説明

普通型コンバイン

【課題】刈取対象の茎稈と未刈側の茎稈との間における絡み付き茎稈を切断する縦向き刈取装置を備え、その縦向き刈取装置での切断が良好に行われ易い普通型コンバインを提供する。
【解決手段】水平方向に沿う横向き姿勢で植立茎稈を刈り取る主刈取装置63の刈取作用域における横側端部位置に、刈刃による切断作用箇所を結ぶ切断作用線CLが上下方向に沿う起立姿勢となるバリカン型の縦向き刈取装置7を設け、リール式掻き込み装置64と縦向き刈取装置7とを、リール式掻き込み装置64による茎稈送り込み方向が機体側方視で縦向き刈取装置7の切断作用線CLと直交、又はほぼ直交するように配設してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈り取られた茎稈の全体を扱室に投入して脱穀処理する脱穀部と、脱穀処理物を選別処理する選別部とを備えた普通型コンバインの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の普通型コンバインにおいては、稲麦などのように条列に沿って植え付けられた茎稈を有する穀物の他に、菜種やひまわりなどのように条列に沿って植え付けられたものではない茎稈を収穫対象とすることがあり、従来では下記[1],[2]に記載の構造のものが知られている。
[1] 茎稈の頂部側を掻き込みリールで掻き込んで、茎稈の根本側を切断装置で切断して刈り取り、全稈を後方の脱穀装置に送り込むように構成するとともに、刈取対象の茎稈と未刈側の茎稈との絡み付きは分草具で分離させるように構成したもの(特許文献1参照)。
[2] 前端側の刈取装置を持ち上げ姿勢にして、茎稈の頂部近くでひまわりの花托を切断して収穫し、圃場に残る残茎稈は地面近くに位置する後方側の刈取装置で切断して圃場へ刈倒し、刈取対象の茎稈と未刈側の茎稈との絡み付きは分草具で分離させるように構成したもの(特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−211043号公報(段落〔0012〕、図1及び図2)
【特許文献2】特開2007−89464号公報(段落〔0019〕、〔0025〕、〔0038〕図1及び図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記[1]及び[2]に記載の従来構造のものでは、刈取対象の茎稈に対しては、掻き込みリールによる掻き込み作用などにより、姿勢矯正して刈取作業を行うようにしているが、未刈側に近い位置の刈取対象の茎稈と未刈側の茎稈との間で絡み付きが生じた場合には、分草具で押し分けることによって強制的に解きほぐすように構成されている。
このため、絡み付きの度合いが強い場合には、分草具による押し分け作用によっても絡み合った茎稈が解されなければ、着粒部での脱粒や、絡み合った茎稈が引きちぎられて圃場に散乱してしまうなどの虞があった。
【0005】
本発明の目的は、刈取対象の茎稈と未刈側の茎稈との間における絡み付きが分草作用で解されない場合にも、着粒部の脱粒や茎稈の引きちぎりが生じることを避けられるように、絡み付き茎稈を切断する縦向き刈取装置を設け、かつ、その縦向き刈取装置での切断が良好に行われ易い普通型コンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔解決手段1〕
上記課題を解決するために講じた本発明の技術手段は、請求項1に記載のように、水平方向に沿う横向き姿勢で植立茎稈を刈り取る主刈取装置と、前記主刈取装置の上方側位置で掻き込み用タインを回動させて刈取対象の植立茎稈を掻き込み操作するリール式掻き込み装置とを備えるとともに、その主刈取装置によって刈り取られた茎稈の全体を扱室に投入して脱穀及び選別処理する脱穀装置を備えた普通型コンバインにおいて、
前記主刈取装置の刈取作用域における横側端部位置に、刈刃による切断作用箇所を結ぶ切断作用線が上下方向に沿う起立姿勢となるバリカン型の縦向き刈取装置を設け、
前記リール式掻き込み装置と前記縦向き刈取装置とを、前記リール式掻き込み装置による茎稈送り込み方向が機体側方視で前記縦向き刈取装置の切断作用線と直交、又はほぼ直交するように配設したことである。
【0007】
〔作用及び効果〕
上記のように、解決手段1にかかる本発明の普通型コンバインでは、主刈取装置の刈取作用域における横側端部位置に、上下方向に沿う起立姿勢で茎稈の切断を行う縦向き刈取装置を設けたものであるから、刈取対象の茎稈と未刈側の茎稈との間における絡み付きが解消されていなくても、その絡み合った茎稈部分を縦向き刈取装置で切断して、刈取対象の茎稈と未刈側の茎稈との間における繋がりを断ってしまうことができる。
しかも、前記縦向き刈取装置の切断作用線と直交、又はほぼ直交するように、機体側方視での前記リール式掻き込み装置による茎稈送り込み方向を設定してあるので、リール式掻き込み装置によって縦向き刈取装置側へ供給される茎稈が、無用な姿勢変更や折り曲げ作用を受ける虞少なく、無理なく縦向き刈取装置側へ送り込まれて的確に切断作用を受けやすくなる。
【0008】
