説明

映像オークション・システム及び映像オークション用ディスプレイ装置

【課題】競りに参加可能な買い手数を増加させる。
【解決手段】競り中に変化しない固定表示データ(S)と競り中に変化するリアルタイム表示データ(R)とに分け、リアルタイム表示データ(R)は競り中に繰り返し送信するが、固定表示データ(S)は競り中に送信しないか又はリアルタイム表示データ(R)よりも少ない頻度で送信する。
【効果】固定表示データ(S)は例えば商品情報であり、特に画像を含む場合にはデータサイズが巨大になる。他方、リアルタイム表示データ(R)は例えば競り価格であり、画像データに比べてデータサイズはずっと小さい。競り中はリアルタイム表示データ(R)のみを繰り返し送信することで、競り中のトラフィック量が小さくなり、競りに参加可能な買い手数を増加させても、全買い手での競り価格のリアルタイム性を担保することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像オークション・システム及び映像オークション用ディスプレイ装置に関し、さらに詳しくは、競りに参加可能な買い手数を増加させうる映像オークション・システム及び映像オークション用ディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホストが、通信回線を介して、買い手毎のコンピュータに商品情報や競り価格を含む映像データを送信し、受信した映像データに基づいて買い手毎のコンピュータで映像を表示するオークション・システムが知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【特許文献1】特開2003−162653号公報
【特許文献2】特開2004−54333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来のオークション・システムでは、ホストから商品情報や競り価格を含む映像データを買い手毎のコンピュータに送信しているが、競り中に競り価格が変化するため、映像データを競り中に繰り返し送信する必要があった。
しかし、特に商品情報に画像を含む場合は映像データが巨大サイズとなり、その巨大サイズの映像データを繰り返し送信すると、トラフィック量が膨大になる。このため、全買い手での競り価格のリアルタイム性を担保するために、競りに参加可能な買い手数を制限しなければならない問題点があった。
そこで、本発明の目的は、競りに参加可能な買い手数を増加させうる映像オークション・システム及び映像オークション用ディスプレイ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の観点では、本発明は、ホスト(10)と該ホスト(10)に通信回線(30)で接続された映像オークション用ディスプレイ装置(20)とを備えた映像オークション・システムであって、前記ホスト(10)は、一つの競り商品についての競り開始前に競り中に変化しない固定表示データ(S)と競り中に変化するリアルタイム表示データ(R)とを前記映像オークション用ディスプレイ装置(20)へ送信し、競り中は前記リアルタイム表示データ(R)を前記映像オークション用ディスプレイ装置(20)へ繰り返し送信し且つ前記固定表示データ(S)は送信しないか又は前記リアルタイム表示データ(R)よりも少ない頻度で送信し、前記映像オークション用ディスプレイ装置(20)は、最新の前記固定表示データ(S)と最新の前記リアルタイム表示データ(R)とに基づく映像を表示することを特徴とする映像オークション・システム(100)を提供する。
競り中に変化しない固定表示データ(S)とは、例えば商品情報であり、特に画像を含む場合にはデータサイズが巨大になる。他方、競り中に変化するリアルタイム表示データ(R)とは、例えば競り価格であり、画像データに比べてデータサイズはずっと小さい。
そこで、上記第1の観点による映像オークション・システム(100)では、リアルタイム表示データ(R)は競り中に繰り返し送信するが、固定表示データ(S)は競り中に送信しないか又はリアルタイム表示データ(R)よりも少ない頻度で送信する。これにより、競り中のトラフィック量が小さくなり、競りに参加可能な買い手数を増加させても、全買い手での競り価格のリアルタイム性を担保することが出来る。
【0005】
第2の観点では、本発明は、前記第1の観点による映像オークション・システム(100)において、前記ホスト(10)は、前記固定表示データ(S)と前記リアルタイム表示データ(R)とを合成するためのフォーマットを含む制御データ(C)を前記前記映像オークション用ディスプレイ装置(20)へ送信し、前記映像オークション用ディスプレイ装置(20)は、最新の前記固定表示データ(S)と最新の前記リアルタイム表示データ(R)とを前記フォーマットに基づいて合成して映像を作成することを特徴とする映像オークション・システム(100)を提供する。
上記第2の観点による映像オークション・システム(100)では、固定表示データ(S)とリアルタイム表示データ(R)とを所望のフォーマットに基づいて合成することが出来る。
【0006】
第3の観点では、本発明は、通信回線から通信データを受信するための通信インタフェース部(21)と、前記通信データから一つの競り商品についての競り中に変化しない固定表示データ(S)および競り中に変化するリアルタイム表示データ(R)を分離抽出するデータ分離部(22)と、最新の前記固定表示データ(S)と最新の前記リアルタイム表示データ(R)とに基づく映像を作成するオーバーレイ処理部(25)と、前記映像を表示する映像表示部(26)とを具備したことを特徴とする映像オークション用ディスプレイ装置(20)を提供する。
上記第3の観点による映像オークション用ディスプレイ(20)は、前記第1の観点による映像オークション・システム(100)に好適に使用できる。
