説明

施設管理装置および施設管理方法

【課題】設備機器の運転状況に関するデータを有効に活用して、全体の俯瞰的な分析・解析が容易に行う。
【解決手段】各設備機器2から運転・環境状況に関するデータを収集するデータ収集手段11と、データ収集手段11により収集されたデータを履歴データとして記録する記録手段12と、履歴データ内のパラメータに対して、所定閾値ごとに区別するための色を設定する色設定手段13と、ユーザ操作を受け付ける操作手段14と、操作手段14により履歴一覧表の表示要求が受け付けられた場合に、記録手段12から該当する履歴データを抽出し、色設定手段13により設定された色を用いて、履歴一覧表を生成する履歴一覧表生成手段15と、履歴一覧表生成手段15により生成された履歴一覧表を表示する表示手段16とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ビルや工場などの施設に設置された複数の設備機器を管理する施設管理装置および施設管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の施設管理装置では、ビルや工場などの施設に設置された複数の設備機器を管理するため、定周期で、各設備機器から運転状況に関するデータを収集・記録している。この運転状況データには、設備機器の発停を示すデジタルデータが含まれている。そして、ユーザ操作に従って上記データを抽出し、時間ごとの設備機器の運転台数の変化をトレンドグラフで表示している(例えば特許文献1参照)。また、運転状況データとして、設備機器に関するパラメータ(例えば温度、湿度や流量など)の設定値/測定値を示すアナログデータを収集し、これらに関するトレンドグラフを表示することも可能である。
【0003】
また、表示された現在のトレンドグラフを解析するため、ユーザ操作に従って、過去の所定のトレンドデータを現在のトレンドグラフに重ねて表示するものもある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−257633号公報
【特許文献2】特開2010−128857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1,2に開示された従来の施設管理装置では、履歴データをトレンドグラフで表示している。グラフ表示のため、グラフとしての全体の振れ幅の確認は可能である。しかしながら、1つのグラフで確認可能なポイント数は限られてしまうため、大量のデータを一度に表示することはできないという課題があった。すなわち、1つの系統などにおいて、系統全体の状態を確認して異常個所の検出を行いたい場合には、複数のグラフを選択・表示しながら確認を行う必要があり、全体の俯瞰的な用途としては使い難い。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、設備機器の運転・環境状況に関するデータを有効に活用して、全体の俯瞰的な分析・解析を容易に行うことができる施設管理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る施設管理装置は、各設備機器から運転・環境状況に関するデータを収集するデータ収集手段と、データ収集手段により収集されたデータを履歴データとして記録する記録手段と、履歴データ内のパラメータに対して、所定閾値ごとに区別するための色を設定する色設定手段と、ユーザ操作を受け付ける操作手段と、操作手段により履歴一覧表の表示要求が受け付けられた場合に、記録手段から該当する履歴データを抽出し、色設定手段により設定された色を用いて、履歴一覧表を生成する履歴一覧表生成手段と、履歴一覧表生成手段により生成された履歴一覧表を表示する表示手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、上記のように構成したので、設備機器の運転・環境状況に関するデータを有効に活用して、全体の俯瞰的な分析・解析を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1に係る施設管理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る施設管理装置による動作を示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