したがって、刈取対象の茎稈群と未刈側の茎稈群とは、絡み合った茎稈部分が存在していても、その絡み合った茎稈部分が引きちぎられるような強い押し分け分草作用を伴うことなく分離させることができ、刈取対象茎稈の刈取収穫を円滑に行うことができる利点がある。
そして、縦向き刈取装置での絡み付き茎稈部分の切断は、リール式掻き込み装置による茎稈送り込み作用を受けるにあたって、その送り込み方向が縦向き刈取装置の切断作用線と直交、又はほぼ直交するものであるため、的確な切断が行なわれ易くて、より一層スムーズな絡み付き茎稈の分離作用を期待できる利点がある。
【0009】
〔解決手段2〕
本発明の普通型コンバインにおける第2の解決手段は、請求項2の記載のように、主刈取装置の刈幅方向での端部にデバイダを備え、そのデバイダの分草作用面の上縁に対して機体側方視で切断作用線が直交又はほぼ直交する姿勢で前記縦向き刈取装置を配設してある点に特徴がある。
【0010】
〔作用及び効果〕
上記のように、解決手段2にかかる本発明の普通型コンバインでは、前記解決手段1にかかる発明と同等な作用効果の他に、次の作用効果をも奏する。
すなわち、縦向き刈取装置がデバイダの分草作用面の上縁に対して機体側方視で切断作用線が直交又はほぼ直交する姿勢で設けられているので、デバイダの分草作用面の上縁に沿って案内される絡み付き茎稈部分も、縦向き刈取装置の切断作用線に対して直交又はほぼ直交する方向で送り込まれることになる。
したがって、このデバイダの分草作用面の上縁に沿って送り込まれる絡み付き茎稈部分も、縦向き刈取装置による的確な切断が行なわれ易くて、より一層スムーズな絡み付き茎稈の分離作用を期待できる利点がある。
【0011】
〔解決手段3〕
本発明の普通型コンバインにおける第3の解決手段は、請求項3の記載のように、縦向き刈取装置を、デバイダ前端よりも後方側で、刈取作用姿勢にある前記主刈取装置の茎稈切断箇所よりも前方側位置に配設してある点に特徴がある。
【0012】
〔作用及び効果〕
上記のように、解決手段3にかかる本発明の普通型コンバインでは、前記解決手段2にかかる発明と同等な作用効果の他に、次の作用効果をも奏する。
すなわち、縦向き刈取装置が主刈取装置よりも前方位置に配設されていて、絡み付き茎稈部分に対する主刈取装置による切断が行われる前に縦向き刈取装置での切断が行われることになる。
その結果、縦向き刈取装置での切断作用によって、絡み付きが解除された状態の茎稈を主刈取装置で切断することになるので、主刈取装置での茎稈刈取作業がスムーズに行われ易くなり、また、絡み付き茎稈部分の一方側の茎稈根本側が主刈装置で先行して切断された状態の絡み付き茎稈部分を、その後に縦向き刈取装置で切断するというような茎稈姿勢の不安定な状態での切断作業を行う必要がないので、この点でも縦向き刈取装置での切断作業を良好に行い易くなる利点がある。
【0013】
〔解決手段4〕
本発明の普通型コンバインにおける第4の解決手段は、請求項4の記載のように、リール式掻き込み装置の回動中心は、側面視で縦向き刈取装置の切断作用線と合致する位置に配設されている点に特徴がある。
【0014】
上記のように構成された、解決手段4にかかる本発明の普通型コンバインでは、前記解決手段1〜3にかかる発明と同等な作用効果を奏する。
【0015】
〔解決手段5〕
本発明の普通型コンバインにおける第5の解決手段は、請求項5の記載のように、リール式掻き込み装置は、その回転軌跡がデバイダの前端よりも前方に位置するように配設されている点に特徴がある。
【0016】
上記のように、解決手段5にかかる本発明の普通型コンバインでは、前記解決手段2又は3にかかる発明と同等な作用効果の他に、次の作用効果をも奏する。
すなわち、リール掻き込み装置による掻き込み作用が、デバイダの前端よりも前方位置から作用することになるので、縦向き刈取装置や主刈取装置で切断される際の絡み付き茎稈部分は、切断される前から掻き込み作用を受けた状態で切断されることになる。このため、縦向き刈取装置で切断後にただちにリール掻き込み装置による後方送り作用を受けて後ろ倒れ姿勢とされながら、主刈取装置による切断が行われて、刈り取られた茎稈部分の全体が後方送りされることになる。
したがって、刈り取られた茎稈部分の穂先側が、直下方や前方へ落下して後方搬送の経路から脱落することを避けた状態でスムースに後方送りし易いという利点がある。
【0017】
〔解決手段6〕
本発明の普通型コンバインにおける第6の解決手段は、請求項6の記載のように、縦向き刈取装置は、主刈取装置及びリール式掻き込み装置とは別に前記縦向き刈取装置を単独で動力断続可能なクラッチ装置を備えていることを特徴とする。
【0018】
上記のように、解決手段6にかかる本発明の普通型コンバインでは、前記解決手段1〜5にかかる発明と同等な作用効果の他に、次の作用効果をも奏する。
すなわち、主刈取装置やリール式掻き込み装置とは別に縦向き刈取装置を単独で駆動停止した状態での作業が可能となる。したがって、予め刈り取られている茎稈をピックアップ装置を用いて拾い上げるピックアップ作業を行う場合に、主刈取装置やリール式掻き込み装置は駆動して能率良く、かつ縦向き刈取装置の駆動は止めて動力ロス少なく行い易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面の記載に基づいて説明する
