説明

既設伸縮継手の切り取り撤去装置とその使用法

【課題】
道路橋継ぎ目部に既設の伸縮継手を、その端部位置まで切り残しのおそれなく、確実に切り取り撤去できるようにする。
【解決手段】
既設伸縮継手(J)の長手方向に沿って切り欠いた左右一対のプーリー逃し入れ凹溝(G)へ、切り取り撤去装置の架台(M)を跨がる状態に据え付け固定維持し、その凹溝(G)の内部へ臨むガイドプーリー(10)から引き伸ばし延長したワイヤーソー(11)の先端部を、上記伸縮継手(J)の幅方向に沿って切り欠いたワイヤーソー受け入れスリット(S)内での横断状態として伸縮継手(J)へ係止させた上、一定の張力が与えられたワイヤーソー(11)の回走用駆動プーリー(2)を高速回転させ乍ら、その駆動プーリー(2)を昇降ガイド支柱(1)に沿い上昇作動させることにより、上記伸縮継手(J)を一定深さ(T)だけ切り取り撤去するように定めた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は道路橋継ぎ目部に既設の伸縮継手を、新らしい埋設型などのそれと交換するため、そのコンクリート床版から部分的に切り取って上方へ撤去する装置と、その作業現場での使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の道路橋継ぎ目部に施工されている既設伸縮継手の切り取り撤去装置としては、特開2003−27420号が提案されており、これが本発明に最も近似する公知技術である。
【0003】
この公知発明は無端切断ワイヤー(12)に一定の張力を与えて、高速に回走させ乍ら切断するものであるため、それまでのガスによる鋼製伸縮継手の切断方法や、ブレーカーによるコンクリート床版の刳り方法と異なり、作業現場での振動・衝撃とこれに伴なう騒音を抑制することができ、殊更その発明の構成上無端切断ワイヤー(12)が切断装置本体(7)のガイドプーリー(11)に巻き掛け保持されているほか、走行駆動部(2)がガイドレール(3)に沿って走行されるようになっている点で、その切断装置本体(7)を既設伸縮継手(20)の長手方向へ正しく移動させ得る利点があると言える。
【特許文献1】特開2003−27420号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記公知発明の構成では左右一対のガイドプーリー(11)に巻き掛け保持された水平状態の無端切断ワイヤー(12)が、そのガイドプーリー(11)を移動させるために一定幅として開口する溝(26)の底面から、必らずや一定高さだけ浮上することになり、段差を生ずる関係上、その無端切断ワイヤー(12)での切断面を上記プーリー移動溝(26)の底面と均斉化すべく、引き続き深く刳る補助作業を行なわなければならない。
【0005】
又、切断装置本体(7)とワイヤー切断機構のほかに、走行駆動部(2)と断面T字状のガイドレール(3)とから成る移動手段も装備しているため、著しく大型・重量化し、このことは既設伸縮継手が長尺であればある程、顕著になる。しかも、明細書段落〔0031〕に記載されているとおり、切断装置(1)の反力をとるため、既設伸縮継手(20)に特別なガイドレール支持用ボルト(3a)を溶接して、その上にガイドレール支持具(3b)を取り付けたり、或いはそのガイドレール支持具(3b)の保持用アンカーを路面(14)上へ挿入したりして、ガイドレール(3)を路面(14)上へ固定しなければならず、その使用に先立つ準備作業が著しく煩雑である。
【0006】
更に、無端切断ワイヤー(12)が左右一対のガイドプーリー(11)に巻き掛け保持されており、その切断装置本体(7)を路面へ据え付け固定したガイドレール(3)に沿って走行駆動させるようになっているため、例えば道路橋の壁高欄が起立する端部位置までは、その既設の伸縮継手を完全に切断することができず、必らずや発生する切り残し部分を引き続き刳り作業しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はこのような諸問題の改良を目的としており、その目的を達成するために、請求項1では既設伸縮継手に据え付け使用される架台と、その架台への搭載状態に組み立て固定されるベース盤と、そのベース盤から一体的に垂立する昇降ガイド支柱と、そのガイド支柱の中途部へ昇降作動機構を介して昇降自在に軸架されたワイヤーソー回走用の径大な駆動プーリーと、その駆動プーリーを背後から回転駆動する油圧モーターと、その上記ガイド支柱の下部へ取付ブラケットを介して固定横架された水平なガイドバーと、そのガイドバーへ取付ブラケットを介して、上記駆動プーリーの回転平面と同じ平面上での遊転自在に軸支された径小な第1ガイドプーリーの左右一対と、同じくガイドバーへ取付ブラケットを介して、上記駆動プーリーの回転平面と直交する垂直面での遊転自在に軸支された径小な第2ガイドプーリーの左右一対と、そのガイドバーに対する第2ガイドプーリーの取付ブラケットへ昇降調整自在として、且つほぼ水平面での遊転自在に軸支された最も径小な第3ガイドプーリーの左右一対と、上記駆動プーリーと第1〜3ガイドプーリーとの全体に亘って巻き掛けられた無端なダイヤモンドワイヤーソーとから成り、
【0008】
上記架台をその据え付け開口幅の調整可能な門字型として、既設伸縮継手の長手方向に沿い予じめ切り欠き工事された左右一対のプーリー逃し入れ凹溝へ、その既設伸縮継手を跨ぐ差し込み状態に固定維持すると共に、
【0009】
両プーリー逃し入れ凹溝の内部へ臨む上記第3ガイドプーリーから、その凹溝の溝底面に沿って引き伸ばし延長した上記ワイヤーソーの先端部を、上記既設伸縮継手の幅方向に沿って予じめ切り欠き工事されたワイヤーソー受け入れスリット内において、その既設伸縮継手への横断状態に係止させた上、
【0010】
一定の張力が与えられたワイヤーソーの駆動プーリーを、上記油圧モーターにより高速回転させて、そのワイヤーソーを循環回走させ乍ら、上記駆動プーリーをその昇降作動機構により昇降ガイド支柱に沿い上昇作動させて、既設伸縮継手を上記プーリー逃し入れ凹溝並びにワイヤーソー受け入れスリットとほぼ同じ一定深さだけ切り取り撤去するように定めたことを特徴とする。
【0011】
又、請求項2では上記請求項1に従属する構成として、門字型の架台を向かい合う左右一対のサイド枠板と、その何れか一方のサイド枠板に接合一体化された天板とから形作り、
【0012】
その天板に残る他方のサイド枠体と組み付ける複数の皿ビス受け入れ用調整長孔と、ベース盤と組み立てる固定ボルト受け入れ用調整長孔とを、その何れも左右方向への延在状態に開口分布させる一方、
【0013】
上記架台よりも厚肉な平盤型のベース盤に、その架台側の上記固定ボルト受け入れ用調整長孔と直交する関係の固定ボルト受け入れ用調整長孔を、前後方向への延在状態に開口形成して、
【0014】
その両調整長孔へ差し込み貫通される固定ボルトによって、上記ベース盤から垂立する昇降ガイド支柱に軸架されたワイヤーソー回走用の駆動プーリーが、既設伸縮継手の切り取り幅を2等分する垂直中心線上へ正しく対応位置することとなるように、そのベース盤を上記架台へ調整固定できるように定めたことを特徴とする。
【0015】
又、請求項3では請求項1記載の切り取り撤去装置を使用するに当り、ワイヤーソー受け入れスリットを前後一対として、その一対により切り取り長さが規定された既設伸縮継手のほぼ中間部へ、架台を据え付け固定すると共に、
【0016】
第3ガイドプーリーから左右一対のプーリー逃し入れ凹溝に沿って前方へ引き伸ばし延長したダイヤモンドワイヤーソーの先端部を、前側の上記ワイヤーソー受け入れスリット内において既設伸縮継手の前端面へ横断状態に係止させた上、そのワイヤーソーの後方に向かう引っ張り移動により、既設伸縮継手の約前半部を切り取り、
【0017】
その後180度だけ方向変換した状態に据え付け固定して、同じく第3ガイドプーリーから左右一対のプーリー逃し入れ凹溝に沿い後方へ引き伸ばし延長したワイヤーソーの先端部を、後側の上記ワイヤーソー受け入れスリット内において既設伸縮継手の後端面へやはり横断状態に係止させた上、そのワイヤーソーの前方に向かう引っ張り移動により、上記既設伸縮継手の残る約後半部を切り取ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の上記構成によれば、その切り取り撤去装置の架台が据え付け開口幅の調整可能な門字型として、既設伸縮継手の長手方向に沿い予じめ切り欠き工事された左右一対のプーリー逃し入れ凹溝へ、その既設伸縮継手を跨ぐ差し込み状態に固定維持されるようになっているため、既設伸縮継手の切り取り幅や切り取り長さが変化したとしても、これに対応して常時支障なく据え付け使用することができ、その既設伸縮継手に対する据え付け位置の移動や方向変換、油圧ジャッキの使用による固定、その他の準備作業も少人数での軽快に能率良く行なえる効果がある。
【0019】
この点、冒頭に述べた公知発明では切断装置本体に、走行駆動部とガイドレールとから成る移動手段も装備しているため、既設伸縮継手における切り取り長さの変化に応じた各種移動手段を作成用意して、これを切断装置本体に組み付け装備させる必要があるほか、全体として著しく大型・重量化する関係上、その据え付け準備作業も非常に重労働となり、特別なガイドレール支持用ボルトの溶接さえも行なわなければならず、甚だ煩雑である。
【0020】
更に、本発明の請求項1に記載された構成では、両プーリー逃し入れ凹溝の内部へ臨む第3ガイドプーリーから、その凹溝の溝底面に沿って引き伸ばし延長したダイヤモンドワイヤーソーの先端部を、既設伸縮継手の幅方向に沿って予じめ切り欠き工事されたワイヤーソー受け入れスリット内において、その既設伸縮継手の前端面又は後端面へ横断状態に係止させるようになっているため、冒頭の走行駆動部とガイドレールとから成る移動手段を備えた公知発明のように、その切断装置本体が既設伸縮継手の端部位置へ据え付けられることはなく、従って既設伸縮継手をその端部位置まで完全に切り取ることができ、切り残し部分を生ずるおそれがない。
