施設園芸ハウス用温風暖房システム並びに施設園芸ハウス用温風暖房システムに用いる二酸化炭素回収・発散システム及び方法
【課題】燃焼ガスをハウス外に一切排出せず、昼間に温度調整のために天窓を開ける必要がない、夜間に貯めたハウス内の二酸化炭素の効果を減じることがない施設園芸ハウス内の環境を調節するためのパラフィン燃料を用いた暖房システムを提供する。
【解決手段】施設園芸ハウス60内に配設され、パラフィン燃料が供給される直火型燃焼装置40と、直火型燃焼装置40に接続されて施設園芸ハウス60内に燃焼ガスを送出する温風ダクトと、施設園芸ハウス60内の気温を検出する温度検出手段と、施設園芸ハウス60内の空気の循環及び排出を行う送風手段と、直火型燃焼装置40の動作を制御する制御手段とを備え、直火型燃焼装置40は、燃焼ガスを温風ダクトへ送り込むための送風機と、パラフィン燃料の燃焼に伴う発熱により昇温させる温風発生手段とを有し、施設園芸ハウス60内の二酸化炭素を溶解させ、貯蔵するための二酸化炭素貯蔵手段を備える。
【解決手段】施設園芸ハウス60内に配設され、パラフィン燃料が供給される直火型燃焼装置40と、直火型燃焼装置40に接続されて施設園芸ハウス60内に燃焼ガスを送出する温風ダクトと、施設園芸ハウス60内の気温を検出する温度検出手段と、施設園芸ハウス60内の空気の循環及び排出を行う送風手段と、直火型燃焼装置40の動作を制御する制御手段とを備え、直火型燃焼装置40は、燃焼ガスを温風ダクトへ送り込むための送風機と、パラフィン燃料の燃焼に伴う発熱により昇温させる温風発生手段とを有し、施設園芸ハウス60内の二酸化炭素を溶解させ、貯蔵するための二酸化炭素貯蔵手段を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物を栽培する施設園芸ハウス内の環境を調節するためのパラフィン燃料を用いた暖房システムに関する。さらに詳しくは、パラフィン燃料の燃焼ガスをハウス外に排出させることなく100%利用する、温湿度及び炭酸ガス濃度を調節可能な施設園芸ハウス用温風暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
施設園芸ハウスを利用して作物を栽培する場合、作物の生育に適するように温湿度、空気循環、炭酸ガス濃度などを常に最適に保つ必要があるため、従来、施設園芸ハウス内環境の調整は、地窓天窓の自動開閉や暖房機、換気扇、送風機、炭酸ガス発生装置の自動運転などによって行われている。
【0003】
しかし、重油燃焼による温水循環加温法などの従来の技術には、温度センサのトラブルによる装置の暴走運転を防止することができるものの、作物の種類、地域、季節、施設規模に応じた環境条件を実現する多様な温度パターンの設定や微妙な温度管理ができないという課題や、施設園芸ハウス内で炭酸ガス施用を行う際に新たな機器の導入が必要になるという課題があった。
【0004】
かかる従来の課題を解決するために、特許文献1記載の発明では、図1に示すように、施設園芸ハウス(以下、単に「ハウス」という)用温風暖房システム(1)が開示されている。当該ハウス用温風暖房システム(1)では、作物を栽培するハウス(2)内の環境を調節するものであって、温風を発生させる温風暖房機(3a)〜(3c)と、これらの温風暖房機に接続されたビニルダクト(4)と、ハウス(2)内の空気を強制的に循環させる循環扇(5a)、(5b)と、温湿度及び炭酸ガス濃度をそれぞれ検出する温度センサ(6a)〜(6d)、湿度センサ(7)及び炭酸ガス濃度検出器(8)と、温風暖房機(3a)〜(3c)に対して指令信号を送って各々の運転状態を制御するコントローラ(9)と、コントローラ(9)に配線接続されたハウス(2)の電気設備用の操作盤(10)とを備え、温風暖房機(3a)〜(3c)とコントローラ(9)は配線(11a)〜(11c)によって、それぞれ、電気的に接続されている。また、循環扇(5a)、(5b)は配線によって電気的に接続された操作盤(10)によって運転状態が制御されており、運転を開始した場合には、運転信号が操作盤(10)に送信され、操作盤(10)はこの運転信号をコントローラ(9)に送信する機能を有している。
【0005】
ビニルダクト(4)は、ダクトジョイント(12a)、(12b)を介して互いに接続されるとともに、側面部に穴(13)が等間隔に設けられた複数のビニルパイプから構成され、その一部は温風暖房機(3a)〜(3c)の吐出口にダクトバンドを用いて固定接続されている。従って、温風暖房機(3a)〜(3c)で発生した温風は、ビニルダクト(4)の穴(13)からハウス(2)内に均一に送出される。
【0006】
温度センサ(6a)〜(6d)は、コントローラ(9)、温風暖房機(3a)〜(3c)に、それぞれ配線接続されており、温度センサ(6a)〜(6c)は温風暖房機(3a)〜(3c)からそれぞれ20m程度離して設置され、温度センサ(6d)はコントローラ(9)から40m程度離して設置されている。また、湿度センサ(7)及び炭酸ガス濃度検出器(8)は、コントローラ(9)に、それぞれ配線接続されている。
【0007】
一般に、温風暖房機には間接温風仕様型(「間熱型温風暖房機」ともいう。)と直接温風仕様型(「直火型温風暖房機」ともいう。)ならびに間熱型と直火型とを併用したもの(「直間切換型温風暖房機」ともいう。)の3つの形態があり、特許文献1記載の発明の図3は直火型温風暖房機の斜視図を示している。直火型温風暖房機(20)は、略直角に折れ曲がった直火煙突(21)を備え、直火煙突(21)の吸入網(17)に面した側には排気ガスを排出する開口部(図示せず)が設けられている。このような構造の直火型温風暖房機(20)においては、バーナー(15)を用いた熱交換器内での燃料の燃焼により発生した排気ガスは直火煙突(21)を経由して吸入網(17)から再び装置内に吸い込まれ、熱交換器における熱交換により暖められた空気と混合されて、送風機によって吐出口(18)からともに送出されるという作用を有する。このように、燃焼によって発生したすべての熱を暖房に利用することができるので、効率的である。さらに、排気ガスには炭酸ガスが含まれているので、気温だけでなく、炭酸ガス濃度も上昇させることができる。
【0008】
そして、当該ハウス用温風暖房システム(1)における温風暖房機(3a)、(3b)は図2に示された間熱型温風暖房機(14)であること、温風暖房機(3c)は特許文献1記載の図4に示された直間切換型温風暖房機(22)であり、循環扇(5a)、(5b)は操作盤(10)の指令に従い、湿度センサ(7)によって検出された相対湿度が予め設定された上限値以上になると運転を開始し、この上限値を下回ると運転を停止する。さらに、直間切換型温風暖房機(22)は手動によって切換ダンパ(23)を作動させ、炭酸ガス濃度検出器(8)によって検出された炭酸ガス濃度が予め設定された下限値以下になると間熱型から直火型に切換え、上限値以上になると直火型から間熱型に切換えるようにされている(特許文献1の段落0026〜0029参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−296298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のとおり、特許文献1記載の発明では、間熱型温風暖房機と直間切換型温風暖房機を採用し、炭酸ガス濃度検出器(8)によって検出された炭酸ガス濃度が上限値以上になると直火型から間熱型に切換えるようにされている。
しかしこの方法では燃焼時に排出された二酸化炭素を大気中に放出することになり温暖化ガス排出量の増加につながり、また、植物の発育に必要な二酸化炭素を有効に利用できていないという問題がある。よって燃焼時に排出される二酸化炭素を有効に利用するにはすべて直火型にするのが好ましい。密閉されたハウス内に直接排気する直火型の燃料は人体への健康の観点から硫黄分が極力少ない方が好ましいので、硫黄分が少ないLPGまたは灯油の使用が一般的だが、燃料に灯油を用いると、特に燃焼装置のオンオフ時に、燃焼ガス中に未燃分燃料やススが多く発生する。灯油には多くの芳香族成分(ベンゼンなど)が含まれ、未燃分燃料として排出されると、食物である栽培植物に付着するという問題がある。また灯油の場合、条件によっては植物に有害なエチレンを発生させ、栽培植物を枯らす可能性もある。一方燃料にLPGを用いると、未燃分やススの発生は抑えられるが硫黄酸化物は灯油と同程度排出され、そのうえ価格が高いという問題があり、加温用としては不適である。
また、ハウスでは、昼間に温度調整のために、天窓を開けることがある。この際、ハウス内の二酸化炭素分圧は、大気分圧まで下がる。このため、夜間に貯めたハウス内の二酸化炭素の効果が半減するという課題もある。
【0011】
二酸化炭素は、地球温暖化の原因とされ、排出削減が強く求められている。現在、二酸化炭素を分離回収する方法は、開発を含め、主に発電所などの大規模なプラントで試験的に実施されている。その手法は、ガス分離膜を使用する方法や、アミンなどの溶液に溶解・回収する方法などがある。ただ、これらは、大規模かつ高度なプラントを要する手法で、設備と運用にかなりのコストをかけている。現状では、農業で利用可能な小規模で、簡便にガスを再利用するための回収・発散システムは見当たらない。
農業利用を前提とした二酸化炭素の管理システムを構築する上で、重要なことは、簡便でコストがかからないことである。その条件としては、
(1)常温・常圧下で行われること、
(2)二酸化炭素の出し入れが可逆的に行われること、
(3)比較的低濃度の二酸化炭素に対応でききること、
(4)機器が安価でシンプルであること、
(5)燃焼機器との連動、自動化が可能であること
が挙げられるが、農業の場合は、そもそも再利用を目的とした回収であるので、容易な可逆的反応系を用いる。しかもそこに多くのコストやエネルギーを費やすことはできない。たとえば、透過膜を使用した二酸化炭素の回収では、最終的に液化二酸化炭素を製造する。吸着物質の場合でも二酸化炭素の取り出しに熱を与え、利用には設備とコストがかかる。
農業用利用の場合は、通常のハウス内環境下で管理する必要があるので、最もシンプルな水に溶解する方法が求められる。ただ、単純に水へ溶解すると、常温常圧下では溶解量が限られるので、通常は、濃度を上げて圧力をかける方法が用いられるが、かなりのコストがかかるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、かかる従来技術の課題を解決し、燃焼ガス中に有害な物質を含まないパラフィン燃料を採用し、燃焼装置の運転中に燃焼ガスをできるだけハウス外に排出させず、夜間に貯めたハウス内の二酸化炭素の効果を天窓や側窓の開放により一時的に減じることがあっても迅速にハウス内に炭酸ガスを補給することができる新規な作物を栽培する施設園芸ハウス内の環境を調節するためのパラフィン燃料を用いた暖房システムを提供することを目的とする。
さらに本発明は、施設園芸ハウス用温風暖房システムに適用される二酸化炭素を回収・発散するためのシステム及び方法を提供することを目的とする。
【0013】
すなわち、本発明の第一の態様(請求項1)は、施設園芸ハウス内に配設され、燃料タンクを介して燃料が供給される一又は二以上の直火型燃焼装置と、
当該一又は二以上の直火型燃焼装置に接続されて前記施設園芸ハウス内の所定の場所に燃焼ガスを送出する温風ダクトと、
前記施設園芸ハウス内の気温を検出する温度検出手段と、
前記施設園芸ハウス内の空気の循環及び排出を行う送風手段と、
前記一又は二以上の直火型燃焼装置と、前記温風ダクトと、前記送風手段とに対して指令信号を発してその動作を制御する制御手段と
を備えた、作物を栽培する施設園芸ハウス内の環境を調節するための燃料を用いた暖房システムであって、
前記暖房システムで用いる燃料がパラフィン燃料であり、
