説明

昇降式脚部を備えたリクライニング式ベッド

【課題】 運搬しやすい構成体に分解できる、構造簡単にして安定かつ信頼性に富む垂直昇降機構を備えた脚部を有するリクライニング式ベッドの提供。
【解決手段】 脚部が垂直に昇降する機構を備え、該昇降式脚部に支持された昇降台にリクライニング機構を有する昇降式脚部を備えたリクライニング式ベッドにおいて、前記脚部を前後方向に所望の間隔を隔てて幅方向に相平行する2本一対の短尺フレームと、該短尺フレームの両端部(4隅)に設けた接地部材とで本体を構成し、この脚部本体に少なくとも1台のアクチュエータと、該アクチュエータにて前部および後部を同時に昇降させるための駆動機構を介して昇降台を支持構成し、前記昇降駆動機構を昇降台と前記脚部本体との間に設けた昇降用可動アーム、前記昇降用可動アームと前記脚部本体との間に設けた一対の昇降用可動アーム揺動防止用歯車および、前記昇降用可動アームと前記揺動防止用歯車との間に設けた昇降動作用リンク機構とで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降式脚部を備えたリクライニング式ベッドに係り、より詳しくは昇降式脚部が垂直に昇降する機構を備えたリクライニング式ベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
病院、施設あるいは在宅で使用されるベッドにおいて、ベッド全体や昇降、マットの起伏調節自在とした機能を備えたものが普及しつつある。その中で、昇降式脚部を備えたリクライニング式ベッドとしては、例えばベッドをいす状に転換できる介護ベッド(特許文献1参照)、ベッド本体が上下二つのフレームから構成され、それぞれ独立分離させて移動可能となるようにした介護用ベッド(特許文献2参照)が知られている。また、昇降式脚部が垂直に昇降する機構を備えたベッドとして、脚部をフレームから分離構成し、脚部に昇降機構および駆動源を内蔵した昇降式脚部を備えたベッド(特許文献3、4参照)等が提案されている。
【特許文献1】特開2000−126247号公報
【特許文献2】特開2006−314690号公報
【特許文献3】特開平5−300923号公報
【特許文献4】特開平6−190008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記した従来のベッドにおいては、ベッド本体および脚部の昇降機構が複雑で、組立て式のベッドでも組立て工数が多くかつ繁雑であり、また脚部の昇降機構の駆動部がベッド下面に張り出して取付けられたりするため、低床化には限度があることや、運搬しやすい構成体に分解することも困難であったり、さらに脚部の昇降機構が複雑であるベッドの場合は、ベッド下の床面の掃除が困難であるといった問題点があった。さらにまた、昇降式脚部が垂直に昇降する機構を備えた従来のベッドの場合もその垂直昇降機構を備えた脚部の下面を掃除するためにはその都度ベッド全体を移動させる必要があり不便であった。
【0004】
本発明は、従来の前記した問題点を解消すべくなされたもので、運搬しやすい構成体に分解できるのみならず、ベッド下の床面の掃除も容易に行える、構造簡単にして安定かつ信頼性に富む垂直昇降機構を備えた脚部を有するリクライニング式ベッドを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る昇降式脚部を備えたリクライニング式ベッドは、少なくとも一台の駆動源(アクチュエータ)でかつ簡易にして安定した動作が得られる機構によりベッドを垂直に昇降でき、また、一台の駆動源(アクチュエータ)でマットを傾倒できるとともに、着座姿勢のとき腹部を圧迫せずに快適に背もたれを傾動できるリクライニング機構を備えたもので、その要旨は、脚部が垂直に昇降する機構を備え、該昇降式脚部に支持された昇降台にリクライニング機構を有する昇降式脚部を備えたリクライニング式ベッドにおいて、前記脚部は、前後方向に所望の間隔を隔てて幅方向に相平行する2本一対の短尺フレームと、該短尺フレームの両端部(4隅)に設けた接地