時刻修正装置、時刻修正装置付き計時装置及び時刻修正方法
【課題】時差等が変化する状況下にあっても、利用者にとって使い易く且つ、精度の高い時刻修正が可能な時刻修正装置等を提供すること。
【解決手段】受信部24が時系列に取得した複数の地域時刻補正情報56aと、修正時刻情報55aは、基本時刻情報及び地域時刻補正情報に基づいて生成され、修正時刻情報を生成するときに参照する地域時刻補正情報を選択するための地域時刻補正情報選択情報45aを有し、修正時刻情報生成部は、地域時刻補正情報選択情報に基づき選択された一の地域時刻補正情報に基づき修正時刻情報を生成し、時刻情報修正部は、一の地域時刻補正情報に基づき生成された修正時刻情報に基づき時刻表示部13の表示時刻情報25を修正する構成となっている時刻修正装置10。
【解決手段】受信部24が時系列に取得した複数の地域時刻補正情報56aと、修正時刻情報55aは、基本時刻情報及び地域時刻補正情報に基づいて生成され、修正時刻情報を生成するときに参照する地域時刻補正情報を選択するための地域時刻補正情報選択情報45aを有し、修正時刻情報生成部は、地域時刻補正情報選択情報に基づき選択された一の地域時刻補正情報に基づき修正時刻情報を生成し、時刻情報修正部は、一の地域時刻補正情報に基づき生成された修正時刻情報に基づき時刻表示部13の表示時刻情報25を修正する構成となっている時刻修正装置10。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばCDMA(Code Division Multiple Access、符号分割多重接続)方式の携帯電話通信網で基地局から発信される信号に含まれる時刻情報に基づいて時刻修正を行う時刻修正装置、時刻修正装置付き計時装置及び時刻修正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、CDMA方式の携帯電話通信網で基地局から携帯電話機に対して発信される信号には、時刻情報が含まれ、この時刻情報は、GPS(Global Positioning System)衛星の原子時計に基づくGPS時刻に合致した極めて精度の高い時刻情報となっている。
したがって、このCDMA方式の携帯電話通信網で基地局から送信されるGPS時刻データを端末が取得し、このGPS時刻データを用いて内蔵時計の時刻データを補正しようとする提案がなされている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2000−321383号公報(要約等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような、CDMA方式の携帯電話通信網で基地局から送信される時刻データには、ローカルオフセット時間情報、すなわち、UTC(世界協定時)からの時差情報等が含まれている。このため、基地局から送信されたデータに基づいて補正される時刻は、当該地域の時差に合わせた時刻とすることができる。
しかし、例えば、アメリカ合衆国のように、同一国内でも州が異なれば時差が変わることがあり、このような時差が異なる地域を日常的に移動している人々が、上述のCDMA方式の基地局からの時刻情報に基づいて時刻修正を行う時計等の機器を所持する場合がある。
この場合、時計等の機器が時刻修正をする際に、偶然所在した地域の時差に基づいて時刻修正をするため、本来、日常的に活動している地域の時刻は表示されないという事態が生じる。この場合は、CDMA方式の基地局からの時刻情報に基づき精度良く時刻修正することが、逆に利用者にとって、その所持する機器を使い難くするという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、時差等が変化する状況下にあっても、利用者にとって使い易く且つ、精度の高い時刻修正が可能な時刻修正装置、時刻修正装置付き計時装置及び時刻修正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題は、本発明によれば、基地局からの信号を受信する受信部と、前記受信部が通信を行うための電力を供給する電源部と、時刻表示部の表示時刻情報を修正する時刻情報修正部と、前記時刻表示部が前記表示時刻情報を修正するための修正時刻情報を格納する修正時刻情報格納部と、前記修正時刻情報を生成するための修正時刻情報生成部と、を有する時刻修正装置であって、前記受信部が受信した前記信号は、少なくとも、前記基地局の所在によって変化しない基本時刻情報と、この基本時刻情報を当該基地局が所在する地域の地域時刻情報に補正するために地域時刻補正情報と、を含み、前記受信部が前記地域時刻補正情報を時系列に取得した複数の前記地域時刻補正情報を格納する地域時刻補正情報格納部を有し、前記修正時刻情報は、少なくとも、前記基本時刻情報及び前記地域時刻補正情報に基づいて生成され、前記修正時刻情報生成部が前記修正時刻情報を生成するときに参照する前記地域時刻補正情報を選択するための地域時刻補正情報選択情報を格納する地域時刻補正情報選択情報格納部を有し、前記修正時刻情報生成部は、少なくとも、前記地域時刻補正情報選択情報に基づき選択された一の前記地域時刻補正情報に基づき前記修正時刻情報を生成し、前記時刻情報修正部は、前記一の前記地域時刻補正情報に基づき生成された前記修正時刻情報に基づき前記時刻表示部の前記表示時刻情報を修正する構成となっていることを特徴とする時刻修正装置により達成される。
【0006】
前記構成によれば、修正時刻情報は、少なくとも、基本時刻情報及び地域時刻補正情報に基づいて生成されるので、時刻修正は、当該地域の例えば時差情報を考慮した地域時間(例えば、カリフォルニア時間等)として行われるので、使い易い時刻情報となっている。
また、受信部が地域時刻補正情報を時系列に取得した複数の地域時刻補正情報を格納する地域時刻補正情報格納部を有し、修正時刻情報生成部は、少なくとも、地域時刻補正情報選択情報に基づき選択された一の地域時刻補正情報に基づき修正時刻情報を生成する構成となっている。そして、時刻情報修正部は、一の地域時刻補正情報に基づき生成された修正時刻情報に基づき時刻表示部の表示時刻情報を修正する構成となっている。
このため、時刻修正装置の所持者が例えば、アメリカ合衆国等で頻繁に時差を跨ぐ移動をする場合等でも、その頻繁に跨ぐ時差、例えば1時間では、時差変更がなかったものと扱うように地域時刻補正情報選択情報を設定することで、時差変更を行うことなく時刻修正を実施することができる。このため、頻繁な時差の変更を回避しつつ、精度の高い時刻修正を行うことが可能となり、所持者にとって使い易い時刻修正装置となる。
【0007】
好ましくは、利用者に対して情報を表示する表示部と、前記表示部を制御する表示制御部と、前記時刻情報修正部は、前記複数の地域時刻補正情報のそれぞれに基づいて複数の前記修正時刻情報を生成し、前記表示制御部が前記複数の前記修正時刻情報を、前記表示部に表示する構成となっており、前記表示部に表示された前記複数の前記修正時刻情報を利用者が選択するための表示選択部を有することを特徴とする時刻修正装置である。
【0008】
前記構成によれば、時刻情報修正部は、複数の地域時刻補正情報のそれぞれに基づいて複数の修正時刻情報を生成し、表示制御部が複数の修正時刻情報を、表示部に表示する構成となっており、表示部に表示された複数の修正時刻情報を利用者が選択するための表示選択部が時刻修正装置に備わっている。
このため、地域時刻補正情報格納部に複数の地域時刻補正情報が格納されている場合は、それらについて、それぞれ修正時刻情報を生成し、生成されたそれぞれの修正時刻情報を表示部に表示することができる。
そして、その表示された修正時刻情報のうち利用者が好ましい修正時刻情報を選択し、決定することができる。
したがって、地域時刻補正情報選択情報で、一の地域時刻補正情報を選択した場合でも、選択された一の地域時刻補正情報に基づく修正時刻情報と、選択されなかった地域時刻補正情報に基づく修正時刻情報を共に表示部に表示することができる。このため、利用者が地域補正情報選択情報にかかわらず、その好ましい修正時刻情報を採択することができる。
つまり、地域時刻補正情報選択情報で、例えば前回に取得した地域時刻補正情報である例えば、ローカルオフセット時刻情報と、今回取得したロールオフセット時刻情報が、例えば30分の時差の範囲を超える場合は、超えた場合のローカルオフセット時刻情報を用いるとされていた場合でも、一律に30分を超えるローカルオフセット時刻情報に基づいて時刻修正を行うのではなく、前回と今回のローカルオフセット時刻情報に基づき生成した修正時刻情報を共に表示し、利用者の選択にとって利便性が高い時刻修正装置となる。
【0009】
好ましくは、前記地域時刻補正情報選択情報が、前記表示選択部が選択する前記修正時刻情報に基づき変化する構成となっていることを特徴とする時刻修正装置である。
【0010】
前記構成によれば、地域時刻補正情報選択情報が、表示選択部が選択する前記修正時刻情報に基づき変化する構成となっているので、利用者の利便性の要請が変化した場合でも、その変化に対応した地域時刻補正情報選択情報となる。
例えば、一旦、地域時刻補正情報選択情報を、前回に取得した地域時刻補正情報である例えば、ローカルオフセット時刻情報と、今回に取得したロールオフセット時刻情報が、例えば30分の時差の範囲を超える場合は、超えた場合のローカルオフセット時刻情報を用いるとされていた場合でも、利用者が前回のローカルオフセット時刻情報を選択したときは、この地域時刻補正情報選択情報を、例えば1時間に変化させることができる。
これにより、次回からは、ローカルオフセット時刻情報が、例えば、30分の時差を超える場合でも1時間以内であれば、前回のローカルオフセット時刻情報に基づいて時刻修正されるので、利用者の要請の変化にかなう時刻修正を行うことができる。
【0011】
好ましくは、前記受信部が受信した前記信号には、前記受信部が受信する時刻である受信時刻情報から所定時間経過後の未来時刻情報が含まれ、前記未来時刻情報と前記受信時刻情報との差分時間情報を格納する差分時間情報格納部と、少なくとも、前記受信部が受信した前記未来時刻情報と前記差分時間情報に基づいて前記受信部の受信時刻情報を生成する受信時刻情報生成部と、を有し、前記修正時刻情報生成部は、前記受信時刻情報生成部で生成された前記受信時刻情報と、少なくとも、時刻修正装置の処理時間情報に基づき、前記修正時刻情報を生成する構成となっていることを特徴とする時刻修正装置である。
【0012】
前記構成によれば、時刻修正装置の受信部が受信する信号には、受信部が受信する時刻である受信時刻情報から所定時間経過後の未来時刻情報となっている。また、時刻修正装置は、この受信時刻情報と未来時刻情報との差分時間情報を有している。
また、時刻修正装置は、この未来時刻情報と差分時間情報に基づき受信時刻情報を生成する受信時刻情報生成部を有している。
このため、この受信時刻情報生成部によって、時刻修正装置が受信した受信時刻情報を正確に取得することができる。
したがって、前記構成では、従来のように基地局から受信した未来時間について、当該未来時刻となるまで、受信部が信号を受信し続けなくても、正確な時刻情報を取得できる。このため、時刻修正装置の受信部は、未来時刻情報を取得した後、信号を受信し続ける必要がなく、受信部が信号を受信しない状態とすることができる。
以上から、従来と比べ、信号を受信する時間を大幅に減らすことができ、消費電力を大幅に少なくすることができる。つまり、前記構成では、超低電力が求められる機器等にも対応可能な時刻修正装置となる。
【0013】
ところで、上述の受信時刻情報で時刻修正装置の時刻情報修正部が時刻表示部を修正すると、この受信時刻情報を算出等するために同装置が動作等した時間だけ時刻が相違することになる。
時刻修正装置は、修正時刻情報生成部が、少なくとも、上述の受信時刻情報と処理時間情報に基づいて、修正時刻情報を生成する構成を有している。
すなわち、前記構成の時刻修正装置は、同装置内で、かかる受信時刻情報生成部が動作等する時間である処理時間情報を有し、この処理時間情報に基づき、最終的に時刻情報表示部を修正することで、極めて精度の高い時刻修正を可能としている。
【0014】
好ましくは、前記受信部が受信する前記信号は、少なくとも、GPS衛星のGPS時刻情報、前記基地局から発信される信号の基地局誤差時間情報、前記基本時刻情報である前記GPS時刻情報を世界協定時(UTC)に換算するUTC換算情報及び前記地域時刻補正情報である地域時間に換算する地域時間換算情報を有し、前記受信時刻情報生成部は、少なくとも、前記GPS時刻情報、前記UTC換算情報、前記地域時間換算情報、前記基地局誤差時間情報及び前記差分情報に基づいて前記受信時刻情報を生成する構成となっていることを特徴とする時刻修正装置である。
【0015】
前記構成によれば、受信部が受信する信号は、時刻情報は、GPS時刻情報を有している。これは地球の上空を周回するGPS衛星内の原子時計のデータであり、極めて正確な時間情報である。また、信号は、基地局誤差時間情報を有している。この基地局誤差時間情報は、信号の受信側がどの基地局からの信号を受信したかを識別するため、時刻を違えて信号を送信している情報であり、例えば、64チップ(0.052ms)単位ずつ時刻を違えて送信している。受信側はこの時刻誤差を把握することで、基地局を特定することができることなる。
したがって、時刻修正装置は、GPS時刻情報と、基地局誤差時間情報で、誤差がないより正確な実際の受信時刻情報を取得することが可能な構成となっている。
【0016】
また、信号は、GPS時刻情報を世界協定時に換算するUTC換算情報や地域時間に換算する地域時間換算情報を有し、受信時刻情報生成部は、少なくとも、GPS時刻情報、UTC換算情報、地域時間換算情報、基地局誤差時間情報及び差分情報に基づいて前記受信時刻情報を生成する構成となっている。
このため、GPS時刻を世界協定時に直し、さらに地域時間(例えば、日本時間)に直すことができるので、時刻修正装置が修正しようとする時刻情報表示部が所在する国や地域等における時差を考慮した当該国及び地域の時間を正確に取得することができる。
【0017】
好ましくは、前記受信部が受信する前記信号には、季節時間に換算する季節時間情報が含まれることを特徴とする時刻修正装置である。
【0018】
前記構成によれば、時刻情報には、季節時間に換算する季節時間情報が含まれているので、地域によってサマータイム等の季節時間が変更する場合でも、この変更する季節時間に合った時刻を正確に取得することができる。
【0019】
好ましくは、前記基地局から発信される信号が、CDMA(Code Division Multiple Access、符号分割多重接続)方式の携帯電話通信網で基地局から発信される信号であることを特徴とする時刻修正装置である。
【0020】
前記構成によれば、基地局から発信される信号が、CDMA(Code Division Multiple Access、符号分割多重接続)方式の携帯電話通信網で基地局から発信される信号であるので、CDMA方式の携帯電話通信網を利用することで、精度の高い時刻修正をすることができる。
【0021】
前記課題は、本発明によれば、基地局からの信号を受信する受信部と、前記受信部が通信を行うための電力を供給する電源部と、表示時刻情報を表示する時刻表示部と、前記時刻表示部の表示時刻情報を修正する時刻情報修正部と、前記時刻表示部が前記表示時刻情報を修正するための修正時刻情報を格納する修正時刻情報格納部と、前記修正時刻情報を生成するための修正時刻情報生成部と、を有する時刻修正装置付き計時装置であって、前記受信部が受信した前記信号は、少なくとも、前記基地局の所在によって変化しない基本時刻情報と、この基本時刻情報を当該基地局が所在する地域の地域時刻情報に補正するために地域時刻補正情報と、を含み、前記受信部が前記地域時刻補正情報を時系列に取得した複数の前記地域時刻補正情報を格納する地域時刻補正情報格納部を有し、前記修正時刻情報は、少なくとも、前記基本時刻情報及び前記地域時刻補正情報に基づいて生成され、
前記修正時刻情報生成部が前記修正時刻情報を生成するときに参照する前記地域時刻補正情報を選択するための地域時刻補正情報選択情報を格納する地域時刻補正情報選択情報格納部を有し、前記修正時刻情報生成部は、少なくとも、前記地域時刻補正情報選択情報に基づき選択された一の前記地域時刻補正情報に基づき前記修正時刻情報を生成し、前記時刻情報修正部は、前記一の前記地域時刻補正情報に基づき生成された前記修正時刻情報に基づき前記時刻表示部の前記表示時刻情報を修正する構成となっていることを特徴とする時刻修正装置付き計時装置である。
