説明

映写用スクリーン装置

【課題】映写用スクリーンをゆるみやしわを生ずることなく緊張して平面状に張ることができると共に、60型乃至30型のスクリーンをA4サイズ程度に折り畳んで、小型カバンやケースに収納できる映写用スクリーン装置を提供する。また、軽量、簡単、安価に製作できる映写用スクリーン装置を提供する。
【解決手段】バインダー類似の開閉板20Aと、開閉板20Aの両端に固着又は係着する伸縮性スクリーン10Aとを備えて、伸縮性スクリーン10Aを使用するときは、開閉板20Aを開いて固定し、使用しないときは、開閉板20Aを閉じて伸縮性スクリーン10Aを内部に折り込めるようにした映写用スクリーン装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性の映写用スクリーンを備えた映写用スクリーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の映写用スクリーン装置で、軽く、小型にでき、携帯に便利なものが、特開平09−230505号公報等に示されているが、映写用スクリーンを卓上で手軽に使用できる60型乃至30型タイプでは、バインダー類似の開閉板形式では、小型カバンやケースに収納して小型軽量に携帯できるものは製作が困難であった。また、この種の映写用スクリーン装置は、書類を綴じ込むバインダー類似の開閉板を使用するので、従来のスクリーン材質のものは開閉板を大きく開いてもスクリーン映写面に僅少のゆるみやしわが生じ、写り出された映像が歪む欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−230505号公報
【特許文献2】特開平09−230503号公報
【特許文献3】特開平10−48749号公報
【特許文献4】特開2003−15226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、映写用スクリーンを使用するときは、ゆるみやしわを生ずることなく平面状に緊張して張ることができるようにした映写用スクリーン装置を提供するものである。
また、本発明は、卓上で使用できる60型乃至30型タイプの映写用スクリーンをA4サイズ程度に折り畳んで、小型カバンやケースに収納できるようにした映写用スクリーン装置を提供するものである。
さらに、本発明は、軽量で簡単安価に製作できる映写用スクリーン装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明映写用スクリーン装置の請求項1の発明は、上記課題を達成するため、図示するように、書類を綴じ込んで開閉する板状物からなるバインダーに類似する開閉板と、前記開閉板の両端に係着又は固着する伸縮性の布はく、ゴム・合成樹脂シート又はフィルム等からなる伸縮性スクリーンとを備えて、前記伸縮性スクリーンを使用するときは、前記開閉板を開いて前記伸縮性スクリーンを引き延ばして平面状に緊張させ、前記伸縮性スクリーンを使用しないときは、前記開閉板を閉じて、内部に前記伸縮性スクリーンを折り込めるようにしたものである。
また、本発明映写用スクリーン装置の請求項2の発明は、上記課題を達成するため、図示するように、請求項1記載の発明において、前記伸縮性スクリーンが、両端に前記開閉板の表面側を囲繞するバックシート又はバック紐状物の両端をそれぞれ連結しているものである。
また、本発明映写用スクリーン装置の請求項3の発明は、上記課題を達成するため、図示するように、請求項1記載の発明において、前記開閉板が、前記板状物の一方を折り曲げ基部から切目により分割し、前記板状物の他方を前記折り曲げ基部から折目により折り曲げ可能に形成して、折り畳み可能にしているものである。
また、本発明映写用スクリーン装置の請求項4の発明は、上記課題を達成するため、図示するように、請求項1記載の発明において、前記開閉板が、前記板状物の一方及び前記板状物の他方の各裏面にそれぞれ面ファスナーを設け、これに着脱する1対の面ファスナーを止着板に設けて、前記開閉板を開くときは、前記各板状物の面ファスナーに前記止着板の各面ファスナーを止着し、前記開閉板を閉じるときは、前記止着板の各面ファスナーを前記各板状物の面ファスナーから離脱すると共に、前記板状物のいずれかの面ファスナーに前記止着板のいずれかの面ファスナーを着脱可能に取りつけるものである。