態1における色設定画面の例を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1における表示設定画面の例を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1における履歴一覧表の例を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態1における履歴一覧表の縮小表示例を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態1における履歴一覧表の別例を示す図である。
【図8】この発明の実施の形態1における履歴一覧表の別例を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態2における履歴一覧表の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る施設管理装置1の構成を示すブロック図である。
施設管理装置1は、ビルや工場などの施設に設置された複数の設備機器(例えば空調機や冷温水ポンプなど)2を管理するものである。施設管理装置1は、各設備機器2と通信回線3を介して接続されている。この施設管理装置1は、図1に示すように、データ収集手段11、記録手段12、色設定手段13、操作手段14、表示設定手段15、フィルタ設定手段16、履歴一覧表生成手段17および表示手段18から構成されている。
【0011】
データ収集手段11は、定周期で、各設備機器2から通信回線3を介して設備機器2の運転・環境状況に関するデータを収集するものである。このデータには、設備機器2を識別するポイントID、当該設備機器2の運転状況に関する状態値/コマンド値情報や運転・環境状況に関する計測値/設定値情報などが含まれている。ここで、状態値/コマンド値情報としては、例えば、設備機器2の発停などを示すデジタルデータ(発:1、停:0)がある。また、計測値/設定値情報としては、例えば、空調機の設定温度、冷温水ポンプが空調機に供給する冷温水の流量、室内温度や外気温度などを示すアナログデータがある。
【0012】
記録手段12は、データ収集手段11により収集されたデータを属性データと対応付けて、履歴データとして記録するものである。この属性データには、設備機器名や設備機器2が設置された施設名などのポイント名称や、アナログデータの表示単位などを示す情報が含まれている。
【0013】
色設定手段13は、予め、履歴データ内のパラメータ(デジタルデータ、アナログデータ)に対して、所定閾値ごとに区別するための色を設定するものである。
操作手段14は、ユーザ操作を受け付けるものである。このユーザ操作としては、履歴一覧表の表示設定、フィルタ設定や、履歴一覧表の表示要求などがある。
【0014】
表示設定手段15は、操作手段14により受け付けられたユーザ操作に従い、履歴一覧表の表示設定を行うものである。
フィルタ設定手段16は、操作手段14により受け付けられたユーザ操作に従い、履歴一覧表のフィルタ設定を行うものである。
【0015】
履歴一覧表生成手段17は、操作手段14により履歴一覧表の表示要求が受け付けられた場合に、記録手段12から該当する履歴データを抽出し、色設定手段13により設定された色を用いて、表示設定手段15およびフィルタ設定手段16による設定情報に従い、履歴一覧表を生成するものである。
表示手段18は、履歴一覧表生成手段17により生成された履歴一覧表をモニタ(不図示)上に表示するものである。
【0016】
次に、上記のように構成された施設管理装置1による動作について説明する。図2はこの発明の実施の形態1に係る施設管理装置1による動作を示すフローチャートである。なお、色設定手段13は、予め、履歴データ内のパラメータに対して、所定閾値ごとに区別するための色を設定している(色設定ステップ)。この色設定では、例えば図3に示すような色設定画面を用いる。色設定画面では、各データ(アナログ/デジタル)に対する色が設定されている。このデフォルトで用意された色は変更可能である。また、グラデーション表示では、色の設定によっては中間色がおかしい色となる可能性があるので、色の組み合わせがデフォルトで用意されている。そして、デフォルトで用意された色は閾値が不定であり、1〜10のインデックスを用いて示されているため、それぞれの色に対する閾値を設定する。また、色表示として「なし」が選択された場合には、履歴一覧表を生成する際に色表示は行われず、背景色は白となる。