【0007】
第4の観点では、本発明は、前記第3の観点による映像オークション用ディスプレイ装置(20)において、前記データ分離部(22)は、前記通信データから前記固定表示データ(S)と前記リアルタイム表示データ(R)とを合成するためのフォーマットを含む制御データ(C)を分離し、前記オーバーレイ処理部(25)は、最新の前記固定表示データ(S)と最新の前記リアルタイム表示データ(R)とを前記フォーマットに基づいて合成して映像を作成することを特徴とする映像オークション用ディスプレイ装置(20)を提供する。
上記第4の観点による映像オークション用ディスプレイ(20)は、前記第2の観点による映像オークション・システム(100)に好適に使用できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の映像オークション・システム及び映像オークション用ディスプレイによれば、競り中のトラフィック量が小さくなり、競りに参加可能な買い手数を増加させても、全買い手での競り価格のリアルタイム性を担保することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0010】
図1は、実施例1にかかる映像オークション・システム100を示す構成説明図である。
この映像オークション・システム100は、ホスト10と、多数の映像オークション用ディスプレイ20とを、通信ケーブル30で接続した構成である。
通信ケーブル30は、例えば同軸ケーブルである。
【0011】
ホスト10は、売り手Aにかかる商品についての競り中に変化しない固定表示データSと競り中に変化するリアルタイム表示データRとを別個に出力するAレーン競りサーバ1と、売り手Bにかかる商品についての固定表示データSとリアルタイム表示データRとを別個に出力するBレーン競りサーバ2と、固定表示データSとリアルタイム表示データRとを合成して映像を作成するためのフォーマットを含む制御データCを出力するオーバーレイ表示フォーマット設定部11と、固定表示データSとリアルタイム表示データRと制御データCとを送信する映像オークション用ディスプレイ20を選択して送信するルーティング処理部12と、通信インターフェース部13とを備えている。
通信インターフェース部13は、ケーブルモデムである。
【0012】
映像オークション用ディスプレイ20は、通信インターフェース部21と、通信インターフェース部21で受信した通信データから固定表示データSとリアルタイム表示データRと制御データCを分離抽出するデータ分離部22と、制御データCに含まれるオーバーレイ表示フォーマットを保持するオーバーレイ表示フォーマット保持部23と、最新の固定表示データSと最新のリアルタイム表示データRとを保持する表示データ保持部24と、オーバーレイ表示フォーマットに基づいて最新の固定表示データSと最新のリアルタイム表示データRとを合成して映像を作成するオーバーレイ処理部25と、オーバーレイ処理部25で作成した映像を表示するLCD表示部26とを備えている。
通信インターフェース部21は、ケーブルモデムである。
【0013】
(1)Aレーン競りサーバ1は、競り開始前に、売り手Aにかかる商品についての固定表示データSとリアルタイム表示データRとをルーティング処理部12へ出力する
(2)Bレーン競りサーバ2は、競り開始前に、売り手Bにかかる商品についての固定表示データSとリアルタイム表示データRとをルーティング処理部12へ出力する
(3)オーバーレイ表示フォーマット設定部11は、オーバーレイ表示フォーマットを含む制御データCをルーティング処理部12へ出力する
(4)ルーティング処理部12は、売り手Aにかかる商品についての固定表示データSとリアルタイム表示データRと、売り手Bにかかる商品についての固定表示データSとリアルタイム表示データRと、制御データCとをすべての映像オークション用ディスプレイ装置20へ通信インターフェイス部13からIPマルチキャスト送信する。なお、固定表示データSと、リアルタイム表示データRと、制御データCとは、異なるIPフレームで送信する。
【0014】
(5)通信インタフェース部21は、通信ケーブル30からの通信データを受信し、データ分離部22に渡す。
(6)データ分離部22は、通信データから固定表示データSとリアルタイム表示データRと制御データCを分離抽出し、制御データCはオーバーレイ表示フォーマット保持部23へ出力し、固定表示データSとリアルタイム表示データRは表示データ保持部24へ出力する。
(7)オーバーレイ表示フォーマット保持部23は、制御データCに含まれるオーバーレイ表示フォーマットを保持する。表示データ保持部24は、最新の固定表示データSと最新のリアルタイム表示データRを保持する。
(8)オーバーレイ処理部25は、オーバーレイ表示フォーマット保持部23に保持したオーバーレイ表示フォーマットに基づいて、表示データ保持部24に保持した固定表示データSとリアルタイム表示データRとを合成して映像を作成し、LCD表示部26へ出力する。なお、オーバーレイ処理部25では、
(9)LCD表示部26は、映像を表示する。
【0015】
図2に、LCD表示部26に表示される映像を例示する。
固定表示データSは、商品の外観や仕様などであり、競り中に変化しない。
リアルタイム表示データRは、競り価格などであり、競り中に変化する。
【0016】
(10)各買い手は、LCD表示部26に表示される映像を見て、Aレーンの競りに参加するかBレーンの競りに参加するかを選択し、ルーティング処理部12へ通知する。この通知方法・手段は、従来公知の方法・手段を用いればよい。
