説明

書類展示収納機構

【課題】 収納機器を小型化して設置スペースを減らすことができるようにすると共に、書類の表面或いは裏面の全体表示を可能とし、しかも、書類の幅方向の収納スペースを増加させることができる書類展示収納機構を提供する。
【解決手段】 水平方向に等間隔で縞状に多極着磁された磁石製の建造物等の壁面Wに対し、同様な磁石板7aを基板3aの裏面に接着等で貼着し、さらに書類受け部4a、幅規制部5aで構成され上方と内側が解放された書類収納部8aを有する左枠部材2aと、同様な構成でなる右枠部材2bとの背面を磁気吸着にて取り付ける。この左枠部材2aと右枠部材2bは共に水平方向へのスライドが可能なため、この両部材間に書類の表面を展示した状態で収納できる。なお、書類受け部4a、幅規制部5aは支柱形状として実施してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カタログや雑誌等の書類を、その表面が展示された状態で収納することができる書類展示収納機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、書籍や雑誌等の書類を収納する機器としては、卓上用の本立てから各種の書棚や陳列棚に至るまで幅広くの収納機器が周知のものとなっている。
しかし、一般的に周知の本立ては、机上に設置して使われるため、机等の水平な設置台が必要となると共に、その設置台自体の各種作業の活用スペースを減らしてしまうという慢性的な不都合を有するものとなっている。
また、周知の書棚や陳列棚においては、大型となるため、高額の設備費が必要になると共に、これもまた、設置室内の有効スペースを損なうという慢性的な不都合を有するものとなっていた。
【0003】
そのような背景の中、出願人は、慢性的な不都合を解消することを目的として、強磁性体製の壁面を利用する、磁気吸着型の本立て(特願2008−317095)を先に出願している。
この発明の思想は、設置台や大型の設備を不要として経費削減が可能となると共に、有効スペースを増やすことができるという利点があり、今後も、このような思想での製品開発を期待する状況にあるものと思料される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先に述べた出願人の発明に係る、磁気吸着型の本立て(特願2008−317095)は、強磁性体製でなる壁面に磁気吸着で取り付ける一対の側板と、それらを連結する目的を兼ねた底板とからなる構成であるため、簡単な構成で実施できるという特徴がある。
【0005】
しかし、収納できるスペースは自ずと底板の大きさ以内という制限があると共に、各書類は、安定を考えると背表紙側が正面となるように設置することになるため書類の表面或いは裏面の全体を見ることができず、展示して収納する用途には不向きなものとなっていた。
【0006】
そこで、本発明は、磁気吸着型の本立て(特願2008−317095)の特徴であるところの収納機器を小型化して設置スペースを減らすことができるようにすると共に、書類の表面或いは裏面の全体表示を可能とし、しかも、書類の幅方向の収納スペースを増加させることができる、書類展示収納機構を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基板の表面に対して下部に書類受け部を、外側の側面に幅規制部を立設し、これらの書類受け部並びに幅規制部の上面を表面板で覆って、上面並びに内側の側面を解放した書類収納部を形成すると共に基板の裏側には磁石板を固定した左枠部材、並びに、その内側の側面に対峙して使用する、同様な構成でなる右枠部材、との一対で構成される書類ラックと、その書類ラックを磁気吸着させる建造物等の壁面とで構成される書類収納機構であり、書類ラックの左枠部材と右枠部材とに使用する夫々の磁石板は、水平方向に等間隔で縞状に多極着磁された同一のものを用い、夫々の書類受け部同士の上下方向の位置を一致させた状態で、同一磁極が水平方向に連続するように取り付けられており、また、建造物等の壁面は、磁石板と同様に水平方向に等間隔で縞状に多極着磁された磁石製のものとなっていて、この建造物等の壁面に対し、書類ラックの左枠部材と右枠部材とを水平方向に移動可能に磁気吸着させて使用することにより、書類を、その表面が展示された状態で書類収納部へ幅方向で挟持して収納させる書類展示収納機構とすることで実現させることができる。
【0008】
この構成によれば、書類ラックを、建造物等の壁面に対して直接取り付けることになるので、書類ラック用の設置台や棚等の設備が不要で経済的であると共に、収納機器自体の小型化により、設置空間、例えば室内等の有効スペースが広くなるという利点がある。
【0009】
また、書類ラックも、左枠部材と右枠部材を一対にして使用する構成であるため、収納する書類の左右を支える最低限の幅があれば良いので、小型化が可能となり、コストダウンを実現させることができる。
【0010】