部材とで本体が構成され、前記昇降台は幅方向に所望の間隔を隔てて相平行する2本一対のフレームおよび該フレームの前部および後部に横接した2本一対の連結ロッドとで構成され、前記脚部本体に前記昇降機構を介して前記昇降台が支持構成され、前記昇降機構は前記昇降台に取付けられた少なくとも1台のアクチュエータと、該アクチュエータにて前記昇降台の前部および後部を同時に昇降させるための駆動機構とで構成され、前記昇降駆動機構は前記昇降台と前記脚部本体との間に設けた昇降用可動アーム、前記昇降用可動アームと前記脚部本体との間に設けた一対の昇降用可動アーム揺動防止用歯車および、前記昇降用可動アームと前記揺動防止用歯車との間に設けた昇降動作用リンク機構を備え、前記アクチュエータの前進動作により前記昇降用可動アームが前記昇降動作用リンク機構および揺動防止用歯車を介して上方に回動して前記昇降台が上昇し、前記アクチュエータの後進動作により前記昇降用可動アームが前記上昇時と逆方向に回動して前記昇降台が下降する仕組みとなすとともに、該昇降台が前記揺動防止用歯車と昇降動作用リンク機構により所定の高さ位置に固定される機構となし、該昇降台にマット受台を設ける構成となしたことを特徴とするものである。
【0006】
この昇降式脚部を備えたリクライニング式ベッドにおける前記昇降機構としては、前記昇降台の前部および後部に横接した2本一対の連結ロッドを同時に回動させるアクチュエータと、前記2本一対の連結ロッドにそれぞれ一端を固着され他端に揺動防止用移動歯車を有する少なくとも2個の昇降用可動アームと、前記昇降用可動アームの端部に回動可能に取着された前記揺動防止用移動歯車と噛合するごとく対をなして前記脚部本体に回動可能に取着された揺動防止用固定歯車と、前記昇降用可動アームと前記揺動防止用移動歯車との間に設けられ、前記揺動防止用移動歯車と該昇降用可動アームに枢着された略三角形状のガイド孔付きリンクとをつなぐ棒状リンクと、前記略三角形状のガイド孔付きリンクのガイド孔内を摺動するごとく前記昇降用可動アーム側に取着されたガイドピンとからなる昇降動作用リンク機構と、前記アクチュエータの前進動作により前記昇降用可動アームが前記昇降駆動機構と前記一対の揺動防止用歯車および前記昇降動作用リンク機構を介して上方に回動して前記昇降台が上昇し、前記アクチュエータの後進動作により前記昇降用可動アームが前記上昇時と逆方向に回動して前記昇降台が下降する仕組みとなすとともに、該昇降台の昇降時および下降時において、前記昇降用可動アームと前記脚部本体に回動可能に取着された一対の揺動防止用歯車と、前記昇降動作用リンク機構の作用により、該昇降台の前後方向の移動を安定させると同時に前記一対の揺動防止用歯車の噛合により該昇降台が前後方向に揺動することなく固定される機構を採用することができる。
【0007】
また、本発明の前記昇降式脚部を備えたリクライニング式ベッドにおけるマット受台としては、背もたれ部を構成する背当てフレームと、長さの異なる少なくとも2本のフレームを継ぎ目部で屈曲自在に連結して1本となした相平行する2本一対のフレームとで構成され、前記背当てフレームがリクライニング機構にて傾動可能となすとともに、該背当てフレームの起立動作に連動して前記2本一対のフレームがその継ぎ目より山形に屈曲する構成となしたものを好ましい態様とするものである。
【0008】
一方、本発明の前記昇降式脚部を備えたリクライニング式ベッドにおけるリクライニング機構としては、前記昇降台に取付けられた少なくとも1台のアクチュエータにて前記マット受け台の背当てフレーム(背もたれ部)がその付け根部を支点に回動可能に設けられた構成となしていることを好ましい態様とするものである。このリクライニング機構はまた、前記昇降台に回動可能に枢着されたリンクに前記マット受け台の背当てフレームがその付け根部を支点に回動可能に枢着され、かつ該背当てフレームの付け根部に固着された略三角形状の連結板と前記昇降台との間に配設した伸縮ロッドにて該背当てフレームが支持されるとともに、前記昇降台に取付けられた少なくとも1台のアクチュエータにより前記略三角形状の連結板を介して該背当てフレームが回動する機構となし、かつ前記背当てフレームの起立動作に伴い前記昇降台に回動可能に枢着された前記リンクが当該枢軸を支点に後方に回動する分、該背当てフレームが後方へ移動する仕組みとなしたものを好ましい態様とするものである。