【0022】
前記課題は、本発明によれば、基地局からの信号を受信する受信部と、前記受信部が通信を行うための電力を供給する電源部と、時刻表示部の表示時刻情報を修正する時刻情報修正部と、前記時刻表示部が前記表示時刻情報を修正するための修正時刻情報を格納する修正時刻情報格納部と、前記修正時刻情報を生成するための修正時刻情報生成部と、を有する時刻修正方法であって、前記受信部が受信した前記信号は、少なくとも、前記基地局の所在によって変化しない基本時刻情報と、この基本時刻情報を当該基地局が所在する地域の地域時刻情報に補正するために地域時刻補正情報と、を含み、前記受信部が前記地域時刻補正情報を時系列に複数取得し、地域時刻補正情報格納部に格納する地域時刻補正情報取得工程と、前記修正時刻情報生成部が、少なくとも、前記基本時刻情報及び前記地域時刻補正情報に基づいて前記修正時刻情報を生成する修正時刻情報生成工程と、前記修正時刻情報生成部が前記修正時刻情報を生成するときに参照する前記地域時刻補正情報を選択するための地域時刻補正情報選択情報を格納する地域時刻補正情報選択情報格納部を有し、前記修正時刻情報生成部は、前記修正時刻情報生成工程で、少なくとも、前記地域時刻補正情報選択情報に基づき選択された一の前記地域時刻補正情報に基づき前記修正時刻情報を生成し、前記時刻情報修正部は、前記一の前記地域時刻補正情報に基づき生成された前記修正時刻情報に基づき前記時刻表示部の前記表示時刻情報を修正することを特徴とする時刻修正方法により達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0024】
図1は、本発明に係る時刻修正装置付き計時装置である例えば、時刻修正装置付き腕時計10(以下「腕時計」という)を示す概略図であり、図2は、図1の腕時計10の内部の主なハードウエア構成等を示す概略図である。
図1に示すように、腕時計10は、その表面に文字板12、長針、短針等の針13等が配置されると共に、各種メッセージが表示されるLED等からなるディスプレイ14が形成されている。なお、ディスプレイ14は、LEDの他、LCD、アナログ表示等でも構わない。
【0025】
また、図1に示すように、腕時計10は、アンテナ11を有しており、このアンテナ11は、CDMA基地局15a、15b等からの信号を受信する構成となっている。つまり、CDMA基地局15a等は、CDMA方式の携帯電話通信網の基地局となっている。
しかし、本実施の形態の腕時計10は携帯電話機能を有していないためのCDMA基地局15a等と電話通信をするものではなく、CDMA基地局15a等から送信される信号から時刻情報等を受信し、その信号に基づいて時刻修正をしようとするものである。CDMA基地局15a等から送信される信号も内容については後述する。
また、図1に示すように、腕時計10には、その利用者が操作可能なりゅうず28が形成されている。
このディスプレイ14は、利用者に対して情報を表示する表示部の一例となっている。
【0026】
先ず、図1の腕時計10のハードウエア構成等について説明する。図2に示すように、腕時計10はバス20を備え、バス20には、CPU(Central Processing Unit)21、RAM(Random Access Memory)22、ROM(Read Only Memory)23等が接続されている。
また、バス20には、CDMA基地局15a等からの信号を受信する受信部である例えば、CDMA基地局電波受信機24が接続されている。このCDMA基地局電波受信機24は、図1のアンテナ11を有している。
また、バス20には、時計機構であるIC(半導体集積回路)等からなるリアルタイムクロック(RTC)25や温度補償回路付き水晶発振回路(TCXO)26等も接続されている。
【0027】
このように、図1の文字板12、針13、RTC25及びTCXO26等は、表示時刻情報を表示する時刻表示部の一例となっている。
【0028】
また、バス20には、電池27が接続され、この電池27は、受信部(例えば、CDMA基地局電波受信機24等)が通信を行うための電力を供給する電源部の一例となっている。
【0029】
また、バス20には、図1のディスプレイ14やりゅうず28が接続されている。このように、バス20は、すべてのデバイスを接続する機能を有し、アドレスやデータパスを有する内部バスである。RAM22は、所定のプログラムの処理を行う他、バス20に接続されたROM23等を制御している。ROM23は、各種プログラムや各種情報等を格納している。
【0030】
図3乃至図6は、腕時計10の主なソフトウエア構成等を示す概略図であり、図3は全体図である。
図3に示すように、腕時計10は、制御部29を有し、制御部29は、図3に示す各種プログラム格納部30内の各種プログラム、第1の各種データ記憶部40内の各種データ及び第2の各種データ記憶部50内の各種データを処理する構成となっている。
また、図3には、各種プログラム格納部30、第1の各種データ記憶部40及び第2の各種データ記憶部50と分けて示してあるが、実際に、このようにデータが分けて格納されているわけではなく、説明上の便宜のために分けて記載したものである。
なお、図3の第1の各種データ記憶部40には、主に予め格納されているデータをまとめて示した。また、第2の各種データ記憶部50には、第1の各種データ記憶部40内のデータ等を各種プログラム格納部30内のプログラムで処理した後のデータ等を主に示した。
図4は、図3の各種プログラム格納部30内のデータを示す概略図であり、図5は、図3の第1の各種データ記憶部40内のデータを示す概略図である。また、図6は、図3の第2の各種データ記憶部50内のデータを示す概略図である。
図7乃至図12は、本実施の形態にかかる腕時計10の主な動作等を示す概略フローチャートである。
【0031】
以下、図7乃至図12のフローチャートにしたがって本実施の形態に係る腕時計10の動作等を説明しつつ、その関連で図4乃至図6の各種プログラムや各種データを説明する。
フローチャートの説明に入る前にCDMA方式の携帯電話システムのうち、本実施の形態と関連ある部分を説明する。
CDMA方式の携帯電話システムは米国クアルコム社が開発した方式が1993年に米国の標準方式の一つ「IS95」に採用したことから本格的な運用が開始されており、これ以降、IS95A、IS95B、CDMA2000という改訂を経て現在に至っている。また、日本国ではARIB STD−T53に準じて携帯電話システムが運用されている。
このようなCDMA方式は下り(CDMA基地局15a等から移動局、本実施の形態では腕時計10)は同期通信であるため、腕時計10がCDMA基地局15a等の時刻データと同期する必要がある。CDMA基地局15a等から送信される信号は、具体的には、パイロットチャネル信号と、シンクチャネル信号を有している。パイロットチャネル信号は、CDMA基地局15a等ごとに、異なったタイミングで発信されている信号であり、例えば、パイロットPN信号である。
【0032】
図13は、CDMA基地局15a、15bから送信される信号の同期タイミング等を示す概略図である。
これらのCDMA基地局15a、15bから送信される信号は、同じであるため、この信号がどのCDMA基地局15a等から発信したかを識別するため、各CDMA基地局15a等は、それぞれ他のCDMA基地局15a等と異なるタイミングで信号を発信している。
具体的には、このタイミングの相違は、CDMA基地局15a等が発信するパイロットPN信号の相違として表れる。すなわち、例えば、図13のCDMA基地局15bは、CDMA基地局15aより僅かに遅れたタイミングで信号を発信している。具体的には、64chips(0.052ms(ミリ秒))分だけ、パイロットPNオフセットを設けている。
このように多数のCDMA基地局15a等が存在しても、各CDMA基地局15a等が64chipの整数倍だけ、それぞれ異なるパイロットPNオフセットを設けることで、受信する腕時計10は、どのCDMA基地局15a等からの信号を受信したかを容易に把握することができる構成となっている。
【0033】
また、CDMA基地局15a等から発信される信号には、シンクチャネル信号があり、これが図14のシンクチャネルメッセージである。図14は、シンクチャネルメッセージの内容を示す概略図である。
図14に示すように、シンクチャネルメッセージには、上述したパイロットPN信号のデータ、例えば、パイロットPNオフセットデータが64chips(0.052ms)×N(0〜512)であることを示すデータが含まれている。このデータは、図14では「PILOT_PN」で表されている。
また、シンクチャネルメッセージには、GPS時刻データであるシステム時間のデータも含まれている。
GPS時刻は毎週日曜日の0時からの経過時間が秒で表示され、翌週の日曜日の0時に0に戻るようになっている。そして、この1週間についてはGPSの週番号が付されているので、週番号と経過時間(秒)のデータを取得することで、受信側はGPS時刻を取得できる構成となっている。このデータは、図14では「SYS_TIME」で表されている。
【0034】
また、シンクチャネルメッセージには、世界協定時(UTC)に換算するための「うるう秒」のデータも含まれている。このデータは、図14では、「LP_SEC」で表されている。
また、シンクチャネルメッセージには、時計10が所在する国又は地域のUTCに対する時差データである、ローカルオフセット時間が含まれている。すなわち、例えば、アメリカ合衆国のカリフォルニア州の場合は、UTCに8時間マイナスされた時間である旨のデータ等が格納されている。
このデータは、図14では、「LTM_OFF」で表される。
また、シンクチャネルメッセージには、時計10が所在する国や地域がサマータイム等を採用しているか否かのサマータイムデータも含まれている。アメリカ合衆国のカリフォルニア州の場合は、サマータイム制を採用し、1時間早まるため、そのデータは「+1」となる。しかし、カリフォルニア州に隣接するアリゾナ州では、サマータイム制を採用していないため、そのデータは「0」となる。このデータは、図14では、「DAYLT」で表される。
【0035】
このように、図14のパイロットPN信号データが、基地局(例えば、CDMA基地局15a等)から発信される信号の基地局誤差時間情報の一例であり、ローカルオフセット情報が、地域時間に換算する地域時間換算情報及び地域時刻補正情報の一例となっている。また、サマータイムデータは、季節時間に換算する季節時間情報及び基地局の所在によって変化しない基本時刻情報の一例となっている。
【0036】
図14のシンクチャネルメッセージには、以上のような内容のデータが含まれるが、具体的には、各データは時系列に順番に送信される、送信される信号は、図13に示すように、80ms単位からなるスーパーフレーム(S)単位で送信され、シンクチャネルメッセージの最後のデータが含まれるのが、図13のラストスーパーフレーム(LS)となる。すなわち、図13のラストスーパーフレーム(LS)の最後のタイミング(図13の「E」「EE」で示す部分)が、シンクチャネルメッセージの受信完了のタイミングとなっている。
また、CDMA方式では、図14のシンクチャネルメッセージの上述のGPS時刻は、図13の「E」における時刻とはなっておらず、その後、4スーパーフレーム(320ms)後における時刻、すなわち、図13の「F」における時刻となっている。
具体的には、上述したパイロットPNオフセットデータが、0chip(0ms)の場合の時刻を基準とした、ラストスーパーフレームの最後のタイミングから4スーパーフレーム後の時刻となる。
【0037】
これは、CDMAがそもそも携帯電話で通信するためのシステムであることに基づく。つまり、携帯電話機は、CDMA基地局15a等から図14に示す、シンクチャネルメッセージを受信した後、CDMA基地局15a等との同期通信をするための準備を携帯電話機内で行う必要がある。
具体的には、次のステージである「待ち受け状態」へ遷移するための準備をした後、CDMA基地局15a等と同期をとり通信することになる。
そこで、この準備時間を考慮して、CDMA基地局15a等は、予め未来の時刻である320ms後の時間を、事前に送信し、この時間を受信した携帯電話機が内部で処理を行い、準備が終わった後、この時刻でCDMA基地局15a等と同期を取りに行くと同期を取りやすくなるという構成となっている。換言すれば、この4スーパーフレーム(320ms)が携帯電話機側の準備時間となっている。
【0038】
以上が、本実施の形態におけるCDMA方式の携帯電話システムの概略であり、以上の前提で、以下、本実施の形態を説明する。
本実施の形態では、先ず、シンクチャネル信号を受信し、精度良く時刻修正を行うが、シンクチャネル信号には、図14に示すように「ローカルオフセット時間」、すなわち、当該地域の時差情報もあるため、時刻修正は後述するように時差情報についても精度良く行われてしまう。
これは、日本等のように国内を移動しても時差が変わらない地域では、最も好ましいシステムとなる。しかし、アメリカ合衆国のように州が変わると時差も変わる地域で、日常的に時差が異なる州と州の間を移動している腕時計10の利用者にとっては、本実施の形態にかかる時刻修正の動作が行われると、その時刻修正が行われた際の州の時差に合わされることになる。
この時差を合わした州が利用者の居住している州であればよいが、偶然、移動で立ち寄った州等である場合は、かえって使い難いこととなる。
そこで、本実施の形態では、時差の修正については、利用者が使い易いように修正がおこなわれるようになっている。
【0039】
以下、本実施の形態を説明するに際し、先ず、最初にCDMA方式を利用した精度が高く、低消費電力の時刻修正の全体の動作等について説明し、その後、時差の調整動作について説明する。
【0040】
腕時計10の時刻修正をする場合は、先ず、腕時計10は、図7のST1に示すように、CDMA基地局15a等から送信される電波のうち、パイロットチャネルの信号電波を受信するためのパイロットチャネルスキャンを行う。
そして、ST2では、腕時計10と、一番近いCDMA基地局15a等からのパイロットチャネル信号と同期を取る。
具体的には、図4のパイロットPN同期プログラム31が、図13に示すような、80ms毎のパイロットチャネル信号(パイロットPN信号)であるスーパーフレーム(S)と同期を取る。つまり、信号電波をダウンコンバートし、図示しないベースバンド部が、パイロットチャネル(walsh特定関数)の信号にパイロットPNコードをミキシングして同期を取る。
【0041】
次にST3で、パイロットPN同期プログラム31が、CDMA基地局15a等のパイロットチャネル信号と同期が完了したか否かを判断し、同期が完了しない場合は、ST4で、腕時計10が有するサービルエリアテーブルを全て参照したか(一巡したか)判断し、全て参照していない場合は、ST5に進む。
ST5では、日本、アメリカ、中国、カナダ等におけるCDMA基地局15a等のデータを参照し、そのデータに基づきST1のパイロットチャネルスキャンを行う。
つまり、例えば、腕時計10は、アメリカ合衆国のカリフォルニア州のCDMA基地局15a等を探しているが、実際は、日本に所在していたという場合は、ST3でパイロットチャネル信号と同期を取ることができない。そこで、ST5で日本のCDMA基地局15a等のデータを取得し
、そのデータに基づき、ST1のパイロットチャネルスキャンを行う。
【0042】
一方、ST4で、腕時計10が持っているサービルエリアテーブルを全て参照したにもかかわらずパイロットチャネル信号との同期を取ることができないときは、ST6に進む。ST6では、ユーザに時刻修正が行われていないことを示すため、例えば、図1の秒針を3秒動かすことで、その旨をユーザに知らせる。そして、時刻修正をユーザ判断に任せ、終了する。
【0043】
一方、ST3で、パイロットチャネル信号との同期が完了したときは、ST7へ進む。
ST7では、パイロットチャネルからシンクチャネルに切り替えられ、シンクチャネルメッセージの受信を開始する。
具体的には、シンクチャネルメッセージ受信プログラム32が図14に示すような、シンクメッセージの受信を開始する。