【0020】
〔全体構成〕
図1乃至図3に示すように、本発明の普通型コンバインは、機体フレーム10を左右一対のクローラ走行装置11,11上に搭載して自走機体1を構成し、この自走機体1上に、運転座席20が装備された搭乗運転部2と、及び運転座席20の下方に位置するエンジン30が装備された原動部3と、脱穀対象の被処理物を脱穀及び選別処理する脱穀装置4と、脱穀された被処理物を袋詰めする袋詰め装置13とを搭載設置してある。
そして、自走機体1の機体前方側には、刈取対象茎稈を収穫するための刈取前処理装置6のフィーダ60を、その後端部の横軸心x周りで回動自在に連結してあり、これらの各装置の組み合わせによって、刈り取られた脱穀処理対象物の全稈を脱穀処理する普通型コンバインを構成してある。
【0021】
〔脱穀系の構成〕
前記脱穀装置4は、扱室に供給された刈取り穀稈を走行機体前後向きの軸芯周りに回動する軸流型の扱胴40によって脱穀処理し、脱穀処理物を脱穀粒と排稈とに選別処理し、脱穀粒を前記袋詰め装置13の貯留タンク14に供給するように構成してある。袋詰め対象の脱穀処理物以外の排稈などは、自走機体1の後方に落下放出するように構成してある。図2における符号15は、機体フレーム10から走行機体横外側に水平に突出した下降使用姿勢と、この下降使用姿勢から上昇揺動して走行機体上下方向に沿った上昇格納姿勢とに切り換わるように、上下揺動自在に支持された補助デッキである。
【0022】
〔刈取系の構成〕
前記刈取前処理装置6は、前処理フレーム61の前部に分草具として、左右一対のデバイダ62,62と、そのデバイダ62,62によって分草された刈取り対象領域の植立茎稈を刈り取るバリカン型の主刈取装置63と、後述する縦向き刈取装置7とを備えている。
そして、その主刈取装置63の上方に位置して前記植立茎稈の上端側を前処理フレーム61の後方側に掻き込むように回転するリール式掻き込み装置64を備えるとともに、前記前処理フレーム61の下部に位置するプラットホーム61Aの上面側に搬送用オーガ65を備えて、前記主刈取装置63で刈り取られ、プラットホーム61A上に掻き込まれた刈取茎稈を、搬送用オーガ65によってフィーダ60の前側に寄せ搬送し、フィーダ60の前側に位置した刈取茎稈を前記搬送用オーガ65が一体回転自在に備えている掻き込み杆65aによってフィーダ60側へ送り込むように構成されている。
【0023】
前記フィーダ60は、その内部に設置されたフィーダコンベヤ60aによって前記搬送用オーガ65から供給される刈取茎稈をフィーダ60の後端側に搬送し、この後端側の排出口(図示せず)から脱穀装置4の扱室(図示せず)に対して、刈取って搬送した茎稈の全体を供給する搬送装置を構成している。このフィーダ60は、機体フレーム10との間に介装したリフトシリンダ12の作動により、前記横軸心x周りで前端側を昇降揺動自在に構成してあり、脱穀装置4に対する上下揺動操作により、前処理フレーム61の下部に位置するプラットホーム61Aが地面付近に下降した下降刈取作業状態と、前記プラットホーム61Aが地面から高く上昇した上昇刈取作業状態とに姿勢変更自在に構成してある。
【0024】
前記リール式掻き込み装置64は、外周部に茎稈掻き込み用のタイン64bを備えており、後述する刈取入力軸66からベルト伝動機構64cを介して入力される駆動力により回転駆動され、外周側のタイン64bを常に下向きに向けた状態で機体前方側から後方側へ掻き込むように構成された周知の構造のものである。
【0025】
このリール式掻き込み装置64は、図13に示すように、リール支持杆64dの長手方向にスライドして前後方向の複数位置に位置変更自在なサドル64eに対して駆動軸64aを装着してあり、サドル64eの位置変更操作を行うことによって前記駆動軸64aの回転軸心の位置を前後方向(リール支持杆64dの長手方向)に位置変更可能に構成してある。リール支持杆64dに対するサドル64eの位置固定は、リール支持杆64dを貫通する止め孔64fに対して止めピン64gを挿抜して行うことができるように構成されている。
このとき、前後位置を変更されたリール式掻き込み装置64への伝動構造では、図示しないが、前記ベルト伝動機構64c中に介在されているベルトテンション装置におけるテンション輪の位置変更によって、前記前後位置変更によっても所定の動力伝達が行われるように調節可能に構成されている。
【0026】
上記の駆動軸64aの回転軸心の位置変更は、リール式掻き込み装置64の使用形態と関連して行われる。後述するピックアップ装置5や縦向き刈取装置7を用いずに通常の稲麦などの刈り取り収穫を行う際には、リール式掻き込み装置64を図5に示す状態よりも上方に持ち上げ、図15に示すように、より後方側へ移動させて主刈取装置63の上方位置近くにリール式掻き込み装置64の回転軸心が位置する状態で使用される。
