには限定されず、例えばそれぞれ個別に移動可能な3つ以上の分割案内体にて構成されたものや、移動可能な1つの分割案内体のみで構成されたもの等でもよい。
【0072】
さらに、分割案内体41,42は、物品Wの側面が接触する案内ローラ56を有するものには限定されず、例えば物品Wの側面が接触してスライドする案内面を有するもの等でもよい。
【0073】
また、例えば物品Wを直接検知する検知手段61,62,63を備えず、搬送ローラ17,31を回転させるモータに取り付けたエンコーダを利用して制御手段60が物品Wの位置を認識する構成等でもよい。
【0074】
さらに、方向転換搬送手段11は、90度回転によって物品Wの向きを変更しようとするものには限定されず、例えば物品Wの種類や積付けパターン等に応じて、任意の回転角度に設定できるようにしてもよい。
【0075】
また、方向転換搬送手段11や傾斜搬送手段12は、搬送ローラ17,31でなく、搬送ベルトを用いたもの等でもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 方向転換装置
11 方向転換搬送手段
12 傾斜搬送手段
13 案内手段
41 分割案内体である第1分割案内体
42 分割案内体である第2割案内体
A 搬送方向
B 傾斜搬送方向
W 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品をその向きを変更しながら搬送方向に向けて搬送する方向転換搬送手段と、
この方向転換搬送手段からの物品を受け入れ、この受け入れた物品に前記搬送方向に対して傾斜する傾斜搬送方向の搬送力を付与する傾斜搬送手段と、
この傾斜搬送手段上に配設され、物品の向きが適正な向きでない場合に物品の向きを適正な向きに修正するとともに物品を前記搬送方向に向けて案内する案内手段と
を備えることを特徴とする方向転換装置。
【請求項2】
案内手段は、傾斜搬送手段上に移動可能に配設されている
ことを特徴とする請求項1記載の方向転換装置。
【請求項3】
向き変更時には物品をその向きを変更しながら搬送方向に向けて搬送し、向き一定時には物品をその向きを一定にしたまま前記搬送方向に向けて搬送する方向転換搬送手段と、
この方向転換搬送手段からの物品を受け入れ、この受け入れた物品に前記搬送方向に対して傾斜する傾斜搬送方向の搬送力を付与する傾斜搬送手段と、
この傾斜搬送手段上に少なくとも第1位置および第2位置に移動可能に配設され、第1位置に位置した状態時には前記方向転換搬送手段にて向きが変更されなかった物品に関して物品の向きが適正な向きでない場合に物品の向きを適正な向きに修正するとともに物品を前記搬送方向に向けて案内し、第2位置に位置した状態時には前記方向転換搬送手段にて向きが変更された物品に関して物品の向きが適正な向きでない場合に物品の向きを適正な向きに修正するとともに物品を前記搬送方向に向けて案内する案内手段と
を備えることを特徴とする方向転換装置。
【請求項4】
案内手段は、搬送方向に沿って並ぶ複数の分割案内体にて構成され、
前記複数の分割案内体は、第1位置および第2位置にそれぞれ個別に移動可能となっている
ことを特徴とする請求項3記載の方向転換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−84377(P2011−84377A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−239514(P2009−239514)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【出願人】(000103426)オークラ輸送機株式会社 (84)
【Fターム(参考)】