次に、ST8でシンクチャネルメッセージの受信が完了したか否かを判断し、シンクチャネルメッセージの受信が完了していないときは、ST9でタイムアウトか否かを判断し、タイムアウトの場合は、再び、ST8でシンクチャネルメッセージを受信し直す。
【0044】
一方、ST8でシンクチャネルメッセージの受信が完了すると、ST10へ進み、図3のCDMA基地局電波受信機24が信号の受信を停止する。
具体的には、受信機制御プログラム33が動作して、CDMA基地局電波受信機24のCDMA基地局15a等からの電波受信を停止する。つまり、図13のラストスーパーフレーム(LS)の終了のタイミングである「E」や「EE」で示すタイミングで電波受信を終了する。
これで、腕時計10は、図14に示す全てのシンクチャネルメッセージを受信したことになり、このシンクチャネルメッセージは図6のシンクチャネルメッセージデータ格納部51に、シンクチャネルメッセージデータ51aとして格納される。
【0045】
次に、ST11に進む。ST11以降は、既にCDMA基地局15a等から取得したシンクチャネルメッセージの情報に基づいて、時刻修正のためのデータを作成し、実際に時刻修正を行う工程となる。
先ず、ST11では、腕時計10は、例えばアメリカ合衆国のカリフォルニア州に所在するため、図6のシンクチャネルメッセージデータ51aから、GPS時刻、うるう秒、ローカルオフセット時間(カリフォルニア州の場合はUTCから8時間を減算する)、サマータイム時間(カリフォルニア州の場合は、サマータイムがあるので1時間加える)を抽出し、図4の第1次ローカル時刻算出プログラム34が動作して、第1次ローカル時刻である例えば、第1次カリフォルニア州時刻を算出する。
具体的には、GPS時刻を基本にうるう秒データ等に基づいてUTC時刻を算出し、このUTC時刻に基づき、ローカルオフセット時間で、例えば、8時間を減算し、カリフォルニア時刻とする。また、カリフォルニア州では、サマータイム制を採用するので、ここで当該州等のサマータイム時間、例えば「+1時間」等の補正を行う。したがって、この補正は、極めて、精度の高い時刻修正となる。
【0046】
本実施の形態では、第1次カリフォルニア州時刻が算出され、この時刻はGPS時刻に基づいた基本的な時刻データとなる。
このように、算出された第1次カリフォルニア州時刻は、図6の第1次ローカル時刻データ格納部52に第1次ローカル時刻データ52aとして格納される。
【0047】
ここで算出された第1次ローカル時刻データ52aについて説明する。この第1次ローカル時刻データ52aは、図13で説明すると以下のようになる。つまり、腕時計10が図13のCDMA基地局15bの信号を受信し、そのシンクチャネルメッセージを取得したとすると、受信した時刻(GPS時刻)は、上述したパイロットPNオフセットデータが、0chip(0ms)の場合の時刻を規準とした、ラストスーパーフレームの最後のタイミングから4スーパーフレーム(320ms)後の時刻情報(図13の例では「F」における時刻)となる。
しかし、図13のCDMA基地局15bは、そのパイロットPNオフセットが例えば、64chip(0.052ms)があるため、その分、実際の受信タイミングとしては、正確なGPS時刻とは相違している。つまり、図13のCDMA基地局15bが実際にラストスーパーフレームの最後を受信したタイミングである「EE」は、腕時計10が取得したGPS時刻にパイロットPNオフセット分を加算した時刻となる。
【0048】
このため、本実施の形態では、以下の処理を行う。すなわち、ST12で、図6の第1次ローカル時刻データ52aに対して以下のような補正をかける。
つまり、第1次ローカル時刻データ52aから320ms(4スーパーフレーム)を減算することで、図13の「F」における時刻を「E」における時刻情報とする。さらに、CDMA基地局15bの信号はパイロットPNオフセットが0.052msあるため、その分を加算する。
すると、ラストスーパーフレーム受信完了時(「EE」)の正しいGPS時刻に基づく例えば、カリフォルニア州時刻が生成されることになる。
このような計算は、図4の第2次ローカル時刻算出プログラム35が、図6の第1次ローカル時刻データ52a、図5の差分時間データ41a及びパイロットPNオフセット時間データ42a等に基づいて行い、その結果は、図6の第2次ローカル時刻データ53aとして第2次ローカル時刻データ格納部53に格納される。
図5における差分時間データ41aの一例が、上述の320ms(4スーパーフレーム)というデータであり、差分時間データ格納部41に格納される。また、パイロットPNオフセット時間データ42aの一例が、上述の64chip(0.052ms)というデータであり、パイロットPNオフセット時間データ格納部42に格納される。
【0049】
また、ST12でシンクチャネルメッセージから取得したGPS時刻等は、受信部(例えば、CDMA基地局電波受信機24等)が受信する時刻である受信時刻情報(例えば、図13の「E」における時刻情報等)から所定時間経過後(例えば、320ms経過後等)の未来時間情報の一例となっている。また、図5の差分時間データ41aが、差分時間情報の一例となっている。
また、第1次ローカル時刻算出プログラム34及び第2次ローカル時刻算出プログラム35が、受信部(例えば、CDMA基地局電波受信機24等)が受信した未来時刻情報(例えば、図13の「F」における時刻情報等)と差分時間情報(例えば、差分時間データ41a等)に基づいて受信部の受信時刻情報(例えば、第2次ローカル時刻データ53a等)を生成する受信時刻情報生成部の一例となっている。
【0050】
ところで、このように、ST12で算出された第2次ローカル時刻データ53aは、GPS時刻に合致した精度の高い時刻であるが、ST11やST12の計算に要する時間等があり、この時間を考慮しないと、その計算時間等の分だけ時刻が相違する(狂う)ことになる。
そこで、ST13の工程が行われる。すなわち、図6の第2次ローカル時刻データ53aに、処理遅延時間を加算して、最終ローカル時刻を算出する。つまり、この処理遅延時間が当該腕時計10の上述の計算に要する時間等に該当するが、この時間は、当該腕時計10によって時間は定まっている。
このため、本実施の形態では、図5に示すように、処理遅延時間データ43aを予め固定値として、処理遅延時間データ格納部43に格納しておく。そして、図4の最終ローカル時間算出プログラム36は、図6の第2次ローカル時刻データ53aに、処理遅延時間データ43aを加算して、より精度の高い時刻情報である最終ローカル時刻データとして、最終ローカル時刻データ格納部54に格納する。
【0051】
このように生成された、最終ローカル時刻データはGPS時刻に合致した極めて精度の高い時刻情報となる。なお、処理遅延時間は、処理時間情報の一例である。また、ST13等は、修正時刻情報生成工程の一例である。
【0052】
本実施の形態によれば、ST10でCDMA基地局電波受信機24がCDMA基地局15b等の電波の受信を停止するので、電池27の消費電力を小さくすることができる。
この点について、図13を用いて具体的に説明する。図13の(D)はCDMA基地局15bからシンクチャネルメッセージを受信し、その後、時刻同期を行う、従来の電源シーケンスを示す。図13に示すように、従来は、図13の「FF」の部分まで信号を継続して受信しているため電源は継続して信号受信用の出力状態となっている。
これに対して、本実施の形態の電源シーケンスは図13の(C)である。(C)に示すように、信号の受信は、図13の「EE」の部分で終了し、その後、通信を行っていない。
このため、本実施の形態の腕時計10は、消費電力を小さくすることができるので、超低電力が要求される時計等の機器にも搭載可能であり、且つ、極めて高精度な時刻修正も可能となっている。
【0053】
ST13で、腕時計10は、RTC25等を修正すべき最終ローカル時刻データを取得したことになるが、この最終ローカル時刻データは、例えば、カリフォルニア州(アメリカ合衆国の太平洋岸の標準時)の時刻である。したがって、腕時計10の利用者が、時差が異なる山岳部のアリゾナ州とカリフォルニア州との間を頻繁に移動等する場合は、カリフォルニア州の時間では、アリゾナ州では1時間の時差が生じ、正確な時間を表示することにはならない。さらに、アリゾナ州ではサマータイム制を採用していないため、夏期の間は、さらに1時間相違し、併せて2時間の誤差が生じてしまう。
また、逆に、偶然、アリゾナ州に所在していたときに上述のCDMAを利用した時刻修正を行うと、アリゾナ州の時差及びサマータイムの時間に腕時計10のRTC25等を合わせてしまう。
これでは、かかる時刻修正は腕時計10の利用者に混乱をもたらし、使い難いことになるため、図8のST14に示すような、ローカルオフセット時間及びサマータイム時間表示補正動作が行われる。
【0054】
図9乃至図12は、図8のローカルオフセット時間及びサマータイム時間表示補正動作を示す概略フローチャートである。
先ず、図9のST141が行われる。すなわち、図4のローカルオフセット/サマータイム抽出プログラム39が、図6のシンクチャネルメッセージデータ51aから、今回のCDMA基地局15bから受信したローカルオフセット時刻(今回ローカルT)とサマータイム時刻(今回サマーT)をそれそれ、図6のローカルオフセット時刻データ格納部56とサマータイムデータ格納部57に格納する。
ここで、本実施の形態を以下の例で説明する。例えば、カリフォルニア州に生活の本拠がある利用者で、頻繁にアリゾナ州に移動する場合を例とする。
この例では、利用者はアリゾナ州でCDMA基地局15b等からローカルオフセット時間を取得するので、「今回ローカルT」は「−7時間」となる。
また、「今回サマーT」は「0」(アリゾナ州はサマータイム未採用)となる。
このようなデータが、図6のローカルオフセット時刻データ56a及びサマータイムデータ57aとなる。
【0055】
これらローカルオフセット時刻データ56aやサマータイムデータ57aには、前回、利用者が例えば、カリフォルニア州でCDMA基地局15a等から取得したローカルオフセット時間(前回ローカルT)やサマータイム時間(前回サマーT)が既に格納されている。
すなわち、「前回ローカルT」は「−8時間」であり、「前回サマーT」は「+1時間」である。
【0056】
このように、ローカルオフセット時刻データ格納部16は、受信部(例えば、CDMA基地局電波受信機24等)が時系列に取得した複数の地域時刻補正情報(例えば、ローカルオフセット時間)を格納する地域時刻補正情報格納部の一例である。また、ST141は、地域時刻補正情報取得工程の一例である。
【0057】
次に、ST142で、図4のローカルオフセット比較プログラム310が、図6のローカルオフセット時刻データ56aである「今回ローカルT」のデータ「−7時間」と「前回ローカルT」のデータ「−8時間」とを比較し、その差であるローカルオフセット差分時間(例えば、1時間)を算出し、図6のローカルオフセット差分時間(1時間)としてローカルオフセット差分時間データ格納部58に格納される。
次に、ST143に進む。ST143では、図4のローカルオフセット閾値判断プログラム311が動作し、図6のローカルオフセット差分時間データ(1時間)が、図5のローカルオフセット閾値データ格納部45に格納されているローカルオフセット閾値データ45a(例えば、30分)以上か否かを判断する。
【0058】
このように、図5にローカルオフセット閾値データ格納部25は、地域時刻補正情報選択情報を格納する地域時刻補正情報選択情報格納部の一例となっている。
【0059】
上述の例では、ローカルオフセット差分時間データ(1時間)は、ローカルオフセット閾値データ(30分)以上であるため、時刻修正に必要なローカルオフセット時間が前回と今回とで大きく変化している判断し、ST144へ進む。
一方、ローカルオフセット差分時間データが、ローカルオフセット閾値データ以上でない場合は、ローカルオフセット時間に変化がないと判断し、ST145に進む。
ST145については、後述する。
【0060】
ST144では、最終ローカル時刻算出プログラム36が、ローカルオフセット時刻データ56aの「今回ローカルT」(−7時間)と、サマータイムデータ57aの「今回サマーT」(0時間)に基づいて、上述のST11、ST12、ST13等の工程を経て、「今回ローカルT及び今回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54aが生成され、図6の最終ローカル時刻データ格納部54に格納される。
つまり、上述の例の場合は、アリゾナ州における時刻情報が生成されることになる。
【0061】
また、ST146では、最終ローカル時刻算出プログラム36が、ローカルオフセットデータ56aの「前回ローカルT」(−8時間)と、サマータイムデータ57aの「前回サマーT」(+1時間)に基づいて、上述のST11、ST12、ST13等の工程を経て、「前回ローカルT及び前回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54bが生成され、図6の最終ローカル時刻データ格納部54に格納される。
つまり、上述の例の場合は、カリフォルニア州における時刻情報が生成されることになる。
【0062】
次に、ST147へ進む。ST147では、図4のディスプレイ制御プログラム312が動作し、ST146及びST147で生成した図6の「今回ローカルT/今回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54a」と「前回ローカルT/前回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54b」を交互に図1のディスプレイ14に表示する。具体的には10秒間隔で3分間表示する。
【0063】
このように、ディスプレイ制御プログラム312は、表示部(例えば、ディスプレイ14等)を制御する表示制御部の一例であり、最終ローカル時刻データは修正時刻情報の一例となっている。また、最終ローカル時刻算出プログラム36等は、修正時刻情報生成部の一例となっている。
【0064】
次に、ST148へ進む。ST147では、上述の例では、アリゾナ州時刻とカリフォルニア州時刻が交互に表示されることになり、腕時計10の所持者に対して、いずれの時刻で修正した方が良いか問うようになっている。
つまり、今回受信の信号は偶然、アリゾナ州のCDMA基地局15a等であったとすれば、このアリゾナ州の時刻で腕時計10を修正しても利用者の利便性が向上しない。そこで、利用者に、いずれの時間で修正した方か良いか選ばせる構成となっている。
【0065】
ST148では、図1のりゅうず28を利用者が操作することで、図4の表示選択プログラム313が動作し、利用者の選択が確定する構成となっている。
このように、りゅうず28と表示選択プログラム313等は、表示選択部の一例となっている。
【0066】
ST148で、利用者がいずれも選択しないで3分間経過したときは(ST149)、ST150で、図4の修正用時刻データ選択プログラム314が動作して、図6の「今回ローカルT/今回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54a」を、修正用時刻データ55aとして修正用時刻データ格納部55に格納される。
つまり、「今回ローカルT/今回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54a」が腕時計10の修正用時刻データ55aとして確定する。
このため、修正用時刻データ55aは修正時刻情報の一例となっている。また、修正用時刻データ選択プログラム314は、最終ローカル時刻算出プログラム36等と共に、修正時刻情報生成部の一例となっている。
【0067】
一方、ST148及びST151で、利用者が「今回ローカルT/今回サマーT基準の最終ローカル時刻データ53a」を選択した場合は、ST152で、図5のローカルオフセット閾値で45aを例えば、減らして、初期値である例えば、0分とする。
すなわち、図4のローカルオフセット閾値変更プログラム315が動作して、ローカルオフセット閾値データ45aが変更される構成となっている。
なお、ローカルオフセット閾値データ45aは、例えば30分毎に変更可能な構成となっている。
【0068】
このように、地域時刻補正情報選択情報(例えば、ローカルオフセット閾値データ45a等)が表示選択部(例えば、りゅうず28等)で選択する修正時刻情報(例えば、「今回ローカルT/今回サマーT基準の最終ローカル時刻データ」54a等)に基づき変化する構成となっている。