【0017】
施設管理装置1による動作では、図2に示すように、データ収集手段11は、定周期で、各設備機器2から通信回線3を介して設備機器2の運転・環境状況に関するデータを収集し、記録手段12は、これらのデータを属性データと対応付けて履歴データとして記録している(ステップST1、データ収集ステップ、記録ステップ)。
【0018】
次いで、操作手段14は、履歴一覧表の表示要求を示すユーザ操作がなされたかを判断する(ステップST2、操作ステップ)。このステップST2において、操作手段14は、履歴一覧表の表示要求を示すユーザ操作がなされていないと判断した場合、シーケンスは再びステップST1に戻り、待機状態となる。
【0019】
一方、ステップST2において、操作手段14が履歴一覧表の表示要求を示すユーザ操作がなされたと判断した場合、表示設定手段15は、操作手段14により受け付けられたユーザ操作に従い、履歴一覧表の表示設定を行う(ステップST3)。この表示設定では、ユーザは、まず、図4(a)に示す設定画面にて、表示開始時刻、表示間隔(例えば、1分、5分、10分、15分、30分や60分間隔など)、表示範囲(例えば、0:00または表示開始時刻〜24時間または12時間の範囲など)、表示/非表示選択(例えば、ポイントID、ポイント名称、単位や色表示の表示または非表示など)、および、時系列データのヘッダの表示形式選択(例えば、図4(b)に示す1セル(10分間隔)ごとの時刻表示または時間単位の結合セルでの時刻表示など)をそれぞれ設定する。なお、表示開始時刻は任意の時刻を設定可能であり、表示/非表示選択はデフォルトでは全て表示が選択されている。
次に、ユーザは、図4(c)に示す設定画面にて、各設備機器2に対して表示対象として選択するか否かを設定する。また、この際、履歴一覧表中で意図して行を開けたい場合などに行空けの設定を行うことも可能であり、各ポイントの表示順序を変更することも可能である。また、選択する設備機器2の数が多い場合などに、任意のグループを指定することで一括設定も可能である。なお、インターロック点に登録されたポイントは、グループ上にはないポイントであってもよい。
【0020】
次いで、フィルタ設定手段16は、操作手段14により受け付けられたユーザ操作に従い、履歴一覧表のフィルタ設定を行う(ステップST4)。このフィルタ設定では、ユーザは、所望のフィルタ条件を設定する。フィルタ条件として、例えば、インターロック点に登録された設備機器2のデジタルデータ(発停状況)を条件に設定することができる。この場合、フィルタ対象のデータは、インターロック点の設備機器2が起動している時間帯にのみ色表示が行われ、設備機器2が停止している時間帯では色表示が行われない。
また、その他のフィルタ条件として、所定の閾値や範囲を条件に設定することができる。この場合、図3に示す色設定画面と同じ画面を表示して、閾値や範囲となる色を選択する。そして、画面上では、選択された色に対して枠の色を変化させたり、閾値の数字を下線表示するなどして、フィルタ条件として選択されたことが分かるようにする。この場合、フィルタ対象のデータは、所定の閾値以上の場合または所定の範囲内の場合にのみ色表示が行われ、それ以外の場合には色表示が行われない。このフィルタ条件は複数設定可能である。
なお、履歴一覧表の表示設定およびフィルタ設定は、履歴一覧表の表示要求がなされた際に設定する場合に限らず、例えば、予め設定しておくようにしてもよい。
【0021】
次いで、履歴一覧表生成手段17は、記録手段12から該当する履歴データを抽出し、色設定手段13により設定された色を用いて、表示設定手段15およびフィルタ設定手段16による設定情報に従い、履歴一覧表を生成する(ステップST5、履歴一覧表生成ステップ)。次いで、表示手段18は、履歴一覧表生成手段17により生成された履歴一覧表をモニタ上に表示する(ステップST6、表示ステップ)。なお、ポイント数が膨大な場合には履歴一覧表の生成・表示完成までに時間を要することが想定されるため、プログレスバー表示などを行って表示中であることが分かるようにする。また、間違った表示を行った場合などのために、プログレスバーの表示中は処理を停止できるようにする。
以下では、このステップST5,6において、履歴一覧表生成手段17にて生成され、表示手段18にて表示された履歴一覧表について具体例を参照しながら説明する。