【0021】
しかも、既設伸縮継手は上記ワイヤーソーの高速な循環回走作用と、その駆動プーリーの上昇作動により、上記プーリー逃し入れ凹溝並びにワイヤーソー受け入れスリットとほぼ同じ一定深さだけ切り取り撤去されるようになっているため、冒頭の公知発明に述べた爾後的な刳り作業が必要となる段差を発生せず、その意味からも作業現場での振動・衝撃とこれに伴なう騒音を完全に予防できるのである。
【0022】
又、請求項2の上記構成を採用するならば、既設伸縮継手への跨がり状態として据え付け固定した架台に対し、これに搭載するベース盤を正しく位置調整して組み立て固定することができ、その意味から既設伸縮継手の切り取り幅が変化したとしても、そのベース盤から垂立する昇降ガイド支柱に軸架されたワイヤーソー回走用駆動プーリーを、上記切り取り幅を2等分する垂直中心線上に正しく位置決めして、そのワイヤーソーにより既設伸縮継手を安定良く正確に切り取り撤去し得る効果がある。
【0023】
他方、請求項3に記載の使用法を採用するならば、切り取り撤去装置とその据え付け架台を180度方向変換することにより、既設伸縮継手をその約前半部と残る後半部との2回に分けて、トラブルなく円滑に切り取ることができ、その前後両端部まで洩れなく確実に切り取り撤去し得る効果があり、却って現場作業性が向上すると言える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面に基いて本発明の具体的構成を詳述すると、その既設伸縮継手の切り取り撤去装置は図1〜3の全体図に示す如く、主として既設伸縮継手(J)に据え付け使用される架台(M)と、その架台(M)への搭載状態に組み立て固定されるベース盤(B)と、そのベース盤(B)から一体的に垂立された昇降ガイド支柱(1)と、そのガイド支柱(1)の中途部へ昇降作動機構(L)を介して昇降自在に軸架されたワイヤーソー回走用の径大な駆動プーリー(2)と、同じく駆動プーリー(2)の回転駆動用油圧モーター(3)と、上記ガイド支柱(1)の下部へ取付ブラケット(4)を介して固定横架された水平なガイドバー(5)と、そのガイドバー(5)へ各々取付ブラケット(6)(7)を介して軸架された径小な第1〜3ガイドプーリー(8)(9)(10)の左右一対づつとから成り、その第1〜3ガイドプーリー(8)(9)(10)と上記駆動プーリー(2)との全体に亘って、無端なダイヤモンドワイヤーソー(11)が循環回走できるように巻き掛けられている。
【0025】
先ず、上記架台(M)は図4に抽出するような鋼鉄製品として、向かい合う左右一対のサイド枠板(12)(13)とその何れか一方のサイド枠板(12)に接合一体化された天板(14)とから、例えば長さ:約300mm×幅:約500〜800mm×深さ:約150mmの大きさを有する正面視の全体的な門字型に枠組みされており、既設伸縮継手(J)の長手方向に沿って予じめ切り欠き工事された左右一対の平行なプーリー逃し入れ凹溝(G)へ、その両サイド枠板(12)(13)を上方から差し込めば、上記架台(M)が既設伸縮継手(J)を跨ぐ据え付け状態になる。
【0026】
その場合、残る他方のサイド枠板(13)と天板(14)とは、皿ビス(15)と固定ナット(16)との複数づつを介して着脱自在に組み付けられており、しかもその皿ビス(15)を受け入れる調整長孔(17)が、上記天板(14)の左右方向に沿って開口延在されている。そのため、上記プーリー逃し入れ凹溝(G)の左右一対によって規定される既設伸縮継手(J)の切り取り幅(X)が広狭変化するも、これに応じて上記架台(M)の据え付け開口幅(W)を調整することができる。
【0027】
(18)は同じく架台(M)を形作る天板(14)のほぼ中央部に、やはり左右方向への延在状態として開口形成されたボルト受け入れ用の調整長孔であり、これは架台(M)へ上記ベース盤(B)を組み立てる際の位置調整用として使われることになる。但し、その位置調整用として機能する限りでは、上記調整長孔(18)の1個に代る複数の調整丸孔を、やはり天板(14)の左右方向に沿って並列する点在状態に開口分布させても良い。
【0028】
先に一言した昇降ガイド支柱(1)のベース盤(B)は鋳鉄製品として、上記架台(M)よりも厚肉な平盤型をなし、その四隅部の固定ボルト(19)を架台(M)の天板(14)へ上方から押し付けることにより、その組立状態の傾きを調整することができるようになっている。(20)は同じくベース盤(B)のほぼ中央部に開口形成されたボルト受け入れ用の調整長孔であり、上記架台(M)側のボルト受け入れ用調整長孔(18)と直交する関係として、前後方向へ開口延在している。その両調整長孔(18)(20)へ差し込み貫通される1本の垂直なボルト(21)と、これに締結される固定ナット(22)を介して、ベース盤(B)が上記架台(M)への搭載状態に組み立て一体化されるのである。
【0029】
次に、昇降ガイド支柱(1)は角鋼管として、上記ベース盤(B)の前部へ偏心した位置から一体的に垂立しており、その前面に沿ってラック(23)が添え付け固定されている。昇降ガイド支柱(1)の背丈は既設伸縮継手(J)の切り取り面積に応じて、その上端部へ図外の延長支柱を継ぎ足し一体化することにより、更に一層背高く延長することができる。
【0030】
(24)は昇降ガイド支柱(1)の中途部へ套嵌された対応的な角筒型の鋳鉄製昇降クランプであって、これには上記ワイヤーソー回走用駆動プーリー(2)の昇降作動機構(L)とそのプーリー(2)の回転駆動用油圧モーター(3)とが組み立て一体化されており、何れも昇降ガイド支柱(1)に沿って昇降し得るようになっている。
【0031】
その場合、油圧モーター(3)の出力軸(図示省略)は前方を指向しており、その前端部に上記ワイヤーソー回走用駆動プーリー(2)が嵌め付け一体化されていて、そのプーリー(2)を背後から回転駆動するようになっている。(25)はその駆動プーリー(2)を包囲する合成樹脂製の保護カバーであって、万一離脱又は破断したワイヤーソー(11)が飛散することを防ぐ。(26)は上記油圧モーター(3)から派出する一対のホースニップルである。
【0032】
他方、上記駆動プーリー(2)の昇降作動機構(L)としてはそのハウジングを図示するにとどめているが、これは昇降作動源のDCモーターと、これによりギヤ伝動装置を介して減速回転される伝動軸(27)とから成り、その上記油圧モーター(3)の出力軸と直交する関係として、左右方向へ延在する伝動軸(27)の先端部に嵌め付け一体化されたピニオン(28)が、図8のように昇降ガイド支柱(1)上のラック(23)と噛合する状態にある。
【0033】
しかも、上記昇降作動機構(L)は電動式のトルクコンバーターを採用しており、図示省略してあるが、そのギヤ伝動装置にはワイヤーソー(11)が既設伸縮継手(J)に咬み込んで、設定トルク以上の異常な過負荷を受けた時、そのワイヤーソー(11)の張力増大による破断を予防すべく、上記伝動作用を断つ電磁クラツチのほか、その伝動軸(27)の回転作用を停止する電磁ブレーキも組み込まれており、伝動作用の非常切断時や停電時でも、その電磁ブレーキによって上記昇降クランプ(24)がガイド支柱(1)を自然落下しないようになっている。尚、(29)は昇降ガイド支柱(1)に沿って転動する上下一対の昇降ガイドローラーであり、上記昇降クランプ(24)に各々軸支されている。
【0034】
先に一言した水平なガイドバー(5)は一定長さの角鋼管から成り、上記昇降ガイド支柱(1)の下部から前向き一体的に張り出すコ字型の取付ブラケット(4)が、そのガイドバー(5)の中間部へ背後から嵌め込み固定されている。
【0035】
そして、同じくガイドバー(5)の左右両端部には、第1ガイドプーリー(8)の取付ブラケット(6)が、そのガイドバー(5)との対応的な角筒型として、左右方向へのスライド調整自在に差し込み套嵌されている。(30)はその各取付ブラケット(6)の位置決めセット用固定ボルトであり、上記ガイドバー(5)へ押し付けられる。
【0036】
その場合、左右一対の第1ガイドプーリー(8)はその取付ブラケット(6)の各個へ、前後方向に沿う水平な支軸(31)を介して枢着されており、上記ワイヤーソー回走用駆動プーリー(2)の回転平面と同じ平面上において遊転する。しかも、その第1ガイドプーリー(8)はこれよりも径大な上記駆動プーリー(2)から吊り下がるワイヤーソー(11)の中途部へ、その外側の左右横方向から係合するように位置決めセットされることとなる。
【0037】
又、上記第2、3ガイドプーリー(9)(10)に共通する取付ブラケット(7)の左右一対は、これも角鋼管から成るが、特に芯管(32)と鞘管(33)との上下一対から、図9〜11のような側面視のほぼL字型に組み立てられており、その上側の芯管(32)が上記ガイドバー(5)に嵌め付けられた昇降ガイド支柱(1)の取付ブラケット(4)と同じく第1ガイドプーリー(8)の取付ブラケット(6)との隣り合う相互間へ、やはりガイドバー(5)の左右方向に沿うスライド調整自在として差し込み套嵌されている。(34)はその芯管(32)の位置決め用セット固定ボルトであり、上記ガイドバー(5)へ押し付けられる。
【0038】
このような取付ブラケット(7)の芯管(32)に対して、下側の鞘管(33)が昇降調整自在に差し込み套嵌されており、その芯管(32)から前方へ張り出す水平状態にある。(35)はその昇降設置高さの位置決めセット用固定ボルトであり、上記芯管(32)へ押し付けられる。(36)はそのほぼL字型になる芯管(32)と鞘管(33)とのコーナー補強板であり、これには上記鞘管(33)の昇降に対応できる調整長孔(37)が開口形成されている。
【0039】