【0069】
その後、ST153で、「今回ローカルT/今回サマーT基準の最終ローカル時刻データ53a」を修正用時刻データ55aとする。
つまり、上述の例では、利用者がアリゾナ州の時刻で修正を希望していると判断し、腕時計10は、アリゾナ州の時刻に修正されることになる。また、利用者は、最新のローカルオフセット時刻を腕時計10に反映させることを希望していると判断し、上述のローカルオフセット閾値で45aを低く設定する。
【0070】
一方、ST151で、利用者が「前回ローカルT/前回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54b」を選択した場合は、ST152とは逆に、ローカルオフセット閾値データ45aを増加させ、例えば1時間とする。
そして、ST155で、利用者の腕時計10を「前回ローカルT/前回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54b」で修正する。つまり、上述の例では、利用者はアリゾナ州に所在するにもかかわらず、カリフォルニア州の時間で修正することを希望していると判断する。
また、ローカルオフセット閾値データ45aを増加させることで、次回からアリゾナ州とカリフォルニア州の間を行き来しても、常に、カリフォルニア州の時刻で修正されることになる。
このように、何度も前回のローカルオフセット時間を選択すれば、時差が数時間ある例えば、アメリカ合衆国の中西部へ移動してもカリフォルニア州の時差等に基づいて時刻修正が行われ、腕時計10の所持者にとって極めて利便性が向上することとなる。
【0071】
ところで、図9のST143で、ローカルオフセット差分時間データ58aが、ローカルオフセット閾値データ45a以上でない場合は、ローカルオフセット時刻は前回のまま変化させる必要はない。しかし、サマータイム時刻についても利用者の利便性を考慮する必要があり、サマータイム時刻を変化させる必要がある。そこで、ST145のサマータイム時刻表示動作が行われる。
図11及び図12は、ST145のサマータイム時刻表示動作の概略を示す概略フローチャートである。
先ず、ST100では、図4のサマータイム比較プログラム316が、図6のサマータイムデータ57aの前回のサマータイムデータ(前回サマーT)と今回のサマータイムデータ(今回サマーT)を比較し、それらのデータが相違するか否かを判断する。
そして、相違がないと判断した場合は、ST101で、図6の「前回ローカルT/前回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54b」を修正用時刻データ55aとして、時刻修正を行う。
つまり、これは、上述の例では、利用者がカリフォルニア州内で移動している場合等である。
【0072】
また、ST100では、前回のサマータイムデータと今回のサマータイムデータが相違する場合は、ST102で、ローカルオフセット時刻データ56a及びサマータイムデータ57aに基づき、ST11、ST12及びST13等を経て、「前回ローカルT/今回ローカルT基準の最終とーカル時刻データ54c」を生成し、最終ローカル時刻データ格納部54に格納する。
次に、ST104で、「前回ローカルT/前回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54b」と「前回ローカルT/今回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54c」を、ディスプレイ14に交互表示する。
そして、利用者がST104でりゅうず28でいずれも選択しない場合は、ST105及びST106に示すように、「前回ローカルT/今回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54c」を修正用時刻データ55aとして、時刻修正する。
【0073】
また、利用者が「前回ローカルT/今回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54c」を選択した場合も、「前回ローカルT/今回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54c」を修正用時刻データ55aとして、時刻修正する(ST108)。
一方、利用者が「前回ローカルT/今回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54c」を選択しない場合は、その希望に沿って、「前回ローカルT/前回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54b」を修正用時刻データ55aとして、時刻修正する(ST109)。
このように、サマータイム時刻を加味して時刻修正を行うか否かについても、利用者が自由に決めることができるので、利用者にとって利便性の高い腕時計10となる。
【0074】
以上のように本実施の形態では、例えば、上述の例の場合で、ローカルオフセット閾値データ45aを1.5時間とすれば、利用者がカリフォルニア州からアリゾナ州に移動しても、ローカルオフセット時刻(時差)はカリフォルニア州のままで、アリゾナ州で高精度な時刻修正が可能となる。また、サマータイムを前回とすれば、カリフォルニア州のサマータイムを考慮した時刻修正がアリゾナ州で実行されることになり、利用者にとって極めて利便性が高い腕時計10となる。
【0075】
次に、図8のST16に戻り、以下の工程が行われる。
図8のST16では、最終的なRTC等の修正用データである修正用時刻データ55aに基づいて、時刻修正が行われる。つまり、図4のRTC及び時刻修正プログラム37が、図6の修正用時刻データ55aに基づき、図3のRTC25や図1の針13等を修正し、時刻修正が完了する。
【0076】
このように、RTC及び時刻修正プログラム37が、時刻情報表示部の表示情報(例えば、RTC25や針13等)を修正する表示時刻情報修正部の一例である。
【0077】
また、図7及び図8は、図11のローカルオフセット時間及びサマータイムデータは、CDMA基地局15a等から受信したシンクチャネルメッセージに基づいて自動的に修正される工程としたが、これらを腕時計10のユーザが設定可能としてもよい。
この場合は、上述のST11では、この入力されたデータに基づいて第1次ローカル時刻が算出されるので、ユーザの希望通りの時刻修正が可能となる。
【0078】
本発明は、上述の実施の形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明に係る時刻修正装置付き計時装置である例えば、時刻修正装置付き腕時計を示す概略図である。
【図2】図1の腕時計の内部の主なハードウエア構成等を示す概略図である。
【図3】腕時計の主なソフトウエア構成等を示す概略全体図である。
【図4】図3の各種プログラム格納部内のデータを示す概略図である。
【図5】図3の第1の各種データ記憶部内のデータを示す概略図である。
【図6】図3の第2の各種データ記憶部内のデータを示す概略図である。
【図7】本実施の形態にかかる腕時計の主な動作等を示す概略フローチャートである。
【図8】本実施の形態にかかる腕時計の主な動作等を示す他の概略フローチャートである。
【図9】図8のローカルオフセット時間及びサマータイム時間表示補正動作を示す概略フローチャートである。
【図10】図8のローカルオフセット時間及びサマータイム時間表示補正動作を示す他の概略フローチャートである。
【図11】ST145のサマータイム時刻表示動作の概略を示す概略フローチャートである。
【図12】ST145のサマータイム時刻表示動作の概略を示す他の概略フローチャートである。
【図13】CDMA基地局から送信される信号の同期タイミング等を示す概略図である。
【図14】シンクチャネルメッセージの内容を示す概略図である。
【符号の説明】
【0080】
10・・・時刻修正装置付き腕時計、12・・・文字板、15a及び15b・・・CDMA基地局、24・・・CDMA基地局電波受信機、25・・・リアルタイムクロック(RTC)、27・・・電池、31・・・パイロットPN同期プログラム、32・・・シンクチャネルメッセージ受信プログラム、33・・・受信機制御プログラム、34・・・第1次ローカル時刻算出プログラム、35・・・第2次ローカル時刻プログラム、36・・・最終ローカル時間算出プログラム、37・・・RTC及び時刻修正プログラム、38・・・時刻修正開始判断プログラム、39・・・ローカルオフセット/サマータイム抽出プログラム、41a・・・差分時間データ、42a・・・パイロットPNオフセット時間データ、43a・・・処理遅延時間データ、44a・・・時刻修正間隔データ、45a・・・ローカルオフセット閾値データ、51a・・・シンクチャネルメッセージデータ、52a・・・第1次ローカル時刻データ、53a・・・第2次ローカル時刻データ、54a・・・今回ローカルT/今回サマーT基準の最終ローカル時刻データ、54b・・・今回ローカルT/前回サマーT基準の最終ローカル時刻データ、54c・・・前回ローカルT/今回サマーT基準の最終ローカル時刻データ、55a・・・修正用時刻データ、56a・・・ローカルオフセット時刻データ、57a・・・サマータイムデータ、58a・・・ローカルオフセット差分時間データ、310・・・ローカルオフセット比較プログラム、311・・・ローカルオフセット閾値判断プログラム、312・・・ディスプレイ制御プログラム、313・・・表示選択プログラム、314・・・修正用時刻データ選択プログラム、315・・・ローカルオフセット閾値変更プログラム、316・・・サマータイム比較プログラム
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばCDMA(Code Division Multiple Access、符号分割多重接続)方式の携帯電話通信網で基地局から発信される信号に含まれる時刻情報に基づいて時刻修正を行う時刻修正装置、時刻修正装置付き計時装置及び時刻修正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、CDMA方式の携帯電話通信網で基地局から携帯電話機に対して発信される信号には、時刻情報が含まれ、この時刻情報は、GPS(Global Positioning System)衛星の原子時計に基づくGPS時刻に合致した極めて精度の高い時刻情報となっている。
したがって、このCDMA方式の携帯電話通信網で基地局から送信されるGPS時刻データを端末が取得し、このGPS時刻データを用いて内蔵時計の時刻データを補正しようとする提案がなされている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2000−321383号公報(要約等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような、CDMA方式の携帯電話通信網で基地局から送信される時刻データには、ローカルオフセット時間情報、すなわち、UTC(世界協定時)からの時差情報等が含まれている。このため、基地局から送信されたデータに基づいて補正される時刻は、当該地域の時差に合わせた時刻とすることができる。
しかし、例えば、アメリカ合衆国のように、同一国内でも州が異なれば時差が変わることがあり、このような時差が異なる地域を日常的に移動している人々が、上述のCDMA方式の基地局からの時刻情報に基づいて時刻修正を行う時計等の機器を所持する場合がある。
この場合、時計等の機器が時刻修正をする際に、偶然所在した地域の時差に基づいて時刻修正をするため、本来、日常的に活動している地域の時刻は表示されないという事態が生じる。この場合は、CDMA方式の基地局からの時刻情報に基づき精度良く時刻修正することが、逆に利用者にとって、その所持する機器を使い難くするという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、時差等が変化する状況下にあっても、利用者にとって使い易く且つ、精度の高い時刻修正が可能な時刻修正装置、時刻修正装置付き計時装置及び時刻修正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題は、本発明によれば、基地局からの信号を受信する受信部と、前記受信部が通信を行うための電力を供給する電源部と、時刻表示部の表示時刻情報を修正する時刻情報修正部と、前記時刻表示部が前記表示時刻情報を修正するための修正時刻情報を格納する修正時刻情報格納部と、前記修正時刻情報を生成するための修正時刻情報生成部と、を有する時刻修正装置であって、前記受信部が受信した前記信号は、少なくとも、前記基地局の所在によって変化しない基本時刻情報と、この基本時刻情報を当該基地局が所在する地域の地域時刻情報に補正するために地域時刻補正情報と、を含み、前記受信部が前記地域時刻補正情報を時系列に取得した複数の前記地域時刻補正情報を格納する地域時刻補正情報格納部を有し、前記修正時刻情報は、少なくとも、前記基本時刻情報及び前記地域時刻補正情報に基づいて生成され、前記修正時刻情報生成部が前記修正時刻情報を生成するときに参照する前記地域時刻補正情報を選択するための地域時刻補正情報選択情報を格納する地域時刻補正情報選択情報格納部を有し、前記修正時刻情報生成部は、少なくとも、前記地域時刻補正情報選択情報に基づき選択された一の前記地域時刻補正情報に基づき前記修正時刻情報を生成し、前記時刻情報修正部は、前記一の前記地域時刻補正情報に基づき生成された前記修正時刻情報に基づき前記時刻表示部の前記表示時刻情報を修正する構成となっていることを特徴とする時刻修正装置により達成される。
【0006】
前記構成によれば、修正時刻情報は、少なくとも、基本時刻情報及び地域時刻補正情報に基づいて生成されるので、時刻修正は、当該地域の例えば時差情報を考慮した地域時間(例えば、カリフォルニア時間等)として行われるので、使い易い時刻情報となっている。
また、受信部が地域時刻補正情報を時系列に取得した複数の地域時刻補正情報を格納する地域時刻補正情報格納部を有し、修正時刻情報生成部は、少なくとも、地域時刻補正情報選択情報に基づき選択された一の地域時刻補正情報に基づき修正時刻情報を生成する構成となっている。そして、時刻情報修正部は、一の地域時刻補正情報に基づき生成された修正時刻情報に基づき時刻表示部の表示時刻情報を修正する構成となっている。
このため、時刻修正装置の所持者が例えば、アメリカ合衆国等で頻繁に時差を跨ぐ移動をする場合等でも、その頻繁に跨ぐ時差、例えば1時間では、時差変更がなかったものと扱うように地域時刻補正情報選択情報を設定することで、時差変更を行うことなく時刻修正を実施することができる。このため、頻繁な時差の変更を回避しつつ、精度の高い時刻修正を行うことが可能となり、所持者にとって使い易い時刻修正装置となる。
【0007】
好ましくは、利用者に対して情報を表示する表示部と、前記表示部を制御する表示制御部と、前記時刻情報修正部は、前記複数の地域時刻補正情報のそれぞれに基づいて複数の前記修正時刻情報を生成し、前記表示制御部が前記複数の前記修正時刻情報を、前記表示部に表示する構成となっており、前記表示部に表示された前記複数の前記修正時刻情報を利用者が選択するための表示選択部を有することを特徴とする時刻修正装置である。
【0008】
前記構成によれば、時刻情報修正部は、複数の地域時刻補正情報のそれぞれに基づいて複数の修正時刻情報を生成し、表示制御部が複数の修正時刻情報を、表示部に表示する構成となっており、表示部に表示された複数の修正時刻情報を利用者が選択するための表示選択部が時刻修正装置に備わっている。
このため、地域時刻補正情報格納部に複数の地域時刻補正情報が格納されている場合は、それらについて、それぞれ修正時刻情報を生成し、生成されたそれぞれの修正時刻情報を表示部に表示することができる。
そして、その表示された修正時刻情報のうち利用者が好ましい修正時刻情報を選択し、決定することができる。
したがって、地域時刻補正情報選択情報で、一の地域時刻補正情報を選択した場合でも、選択された一の地域時刻補正情報に基づく修正時刻情報と、選択されなかった地域時刻補正情報に基づく修正時刻情報を共に表示部に表示することができる。このため、利用者が地域補正情報選択情報にかかわらず、その好ましい修正時刻情報を採択することができる。