前記一又は二以上の直火型燃焼装置が、前記温度検出手段によって検出された温度が、所定の上限値を超えたとき燃焼動作を停止し、所定の下限値を下回ったとき燃焼動作を開始するように、前記制御手段の指令信号に従って動作し、
前記一又は二以上の直火型燃焼装置は、燃焼ガスを前記温風ダクトへ送り込むための送風機と、熱交換器として機能する燃焼炉内におけるパラフィン燃料の燃焼に伴う発熱により当該炉壁外周の空気を昇温させる温風発生手段とを有し、
前記制御手段は、前記送風手段の運転開始信号を受信すると前記一又は二以上の直火型燃焼装置に対して前記送風機のみを運転させるための前記指令信号を発し、前記送風手段の運転停止信号を受信すると前記送風機の運転を停止させるための前記指令信号を発し、
前記暖房システムが、前記作物を栽培する施設園芸ハウス内の二酸化炭素を溶解させ、貯蔵するための二酸化炭素貯蔵手段を備えてなる
ことを特徴とする施設園芸ハウス用温風暖房システムに関する。
【0014】
前記二酸化炭素貯蔵手段が、pH調整水が収容された二酸化炭素貯蔵槽と、該二酸化炭素貯蔵槽内のpH調整水に前記作物を栽培する施設園芸ハウス内の二酸化炭素を供給するためのエアポンプとを備えてなることを特徴とする請求項1記載の施設園芸ハウス用温風暖房システムに関する(請求項2)。
【0015】
前記二酸化炭素貯蔵手段が、前記エアポンプと二酸化炭素貯蔵槽との間に中空糸フィルターが介装されてなることを特徴とする請求項2記載の施設園芸ハウス用温風暖房システムに関する(請求項3)。
【0016】
本発明の第二の態様(請求項4)は、請求項1記載の施設園芸ハウス用温風暖房システムに適用される、前記施設園芸ハウス内で発生した二酸化炭素を回収・発散するためのシステムであって、
前記温風暖房システムの二酸化炭素貯蔵手段が、水を電気分解処理するための電解水生成槽を備え、当該電解水生成槽にイオン吸着電極と対極が電源を介して設置され、前記イオン吸着電極及び対極の極性が交換可能である
ことを特徴とする二酸化炭素を回収・発散するためのシステムに関する。
【0017】
本発明の第三の態様(請求項5)は、請求項1記載の施設園芸ハウス用温風暖房システムに適用される、前記施設園芸ハウス内で発生した二酸化炭素を回収・発散するための方法であって、
前記温風暖房システムの二酸化炭素溶解貯蔵手段が、水を電気分解処理するための電解水生成槽を備え、当該電解水生成槽に電源を介してイオン吸着電極及び対極が設置され、
前記イオン吸着電極及び対極の極性は交換可能であり、
前記二酸化炭素を回収・発散するための方法が、
(a)日没後、夜間において、施設園芸ハウス内を外気から略密閉した状態で、前記イオン吸着電極を陰極とし、前記対極を陽極として電源より、前記電解水生成槽に漲水された水に通電して電気分解を行い、前記電解水生成槽に漲水された水のpHをアルカリ性域にして、前記施設園芸ハウス内の二酸化炭素を溶解させ、アルカリ性下でそれが解離し全炭酸となって二酸化炭素を回収する工程と、
(b)日出後、日没までの間、前記工程(a)において配された前記イオン吸着電極及び対極の極性を、それぞれ陽極と陰極に交換して、前記電解水生成槽に通電して電気分解を行い、前記工程(a)において前記電解水生成槽に貯蔵されたアルカリ性水のpHを酸性化することで中性水にされて、二酸化炭素を発散させる工程とを含んでなる
ことを特徴とする施設園芸ハウス内で発生した二酸化炭素を回収・発散するための方法に関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1〜3に係る施設園芸ハウス用温風暖房システムによれば、パラフィン燃料タンクを介してパラフィン燃料が供給される一又は二以上の直火型燃焼装置が施設園芸ハウス内に配設される構成を有するため、燃焼装置の燃料としてパラフィン燃料を用いており硫黄分や、芳香族分が極めて低いため、燃焼ガスがクリーンであり、そのうえ、燃焼装置として直火型燃焼装置を採用しているため、燃焼ガスを100%利用できる。また、本発明の請求項1〜3に係る施設園芸ハウス用温風暖房システムが、前記作物を栽培する施設園芸ハウス内の二酸化炭素を溶解させ、貯蔵するための二酸化炭素貯蔵手段を備えているので、夜間に貯めたハウス内の二酸化炭素の効果を天窓や側窓の開放により一時的に減じることがあっても迅速にハウス内に炭酸ガスを補給することできる新規な作物を栽培する施設園芸ハウス内の環境を調節するためのパラフィン燃料を用いた暖房システムを提供することができる。
【0019】
本発明の請求項4〜5に係る施設園芸ハウス用温風暖房システム施設園芸ハウス用温風暖房システムに適用される、前記施設園芸ハウス内で発生した二酸化炭素を回収・発散するためのシステム及び方法によれば、二酸化炭素の回収・発散が常温・常圧下で行われること、二酸化炭素の出し入れが可逆的に行われること、比較的低濃度の二酸化炭素に対応できること、機器が安価でシンプルであることが達成され、燃焼機器との連動、自動化も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】従来の施設園芸ハウス用温風暖房システムの平面図である。
【図2】間熱型温風暖房機の斜視図である。
【図3】直火型温風暖房機の斜視図である。
【図4】従来の施設園芸ハウス用温風暖房システムの動作手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の施設園芸ハウス用温風暖房システムの概要を示す説明図である。
【図6】図5の施設園芸ハウス用温風暖房システムを構成する二酸化炭素貯蔵手段の構成を示す説明図である。
【図7】図5の施設園芸ハウス用温風暖房システムを構成する燃焼装置の一例を示す説明図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る電解装置の一例を示す概略説明図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る電解装置の他の例を示す概略説明図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る電解装置のさらに他の例を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
添付図面を参照しながら本発明の施設園芸ハウス用温風暖房システムについて、以下に詳細に説明する。
図5は本発明の施設園芸ハウス用温風暖房システムの概要を示す説明図である。図6は図5の施設園芸ハウス用温風暖房システムを構成する二酸化炭素貯蔵手段の構成を示す説明図である。図7は図5の施設園芸ハウス用温風暖房システムを構成する燃焼装置の一例を示す説明図である。図8は本発明の一実施形態に係る電解装置の一例を示す概略説明図である。図9は本発明の一実施形態に係る電解装置の他の例を示す概略説明図である。図10は本発明の一実施形態に係る電解装置のさらに他の例を示す概略説明図である。
【0022】
[実施形態1]
本実施形態の施設園芸ハウス用温風暖房システム(100)は、燃料タンク(30)から燃料供給配管(FS)を介してパラフィン燃料が、直火型燃焼装置(40)に供給される。図5に示されるとおり、燃料タンク(30)は施設園芸ハウス外に設置され、直火型燃焼装置(40)は施設園芸ハウス内に配設される。直火型燃焼装置(40)としては、図3に示される従来の直火型燃焼装置(前述の特許文献1の参照符号(20))が適用され得る。直火型燃焼装置(40)の設置台数は、施設園芸ハウス(60)の大きさに応じて適宜決められる。
【0023】
直火型燃焼装置(40)には施設園芸ハウス(60)内の所定の場所に燃焼ガスを送出する温風ダクト(図1の参照符号(4)参照)が接続されている。施設園芸ハウス用温風暖房システム(100)は、施設園芸ハウス(60)内の気温を検出する温度検出手段(図1の参照符号(6a)、(6b)、(6c)、(6d)参照)と、前記施設園芸ハウス(60)内の空気の循環及び排出を行う送風手段(図1の参照符号(5a)、(5b)参照)と、直火型燃焼装置(40)と、前記温風ダクト(図1の参照符号(4)参照)と、前記送風手段(図1の参照符号(5a)、(5b)参照)とに対して指令信号を発してその動作を制御する制御手段(図1の参照符号(9)参照)とを備えている。
図7の(a)は、本実施形態に係る施設園芸ハウス用温風暖房システム(100)に用いられる燃焼装置(20)の側面説明図である。図7の(b)は本実施形態に係る施設園芸ハウス用温風暖房システム(100)に用いられる燃焼装置(20)の正面説明図である。図7の(c)は本実施形態に係る施設園芸ハウス用温風暖房システム(100)に用いられる燃焼装置(20)の上面説明図である。
図7において、参照符号(18)は温風ダクト(図1の参照符号(4)参照)に接続するためのフランジを示し、参照符号(19)は操作盤を示し、参照符号(20)は燃焼装置を示し、参照符号(20A)は焼却炉(熱交換器)を示し、参照符号(20B)は送風機を示し、参照符号(20C)は燃料ポンプを示し、参照符号(20D)は燃焼ファンを示し、参照符号(20E)は風導板を示し、参照符号(20J)は点火トランスを示し、参照符号(21a)は煙突に接続するためのジョイントを示している。
本実施形態の燃焼装置(20)は、叙上の従来の直火型温風暖房機(20)と原理は同じであるが、燃焼装置(20)から温風ダクト(図1の参照符号(4)参照)を通過する際のダクト抵抗により降下する風量を補うための両軸シロッコファンが好適に採用されている。
【0024】
本実施形態の作物を栽培する施設園芸ハウス(60)内の環境を調節するためのパラフィン燃料を用いた暖房システムハウス(60)内の環境を調節する暖房システム(100)では、直火型燃焼装置(40)が、前記温度検出手段(図1の参照符号(6a)、(6b)、(6c)、(6d)参照)によって検出された温度が、所定の上限値を超えたとき燃焼動作を停止し、所定の下限値を下回ったとき燃焼動作を開始するように、前記制御装置(図1の参照符号(9)参照)の指令信号に従って動作する。
【0025】
また、本実施形態の暖房システム(100)では、前記直火型燃焼装置(40)は、燃焼ガスを温風ダクト(図1の参照符号(4)参照)へ送り込むための強制送風機(Forced draft fan(図示されていない))と、熱交換器として機能する燃焼炉内におけるパラフィン燃料の燃焼に伴う発熱により、当該炉壁外周に導入された暖房システムハウス(60)内の空気を昇温させ、再び暖房システムハウス(60)内に導く温風発生手段とを有している。
また、本実施形態の暖房システム(100)は、直火型燃焼装置(40)に、非常時又は故障時に、ハウス外に燃焼ガスを排出するための煙突を、設けることも可能である。
【0026】
前記制御手段(図1の参照符号(9)参照)は、前記送風手段(図1の参照符号(5a)、(5b)参照)の運転開始信号を受信すると前記直火型燃焼装置(40)に対して前記送風機のみを運転させるための前記指令信号を発し、前記送風手段(図1の参照符号(5a)、(5b)参照)の運転停止信号を受信すると前記送風機の運転を停止させるための前記指令信号を発する。
【0027】
前記パラフィン燃料とは、硫黄分、芳香族を含まず、実質的にパラフィンからなる液体燃料である。表1に示すように、LPG、一般灯油との性状比較を示すが、パラフィン燃料は硫黄分を含まないので燃焼時の硫黄酸化物が少なく、また芳香族分を含まないので燃焼性の指標となる煙点が高く、燃焼時の未燃物やススの発生が少なく、燃焼ガスがクリーンである。
【0028】
【表1】
【0029】
パラフィン燃料は硫黄分、芳香族分を含まない液体燃料であれば製法は問わないが、代表例としては、天然ガス、バイオマス、石炭から部分酸化により得られた合成ガス(一酸化炭素と水素)をフィッシャートロップシュ反応(FT反応)により合成、得られた合成油を水素化分解、蒸留により得られたFT合成油や、油脂を水素化精製して得られる水素化バイオ燃料油、原油を精製、脱硫、分解、合成、抽出などにより得られたパラフィン系溶剤などがあり、これらを単独または2種以上混合したものが挙げられる。