そして、後述するピックアップ装置5または縦向き刈取装置7を用いて、ピックアップ作業、または縦向き刈取装置7を使用しての菜種等の刈取脱穀作業を行う場合には、ピックアップ装置5や縦向き刈取装置7との位置関係で、リール式掻き込み装置64による掻き込み作用が、ピックアップ装置5の前端よりも前方側から作用するように、あるいは、リール式掻き込み装置64による茎稈送り込み方向が機体側方視で前記縦向き刈取装置7の切断作用線CLと直交、又はほぼ直交する方向となるようにする。この場合には、図13に示す最前方にサドル64eを移動させて、図5に示すようにリール式掻き込み装置64を最下端まで下げたとき、そのリール式掻き込み装置64の回転軸心がピックアップ装置5の先端近くの上方に位置させてピックアップ作業を行う。
また、縦向き刈取装置7を使用しての菜種等の刈取脱穀作業を行う場合には、図5に示す状態よりもリール式掻き込み装置64を少し上方に持ち上げて、図16に示す状態とし、リール式掻き込み装置64の回転軸心が機体側方視で縦向き刈取装置7の切断作用線CLとほぼ一致する状態として、リール式掻き込み装置64による茎稈送り込み方向が機体側方視で前記縦向き刈取装置7の切断作用線CLと直交、又はほぼ直交する状態で使用される。
【0027】
前記プラットホーム61Aの下面側には、前処理フレーム61の下部に位置するプラットホーム61Aが地面付近に下降した下降刈取作業状態で走行地面に摺接するソリ体56を設けてある。このソリ体56は、後述するように、前記プラットホーム61Aの下面よりも下方側へ突出して、地面上に横たわる茎稈を拾い上げるためのピックアップ装置5を主刈取装置63に対して装着したピックアップ作業時に、ピックアップ装置5の先端が、走行地面に突入してしまうことを避けられるように、ピックアップ装置5の先端を僅かに地面から浮上させた状態に維持するために役立つように取り付けられている。
【0028】
図2及び図5に示すように、リール式掻き込み装置64よりも後方側で、前記搬送用オーガ65よりも上方のフィーダ60の入り口近くでは、後方上方側へ向けて飛散防止板9を設けてある。
この飛散防止板9は、図5及び図14に示すように、後傾姿勢の後面部90とその左右両側の側面部91とでチャンネル状に形成されている。前記後面部90とその左右両側の側面部91とのチャンネル状の形状は、その上縁部分に沿うチャンネル状の上縁枠部分と、その上縁枠部分を支える上下向きの支え板部分とで構成された枠体92と、その枠体92の内側に張設されたゴム垂れ93とで構成されている。
【0029】
この飛散防止板9は、搭乗運転部2で操縦操作する、あるいは前方を覗き込む際に、その後方上方から覗き込む際の視野を極力狭めないように工夫しながら、前方側から跳ね上げられた菜種などを受け止めて、前方側に流下させ、フィーダ60の送り込み経路に戻すように構成されている。
すなわち、図2に線分a1で示すように、平均的な体格の運転者が運転座席20に着座した状態で前方下方を見たときに、ピックアップ装置5の先端側を目視可能であるように、また、同図に線分a2で示すように、前屈み姿勢で覗き込めば主刈取装置63の刈刃が見える程度に、前記飛散防止板9の後傾度合い、及び上下高さを設定してある。
この飛散防止板9は、ピックアップ作業を行う際に収穫物の飛散防止を行う上で有効に利用し得るものであるが、通常の刈取作業では、特に必要のない場合が多いので取り外すことも可能であるように、前処理フレーム61に対して着脱自在に構成してある。
【0030】
〔ピックアップ装置の構成〕
ピックアップ装置5は、図8乃至図11に示すように、丸棒状のリフター部50と、そのリフター部50の後端側下部に対して溶接固定された側面視L字状の取付板材51と、前記リフター部50の下縁側と取付部材51の前面側とにわたって溶接固定された側面視で三角形状の補強板材52とからなり、前記取付部材51の後端側に形成された長孔からなる取付孔51aに固定ボルト53を挿通して、前処理フレーム61に取り付けられた刈刃支持フレーム61Bに固定されるように構成してある。
【0031】
このピックアップ装置5は、主刈取装置63の刈り幅の範囲内で、複数箇所(図3では5箇所)に設けてあり、事前に刈り取られて横倒し姿勢にある茎稈の下側に前記リフター部50の先端を潜り込ませて拾い上げ作業を行うものであり、次のようにして主刈取装置63の刈り幅の範囲内に設けてある。
【0032】
前記主刈取装置63は、刈刃支持フレーム61Bに固定された固定刃63Aとその固定刃63Aに対して相対摺動する可動刃63Bとの組み合わせで構成してあり、本発明のピックアップ装置5は、前記固定刃63Aのうちの1個の刃体の延長線に沿って設けられている。
つまり、前記取付部材51の前記固定刃63Aと対向する位置の前側板部分51Aには、固定刃63Aの先端部分が挿入可能な抜き孔54部分を形成してあり、かつ、前記固定刃63Aと対向する位置の前記補強部材52には、固定刃63Aの先端部分の形状に類似する形状の切り欠き55を形成してある。
【0033】
したがって、取付部材51の取付孔51aに固定ボルト53を挿通して締め付けると、固定刃63Aの先端部上縁に補強部材52の切り欠き55の上側部分が乗り上げた状態となり、この乗り上げ部位と前記固定ボルト53による固定部位とで、ピックアップ装置5が平面視で固定刃63Aの延長線上に位置した状態で支持されることになる。