さらに、書類ラックと建造物等の壁面とは、水平方向に等間隔で縞状に多極着磁された磁石同士を磁気吸着させる構成となっているので、接触面同士は異極で確実に磁気吸着にて接合されて上下方向には極めて強い取り付け力が発生するが、一方で、左右方向は移動させることができるという特性があるので、一旦設置した後は、収納書物の取り換えが簡単にできるという利点があり、また、各種の幅の書物を収納することができ、さらに、書物の表面も展示させることができるという利点もある。
【0011】
なお、この構成においては、左枠部材と右枠部材とにおける書類受け部は、夫々の内側の側面方向に、幅規制部は、夫々上端方向に、断面円形等の支柱を設けることにより構成してもよい。
このようにすると、材料代のコストダウンや、軽量化をさせることができるという利点がある
【0012】
また、本発明の左右方向の移動が可能であるという特性を利用すると、左枠部材と右枠部材とは、夫々、書類受け部材と材幅規制部材とに分離して構成することも可能であり、さらなる材料の削減や、利便性の向上に役立つことになる。
【0013】
その場合には、書類受け部材と材幅規制部材とは、同一部材にて構成すれば、さらに生産性の向上や利便性の向上に繋がることになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、簡単な構造の書類ラックを、建造物等の壁面に磁気吸着させる構成となっているため、小型の設備で書類を収納することができ、生産コストを抑えることができると共に、設置スペースの減少により、室内等の利用スペースを増加させることができる。
【0015】
また、書類ラックは、左枠部材と右枠部材を一対にして使用し書類の左右を受ける構成となっているので、全体を受ける構成のものより小型化させることができ、材料代の節減や軽量化を図ることができる。
【0016】
さらに、書類ラックと建造物等の壁面とは、水平方向に多極着磁された磁石同士で磁気吸着しているので、書類ラックにおける左枠部材と右枠部材とは、水平方向に移動させることができ、一旦取り付けた後は、収納する書類の取り換えが簡単で、しかも、各種の幅の書物を、表面が展示されるようにして収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に使用する実施例1の書類ラックの斜視図を表したものであり、(a)は正面から見た状態、(b)は背面から見た状態を示す。
【図2】本発明に使用する実施例2の書類ラックの斜視図を示す。
【図3】本発明に使用する実施例3の書類ラックの斜視図を示す。
【図4】本発明による書類展示収納機構についての説明図であり、(a)は平面図、(b)は拡大断面図を示す。
【図5】本発明による書類展示収納機構における使用手順図であり、(a)は初期状態、(b)は水平移動状態、(c)は書類挿入状態、(d)は書類収納完了状態、(e)は幅広の書類収納状態を示す。
【図6】本発明による書類展示収納機構における書類を取り付けた状態を表したものであり、(a)は実施例1を使用した場合の斜視図、(b)実施例1を使用した場合の拡大部分L−M断面図、(c)は実施例3を使用した場合の斜視図、(b)実施例3を使用した場合の拡大部分P−Q断面図を示す。
【図7】本発明に使用する実施例4の書類ラックを表したものであり、(a)は使用方法を説明した斜視図、(b)は書類を取り付けた状態の斜視図を示す。
【図8】本発明に使用する実施例5の書類ラックブロックの実施例並びに変形例の斜視図を表したものであり、(a)は実施例5、(b)は実施例5の変形例1、(c)は実施例5の変形例2、(d)は実施例5の変形例3を示す。
【図9】本発明に使用する実施例5の書類ラックブロックにて書類を取り付けた状態の斜視図を示す。
【図10】本発明に使用する実施例5の書類ラックブロックの変形例の分解斜視図を表したものであり、(a)は変形例4、(b)は変形例5を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、カタログや雑誌等の書類を収納する書類ラックを、左右一対の枠部材で構成し、建造物等の壁面に対して磁気吸着力で確実に取り付けつつ、水平方向には正確に移動させることを可能とさせたことにより実現した書類展示収納機構であり、以下、実施例に沿って、詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明に使用する実施例1の書類ラックの斜視図を表したものであり、図1(a)は、正面から見た状態、図1(b)は、背面から見た状態を示している。
書類ラック1は、夫々、背面に磁石板を接着剤等で貼着させたアクリル樹脂等の合成樹脂製で、幅64mm、高さ225mm、奥行37mm程度の大きさでなる、左枠部材2aと右枠部材2bとの一対で構成される。
そして、夫々の枠部材は、厚さ3mm程度の板状でなる、基板3a,3b、書類受け部4a,4b、幅規制部5a,5b、表面板6a,6b、並びに厚さが1mm程度の磁石板7a,7bとで構成されている。
具体的には、基板3a,3bの表面の下部に書類受け部4a,4b、外側の側面に幅規制部5a,5bが立設され、さらに、その上面を表面板6a,6bで覆うように構成され、それにより、上方並びに内側の側面が解放された書類収納部8a,8bが形成されている。