そして、上記取付ブラケット(7)の芯管(32)から前方へ張り出す鞘管(33)の中途部に、第2ガイドプーリー(9)が左右方向に沿う水平な支軸(38)を介して枢着されており、これが上記駆動プーリー(2)の回転平面と直交する垂直面において遊転し、その駆動プーリー(2)から上記第1ガイドプーリー(8)を経て吊り下がるワイヤーソー(11)を、前方へ滑らかに方向変換させるべく誘導するようになっている。
【0040】
(39)は上記取付ブラケット(7)における鞘管(33)の前端部から斜め前下方へ一体的に張り出されたノーズ状の支持ステーであり、その支持ステー(39)の張り出し前端部にはほぼ垂直な支軸(40)を介して、第3ガイドプーリー(10)がやはり遊転自在に枢着されている。茲に、第3ガイドプーリー(10)は上記第1、2ガイドプーリー(8)(9)よりも径小に寸法化されており、既設伸縮継手(J)に予じめ切り欠き工事された上記プーリー逃し入れ凹溝(G)の内部を、支障なく円滑に水平回転し得るようになっている。
【0041】
先の第2ガイドプーリー(9)もそのプーリー逃し入れ凹溝(G)の内部へ部分的に臨み、ほぼ水平回転する第3ガイドプーリー(10)と相俟って、上記ワイヤーソー(11)をそのプーリー逃し入れ凹溝(G)に沿って、既設伸縮継手(J)における切り取り長さ(Y)の端部まで、円滑に引き伸ばし延長させ得るようになっている。(S)は既設伸縮継手(J)の幅方向に沿って予じめ切り欠き工事された前後一対のワイヤーソー受け入れスリットであり、その前後相互間隔が上記既設伸縮継手(J)の切り取り長さ(Y)となる。
【0042】
尚、上記ダイヤモンドワイヤーソー(11)はその詳細を図示省略してあるが、鋼製のワイヤーに強靱なダイヤモンド砥粒を焼結させたリングが装着されたものであり、切り取り対象物の既設伸縮継手(J)へ環状に巻き付け得ることは言うまでもない。
【0043】
上記のように構成された本発明の切り取り撤去装置を使用して、道路橋継ぎ目部の既設伸縮継手(J)を切り取り撤去するに当っては、その既設伸縮継手(J)の長手方向に沿って左右一対のプーリー逃し入れ凹溝(G)と、同じく幅方向に亘って前後一対のワイヤーソー受け入れスリット(S)とを、その何れも路面からの一定深さ(T)(例えば約170mm)だけ予じめ切り欠き工事する。
【0044】
このような工事はロードカッターやタガネ、電動チッパーなどを用いて行なうことができ、両プーリー逃し入れ凹溝(G)と両ワイヤーソー受け入れスリット(S)によって区画された内部が、既設伸縮継手(J)の切り取り面積となる。
【0045】
そこで、上記架台(M)の据え付け開口幅(W)を既設伸縮継手(J)の切り取り幅(X)に対応する調整状態として、その両サイド枠板(12)(13)を両プーリー逃し入れ凹溝(G)へ差し込むことにより、先ず架台(M)を図5〜7や図12〜14に示す如く、上記切り取り長さ(Y)の2等分線(O−O)よりも後側へ偏倚した位置において、その既設伸縮継手(J)へ跨がる横断状態に据え付けた上、その架台(M)を両プーリー逃し入れ凹溝(G)の内部へ嵌め込み設置した油圧ジャッキ(41)の左右一対づつ(合計4個)により、決して振れ動かない突っ張り状態に固定維持する。その固定維持できる限りでは、油圧ジャッキ(41)の左右一対(合計2個)を使用するにとどめてもさしつかえない。
【0046】
そして、このような架台(M)の上方から昇降ガイド支柱(1)のベース盤(B)を、その四隅部の固定ボルト(19)とほぼ中央部のボルト(21)によって、上記架台(M)への搭載状態に組み立て一体化するのである。その際にはワイヤーソー回走用駆動プーリー(2)が、既設伸縮継手(J)の切り取り幅(X)を2等分する垂直中心線(H−H)上に正しく対応位置して、前向く関係となるように、そのベース盤(B)を架台(M)へ位置決め調整する。
【0047】
又、第1〜3ガイドプーリー(8)(9)(10)もその取付ブラケット(6)(7)を水平なガイドバー(5)に沿いスライド調整して、上記駆動プーリー(2)を言わば中心とする左右対称な振り分け状態に位置決め固定すると共に、第2、3ガイドプーリー(9)(10)の取付ブラケット(7)を形作る芯管(32)に対して、同じく鞘管(33)を昇降調整することにより、その第2、3ガイドプーリー(9)(10)を両プーリー逃し入れ凹溝(G)の内部へ正しく臨むように位置決めセットする。
【0048】
このような接線が合致する芯出し状態に準備された上記駆動プーリー(2)と第1〜3ガイドプーリー(8)(9)(10)との全体に亘って、引き続き無端なダイヤモンドワイヤーソー(11)を巻き掛け、その第3ガイドプーリー(10)から両プーリー逃し入れ凹溝(G)に沿って前方へ引き伸ばし延長したワイヤーソー(11)の先端部を、その対応的な前側のワイヤーソー受け入れスリット(S)に横断する状態として、既設伸縮継手(J)の前端面へ係止させた上、そのワイヤーソー(11)に一定の張力を加える。
【0049】
他方、油圧モーター(3)の駆動源となる電動式油圧ポンプユニット(42)を、路面へ別途に据え付け設置して、その油圧ポンプユニット(42)と上記油圧モーター(3)のホースニップル(26)とを図15のように、適当な長さのフレキシブルホース(43)により連通接続し、コントローラー(図示省略)との電気配線も行なって、そのコントローラーを遠隔操作することになる。
【0050】
そして、一定の張力が与えられている上記ワイヤーソー(11)の回走用駆動プーリー(2)を、油圧モーター(3)により高速回転(例えば約15〜25m/sec)させて、そのワイヤーソー(11)を循環回走させると同時に、上記駆動プーリー(2)をその昇降作動機構(L)により、ピニオン(28)とラック(23)との噛合を介して、昇降ガイド支柱(1)に沿い上昇作動させるのである。
【0051】
そうすれば、上記既設伸縮継手(J)の前端面に係止されているワイヤーソー(11)が、図13、14の矢印(R)で示す後方へ強く引っ張り移動されることになるため、そのワイヤーソー(11)によって既設伸縮継手(J)の約前半部を切り取ることができる。
【0052】
そこで、次に本発明の切り取り撤去装置を図12〜14の言わば前向き状態から、図16、17のような後向き状態に180度だけ方向変換して、やはり前回と同じ準備作業を行なうことにより、その架台(M)を上記切り取り長さ(Y)の2等分線(O−O)よりも前側へ偏倚した位置において、既設伸縮継手(J)へ跨がる横断状態に据え付け、油圧ジャッキ(41)での突っ張り状態に固定維持する。
【0053】
そして、今度は上記第3ガイドプーリー(10)から両プーリー逃し入れ凹溝(G)に沿い後方へ引き伸ばし延長したワイヤーソー(11)の先端部を、その対応的な後側のワイヤーソー受け入れスリット(S)に横断する状態として、上記既設伸縮継手(J)の後端面へ係止させた上、やはり一定の張力が与えられたワイヤーソー(11)を前回と同じく、油圧モーター(3)によって高速に循環回走させ乍ら、その駆動プーリー(2)を昇降作動機構(L)により昇降ガイド支柱(1)に沿って上昇作動させるのである。
【0054】
そうすれば、既設伸縮継手(J)の後端面に係止されているワイヤーソー(11)が、今度は図16、17の矢印(F)で示す前方へ引っ張り移動されることになる結果、そのワイヤーソー(11)によって上記既設伸縮継手(J)の残る約後半部をやはり切り取ることができ、完全に切り取られた既設伸縮継手(J)は、図外のチェンブロックやクレーンなどにより道路橋継ぎ目部から吊り出し撤去すれば良い。
【0055】
既設伸縮継手(J)の上記切り取り中、ワイヤーソー(11)は各ワイヤーソー受け入れスリット(S)から両プーリー逃し入れ凹溝(G)に沿って、切り取り撤去装置が据え付けられた存在方向へ、その溝底面を引き擦り移動されることになるため、上記ワイヤーソー(11)による既設伸縮継手(J)の切り取り平面と、予じめ一定深さ(T)だけ切り欠き工事されているワイヤーソー受け入れスリット(S)やプーリー逃し入れ凹溝(G)の溝底面との相互間に、その後の刳り作業が必要となる段差を発生するおそれはない。
【0056】
又、上記第3ガイドプーリー(10)から両プーリー逃し入れ凹溝(G)に沿って引き伸ばし延長したワイヤーソー(11)の先端部を、そのワイヤーソー受け入れスリット(S)内において既設伸縮継手(J)の前端面又は後端面へ係止させるようになっているため、その既設伸縮継手(J)の切り取り長さ(Y)を道路橋から起立する壁高欄と極力接近する端部位置まで、洩れなく完全に切り取り撤去することができ、万一の場合でもその端部位置と壁高欄との相互間へ、ホールソーでのコアー抜き加工を施すことによって、その切り残し部分の発生を確実に解消し得るのである。
【0057】
何れにしても、既設伸縮継手(J)の切り取り中には、そのワイヤーソー(11)も含む上記切り取り撤去装置の全体が、図外の安全ネットによって包囲され、万一上記プーリー群から離脱又は途中から破断したワイヤーソー(11)の飛散による人身事故を防ぐようになっているほか、そのワイヤーソー(11)への冷却用注水も行なわれることとなる。
【0058】
尚、先には本発明の使用法として、その切り取り撤去装置を既設伸縮継手(J)における切り取り長さ(Y)のほぼ中間部へ据え付け、その既設伸縮継手(J)の約前半部を切り取った後、切り取り撤去装置を180度だけ方向変換して、同じく既設伸縮継手(J)の残る後半部を切り取る旨として説明したが、その据え付け位置は図示のような切り取り長さ(Y)のほぼ中間部に限らない。又、例えば既設伸縮継手(J)がかなり長尺である場合には、上記ワイヤーソー受け入れスリット(S)を既設伸縮継手(J)の中間部にも所要数だけ横断状態に切り欠き工事して、これとの対応的な任意位置へ切り取り撤去装置を据え付けることにより、上記使用法に準じて、その合計2回以上の切り取り作用を実行しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る切り取り撤去装置の正面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図2の平面図である。