このとき、前記リフター部50の後端側は、主刈取装置63の上方側に離れて位置している。また、主刈取装置63の可動刃63Bは、固定刃63Aに形成されているガイド溝63Aaが取付部材51の前記抜き孔54が形成された上下向きの前側板部分を越えない範囲に形成されているので、ピックアップ装置5の存在に邪魔されることなく動作できるものであり、ピックアップ装置5を装着したピックアップ作業状態で同時に主刈取装置63による刈取作業も行うことができる。
【0034】
〔伝動系の構成〕
図4は、エンジン30の駆動力を前記クローラ走行装置11、及び機体フレーム上の各装置に対する動力伝達系を示す線図である。
この図に示すように、クローラ走行装置11に対する伝動機構は、前記エンジン30の出力軸30aの駆動力を、ベルト伝動機構21を介して静油圧式無段変速装置22の入力軸22aに伝達し、この静油圧式無段変速装置22の出力軸22bの駆動力を、ミッションケース23内のギヤトランスミッション(図外)に入力してこのギヤトランスミッションによって前記左右一対のクローラ走行装置11,11に駆動力を伝達する。
【0035】
前記静油圧式無段変速装置22は、前記ミッションケース23に連設されている。この静油圧式無段変速装置22は、前記入力軸22aをポンプ軸として備えた可変容量形でアキシャルプランジャ形の油圧ポンプと、この油圧ポンプからの圧油によって駆動されるアキシャルプランジャ形の油圧モータとを備えて構成されている。
【0036】
前記脱穀装置4に対する伝動機構は、前記エンジン30の出力軸30aをベルト伝動機構31を介して脱穀装置4の唐箕駆動軸41の一端側に連動させ、この唐箕駆動軸41の他端側をベルト伝動機構42を介して脱穀装置4の一番スクリューコンベヤ43と二番スクリューコンベヤ44とに連動させ、前記ベルト伝動機構42に設けた動力取り出し軸45をベルト伝動機構46を介して脱穀装置4の選別装置駆動軸47に連動させている。
【0037】
前記刈取前処理装置6に対する伝動機構は、前記エンジン30の前記出力軸30aから出力される駆動力を、前記ベルト伝動機構31と、前記唐箕駆動軸41と、この唐箕駆動軸41の他端側に設けたベルト伝動機構32とを介して伝動ケース33のケース入力軸34に伝達し、このケース入力軸34の駆動力を伝動ケース33の扱胴出力軸35から扱胴40に伝達し、前記ケース入力軸34の駆動力を、正回転クラッチ37を介して、あるいは、伝動ケース33の刈取り出力軸36と、逆回転クラッチ38とを介して刈取前処理装置6の刈取り入力軸66に伝達する。この動力伝達についてさらに詳述すると、次の如く構成してある。
【0038】
前記伝動ケース33は、前記ケース入力軸34の端部に一体回転自在に設けたベベルギヤ48aを備えたベベルギヤ機構48を収容している。このベベルギヤ機構48は、前記ベベルギヤ48aを備える他、前記刈取り出力軸36の端部に一体回転自在に設けたベベルギヤ48bと、前記ベベルギヤ48aとベベルギヤ48bとに噛み合った状態で前記扱胴出力軸35に一体回転自在に設けたベベルギヤ48cとを備えて構成してある。つまり、ベベルギヤ機構48は、走行機体横向きのケース入力軸34と走行機体前後向きの扱胴出力軸35との連動を可能にし、かつケース入力軸34の回転方向と刈取り出力軸36の回転方向とが逆の回転方向になる状態でケース入力軸34と刈取り出力軸36とを連動させている。
【0039】
図4に示すように、前記正回転クラッチ37は、前記ケース入力軸34と前記刈取り入力軸66の一端側とに巻回された伝動ベルト37aがテンション輪体37bによって張り状態と緩み状態とに切り換え操作されることで入り状態と切り状態とに切り換わるようベルトテンションクラッチになっている。この正回転クラッチ37は、入り状態に切り換え操作されることにより、ケース入力軸34の駆動力を刈取入力軸66に対して刈取り前処理装置6を正回転方向に駆動する駆動力として伝達する。
【0040】
図4に示すように、前記逆回転クラッチ38は、前記刈取り出力軸36と前記刈取入力軸66の他端側とに巻回された伝動ベルト38aがテンション輪体38bによって緊張状態と弛緩状態とに切り換え操作されることで入り状態と切り状態とに切り換わるようベルトテンションクラッチになっている。この逆回転クラッチ38は、入り状態に切り換え操作されることにより、刈取り出力軸36の駆動力を刈取入力軸66に対して刈取り前処理装置6を逆回転方向に駆動する駆動力として伝達する。
【0041】
図4に示すように、前記刈取入力軸66は、前記フィーダコンベヤ60aを駆動するコンベヤ駆動軸になっている。前記刈取入力軸66は、伝動チェーン66aを介して主刈取り装置63の駆動軸67に連動されている。この駆動軸67と前記搬送用オーガ65の駆動軸68とが伝動チェーン66bによって連動されている。搬送用オーガ65の駆動軸68と、リール式掻き込み装置64の駆動軸64aとが、伝動チェーン66cと伝動ベルト66dとを利用した連動機構によって連動されている。
【0042】
前記駆動軸67からの動力は、駆動軸67に装備された周知の運動方向変換機構69に入力され、この運動方向変換機構69により駆動軸67の回転運動が伝動軸67aの往復回転運動に変換される。そして、前記伝動軸67aの往復回転運動により主刈取装置63の刈刃が直線的に往復駆動するように構成されている。