つまり、地域時刻補正情報選択情報で、例えば前回に取得した地域時刻補正情報である例えば、ローカルオフセット時刻情報と、今回取得したロールオフセット時刻情報が、例えば30分の時差の範囲を超える場合は、超えた場合のローカルオフセット時刻情報を用いるとされていた場合でも、一律に30分を超えるローカルオフセット時刻情報に基づいて時刻修正を行うのではなく、前回と今回のローカルオフセット時刻情報に基づき生成した修正時刻情報を共に表示し、利用者の選択にとって利便性が高い時刻修正装置となる。
【0009】
好ましくは、前記地域時刻補正情報選択情報が、前記表示選択部が選択する前記修正時刻情報に基づき変化する構成となっていることを特徴とする時刻修正装置である。
【0010】
前記構成によれば、地域時刻補正情報選択情報が、表示選択部が選択する前記修正時刻情報に基づき変化する構成となっているので、利用者の利便性の要請が変化した場合でも、その変化に対応した地域時刻補正情報選択情報となる。
例えば、一旦、地域時刻補正情報選択情報を、前回に取得した地域時刻補正情報である例えば、ローカルオフセット時刻情報と、今回に取得したロールオフセット時刻情報が、例えば30分の時差の範囲を超える場合は、超えた場合のローカルオフセット時刻情報を用いるとされていた場合でも、利用者が前回のローカルオフセット時刻情報を選択したときは、この地域時刻補正情報選択情報を、例えば1時間に変化させることができる。
これにより、次回からは、ローカルオフセット時刻情報が、例えば、30分の時差を超える場合でも1時間以内であれば、前回のローカルオフセット時刻情報に基づいて時刻修正されるので、利用者の要請の変化にかなう時刻修正を行うことができる。
【0011】
好ましくは、前記受信部が受信した前記信号には、前記受信部が受信する時刻である受信時刻情報から所定時間経過後の未来時刻情報が含まれ、前記未来時刻情報と前記受信時刻情報との差分時間情報を格納する差分時間情報格納部と、少なくとも、前記受信部が受信した前記未来時刻情報と前記差分時間情報に基づいて前記受信部の受信時刻情報を生成する受信時刻情報生成部と、を有し、前記修正時刻情報生成部は、前記受信時刻情報生成部で生成された前記受信時刻情報と、少なくとも、時刻修正装置の処理時間情報に基づき、前記修正時刻情報を生成する構成となっていることを特徴とする時刻修正装置である。
【0012】
前記構成によれば、時刻修正装置の受信部が受信する信号には、受信部が受信する時刻である受信時刻情報から所定時間経過後の未来時刻情報となっている。また、時刻修正装置は、この受信時刻情報と未来時刻情報との差分時間情報を有している。
また、時刻修正装置は、この未来時刻情報と差分時間情報に基づき受信時刻情報を生成する受信時刻情報生成部を有している。
このため、この受信時刻情報生成部によって、時刻修正装置が受信した受信時刻情報を正確に取得することができる。
したがって、前記構成では、従来のように基地局から受信した未来時間について、当該未来時刻となるまで、受信部が信号を受信し続けなくても、正確な時刻情報を取得できる。このため、時刻修正装置の受信部は、未来時刻情報を取得した後、信号を受信し続ける必要がなく、受信部が信号を受信しない状態とすることができる。
以上から、従来と比べ、信号を受信する時間を大幅に減らすことができ、消費電力を大幅に少なくすることができる。つまり、前記構成では、超低電力が求められる機器等にも対応可能な時刻修正装置となる。
【0013】
ところで、上述の受信時刻情報で時刻修正装置の時刻情報修正部が時刻表示部を修正すると、この受信時刻情報を算出等するために同装置が動作等した時間だけ時刻が相違することになる。
時刻修正装置は、修正時刻情報生成部が、少なくとも、上述の受信時刻情報と処理時間情報に基づいて、修正時刻情報を生成する構成を有している。
すなわち、前記構成の時刻修正装置は、同装置内で、かかる受信時刻情報生成部が動作等する時間である処理時間情報を有し、この処理時間情報に基づき、最終的に時刻情報表示部を修正することで、極めて精度の高い時刻修正を可能としている。
【0014】
好ましくは、前記受信部が受信する前記信号は、少なくとも、GPS衛星のGPS時刻情報、前記基地局から発信される信号の基地局誤差時間情報、前記基本時刻情報である前記GPS時刻情報を世界協定時(UTC)に換算するUTC換算情報及び前記地域時刻補正情報である地域時間に換算する地域時間換算情報を有し、前記受信時刻情報生成部は、少なくとも、前記GPS時刻情報、前記UTC換算情報、前記地域時間換算情報、前記基地局誤差時間情報及び前記差分情報に基づいて前記受信時刻情報を生成する構成となっていることを特徴とする時刻修正装置である。
【0015】
前記構成によれば、受信部が受信する信号は、時刻情報は、GPS時刻情報を有している。これは地球の上空を周回するGPS衛星内の原子時計のデータであり、極めて正確な時間情報である。また、信号は、基地局誤差時間情報を有している。この基地局誤差時間情報は、信号の受信側がどの基地局からの信号を受信したかを識別するため、時刻を違えて信号を送信している情報であり、例えば、64チップ(0.052ms)単位ずつ時刻を違えて送信している。受信側はこの時刻誤差を把握することで、基地局を特定することができることなる。
したがって、時刻修正装置は、GPS時刻情報と、基地局誤差時間情報で、誤差がないより正確な実際の受信時刻情報を取得することが可能な構成となっている。
【0016】
また、信号は、GPS時刻情報を世界協定時に換算するUTC換算情報や地域時間に換算する地域時間換算情報を有し、受信時刻情報生成部は、少なくとも、GPS時刻情報、UTC換算情報、地域時間換算情報、基地局誤差時間情報及び差分情報に基づいて前記受信時刻情報を生成する構成となっている。
このため、GPS時刻を世界協定時に直し、さらに地域時間(例えば、日本時間)に直すことができるので、時刻修正装置が修正しようとする時刻情報表示部が所在する国や地域等における時差を考慮した当該国及び地域の時間を正確に取得することができる。
【0017】
好ましくは、前記受信部が受信する前記信号には、季節時間に換算する季節時間情報が含まれることを特徴とする時刻修正装置である。
【0018】
前記構成によれば、時刻情報には、季節時間に換算する季節時間情報が含まれているので、地域によってサマータイム等の季節時間が変更する場合でも、この変更する季節時間に合った時刻を正確に取得することができる。
【0019】
好ましくは、前記基地局から発信される信号が、CDMA(Code Division Multiple Access、符号分割多重接続)方式の携帯電話通信網で基地局から発信される信号であることを特徴とする時刻修正装置である。
【0020】
前記構成によれば、基地局から発信される信号が、CDMA(Code Division Multiple Access、符号分割多重接続)方式の携帯電話通信網で基地局から発信される信号であるので、CDMA方式の携帯電話通信網を利用することで、精度の高い時刻修正をすることができる。
【0021】
前記課題は、本発明によれば、基地局からの信号を受信する受信部と、前記受信部が通信を行うための電力を供給する電源部と、表示時刻情報を表示する時刻表示部と、前記時刻表示部の表示時刻情報を修正する時刻情報修正部と、前記時刻表示部が前記表示時刻情報を修正するための修正時刻情報を格納する修正時刻情報格納部と、前記修正時刻情報を生成するための修正時刻情報生成部と、を有する時刻修正装置付き計時装置であって、前記受信部が受信した前記信号は、少なくとも、前記基地局の所在によって変化しない基本時刻情報と、この基本時刻情報を当該基地局が所在する地域の地域時刻情報に補正するために地域時刻補正情報と、を含み、前記受信部が前記地域時刻補正情報を時系列に取得した複数の前記地域時刻補正情報を格納する地域時刻補正情報格納部を有し、前記修正時刻情報は、少なくとも、前記基本時刻情報及び前記地域時刻補正情報に基づいて生成され、
前記修正時刻情報生成部が前記修正時刻情報を生成するときに参照する前記地域時刻補正情報を選択するための地域時刻補正情報選択情報を格納する地域時刻補正情報選択情報格納部を有し、前記修正時刻情報生成部は、少なくとも、前記地域時刻補正情報選択情報に基づき選択された一の前記地域時刻補正情報に基づき前記修正時刻情報を生成し、前記時刻情報修正部は、前記一の前記地域時刻補正情報に基づき生成された前記修正時刻情報に基づき前記時刻表示部の前記表示時刻情報を修正する構成となっていることを特徴とする時刻修正装置付き計時装置である。
【0022】
前記課題は、本発明によれば、基地局からの信号を受信する受信部と、前記受信部が通信を行うための電力を供給する電源部と、時刻表示部の表示時刻情報を修正する時刻情報修正部と、前記時刻表示部が前記表示時刻情報を修正するための修正時刻情報を格納する修正時刻情報格納部と、前記修正時刻情報を生成するための修正時刻情報生成部と、を有する時刻修正方法であって、前記受信部が受信した前記信号は、少なくとも、前記基地局の所在によって変化しない基本時刻情報と、この基本時刻情報を当該基地局が所在する地域の地域時刻情報に補正するために地域時刻補正情報と、を含み、前記受信部が前記地域時刻補正情報を時系列に複数取得し、地域時刻補正情報格納部に格納する地域時刻補正情報取得工程と、前記修正時刻情報生成部が、少なくとも、前記基本時刻情報及び前記地域時刻補正情報に基づいて前記修正時刻情報を生成する修正時刻情報生成工程と、前記修正時刻情報生成部が前記修正時刻情報を生成するときに参照する前記地域時刻補正情報を選択するための地域時刻補正情報選択情報を格納する地域時刻補正情報選択情報格納部を有し、前記修正時刻情報生成部は、前記修正時刻情報生成工程で、少なくとも、前記地域時刻補正情報選択情報に基づき選択された一の前記地域時刻補正情報に基づき前記修正時刻情報を生成し、前記時刻情報修正部は、前記一の前記地域時刻補正情報に基づき生成された前記修正時刻情報に基づき前記時刻表示部の前記表示時刻情報を修正することを特徴とする時刻修正方法により達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0024】
図1は、本発明に係る時刻修正装置付き計時装置である例えば、時刻修正装置付き腕時計10(以下「腕時計」という)を示す概略図であり、図2は、図1の腕時計10の内部の主なハードウエア構成等を示す概略図である。
図1に示すように、腕時計10は、その表面に文字板12、長針、短針等の針13等が配置されると共に、各種メッセージが表示されるLED等からなるディスプレイ14が形成されている。なお、ディスプレイ14は、LEDの他、LCD、アナログ表示等でも構わない。
【0025】
また、図1に示すように、腕時計10は、アンテナ11を有しており、このアンテナ11は、CDMA基地局15a、15b等からの信号を受信する構成となっている。つまり、CDMA基地局15a等は、CDMA方式の携帯電話通信網の基地局となっている。
しかし、本実施の形態の腕時計10は携帯電話機能を有していないためのCDMA基地局15a等と電話通信をするものではなく、CDMA基地局15a等から送信される信号から時刻情報等を受信し、その信号に基づいて時刻修正をしようとするものである。CDMA基地局15a等から送信される信号も内容については後述する。
また、図1に示すように、腕時計10には、その利用者が操作可能なりゅうず28が形成されている。
このディスプレイ14は、利用者に対して情報を表示する表示部の一例となっている。
【0026】
先ず、図1の腕時計10のハードウエア構成等について説明する。図2に示すように、腕時計10はバス20を備え、バス20には、CPU(Central Processing Unit)21、RAM(Random Access Memory)22、ROM(Read Only Memory)23等が接続されている。
また、バス20には、CDMA基地局15a等からの信号を受信する受信部である例えば、CDMA基地局電波受信機24が接続されている。このCDMA基地局電波受信機24は、図1のアンテナ11を有している。
また、バス20には、時計機構であるIC(半導体集積回路)等からなるリアルタイムクロック(RTC)25や温度補償回路付き水晶発振回路(TCXO)26等も接続されている。
【0027】
このように、図1の文字板12、針13、RTC25及びTCXO26等は、表示時刻情報を表示する時刻表示部の一例となっている。
【0028】
また、バス20には、電池27が接続され、この電池27は、受信部(例えば、CDMA基地局電波受信機24等)が通信を行うための電力を供給する電源部の一例となっている。
【0029】
また、バス20には、図1のディスプレイ14やりゅうず28が接続されている。このように、バス20は、すべてのデバイスを接続する機能を有し、アドレスやデータパスを有する内部バスである。RAM22は、所定のプログラムの処理を行う他、バス20に接続されたROM23等を制御している。ROM23は、各種プログラムや各種情報等を格納している。
【0030】
図3乃至図6は、腕時計10の主なソフトウエア構成等を示す概略図であり、図3は全体図である。
図3に示すように、腕時計10は、制御部29を有し、制御部29は、図3に示す各種プログラム格納部30内の各種プログラム、第1の各種データ記憶部40内の各種データ及び第2の各種データ記憶部50内の各種データを処理する構成となっている。
また、図3には、各種プログラム格納部30、第1の各種データ記憶部40及び第2の各種データ記憶部50と分けて示してあるが、実際に、このようにデータが分けて格納されているわけではなく、説明上の便宜のために分けて記載したものである。
なお、図3の第1の各種データ記憶部40には、主に予め格納されているデータをまとめて示した。また、第2の各種データ記憶部50には、第1の各種データ記憶部40内のデータ等を各種プログラム格納部30内のプログラムで処理した後のデータ等を主に示した。
図4は、図3の各種プログラム格納部30内のデータを示す概略図であり、図5は、図3の第1の各種データ記憶部40内のデータを示す概略図である。また、図6は、図3の第2の各種データ記憶部50内のデータを示す概略図である。
図7乃至図12は、本実施の形態にかかる腕時計10の主な動作等を示す概略フローチャートである。
【0031】
以下、図7乃至図12のフローチャートにしたがって本実施の形態に係る腕時計10の動作等を説明しつつ、その関連で図4乃至図6の各種プログラムや各種データを説明する。
フローチャートの説明に入る前にCDMA方式の携帯電話システムのうち、本実施の形態と関連ある部分を説明する。
CDMA方式の携帯電話システムは米国クアルコム社が開発した方式が1993年に米国の標準方式の一つ「IS95」に採用したことから本格的な運用が開始されており、これ以降、IS95A、IS95B、CDMA2000という改訂を経て現在に至っている。また、日本国ではARIB STD−T53に準じて携帯電話システムが運用されている。
このようなCDMA方式は下り(CDMA基地局15a等から移動局、本実施の形態では腕時計10)は同期通信であるため、腕時計10がCDMA基地局15a等の時刻データと同期する必要がある。CDMA基地局15a等から送信される信号は、具体的には、パイロットチャネル信号と、シンクチャネル信号を有している。パイロットチャネル信号は、CDMA基地局15a等ごとに、異なったタイミングで発信されている信号であり、例えば、パイロットPN信号である。
【0032】
図13は、CDMA基地局15a、15bから送信される信号の同期タイミング等を示す概略図である。
これらのCDMA基地局15a、15bから送信される信号は、同じであるため、この信号がどのCDMA基地局15a等から発信したかを識別するため、各CDMA基地局15a等は、それぞれ他のCDMA基地局15a等と異なるタイミングで信号を発信している。
具体的には、このタイミングの相違は、CDMA基地局15a等が発信するパイロットPN信号の相違として表れる。すなわち、例えば、図13のCDMA基地局15bは、CDMA基地局15aより僅かに遅れたタイミングで信号を発信している。具体的には、64chips(0.052ms(ミリ秒))分だけ、パイロットPNオフセットを設けている。