【図4】据え付け架台を抽出して示す斜面図である。
【図5】架台上に昇降ガイド支柱のベース盤を組み立て固定した状態の正面図である。
【図6】図5の平面図である。
【図7】図5の側面図である。
【図8】ラックとピニオンとの噛合状態を示す側面図である。
【図9】第2ガイドプーリーと第3ガイドプーリーの取付状態を示す斜面図である 。
【図10】図9の分解斜面図である。
【図11】取付ブラケットとコーナー補強板との位置関係を示す斜面図である。
【図12】既設伸縮継手に本発明を据え付けた使用状態の正面図である。
【図13】図12の側面図である。
【図14】図13の平面図である。
【図15】油圧ポンプユニットと油圧モーターとの接続状態を示す側面図である。
【図16】図13から本発明を方向変換した使用状態の側面図である。
【図17】図16の平面図である。
【符号の説明】
【0060】
(1)・昇降ガイド支柱
(2)・駆動プーリー
(3)・油圧モーター
(4)(6)(7)・取付ブラケット
(8)・第1ガイドプーリー
(9)・第2ガイドプーリー
(10)第3ガイドプーリー
(11)・ダイヤモンドワイヤーソー
(12)(13)・サイド枠板
(14)・天板
(15)・皿ビス
(16)・固定ナット
(17)(18)(20)・調整長孔
(19)・固定ボルト
(21)・固定ボルト
(22)・固定ナット
(23)・ラック
(24)・昇降クランプ
(25)・保護カバー
(26)・ホースニップル
(27)・伝動軸
(28)・ピニオン
(29)・昇降ガイドローラー
(30)・固定ボルト
(31)・支軸
(32)・芯管
(33)・鞘管
(34)(35)・固定ナット
(36)・コーナー補強板 (37)・調整長孔
(38)・支軸
(39)・支持ステー
(40)・支軸
(41)・油圧ジャッキ
(42)・油圧ポンプユニット
(43)・フレキシブルホース
(B)・ベース盤
(J)・既設伸縮継手
(L)・昇降作動機構
(M)・据え付け架台
(G)・プーリー逃し入れ凹溝
(S)・ワイヤーソー受け入れスリット
(T)・深さ
(W)・据え付け開口幅
(X)・切り取り幅
(Y)・切り取り長さ
(H─H)・垂直中心線
(O─O)・切り取り長さの2等分線
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は道路橋継ぎ目部に既設の伸縮継手を、新らしい埋設型などのそれと交換するため、そのコンクリート床版から部分的に切り取って上方へ撤去する装置と、その作業現場での使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の道路橋継ぎ目部に施工されている既設伸縮継手の切り取り撤去装置としては、特開2003−27420号が提案されており、これが本発明に最も近似する公知技術である。
【0003】
この公知発明は無端切断ワイヤー(12)に一定の張力を与えて、高速に回走させ乍ら切断するものであるため、それまでのガスによる鋼製伸縮継手の切断方法や、ブレーカーによるコンクリート床版の刳り方法と異なり、作業現場での振動・衝撃とこれに伴なう騒音を抑制することができ、殊更その発明の構成上無端切断ワイヤー(12)が切断装置本体(7)のガイドプーリー(11)に巻き掛け保持されているほか、走行駆動部(2)がガイドレール(3)に沿って走行されるようになっている点で、その切断装置本体(7)を既設伸縮継手(20)の長手方向へ正しく移動させ得る利点があると言える。
【特許文献1】特開2003−27420号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記公知発明の構成では左右一対のガイドプーリー(11)に巻き掛け保持された水平状態の無端切断ワイヤー(12)が、そのガイドプーリー(11)を移動させるために一定幅として開口する溝(26)の底面から、必らずや一定高さだけ浮上することになり、段差を生ずる関係上、その無端切断ワイヤー(12)での切断面を上記プーリー移動溝(26)の底面と均斉化すべく、引き続き深く刳る補助作業を行なわなければならない。
【0005】
又、切断装置本体(7)とワイヤー切断機構のほかに、走行駆動部(2)と断面T字状のガイドレール(3)とから成る移動手段も装備しているため、著しく大型・重量化し、このことは既設伸縮継手が長尺であればある程、顕著になる。しかも、明細書段落〔0031〕に記載されているとおり、切断装置(1)の反力をとるため、既設伸縮継手(20)に特別なガイドレール支持用ボルト(3a)を溶接して、その上にガイドレール支持具(3b)を取り付けたり、或いはそのガイドレール支持具(3b)の保持用アンカーを路面(14)上へ挿入したりして、ガイドレール(3)を路面(14)上へ固定しなければならず、その使用に先立つ準備作業が著しく煩雑である。
【0006】
更に、無端切断ワイヤー(12)が左右一対のガイドプーリー(11)に巻き掛け保持されており、その切断装置本体(7)を路面へ据え付け固定したガイドレール(3)に沿って走行駆動させるようになっているため、例えば道路橋の壁高欄が起立する端部位置までは、その既設の伸縮継手を完全に切断することができず、必らずや発生する切り残し部分を引き続き刳り作業しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はこのような諸問題の改良を目的としており、その目的を達成するために、請求項1では前後方向へ延在する既設伸縮継手を跨ぐ横断状態に据え付け使用される架台と、
【0008】
その架台への搭載状態に組み立て固定されるベース盤と、
【0009】
そのベース盤から一体的に垂立する昇降ガイド支柱と、
【0010】
その昇降ガイド支柱の中途部へ昇降作動機構を介して、昇降自在に軸架されたワイヤーソー回走用の径大な駆動プーリーと、
【0011】
その駆動プーリーを背後から、前向き水平の出力軸により回転駆動する油圧モーターと、
【0012】
上記昇降ガイド支柱の下部へ取付ブラケットを介して、既設伸縮継手の左右方向へ延在するように固定横架された水平なガイドバーと、
【0013】
そのガイドバーの左右両端部へ各々取付ブラケットと前後方向に沿う水平な支軸を介して、上記駆動プーリーの回転平面と同じ垂直な平面での遊転自在に枢着された径小な一対の第1ガイドプーリーと、
【0014】
同じくガイドバーの左右両端部へ各々取付ブラケットと左右方向に沿う水平な支軸を介して、上記駆動プーリーの回転平面と直交する垂直な平面での遊転自在に枢着された径小な一対の第2ガイドプーリーと、
【0015】
そのガイドバーに対する上記第2ガイドプーリーの取付ブラケットへ各々昇降調整自在として、且つ垂直な支軸により水平な平面での遊転自在に枢着された最も径小な左右一対の第3ガイドプーリーと、
【0016】
上記駆動プーリーと第1〜3ガイドプーリーとの全体に亘って巻き掛けられた無端なダイヤモンドワイヤーソーとから成り、
【0017】
上記架台をその据え付け開口幅の調整可能な門字型として、既設伸縮継手の前後方向に沿い予じめ切り欠き工事された左右一対のプーリー逃し入れ凹溝へ、その既設伸縮継手を跨ぐ差し込み状態に固定維持すると共に、
【0018】
両プーリー逃し入れ凹溝内へ臨む上記第3ガイドプーリーの左右一対から、そのプーリー逃し入れ凹溝の溝底面に沿って引き伸ばし延長した上記ワイヤーソーを、上記既設伸縮継手の左右方向に沿い予じめ切り欠き工事されたワイヤーソー受け入れスリット内において、その既設伸縮継手への横断状態に係止させた上、
【0019】
一定の張力が与えられたワイヤーソーの駆動プーリーを、上記油圧モーターにより高速回転させて、そのワイヤーソーを循環回走させ乍ら、上記駆動プーリーをその昇降作動機構により昇降ガイド支柱に沿い上昇作動させて、
【0020】
既設伸縮継手を上記プーリー逃し入れ凹溝の溝底面に沿うワイヤーソーの引き擦り移動により、そのプーリー逃し入れ凹溝並びにワイヤーソー受け入れスリットとほぼ同じ一定深さだけ切り取り撤去するように定めたことを特徴とする。
【0021】
又、請求項2では上記請求項1に従属する構成として、既設伸縮継手に跨がり横断する門字型の架台を、向かい合う倒立L字型サイド枠板の左右一対と、その左右何れか一方のサイド枠板に接合一体化された天板とから形作り、
【0022】
その天板に、残る他方のサイド枠板と組み付ける複数の皿ビス受け入れ用調整長孔と、ベース盤と組み立てる固定ボルト受け入れ用調整長孔とを、その何れも左右方向への延在状態に開口分布させると共に、
【0023】
上記架台よりも厚肉な平盤型のベース盤に固定ボルト受け入れ用調整長孔を、その架台側の上記固定ボルト受け入れ用調整長孔と直交する前後方向への延在状態に開口形成して、
【0024】
そのベース盤側と架台側との両固定ボルト受け入れ用調整長孔へ差し込み貫通される固定ボルトによって、上記ベース盤から一体的に垂立する昇降ガイド支柱に軸架されたワイヤーソー回走用の駆動プーリーが、既設伸縮継手の切り取り幅を2等分する垂直中心線上へ正しく対応位置することとなるように、そのベース盤を上記架台へ調整固定できるように定めたことを特徴とする。
【0025】
更に、請求項3ではやはり上記請求項1に従属する構成として、第1ガイドプーリーが前後方向に沿う水平な支軸を介して枢着された取付ブラケットの各個を角筒型として、その各第1ガイドプーリーの取付ブラケットを一定長さの角鋼管から成るガイドバーへ、スライド調整自在に差し込み套嵌する一方、
【0026】
第2、3ガイドプーリーに共通する取付ブラケットの各個を角鋼管として、上側の芯管とその芯管へ昇降調整自在に差し込み套嵌された下側の鞘管とから、その鞘管が前方へ張り出す全体的な側面視のほぼL字型に組み立てて、
【0027】
その各取付ブラケットの芯管を上記ガイドバーへ、やはりスライド調整自在に差し込み套嵌し、
【0028】