【0043】
刈取入力軸66は、正回転方向の駆動力が伝達されると、刈取前処理装置6のフィーダコンベア60aと搬送用オーガ65と主刈取装置63とリール式掻き込み装置64とを通常の前処理作業や搬送作業を行うよう正回転方向に駆動し、逆回転方向の駆動力が伝達されると、刈取り前処理装置6のフィーダコンベア60aと搬送用オーガ65と主刈取装置63とリール式掻き込み装置64とを通常の作業用回転方向とは逆の回転方向に駆動する。
【0044】
縦向き刈取装置7への動力伝達は、前記主刈取装置63の駆動系から取り出した往復運動を、動力伝達機構としての縦向き刈取連動機構8を介して伝達するように構成してあり、その縦向き刈取連動機構8については、縦向き刈取装置7の構成とともに後述する。
【0045】
〔縦向き刈取装置の構成〕
図3乃至図6に示すように、刈取前処理装置6の横側端部(左側)には、前記主刈取装置63の刈取作用域における未刈側位置において、上下方向に沿う起立姿勢で、菜種の茎稈の切断を行う縦向き刈取装置7を設けてある。
この縦向き刈取装置7は、図5乃至図8に示すように、取付枠70の前面側位置で、相対摺動自在に構成された縦長のバリカン型刈刃からなる左右一対の刈刃体71,71によって構成してあり、これらの左右一対の刈刃体71,71は、後述する縦向き刈取連動機構8を介して前記主刈取装置63の駆動力で駆動されるように構成されている。
【0046】
前記左右一対の刈刃体71,71は、刈取前処理装置6の左側の前処理フレーム61に対して下端側を固定され、かつ上端側を支持ステー72で支持された取付枠70に対して装着されている。
前記取付枠70は、角筒状のフレーム本体73の前面側に前方側へ突出する板状のガイド板74を突設してあり、前記左右一対の刈刃体71,71、及びその左右一対の刈刃体71,71同士を左右両側から挟持する刃体挟持部材75が前記ガイド板74を両側から抱き込む状態に装着されていて、前記左右一対の刈刃体71,71を前記ガイド板74に沿って上下に往復動可能に構成してある。
【0047】
上記のように構成された左右一対の刈刃体71,71が、縦向き刈取連動機構8を介して前記主刈取装置63の駆動力で駆動されるように連係されている。
縦向き刈取連動機構8は、図4及び図5乃至図8に示すように、主刈取装置63の可動刃63Bと連動して、可動刃63Bの往復摺動方向の運動を導き出す入力連動杆80と、その入力連動杆80に連結される腕杆81aを一体に備えた前後方向向きの中継軸81と、中継軸81に外嵌された揺動部材82と、揺動部材82の往復揺動運動を左右一対の刈刃体71,71の上下方向の往復運動として伝える出力連動杆84と、前記腕杆81aの揺動による中継軸81の往復回転運動を前記揺動部材82の揺動運動として伝える状態と、その伝動を断つ状態とに切換可能な縦刈刃クラッチ機構85とで構成されている。
【0048】
前記縦刈刃クラッチ機構85は、図4及び図12に示すように、中継軸81から一体に突出された係合突起81bと、その係合突起81bに対して係脱自在であるように前記揺動部材82のボス部材83に形成された係合孔83aと、ボス部材83を中継軸81の軸線方向に位置変更させて、前記係合突起81bと係合孔83aとの係脱操作を行う操作杆86とで構成されている。
前記ボス部材83は、中継軸81上に配備された付勢スプリング87によって、常時はクラッチ入り側、つまり前記係合突起81bと係合孔83aとが係合する側に付勢されている。
前記操作杆86は、クラッチ切り操作、つまり前記係合突起81bと係合孔83aとの係合を解除した状態で、図12(b)に示すように、前処理フレーム61の一部に形成した係止部61aに対して引っ掛け状態で固定しておくことができる。
【0049】
上記のように構成したことにより、縦向き刈取装置7は、主刈取装置6の駆動に伴って、主刈取装置6の往復直線運動が、入力連動杆80に伝えられ、その入力連動杆80の往復直線運動が腕杆81aの揺動運動に変換され、中継軸81自身の軸心周りでの往復回転運動となる。
そして、この中継軸81の往復回転運動が縦刈刃クラッチ機構85を介して揺動部材82の揺動運動、及び出力連動杆84の往復直線運動に変換されて、左右一対の刈刃体71,71が往復運動して対象茎稈を切断するように作用する。
このとき、縦向き刈取装置7の駆動が必要であれば、前記縦刈刃クラッチ機構85を入り状態とし、不要であれば切り状態として、主刈取装置63のみを駆動し、縦向き刈取装置7の駆動は単独で停止することもできる。つまり、この縦刈刃クラッチ機構85が、縦向き刈取装置7の駆動を単独で動力断続可能なクラッチ装置を構成している。
【0050】
この縦向き刈取装置7は、主刈取装置63の茎稈切断箇所よりも機体前方側に配設してあり、前処理フレーム61の前端側に設けられるデバイダ62の前端よりは後方で、そのデバイダ62の分草作用面の上縁に対して、機体側面視での、切断作用線CLが直交もしくはほぼ直交する姿勢で配設してある。前記切断作用線CLとは、図5に示すように、左右一対の刈刃体71,71の刃縁が互いに交差して対象茎稈を切断する際の、切断作用箇所cの平均的な位置を結ぶ線分を指す。