また本発明では、前記昇降台に回動可能に枢着された前記リンクとマット受け台の前記背当てフレームと反対側端部との間を接続部材によりつなぎ、前記背当てフレームの起立動作に連動して前記接続部材により前記2本一対のフレームの反対側端部が引っ張られて当該フレームがその継ぎ目より山形に屈曲する仕組みとなすことや、前記マット受台上に、内部に空洞部を有する同一幅および長さを有する細幅薄肉の板状部材を定間隔に多数並設するとともに各板状部材を連結部材を介して伸縮可能に接続して構成されたマット受けを載置する構造となすことを好ましい態様とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る昇降式脚部を備えたリクライニング式ベッドは、以下に記載する効果を奏する。
(1)ベッド本体および脚部の垂直昇降機構が構造簡単で組立て工数も少なく、しかも安定した昇降動作が得られる。
(2)脚部の昇降機構の駆動部は、少なくとも一台のアクチュエータで構成することができるので、ベッド下面に張り出して取付けられたりすることがなく低床化がはかられる上、ベッド下の床面の掃除も容易に行うことができる。
(3)ベッド全体を脚部、本体フレーム、脚部の昇降機構の駆動源(アクチュエータ)、ヘッドボードとフットボード、マットのリクライニング機構の駆動源(アクチュエータ)、マット受け、マット等、運搬しやすい構成体に分解することが容易であり、梱包の簡易化、重量の分散化がはかられ、ベッドの搬入・搬出を容易に行うことができる。
(4)脚部の昇降機構およびマットのリクライニング機構の駆動をボタン操作で簡単に行うことができるので複雑な操作を必要とせず、臥位から座位までの任意かつ適切な姿勢を設定することができる。
(5)リクライニング時に背もたれ部が若干後方に移動する機能を有するため、使用者が着座姿勢をとるとき腹部に圧迫感や苦痛感を感じることが極めて少なくかつ体の前方へのすべりを防止して快適な姿勢を取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は本発明に係るリクライニング式ベッドの垂直昇降式脚部の全体構成の一実施例を示す概略斜視図、図2は同上垂直昇降式脚部の昇降機構の要部を拡大して示す概略斜視図、図3は同上昇降式脚部に設けられたリクライニング機構付きマット受台の構成を示す概略斜視図、図4は同上リクライニング機構の要部を拡大して示す概略斜視図、図5は同上垂直昇降式脚部の昇降動作を説明するための概略側面図、図6は同上垂直昇降式脚部に設けられたマット受台のリクライニング動作を説明するための概略側面図、図7は本発明におけるマット受けの一例を示す一部平面図、図8は同上マット受けの一部拡大断面図であり、1は垂直昇降式脚部、2は脚部本体、3は昇降台、4はマット受台、5は昇降用アクチュエータ、6はリクライニング用アクチュエータ、7は伸縮式マット受け、8はヘッドボード、9はフットボードである。
【0011】
本発明に係るリクライニング式ベッドの垂直昇降式脚部1は、図1、図2に示すごとく前後方向に所望の間隔を隔てて幅方向に相平行する2本一対の短尺フレーム2−1と、該短尺フレーム2−1の両端部(4隅)に設けた接地部材2−2とで脚部本体2が構成されている。なお、この脚部本体2は、前後に位置する2本一対の短尺フレーム2−1間にも長尺フレームを横設して4本のフレームで構成することも可能であるが、この場合長尺フレームは必ずしも必要とするものではなく、脚体の重量や床面の掃除等のことを考慮すると、むしろ長尺フレームは省略した方が好ましい。このため、本発明では幅方向に相平行する2本一対の短尺フレーム2−1と、該短尺フレーム2−1の両端部(4隅)に設けた接地部材2−2とで脚部本体2を構成することとした。
【0012】