さらに、本発明映写用スクリーン装置の請求項5の発明は、上記課題を達成するため、図示するように、請求項1記載の発明において、前記開閉板が、前記板状物の一方及び前記板状物の他方の各裏面にそれぞれレールホルダーを設けると共に、前記板状物のいずれかの裏側に面ファスナーを取りつけ、これに着脱する面ファスナーをもつと共に、前記板状物のレールホルダーに両端を差し込める差込板を設けて、前記開閉板を開くときは、前記各板状物の前記レールホルダーに前記差込板の両端を差し込んで止着し、前記開閉板を閉じるときは、前記差込板を前記各板状物の前記レールホルダーから離脱すると共に、前記板状物の面ファスナーに前記差込板の面ファスナーを着脱可能に取りつけるものである。
本発明において、開閉板は、厚紙、合成樹脂板等の材質からなり、折り曲げ基部は、開閉できるようにしたコ字形、L字形等に形成される。
伸縮性スクリーンは、伸縮性布はく、伸縮性ゴムシート、合成樹脂シート又はフィルム等からなる。
バックシート又は紐状物は、伸縮性シート又は伸縮性フィルム又は伸縮性紐状物のほか伸縮性のないシート又はフィルム又は紐状物でもよい。
開閉板の板状物の切目は、バックシートがあるときは、その被覆により折目と同じ作用がえられ、また、バックシートがないときも切目に設けられた貼着テープにより折目と同様な作用が得られる。
面ファスナーは、ループ状の小突起を多数設けたものとフック状の小突起を多数設けたものとの面接触による止着を利用した公知のものである。
面ファスナーの代わりに公知の磁石板や鳩目ホック等を利用してもよい。
レールホルダーは、書類の側端に差し込んでスライドすることにより書類を押さえて保存又は差し替え可能にした公知の文具である。
【発明の効果】
【0006】
本発明映写用スクリーン装置は、使用するときは、映写用スクリーンが引き延ばされて、たるみやしわを生ずることなく、平面状に緊張して拡大して張ることができ、また、使用しないときは、折目を発生することなく縮小して折り畳むことができる。
また、本発明映写用スクリーン装置は、映写用スクリーンを支持する開閉板も切目又は折目により小さく折り畳むことができるので、60型乃至30型タイプに対応する開閉板でも伸縮性スクリーンと共に小型カバンやケースに収納できる。
さらに、本発明品は、軽量で簡単構造かつ安価に製作できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施例を示す斜視図である。
【図2】図1の伸縮性スクリーンをある程度引き延ばしたときの裏面からみた説明図である。
【図3】図1を折り畳んだときの斜視図である。
【図4】本発明の別の実施例を示す斜視図である。
【図5】図4の伸縮性スクリーンをある程度引き延ばしたときの裏面からみた説明図である。
【図6】図4を折り畳んだときの斜視図である。
【図7】本発明のさらに別の実施例を示す斜視図である。
【図8】図7の伸縮性スクリーンをある程度引き延ばしたときの正面からみた説明図である。
【図9】図7を折り畳んだときの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明映写用スクリーン装置を実施するための最良の形態が実施例1乃至実施例3に示されている。
【実施例1】
【0009】
本発明映写用スクリーン装置の実施例1が図1乃至図3に示されている。本発明実施例の映写用スクリーン装置は、伸縮性スクリーン10Aと、開閉板20Aと、止着板30Aとからなる。
伸縮性スクリーン10Aは、伸縮性布はく製のもので、図2に示すように、両端にポケット111A及び111Aを縫着している。各ポケット111Aの端部には紐状物1101Aを設けてもよい。
開閉板20Aは、折り曲げ基部21Aから断面コ字状に1対の板状物22A及び22Aが形成され、各板状物22Aには2個の面ファスナー2211Aが貼着されると共に、一方の板状物22Aには2つ折りできるように、折り曲げ基部21Aの折り曲げ線から側端221Aまでの間に、切目220Aが設けられ、折り返し可能に貼着テープ2201Aが貼着されている。
他方の板状物22Aには、2つ折りできるように、折り曲げ基部21Aの折り曲げ線から側端221Aまで折目222Aが設けられている。
止着板30Aは、開閉板20Aを開いて、伸縮性スクリーン10Aを引き延ばして、たるみなく、しわなく平面状に張る位置において、開閉板20Aの各板状物22Aの裏面に設けられた面ファスナー2211Aに当接して止着できるように、両側に面ファスナー31Aが2個づつ貼着されている。