【0030】
本実施形態の暖房システム(100)は、ハウス(60)内の二酸化炭素を溶解させ、貯蔵するための二酸化炭素貯蔵手段(50)を備えている。
そして、二酸化炭素貯蔵手段(50)は、pH調整水(W)が収容された二酸化炭素貯蔵槽(50a)と、該二酸化炭素貯蔵槽内のpH調整水(W)にハウス(60)内の二酸化炭素をチューブを介して供給するためのエアポンプ(P)とから構成される(図6)。炭酸ガスを効率的に水に溶解させるためには、炭酸ガスと水とができるだけ接触することが必要である。このため、小さい気泡(マイクロバブル)を発生させて、気泡と水とが接触する表面積を上げるようにすると有利である。
pH調整水(W)とは、水を電解によってアルカリ性にしたもので、本実施形態では、pHを11程度に調整するものを言う。水中で溶存している二酸化炭素は、遊離二酸化炭素(CO2(aq))として存在し、過飽和の場合、二酸化炭素を取り出すことが可能である。このため、ハウス内の温度が基準値を上回ったときに、天窓や側窓を解放することにより、ハウス内の二酸化炭素分圧が大気分圧まで降下しても、二酸化炭素貯蔵槽(50a)に貯蔵された過飽和な炭酸水から炭酸ガスを得ることができる。
例えば、敷地面積200坪で容積1650m3のハウス内で、25リットルのGTL燃料を本実施形態の暖房システム(100)を用いて燃焼装置(40)を3時間運転すると、炭酸ガス(64kg)が得られる。これは、植物の光合成に好適な炭酸ガス量は2000ppm〜5000ppmであるが、本実施形態の暖房システム(100)によれば、二酸化炭素貯蔵槽内のpH調整水にハウス(60)内の二酸化炭素をチューブを介して供給するためのエアポンプ(P)とから構成される二酸化炭素貯蔵手段(50)を備えているので、ハウス内の二酸化炭素量を2000ppm〜5000ppmに維持することができる。さらに、二酸化炭素貯蔵槽内に貯蔵され、酸性化された炭酸水は、植物の根元への施養に用いることも可能である。
【0031】
上述のとおり、炭酸ガスを効率的に溶解させるためには、炭酸ガスと水とができるだけ接触することが必要である。前述の小さい気泡(マイクロバブル)を発生させる手段のほか、単位面積当たりに非常に広い膜面積のとれる中空糸膜を採用することも可能である。
そこで、例えば二酸化炭素貯蔵手段(50)は、エアポンプ(P)と二酸化炭素貯蔵槽との間に配管を介して中空糸フィルターが介装されたものも採用することができる。
本実施形態の中空糸フィルターとしては、限定されないが、例えば三菱レイヨン株式会社のMHF(商品名)を採用することができる。
【0032】
[実施形態2]
二酸化炭素の水への溶解を規定するパラメータは、温度、圧力、二酸化炭素濃度であるが、溶解溶液内では、さらに溶媒のpHや溶液に含まれる他のイオン量等が影響する。本実施形態は、二酸化炭素(及びそのイオン体)がアルカリ性域で全炭酸として大量に存在し、酸性化で可逆的に発散する性質を利用している。これは、溶解による中和過程・緩衝作用・不均化反応である。アルカリ性域では、最終的に二酸化炭素は炭酸イオンまで2次解離が進み、pH11では、モル比で酸性域の25万倍程度の全炭酸を収納できる計算になる。全炭酸とは、水溶液中の遊離二酸化炭素(CO2(aq))、炭酸水素イオン(HCO3−)、炭酸イオン(CO32−)の総和である。これを、再度中性から酸性側に移行することで、炭酸水素イオンから炭酸を介して遊離二酸化炭素へと解離は戻り、過飽和な溶存二酸化炭素状態になる。攪拌ないしバブリングすることで、大気に放出が可能となる。ここで、重要なことは溶液のpH制御である。強制的にpHを変化させることで、炭酸系分子の電離をコントロールし、回収発散を行う。その手法として、酸−アルカリ状態を連続的かつ可逆的に行うために、薬剤を用いず、公知の電解法を用いる。電解法では、薬剤と比べ、かなり安いコストで、安全に強アルカリ性状態と強酸性状態を作り出せる。電解による溶液のpH制御は、pH3からpH11が可能であるが、二酸化炭素の回収放出を行うpH制御は、7から11の間で充分である。酸性水を利用する場合は、pH3まで電解を進める。電解によりアルカリ性化を進めながら、低濃度二酸化炭素を含むハウス内大気を溶媒である水に連続的に溶解していく。溶解には、バブリングや公知の溶解技術(中空糸膜など)を用いる。
【0033】
二酸化炭素は、水に良く溶解する性質があり、溶液に溶存する二酸化炭素は、分圧に応じた溶解度をもつ。高圧ではさらに多くが溶解するので、炭酸飲料などは加圧してある。常圧の大気では二酸化炭素の分圧が低い(350ppm:0.035%)ので、ヘンリーの法則(0.765×0.00035×44×1000/22.4)に従い、飽和限界は、25℃で0.526 mg/L(1.2×10−5 mol/L)である。
ハウス内の燃焼ガス濃度は、ハウス規模や燃焼時間にもよるが、燃焼直後の分圧は10〜15%程度である。これがハウス内に拡散し、5000〜10000ppm程度になる。これでも大気分圧としては0.5〜1%である。このように低濃度の二酸化炭素を溶解させるためには、ハウス内大気を多く循環させる必要がある。
【0034】
上述したとおり、二酸化炭素は、ある温度圧力条件下では一定量が水に溶解する。
【0035】
CO2(g)⇔CO2(aq)・・・・・(1)
【0036】
ここで、(g)は気体状態を表し、(aq)は遊離状態を表す。
しかし、pHによっては一部が解離し、様態やその比率は、pHごとに異なっている。酸性域(pH3−5)では、式(2)のように溶解しているが、大きく左に偏っている。
【0037】
CO2(aq)+H2O⇔H2CO3・・・・・・(2)
【0038】
飽和溶解した遊離二酸化炭素のうち、1/300が炭酸(H2CO3)として存在する。炭酸は不安定な物質で、中性域(pH6−8)では、式(3)のように、炭酸水素イオン(HCO3−)に1次解離をおこす。
【0039】
H2CO3⇔H++HCO3−・・・・・・・・・(3)
【0040】
さらに、高アルカリ性域(pH9−11)では、式(4)のように炭酸イオン(CO32−)に2次解離をおこす。
【0041】
HCO3−⇔H++CO32−・・・・・・・・・(4)
【0042】
式(2)、式(3)及び式(4)をまとめると、式(5)のようになる。
【0043】
CO2+H2O⇔H2CO3⇔H++HCO3−⇔2H++CO32−・・・・(5)
【0044】
気相中(大気)の二酸化炭素(CO2)の分圧をp(Pa)とし、水中の溶存二酸化炭素のモル濃度をm(モルm−3)とすると、式(1)で表された遊離二酸化炭素と気相中の二酸化炭素が気液平衡状態に在る場合、次の式(6)が成立する。
p=KHm・・・・・・・・・・(6)
ここで、KHはヘンリー定数である。なお、KH=0.03405(10−1.468)である。
【0045】
一次解離の平衡定数(K1)は、式(7)のように表される。
K1=[H+][HCO3−]/[H2O・CO2]・・・(7)
式(7)を変形すると、次の式(8)を得る。
[HCO3−]=K1[H2O・CO2]/[H+]・・・(8)
なお、K1=4.45×10−7(10−6.352)である。
【0046】
二次解離の平衡定数(K2)は、式(9)のように表される。
K2=[H+][CO32−]/[HCO3−]・・・(9)
式(9)を、[CO32−]について解くと、次の式(10)が得られる。
[CO32−]=K2×[HCO3−]/[H+]・・・(10)
【0047】
ここで、前記式(8)と(10)より、[HCO3−]を消去すると、式(11)を得る。
[CO32−]=K1×K2[H2O・CO2]/[H+]2・・・(11)
なお、K2=4.69×10−11(10−10.329)である。
【0048】
全炭酸挙動について以下に述べる。全炭酸とは、水溶液中の遊離二酸化炭素(CO2(aq))、炭酸水素イオン(HCO3−)、炭酸イオン(CO32−)の総和である。ここでは、遊離二酸化炭素が炭酸水素イオンへ解離する際、炭酸[H2O・CO2]を経由するので、遊離状態の二酸化炭素と炭酸を合わせて、未解離炭酸[H2CO3]として表す。
ここで、全炭酸(ΣCO2)をCとすると、次の式(12)が成立する。
C=[H2CO3]+[HCO3−]+[CO32−]・・・(12)
ここで、式(12)において、前記式(8)及び式(11)を用いて[HCO3−]及び[CO32−]を消去すると、式(13)を得る。
C=[H2CO3]+K1[H2CO3]/[H+]+K1K2[H2CO3]/[H+]2・・・(13)
なお、α0、α1及びα2は、式(14)、式(15)及び式(16)のように表される。
α0=[H2CO3]/C・・・・・(14)
α1=[HCO3−]/C・・・・・(15)
α2=[CO32−]/C・・・・・(16)
そして、α0、α1及びα2の間には、次の式(17)で表される関係が成立する。
α0+α1+α2=1・・・・・・・(17)
【0049】
ここで、式(14)の両辺にCを掛けると、式(18)が得られる。
[H2CO3]=Cα0・・・・・・・(18)
式(18)を用いて式(13)の[H2CO3]を消去すると、次の式(19)を得る。
C=Cα0+K1Cα0/[H+]+K1K2Cα0/[H+]2・・・・(19)
式(19)の両辺をCで割り、整理して式(20)を得る。
α0(1+K1/[H+]+K1K2/[H+]2)=1・・・・(20)
式(20)の両辺に[H+]2を掛けると、次の式(21)を得る。
α0([H+]2+K1[H+]+K1K2)=[H+]2・・・・(21)
式(21)の両辺を([H+]2+K1[H+]+K1K2)で割ると、次の式(22)を得る。
α0=[H+]2/([H+]2+K1[H+]+K1K2)・・・・・(22)
同様の変形をすることにより、次のとおりの式(23)及び式(24)が得られる。
α1=K1[H+]/[H+]2+K1[H+]+K1K2・・・・(23)
α2=K1K2/[H+]2+K1[H+]+K1K2・・・・・・(24)
【0050】
式(22)、式(23)及び式(24)より、[H2CO3]、[HCO3−]及び[CO32−]の溶存比率であるα0、α1及びα2は、それぞれ水素イオン濃度([H+])の関数として表されることが分かる。また、pH=−log[H+]であることから、[H2CO3]、[HCO3−]及び[CO32−]の溶存比率(α0、α1及びα2)は、それぞれpHの関数として表される。
次の表はα0、α1及びα2のpHに対する溶存比率を示すものである。
【0051】
【表2】
【0052】
上記表2より、未解離H2CO3と、HCO3−と、CO32−の互いの存在比率は、溶液のpHによって、大きく異なることが分かる。また、溶存全炭酸の総モル比も大きく異なる。未解離H2CO3(α0)に相当する二酸化炭素の飽和溶解量は、pHに関係なく一定であるが、pHにより解離度が異なるため、飽和した遊離二酸化炭素を1とした場合、溶液のpHによって、溶存全炭酸の総モル比は大きく異なる。例えば、pHが6.35のときのα0:α1は約1:1であるが、pHが8.34のとき、α0:α1は約1:100となり、pHが11のとき、α0:α1は約1:100000となる。つまり、pHが11のとき、未解離H2CO3の10万倍の炭酸水素イオンが存在しうることになる。アルカリ性域では、酸性域より、はるかに大きな全炭酸量が存在できるのである。すなわち、pHをアルカリ側に維持することで、より多くの二酸化炭素を溶解させることができる。因みにpH11の場合、全炭酸のモル比は、飽和した遊離二酸化炭素の253200倍である。
【0053】
また、各分圧の[H+]=10−11の場合、各分圧に対する全炭酸(ΣCO2)の溶解量C(mol/L)は表3に示すとおりである。