昇降台3は、前記脚部本体2の前後方向の長さとほぼ同一長さを有する相平行する左右2本一対のパイプ形のフレーム3−1を前記脚部本体2の幅方向長さとほぼ同一幅を隔てて配置され、かつ該フレーム3−1の前部と後部に前記脚部本体2の短尺フレーム2−1より内側位置に固着した左右2個一対の4個の垂直支持板3−3にそれぞれ回転可能に横設した2本一対の連結ロッド3−2により一体構造となしている。この昇降台3の昇降機構は、該昇降台3の左右のフレーム3−1の前記連結ロッド3−2間に固着した左右2個一対の垂直支持板3−5に横設した支持部材3−4にその後部をブラケット3−7を介して取付けた1台の昇降用アクチュエータ5と、この昇降用アクチュエータ5により当該昇降台の前部および後部を同時に昇降させるための昇降駆動機構とで構成されている。
【0013】
この昇降駆動機構は、前記昇降用アクチュエータ5の伸縮ロッド5−1の先端部と回動可能に連結され、前記回転可能な脚体前側の連結ロッド3−2に直角に固着されたブラケット3−8と、前記支持部材3−4に前記ブラケット3−7に隣接して固設された一対のブラケット3−10にその中央部を回動可能にほぼ垂直方向に軸着されて前後に揺動する揺動レバー3−9と、該揺動レバー3−9の下端部と、前記ブラケット3−8に隣接して同じ連結ロッド3−2に直角に固着されたブラケット3−12との間に配設されてその両端接続部が回動可能に軸着された長尺ロッド3−11と、前記回転可能な脚体後側の連結ロッド3−2に直角に固着されたブラケット3−13と前記揺動レバー3−9の上端部との間に配設されてその両端接続部が回動可能に軸着された短尺ロッド3−14とで構成され、前記昇降用アクチュエータ5の前進動作により前記脚体前側の連結ロッド3−2に直角に固着されたブラケット3−8が該連結ロッド3−2を支点にして前方に回動すると同時に、同連結ロッド3−2に固着されたブラケット3−12と揺動レバー3−9間に横設した長尺ロッド3−11を介して揺動レバー3−9が前側に引張られることにより該揺動レバー3−9が後側に傾動し、該揺動レバー3−9の上端部に軸着された短尺ロッド3−14を介して、連結ロッド3−2に直角に固着されたブラケット3−13が該連結ロッド3−2を支点にして後方に回動する仕組みとなっている。そして、前記脚体前側および後側に配設した連結ロッド3−2の両端部に4個の昇降用可動アーム3−15がそれぞれ固着されている。この昇降用可動アーム3−15は、前記脚体前側および後側に配設した連結ロッド3−2に固着したブラケット3−8、3−13とそれぞれ直角となる方向に一端が固着され、他端には前記脚部本体2の短尺フレーム2−1の両端部に設置した揺動防止用固定歯車3−17と噛合する揺動防止用移動歯車3−16を有している。さらに、前記昇降用可動アーム3−15に取着された揺動防止用移動歯車3−16の外周端部に突設した突起3−16aと、前記昇降用可動アーム3−15の前記突起3−16aと反対側の端部に軸ピン3−19にて回動可能に枢着された略三角形状のガイド孔付きリンク3−18の一端とを棒状リンク3−20にてつなぎ、前記略三角形状のリンク3−18に前記棒状リンク3−20の動作を規制するために形成したガイド孔3−18a内を摺動するガイドピン3−21を前記昇降用可動アーム3−15の側面に取着して昇降動作用リンク機構を構成している(図2)。すなわち、前記昇降用アクチュエータ5の前進動作により該伸縮ロッド5−1が伸びると同時に前記脚体前側および後側に配設した連結ロッド3−2に固着したブラケット3−8、3−13が互いに相反する方向に押され連結ロッド3−2を支点として昇降用可動アーム3−15が回動し、それに伴い揺動防止用移動歯車3−16を基点として昇降台3が持ち上げられ垂直に上昇すると同時に、揺動防止用移動歯車3−16の回転移動により棒状リンク3−20を介して略三角形状のリンク3−18が引張られて軸ピン3−19を支点に回動するとともに、昇降台3に固着されている4個の垂直支持板3−3に取着されたガイドピン3−21がリンク3−18のガイド孔3−18a内を摺動することにより、脚体の前側および後側の連結ロッド3−2の前後方向位置は定位置のままで昇降台3が前後同時に垂直に上昇する機構となっている。なお、前記揺動防止用移動歯車3−16と揺動防止用固定歯車3−17は、揺動防止用移動歯車3−16の移動量(回転距離)だけ両歯車が噛合すればよいので、両歯車は円周全体に歯を有する必要はなく、図示のように揺動防止用移動歯車3−16の方は円周の一部のみに歯を有する歯車を用い、揺動防止用固定歯車3−17の方は扇形状の歯車を用いることができる。3−22は前記固定歯車3−17の軸受である。