次いで、開閉板20Aの各板状物22Aを開いて各側端221Aに伸縮性スクリーン10Aの各ポケット111Aを差し込んで係着し、場合によっては、バック紐状物1101Aを開閉板20Aの表面側に囲繞するように各ポケット111Aに連結すれば、繰り返し開閉板20Aの開閉にも係着できることになる。
従って、伸縮性スクリーン10Aを使用するときは、開閉板20Aの各板状物22Aを開いて、止着板30Aの両端の各面ファスナー31Aを各板状物22Aの各面ファスナー2211Aに止着して、伸縮性スクリーン10Aを引き延ばして平面状に緊張させ、伸縮性スクリーン10Aを使用しないときは、止着板30Aの両端の各面ファスナー31Aを各板状物22Aの各面ファスナー2211Aから離脱して、各板状物22Aを伸縮性スクリーン10Aを内部に折り込むように閉じると共に、切目220A及び折目222Aを介して2つ折りすれば小さく折り畳むことができる。
【実施例2】
【0010】
本発明映写用スクリーン装置の実施例2が図4乃至図6に示されている。本発明実施例の映写用スクリーン装置は、伸縮性スクリーン10Bと、開閉板20Bと、止着板30Bとからなる。
伸縮性スクリーン10Bは、伸縮性合成樹脂フィルム製のもので、図5に示すように、伸縮性スクリーン10Bとその両端に伸縮性バックシート11Bの両端を固着すると共に、伸縮性スクリーン10Bの両端にポケット部111Bを形成できるように固着している。
開閉板20Bは、折り曲げ基部21Bから断面L字状に1対の板状物22B及び22Bが形成され、各板状物22Bにはそれぞれ断面U字状のレールホルダー2211Bが貼着されると共に、一方の板状物22Bにはさらに面ファスナー2212Bが貼着されている。
差込板30Bは、開閉板20Bを開いて、伸縮性スクリーン10Bを引き延ばして、たるみなく平面状に張る位置において、開閉板20Bの各板状物22Bの裏面に設けられたレールホルダー2211Bに両側端31B、31Bを差し込みできるようにすると共に、面ファスナー32Bを貼着して板状物22Bの面ファスナー2212Bと止着できるように形成している。
次いで、開閉板20Bの各板状物22Bを開いて各側端221Bに伸縮性スクリーン10Bの各ポケット部111Bを差し込んで係着すると共に、開閉板20Bの表面側に囲繞するようにバックシート11Bを囲繞すれば、繰り返し開閉板20Bの開閉にも脱離することなく係着できることになる。
従って、伸縮性スクリーン10Bを使用するときは、開閉板20Bの各板状物22Bを開いて、差込板30Bの両側端31B、31Bを各板状物22の各レールホルダー2211Bに差し込んで止着すれば、伸縮性スクリーン10Bを引き延ばして平面状に緊張させることができ、伸縮性スクリーン10Bを使用しないときは、差込板30Bの両側端31B、31Bを各板状物22Bの各レールホルダー2211Bから剥離して、差込板30Bの面ファスナー32Bを一方の板状物22Bの面ファスナー2212Bに止着すると共に、各板状物22Bを伸縮性スクリーン10Bを内部に折り込むように閉じると、小さく折り畳むことができる。
【実施例3】
【0011】
本発明映写用スクリーン装置の実施例3が図7乃至図9に示されている。本発明実施例の映写用スクリーン装置は、伸縮性スクリーン10Cと、開閉板20Cと、止着板30Cとからなる。
伸縮性スクリーン10Cは、伸縮性布はく製のもので図8に示すように、伸縮性スクリーン10Cとその両端に伸縮性バックシート11Cの両端を縫着すると共に、伸縮性スクリーン10Cの両端にポケット部111Cを形成できるように縫着している。
開閉板20Cは、折り曲げ基部21Cから断面コ字状に1対の板状物22C及び22Cが形成され、各板状物22Cには2個の面ファスナー2211Cが貼着されると共に、一方の板状物22には、さらに面ファスナー2212Cが貼着されている。
止着板30Cは、開閉板20Cを開いて、伸縮性スクリーン10Cを引き延ばして、たるみなく平面状に張る位置において、開閉板20Cの各板状物22Cの裏面に設けられた面ファスナー2211Cに止着できるよう両側に面ファスナー31Cが2個ずつ貼着されると共に、面ファスナー32Cを貼着して板状物22Cの面ファスナー2212Cと止着できるように形成している。
次いで、開閉板20Cの各板状物22Cを開いて各側端221Cに伸縮性スクリーン10Cのバックシート11Cの各ポケット部111Cを差し込んで止着すると共に、開閉板20Cの表面側に囲繞するようにバックシート11Cを開閉板20Cの表側に囲繞する。