【0054】
【表3】
【0055】
上述したとおり、式(13)により、溶存する全炭酸(C)の量が求められる。より具体的には、気相の蒸気圧Pを[atm]単位で表し、溶解濃度を水1リットルに溶け込んでいるガスの容積[リットル](標準状態(0℃)への換算数値)で表した場合の比例定数(P=1の時のCの数値として定まる数値)は、炭酸ガスは0.765程度とされていることから、炭酸ガスの分圧は現在0.00035[atm]、炭酸ガスの分子量は44であるので、常圧の大気に接する水1リットルに溶け込む炭酸ガスの飽和溶解量は25℃の平衡状態では、式(26)で得られる。
0.765×0.00035×44×1000/22.4=0.526[mg/L](1.20×10−5[mol/L])・・・・・(25)
したがって、溶液に二酸化炭素を溶解し続ける間、pHをアルカリ側に維持することで、より多くの二酸化炭素を溶解しうるものである。
【0056】
回収と発散のメカニズムについて説明する。アルカリ化(OH−の付加)によって全炭酸を増加させる反応は次式である。
【0057】
H2CO3+OH−⇔HCO3−+H2O・・・・・(26)
HCO3−+OH−⇔CO32−+H2O・・・・・(27)
式(26)及び式(27)の反応が起こり、溶存二酸化炭素は炭酸イオン側に移行することになる。pHを変えない限り、炭酸イオンは安定で存在し、アルカリ性の継続で維持される。先に示したように多くは全炭酸として貯蔵される。
【0058】
一方、溶液を酸性側に変化させることで、溶存している二酸化炭素を気体として再利用できる。水素イオンを付加することで、炭酸イオンから炭酸水素イオン、そして炭酸(実質的には、水と二酸化炭素)へ移行するが、過飽和状態となり、大気中へ発散される。
【0059】
CO32−+H+⇔HCO3−
HCO3−+H+⇔H2CO3
H2CO3⇔CO2+H2O
最終的に貯蔵された全炭酸が二酸化炭素として発散する側に移行する。このようにして、ハウス内の過剰二酸化炭素を回収・再利用することができる。各pHの下で存在し得る炭酸水素イオンと炭酸イオンのモル比を表4に示す。
【0060】
【表4】
【0061】
各分圧下での溶存二酸化炭素とpH11での全炭酸量を表5に示す。
【0062】
【表5】
【0063】
溶液内では、電荷は陽イオンと陰イオンの量が一致しなければならない。一般的に水などの場合は、多くのイオンを含んでいるので、問題はないが、純水を使用する場合には、イオンの付加が必要である(表6参照)。
【0064】
【表6】
【0065】
図8を参照すると、本実施形態に係る施設園芸ハウス内で発生した二酸化炭素を回収・発散するためのシステムは、水を電気分解処理するための電解槽(31、32)を備えている。本実施形態では、当該電解槽(31、32)が、イオン交換膜(33)によって仕切られた2槽を備えている2槽型であるが、かかる2槽型に限られることはなく、一槽型も三槽型もいずれも採用することができる。図8に示された実施形態では、該2槽のうちの一方がアルカリ性水生成槽(31)とされ、他方が酸性水生成槽(32)とされ、アルカリ性水生成槽(31)には外部電源(図示せず)を介して陰極(31c)が設置される。また、前記酸性水生成槽(32)には外部電源(図示せず)を介して陽極(32a)が設置される。なお、陰極(31c)及び陽極(32a)の極性は、互いに交換可能である。
【0066】
本実施形態に係る施設園芸ハウス内で発生した二酸化炭素を回収・発散するための方法は、次のとおりの工程(a)と工程(b)を含んでいる。
工程(a)においては、日没後、夜間において、施設園芸ハウス(図1の参照符号(1)参照)内を外気から略密閉した状態で、外部電源より、陰極(図8の(31c))及び陽極(図8の(32a))を介してアルカリ性水生成槽(図8の(31))及び酸性水生成槽(図8の(32))に漲水された水に通電して電気分解を行う。これによりアルカリ性水生成槽(図8の(31))に漲水された水のpHをアルカリ域にして、施設園芸ハウス(図1の参照符号(1)参照)内の二酸化炭素を溶解させてアルカリ性水を得ることで二酸化炭素を回収する。
【0067】
工程(b)においては、日出後、日没までの間、前記工程(a)において配された陰極(図8の(31c))と陽極(図8の(32a))の極性を、それぞれ陽極と陰極に交換して、陽極(図8の(31c))及び陰極(図8の(31a))を介して、それぞれアルカリ性水生成槽(図8の(31))及び酸性水生成槽(図8の(31))に通電して電気分解を行う。これによって前記工程(a)において前記アルカリ性水生成槽(図8の(31))に貯蔵されたアルカリ性水から酸性水にされて、二酸化炭素を発散させる。
【0068】
図8は二槽型の電解槽であるが、前述のとおり、本実施形態では、一槽型(図9の(a)、(b))の電解槽や三槽型(図10)の電解槽を採用することはいうまでもなく可能である。例えば、一槽型の電解槽を採用する場合、水を電気分解処理するための電解水生成槽にイオン吸着電極と対極が電源を介して設置し、イオン吸着電極及び対極の極性が交換可能とすればよい。
【0069】
一槽型の電解槽を採用した場合の二酸化炭素を回収・発散するための方法は、
工程(a)において、日没後、夜間において、施設園芸ハウス内を外気から略密閉した状態で、前記イオン吸着電極を陰極とし、前記対極を陽極として電源より、電解水生成槽に漲水された水に通電して電気分解を行い、電解水生成槽に漲水された水のpHをアルカリ性域にして、施設園芸ハウス内の二酸化炭素を溶解させてアルカリ性を得ることで二酸化炭素を回収する。ついで、
工程(b)において、日出後、日没までの間、工程(a)において配された前記イオン吸着電極及び対極の極性を、それぞれ陽極と陰極に交換して、前記電解水生成槽に通電して電気分解を行い、工程(a)において前記電解水生成槽に貯蔵されたアルカリ性水を酸性水にして、二酸化炭素を発散させる。
【0070】
本実施形態では、電解法、すなわち弱い電流で水を電気分解し、陽極と陰極に、それぞれ酸性水とアルカリ性水を生成する。電解にかかるコストは、きわめて安価であり、300Lのアルカリ水を生成するのに、6〜7円の電気代がかかるだけである。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の請求項1〜3に係る施設園芸ハウス用温風暖房システムによれば、パラフィン燃料タンクを介してパラフィン燃料が供給される一又は二以上の直火型燃焼装置が施設園芸ハウス内に配設される構成を有するため、燃焼装置の燃料としてパラフィン燃料を用いており硫黄分や、芳香族分が極めて低いため、燃焼ガスがクリーンであり、そのうえ、燃焼装置として直火型燃焼装置を採用しているため、燃焼ガスを100%利用できる。また、本発明の請求項1〜3に係る施設園芸ハウス用温風暖房システムが、前記作物を栽培する施設園芸ハウス内の二酸化炭素を溶解させ、貯蔵するための二酸化炭素貯蔵手段を備えているので、夜間に貯めたハウス内の二酸化炭素の効果を天窓や側窓の開放により一時的に減じることがあっても迅速にハウス内に炭酸ガスを補給することができる新規な作物を栽培する施設園芸ハウス内の環境を調節するためのパラフィン燃料を用いた暖房システムを提供することができる。
【0072】
本発明の請求項4〜5に係る施設園芸ハウス用温風暖房システムに適用される、前記施設園芸ハウス内で発生した二酸化炭素を回収・発散するためのシステム及び方法によれば、二酸化炭素は、水に良く溶解する性質があり、溶液に溶存する二酸化炭素は、分圧に応じた溶解度をもつという知見から、電解法を採用して施設園芸ハウス内で発生した二酸化炭素の回収・発散が常温・常圧下で行われること、二酸化炭素の出し入れが可逆的に行われること、比較的低濃度の二酸化炭素に対応でききること、機器が安価でシンプルであることが達成され、燃焼機器との連動、自動化も可能である。
【符号の説明】
【0073】
30 パラフィン燃料タンク
31 アルカリ性水生成槽
32 酸性水生成槽
40 燃焼装置
50 二酸化炭素貯蔵手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物を栽培する施設園芸ハウス内の環境を調節するためのパラフィン燃料を用いた暖房システムに関する。さらに詳しくは、パラフィン燃料の燃焼ガスをハウス外に排出させることなく100%利用する、温湿度及び炭酸ガス濃度を調節可能な施設園芸ハウス用温風暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
施設園芸ハウスを利用して作物を栽培する場合、作物の生育に適するように温湿度、空気循環、炭酸ガス濃度などを常に最適に保つ必要があるため、従来、施設園芸ハウス内環境の調整は、地窓天窓の自動開閉や暖房機、換気扇、送風機、炭酸ガス発生装置の自動運転などによって行われている。
【0003】
しかし、重油燃焼による温水循環加温法などの従来の技術には、温度センサのトラブルによる装置の暴走運転を防止することができるものの、作物の種類、地域、季節、施設規模に応じた環境条件を実現する多様な温度パターンの設定や微妙な温度管理ができないという課題や、施設園芸ハウス内で炭酸ガス施用を行う際に新たな機器の導入が必要になるという課題があった。
【0004】
かかる従来の課題を解決するために、特許文献1記載の発明では、図1に示すように、施設園芸ハウス(以下、単に「ハウス」という)用温風暖房システム(1)が開示されている。当該ハウス用温風暖房システム(1)では、作物を栽培するハウス(2)内の環境を調節するものであって、温風を発生させる温風暖房機(3a)〜(3c)と、これらの温風暖房機に接続されたビニルダクト(4)と、ハウス(2)内の空気を強制的に循環させる循環扇(5a)、(5b)と、温湿度及び炭酸ガス濃度をそれぞれ検出する温度センサ(6a)〜(6d)、湿度センサ(7)及び炭酸ガス濃度検出器(8)と、温風暖房機(3a)〜(3c)に対して指令信号を送って各々の運転状態を制御するコントローラ(9)と、コントローラ(9)に配線接続されたハウス(2)の電気設備用の操作盤(10)とを備え、温風暖房機(3a)〜(3c)とコントローラ(9)は配線(11a)〜(11c)によって、それぞれ、電気的に接続されている。また、循環扇(5a)、(5b)は配線によって電気的に接続された操作盤(10)によって運転状態が制御されており、運転を開始した場合には、運転信号が操作盤(10)に送信され、操作盤(10)はこの運転信号をコントローラ(9)に送信する機能を有している。
【0005】
ビニルダクト(4)は、ダクトジョイント(12a)、(12b)を介して互いに接続されるとともに、側面部に穴(13)が等間隔に設けられた複数のビニルパイプから構成され、その一部は温風暖房機(3a)〜(3c)の吐出口にダクトバンドを用いて固定接続されている。従って、温風暖房機(3a)〜(3c)で発生した温風は、ビニルダクト(4)の穴(13)からハウス(2)内に均一に送出される。
【0006】
温度センサ(6a)〜(6d)は、コントローラ(9)、温風暖房機(3a)〜(3c)に、それぞれ配線接続されており、温度センサ(6a)〜(6c)は温風暖房機(3a)〜(3c)からそれぞれ20m程度離して設置され、温度センサ(6d)はコントローラ(9)から40m程度離して設置されている。また、湿度センサ(7)及び炭酸ガス濃度検出器(8)は、コントローラ(9)に、それぞれ配線接続されている。
【0007】