上記各取付ブラケットの鞘管が前方へ張り出す中途部に第2ガイドプーリーを、左右方向に沿う水平な支軸によって枢着すると共に、
【0029】
同じく鞘管の前端部から斜め前下方へ一体的に張り出されたノーズ状の支持ステーに第3ガイドプーリーを、垂直な支軸によって枢着したことを特徴とする。
【0030】
他方、請求項4では既設伸縮継手における切り取り撤去方法の使用法として、その請求項1記載の切り取り撤去装置を使用するに当り、前後方向へ延在する既設伸縮継手の切り取り幅となる左右一対のプーリー逃し入れ凹溝と、同じく既設伸縮継手の切り取り長さとなる前後一対のワイヤーソー受け入れスリットとを、その何れも路面からの一定深さだけ予じめ切り欠き工事して、
【0031】
上記既設伸縮継手における切り取り長さのほぼ中間部へ門字型の架台を、その既設伸縮継手に跨がる横断状態として据え付けた上、両プーリー逃し入れ凹溝内へ嵌め込み設置した少なくとも左右一対の油圧ジャッキにより、上記架台を突っ張り状態に固定維持して、
【0032】
先ず、第3ガイドプーリーの左右一対から両プーリー逃し入れ凹溝の溝底面に沿って、前方へ引き伸ばし延長した無端なダイヤモンドワイヤーソーを、前側の上記ワイヤーソー受け入れスリット内において既設伸縮継手の前端面へ横断状態に係止させた上、
【0033】
その一定の張力が与えられたワイヤーソーを高速に循環回走させ乍ら、後方に向かって引き擦り移動させることにより、上記既設伸縮継手の約前半部を切り取り、
【0034】
次に、180度だけ方向変換して、やはり既設伸縮継手に跨がり横断した据え付け状態の上記架台を、前回と同じく油圧ジャッキにより固定維持すると共に、
【0035】
上記第3ガイドプーリーの左右一対から両プーリー逃し入れ凹溝の溝底面に沿って、後方へ引き伸ばし延長した上記ワイヤーソーを、後側のワイヤーソー受け入れスリット内において上記既設伸縮継手の後端面へ横断状態に係止させた上、
【0036】
その一定の張力が与えられたワイヤーソーをやはり高速に循環回走させ乍ら、前方に向かって引き擦り移動させることにより、上記既設伸縮継手の残る約後半部を切り取ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
請求項1の上記構成によれば、その切り取り撤去装置の架台が据え付け開口幅の調整可能な門字型として、既設伸縮継手の前後方向(長手方向)に沿い予じめ切り欠き工事された左右一対のプーリー逃し入れ凹溝へ、その既設伸縮継手を跨ぎ横断する差し込み状態に固定維持されるようになっているため、既設伸縮継手の切り取り幅や切り取り長さが変化したとしても、これに対応して常時支障なく据え付け使用することができ、その既設伸縮継手に対する据え付け位置の移動や方向変換、油圧ジャッキの使用による固定、その他の準備作業も少人数での軽快に能率良く行なえる効果がある。
【0038】
この点、冒頭に述べた公知発明では切断装置本体に、走行駆動部とガイドレールとから成る移動手段も装備しているため、既設伸縮継手における切り取り長さの変化に応じた各種移動手段を作成用意して、これを切断装置本体に組み付け装備させる必要があるほか、全体として著しく大型・重量化する関係上、その据え付け準備作業も非常に重労働となり、特別なガイドレール支持用ボルトの溶接さえも行なわなければならず、甚だ煩雑である。
【0039】
更に、本発明の請求項1に記載された構成では、両プーリー逃し入れ凹溝の内部へ臨む第3ガイドプーリーから、その凹溝の溝底面に沿って引き伸ばし延長したダイヤモンドワイヤーソーを、既設伸縮継手の左右方向(幅方向)に沿って予じめ切り欠き工事されたワイヤーソー受け入れスリット内において、その既設伸縮継手の前端面又は後端面へ横断状態に係止させるようになっているため、冒頭の走行駆動部とガイドレールとから成る移動手段を備えた公知発明のように、その切断装置本体が既設伸縮継手の端部位置へ据え付けられることはなく、従って既設伸縮継手をその道路橋の端部位置まで完全に切り取ることができ、切り残し部分を生ずるおそれがない。
【0040】
しかも、既設伸縮継手は上記ワイヤーソーにおけるプーリー逃し入れ凹溝の溝底面を引き擦り移動される高速な循環回走作用と、その駆動プーリーの上昇作動により、そのプーリー逃し入れ凹溝並びにワイヤーソー受け入れスリットとほぼ同じ一定深さだけ切り取り撤去されるようになっているため、冒頭の公知発明に述べた爾後的な刳り作業が必要となる段差を発生せず、その意味からも作業現場での振動・衝撃とこれに伴なう騒音を完全に予防できるのである。
【0041】
又、請求項2の上記構成を採用するならば、既設伸縮継手への跨がり横断状態として据え付け固定した架台に対し、これに搭載するベース盤を正しく位置調整して組み立て固定することができ、その意味から既設伸縮継手の切り取り幅が変化したとしても、そのベース盤から垂立する昇降ガイド支柱に軸架されたワイヤーソー回走用駆動プーリーを、上記切り取り幅を2等分する垂直中心線上に正しく位置決めして、そのワイヤーソーにより既設伸縮継手を安定良く正確に切り取り撤去し得る効果がある。
【0042】
更に、請求項3の上記構成を採用するならば、第1〜3ガイドプーリーの取付ブラケットを水平なガイドバーに沿いスライド調整して、ワイヤーソー回走用駆動プーリーを言わば中心とする左右対称な振り分け状態に位置決め固定できると共に、第2、3ガイドプーリーの取付ブラケットを形作る上側の芯管に対して、同じく下側の鞘管を昇降調整することにより、その第2、3ガイドプーリーを両プーリー逃し入れ凹溝の内部へ正しく臨むように位置決めセットできる効果がある。
【0043】
他方、請求項4に記載の使用法を採用するならば、切り取り撤去装置とその据え付け架台を180度方向変換することにより、既設伸縮継手をその約前半部と残る後半部との2回に分けて、トラブルなく円滑に切り取ることができ、その前後両端部まで洩れなく確実に切り取り撤去し得る効果があり、却って現場作業性が向上すると言える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、図面に基いて本発明の具体的構成を詳述すると、その既設伸縮継手の切り取り撤去装置は図1〜3の全体図に示す如く、前後方向へ延在する既設伸縮継手(J)を跨ぐ横断状態に据え付け使用される架台(M)と、その架台(M)への搭載状態に組み立て固定されるベース盤(B)と、そのベース盤(B)から一体的に垂立された昇降ガイド支柱(1)と、そのガイド支柱(1)の中途部へ昇降作動機構(L)を介して昇降自在に軸架されたワイヤーソー回走用の径大な駆動プーリー(2)と、同じく駆動プーリー(2)の回転駆動用油圧モーター(3)と、上記ガイド支柱(1)の下部へ取付ブラケット(4)を介して、既設伸縮継手(J)の左右方向(幅方向)へ延在するように固定横架された水平なガイドバー(5)と、そのガイドバー(5)へ各々取付ブラケット(6)(7)を介して軸架された径小な第1〜3ガイドプーリー(8)(9)(10)の左右一対づつとから成り、その第1〜3ガイドプーリー(8)(9)(10)と上記駆動プーリー(2)との全体に亘って、無端なダイヤモンドワイヤーソー(11)が循環回走できるように巻き掛けられている。
【0045】
先ず、上記架台(M)は図4に抽出するような鋼鉄製品として、向かい合う左右一対の倒立L字型サイド枠板(12)(13)と、その左右何れか一方のサイド枠板(12)に接合一体化された天板(14)とから、例えば長さ:約300mm×幅:約500〜800mm×深さ:約150mmの大きさを有する正面視の全体的な門字型に枠組みされており、既設伸縮継手(J)の前後方向(長手方向)に沿って予じめ切り欠き工事された左右一対の平行なプーリー逃し入れ凹溝(G)へ、その両サイド枠板(12)(13)を上方から差し込めば、上記架台(M)が既設伸縮継手(J)に跨がり横断する据え付け状態となる。
【0046】
その場合、残る他方のサイド枠板(13)と天板(14)とは、皿ビス(15)と固定ナット(16)との複数づつを介して着脱自在に組み付けられており、しかもその皿ビス(15)を受け入れる調整長孔(17)が、上記天板(14)の左右方向(幅方向)に沿って開口延在されている。そのため、上記プーリー逃し入れ凹溝(G)の左右一対によって規定される既設伸縮継手(J)の切り取り幅(X)が広狭変化するも、これに応じて上記架台(M)の据え付け開口幅(W)を調整することができる。
【0047】
(18)は同じく架台(M)を形作る天板(14)のほぼ中央部に、やはり左右方向への延在状態として開口形成されたボルト受け入れ用の調整長孔であり、これは架台(M)へ上記ベース盤(B)を組み立てる際の位置調整用として使われることになる。但し、その位置調整用として機能する限りでは、上記調整長孔(18)の1個に代る複数の調整丸孔を、やはり天板(14)の左右方向に沿って並列する点在状態に開口分布させても良い。
【0048】
先に一言した昇降ガイド支柱(1)のベース盤(B)は鋳鉄製品として、上記架台(M)よりも厚肉な平盤型をなし、その四隅部の固定ボルト(19)を架台(M)の天板(14)へ上方から押し付けることにより、その組立状態の傾きを調整することができるようになっている。(20)は同じくベース盤(B)のほぼ中央部に開口形成されたボルト受け入れ用の調整長孔であり、上記架台(M)側のボルト受け入れ用調整長孔(18)と直交する関係として、前後方向へ開口延在している。その両調整長孔(18)(20)へ差し込み貫通される1本の垂直なボルト(21)と、これに締結される固定ナット(22)を介して、ベース盤(B)が上記架台(M)への搭載状態に組み立て一体化されるのである。
【0049】
次に、昇降ガイド支柱(1)は角鋼管として、上記ベース盤(B)の前部へ偏心した位置から一体的に垂立しており、その前面に沿ってラック(23)が添え付け固定されている。昇降ガイド支柱(1)の背丈は既設伸縮継手(J)の切り取り面積に応じて、その上端部へ図外の延長支柱を継ぎ足し一体化することにより、更に一層背高く延長することができる。