(11)ルーティング処理部12は、Aレーンの競りに参加する買い手とBレーンの競りに参加する買い手とを記憶し、Aレーンの競りに参加する買い手の映像オークション用ディスプレイ装置20へは売り手Aにかかる商品についての固定表示データSとリアルタイム表示データRのみを送信し直し、Bレーンの競りに参加する買い手の映像オークション用ディスプレイ装置20へは売り手Bにかかる商品についての固定表示データSとリアルタイム表示データRのみを送信し直す。よって、以後は、Aレーンの競りに参加する買い手の映像オークション用ディスプレイ装置20には売り手Aにかかる商品についての固定表示データSとリアルタイム表示データRのみが表示され、Bレーンの競りに参加する買い手の映像オークション用ディスプレイ装置20には売り手Bにかかる商品についての固定表示データSとリアルタイム表示データRのみが表示される。
【0017】
(12)ルーティング処理部12は、競り中は、最新のリアルタイム表示データRのみを繰り返し送信し、固定表示データSは競り中に送信しない。ただし、リアルタイム表示データRよりも少ない頻度で固定表示データSを送信してもよい。
図3に、LCD表示部26に表示される映像を例示する。
リアルタイム表示データRの競り価格が競り中に変化するので、買い手は、競り価格を見て応札する。
【0018】
実施例1の映像オークション・システム100によれば、リアルタイム表示データRは競り中に繰り返し送信するが、固定表示データSは競り中に送信しないか又はリアルタイム表示データRよりも少ない頻度で送信するので、競り中のトラフィック量が小さくなり、競りに参加可能な買い手数を増加させても、全買い手での競り価格のリアルタイム性を担保することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の映像オークション・システムは、会場型オークションに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例1に係る映像オークション・システムを示す構成説明図である。
【図2】競り開始前の映像を示す例示図である。
【図3】競り中の映像を示す例示図である。
【符号の説明】
【0021】
1 Aレーン競りサーバ
2 Bレーン競りサーバ
10 ホスト
11 オーバーレイ表示フォーマット設定部
12 ルーティング処理部
13 通信インターフェース部
20 映像オークション用ディスプレイ装置
21 通信インターフェース部
22 データ分離部
23 オーバーレイ表示フォーマット保持部
24 表示データ保持部
25 オーバーレイ処理部
26 LCD表示部
100 映像オークション・システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト(10)と該ホスト(10)に通信回線(30)で接続された映像オークション用ディスプレイ装置(20)とを備えた映像オークション・システムであって、前記ホスト(10)は、一つの競り商品についての競り開始前に競り中に変化しない固定表示データ(S)と競り中に変化するリアルタイム表示データ(R)とを前記映像オークション用ディスプレイ装置(20)へ送信し、競り中は前記リアルタイム表示データ(R)を前記映像オークション用ディスプレイ装置(20)へ繰り返し送信し且つ前記固定表示データ(S)は送信しないか又は前記リアルタイム表示データ(R)よりも少ない頻度で送信し、前記映像オークション用ディスプレイ装置(20)は、最新の前記固定表示データ(S)と最新の前記リアルタイム表示データ(R)とに基づく映像を表示することを特徴とする映像オークション・システム(100)。
【請求項2】
請求項1に記載の映像オークション・システム(100)において、前記ホスト(10)は、前記固定表示データ(S)と前記リアルタイム表示データ(R)とを合成するためのフォーマットを含む制御データ(C)を前記前記映像オークション用ディスプレイ装置(20)へ送信し、前記映像オークション用ディスプレイ装置(20)は、最新の前記固定表示データ(S)と最新の前記リアルタイム表示データ(R)とを前記フォーマットに基づいて合成して映像を作成することを特徴とする映像オークション・システム(100)。
【請求項3】
通信回線から通信データを受信するための通信インタフェース部(21)と、前記通信データから一つの競り商品についての競り中に変化しない固定表示データ(S)および競り中に変化するリアルタイム表示データ(R)を分離抽出するデータ分離部(22)と、最新の前記固定表示データ(S)と最新の前記リアルタイム表示データ(R)とに基づく映像を作成するオーバーレイ処理部(25)と、前記映像を表示する映像表示部(26)とを具備したことを特徴とする映像オークション用ディスプレイ装置(20)。
【請求項4】
請求項3に記載の映像オークション用ディスプレイ装置(20)において、前記データ分離部(22)は、前記通信データから前記固定表示データ(S)と前記リアルタイム表示データ(R)とを合成するためのフォーマットを含む制御データ(C)を分離し、前記オーバーレイ処理部(25)は、最新の前記固定表示データ(S)と最新の前記リアルタイム表示データ(R)とを前記フォーマットに基づいて合成して映像を作成することを特徴とする映像オークション用ディスプレイ装置(20)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−150568(P2007−150568A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−340574(P2005−340574)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(000003414)東京特殊電線株式会社 (173)
【出願人】(502247961)株式会社メディアリンク・アイ (6)
【Fターム(参考)】