一般に、温風暖房機には間接温風仕様型(「間熱型温風暖房機」ともいう。)と直接温風仕様型(「直火型温風暖房機」ともいう。)ならびに間熱型と直火型とを併用したもの(「直間切換型温風暖房機」ともいう。)の3つの形態があり、特許文献1記載の発明の図3は直火型温風暖房機の斜視図を示している。直火型温風暖房機(20)は、略直角に折れ曲がった直火煙突(21)を備え、直火煙突(21)の吸入網(17)に面した側には排気ガスを排出する開口部(図示せず)が設けられている。このような構造の直火型温風暖房機(20)においては、バーナー(15)を用いた熱交換器内での燃料の燃焼により発生した排気ガスは直火煙突(21)を経由して吸入網(17)から再び装置内に吸い込まれ、熱交換器における熱交換により暖められた空気と混合されて、送風機によって吐出口(18)からともに送出されるという作用を有する。このように、燃焼によって発生したすべての熱を暖房に利用することができるので、効率的である。さらに、排気ガスには炭酸ガスが含まれているので、気温だけでなく、炭酸ガス濃度も上昇させることができる。
【0008】
そして、当該ハウス用温風暖房システム(1)における温風暖房機(3a)、(3b)は図2に示された間熱型温風暖房機(14)であること、温風暖房機(3c)は特許文献1記載の図4に示された直間切換型温風暖房機(22)であり、循環扇(5a)、(5b)は操作盤(10)の指令に従い、湿度センサ(7)によって検出された相対湿度が予め設定された上限値以上になると運転を開始し、この上限値を下回ると運転を停止する。さらに、直間切換型温風暖房機(22)は手動によって切換ダンパ(23)を作動させ、炭酸ガス濃度検出器(8)によって検出された炭酸ガス濃度が予め設定された下限値以下になると間熱型から直火型に切換え、上限値以上になると直火型から間熱型に切換えるようにされている(特許文献1の段落0026〜0029参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−296298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のとおり、特許文献1記載の発明では、間熱型温風暖房機と直間切換型温風暖房機を採用し、炭酸ガス濃度検出器(8)によって検出された炭酸ガス濃度が上限値以上になると直火型から間熱型に切換えるようにされている。
しかしこの方法では燃焼時に排出された二酸化炭素を大気中に放出することになり温暖化ガス排出量の増加につながり、また、植物の発育に必要な二酸化炭素を有効に利用できていないという問題がある。よって燃焼時に排出される二酸化炭素を有効に利用するにはすべて直火型にするのが好ましい。密閉されたハウス内に直接排気する直火型の燃料は人体への健康の観点から硫黄分が極力少ない方が好ましいので、硫黄分が少ないLPGまたは灯油の使用が一般的だが、燃料に灯油を用いると、特に燃焼装置のオンオフ時に、燃焼ガス中に未燃分燃料やススが多く発生する。灯油には多くの芳香族成分(ベンゼンなど)が含まれ、未燃分燃料として排出されると、食物である栽培植物に付着するという問題がある。また灯油の場合、条件によっては植物に有害なエチレンを発生させ、栽培植物を枯らす可能性もある。一方燃料にLPGを用いると、未燃分やススの発生は抑えられるが硫黄酸化物は灯油と同程度排出され、そのうえ価格が高いという問題があり、加温用としては不適である。
また、ハウスでは、昼間に温度調整のために、天窓を開けることがある。この際、ハウス内の二酸化炭素分圧は、大気分圧まで下がる。このため、夜間に貯めたハウス内の二酸化炭素の効果が半減するという課題もある。
【0011】
二酸化炭素は、地球温暖化の原因とされ、排出削減が強く求められている。現在、二酸化炭素を分離回収する方法は、開発を含め、主に発電所などの大規模なプラントで試験的に実施されている。その手法は、ガス分離膜を使用する方法や、アミンなどの溶液に溶解・回収する方法などがある。ただ、これらは、大規模かつ高度なプラントを要する手法で、設備と運用にかなりのコストをかけている。現状では、農業で利用可能な小規模で、簡便にガスを再利用するための回収・発散システムは見当たらない。
農業利用を前提とした二酸化炭素の管理システムを構築する上で、重要なことは、簡便でコストがかからないことである。その条件としては、
(1)常温・常圧下で行われること、
(2)二酸化炭素の出し入れが可逆的に行われること、
(3)比較的低濃度の二酸化炭素に対応でききること、
(4)機器が安価でシンプルであること、
(5)燃焼機器との連動、自動化が可能であること
が挙げられるが、農業の場合は、そもそも再利用を目的とした回収であるので、容易な可逆的反応系を用いる。しかもそこに多くのコストやエネルギーを費やすことはできない。たとえば、透過膜を使用した二酸化炭素の回収では、最終的に液化二酸化炭素を製造する。吸着物質の場合でも二酸化炭素の取り出しに熱を与え、利用には設備とコストがかかる。
農業用利用の場合は、通常のハウス内環境下で管理する必要があるので、最もシンプルな水に溶解する方法が求められる。ただ、単純に水へ溶解すると、常温常圧下では溶解量が限られるので、通常は、濃度を上げて圧力をかける方法が用いられるが、かなりのコストがかかるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、かかる従来技術の課題を解決し、燃焼ガス中に有害な物質を含まないパラフィン燃料を採用し、燃焼装置の運転中に燃焼ガスをできるだけハウス外に排出させず、夜間に貯めたハウス内の二酸化炭素の効果を天窓や側窓の開放により一時的に減じることがあっても迅速にハウス内に炭酸ガスを補給することができる新規な作物を栽培する施設園芸ハウス内の環境を調節するためのパラフィン燃料を用いた暖房システムを提供することを目的とする。
さらに本発明は、施設園芸ハウス用温風暖房システムに適用される二酸化炭素を回収・発散するためのシステム及び方法を提供することを目的とする。
【0013】
すなわち、本発明の第一の態様(請求項1)は、施設園芸ハウス内に配設され、燃料タンクを介して燃料が供給される一又は二以上の直火型燃焼装置と、
当該一又は二以上の直火型燃焼装置に接続されて前記施設園芸ハウス内の所定の場所に燃焼ガスを送出する温風ダクトと、
前記施設園芸ハウス内の気温を検出する温度検出手段と、
前記施設園芸ハウス内の空気の循環及び排出を行う送風手段と、
前記一又は二以上の直火型燃焼装置と、前記温風ダクトと、前記送風手段とに対して指令信号を発してその動作を制御する制御手段と
を備えた、作物を栽培する施設園芸ハウス内の環境を調節するための燃料を用いた暖房システムであって、
前記暖房システムで用いる燃料がパラフィン燃料であり、
前記一又は二以上の直火型燃焼装置が、前記温度検出手段によって検出された温度が、所定の上限値を超えたとき燃焼動作を停止し、所定の下限値を下回ったとき燃焼動作を開始するように、前記制御手段の指令信号に従って動作し、
前記一又は二以上の直火型燃焼装置は、燃焼ガスを前記温風ダクトへ送り込むための送風機と、熱交換器として機能する燃焼炉内におけるパラフィン燃料の燃焼に伴う発熱により当該炉壁外周の空気を昇温させる温風発生手段とを有し、
前記制御手段は、前記送風手段の運転開始信号を受信すると前記一又は二以上の直火型燃焼装置に対して前記送風機のみを運転させるための前記指令信号を発し、前記送風手段の運転停止信号を受信すると前記送風機の運転を停止させるための前記指令信号を発し、
前記暖房システムが、前記作物を栽培する施設園芸ハウス内の二酸化炭素を溶解させ、貯蔵するための二酸化炭素貯蔵手段を備えてなる
ことを特徴とする施設園芸ハウス用温風暖房システムに関する。
【0014】
前記二酸化炭素貯蔵手段が、pH調整水が収容された二酸化炭素貯蔵槽と、該二酸化炭素貯蔵槽内のpH調整水に前記作物を栽培する施設園芸ハウス内の二酸化炭素を供給するためのエアポンプとを備えてなることを特徴とする請求項1記載の施設園芸ハウス用温風暖房システムに関する(請求項2)。
【0015】
前記二酸化炭素貯蔵手段が、前記エアポンプと二酸化炭素貯蔵槽との間に中空糸フィルターが介装されてなることを特徴とする請求項2記載の施設園芸ハウス用温風暖房システムに関する(請求項3)。
【0016】
本発明の第二の態様(請求項4)は、請求項1記載の施設園芸ハウス用温風暖房システムに適用される、前記施設園芸ハウス内で発生した二酸化炭素を回収・発散するためのシステムであって、
前記温風暖房システムの二酸化炭素貯蔵手段が、水を電気分解処理するための電解水生成槽を備え、当該電解水生成槽にイオン吸着電極と対極が電源を介して設置され、前記イオン吸着電極及び対極の極性が交換可能である
ことを特徴とする二酸化炭素を回収・発散するためのシステムに関する。
【0017】
本発明の第三の態様(請求項5)は、請求項1記載の施設園芸ハウス用温風暖房システムに適用される、前記施設園芸ハウス内で発生した二酸化炭素を回収・発散するための方法であって、
前記温風暖房システムの二酸化炭素溶解貯蔵手段が、水を電気分解処理するための電解水生成槽を備え、当該電解水生成槽に電源を介してイオン吸着電極及び対極が設置され、
前記イオン吸着電極及び対極の極性は交換可能であり、
前記二酸化炭素を回収・発散するための方法が、
(a)日没後、夜間において、施設園芸ハウス内を外気から略密閉した状態で、前記イオン吸着電極を陰極とし、前記対極を陽極として電源より、前記電解水生成槽に漲水された水に通電して電気分解を行い、前記電解水生成槽に漲水された水のpHをアルカリ性域にして、前記施設園芸ハウス内の二酸化炭素を溶解させ、アルカリ性下でそれが解離し全炭酸となって二酸化炭素を回収する工程と、
(b)日出後、日没までの間、前記工程(a)において配された前記イオン吸着電極及び対極の極性を、それぞれ陽極と陰極に交換して、前記電解水生成槽に通電して電気分解を行い、前記工程(a)において前記電解水生成槽に貯蔵されたアルカリ性水のpHを酸性化することで中性水にされて、二酸化炭素を発散させる工程とを含んでなる
ことを特徴とする施設園芸ハウス内で発生した二酸化炭素を回収・発散するための方法に関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1〜3に係る施設園芸ハウス用温風暖房システムによれば、パラフィン燃料タンクを介してパラフィン燃料が供給される一又は二以上の直火型燃焼装置が施設園芸ハウス内に配設される構成を有するため、燃焼装置の燃料としてパラフィン燃料を用いており硫黄分や、芳香族分が極めて低いため、燃焼ガスがクリーンであり、そのうえ、燃焼装置として直火型燃焼装置を採用しているため、燃焼ガスを100%利用できる。また、本発明の請求項1〜3に係る施設園芸ハウス用温風暖房システムが、前記作物を栽培する施設園芸ハウス内の二酸化炭素を溶解させ、貯蔵するための二酸化炭素貯蔵手段を備えているので、夜間に貯めたハウス内の二酸化炭素の効果を天窓や側窓の開放により一時的に減じることがあっても迅速にハウス内に炭酸ガスを補給することできる新規な作物を栽培する施設園芸ハウス内の環境を調節するためのパラフィン燃料を用いた暖房システムを提供することができる。
【0019】
本発明の請求項4〜5に係る施設園芸ハウス用温風暖房システム施設園芸ハウス用温風暖房システムに適用される、前記施設園芸ハウス内で発生した二酸化炭素を回収・発散するためのシステム及び方法によれば、二酸化炭素の回収・発散が常温・常圧下で行われること、二酸化炭素の出し入れが可逆的に行われること、比較的低濃度の二酸化炭素に対応できること、機器が安価でシンプルであることが達成され、燃焼機器との連動、自動化も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】従来の施設園芸ハウス用温風暖房システムの平面図である。
【図2】間熱型温風暖房機の斜視図である。
【図3】直火型温風暖房機の斜視図である。
【図4】従来の施設園芸ハウス用温風暖房システムの動作手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の施設園芸ハウス用温風暖房システムの概要を示す説明図である。