このデバイダ62に対する縦向き刈取装置7の相対姿勢は、上述のように切断作用線CLが直交もしくはほぼ直交する姿勢で配設されるのが望ましいが、必ずしも直交もしくはほぼ直交の範囲内に制限されるものではなく、各種条件に応じて適宜変更することも可能であり、例えば、刃前面側がデバイダ62の上縁に対して80度から120度程度の角度を持って構成されたものであっても差し支えない。
【0051】
また、縦向き刈取装置7は、その切断作用線CLが、機体側方視で前記リール式掻き込み装置64による茎稈送り込み方向と直交、又はほぼ直交するように配設してある。このとき、図16に示すように、リール式掻き込み装置64の回動中心は、側面視で縦向き刈取装置7の切断作用箇所と合致する位置に存在しているのが望ましい。
この状態では、縦向き刈取装置7の切断作用線CLに対して、リール式掻き込み装置64による茎稈送り込み方向も、デバイダ62の上縁の交差角もほぼ直交する状態であるので、絡み付き茎稈部分に対する縦向き刈取装置7による切断作用が良好に行われ易い。
【0052】
前記ピックアップ装置5とリール式掻き込み装置64との関係においては、図5に示されるように、リール式掻き込み装置64がピックアップ装置5の前端よりも前方から茎稈を掻き込み可能であるように関係づけて配置されている。このように構成されていると、ピックアップ装置5による拾い上げ作業が始まる前からリール式掻き込み装置64による掻き込み作用が横倒し茎稈に作用するので、ピックアップ作業を効率良く行い易い。
【0053】
また、縦向き刈取装置7の左右方向での切断箇所は、左側のデバイダ62の分草中心よりも機体横外側方に少し位置ずれした位置に設けてあり、穂先側が絡み付いた状態の茎稈を分草する際に、絡みがほぐれないままで切断箇所に達した未刈側の茎稈を、前記分草中心よりも少し外側の箇所で切断するように構成されている。
したがって、このように外側の未刈側茎稈が切断され、かつ、主刈取装置63で刈幅内の茎稈が刈り取られると、前記絡み付いた状態がほぐれないままの茎稈もリール式掻き込み装置64や搬送用オーガ65などの作用も加わって、刈取前処理装置6から脱落する可能性少なく、フィーダ60側へ送り込まれ易くなる。
【0054】
〔別実施形態の1〕
図17及び図18に縦向き刈取装置7の別実施形態を示す。
この縦向き刈取装置7は、刈刃体71,71として、取付枠70に固定された固定刃71Aと、その固定刃71Aに対して相対摺動自在に設けた可動刃71Bとからなる縦長のバリカン型刈刃によって構成してある。また、その縦向き刈取装置7への駆動構造は、縦向き刈取連動機構8を介して刈取前処理装置6の搬送用オーガ65の駆動軸68から取り出された駆動力で駆動されるように構成されている。
【0055】
前記固定刃71Aと可動刃71Bとは、刈取前処理装置6の左側の前処理フレーム61に対して下端側を横向きの枢支軸76周りで揺動可能に枢支された取付枠70に対して装着されている。図17及び図18に示されているように、左側の前処理フレーム61と取付枠70とにわたって貫通する状態に固定された枢支軸76に対して、プーリ77a付きのクランク状回転部材77が外嵌装着してあり、このクランク状回転部材77の駆動ロッド取付軸77bが、前記枢支軸76に対して偏心した状態で設けられている。
そして、この駆動ロッド取付軸77bに対して刈刃駆動ロッド78が相対回転自在に外嵌されていることにより、刈刃駆動ロッド78は、前記駆動ロッド取付軸77b側端部が回転運動で駆動され、反対側端部が連結軸79によって可動刃71Bに連結され、この機構によりクランク状回転部材77の回転運動が往復運動に変換されて、取付枠70に沿って可動刃71Bを往復運動させるように構成してある。
【0056】
前記固定刃71Aは取付枠70に固定して設けてあり、可動刃71Bは、その長手方向の中間部を前記連結軸79を介して刈刃駆動ロッド78に連結してある。
したがって、クランク状回転部材77のプーリ77aに回転動力が伝達されると、クランク状回転部材77が枢支軸76の軸心P1周りで回転し、駆動ロッド取付軸77bの軸心P2が前記軸心P1周りで回転駆動される。これに伴って刈刃駆動ロッド78の他端側の連結軸79の軸心P3が取付枠70の長手方向に沿って往復運動して可動刃71Bを往復作動させる。
【0057】
刈取前処理装置6の搬送用オーガ65の駆動軸68から前記クランク状回転部材77への動力伝達を行う縦向き刈取連動機構8は、図17及び図18に示されているように、搬送用オーガ65の駆動軸68に設けた駆動スプロケット68aと、左側の前処理フレーム61の横壁部分に固定された横向きの中継軸81に形成された中継スプロケット81cとにわたって巻回された伝動チェーン88と、前記中継軸81に設けた中継プーリ81dと、前記クランク状回転部材77のプーリ77aとにわたって掛張された伝動ベルト89とで行われるように構成してある。
【0058】
前記伝動ベルト89の中間位置には、テンションプーリ85aと、そのテンションプーリ85aをクラッチ入り側へ弾性付勢するスプリング85bとによって構成される縦刈刃クラッチ機構85が設けてあり、この縦刈刃クラッチ機構85が、前記スプリング85bを緩み側へ操作する操作杆86の操作によって、クラッチ入り状態と切り状態とに単独で動力断続可能なクラッチ装置を構成している。