【0014】
前記昇降台3に一体的に取付けられるリクライニング方式のマット受台4は、使用者が背もたれ部を起こして着座姿勢をとるとき腹部に圧迫を感じることが少なくかつ体の前方へのすべりを防止し得る構造となっており、その構成は、図3、図4に示すごとく該昇降台3の左右のフレーム3−1にその付け根部を支点に回動可能に軸着された背当てフレーム(背もたれ部)4−1と、この背当てフレーム4−1に隣接して前記昇降台3の左右のフレーム3−1に固着した一対の短尺の固定フレーム4−2と、さらに該固定フレーム4−2に隣接して前記昇降台3の左右のフレーム3−1にその両端部を回動自在に軸着された、長さの異なる2本のフレーム4−3a、4−3bをその継ぎ目部で屈曲自在に連結してなる一対の可動フレーム4−3とで構成されている。そして、前記背当てフレーム4−1は、当該フレームの付け根部に軸ピン4−1d、4−1eにて固着した左右一対の略三角形状の連結板4−1a間に横設した連結ロッド4−1bおよび補強用ロッド4−1cにて左右一体に構成され、前記昇降台3の左右のフレーム3−1の内側側面に固着したブラケット4−4にその下端部を軸ピン4−5aにて回動可能に軸着した左右一対のリンク4−5の上端部に、前記背当てフレーム4−1の下端部が回動可能に軸着され、該背当てフレーム4−1の背面側における前記昇降台3の左右のフレーム3−1間に横設した固定ロッド4−6に回動自在継手4−7を介して長さ方向に配設した2本一対の伸縮式支持ロッド4−8により該背当てフレーム4−1を支持する構造となし、その駆動機構は、該背当てフレーム4−1の前面側の前記昇降台3の左右のフレーム3−1間に横設した支持部材4−9にその後部をブラケット4−7を介して取付けた1台のリクライニング用アクチュエータ6の伸縮ロッド6−1の先端部を前記背当てフレーム4−1の連結ロッド4−1bに回動可能に連結して、該リクライニング用アクチュエータ6により背当てフレーム4−1を起立傾倒させる構成となすとともに、該背当てフレーム4−1の起立動作に伴い該背当てフレームの付け根部が取付けられた前記リンク4−5が当該枢軸を支点に後方に回動する分、該背当てフレーム4−1が後方へ移動する仕組みとなし、さらに、前記リンク4−5と前記可動フレーム4−3の端部に固着した連結板4−10間につないだワイヤロープ4−11が背当てフレーム4−1の起立動作に伴って引張られることにより前記可動フレーム4−3がその継ぎ目より山形に屈曲する仕組みとなっている。なお、前記可動フレーム4−3の背当てフレーム4−1と反対側の端部は、フットボード9が取着されるアーム9aに回動可能に枢着されている。
【0015】
次に、前記垂直昇降式脚部の昇降動作を図5に基づいて説明する。本発明の垂直昇降式脚部は、前記したごとく昇降用アクチュエータ5の前進動作により該伸縮ロッド5−1が伸びると同時に脚体前側(頭側)および後側(足側)に配設した連結ロッド3−2に固着したブラケット3−8、3−13が互いに相反する方向に押され、同時に連結ロッド3−2を支点として4個の昇降用可動アーム3−15が回動し、それに伴い揺動防止用固定歯車3−17と噛合している揺動防止用移動歯車3−16を基点として昇降台3が同時に持ち上げられ垂直に上昇すると同時に、揺動防止用移動歯車3−16の回転移動により棒状リンク3−20を介して略三角形状のリンク3−18が引張られて軸ピン3−19を支点に回動するとともに、昇降台3に固着されている4個の垂直支持板3−3に取着されたガイドピン3−21がリンク3−18のガイド孔3−18a内を摺動することにより、脚体の前側および後側の連結ロッド3−2の前後方向位置が定位置のままで昇降台3が前後同時に垂直に上昇する。