【図6】図5の施設園芸ハウス用温風暖房システムを構成する二酸化炭素貯蔵手段の構成を示す説明図である。
【図7】図5の施設園芸ハウス用温風暖房システムを構成する燃焼装置の一例を示す説明図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る電解装置の一例を示す概略説明図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る電解装置の他の例を示す概略説明図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る電解装置のさらに他の例を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
添付図面を参照しながら本発明の施設園芸ハウス用温風暖房システムについて、以下に詳細に説明する。
図5は本発明の施設園芸ハウス用温風暖房システムの概要を示す説明図である。図6は図5の施設園芸ハウス用温風暖房システムを構成する二酸化炭素貯蔵手段の構成を示す説明図である。図7は図5の施設園芸ハウス用温風暖房システムを構成する燃焼装置の一例を示す説明図である。図8は本発明の一実施形態に係る電解装置の一例を示す概略説明図である。図9は本発明の一実施形態に係る電解装置の他の例を示す概略説明図である。図10は本発明の一実施形態に係る電解装置のさらに他の例を示す概略説明図である。
【0022】
[実施形態1]
本実施形態の施設園芸ハウス用温風暖房システム(100)は、燃料タンク(30)から燃料供給配管(FS)を介してパラフィン燃料が、直火型燃焼装置(40)に供給される。図5に示されるとおり、燃料タンク(30)は施設園芸ハウス外に設置され、直火型燃焼装置(40)は施設園芸ハウス内に配設される。直火型燃焼装置(40)としては、図3に示される従来の直火型燃焼装置(前述の特許文献1の参照符号(20))が適用され得る。直火型燃焼装置(40)の設置台数は、施設園芸ハウス(60)の大きさに応じて適宜決められる。
【0023】
直火型燃焼装置(40)には施設園芸ハウス(60)内の所定の場所に燃焼ガスを送出する温風ダクト(図1の参照符号(4)参照)が接続されている。施設園芸ハウス用温風暖房システム(100)は、施設園芸ハウス(60)内の気温を検出する温度検出手段(図1の参照符号(6a)、(6b)、(6c)、(6d)参照)と、前記施設園芸ハウス(60)内の空気の循環及び排出を行う送風手段(図1の参照符号(5a)、(5b)参照)と、直火型燃焼装置(40)と、前記温風ダクト(図1の参照符号(4)参照)と、前記送風手段(図1の参照符号(5a)、(5b)参照)とに対して指令信号を発してその動作を制御する制御手段(図1の参照符号(9)参照)とを備えている。
図7の(a)は、本実施形態に係る施設園芸ハウス用温風暖房システム(100)に用いられる燃焼装置(20)の側面説明図である。図7の(b)は本実施形態に係る施設園芸ハウス用温風暖房システム(100)に用いられる燃焼装置(20)の正面説明図である。図7の(c)は本実施形態に係る施設園芸ハウス用温風暖房システム(100)に用いられる燃焼装置(20)の上面説明図である。
図7において、参照符号(18)は温風ダクト(図1の参照符号(4)参照)に接続するためのフランジを示し、参照符号(19)は操作盤を示し、参照符号(20)は燃焼装置を示し、参照符号(20A)は焼却炉(熱交換器)を示し、参照符号(20B)は送風機を示し、参照符号(20C)は燃料ポンプを示し、参照符号(20D)は燃焼ファンを示し、参照符号(20E)は風導板を示し、参照符号(20J)は点火トランスを示し、参照符号(21a)は煙突に接続するためのジョイントを示している。
本実施形態の燃焼装置(20)は、叙上の従来の直火型温風暖房機(20)と原理は同じであるが、燃焼装置(20)から温風ダクト(図1の参照符号(4)参照)を通過する際のダクト抵抗により降下する風量を補うための両軸シロッコファンが好適に採用されている。
【0024】
本実施形態の作物を栽培する施設園芸ハウス(60)内の環境を調節するためのパラフィン燃料を用いた暖房システムハウス(60)内の環境を調節する暖房システム(100)では、直火型燃焼装置(40)が、前記温度検出手段(図1の参照符号(6a)、(6b)、(6c)、(6d)参照)によって検出された温度が、所定の上限値を超えたとき燃焼動作を停止し、所定の下限値を下回ったとき燃焼動作を開始するように、前記制御装置(図1の参照符号(9)参照)の指令信号に従って動作する。
【0025】
また、本実施形態の暖房システム(100)では、前記直火型燃焼装置(40)は、燃焼ガスを温風ダクト(図1の参照符号(4)参照)へ送り込むための強制送風機(Forced draft fan(図示されていない))と、熱交換器として機能する燃焼炉内におけるパラフィン燃料の燃焼に伴う発熱により、当該炉壁外周に導入された暖房システムハウス(60)内の空気を昇温させ、再び暖房システムハウス(60)内に導く温風発生手段とを有している。
また、本実施形態の暖房システム(100)は、直火型燃焼装置(40)に、非常時又は故障時に、ハウス外に燃焼ガスを排出するための煙突を、設けることも可能である。
【0026】
前記制御手段(図1の参照符号(9)参照)は、前記送風手段(図1の参照符号(5a)、(5b)参照)の運転開始信号を受信すると前記直火型燃焼装置(40)に対して前記送風機のみを運転させるための前記指令信号を発し、前記送風手段(図1の参照符号(5a)、(5b)参照)の運転停止信号を受信すると前記送風機の運転を停止させるための前記指令信号を発する。
【0027】
前記パラフィン燃料とは、硫黄分、芳香族を含まず、実質的にパラフィンからなる液体燃料である。表1に示すように、LPG、一般灯油との性状比較を示すが、パラフィン燃料は硫黄分を含まないので燃焼時の硫黄酸化物が少なく、また芳香族分を含まないので燃焼性の指標となる煙点が高く、燃焼時の未燃物やススの発生が少なく、燃焼ガスがクリーンである。
【0028】
【表1】
【0029】
パラフィン燃料は硫黄分、芳香族分を含まない液体燃料であれば製法は問わないが、代表例としては、天然ガス、バイオマス、石炭から部分酸化により得られた合成ガス(一酸化炭素と水素)をフィッシャートロップシュ反応(FT反応)により合成、得られた合成油を水素化分解、蒸留により得られたFT合成油や、油脂を水素化精製して得られる水素化バイオ燃料油、原油を精製、脱硫、分解、合成、抽出などにより得られたパラフィン系溶剤などがあり、これらを単独または2種以上混合したものが挙げられる。
【0030】
本実施形態の暖房システム(100)は、ハウス(60)内の二酸化炭素を溶解させ、貯蔵するための二酸化炭素貯蔵手段(50)を備えている。
そして、二酸化炭素貯蔵手段(50)は、pH調整水(W)が収容された二酸化炭素貯蔵槽(50a)と、該二酸化炭素貯蔵槽内のpH調整水(W)にハウス(60)内の二酸化炭素をチューブを介して供給するためのエアポンプ(P)とから構成される(図6)。炭酸ガスを効率的に水に溶解させるためには、炭酸ガスと水とができるだけ接触することが必要である。このため、小さい気泡(マイクロバブル)を発生させて、気泡と水とが接触する表面積を上げるようにすると有利である。
pH調整水(W)とは、水を電解によってアルカリ性にしたもので、本実施形態では、pHを11程度に調整するものを言う。水中で溶存している二酸化炭素は、遊離二酸化炭素(CO2(aq))として存在し、過飽和の場合、二酸化炭素を取り出すことが可能である。このため、ハウス内の温度が基準値を上回ったときに、天窓や側窓を解放することにより、ハウス内の二酸化炭素分圧が大気分圧まで降下しても、二酸化炭素貯蔵槽(50a)に貯蔵された過飽和な炭酸水から炭酸ガスを得ることができる。
例えば、敷地面積200坪で容積1650m3のハウス内で、25リットルのGTL燃料を本実施形態の暖房システム(100)を用いて燃焼装置(40)を3時間運転すると、炭酸ガス(64kg)が得られる。これは、植物の光合成に好適な炭酸ガス量は2000ppm〜5000ppmであるが、本実施形態の暖房システム(100)によれば、二酸化炭素貯蔵槽内のpH調整水にハウス(60)内の二酸化炭素をチューブを介して供給するためのエアポンプ(P)とから構成される二酸化炭素貯蔵手段(50)を備えているので、ハウス内の二酸化炭素量を2000ppm〜5000ppmに維持することができる。さらに、二酸化炭素貯蔵槽内に貯蔵され、酸性化された炭酸水は、植物の根元への施養に用いることも可能である。
【0031】
上述のとおり、炭酸ガスを効率的に溶解させるためには、炭酸ガスと水とができるだけ接触することが必要である。前述の小さい気泡(マイクロバブル)を発生させる手段のほか、単位面積当たりに非常に広い膜面積のとれる中空糸膜を採用することも可能である。
そこで、例えば二酸化炭素貯蔵手段(50)は、エアポンプ(P)と二酸化炭素貯蔵槽との間に配管を介して中空糸フィルターが介装されたものも採用することができる。
本実施形態の中空糸フィルターとしては、限定されないが、例えば三菱レイヨン株式会社のMHF(商品名)を採用することができる。
【0032】
[実施形態2]
二酸化炭素の水への溶解を規定するパラメータは、温度、圧力、二酸化炭素濃度であるが、溶解溶液内では、さらに溶媒のpHや溶液に含まれる他のイオン量等が影響する。本実施形態は、二酸化炭素(及びそのイオン体)がアルカリ性域で全炭酸として大量に存在し、酸性化で可逆的に発散する性質を利用している。これは、溶解による中和過程・緩衝作用・不均化反応である。アルカリ性域では、最終的に二酸化炭素は炭酸イオンまで2次解離が進み、pH11では、モル比で酸性域の25万倍程度の全炭酸を収納できる計算になる。全炭酸とは、水溶液中の遊離二酸化炭素(CO2(aq))、炭酸水素イオン(HCO3−)、炭酸イオン(CO32−)の総和である。これを、再度中性から酸性側に移行することで、炭酸水素イオンから炭酸を介して遊離二酸化炭素へと解離は戻り、過飽和な溶存二酸化炭素状態になる。攪拌ないしバブリングすることで、大気に放出が可能となる。ここで、重要なことは溶液のpH制御である。強制的にpHを変化させることで、炭酸系分子の電離をコントロールし、回収発散を行う。その手法として、酸−アルカリ状態を連続的かつ可逆的に行うために、薬剤を用いず、公知の電解法を用いる。電解法では、薬剤と比べ、かなり安いコストで、安全に強アルカリ性状態と強酸性状態を作り出せる。電解による溶液のpH制御は、pH3からpH11が可能であるが、二酸化炭素の回収放出を行うpH制御は、7から11の間で充分である。酸性水を利用する場合は、pH3まで電解を進める。電解によりアルカリ性化を進めながら、低濃度二酸化炭素を含むハウス内大気を溶媒である水に連続的に溶解していく。溶解には、バブリングや公知の溶解技術(中空糸膜など)を用いる。
【0033】
二酸化炭素は、水に良く溶解する性質があり、溶液に溶存する二酸化炭素は、分圧に応じた溶解度をもつ。高圧ではさらに多くが溶解するので、炭酸飲料などは加圧してある。常圧の大気では二酸化炭素の分圧が低い(350ppm:0.035%)ので、ヘンリーの法則(0.765×0.00035×44×1000/22.4)に従い、飽和限界は、25℃で0.526 mg/L(1.2×10−5 mol/L)である。
ハウス内の燃焼ガス濃度は、ハウス規模や燃焼時間にもよるが、燃焼直後の分圧は10〜15%程度である。これがハウス内に拡散し、5000〜10000ppm程度になる。これでも大気分圧としては0.5〜1%である。このように低濃度の二酸化炭素を溶解させるためには、ハウス内大気を多く循環させる必要がある。
【0034】
上述したとおり、二酸化炭素は、ある温度圧力条件下では一定量が水に溶解する。
【0035】
CO2(g)⇔CO2(aq)・・・・・(1)
【0036】
ここで、(g)は気体状態を表し、(aq)は遊離状態を表す。
しかし、pHによっては一部が解離し、様態やその比率は、pHごとに異なっている。酸性域(pH3−5)では、式(2)のように溶解しているが、大きく左に偏っている。
【0037】
CO2(aq)+H2O⇔H2CO3・・・・・・(2)
【0038】
飽和溶解した遊離二酸化炭素のうち、1/300が炭酸(H2CO3)として存在する。炭酸は不安定な物質で、中性域(pH6−8)では、式(3)のように、炭酸水素イオン(HCO3−)に1次解離をおこす。
【0039】
H2CO3⇔H++HCO3−・・・・・・・・・(3)
【0040】
さらに、高アルカリ性域(pH9−11)では、式(4)のように炭酸イオン(CO32−)に2次解離をおこす。
【0041】
HCO3−⇔H++CO32−・・・・・・・・・(4)
【0042】
式(2)、式(3)及び式(4)をまとめると、式(5)のようになる。
【0043】
CO2+H2O⇔H2CO3⇔H++HCO3−⇔2H++CO32−・・・・(5)
【0044】
気相中(大気)の二酸化炭素(CO2)の分圧をp(Pa)とし、水中の溶存二酸化炭素のモル濃度をm(モルm−3)とすると、式(1)で表された遊離二酸化炭素と気相中の二酸化炭素が気液平衡状態に在る場合、次の式(6)が成立する。
p=KHm・・・・・・・・・・(6)
ここで、KHはヘンリー定数である。なお、KH=0.03405(10−1.468)である。
【0045】
一次解離の平衡定数(K1)は、式(7)のように表される。
K1=[H+][HCO3−]/[H2O・CO2]・・・(7)
式(7)を変形すると、次の式(8)を得る。
[HCO3−]=K1[H2O・CO2]/[H+]・・・(8)
なお、K1=4.45×10−7(10−6.352)である。
【0046】
二次解離の平衡定数(K2)は、式(9)のように表される。
K2=[H+][CO32−]/[HCO3−]・・・(9)
式(9)を、[CO32−]について解くと、次の式(10)が得られる。
[CO32−]=K2×[HCO3−]/[H+]・・・(10)
【0047】
ここで、前記式(8)と(10)より、[HCO3−]を消去すると、式(11)を得る。
[CO32−]=K1×K2[H2O・CO2]/[H+]2・・・(11)
なお、K2=4.69×10−11(10−10.329)である。
【0048】
全炭酸挙動について以下に述べる。全炭酸とは、水溶液中の遊離二酸化炭素(CO2(aq))、炭酸水素イオン(HCO3−)、炭酸イオン(CO32−)の総和である。ここでは、遊離二酸化炭素が炭酸水素イオンへ解離する際、炭酸[H2O・CO2]を経由するので、遊離状態の二酸化炭素と炭酸を合わせて、未解離炭酸[H2CO3]として表す。
ここで、全炭酸(ΣCO2)をCとすると、次の式(12)が成立する。
C=[H2CO3]+[HCO3−]+[CO32−]・・・(12)
ここで、式(12)において、前記式(8)及び式(11)を用いて[HCO3−]及び[CO32−]を消去すると、式(13)を得る。
C=[H2CO3]+K1[H2CO3]/[H+]+K1K2[H2CO3]/[H+]2・・・(13)
なお、α0、α1及びα2は、式(14)、式(15)及び式(16)のように表される。
α0=[H2CO3]/C・・・・・(14)
α1=[HCO3−]/C・・・・・(15)
α2=[CO32−]/C・・・・・(16)
そして、α0、α1及びα2の間には、次の式(17)で表される関係が成立する。
α0+α1+α2=1・・・・・・・(17)
【0049】
ここで、式(14)の両辺にCを掛けると、式(18)が得られる。
[H2CO3]=Cα0・・・・・・・(18)
式(18)を用いて式(13)の[H2CO3]を消去すると、次の式(19)を得る。
C=Cα0+K1Cα0/[H+]+K1K2Cα0/[H+]2・・・・(19)
式(19)の両辺をCで割り、整理して式(20)を得る。
α0(1+K1/[H+]+K1K2/[H+]2)=1・・・・(20)
式(20)の両辺に[H+]2を掛けると、次の式(21)を得る。
α0([H+]2+K1[H+]+K1K2)=[H+]2・・・・(21)
式(21)の両辺を([H+]2+K1[H+]+K1K2)で割ると、次の式(22)を得る。
α0=[H+]2/([H+]2+K1[H+]+K1K2)・・・・・(22)
同様の変形をすることにより、次のとおりの式(23)及び式(24)が得られる。
α1=K1[H+]/[H+]2+K1[H+]+K1K2・・・・(23)
α2=K1K2/[H+]2+K1[H+]+K1K2・・・・・・(24)
【0050】
式(22)、式(23)及び式(24)より、[H2CO3]、[HCO3−]及び[CO32−]の溶存比率であるα0、α1及びα2は、それぞれ水素イオン濃度([H+])の関数として表されることが分かる。また、pH=−log[H+]であることから、[H2CO3]、[HCO3−]及び[CO32−]の溶存比率(α0、α1及びα2)は、それぞれpHの関数として表される。
次の表はα0、α1及びα2のpHに対する溶存比率を示すものである。
【0051】
【表2】
【0052】
上記表2より、未解離H2CO3と、HCO3−と、CO32−の互いの存在比率は、溶液のpHによって、大きく異なることが分かる。また、溶存全炭酸の総モル比も大きく異なる。未解離H2CO3(α0)に相当する二酸化炭素の飽和溶解量は、pHに関係なく一定であるが、pHにより解離度が異なるため、飽和した遊離二酸化炭素を1とした場合、溶液のpHによって、溶存全炭酸の総モル比は大きく異なる。例えば、pHが6.35のときのα0:α1は約1:1であるが、pHが8.34のとき、α0:α1は約1:100となり、pHが11のとき、α0:α1は約1:100000となる。つまり、pHが11のとき、未解離H2CO3の10万倍の炭酸水素イオンが存在しうることになる。アルカリ性域では、酸性域より、はるかに大きな全炭酸量が存在できるのである。すなわち、pHをアルカリ側に維持することで、より多くの二酸化炭素を溶解させることができる。因みにpH11の場合、全炭酸のモル比は、飽和した遊離二酸化炭素の253200倍である。
【0053】
また、各分圧の[H+]=10−11の場合、各分圧に対する全炭酸(ΣCO2)の溶解量C(mol/L)は表3に示すとおりである。
【0054】
【表3】
【0055】
上述したとおり、式(13)により、溶存する全炭酸(C)の量が求められる。より具体的には、気相の蒸気圧Pを[atm]単位で表し、溶解濃度を水1リットルに溶け込んでいるガスの容積[リットル](標準状態(0℃)への換算数値)で表した場合の比例定数(P=1の時のCの数値として定まる数値)は、炭酸ガスは0.765程度とされていることから、炭酸ガスの分圧は現在0.00035[atm]、炭酸ガスの分子量は44であるので、常圧の大気に接する水1リットルに溶け込む炭酸ガスの飽和溶解量は25℃の平衡状態では、式(26)で得られる。
0.765×0.00035×44×1000/22.4=0.526[mg/L](1.20×10−5[mol/L])・・・・・(25)
したがって、溶液に二酸化炭素を溶解し続ける間、pHをアルカリ側に維持することで、より多くの二酸化炭素を溶解しうるものである。
【0056】
回収と発散のメカニズムについて説明する。アルカリ化(OH−の付加)によって全炭酸を増加させる反応は次式である。
【0057】
H2CO3+OH−⇔HCO3−+H2O・・・・・(26)
HCO3−+OH−⇔CO32−+H2O・・・・・(27)
式(26)及び式(27)の反応が起こり、溶存二酸化炭素は炭酸イオン側に移行することになる。pHを変えない限り、炭酸イオンは安定で存在し、アルカリ性の継続で維持される。先に示したように多くは全炭酸として貯蔵される。
【0058】
一方、溶液を酸性側に変化させることで、溶存している二酸化炭素を気体として再利用できる。水素イオンを付加することで、炭酸イオンから炭酸水素イオン、そして炭酸(実質的には、水と二酸化炭素)へ移行するが、過飽和状態となり、大気中へ発散される。
【0059】
CO32−+H+⇔HCO3−
HCO3−+H+⇔H2CO3
H2CO3⇔CO2+H2O
最終的に貯蔵された全炭酸が二酸化炭素として発散する側に移行する。このようにして、ハウス内の過剰二酸化炭素を回収・再利用することができる。各pHの下で存在し得る炭酸水素イオンと炭酸イオンのモル比を表4に示す。
【0060】
【表4】
【0061】
各分圧下での溶存二酸化炭素とpH11での全炭酸量を表5に示す。
【0062】
【表5】
【0063】
溶液内では、電荷は陽イオンと陰イオンの量が一致しなければならない。一般的に水などの場合は、多くのイオンを含んでいるので、問題はないが、純水を使用する場合には、イオンの付加が必要である(表6参照)。
【0064】
【表6】
【0065】
図8を参照すると、本実施形態に係る施設園芸ハウス内で発生した二酸化炭素を回収・発散するためのシステムは、水を電気分解処理するための電解槽(31、32)を備えている。本実施形態では、当該電解槽(31、32)が、イオン交換膜(33)によって仕切られた2槽を備えている2槽型であるが、かかる2槽型に限られることはなく、一槽型も三槽型もいずれも採用することができる。図8に示された実施形態では、該2槽のうちの一方がアルカリ性水生成槽(31)とされ、他方が酸性水生成槽(32)とされ、アルカリ性水生成槽(31)には外部電源(図示せず)を介して陰極(31c)が設置される。また、前記酸性水生成槽(32)には外部電源(図示せず)を介して陽極(32a)が設置される。なお、陰極(31c)及び陽極(32a)の極性は、互いに交換可能である。
【0066】
本実施形態に係る施設園芸ハウス内で発生した二酸化炭素を回収・発散するための方法は、次のとおりの工程(a)と工程(b)を含んでいる。
工程(a)においては、日没後、夜間において、施設園芸ハウス(図1の参照符号(1)参照)内を外気から略密閉した状態で、外部電源より、陰極(図8の(31c))及び陽極(図8の(32a))を介してアルカリ性水生成槽(図8の(31))及び酸性水生成槽(図8の(32))に漲水された水に通電して電気分解を行う。これによりアルカリ性水生成槽(図8の(31))に漲水された水のpHをアルカリ域にして、施設園芸ハウス(図1の参照符号(1)参照)内の二酸化炭素を溶解させてアルカリ性水を得ることで二酸化炭素を回収する。
【0067】
工程(b)においては、日出後、日没までの間、前記工程(a)において配された陰極(図8の(31c))と陽極(図8の(32a))の極性を、それぞれ陽極と陰極に交換して、陽極(図8の(31c))及び陰極(図8の(31a))を介して、それぞれアルカリ性水生成槽(図8の(31))及び酸性水生成槽(図8の(31))に通電して電気分解を行う。これによって前記工程(a)において前記アルカリ性水生成槽(図8の(31))に貯蔵されたアルカリ性水から酸性水にされて、二酸化炭素を発散させる。
【0068】
図8は二槽型の電解槽であるが、前述のとおり、本実施形態では、一槽型(図9の(a)、(b))の電解槽や三槽型(図10)の電解槽を採用することはいうまでもなく可能である。例えば、一槽型の電解槽を採用する場合、水を電気分解処理するための電解水生成槽にイオン吸着電極と対極が電源を介して設置し、イオン吸着電極及び対極の極性が交換可能とすればよい。
【0069】
一槽型の電解槽を採用した場合の二酸化炭素を回収・発散するための方法は、
工程(a)において、日没後、夜間において、施設園芸ハウス内を外気から略密閉した状態で、前記イオン吸着電極を陰極とし、前記対極を陽極として電源より、電解水生成槽に漲水された水に通電して電気分解を行い、電解水生成槽に漲水された水のpHをアルカリ性域にして、施設園芸ハウス内の二酸化炭素を溶解させてアルカリ性を得ることで二酸化炭素を回収する。ついで、