【0059】
〔別実施形態の2〕
最良の実施形態で説明した縦向き刈取装置7において、刈刃体71,71を、固定刃71Aと可動刃71Bとの組み合わせで構成してもよい。この場合、中継軸81に外嵌する揺動部材82の一端側にのみ出力連動杆84を連結して、揺動部材82の往復揺動運動を可動刃71Bの往復運動として伝え、固定刃71Aは取付枠70に固定して設けるとよい。
【0060】
〔別実施形態の3〕
主刈取装置63に取り付けるピックアップ装置5の使用本数としては、刈り幅の範囲内で、拾い上げ対象物や各種使用条件に基づいて適宜選択することができる。また、その着脱も1本ずつ行う構造に限らず、複数本を一体化して着脱するように構成してもよい。
【0061】
〔別実施形態の4〕
ピックアップ装置5の取付箇所としては、最良の実施形態で説明したように主刈取装置63の固定刃63Aの下側に取り付けるのが望ましいが、必ずしもこれに限らず、例えば、前処理フレーム61などの固定部に取り付けるようにしてもよい。また、その取付箇所も下側のみならず、上側でも固定できるようにしてもよい。
【0062】
〔別実施形態の5〕
縦向き刈取装置7は、菜種の刈取り用のものに限らず、穂先側を刈取り対象とする各種の茎稈刈取り用のものに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】普通型コンバイン全体の右側面図
【図2】普通型コンバイン全体の左側面図
【図3】普通型コンバイン全体の平面図
【図4】伝動系統を示す線図
【図5】縦向き刈取装置部分を示す左側面図
【図6】縦向き刈取装置への伝動構造を示す正面図
【図7】図5におけるVII-VII線断面図
【図8】ピックアップ装置の取付状態を示す左側面図
【図9】ピックアップ装置を示す斜視図
【図10】ピックアップ装置の取付状態を示す断面図と平面図
【図11】主刈取装置の全体平面図
【図12】縦刈刃クラッチ機構を示す左側面図
【図13】リール式掻き込み装置の取付構造を示す断面図
【図14】飛散防止板を示す斜視図
【図15】リール式掻き込み装置と縦刈刃との関係を示す左側面図
【図16】リール式掻き込み装置と縦刈刃との関係を示す左側面図
【図17】別実施形態の縦向き刈取装置部分を示す左側面図
【図18】別実施形態の伝動系統を示す線図
【符号の説明】
【0064】
4 脱穀装置
5 ピックアップ装置
6 刈取り前処理装置
7 縦向き刈取装置
8 縦向き刈取連動機構
62 デバイダ
63 主刈取装置
64 リール式掻き込み装置
65 搬送用オーガ
71 刈刃体
85 縦刈刃クラッチ機構
c 切断作用箇所
CL 切断作用線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に沿う横向き姿勢で植立茎稈を刈り取る主刈取装置と、前記主刈取装置の上方側位置で掻き込み用タインを回動させて刈取対象の植立茎稈を掻き込み操作するリール式掻き込み装置とを備えるとともに、その主刈取装置によって刈り取られた茎稈の全体を扱室に投入して脱穀及び選別処理する脱穀装置を備えた普通型コンバインであって、
前記主刈取装置の刈取作用域における横側端部位置に、刈刃による切断作用箇所を結ぶ切断作用線が上下方向に沿う起立姿勢となるバリカン型の縦向き刈取装置を設け、
前記リール式掻き込み装置と前記縦向き刈取装置とを、前記リール式掻き込み装置による茎稈送り込み方向が機体側方視で前記縦向き刈取装置の切断作用線と直交、又はほぼ直交するように配設してあることを特徴とする普通型コンバイン。
【請求項2】
主刈取装置の刈幅方向での端部にデバイダを備え、そのデバイダの分草作用面の上縁に対して機体側方視で切断作用線が直交又はほぼ直交する姿勢で前記縦向き刈取装置を配設してある請求項1記載の普通型コンバイン。
【請求項3】
縦向き刈取装置を、デバイダ先端よりも後方側で、刈取作用姿勢にある前記主刈取装置の茎稈切断箇所よりも前方側位置に配設してある請求項2記載の普通型コンバイン。
【請求項4】
リール式掻き込み装置の回動中心は、側面視で縦向き刈取装置の切断作用線と合致する位置に配設されている請求項1〜3の何れか1項記載の普通型コンバイン。
【請求項5】
リール式掻き込み装置は、その回転軌跡がデバイダの前端よりも前方に位置するように配設されている請求項2又は3記載の普通型コンバイン。
【請求項6】
縦向き刈取装置は、主刈取装置及びリール式掻き込み装置とは別に前記縦向き刈取装置を単独で動力断続可能なクラッチ装置を備えている請求項1〜5の何れか1項記載の普通型コンバイン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2010−63443(P2010−63443A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−235700(P2008−235700)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】