そして、さらに前記昇降用アクチュエータ5の前進動作を続けることにより、前記と同じ動作が行われて脚体の前側および後側の連結ロッド3−2の前後方向位置が定位置のままで昇降台3が上昇し続ける。この昇降台3の上昇時は前記したごとく一対の揺動防止用歯車3−17、3−16の噛合と、揺動防止用移動歯車3−16と略三角形状のリンク3−18との間に設けた棒状リンク3−20およびリンク3−18のガイド孔3−18a内を摺動するガイドピン3−21からなる昇降動作用リンク機構の作用により昇降台3が前後方向に揺れることなく昇降し、また、所定の高さ位置に安定して固定することができる。
【0016】
続いて、マット受台4のリクライニング動作を図6に基づいて説明すると、マット受台のリクライニング動作は、昇降台3に取付けられたリクライニング用アクチュエータ6を前進動させると背当てフレーム4−1の付け根部に固着した略三角形状の連結板4−1aが押されることにより背当てフレーム4−1が起立動作を開始し、同時に昇降台3の左右のフレーム3−1に固着したブラケット4−4にその下端部を回動可能に軸着した左右一対のリンク4−5が背面方向に回動することにより該背当てフレーム4−1が後方へ移動する。この背当てフレーム4−1の後方への移動により、使用者が背もたれ部を起こして着座姿勢をとるとき腹部に圧迫感や苦痛感を感じることが極めて少なくなる。また、この時リンク4−5と、可動フレーム4−3の端部に固着した連結板4−10間につないだワイヤロープ4−11が背当てフレーム4−1の起立動作に伴って引張られることにより前記可動フレーム4−3がその継ぎ目より山形に屈曲するので、使用者の下半身の部分がその山形部に載置されることにより体の前方へのすべりが防止される。
なお、山形状に屈曲した可動フレーム4−3は、当該可動フレームの山形部を手動で押さえることによりもとの水平状態に戻すことができるが、例えば該可動フレーム4−3の端部に固着した前記連結板4−10に、前記ワイヤロープ4−11をこの側に引き戻して可動フレーム4−3を水平状態に戻すためのリンク機構(図示せず)を取付けてレバー操作により可動フレーム4−3を水平状態に戻すようにしてもよい。
【0017】
本発明におけるマット受けとしては、図7、図8に例示したごとく、前記リクライニンク方式のマット受台4上に、内部に空洞部7−3を有する同一幅および長さを有する細幅薄肉の板状部材7−1を定間隔に多数並設するとともに各板状部材7−1を連結部材7−2を介して伸縮可能に接続して構成された伸縮式マット受け7を採用することができる。なお、このマット受け7上に載置するマットレス(図示せず)としては、前記マット受台4の背当てフレーム(背もたれ部)4−1の起立傾倒動作および可動フレーム4−3の屈曲動作に対応できるものを用いることはいうまでもない。また、ヘッドボード8とフットボード9はそれぞれ昇降台3の左右のフレーム3−1に差込み式により着脱可能に取付けられるように構成されている。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明の昇降式脚部を備えたリクライニング式ベッドは、ベッド本体および脚部の垂直昇降機構が構造簡単で組立て工数も少なく、しかも安定した昇降動作が得られ、かつこの脚部の昇降機構の駆動部は、少なくとも一台のアクチュエータで構成することができるので、ベッド下面に張り出して取付けられたりすることがなく低床化がはかられる上、ベッド下の床面の掃除も容易に行うことができ、また、ベッド全体を脚部、本体フレーム、脚部の昇降機構の駆動源(アクチュエータ)、ヘッドボードとフットボード、マットのリクライニング機構の駆動源(アクチュエータ)、マット受け、マット等、運搬しやすい構成体に分解することが容易であり、梱包の簡易化、重量の分散化がはかられ、ベッドの搬入・搬出を容易に行うことができ、さらに、脚部の昇降機構およびマットのリクライニング機構の駆動をボタン操作で簡単に行うことができるので複雑な操作を必要とせず、臥位から座位までの任意かつ適切な姿勢を設定することができ、さらにまた、リクライニング時に背もたれ部が若干後方に移動する機能を有するため、使用者が着座姿勢をとるとき腹部に圧迫感や苦痛感を感じることが極めて少なくかつ体の前方へのすべりを防止して快適な姿勢を取ることができる等の効果を奏することから、極めて実用性に富むものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るリクライニング式ベッドの垂直昇降式脚部の全体構成の一実施例を示す概略斜視図である。
【図2】同上垂直昇降式脚部の昇降機構の要部を拡大して示す概略斜視図である。
【図3】同上昇降式脚部に設けられたリクライニング機構付きマット受台の構成を示す概略斜視図である。
【図4】同上リクライニング機構の要部を拡大して示す概略斜視図である。
【図5】同上垂直昇降式脚部の昇降動作を説明するための概略側面図である。
【図6】同上垂直昇降式脚部に取付けられたマット受台のリクライニング動作を説明するための概略側面図である。
【図7】本発明におけるマット受けの一例を示す平面図である。
【図8】同上マット受けの一部断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 垂直昇降式脚部
2 脚部本体
2−1 短尺フレーム
2−2 接地部材
3 昇降台
3−1 フレーム
3−2 連結ロッド
3−3 垂直支持板
3−4 支持部材
3−9 揺動レバー
3−15 昇降用可動アーム
3−16 揺動防止用移動歯車
3−17 揺動防止用固定歯車
3−18 略三角形状のリンク
3−18a ガイド孔
3−20 棒状リンク
3−21 ガイドピン
4 マット受台
4−1 背当てフレーム
4−1a 略三角形状の連結板
4−3 可動フレーム
4−5 リンク
4−8 伸縮式支持ロッド
4−11 ワイヤロープ
5 昇降用アクチュエータ
6 リクライニング用アクチュエータ
7 伸縮式マット受け
8 ヘッドボード
9 フットボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脚部が垂直に昇降する機構を備え、該昇降式脚部に支持された昇降台にリクライニング機構を有する昇降式脚部を備えたリクライニング式ベッドにおいて、前記脚部は、前後方向に所望の間隔を隔てて幅方向に相平行する2本一対の短尺フレームと、該短尺フレームの両端部(4隅)に設けた接地部材とで本体が構成され、前記昇降台は幅方向に所望の間隔を隔てて相平行する2本一対のフレームおよび該フレームの前部および後部に横接した2本一対の連結ロッドとで構成され、前記脚部本体に前記昇降機構を介して前記昇降台が支持構成され、前記昇降機構は前記昇降台に取付けられた少なくとも1台のアクチュエータと、該アクチュエータにて前記昇降台の前部および後部を同時に昇降させるための駆動機構とで構成され、前記昇降駆動機構は前記昇降台と前記脚部本体との間に設けた昇降用可動アーム、前記昇降用可動アームと前記脚部本体との間に設けた一対の昇降用可動アーム揺動防止用歯車および、前記昇降用可動アームと前記揺動防止用歯車との間に設けた昇降動作用リンク機構を備え、前記アクチュエータの前進動作により前記昇降用可動アームが前記昇降動作用リンク機構および揺動防止用歯車を介して上方に回動して前記昇降台が上昇し、前記アクチュエータの後進動作により前記昇降用可動アームが前記上昇時と逆方向に回動して前記昇降台が下降する仕組みとなすとともに、該昇降台が前記揺動防止用歯車と昇降動作用リンク機構により所定の高さ位置に固定される機構となし、該昇降台にマット受台を設ける構成となしたことを特徴とする、昇降式脚部を備えたリクライニング式ベッド。
【請求項2】