【0050】
(24)は昇降ガイド支柱(1)の中途部へ套嵌された対応的な角筒型の鋳鉄製昇降クランプであって、これには上記ワイヤーソー回走用駆動プーリー(2)の昇降作動機構(L)とそのプーリー(2)の回転駆動用油圧モーター(3)とが組み立て一体化されており、何れも昇降ガイド支柱(1)に沿って昇降し得るようになっている。
【0051】
その場合、油圧モーター(3)の出力軸(図示省略)は前方を指向しており、その前端部に上記ワイヤーソー回走用駆動プーリー(2)が嵌め付け一体化されていて、そのプーリー(2)を背後から回転駆動するようになっている。(25)はその駆動プーリー(2)を包囲する合成樹脂製の保護カバーであって、万一離脱又は破断したワイヤーソー(11)が飛散することを防ぐ。(26)は上記油圧モーター(3)から派出する一対のホースニップルである。
【0052】
他方、上記駆動プーリー(2)の昇降作動機構(L)としてはそのハウジングを図示するにとどめているが、これは昇降作動源のDCモーターと、これによりギヤ伝動装置を介して減速回転される伝動軸(27)とから成り、その上記油圧モーター(3)の出力軸と直交する関係として、左右方向へ延在する伝動軸(27)の先端部に嵌め付け一体化されたピニオン(28)が、図8のように昇降ガイド支柱(1)上のラック(23)と噛合する状態にある。
【0053】
しかも、上記昇降作動機構(L)は電動式のトルクコンバーターを採用しており、図示省略してあるが、そのギヤ伝動装置にはワイヤーソー(11)が既設伸縮継手(J)に咬み込んで、設定トルク以上の異常な過負荷を受けた時、そのワイヤーソー(11)の張力増大による破断を予防すべく、上記伝動作用を断つ電磁クラツチのほか、その伝動軸(27)の回転作用を停止する電磁ブレーキも組み込まれており、伝動作用の非常切断時や停電時でも、その電磁ブレーキによって上記昇降クランプ(24)がガイド支柱(1)を自然落下しないようになっている。尚、(29)は昇降ガイド支柱(1)に沿って転動する上下一対の昇降ガイドローラーであり、上記昇降クランプ(24)に各々軸支されている。
【0054】
先に一言した水平なガイドバー(5)は一定長さの角鋼管から成り、上記昇降ガイド支柱(1)の下部から前向き一体的に張り出すコ字型の取付ブラケット(4)が、そのガイドバー(5)の中間部へ背後から嵌め込み固定されている。
【0055】
そして、同じくガイドバー(5)の左右両端部には、第1ガイドプーリー(8)の取付ブラケット(6)が、そのガイドバー(5)との対応的な角筒型として、左右方向へのスライド調整自在に差し込み套嵌されている。(30)はその各取付ブラケット(6)の位置決めセット用固定ボルトであり、上記ガイドバー(5)へ押し付けられる。
【0056】
その場合、左右一対の第1ガイドプーリー(8)はその取付ブラケット(6)の各個へ、前後方向に沿う水平な支軸(31)を介して枢着されており、上記ワイヤーソー回走用駆動プーリー(2)の回転平面と同じ垂直な平面上において遊転する。しかも、その第1ガイドプーリー(8)はこれよりも径大な上記駆動プーリー(2)から吊り下がるワイヤーソー(11)の中途部へ、その外側の左右横方向から係合するように位置決めセットされることとなる。
【0057】
又、上記第2、3ガイドプーリー(9)(10)に共通する取付ブラケット(7)の左右一対は、これも角鋼管から成るが、特に芯管(32)と鞘管(33)との上下一対から、図9〜11のような側面視のほぼL字型に組み立てられており、その上側の芯管(32)が上記ガイドバー(5)に嵌め付けられた昇降ガイド支柱(1)の取付ブラケット(4)と同じく第1ガイドプーリー(8)の取付ブラケット(6)との隣り合う相互間へ、やはりガイドバー(5)の左右方向に沿うスライド調整自在として差し込み套嵌されている。(34)はその芯管(32)の位置決め用セット固定ボルトであり、上記ガイドバー(5)へ押し付けられる。
【0058】
このような取付ブラケット(7)の芯管(32)に対して、下側の鞘管(33)が昇降調整自在に差し込み套嵌されており、その芯管(32)から前方へ張り出す水平状態にある。(35)はその昇降設置高さの位置決めセット用固定ボルトであり、上記芯管(32)へ押し付けられる。(36)はそのほぼL字型になる芯管(32)と鞘管(33)とのコーナー補強板であり、これには上記鞘管(33)の昇降に対応できる調整長孔(37)が開口形成されている。
【0059】
そして、上記取付ブラケット(7)の芯管(32)から前方へ張り出す鞘管(33)の中途部に、第2ガイドプーリー(9)が左右方向に沿う水平な支軸(38)を介して枢着されており、これが上記駆動プーリー(2)の回転平面と直交する垂直な平面上において遊転し、その駆動プーリー(2)から上記第1ガイドプーリー(8)を経て吊り下がるワイヤーソー(11)を、前方へ滑らかに方向変換させるべく誘導するようになっている。
【0060】
(39)は上記取付ブラケット(7)における鞘管(33)の前端部から斜め前下方へ一体的に張り出されたノーズ状の支持ステーであり、その支持ステー(39)の張り出し前端部には垂直な支軸(40)を介して、第3ガイドプーリー(10)がやはり遊転自在に枢着されている。茲に、第3ガイドプーリー(10)は上記第1、2ガイドプーリー(8)(9)よりも径小に寸法化されており、既設伸縮継手(J)に予じめ切り欠き工事された上記プーリー逃し入れ凹溝(G)の内部を、支障なく円滑に水平回転し得るようになっている。
【0061】
先の第2ガイドプーリー(9)もそのプーリー逃し入れ凹溝(G)の内部へ部分的に臨み、水平回転する第3ガイドプーリー(10)と相俟って、上記ワイヤーソー(11)をそのプーリー逃し入れ凹溝(G)に沿って、既設伸縮継手(J)における切り取り長さ(Y)の端部まで、円滑に引き伸ばし延長させ得るようになっている。(S)は既設伸縮継手(J)の左右方向(幅方向)に沿って予じめ切り欠き工事された前後一対のワイヤーソー受け入れスリットであり、その前後相互間隔が上記既設伸縮継手(J)の切り取り長さ(Y)となる。
【0062】
尚、上記ダイヤモンドワイヤーソー(11)はその詳細を図示省略してあるが、鋼製のワイヤーに強靱なダイヤモンド砥粒を焼結させたリングが装着されたものであり、切り取り対象物の既設伸縮継手(J)へ環状に巻き付け得ることは言うまでもない。
【0063】
上記のように構成された本発明の切り取り撤去装置を使用して、道路橋継ぎ目部の既設伸縮継手(J)を切り取り撤去するに当っては、その既設伸縮継手(J)の前後方向(長手方向)に沿って左右一対のプーリー逃し入れ凹溝(G)と、同じく左右方向(幅方向)に亘って前後一対のワイヤーソー受け入れスリット(S)とを、その何れも路面からの一定深さ(T)(例えば約170mm)だけ予じめ切り欠き工事する。
【0064】
このような工事はロードカッターやタガネ、電動チッパーなどを用いて行なうことができ、両プーリー逃し入れ凹溝(G)と両ワイヤーソー受け入れスリット(S)によって区画された内部が、既設伸縮継手(J)の切り取り面積となる。
【0065】
そこで、上記架台(M)の据え付け開口幅(W)を既設伸縮継手(J)の切り取り幅(X)に対応する調整状態として、その両サイド枠板(12)(13)を両プーリー逃し入れ凹溝(G)へ差し込むことにより、先ず架台(M)を図5〜7や図12〜14に示す如く、上記切り取り長さ(Y)の2等分線(O−O)よりも後側へ偏倚した位置において、その既設伸縮継手(J)へ跨がる横断状態に据え付けた上、その架台(M)を両プーリー逃し入れ凹溝(G)の内部へ嵌め込み設置した油圧ジャッキ(41)の左右一対づつ(合計4個)により、決して振れ動かない突っ張り状態に固定維持する。その固定維持できる限りでは、油圧ジャッキ(41)の左右一対(合計2個)を使用するにとどめてもさしつかえない。
【0066】
そして、このような架台(M)の上方から昇降ガイド支柱(1)のベース盤(B)を、その四隅部の固定ボルト(19)とほぼ中央部のボルト(21)によって、上記架台(M)への搭載状態に組み立て一体化するのである。その際にはワイヤーソー回走用駆動プーリー(2)が、既設伸縮継手(J)の切り取り幅(X)を2等分する垂直中心線(H−H)上に正しく対応位置して、前向く関係となるように、そのベース盤(B)を架台(M)へ位置決め調整する。
【0067】
又、第1〜3ガイドプーリー(8)(9)(10)もその取付ブラケット(6)(7)を水平なガイドバー(5)に沿いスライド調整して、上記駆動プーリー(2)を言わば中心とする左右対称な振り分け状態に位置決め固定すると共に、第2、3ガイドプーリー(9)(10)の取付ブラケット(7)を形作る芯管(32)に対して、同じく鞘管(33)を昇降調整することにより、その第2、3ガイドプーリー(9)(10)を両プーリー逃し入れ凹溝(G)の内部へ正しく臨むように位置決めセットする。
【0068】
このような接線が合致する芯出し状態に準備された上記駆動プーリー(2)と第1〜3ガイドプーリー(8)(9)(10)との全体に亘って、引き続き無端なダイヤモンドワイヤーソー(11)を巻き掛け、その第3ガイドプーリー(10)から両プーリー逃し入れ凹溝(G)に沿って前方へ引き伸ばし延長したワイヤーソー(11)を、その対応的な前側のワイヤーソー受け入れスリット(S)に横断する状態として、既設伸縮継手(J)の前端面へ係止させた上、そのワイヤーソー(11)に一定の張力を加える。
【0069】
他方、油圧モーター(3)の駆動源となる電動式油圧ポンプユニット(42)を、路面へ別途に据え付け設置して、その油圧ポンプユニット(42)と上記油圧モーター(3)のホースニップル(26)とを図15のように、適当な長さのフレキシブルホース(43)により連通接続し、コントローラー(図示省略)との電気配線も行なって、そのコントローラーを遠隔操作することになる。
【0070】