このように多数のCDMA基地局15a等が存在しても、各CDMA基地局15a等が64chipの整数倍だけ、それぞれ異なるパイロットPNオフセットを設けることで、受信する腕時計10は、どのCDMA基地局15a等からの信号を受信したかを容易に把握することができる構成となっている。
【0033】
また、CDMA基地局15a等から発信される信号には、シンクチャネル信号があり、これが図14のシンクチャネルメッセージである。図14は、シンクチャネルメッセージの内容を示す概略図である。
図14に示すように、シンクチャネルメッセージには、上述したパイロットPN信号のデータ、例えば、パイロットPNオフセットデータが64chips(0.052ms)×N(0〜512)であることを示すデータが含まれている。このデータは、図14では「PILOT_PN」で表されている。
また、シンクチャネルメッセージには、GPS時刻データであるシステム時間のデータも含まれている。
GPS時刻は毎週日曜日の0時からの経過時間が秒で表示され、翌週の日曜日の0時に0に戻るようになっている。そして、この1週間についてはGPSの週番号が付されているので、週番号と経過時間(秒)のデータを取得することで、受信側はGPS時刻を取得できる構成となっている。このデータは、図14では「SYS_TIME」で表されている。
【0034】
また、シンクチャネルメッセージには、世界協定時(UTC)に換算するための「うるう秒」のデータも含まれている。このデータは、図14では、「LP_SEC」で表されている。
また、シンクチャネルメッセージには、時計10が所在する国又は地域のUTCに対する時差データである、ローカルオフセット時間が含まれている。すなわち、例えば、アメリカ合衆国のカリフォルニア州の場合は、UTCに8時間マイナスされた時間である旨のデータ等が格納されている。
このデータは、図14では、「LTM_OFF」で表される。
また、シンクチャネルメッセージには、時計10が所在する国や地域がサマータイム等を採用しているか否かのサマータイムデータも含まれている。アメリカ合衆国のカリフォルニア州の場合は、サマータイム制を採用し、1時間早まるため、そのデータは「+1」となる。しかし、カリフォルニア州に隣接するアリゾナ州では、サマータイム制を採用していないため、そのデータは「0」となる。このデータは、図14では、「DAYLT」で表される。
【0035】
このように、図14のパイロットPN信号データが、基地局(例えば、CDMA基地局15a等)から発信される信号の基地局誤差時間情報の一例であり、ローカルオフセット情報が、地域時間に換算する地域時間換算情報及び地域時刻補正情報の一例となっている。また、サマータイムデータは、季節時間に換算する季節時間情報及び基地局の所在によって変化しない基本時刻情報の一例となっている。
【0036】
図14のシンクチャネルメッセージには、以上のような内容のデータが含まれるが、具体的には、各データは時系列に順番に送信される、送信される信号は、図13に示すように、80ms単位からなるスーパーフレーム(S)単位で送信され、シンクチャネルメッセージの最後のデータが含まれるのが、図13のラストスーパーフレーム(LS)となる。すなわち、図13のラストスーパーフレーム(LS)の最後のタイミング(図13の「E」「EE」で示す部分)が、シンクチャネルメッセージの受信完了のタイミングとなっている。
また、CDMA方式では、図14のシンクチャネルメッセージの上述のGPS時刻は、図13の「E」における時刻とはなっておらず、その後、4スーパーフレーム(320ms)後における時刻、すなわち、図13の「F」における時刻となっている。
具体的には、上述したパイロットPNオフセットデータが、0chip(0ms)の場合の時刻を基準とした、ラストスーパーフレームの最後のタイミングから4スーパーフレーム後の時刻となる。
【0037】
これは、CDMAがそもそも携帯電話で通信するためのシステムであることに基づく。つまり、携帯電話機は、CDMA基地局15a等から図14に示す、シンクチャネルメッセージを受信した後、CDMA基地局15a等との同期通信をするための準備を携帯電話機内で行う必要がある。
具体的には、次のステージである「待ち受け状態」へ遷移するための準備をした後、CDMA基地局15a等と同期をとり通信することになる。
そこで、この準備時間を考慮して、CDMA基地局15a等は、予め未来の時刻である320ms後の時間を、事前に送信し、この時間を受信した携帯電話機が内部で処理を行い、準備が終わった後、この時刻でCDMA基地局15a等と同期を取りに行くと同期を取りやすくなるという構成となっている。換言すれば、この4スーパーフレーム(320ms)が携帯電話機側の準備時間となっている。
【0038】
以上が、本実施の形態におけるCDMA方式の携帯電話システムの概略であり、以上の前提で、以下、本実施の形態を説明する。
本実施の形態では、先ず、シンクチャネル信号を受信し、精度良く時刻修正を行うが、シンクチャネル信号には、図14に示すように「ローカルオフセット時間」、すなわち、当該地域の時差情報もあるため、時刻修正は後述するように時差情報についても精度良く行われてしまう。
これは、日本等のように国内を移動しても時差が変わらない地域では、最も好ましいシステムとなる。しかし、アメリカ合衆国のように州が変わると時差も変わる地域で、日常的に時差が異なる州と州の間を移動している腕時計10の利用者にとっては、本実施の形態にかかる時刻修正の動作が行われると、その時刻修正が行われた際の州の時差に合わされることになる。
この時差を合わした州が利用者の居住している州であればよいが、偶然、移動で立ち寄った州等である場合は、かえって使い難いこととなる。
そこで、本実施の形態では、時差の修正については、利用者が使い易いように修正がおこなわれるようになっている。
【0039】
以下、本実施の形態を説明するに際し、先ず、最初にCDMA方式を利用した精度が高く、低消費電力の時刻修正の全体の動作等について説明し、その後、時差の調整動作について説明する。
【0040】
腕時計10の時刻修正をする場合は、先ず、腕時計10は、図7のST1に示すように、CDMA基地局15a等から送信される電波のうち、パイロットチャネルの信号電波を受信するためのパイロットチャネルスキャンを行う。
そして、ST2では、腕時計10と、一番近いCDMA基地局15a等からのパイロットチャネル信号と同期を取る。
具体的には、図4のパイロットPN同期プログラム31が、図13に示すような、80ms毎のパイロットチャネル信号(パイロットPN信号)であるスーパーフレーム(S)と同期を取る。つまり、信号電波をダウンコンバートし、図示しないベースバンド部が、パイロットチャネル(walsh特定関数)の信号にパイロットPNコードをミキシングして同期を取る。
【0041】
次にST3で、パイロットPN同期プログラム31が、CDMA基地局15a等のパイロットチャネル信号と同期が完了したか否かを判断し、同期が完了しない場合は、ST4で、腕時計10が有するサービルエリアテーブルを全て参照したか(一巡したか)判断し、全て参照していない場合は、ST5に進む。
ST5では、日本、アメリカ、中国、カナダ等におけるCDMA基地局15a等のデータを参照し、そのデータに基づきST1のパイロットチャネルスキャンを行う。
つまり、例えば、腕時計10は、アメリカ合衆国のカリフォルニア州のCDMA基地局15a等を探しているが、実際は、日本に所在していたという場合は、ST3でパイロットチャネル信号と同期を取ることができない。そこで、ST5で日本のCDMA基地局15a等のデータを取得し
、そのデータに基づき、ST1のパイロットチャネルスキャンを行う。
【0042】
一方、ST4で、腕時計10が持っているサービルエリアテーブルを全て参照したにもかかわらずパイロットチャネル信号との同期を取ることができないときは、ST6に進む。ST6では、ユーザに時刻修正が行われていないことを示すため、例えば、図1の秒針を3秒動かすことで、その旨をユーザに知らせる。そして、時刻修正をユーザ判断に任せ、終了する。
【0043】
一方、ST3で、パイロットチャネル信号との同期が完了したときは、ST7へ進む。
ST7では、パイロットチャネルからシンクチャネルに切り替えられ、シンクチャネルメッセージの受信を開始する。
具体的には、シンクチャネルメッセージ受信プログラム32が図14に示すような、シンクメッセージの受信を開始する。
次に、ST8でシンクチャネルメッセージの受信が完了したか否かを判断し、シンクチャネルメッセージの受信が完了していないときは、ST9でタイムアウトか否かを判断し、タイムアウトの場合は、再び、ST8でシンクチャネルメッセージを受信し直す。
【0044】
一方、ST8でシンクチャネルメッセージの受信が完了すると、ST10へ進み、図3のCDMA基地局電波受信機24が信号の受信を停止する。
具体的には、受信機制御プログラム33が動作して、CDMA基地局電波受信機24のCDMA基地局15a等からの電波受信を停止する。つまり、図13のラストスーパーフレーム(LS)の終了のタイミングである「E」や「EE」で示すタイミングで電波受信を終了する。
これで、腕時計10は、図14に示す全てのシンクチャネルメッセージを受信したことになり、このシンクチャネルメッセージは図6のシンクチャネルメッセージデータ格納部51に、シンクチャネルメッセージデータ51aとして格納される。
【0045】
次に、ST11に進む。ST11以降は、既にCDMA基地局15a等から取得したシンクチャネルメッセージの情報に基づいて、時刻修正のためのデータを作成し、実際に時刻修正を行う工程となる。
先ず、ST11では、腕時計10は、例えばアメリカ合衆国のカリフォルニア州に所在するため、図6のシンクチャネルメッセージデータ51aから、GPS時刻、うるう秒、ローカルオフセット時間(カリフォルニア州の場合はUTCから8時間を減算する)、サマータイム時間(カリフォルニア州の場合は、サマータイムがあるので1時間加える)を抽出し、図4の第1次ローカル時刻算出プログラム34が動作して、第1次ローカル時刻である例えば、第1次カリフォルニア州時刻を算出する。
具体的には、GPS時刻を基本にうるう秒データ等に基づいてUTC時刻を算出し、このUTC時刻に基づき、ローカルオフセット時間で、例えば、8時間を減算し、カリフォルニア時刻とする。また、カリフォルニア州では、サマータイム制を採用するので、ここで当該州等のサマータイム時間、例えば「+1時間」等の補正を行う。したがって、この補正は、極めて、精度の高い時刻修正となる。
【0046】
本実施の形態では、第1次カリフォルニア州時刻が算出され、この時刻はGPS時刻に基づいた基本的な時刻データとなる。
このように、算出された第1次カリフォルニア州時刻は、図6の第1次ローカル時刻データ格納部52に第1次ローカル時刻データ52aとして格納される。
【0047】
ここで算出された第1次ローカル時刻データ52aについて説明する。この第1次ローカル時刻データ52aは、図13で説明すると以下のようになる。つまり、腕時計10が図13のCDMA基地局15bの信号を受信し、そのシンクチャネルメッセージを取得したとすると、受信した時刻(GPS時刻)は、上述したパイロットPNオフセットデータが、0chip(0ms)の場合の時刻を規準とした、ラストスーパーフレームの最後のタイミングから4スーパーフレーム(320ms)後の時刻情報(図13の例では「F」における時刻)となる。
しかし、図13のCDMA基地局15bは、そのパイロットPNオフセットが例えば、64chip(0.052ms)があるため、その分、実際の受信タイミングとしては、正確なGPS時刻とは相違している。つまり、図13のCDMA基地局15bが実際にラストスーパーフレームの最後を受信したタイミングである「EE」は、腕時計10が取得したGPS時刻にパイロットPNオフセット分を加算した時刻となる。
【0048】
このため、本実施の形態では、以下の処理を行う。すなわち、ST12で、図6の第1次ローカル時刻データ52aに対して以下のような補正をかける。
つまり、第1次ローカル時刻データ52aから320ms(4スーパーフレーム)を減算することで、図13の「F」における時刻を「E」における時刻情報とする。さらに、CDMA基地局15bの信号はパイロットPNオフセットが0.052msあるため、その分を加算する。
すると、ラストスーパーフレーム受信完了時(「EE」)の正しいGPS時刻に基づく例えば、カリフォルニア州時刻が生成されることになる。
このような計算は、図4の第2次ローカル時刻算出プログラム35が、図6の第1次ローカル時刻データ52a、図5の差分時間データ41a及びパイロットPNオフセット時間データ42a等に基づいて行い、その結果は、図6の第2次ローカル時刻データ53aとして第2次ローカル時刻データ格納部53に格納される。
図5における差分時間データ41aの一例が、上述の320ms(4スーパーフレーム)というデータであり、差分時間データ格納部41に格納される。また、パイロットPNオフセット時間データ42aの一例が、上述の64chip(0.052ms)というデータであり、パイロットPNオフセット時間データ格納部42に格納される。
【0049】
また、ST12でシンクチャネルメッセージから取得したGPS時刻等は、受信部(例えば、CDMA基地局電波受信機24等)が受信する時刻である受信時刻情報(例えば、図13の「E」における時刻情報等)から所定時間経過後(例えば、320ms経過後等)の未来時間情報の一例となっている。また、図5の差分時間データ41aが、差分時間情報の一例となっている。
また、第1次ローカル時刻算出プログラム34及び第2次ローカル時刻算出プログラム35が、受信部(例えば、CDMA基地局電波受信機24等)が受信した未来時刻情報(例えば、図13の「F」における時刻情報等)と差分時間情報(例えば、差分時間データ41a等)に基づいて受信部の受信時刻情報(例えば、第2次ローカル時刻データ53a等)を生成する受信時刻情報生成部の一例となっている。
【0050】
ところで、このように、ST12で算出された第2次ローカル時刻データ53aは、GPS時刻に合致した精度の高い時刻であるが、ST11やST12の計算に要する時間等があり、この時間を考慮しないと、その計算時間等の分だけ時刻が相違する(狂う)ことになる。
そこで、ST13の工程が行われる。すなわち、図6の第2次ローカル時刻データ53aに、処理遅延時間を加算して、最終ローカル時刻を算出する。つまり、この処理遅延時間が当該腕時計10の上述の計算に要する時間等に該当するが、この時間は、当該腕時計10によって時間は定まっている。
このため、本実施の形態では、図5に示すように、処理遅延時間データ43aを予め固定値として、処理遅延時間データ格納部43に格納しておく。そして、図4の最終ローカル時間算出プログラム36は、図6の第2次ローカル時刻データ53aに、処理遅延時間データ43aを加算して、より精度の高い時刻情報である最終ローカル時刻データとして、最終ローカル時刻データ格納部54に格納する。
【0051】
このように生成された、最終ローカル時刻データはGPS時刻に合致した極めて精度の高い時刻情報となる。なお、処理遅延時間は、処理時間情報の一例である。また、ST13等は、修正時刻情報生成工程の一例である。
【0052】
本実施の形態によれば、ST10でCDMA基地局電波受信機24がCDMA基地局15b等の電波の受信を停止するので、電池27の消費電力を小さくすることができる。
この点について、図13を用いて具体的に説明する。図13の(D)はCDMA基地局15bからシンクチャネルメッセージを受信し、その後、時刻同期を行う、従来の電源シーケンスを示す。図13に示すように、従来は、図13の「FF」の部分まで信号を継続して受信しているため電源は継続して信号受信用の出力状態となっている。
これに対して、本実施の形態の電源シーケンスは図13の(C)である。(C)に示すように、信号の受信は、図13の「EE」の部分で終了し、その後、通信を行っていない。
このため、本実施の形態の腕時計10は、消費電力を小さくすることができるので、超低電力が要求される時計等の機器にも搭載可能であり、且つ、極めて高精度な時刻修正も可能となっている。
【0053】
ST13で、腕時計10は、RTC25等を修正すべき最終ローカル時刻データを取得したことになるが、この最終ローカル時刻データは、例えば、カリフォルニア州(アメリカ合衆国の太平洋岸の標準時)の時刻である。したがって、腕時計10の利用者が、時差が異なる山岳部のアリゾナ州とカリフォルニア州との間を頻繁に移動等する場合は、カリフォルニア州の時間では、アリゾナ州では1時間の時差が生じ、正確な時間を表示することにはならない。さらに、アリゾナ州ではサマータイム制を採用していないため、夏期の間は、さらに1時間相違し、併せて2時間の誤差が生じてしまう。