従って、伸縮性スクリーン10Cを使用するときは、開閉板20Cの各板状物22Cを開いて、止着板30Cの両端の面ファスナー31Cを各板状物22の各面ファスナー2211Cに当接して止着すれば、伸縮性スクリーン10Cを引き延ばして平面状に緊張させることができ、伸縮性スクリーン10Cを使用しないときは、止着板30Cの各面ファスナー31Cを各板状物22Cの各面ファスナー2211Cから剥離して、各板状物22Cを伸縮性スクリーン10Cを内部に折り込むように閉じ、切目221C及び折目220Cを折り込めば小さく折り畳むことができる。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明品は、小型、軽量、折り畳み可能で量産できる。
【符号の説明】
【0013】
10A、10B、10C 伸縮性スクリーン
11A、11B、11C バックシート
20A、20B、20C 開閉板
21A、21B、21C 開閉板の折り曲げ基部
22A、22B、22C 板状物
220A、220C 切目
2211A、2211C 面ファスナー
2211B レールホルダー
222A、222C 折目
30A、30C 止着板
30B 差込板
31A、31C 止着板の面ファスナー



【特許請求の範囲】
【請求項1】
書類を綴じ込んで開閉する板状物からなるバインダーに類似する開閉板と、前記開閉板の両端に係着又は固着する伸縮性の布はく、ゴム・合成樹脂シート又はフィルム等からなる伸縮性スクリーンとを備えて、前記伸縮性スクリーンを使用するときは、前記開閉板を開いて前記伸縮性スクリーンを引き延ばして平面状に緊張させ、前記伸縮性スクリーンを使用しないときは、前記開閉板を閉じて、内部に前記伸縮性スクリーンを折り込めるようにしたことを特徴とした映写用スクリーン装置。
【請求項2】
前記伸縮性スクリーンが、両端に前記開閉板の表面側を囲繞するバックシート又はバック紐状物の両端をそれぞれ連結していることを特徴とした請求項1記載の映写用スクリーン装置。
【請求項3】
前記開閉板が、前記板状物の一方を折り曲げ基部から切目により分割し、前記板状物の他方を前記折り曲げ基部から折目により折り曲げ可能に形成して、折り畳み可能にしていることを特徴とした請求項1又は2記載の映写用スクリーン装置。
【請求項4】
前記開閉板が、前記板状物の一方及び前記板状物の他方の各裏面にそれぞれ面ファスナーを設け、これに着脱する1対の面ファスナーを止着板に設けて、前記開閉板を開くときは、前記各板状物の面ファスナーに前記止着板の各面ファスナーを止着し、前記開閉板を閉じるときは、前記止着板の各面ファスナーを前記各板状物の面ファスナーから離脱すると共に、前記板状物のいずれかの面ファスナーに前記止着板のいずれかの面ファスナーを着脱可能に取りつけることを特徴とした請求項1、2又は3記載の映写用スクリーン装置。
【請求項5】
前記開閉板が、前記板状物の一方及び前記板状物の他方の各裏面にそれぞれレールホルダーを設けると共に、前記板状物のいずれかの裏側に面ファスナーを取りつけ、これに着脱する面ファスナーをもつと共に、前記板状物のレールホルダーに両端を差し込める差込板を設けて、前記開閉板を開くときは、前記各板状物の前記レールホルダーに前記差込板の両端を差し込んで止着し、前記開閉板を閉じるときは、前記差込板を前記各板状物の前記レールホルダーから離脱すると共に、前記板状物の面ファスナーに前記差込板の面ファスナーを着脱可能に取りつけることを特徴とした請求項1、2、3又は4記載の映写用スクリーン装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−257569(P2011−257569A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131585(P2010−131585)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(000104515)キソ化成産業株式会社 (14)
【復代理人】
【識別番号】100080724
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 久喜
【復代理人】
【識別番号】100092749
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 得二
【Fターム(参考)】