そして、一定の張力が与えられている上記ワイヤーソー(11)の回走用駆動プーリー(2)を、油圧モーター(3)により高速回転(例えば約15〜25m/sec)させて、そのワイヤーソー(11)を循環回走させると同時に、上記駆動プーリー(2)をその昇降作動機構(L)により、ピニオン(28)とラック(23)との噛合を介して、昇降ガイド支柱(1)に沿い上昇作動させるのである。
【0071】
そうすれば、上記既設伸縮継手(J)の前端面に係止されているワイヤーソー(11)が、図13、14の矢印(R)で示す後方へ強く引っ張り移動されることになるため、そのワイヤーソー(11)によって既設伸縮継手(J)の約前半部を切り取ることができる。
【0072】
そこで、次に本発明の切り取り撤去装置を図12〜14の言わば前向き状態から、図16、17のような後向き状態に180度だけ方向変換して、やはり前回と同じ準備作業を行なうことにより、その架台(M)を上記切り取り長さ(Y)の2等分線(O−O)よりも前側へ偏倚した位置において、既設伸縮継手(J)へ跨がる横断状態に据え付け、油圧ジャッキ(41)での突っ張り状態に固定維持する。
【0073】
そして、今度は上記第3ガイドプーリー(10)から両プーリー逃し入れ凹溝(G)に沿い後方へ引き伸ばし延長したワイヤーソー(11)を、その対応的な後側のワイヤーソー受け入れスリット(S)に横断する状態として、上記既設伸縮継手(J)の後端面へ係止させた上、やはり一定の張力が与えられたワイヤーソー(11)を前回と同じく、油圧モーター(3)によって高速に循環回走させ乍ら、その駆動プーリー(2)を昇降作動機構(L)により昇降ガイド支柱(1)に沿って上昇作動させるのである。
【0074】
そうすれば、既設伸縮継手(J)の後端面に係止されているワイヤーソー(11)が、今度は図16、17の矢印(F)で示す前方へ引っ張り移動されることになる結果、そのワイヤーソー(11)によって上記既設伸縮継手(J)の残る約後半部をやはり切り取ることができ、完全に切り取られた既設伸縮継手(J)は、図外のチェンブロックやクレーンなどにより道路橋継ぎ目部から吊り出し撤去すれば良い。
【0075】
既設伸縮継手(J)の上記切り取り中、ワイヤーソー(11)は各ワイヤーソー受け入れスリット(S)から両プーリー逃し入れ凹溝(G)に沿って、切り取り撤去装置が据え付けられた存在方向へ、その溝底面を引き擦り移動されることになるため、上記ワイヤーソー(11)による既設伸縮継手(J)の切り取り平面と、予じめ一定深さ(T)だけ切り欠き工事されているワイヤーソー受け入れスリット(S)やプーリー逃し入れ凹溝(G)の溝底面との相互間に、その後の刳り作業が必要となる段差を発生するおそれはない。
【0076】
又、上記第3ガイドプーリー(10)から両プーリー逃し入れ凹溝(G)に沿って引き伸ばし延長したワイヤーソー(11)を、そのワイヤーソー受け入れスリット(S)内において既設伸縮継手(J)の前端面又は後端面へ横断状態に係止させるようになっているため、その既設伸縮継手(J)の切り取り長さ(Y)を道路橋から起立する壁高欄と極力接近する端部位置まで、洩れなく完全に切り取り撤去することができ、万一の場合でもその端部位置と壁高欄との相互間へ、ホールソーでのコアー抜き加工を施すことによって、その切り残し部分の発生を確実に解消し得るのである。
【0077】
何れにしても、既設伸縮継手(J)の切り取り中には、そのワイヤーソー(11)も含む上記切り取り撤去装置の全体が、図外の安全ネットによって包囲され、万一上記プーリー群から離脱又は途中から破断したワイヤーソー(11)の飛散による人身事故を防ぐようになっているほか、そのワイヤーソー(11)への冷却用注水も行なわれることとなる。
【0078】
尚、先には本発明の使用法として、その切り取り撤去装置を既設伸縮継手(J)における切り取り長さ(Y)のほぼ中間部へ据え付け、その既設伸縮継手(J)の約前半部を切り取った後、切り取り撤去装置を180度だけ方向変換して、同じく既設伸縮継手(J)の残る後半部を切り取る旨として説明したが、その据え付け位置は図示のような切り取り長さ(Y)のほぼ中間部に限らない。又、例えば既設伸縮継手(J)がかなり長尺である場合には、上記ワイヤーソー受け入れスリット(S)を既設伸縮継手(J)の中間部にも所要数だけ横断状態に切り欠き工事して、これとの対応的な任意位置へ切り取り撤去装置を据え付けることにより、上記使用法に準じて、その合計2回以上の切り取り作用を実行しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明に係る切り取り撤去装置の正面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図2の平面図である。
【図4】据え付け架台を抽出して示す斜面図である。
【図5】架台上に昇降ガイド支柱のベース盤を組み立て固定した状態の正面図である。
【図6】図5の平面図である。
【図7】図5の側面図である。
【図8】ラックとピニオンとの噛合状態を示す側面図である。
【図9】第2ガイドプーリーと第3ガイドプーリーの取付状態を示す斜面図である 。
【図10】図9の分解斜面図である。
【図11】取付ブラケットとコーナー補強板との位
【図12】既設伸縮継手に本発明を据え付けた使用状態の正面図である。
【図13】図12の側面図である。
【図14】図13の平面図である。
【図15】油圧ポンプユニットと油圧モーターとの接続状態を示す側面図である。
【図16】図13から本発明を方向変換した使用状態の側面図である。
【図17】図16の平面図である。
【符号の説明】
【0080】
(1)・昇降ガイド支柱
(2)・駆動プーリー
(3)・油圧モーター
(4)(6)(7)・取付ブラケット
(8)・第1ガイドプーリー
(9)・第2ガイドプーリー
(10)第3ガイドプーリー
(11)・ダイヤモンドワイヤーソー
(12)(13)・サイド枠板
(14)・天板
(15)・皿ビス
(16)・固定ナット
(17)(18)(20)・調整長孔
(19)・固定ボルト
(21)・固定ボルト
(22)・固定ナット
(23)・ラック
(24)・昇降クランプ
(25)・保護カバー
(26)・ホースニップル
(27)・伝動軸
(28)・ピニオン
(29)・昇降ガイドローラー
(30)・固定ボルト
(31)・支軸
(32)・芯管
(33)・鞘管
(34)(35)・固定ナット
(36)・コーナー補強板
(37)・調整長孔
(38)・支軸
(39)・支持ステー
(40)・支軸
(41)・油圧ジャッキ
(42)・油圧ポンプユニット
(43)・フレキシブルホース
(B)・ベース盤
(J)・既設伸縮継手
(L)・昇降作動機構
(M)・据え付け架台
(G)・プーリー逃し入れ凹溝
(S)・ワイヤーソー受け入れスリット
(T)・深さ
(W)・据え付け開口幅
(X)・切り取り幅
(Y)・切り取り長さ
(H─H)・垂直中心線
(O─O)・切り取り長さの2等分線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設伸縮継手(J)に据え付け使用される架台(M)と、その架台(M)への搭載状態に組み立て固定されるベース盤(B)と、そのベース盤(B)から一体的に垂立する昇降ガイド支柱(1)と、そのガイド支柱(1)の中途部へ昇降作動機構(L)を介して昇降自在に軸架されたワイヤーソー回走用の径大な駆動プーリー(2)と、その駆動プーリー(2)を背後から回転駆動する油圧モーター(3)と、その上記ガイド支柱(1)の下部へ取付ブラケット(4)を介して固定横架された水平なガイドバー(5)と、そのガイドバー(5)へ取付ブラケット(6)を介して、上記駆動プーリー(2)の回転平面と同じ平面上での遊転自在に軸支された径小な第1ガイドプーリー(8)の左右一対と、同じくガイドバー(5)へ取付ブラケット(7)を介して、上記駆動プーリー(2)の回転平面と直交する垂直面での遊転自在に軸支された径小な第2ガイドプーリー(9)の左右一対と、そのガイドバー(5)に対する第2ガイドプーリー(9)の取付ブラケット(7)へ昇降調整自在として、且つほぼ水平面での遊転自在に軸支された最も径小な第3ガイドプーリー(10)の左右一対と、上記駆動プーリー(2)と第1〜3ガイドプーリー(8)(9)(10)との全体に亘って巻き掛けられた無端なダイヤモンドワイヤーソー(11)とから成り、
上記架台(M)をその据え付け開口幅(W)の調整可能な門字型として、既設伸縮継手(J)の長手方向に沿い予じめ切り欠き工事された左右一対のプーリー逃し入れ凹溝(G)へ、その既設伸縮継手(J)を跨ぐ差し込み状態に固定維持すると共に、
両プーリー逃し入れ凹溝(G)の内部へ臨む上記第3ガイドプーリー(10)から、その凹溝(G)の溝底面に沿って引き伸ばし延長した上記ワイヤーソー(11)の先端部を、上記既設伸縮継手(J)の幅方向に沿って予じめ切り欠き工事されたワイヤーソー受け入れスリット(S)内において、その既設伸縮継手(J)への横断状態に係止させた上、
一定の張力が与えられたワイヤーソー(11)の駆動プーリー(2)を、上記油圧モーター(3)により高速回転させて、そのワイヤーソー(11)を循環回走させ乍ら、上記駆動プーリー(2)をその昇降作動機構(L)により昇降ガイド支柱(1)に沿い上昇作動させて、既設伸縮継手(J)を上記プーリー逃し入れ凹溝(G)並びにワイヤーソー受け入れスリット(S)とほぼ同じ一定深さ(T)だけ切り取り撤去するように定めたことを特徴とする既設伸縮継手の切り取り撤去装置。
【請求項2】
門字型の架台(M)を向かい合う左右一対のサイド枠板(12)(13)と、その何れか一方のサイド枠板(12)に接合一体化された天板(14)とから形作り、
その天板(14)に残る他方のサイド枠体(13)と組み付ける複数の皿ビス受け入れ用調整長孔(17)と、ベース盤(B)と組み立てる固定ボルト受け入れ用調整長孔(18)とを、その何れも左右方向への延在状態に開口分布させる一方、