【0022】
まず、ユーザにより、所定日における、冷温水ポンプおよび空調機(AHU(空気調和機)、VAV(可変風量調節ユニット))に関する履歴一覧表の表示が要求された場合について示す。図5はこの発明の実施の形態1における履歴一覧表の例を示す図である。
なお、冷温水ポンプは、冷温水発生機(不図示)で生成された冷温水を各空調機に循環するものである。また、空調機は、この冷温水により冷風または温風を室内に吹き出すものである。よって、空調機は、冷温水ポンプが起動した後に起動するのが前提であり、冷温水ポンプが起動する前に起動している場合には、無駄な運転が行われていると判断することができる。
【0023】
また、色設定手段13は、設備機器(冷温水ポンプ、空調機)2の発停を示すデジタルデータに対して、発:赤、停:灰色の色を設定している。また、冷温水の温度を示すアナログデータに対して、10℃未満:青、10℃以上13℃未満:緑、13℃以上16度未満:マゼンタ、16度以上:黄の色を設定している。なお、図5は白黒表示であるため、灰、青、緑、マゼンタ、黄、赤の順に色が濃くなるものとする。
また、フィルタ設定手段16は、No.2の冷温水の温度に対して、インターロック点であるNo.1の冷温水ポンプのデジタルデータ(発停状況)をフィルタ条件に設定している。
【0024】
また、図5に示す履歴一覧表では、設備機器2ごとに、No.、ポイントID、ポイント名称、アナログデータ(温度)の表示単位、時間ごとの発停状況または温度を一覧で表示している。なお、発停状況を示す欄には、色(灰色または赤)とともにデジタルデータの値(0または1)を表示し、温度を示す欄には、色とともにアナログデータの値を表示している。
【0025】
この図5において、最上段(No.1)には、時間ごとの冷温水ポンプの発停状況が表示されている。これを確認すると、8時30分を境に色が灰色から赤に変わっているため、8時30分に冷温水ポンプが起動したと判断することができる。
また、その下段(No.2)には、時間ごとの冷温水の温度が表示されている。これを確認すると、冷温水ポンプが起動した後、色が黄、緑、青の順に変化している(色が薄くなっている)ため、温度が徐々に低下していると判断することができる。なお、冷温水ポンプが起動している時間帯にのみ冷温水の温度の色表示が行われているため、必要な部分を確認しやすくなる。
このように、色分布によって、冷温水ポンプが運転中に冷却水温度がどのような設定温度となっているかを一目で確認することができる。
【0026】
また、これより下段(No.3〜36)には、時間ごとの各空調機(AHU、VAV)の発停状況が表示されている。空調機についても冷温水ポンプと同様に、色(灰色、赤)の変化から発停状況を判断することができる。ここで、No.28〜32の「3階執務室1」の空調機の発停状況を確認すると、冷温水ポンプが起動する前(8時30分より前)から起動していることが分かる。よって、この部分で無駄な運転が行われていると判断することができる。
このように複数の設備機器のデータを、色分けを行ったうえで一覧表示することで、全体的な傾向の確認や異常の発見を一目で行うことができる。
【0027】
また、図5に示す履歴一覧表では、表を縦または横にスクロールさせることでモニタ上からはみ出ている部分を表示することを想定しているが、この履歴一覧表を縮小表示するようにしてもよい。
縮小表示例としては、図6(a)に示すように、横方向に縮小する方法が考えられる。図6(a)では、図5に示す履歴一覧表に対して、時間ごとの発停状況または温度を示す欄を横方向に縮小表示した場合を示している。なお、図6(a)では色の表示は省略している。横方向への縮小表示の場合には、デジタルデータやアナログデータの値は表示せず、色表示のみを行う。そして、対象セルにマウスカーソルを合わせた際に、この対象セルの値を表示する。これにより、表示範囲が膨大な場合にも一目で容易に確認することができる。
また、別の縮小表示例として、図6(b)に示すように、縦方向に縮小する方法が考えられる。図6(b)では、図5に示す履歴一覧表に対して、各ポイントについて縦方向に縮小表示した場合を示している。なお、図6(b)では色の表示は省略している。縦方向への縮小表示の場合にも、デジタルデータやアナログデータの値は表示せず、色表示のみを行う。また、縦方向の縮小表示では、ポイント情報も分からなくなるので、ツールチップでは、「ポイントID ポイント名称 時刻 値」を表示する。これにより、ポイント数が膨大な場合にも一目で容易に確認することができる。