また、逆に、偶然、アリゾナ州に所在していたときに上述のCDMAを利用した時刻修正を行うと、アリゾナ州の時差及びサマータイムの時間に腕時計10のRTC25等を合わせてしまう。
これでは、かかる時刻修正は腕時計10の利用者に混乱をもたらし、使い難いことになるため、図8のST14に示すような、ローカルオフセット時間及びサマータイム時間表示補正動作が行われる。
【0054】
図9乃至図12は、図8のローカルオフセット時間及びサマータイム時間表示補正動作を示す概略フローチャートである。
先ず、図9のST141が行われる。すなわち、図4のローカルオフセット/サマータイム抽出プログラム39が、図6のシンクチャネルメッセージデータ51aから、今回のCDMA基地局15bから受信したローカルオフセット時刻(今回ローカルT)とサマータイム時刻(今回サマーT)をそれそれ、図6のローカルオフセット時刻データ格納部56とサマータイムデータ格納部57に格納する。
ここで、本実施の形態を以下の例で説明する。例えば、カリフォルニア州に生活の本拠がある利用者で、頻繁にアリゾナ州に移動する場合を例とする。
この例では、利用者はアリゾナ州でCDMA基地局15b等からローカルオフセット時間を取得するので、「今回ローカルT」は「−7時間」となる。
また、「今回サマーT」は「0」(アリゾナ州はサマータイム未採用)となる。
このようなデータが、図6のローカルオフセット時刻データ56a及びサマータイムデータ57aとなる。
【0055】
これらローカルオフセット時刻データ56aやサマータイムデータ57aには、前回、利用者が例えば、カリフォルニア州でCDMA基地局15a等から取得したローカルオフセット時間(前回ローカルT)やサマータイム時間(前回サマーT)が既に格納されている。
すなわち、「前回ローカルT」は「−8時間」であり、「前回サマーT」は「+1時間」である。
【0056】
このように、ローカルオフセット時刻データ格納部16は、受信部(例えば、CDMA基地局電波受信機24等)が時系列に取得した複数の地域時刻補正情報(例えば、ローカルオフセット時間)を格納する地域時刻補正情報格納部の一例である。また、ST141は、地域時刻補正情報取得工程の一例である。
【0057】
次に、ST142で、図4のローカルオフセット比較プログラム310が、図6のローカルオフセット時刻データ56aである「今回ローカルT」のデータ「−7時間」と「前回ローカルT」のデータ「−8時間」とを比較し、その差であるローカルオフセット差分時間(例えば、1時間)を算出し、図6のローカルオフセット差分時間(1時間)としてローカルオフセット差分時間データ格納部58に格納される。
次に、ST143に進む。ST143では、図4のローカルオフセット閾値判断プログラム311が動作し、図6のローカルオフセット差分時間データ(1時間)が、図5のローカルオフセット閾値データ格納部45に格納されているローカルオフセット閾値データ45a(例えば、30分)以上か否かを判断する。
【0058】
このように、図5にローカルオフセット閾値データ格納部25は、地域時刻補正情報選択情報を格納する地域時刻補正情報選択情報格納部の一例となっている。
【0059】
上述の例では、ローカルオフセット差分時間データ(1時間)は、ローカルオフセット閾値データ(30分)以上であるため、時刻修正に必要なローカルオフセット時間が前回と今回とで大きく変化している判断し、ST144へ進む。
一方、ローカルオフセット差分時間データが、ローカルオフセット閾値データ以上でない場合は、ローカルオフセット時間に変化がないと判断し、ST145に進む。
ST145については、後述する。
【0060】
ST144では、最終ローカル時刻算出プログラム36が、ローカルオフセット時刻データ56aの「今回ローカルT」(−7時間)と、サマータイムデータ57aの「今回サマーT」(0時間)に基づいて、上述のST11、ST12、ST13等の工程を経て、「今回ローカルT及び今回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54aが生成され、図6の最終ローカル時刻データ格納部54に格納される。
つまり、上述の例の場合は、アリゾナ州における時刻情報が生成されることになる。
【0061】
また、ST146では、最終ローカル時刻算出プログラム36が、ローカルオフセットデータ56aの「前回ローカルT」(−8時間)と、サマータイムデータ57aの「前回サマーT」(+1時間)に基づいて、上述のST11、ST12、ST13等の工程を経て、「前回ローカルT及び前回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54bが生成され、図6の最終ローカル時刻データ格納部54に格納される。
つまり、上述の例の場合は、カリフォルニア州における時刻情報が生成されることになる。
【0062】
次に、ST147へ進む。ST147では、図4のディスプレイ制御プログラム312が動作し、ST146及びST147で生成した図6の「今回ローカルT/今回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54a」と「前回ローカルT/前回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54b」を交互に図1のディスプレイ14に表示する。具体的には10秒間隔で3分間表示する。
【0063】
このように、ディスプレイ制御プログラム312は、表示部(例えば、ディスプレイ14等)を制御する表示制御部の一例であり、最終ローカル時刻データは修正時刻情報の一例となっている。また、最終ローカル時刻算出プログラム36等は、修正時刻情報生成部の一例となっている。
【0064】
次に、ST148へ進む。ST147では、上述の例では、アリゾナ州時刻とカリフォルニア州時刻が交互に表示されることになり、腕時計10の所持者に対して、いずれの時刻で修正した方が良いか問うようになっている。
つまり、今回受信の信号は偶然、アリゾナ州のCDMA基地局15a等であったとすれば、このアリゾナ州の時刻で腕時計10を修正しても利用者の利便性が向上しない。そこで、利用者に、いずれの時間で修正した方か良いか選ばせる構成となっている。
【0065】
ST148では、図1のりゅうず28を利用者が操作することで、図4の表示選択プログラム313が動作し、利用者の選択が確定する構成となっている。
このように、りゅうず28と表示選択プログラム313等は、表示選択部の一例となっている。
【0066】
ST148で、利用者がいずれも選択しないで3分間経過したときは(ST149)、ST150で、図4の修正用時刻データ選択プログラム314が動作して、図6の「今回ローカルT/今回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54a」を、修正用時刻データ55aとして修正用時刻データ格納部55に格納される。
つまり、「今回ローカルT/今回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54a」が腕時計10の修正用時刻データ55aとして確定する。
このため、修正用時刻データ55aは修正時刻情報の一例となっている。また、修正用時刻データ選択プログラム314は、最終ローカル時刻算出プログラム36等と共に、修正時刻情報生成部の一例となっている。
【0067】
一方、ST148及びST151で、利用者が「今回ローカルT/今回サマーT基準の最終ローカル時刻データ53a」を選択した場合は、ST152で、図5のローカルオフセット閾値で45aを例えば、減らして、初期値である例えば、0分とする。
すなわち、図4のローカルオフセット閾値変更プログラム315が動作して、ローカルオフセット閾値データ45aが変更される構成となっている。
なお、ローカルオフセット閾値データ45aは、例えば30分毎に変更可能な構成となっている。
【0068】
このように、地域時刻補正情報選択情報(例えば、ローカルオフセット閾値データ45a等)が表示選択部(例えば、りゅうず28等)で選択する修正時刻情報(例えば、「今回ローカルT/今回サマーT基準の最終ローカル時刻データ」54a等)に基づき変化する構成となっている。
【0069】
その後、ST153で、「今回ローカルT/今回サマーT基準の最終ローカル時刻データ53a」を修正用時刻データ55aとする。
つまり、上述の例では、利用者がアリゾナ州の時刻で修正を希望していると判断し、腕時計10は、アリゾナ州の時刻に修正されることになる。また、利用者は、最新のローカルオフセット時刻を腕時計10に反映させることを希望していると判断し、上述のローカルオフセット閾値で45aを低く設定する。
【0070】
一方、ST151で、利用者が「前回ローカルT/前回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54b」を選択した場合は、ST152とは逆に、ローカルオフセット閾値データ45aを増加させ、例えば1時間とする。
そして、ST155で、利用者の腕時計10を「前回ローカルT/前回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54b」で修正する。つまり、上述の例では、利用者はアリゾナ州に所在するにもかかわらず、カリフォルニア州の時間で修正することを希望していると判断する。
また、ローカルオフセット閾値データ45aを増加させることで、次回からアリゾナ州とカリフォルニア州の間を行き来しても、常に、カリフォルニア州の時刻で修正されることになる。
このように、何度も前回のローカルオフセット時間を選択すれば、時差が数時間ある例えば、アメリカ合衆国の中西部へ移動してもカリフォルニア州の時差等に基づいて時刻修正が行われ、腕時計10の所持者にとって極めて利便性が向上することとなる。
【0071】
ところで、図9のST143で、ローカルオフセット差分時間データ58aが、ローカルオフセット閾値データ45a以上でない場合は、ローカルオフセット時刻は前回のまま変化させる必要はない。しかし、サマータイム時刻についても利用者の利便性を考慮する必要があり、サマータイム時刻を変化させる必要がある。そこで、ST145のサマータイム時刻表示動作が行われる。
図11及び図12は、ST145のサマータイム時刻表示動作の概略を示す概略フローチャートである。
先ず、ST100では、図4のサマータイム比較プログラム316が、図6のサマータイムデータ57aの前回のサマータイムデータ(前回サマーT)と今回のサマータイムデータ(今回サマーT)を比較し、それらのデータが相違するか否かを判断する。
そして、相違がないと判断した場合は、ST101で、図6の「前回ローカルT/前回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54b」を修正用時刻データ55aとして、時刻修正を行う。
つまり、これは、上述の例では、利用者がカリフォルニア州内で移動している場合等である。
【0072】
また、ST100では、前回のサマータイムデータと今回のサマータイムデータが相違する場合は、ST102で、ローカルオフセット時刻データ56a及びサマータイムデータ57aに基づき、ST11、ST12及びST13等を経て、「前回ローカルT/今回ローカルT基準の最終とーカル時刻データ54c」を生成し、最終ローカル時刻データ格納部54に格納する。
次に、ST104で、「前回ローカルT/前回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54b」と「前回ローカルT/今回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54c」を、ディスプレイ14に交互表示する。
そして、利用者がST104でりゅうず28でいずれも選択しない場合は、ST105及びST106に示すように、「前回ローカルT/今回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54c」を修正用時刻データ55aとして、時刻修正する。
【0073】
また、利用者が「前回ローカルT/今回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54c」を選択した場合も、「前回ローカルT/今回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54c」を修正用時刻データ55aとして、時刻修正する(ST108)。
一方、利用者が「前回ローカルT/今回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54c」を選択しない場合は、その希望に沿って、「前回ローカルT/前回サマーT基準の最終ローカル時刻データ54b」を修正用時刻データ55aとして、時刻修正する(ST109)。
このように、サマータイム時刻を加味して時刻修正を行うか否かについても、利用者が自由に決めることができるので、利用者にとって利便性の高い腕時計10となる。
【0074】
以上のように本実施の形態では、例えば、上述の例の場合で、ローカルオフセット閾値データ45aを1.5時間とすれば、利用者がカリフォルニア州からアリゾナ州に移動しても、ローカルオフセット時刻(時差)はカリフォルニア州のままで、アリゾナ州で高精度な時刻修正が可能となる。また、サマータイムを前回とすれば、カリフォルニア州のサマータイムを考慮した時刻修正がアリゾナ州で実行されることになり、利用者にとって極めて利便性が高い腕時計10となる。
【0075】
次に、図8のST16に戻り、以下の工程が行われる。
図8のST16では、最終的なRTC等の修正用データである修正用時刻データ55aに基づいて、時刻修正が行われる。つまり、図4のRTC及び時刻修正プログラム37が、図6の修正用時刻データ55aに基づき、図3のRTC25や図1の針13等を修正し、時刻修正が完了する。
【0076】
このように、RTC及び時刻修正プログラム37が、時刻情報表示部の表示情報(例えば、RTC25や針13等)を修正する表示時刻情報修正部の一例である。
【0077】
また、図7及び図8は、図11のローカルオフセット時間及びサマータイムデータは、CDMA基地局15a等から受信したシンクチャネルメッセージに基づいて自動的に修正される工程としたが、これらを腕時計10のユーザが設定可能としてもよい。
この場合は、上述のST11では、この入力されたデータに基づいて第1次ローカル時刻が算出されるので、ユーザの希望通りの時刻修正が可能となる。
【0078】
本発明は、上述の実施の形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明に係る時刻修正装置付き計時装置である例えば、時刻修正装置付き腕時計を示す概略図である。
【図2】図1の腕時計の内部の主なハードウエア構成等を示す概略図である。
【図3】腕時計の主なソフトウエア構成等を示す概略全体図である。
【図4】図3の各種プログラム格納部内のデータを示す概略図である。
【図5】図3の第1の各種データ記憶部内のデータを示す概略図である。
【図6】図3の第2の各種データ記憶部内のデータを示す概略図である。
【図7】本実施の形態にかかる腕時計の主な動作等を示す概略フローチャートである。
【図8】本実施の形態にかかる腕時計の主な動作等を示す他の概略フローチャートである。
【図9】図8のローカルオフセット時間及びサマータイム時間表示補正動作を示す概略フローチャートである。
【図10】図8のローカルオフセット時間及びサマータイム時間表示補正動作を示す他の概略フローチャートである。
【図11】ST145のサマータイム時刻表示動作の概略を示す概略フローチャートである。
【図12】ST145のサマータイム時刻表示動作の概略を示す他の概略フローチャートである。
【図13】CDMA基地局から送信される信号の同期タイミング等を示す概略図である。
【図14】シンクチャネルメッセージの内容を示す概略図である。
【符号の説明】
【0080】