工程(b)において、日出後、日没までの間、工程(a)において配された前記イオン吸着電極及び対極の極性を、それぞれ陽極と陰極に交換して、前記電解水生成槽に通電して電気分解を行い、工程(a)において前記電解水生成槽に貯蔵されたアルカリ性水を酸性水にして、二酸化炭素を発散させる。
【0070】
本実施形態では、電解法、すなわち弱い電流で水を電気分解し、陽極と陰極に、それぞれ酸性水とアルカリ性水を生成する。電解にかかるコストは、きわめて安価であり、300Lのアルカリ水を生成するのに、6〜7円の電気代がかかるだけである。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の請求項1〜3に係る施設園芸ハウス用温風暖房システムによれば、パラフィン燃料タンクを介してパラフィン燃料が供給される一又は二以上の直火型燃焼装置が施設園芸ハウス内に配設される構成を有するため、燃焼装置の燃料としてパラフィン燃料を用いており硫黄分や、芳香族分が極めて低いため、燃焼ガスがクリーンであり、そのうえ、燃焼装置として直火型燃焼装置を採用しているため、燃焼ガスを100%利用できる。また、本発明の請求項1〜3に係る施設園芸ハウス用温風暖房システムが、前記作物を栽培する施設園芸ハウス内の二酸化炭素を溶解させ、貯蔵するための二酸化炭素貯蔵手段を備えているので、夜間に貯めたハウス内の二酸化炭素の効果を天窓や側窓の開放により一時的に減じることがあっても迅速にハウス内に炭酸ガスを補給することができる新規な作物を栽培する施設園芸ハウス内の環境を調節するためのパラフィン燃料を用いた暖房システムを提供することができる。
【0072】
本発明の請求項4〜5に係る施設園芸ハウス用温風暖房システムに適用される、前記施設園芸ハウス内で発生した二酸化炭素を回収・発散するためのシステム及び方法によれば、二酸化炭素は、水に良く溶解する性質があり、溶液に溶存する二酸化炭素は、分圧に応じた溶解度をもつという知見から、電解法を採用して施設園芸ハウス内で発生した二酸化炭素の回収・発散が常温・常圧下で行われること、二酸化炭素の出し入れが可逆的に行われること、比較的低濃度の二酸化炭素に対応でききること、機器が安価でシンプルであることが達成され、燃焼機器との連動、自動化も可能である。
【符号の説明】
【0073】
30 パラフィン燃料タンク
31 アルカリ性水生成槽
32 酸性水生成槽
40 燃焼装置
50 二酸化炭素貯蔵手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設園芸ハウス内に配設され、燃料タンクを介して燃料が供給される一又は二以上の直火型燃焼装置と、
当該一又は二以上の直火型燃焼装置に接続されて前記施設園芸ハウス内の所定の場所に燃焼ガスを送出する温風ダクトと、
前記施設園芸ハウス内の気温を検出する温度検出手段と、
前記施設園芸ハウス内の空気の循環及び排出を行う送風手段と、
前記一又は二以上の直火型燃焼装置と、前記温風ダクトと、前記送風手段とに対して指令信号を発してその動作を制御する制御手段と
を備えた、作物を栽培する施設園芸ハウス内の環境を調節するための燃料を用いた暖房システムであって、
前記暖房システムで用いる燃料がパラフィン燃料であり、
前記一又は二以上の直火型燃焼装置が、前記温度検出手段によって検出された温度が、所定の上限値を超えたとき燃焼動作を停止し、所定の下限値を下回ったとき燃焼動作を開始するように、前記制御手段の指令信号に従って動作し、
前記一又は二以上の直火型燃焼装置は、燃焼ガスを前記温風ダクトへ送り込むための送風機と、熱交換器として機能する燃焼炉内におけるパラフィン燃料の燃焼に伴う発熱により当該炉壁外周の空気を昇温させる温風発生手段とを有し、
前記制御手段は、前記送風手段の運転開始信号を受信すると前記一又は二以上の直火型燃焼装置に対して前記送風機のみを運転させるための前記指令信号を発し、前記送風手段の運転停止信号を受信すると前記送風機の運転を停止させるための前記指令信号を発し、
前記暖房システムが、前記作物を栽培する施設園芸ハウス内の二酸化炭素を溶解させ、貯蔵するための二酸化炭素貯蔵手段を備えてなる
ことを特徴とする施設園芸ハウス用温風暖房システム。
【請求項2】
前記二酸化炭素貯蔵手段が、pH調整水が収容された二酸化炭素貯蔵槽と、該二酸化炭素貯蔵槽内のpH調整水に前記作物を栽培する施設園芸ハウス内の二酸化炭素を供給するためのエアポンプとを備えてなることを特徴とする請求項1記載の施設園芸ハウス用温風暖房システム。
【請求項3】
前記二酸化炭素貯蔵手段が、前記エアポンプと二酸化炭素貯蔵槽との間に中空糸フィルターが介装されてなることを特徴とする請求項2記載の施設園芸ハウス用温風暖房システム。
【請求項4】
請求項1記載の施設園芸ハウス用温風暖房システムに適用される、前記施設園芸ハウス内で発生した二酸化炭素を回収・発散するためのシステムであって、
前記温風暖房システムの二酸化炭素貯蔵手段が、水を電気分解処理するための電解水生成槽を備え、当該電解水生成槽にイオン吸着電極と対極が電源を介して設置され、前記イオン吸着電極及び対極の極性が交換可能である
ことを特徴とする二酸化炭素を回収・発散するためのシステム。
【請求項5】
請求項1記載の施設園芸ハウス用温風暖房システムに適用される、前記施設園芸ハウス内で発生した二酸化炭素を回収・発散するための方法であって、
前記温風暖房システムの二酸化炭素溶解貯蔵手段が、水を電気分解処理するための電解水生成槽を備え、当該電解水生成槽に電源を介してイオン吸着電極及び対極が設置され、
前記イオン吸着電極及び対極の極性は交換可能であり、
前記二酸化炭素を回収・発散するための方法が、
(a)日没後、夜間において、施設園芸ハウス内を外気から略密閉した状態で、前記イオン吸着電極を陰極とし、前記対極を陽極として電源より、前記電解水生成槽に漲水された水に通電して電気分解を行い、前記電解水生成槽に漲水された水のpHをアルカリ性域にして、前記施設園芸ハウス内の二酸化炭素を溶解させ、アルカリ性下でそれが解離し全炭酸となって二酸化炭素を回収する工程と、
(b)日出後、日没までの間、前記工程(a)において配された前記イオン吸着電極及び対極の極性を、それぞれ陽極と陰極に交換して、前記電解水生成槽に通電して電気分解を行い、前記工程(a)において前記電解水生成槽に貯蔵されたアルカリ性水のpHを酸性化することで中性水にされて、二酸化炭素を発散させる工程とを含んでなる
ことを特徴とする施設園芸ハウス内で発生した二酸化炭素を回収・発散するための方法。
【請求項1】
施設園芸ハウス内に配設され、燃料タンクを介して燃料が供給される一又は二以上の直火型燃焼装置と、
当該一又は二以上の直火型燃焼装置に接続されて前記施設園芸ハウス内の所定の場所に燃焼ガスを送出する温風ダクトと、
前記施設園芸ハウス内の気温を検出する温度検出手段と、
前記施設園芸ハウス内の空気の循環及び排出を行う送風手段と、
前記一又は二以上の直火型燃焼装置と、前記温風ダクトと、前記送風手段とに対して指令信号を発してその動作を制御する制御手段と
を備えた、作物を栽培する施設園芸ハウス内の環境を調節するための燃料を用いた暖房システムであって、
前記暖房システムで用いる燃料がパラフィン燃料であり、
前記一又は二以上の直火型燃焼装置が、前記温度検出手段によって検出された温度が、所定の上限値を超えたとき燃焼動作を停止し、所定の下限値を下回ったとき燃焼動作を開始するように、前記制御手段の指令信号に従って動作し、
前記一又は二以上の直火型燃焼装置は、燃焼ガスを前記温風ダクトへ送り込むための送風機と、熱交換器として機能する燃焼炉内におけるパラフィン燃料の燃焼に伴う発熱により当該炉壁外周の空気を昇温させる温風発生手段とを有し、
前記制御手段は、前記送風手段の運転開始信号を受信すると前記一又は二以上の直火型燃焼装置に対して前記送風機のみを運転させるための前記指令信号を発し、前記送風手段の運転停止信号を受信すると前記送風機の運転を停止させるための前記指令信号を発し、
前記暖房システムが、前記作物を栽培する施設園芸ハウス内の二酸化炭素を溶解させ、貯蔵するための二酸化炭素貯蔵手段を備えてなる
ことを特徴とする施設園芸ハウス用温風暖房システム。
【請求項2】
前記二酸化炭素貯蔵手段が、pH調整水が収容された二酸化炭素貯蔵槽と、該二酸化炭素貯蔵槽内のpH調整水に前記作物を栽培する施設園芸ハウス内の二酸化炭素を供給するためのエアポンプとを備えてなることを特徴とする請求項1記載の施設園芸ハウス用温風暖房システム。
【請求項3】
前記二酸化炭素貯蔵手段が、前記エアポンプと二酸化炭素貯蔵槽との間に中空糸フィルターが介装されてなることを特徴とする請求項2記載の施設園芸ハウス用温風暖房システム。
【請求項4】
請求項1記載の施設園芸ハウス用温風暖房システムに適用される、前記施設園芸ハウス内で発生した二酸化炭素を回収・発散するためのシステムであって、
前記温風暖房システムの二酸化炭素貯蔵手段が、水を電気分解処理するための電解水生成槽を備え、当該電解水生成槽にイオン吸着電極と対極が電源を介して設置され、前記イオン吸着電極及び対極の極性が交換可能である
ことを特徴とする二酸化炭素を回収・発散するためのシステム。
【請求項5】
請求項1記載の施設園芸ハウス用温風暖房システムに適用される、前記施設園芸ハウス内で発生した二酸化炭素を回収・発散するための方法であって、
前記温風暖房システムの二酸化炭素溶解貯蔵手段が、水を電気分解処理するための電解水生成槽を備え、当該電解水生成槽に電源を介してイオン吸着電極及び対極が設置され、
前記イオン吸着電極及び対極の極性は交換可能であり、
前記二酸化炭素を回収・発散するための方法が、
(a)日没後、夜間において、施設園芸ハウス内を外気から略密閉した状態で、前記イオン吸着電極を陰極とし、前記対極を陽極として電源より、前記電解水生成槽に漲水された水に通電して電気分解を行い、前記電解水生成槽に漲水された水のpHをアルカリ性域にして、前記施設園芸ハウス内の二酸化炭素を溶解させ、アルカリ性下でそれが解離し全炭酸となって二酸化炭素を回収する工程と、
(b)日出後、日没までの間、前記工程(a)において配された前記イオン吸着電極及び対極の極性を、それぞれ陽極と陰極に交換して、前記電解水生成槽に通電して電気分解を行い、前記工程(a)において前記電解水生成槽に貯蔵されたアルカリ性水のpHを酸性化することで中性水にされて、二酸化炭素を発散させる工程とを含んでなる
ことを特徴とする施設園芸ハウス内で発生した二酸化炭素を回収・発散するための方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図9】
【図10】
【図6】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図9】
【図10】
【図6】
【図8】
【公開番号】特開2012−213389(P2012−213389A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−72459(P2012−72459)
【出願日】平成24年3月27日(2012.3.27)
【出願人】(504275351)
【出願人】(594189279)株式会社木原製作所 (6)
【出願人】(000186913)昭和シェル石油株式会社 (322)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月27日(2012.3.27)
【出願人】(504275351)
【出願人】(594189279)株式会社木原製作所 (6)
【出願人】(000186913)昭和シェル石油株式会社 (322)
【Fターム(参考)】
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