また、横方向および縦方向に縮小するようにしてもよい。
【0028】
次に、ユーザにより、所定日における、外気温度および室内温度に関する履歴一覧表の表示が要求された場合について示す。図7はこの発明の実施の形態1における履歴一覧表の別例を示す図である。
ここで、色設定手段13は、外気温度および室内温度を示すアナログデータに対して、20℃未満:青、20℃以上24℃未満:マゼンタ、24℃以上28℃未満:緑、28℃以上:黄の色を設定している。なお、図7は白黒表示であるため、青、マゼンタ、緑、黄の順に色が濃くなるものとする。
【0029】
図7に示す履歴一覧表では、室外および室内ごとに、No.、ポイントID、ポイント名称、アナログデータ(温度)の表示単位、時間ごとの温度を一覧で表示している。なお、温度を示す欄には、色とともにアナログデータの値を表示している。また、図7では、各空調機が温風を室内に供給する場合を想定している。
【0030】
この図7において、最上段(No.1)には、時間ごとの外気温度が表示されている。また、これより下段(No.2〜22)には、時間ごとの各室内温度が表示されている。これらを確認すると、ほとんどの部屋では色が緑(24℃以上28℃未満)であるが、No.21の「20階特別室(A)」では、色がマゼンタ(20℃以上24℃未満)となっていることが分かる。よって、この部屋の設定温度が低いのか、この部屋の空調機が故障して能力不足となっているのかなどを判断することができる。
【0031】
次に、ユーザにより、複数日間における、所定の設備機器2に関する履歴一覧表の表示が要求された場合について示す。図8はこの発明の実施の形態1における履歴一覧表の別例を示す図である。
図8は、図7に示す部屋のうちの1部屋について、過去一ヶ月間の室内温度を示した履歴一覧表である。これにより、過去のデータとの比較が容易となる。なお、表示方法としては、過去一ヶ月間の表示に限らず、現在日と先週との表示や、現在日と先月との表示、現在日と前年の同月日との表示なども可能である。
また、図8に示す履歴一覧表では、時間ごとの温度を縮小表示しており、アナログデータ(温度)は表示せず、色表示のみを行っている。そして、対象セルにマウスカーソルを合わせた際に、この対象セルのアナログデータを表示する。
【0032】
以上のように、この実施の形態1によれば、施設内に設置された複数の設備機器2を管理する施設管理装置1において、履歴データ内のパラメータに対して所定閾値ごとに区別するための色を付加した履歴一覧表を表示するように構成したので、大量のデータを分析・解析する場合にも、色分布によって、全体的な傾向を俯瞰的に確認することができる。よって、異常個所の特定が容易となる。
また、デジタルデータとアナログデータとを1つの画面でまとめて表示することができるので、特定のデジタルデータ(例えば設備機器2が運転時)のときのアナログデータを見たい場合など、ユーザにとって分かりやすくできる。また、過去にさかのぼって表示できるので、過去のデータとの比較確認が容易となる。
【0033】
また、デジタルデータの状態値/コマンド値情報によるフィルタや、アナログデータの設定値/計測値情報によるフィルタを可能とすることで、ユーザが所望するデータ一覧のみを明確に表示することができ、より容易に確認作業を行うことができる。
【0034】
また、デジタルデータのコマンド値情報やアナログデータの設定値情報に、手動または自動により操作されたことを示すコマンダ情報を付加することも可能である。この場合、例えば図5に表示されている設備機器2の起動を示す数字(“1”)を文字列(例えば、手動で操作された場合には“MAN”、自動で操作された場合には“AUT”)で表示する。これにより、誰の設定によって変わって、現在の状態または計測値となっているのかが分かるようになる。つまり、人の操作で変化したのか、制御プログラムの実行によって変化したのかが一目で分かるので、なぜこの状態または計測値となったのかの原因特定が行いやすくなる。
また、図5では、設備機器2の発停状況を数字(“0”および“1”)で表示するようにしているが、これに限るものではなく、文字列(例えば、“ON”および“OFF”)で表示するようにしてもよい。
【0035】
実施の形態2.