10・・・時刻修正装置付き腕時計、12・・・文字板、15a及び15b・・・CDMA基地局、24・・・CDMA基地局電波受信機、25・・・リアルタイムクロック(RTC)、27・・・電池、31・・・パイロットPN同期プログラム、32・・・シンクチャネルメッセージ受信プログラム、33・・・受信機制御プログラム、34・・・第1次ローカル時刻算出プログラム、35・・・第2次ローカル時刻プログラム、36・・・最終ローカル時間算出プログラム、37・・・RTC及び時刻修正プログラム、38・・・時刻修正開始判断プログラム、39・・・ローカルオフセット/サマータイム抽出プログラム、41a・・・差分時間データ、42a・・・パイロットPNオフセット時間データ、43a・・・処理遅延時間データ、44a・・・時刻修正間隔データ、45a・・・ローカルオフセット閾値データ、51a・・・シンクチャネルメッセージデータ、52a・・・第1次ローカル時刻データ、53a・・・第2次ローカル時刻データ、54a・・・今回ローカルT/今回サマーT基準の最終ローカル時刻データ、54b・・・今回ローカルT/前回サマーT基準の最終ローカル時刻データ、54c・・・前回ローカルT/今回サマーT基準の最終ローカル時刻データ、55a・・・修正用時刻データ、56a・・・ローカルオフセット時刻データ、57a・・・サマータイムデータ、58a・・・ローカルオフセット差分時間データ、310・・・ローカルオフセット比較プログラム、311・・・ローカルオフセット閾値判断プログラム、312・・・ディスプレイ制御プログラム、313・・・表示選択プログラム、314・・・修正用時刻データ選択プログラム、315・・・ローカルオフセット閾値変更プログラム、316・・・サマータイム比較プログラム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局からの信号を受信する受信部と、
前記受信部が通信を行うための電力を供給する電源部と、
時刻表示部の表示時刻情報を修正する時刻情報修正部と、
前記時刻表示部が前記表示時刻情報を修正するための修正時刻情報を格納する修正時刻情報格納部と、
前記修正時刻情報を生成するための修正時刻情報生成部と、を有する時刻修正装置であって、
前記受信部が受信した前記信号は、少なくとも、前記基地局の所在によって変化しない基本時刻情報と、
この基本時刻情報を当該基地局が所在する地域の地域時刻情報に補正するために地域時刻補正情報と、を含み、
前記受信部が前記地域時刻補正情報を時系列に取得した複数の前記地域時刻補正情報を格納する地域時刻補正情報格納部を有し、
前記修正時刻情報は、少なくとも、前記基本時刻情報及び前記地域時刻補正情報に基づいて生成され、
前記修正時刻情報生成部が前記修正時刻情報を生成するときに参照する前記地域時刻補正情報を選択するための地域時刻補正情報選択情報を格納する地域時刻補正情報選択情報格納部を有し、
前記修正時刻情報生成部は、少なくとも、前記地域時刻補正情報選択情報に基づき選択された一の前記地域時刻補正情報に基づき前記修正時刻情報を生成し、
前記時刻情報修正部は、前記一の前記地域時刻補正情報に基づき生成された前記修正時刻情報に基づき前記時刻表示部の前記表示時刻情報を修正する構成となっていることを特徴とする時刻修正装置。
【請求項2】
利用者に対して情報を表示する表示部と、
前記表示部を制御する表示制御部と、
前記時刻情報修正部は、前記複数の地域時刻補正情報のそれぞれに基づいて複数の前記修正時刻情報を生成し、
前記表示制御部が前記複数の前記修正時刻情報を、前記表示部に表示する構成となっており、
前記表示部に表示された前記複数の前記修正時刻情報を利用者が選択するための表示選択部を有することを特徴とする請求項1に記載の時刻修正装置。
【請求項3】
前記地域時刻補正情報選択情報が、前記表示選択部が選択する前記修正時刻情報に基づき変化する構成となっていることを特徴とする請求項2に記載の時刻修正装置。
【請求項4】
前記受信部が受信した前記信号には、前記受信部が受信する時刻である受信時刻情報から所定時間経過後の未来時刻情報が含まれ、
前記未来時刻情報と前記受信時刻情報との差分時間情報を格納する差分時間情報格納部と、
少なくとも、前記受信部が受信した前記未来時刻情報と前記差分時間情報に基づいて前記受信部の受信時刻情報を生成する受信時刻情報生成部と、を有し、
前記修正時刻情報生成部は、前記受信時刻情報生成部で生成された前記受信時刻情報と、少なくとも、時刻修正装置の処理時間情報に基づき、前記修正時刻情報を生成する構成となっていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の時刻修正装置。
【請求項5】
前記受信部が受信する前記信号は、少なくとも、GPS衛星のGPS時刻情報、前記基地局から発信される信号の基地局誤差時間情報、前記基本時刻情報である前記GPS時刻情報を世界協定時(UTC)に換算するUTC換算情報及び前記地域時刻補正情報である地域時間に換算する地域時間換算情報を有し、
前記受信時刻情報生成部は、少なくとも、前記GPS時刻情報、前記UTC換算情報、前記地域時間換算情報、前記基地局誤差時間情報及び前記差分情報に基づいて前記受信時刻情報を生成する構成となっていることを特徴とする請求項4に記載の時刻修正装置。
【請求項6】
前記受信部が受信する前記信号には、季節時間に換算する季節時間情報が含まれることを特徴とする請求項5に記載の時刻修正装置。
【請求項7】
前記基地局から発信される信号が、CDMA(Code Division Multiple Access、符号分割多重接続)方式の携帯電話通信網で基地局から発信される信号であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の時刻修正装置。
【請求項8】
基地局からの信号を受信する受信部と、
前記受信部が通信を行うための電力を供給する電源部と、
表示時刻情報を表示する時刻表示部と、
前記時刻表示部の表示時刻情報を修正する時刻情報修正部と、
前記時刻表示部が前記表示時刻情報を修正するための修正時刻情報を格納する修正時刻情報格納部と、
前記修正時刻情報を生成するための修正時刻情報生成部と、を有する時刻修正装置付き計時装置であって、
前記受信部が受信した前記信号は、少なくとも、前記基地局の所在によって変化しない基本時刻情報と、
この基本時刻情報を当該基地局が所在する地域の地域時刻情報に補正するために地域時刻補正情報と、を含み、
前記受信部が前記地域時刻補正情報を時系列に取得した複数の前記地域時刻補正情報を格納する地域時刻補正情報格納部を有し、
前記修正時刻情報は、少なくとも、前記基本時刻情報及び前記地域時刻補正情報に基づいて生成され、
前記修正時刻情報生成部が前記修正時刻情報を生成するときに参照する前記地域時刻補正情報を選択するための地域時刻補正情報選択情報を格納する地域時刻補正情報選択情報格納部を有し、
前記修正時刻情報生成部は、少なくとも、前記地域時刻補正情報選択情報に基づき選択された一の前記地域時刻補正情報に基づき前記修正時刻情報を生成し、
前記時刻情報修正部は、前記一の前記地域時刻補正情報に基づき生成された前記修正時刻情報に基づき前記時刻表示部の前記表示時刻情報を修正する構成となっていることを特徴とする時刻修正装置付き計時装置。
【請求項9】
基地局からの信号を受信する受信部と、
前記受信部が通信を行うための電力を供給する電源部と、
時刻表示部の表示時刻情報を修正する時刻情報修正部と、
前記時刻表示部が前記表示時刻情報を修正するための修正時刻情報を格納する修正時刻情報格納部と、
前記修正時刻情報を生成するための修正時刻情報生成部と、を有する時刻修正方法であって、
前記受信部が受信した前記信号は、少なくとも、前記基地局の所在によって変化しない基本時刻情報と、
この基本時刻情報を当該基地局が所在する地域の地域時刻情報に補正するために地域時刻補正情報と、を含み、
前記受信部が前記地域時刻補正情報を時系列に複数取得し、地域時刻補正情報格納部に格納する地域時刻補正情報取得工程と、
前記修正時刻情報生成部が、少なくとも、前記基本時刻情報及び前記地域時刻補正情報に基づいて前記修正時刻情報を生成する修正時刻情報生成工程と、
前記修正時刻情報生成部が前記修正時刻情報を生成するときに参照する前記地域時刻補正情報を選択するための地域時刻補正情報選択情報を格納する地域時刻補正情報選択情報格納部を有し、
前記修正時刻情報生成部は、前記修正時刻情報生成工程で、少なくとも、前記地域時刻補正情報選択情報に基づき選択された一の前記地域時刻補正情報に基づき前記修正時刻情報を生成し、
前記時刻情報修正部は、前記一の前記地域時刻補正情報に基づき生成された前記修正時刻情報に基づき前記時刻表示部の前記表示時刻情報を修正することを特徴とする時刻修正方法。
【請求項1】
基地局からの信号を受信する受信部と、
前記受信部が通信を行うための電力を供給する電源部と、
時刻表示部の表示時刻情報を修正する時刻情報修正部と、
前記時刻表示部が前記表示時刻情報を修正するための修正時刻情報を格納する修正時刻情報格納部と、
前記修正時刻情報を生成するための修正時刻情報生成部と、を有する時刻修正装置であって、
前記受信部が受信した前記信号は、少なくとも、前記基地局の所在によって変化しない基本時刻情報と、
この基本時刻情報を当該基地局が所在する地域の地域時刻情報に補正するために地域時刻補正情報と、を含み、
前記受信部が前記地域時刻補正情報を時系列に取得した複数の前記地域時刻補正情報を格納する地域時刻補正情報格納部を有し、
前記修正時刻情報は、少なくとも、前記基本時刻情報及び前記地域時刻補正情報に基づいて生成され、
前記修正時刻情報生成部が前記修正時刻情報を生成するときに参照する前記地域時刻補正情報を選択するための地域時刻補正情報選択情報を格納する地域時刻補正情報選択情報格納部を有し、
前記修正時刻情報生成部は、少なくとも、前記地域時刻補正情報選択情報に基づき選択された一の前記地域時刻補正情報に基づき前記修正時刻情報を生成し、
前記時刻情報修正部は、前記一の前記地域時刻補正情報に基づき生成された前記修正時刻情報に基づき前記時刻表示部の前記表示時刻情報を修正する構成となっていることを特徴とする時刻修正装置。
【請求項2】
利用者に対して情報を表示する表示部と、
前記表示部を制御する表示制御部と、
前記時刻情報修正部は、前記複数の地域時刻補正情報のそれぞれに基づいて複数の前記修正時刻情報を生成し、
前記表示制御部が前記複数の前記修正時刻情報を、前記表示部に表示する構成となっており、
前記表示部に表示された前記複数の前記修正時刻情報を利用者が選択するための表示選択部を有することを特徴とする請求項1に記載の時刻修正装置。
【請求項3】
前記地域時刻補正情報選択情報が、前記表示選択部が選択する前記修正時刻情報に基づき変化する構成となっていることを特徴とする請求項2に記載の時刻修正装置。
【請求項4】
前記受信部が受信した前記信号には、前記受信部が受信する時刻である受信時刻情報から所定時間経過後の未来時刻情報が含まれ、
前記未来時刻情報と前記受信時刻情報との差分時間情報を格納する差分時間情報格納部と、
少なくとも、前記受信部が受信した前記未来時刻情報と前記差分時間情報に基づいて前記受信部の受信時刻情報を生成する受信時刻情報生成部と、を有し、
前記修正時刻情報生成部は、前記受信時刻情報生成部で生成された前記受信時刻情報と、少なくとも、時刻修正装置の処理時間情報に基づき、前記修正時刻情報を生成する構成となっていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の時刻修正装置。
【請求項5】
前記受信部が受信する前記信号は、少なくとも、GPS衛星のGPS時刻情報、前記基地局から発信される信号の基地局誤差時間情報、前記基本時刻情報である前記GPS時刻情報を世界協定時(UTC)に換算するUTC換算情報及び前記地域時刻補正情報である地域時間に換算する地域時間換算情報を有し、
前記受信時刻情報生成部は、少なくとも、前記GPS時刻情報、前記UTC換算情報、前記地域時間換算情報、前記基地局誤差時間情報及び前記差分情報に基づいて前記受信時刻情報を生成する構成となっていることを特徴とする請求項4に記載の時刻修正装置。
【請求項6】
前記受信部が受信する前記信号には、季節時間に換算する季節時間情報が含まれることを特徴とする請求項5に記載の時刻修正装置。
【請求項7】
前記基地局から発信される信号が、CDMA(Code Division Multiple Access、符号分割多重接続)方式の携帯電話通信網で基地局から発信される信号であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の時刻修正装置。
【請求項8】
基地局からの信号を受信する受信部と、
前記受信部が通信を行うための電力を供給する電源部と、
表示時刻情報を表示する時刻表示部と、
前記時刻表示部の表示時刻情報を修正する時刻情報修正部と、
前記時刻表示部が前記表示時刻情報を修正するための修正時刻情報を格納する修正時刻情報格納部と、
前記修正時刻情報を生成するための修正時刻情報生成部と、を有する時刻修正装置付き計時装置であって、
前記受信部が受信した前記信号は、少なくとも、前記基地局の所在によって変化しない基本時刻情報と、
この基本時刻情報を当該基地局が所在する地域の地域時刻情報に補正するために地域時刻補正情報と、を含み、
前記受信部が前記地域時刻補正情報を時系列に取得した複数の前記地域時刻補正情報を格納する地域時刻補正情報格納部を有し、
前記修正時刻情報は、少なくとも、前記基本時刻情報及び前記地域時刻補正情報に基づいて生成され、
前記修正時刻情報生成部が前記修正時刻情報を生成するときに参照する前記地域時刻補正情報を選択するための地域時刻補正情報選択情報を格納する地域時刻補正情報選択情報格納部を有し、
前記修正時刻情報生成部は、少なくとも、前記地域時刻補正情報選択情報に基づき選択された一の前記地域時刻補正情報に基づき前記修正時刻情報を生成し、
前記時刻情報修正部は、前記一の前記地域時刻補正情報に基づき生成された前記修正時刻情報に基づき前記時刻表示部の前記表示時刻情報を修正する構成となっていることを特徴とする時刻修正装置付き計時装置。
【請求項9】
基地局からの信号を受信する受信部と、
前記受信部が通信を行うための電力を供給する電源部と、
時刻表示部の表示時刻情報を修正する時刻情報修正部と、
前記時刻表示部が前記表示時刻情報を修正するための修正時刻情報を格納する修正時刻情報格納部と、
前記修正時刻情報を生成するための修正時刻情報生成部と、を有する時刻修正方法であって、
前記受信部が受信した前記信号は、少なくとも、前記基地局の所在によって変化しない基本時刻情報と、
この基本時刻情報を当該基地局が所在する地域の地域時刻情報に補正するために地域時刻補正情報と、を含み、
前記受信部が前記地域時刻補正情報を時系列に複数取得し、地域時刻補正情報格納部に格納する地域時刻補正情報取得工程と、
前記修正時刻情報生成部が、少なくとも、前記基本時刻情報及び前記地域時刻補正情報に基づいて前記修正時刻情報を生成する修正時刻情報生成工程と、
前記修正時刻情報生成部が前記修正時刻情報を生成するときに参照する前記地域時刻補正情報を選択するための地域時刻補正情報選択情報を格納する地域時刻補正情報選択情報格納部を有し、
前記修正時刻情報生成部は、前記修正時刻情報生成工程で、少なくとも、前記地域時刻補正情報選択情報に基づき選択された一の前記地域時刻補正情報に基づき前記修正時刻情報を生成し、
前記時刻情報修正部は、前記一の前記地域時刻補正情報に基づき生成された前記修正時刻情報に基づき前記時刻表示部の前記表示時刻情報を修正することを特徴とする時刻修正方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
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【図11】
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【図14】
【公開番号】特開2008−51527(P2008−51527A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−225317(P2006−225317)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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