前記昇降機構は、前記昇降台の前部および後部に横接した2本一対の連結ロッドを同時に回動させるアクチュエータと、前記2本一対の連結ロッドにそれぞれ一端を固着され他端に揺動防止用移動歯車を有する少なくとも2個の昇降用可動アームと、前記昇降用可動アームの端部に回動可能に取着された前記揺動防止用移動歯車と噛合するごとく対をなして前記脚部本体に回動可能に取着された揺動防止用固定歯車と、前記昇降用可動アームと該アームに軸着された揺動防止用移動歯車との間に設けられ、前記揺動防止用移動歯車と、該昇降用可動アームに枢着された略三角形状のガイド孔付きリンクとをつなぐ棒状リンクと、前記略三角形状のガイド孔付きリンクのガイド孔内を摺動するごとく前記昇降用可動アーム側に取着されたガイドピンとからなる昇降動作用リンク機構と、前記アクチュエータの前進動作により前記昇降用可動アームが前記昇降駆動機構と前記一対の揺動防止用歯車および前記昇降動作用リンク機構を介して上方に回動して前記昇降台が上昇し、前記アクチュエータの後進動作により前記昇降用可動アームが前記上昇時と逆方向に回動して前記昇降台が下降する仕組みとなすとともに、該昇降台の昇降時および下降時において、前記昇降用可動アームと前記脚部本体に回動可能に取着された一対の揺動防止用歯車と、前記昇降動作用リンク機構の作用により、該昇降台の前後方向の移動を安定させると同時に前記一対の揺動防止用歯車の噛合により該昇降台が前後方向に揺動することなく固定される機構となしたことを特徴とする請求項1に記載の昇降式脚部を備えたリクライニング式ベッド。
【請求項3】
前記マット受け台は背当てフレーム(背もたれ部)と、長さの異なる少なくとも2本のフレームを継ぎ目部で屈曲自在に連結して1本となした相平行する2本一対のフレームとで構成され、前記背当てフレームがリクライニング機構にて傾動可能となすとともに、該背当てフレームの起立動作に連動して前記2本一対のフレームがその継ぎ目より山形に屈曲するごとく構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の昇降式脚部を備えたリクライニング式ベッド。
【請求項4】
前記リクライニング機構は、前記昇降台に取付けられた少なくとも1台のアクチュエータにて前記マット受け台の背当てフレームがその付け根部を支点に回動可能に設けられた構成となしていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の昇降式脚部を備えたリクライニング式ベッド。
【請求項5】
前記リクライニング機構は、前記昇降台に回動可能に枢着されたリンクに前記マット受け台の背当てフレームがその付け根部を支点に回動可能に枢着され、かつ該背当てフレームの付け根部に固着された略三角形状の連結板と前記昇降台との間に配設した伸縮ロッドにて該背当てフレームが支持されるとともに、前記昇降台に取付けられた少なくとも1台のアクチュエータにより前記略三角形状の連結板を介して該背当てフレームが回動する機構となし、かつ前記背当てフレームの起立動作に伴い前記昇降台に回動可能に枢着された前記リンクが当該枢軸を支点に後方に回動する分、該背当てフレームが後方へ移動する仕組みとなしたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の昇降式脚部を備えたリクライニング式ベッド。
【請求項6】
前記昇降台に回動可能に枢着された前記リンクとマット受け台の前記背当てフレームと反対側端部との間を接続部材によりつなぎ、前記背当てフレームの起立動作に連動して前記接続部材により前記2本一対のフレームの反対側端部が引っ張られて当該フレームがその継ぎ目より山形に屈曲する仕組みとなしたことを特徴とする請求項5に記載の昇降式脚部を備えたリクライニング式ベッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−82608(P2009−82608A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258806(P2007−258806)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(000102234)ウチヱ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】