実施の形態1では、図5〜8に示すように、冷温水ポンプおよび空調機に関する履歴一覧表や、外気温度および室内温度に関する履歴一覧表を表示する場合について示した。それに対して、実施の形態2では、蓄熱用熱源機(ターボ冷凍機)と蓄熱槽の槽内部の温度分布に関する履歴一覧表を表示する場合について示す。
【0036】
図9はこの発明の実施の形態2における履歴一覧表の例を示す図である。
なお、蓄熱槽は、空調負荷の一部または全部を空調時間帯以外の時間を利用して冷熱または温熱として蓄えておき、空調時に必要に応じて熱をくみ上げて空調機側に供給するものある。また、蓄熱用熱源機は、蓄熱槽に冷熱または温熱を供給するものである。
また、色設定手段13は、設備機器(蓄熱用熱源機)2の発停を示すデジタルデータに対して、発:赤、停:灰色の色を設定している。また、蓄熱槽の槽内部の温度を示すアナログデータに対して、7℃未満:紫青、7℃以上8℃未満:青、8℃以上9℃未満:青緑、9℃以上10℃未満:緑、10℃以上11℃未満:黄緑、11℃以上12℃未満:黄、12℃以上:黄赤の色を設定している。なお、図9は白黒表示であるため、紫青、青、青緑、緑、黄緑、黄、黄赤の順に色が濃くなるものとする。
【0037】
また、図9に示す履歴一覧表では、蓄熱用熱源機および蓄熱槽の槽内部の所定深さごとにNo.、ポイントID、ポイント名称、アナログデータ(温度)の表示単位、時間ごとの発停状況または温度を一覧で表示している。なお、発停状況を示す欄には、色(灰色または赤)とともにデジタルデータの値(0または1)を表示し、温度を示す欄には、色とともにアナログデータの値を表示している。
【0038】
この図9では、蓄熱用熱源機(TR−1,TR−2)が起動している時間帯(24日23時から25日7時、25日23時から26日7時)では蓄熱槽が冷却されることで温度が下降し、蓄熱用熱源機が停止している時間帯では温度が上昇していることが分かる。
このように、色分布によって蓄熱槽の槽内部の温度分布を表示することで、異常箇所がないかを一目で確認することができる。
【0039】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 施設管理装置
2 設備機器
3 通信回線
11 データ収集手段
12 記録手段
13 色設定手段
14 操作手段
15 表示設定手段
16 フィルタ設定手段
17 履歴一覧表生成手段
18 表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内に設置された複数の設備機器を管理する施設管理装置において、
前記各設備機器から運転・環境状況に関するデータを収集するデータ収集手段と、
前記データ収集手段により収集されたデータを履歴データとして記録する記録手段と、
前記履歴データ内のパラメータに対して、所定閾値ごとに区別するための色を設定する色設定手段と、
ユーザ操作を受け付ける操作手段と、
前記操作手段により履歴一覧表の表示要求が受け付けられた場合に、前記記録手段から該当する履歴データを抽出し、前記色設定手段により設定された色を用いて、履歴一覧表を生成する履歴一覧表生成手段と、
前記履歴一覧表生成手段により生成された履歴一覧表を表示する表示手段と
を備えたことを特徴とする施設管理装置。
【請求項2】
前記操作手段により受け付けられたユーザ操作に従い、履歴一覧表のフィルタ設定を行うフィルタ設定手段を備え、
前記履歴一覧表生成手段は、前記フィルタ設定手段により設定された設定情報に基づいて履歴一覧表を生成する
ことを特徴とする請求項1記載の施設管理装置。
【請求項3】
前記運転・環境状況に関するデータには、手動または自動により操作されたことを示すコマンダ情報が含まれ、
履歴一覧表生成手段は、前記コマンダ情報を履歴一覧表に反映させる
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の施設管理装置。
【請求項4】
施設内に設置された複数の設備機器を管理する施設管理方法において、
前記各設備機器から運転・環境状況に関するデータを収集するデータ収集ステップと、
前記データ収集ステップにおいて収集したデータを履歴データとして記録する記録ステップと、
前記履歴データ内のパラメータに対して、所定閾値ごとに割り当てる色を設定する色設定ステップと、
ユーザ操作を受け付ける操作ステップと、
前記操作ステップにおいて履歴一覧表の表示要求を受け付けた場合に、前記記録ステップにおいて記録した履歴データの中から該当する履歴データを抽出し、前記色設定ステップにおいて設定した色を用いて、履歴一覧表を生成する履歴一覧表生成ステップと、
前記履歴一覧表生成ステップにおいて生成した履歴一覧表を表示する表示ステップと
を有することを特徴とする施設管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−50788(P2013−50788A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187404(P2011−187404)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】