上記架台(M)よりも厚肉な平盤型のベース盤(B)に、その架台(M)側の上記固定ボルト受け入れ用調整長孔(18)と直交する関係の固定ボルト受け入れ用調整長孔(20)を、前後方向への延在状態に開口形成して、
その両調整長孔(18)(20)へ差し込み貫通される固定ボルト(21)によって、上記ベース盤(B)から垂立する昇降ガイド支柱(1)に軸架されたワイヤーソー回走用の駆動プーリー(2)が、既設伸縮継手(J)の切り取り幅(X)を2等分する垂直中心線(H−H)上へ正しく対応位置することとなるように、そのベース盤(B)を上記架台(M)へ調整固定できるように定めたことを特徴とする請求項1記載の既設伸縮継手の切り取り撤去装置。
【請求項3】
請求項1記載の切り取り撤去装置を使用するに当り、ワイヤーソー受け入れスリット(S)を前後一対として、その一対により切り取り長さ(Y)が規定された既設伸縮継手(J)のほぼ中間部へ、架台(M)を据え付け固定すると共に、
第3ガイドプーリー(10)から左右一対のプーリー逃し入れ凹溝(G)に沿って前方へ引き伸ばし延長したダイヤモンドワイヤーソー(11)の先端部を、前側の上記ワイヤーソー受け入れスリット(S)内において既設伸縮継手(J)の前端面へ横断状態に係止させた上、そのワイヤーソー(11)の後方(R)に向かう引っ張り移動により、既設伸縮継手(J)の約前半部を切り取り、
その後180度だけ方向変換した状態に据え付け固定して、同じく第3ガイドプーリー(10)から左右一対のプーリー逃し入れ凹溝(G)に沿い後方へ引き伸ばし延長したワイヤーソー(11)の先端部を、後側の上記ワイヤーソー受け入れスリット(S)内において既設伸縮継手(J)の後端面へやはり横断状態に係止させた上、そのワイヤーソー(11)の前方(F)に向かう引っ張り移動により、上記既設伸縮継手(J)の残る約後半部を切り取ることを特徴とする既設伸縮継手における切り取り撤去装置の使用法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向へ延在する既設伸縮継手(J)を跨ぐ横断状態に据え付け使用される架台(M)と、
その架台(M)への搭載状態に組み立て固定されるベース盤(B)と、
そのベース盤(B)から一体的に垂立する昇降ガイド支柱(1)と、
その昇降ガイド支柱(1)の中途部へ昇降作動機構(L)を介して、昇降自在に軸架されたワイヤーソー回走用の径大な駆動プーリー(2)と、
その駆動プーリー(2)を背後から、前向き水平の出力軸により回転駆動する油圧モーター(3)と、
上記昇降ガイド支柱(1)の下部へ取付ブラケット(4)を介して、既設伸縮継手(J)の左右方向へ延在するように固定横架された水平なガイドバー(5)と、
そのガイドバー(5)の左右両端部へ各々取付ブラケット(6)と前後方向に沿う水平な支軸(31)を介して、上記駆動プーリー(2)の回転平面と同じ垂直な平面での遊転自在に枢着された径小な一対の第1ガイドプーリー(8)と、
同じくガイドバー(5)の左右両端部へ各々取付ブラケット(7)と左右方向に沿う水平な支軸(38)を介して、上記駆動プーリー(2)の回転平面と直交する垂直な平面での遊転自在に枢着された径小な一対の第2ガイドプーリー(9)と、
そのガイドバー(5)に対する上記第2ガイドプーリー(9)の取付ブラケット(7)へ各々昇降調整自在として、且つ垂直な支軸(40)により水平な平面での遊転自在に枢着された最も径小な左右一対の第3ガイドプーリー(10)と、
上記駆動プーリー(2)と第1〜3ガイドプーリー(8)(9)(10)との全体に亘って巻き掛けられた無端なダイヤモンドワイヤーソー(11)とから成り、
上記架台(M)をその据え付け開口幅(W)の調整可能な門字型として、既設伸縮継手(J)の前後方向に沿い予じめ切り欠き工事された左右一対のプーリー逃し入れ凹溝(G)へ、その既設伸縮継手(J)を跨ぐ差し込み状態に固定維持すると共に、
両プーリー逃し入れ凹溝(G)へ臨む上記第3ガイドプーリー(10)の左右一対から、そのプーリー逃し入れ凹溝(G)の溝底面に沿って引き伸ばし延長した上記ワイヤーソー(11)を、上記既設伸縮継手(J)の左右方向に沿予じめ切り欠き工事されたワイヤーソー受け入れスリット(S)内において、その既設伸縮継手(J)への横断状態に係止させた上、
一定の張力が与えられたワイヤーソー(11)の駆動プーリー(2)を、上記油圧モーター(3)により高速回転させて、そのワイヤーソー(11)を循環回走させ乍ら、上記駆動プーリー(2)をその昇降作動機構(L)により昇降ガイド支柱(1)に沿い上昇作動させて、
既設伸縮継手(J)を上記プーリー逃し入れ凹溝(G)の溝底面に沿うワイヤーソー(11)の引き擦り移動により、そのプーリー逃し入れ凹溝(G)並びにワイヤーソー受け入れスリット(S)とほぼ同じ一定深さ(T)だけ切り取り撤去するように定めたことを特徴とする既設伸縮継手の切り取り撤去装置。
【請求項2】
既設伸縮継手(J)に跨がり横断する門字型の架台(M)を、向かい合う倒立L字型サイド枠板(12)(13)の左右一対と、その左右何れか一方のサイド枠板(12)に接合一体化された天板(14)とから形作り、
その天板(14)に、残る他方のサイド枠(13)と組み付ける複数の皿ビス受け入れ用調整長孔(17)と、ベース盤(B)と組み立てる固定ボルト受け入れ用調整長孔(18)とを、その何れも左右方向への延在状態に開口分布させると共に、
上記架台(M)よりも厚肉な平盤型のベース盤(B)に固定ボルト受け入れ用調整長孔(20)を、その架台(M)側の上記固定ボルト受け入れ用調整長孔(18)と直交する前後方向への延在状態に開口形成して、
そのベース盤(B)側と架台(M)側との両固定ボルト受け入れ用調整長孔(18)(20)へ差し込み貫通される固定ボルト(21)によって、上記ベース盤(B)から一体的に垂立する昇降ガイド支柱(1)に軸架されたワイヤーソー回走用の駆動プーリー(2)が、既設伸縮継手(J)の切り取り幅(X)を2等分する垂直中心線(H−H)上へ正しく対応位置することとなるように、そのベース盤(B)を上記架台(M)へ調整固定できるように定めたことを特徴とする請求項1記載の既設伸縮継手の切り取り撤去装置。
【請求項3】
第1ガイドプーリー(8)が前後方向に沿う水平な支軸(31)を介して枢着された取付ブラケット(6)の各個を角筒型として、その各第1ガイドプーリー(8)の取付ブラケット(6)を一定長さの角鋼管から成るガイドバー(5)へ、スライド調整自在に差し込み套嵌する一方、
第2、3ガイドプーリー(9)(10)に共通する取付ブラケット(7)の各個を角鋼管として、上側の芯管(32)とその芯管(32)へ昇降調整自在に差し込み套嵌された下側の鞘管(33)とから、その鞘管(33)が前方へ張り出す全体的な側面視のほぼL字型に組み立てて、
その各取付ブラケット(7)の芯管(32)を上記ガイドバー(5)へ、やはりスライド調整自在に差し込み套嵌し、
上記各取付ブラケット(7)の鞘管(33)が前方へ張り出す中途部に第2ガイドプーリー(9)を、左右方向に沿う水平な支軸(38)によって枢着すると共に、
同じく鞘管(33)の前端部から斜め前下方へ一体的に張り出されたノーズ状の支持ステー(39)に第3ガイドプーリー(10)を、垂直な支軸(40)によって枢着したことを特徴とする請求項1記載の既設伸縮継手の切り取り撤去装置。
【請求項4】
請求項1記載の切り取り撤去装置を使用するに当り、前後方向へ延在する既設伸縮継手(J)の切り取り幅(X)となる左右一対のプーリー逃し入れ凹溝(G)と、同じく既設伸縮継手(J)の切り取り長さ(Y)となる前後一対のワイヤーソー受け入れスリット(S)とを、その何れも路面からの一定深さ(T)だけ予じめ切り欠き工事して、
上記既設伸縮継手(J)における切り取り長さ(Y)のほぼ中間部へ門字型の架台(M)を、その既設伸縮継手(J)に跨がる横断状態として据え付けた上、両プーリー逃し入れ凹溝(G)内へ嵌め込み設置した少なくとも左右一対の油圧ジャッキ(41)により、上記架台(M)を突っ張り状態に固定維持して、
先ず、第3ガイドプーリー(10)の左右一対から両プーリー逃し入れ凹溝(G)の溝底面に沿って、前方へ引き伸ばし延長した無端なダイヤモンドワイヤーソー(11)を、前側の上記ワイヤーソー受け入れスリット(S)内において既設伸縮継手(J)の前端面へ横断状態に係止させた上、
その一定の張力が与えられたワイヤーソー(11)を高速に循環回走させ乍ら、後方(R)に向かって引き擦り移動させることにより、上記既設伸縮継手(J)の約前半部を切り取り、
次に、180度だけ方向変換して、やはり既設伸縮継手(J)に跨がり横断した据え付け状態の上記架台(M)を、前回と同じく油圧ジャッキ(41)により固定維持すると共に、
上記第3ガイドプーリー(10)の左右一対から両プーリー逃し入れ凹溝(G)の溝底面に沿って、後方へ引き伸ばし延長した上記ワイヤーソー(11)を、後側のワイヤーソー受け入れスリット(S)内において上記既設伸縮継手(J)の後端面へ横断状態に係止させた上、
その一定の張力が与えられたワイヤーソー(11)をやはり高速に循環回走させ乍ら、前方(F)に向かって引き擦り移動させることにより、上記既設伸縮継手(J)の残る約後半部を切り取ることを特徴とする既設伸縮継手における切り取り撤去装置の使用法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−161391(P2006−161391A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−353893(P2004−353893)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【出願人】(504413735)有限会社 クリエート中川 (1)
【出願人】(504413724)有限会社 東海テックス (1)
【出願人】(504413713)
【Fターム(参考)】