【0020】
なお、磁石板7a,7bは、フェライト系、マンガン・アルミニウム系、サマリウム・コバルト系、ネオジウム・鉄・ホウ素系、サマリウム・鉄・窒素系等の硬質磁性材料からなる磁石材料微粉末を有機高分子エラストマーに練り込み着磁された樹脂製マグネット等、適宜の材料のマグネットが用いられ、基板3a,3bの背面に接着材にて貼着して用いられる。
【0021】
但し、この磁石板7a,7bは、図1(b)に表わされるように、水平方向に着磁ピッチ2.5mm程度の等間隔で縞状に多極着磁されたものを使用しており、左枠部材2aと右枠部材2bの完成状態で、同一磁極が水平方向に連続するように、高さ方向の位置合わせがなされた状態で使用する。
なお、この場合に、磁石板の上下の磁極は同極(図面はN極)としておくのが好ましく、こうすることにより、互換性が生じ、貼着時に上下の方向性を気にしなくてもよいことになる。
【0022】
なお、書類ラックの形態は、各種に変形して実施することができるので、重複部分は省略して、以下に説明する。
【実施例2】
【0023】
図2は、実施例2の斜視図を表したものであり、実施例1における書類受け部並びに幅規制部の形態を変形させてものとなっている。
即ち、書類ラック11は、左枠部材12aと右枠部材12bとの一対で構成されており、夫々の枠部材は、厚さ3mm程度の板状でなる、基板13a,13b、表面板16a,16b、並びに図示しない厚さが1mm程度の磁石板の構成要素は、実施例1と同様であるが、書類受け部14a,14bは内側方向に、幅規制部15a,15bは外側の上方の位置に円形の支柱形状にて形成している。
この構成は、書類収納部18a,18bの外側の下部方向が開放されるので高さの低い特殊サイズの書類は外れやすくなるが、汎用のサイズの書類であれば、全く問題はなく、材料の削減や軽量化に適した構成となっている。
なお、左枠部材12aと右枠部材12bは、上下を逆にしても同じ状態になり、左右を置き換えて上下を逆に回転させると、図2の状態となる、即ち、互換性があるので、同じものを2個使用することができるため、生産性が向上する利点がある。
【実施例3】
【0024】
図3は、実施例3の斜視図を表したものであり、実施例2における表面板の表面積を減少させた形態となっている。
具体的には、書類ラック21は、左枠部材22aと右枠部材22bとの一対で構成されており、基板23a,23b、書類受け部24a,24b、幅規制部25a,25b、並びに基板23a,23bの裏面に貼着される図示しない磁石板は、実施例2と同じであるが、表面板26a,26bが左右対称の略L字形状となっている点が異なっていることになる。
この構成は、実施例2とほぼ同様な性質をもっているが、面積を減らしたことで、材料代のコストダウンや軽量化、さらには書類収納部28a,28bに収納した書類の表示が見やすくなる利点が生じている。
なお、完成状態における左枠部材22aと右枠部材22bとは、互換性がない点で実施例2と異なるが、各構成部を接着で取り付けて製造する場合は、配置や表裏を変更すれば同様な形態となるので、この場合においては、部材の互換性も生じる利点が残ることになる。
【0025】
次に、建造物等の壁面の構成、並びに、上述した実施例1による書類ラックを使用した場合の書類展示収納機構について、図4(a)の平面図、図4(b)の拡大断面図、図5(a)〜(e)の使用手順図を用いて説明する。
【0026】
構造物等の壁面Wは磁石製となっていて、図4(b)の拡大断面図に示すように基礎壁面Tに対して接着等の適宜の手段で取り付けられ、表面には、Waで示す樹脂フィルム等の保護皮膜をコーティングしている。
【0027】
なおこの磁石は、各実施例における磁石板と同様に、フェライト系、マンガン・アルミニウム系、サマリウム・コバルト系、ネオジウム・鉄・ホウ素系、サマリウム・鉄・窒素系等の硬質磁性材料からなる磁石材料微粉末を有機高分子エラストマーに練り込み着磁された樹脂製マグネット等、適宜の材料のマグネットが用いられる。
【0028】
そして、この磁石の着磁状態は、図4(a)に示すように、図1(b)で表わした実施例1の書類ラック1に用いられる磁石板7a,7bと同様で同一着磁ピッチでなる、水平方向に等間隔で縞状に多極着磁されたものを使用している。
【0029】
従って、図4(b)で表わすように、前述したところの書類ラック1における、背面に磁石板7aを貼着し、基板3a、書類受け部4a、幅規制部5aで構成され書類収納部8aを有する左枠部材2aの背面を、建造物等の壁面Wに近付けると、磁石板7aは、N極とS極との異極で確実に磁気吸着することになる。
但し、この縞状の多極着磁間の磁気吸着は、確実で強い磁気吸着力が得られる一方で、着磁方向、即ち今回は水平方向に移動が可能という特性をもっている。
従って、図4(a)の平面図に表わされるように、書類ラック1の左枠部材2aと右枠部材2bとは、矢印で示すように、異極同士で強く磁気吸着された状態で、水平方向に確実に移動させることができる。
【0030】
本発明は、この作用を利用した書類展示収納機構であり、次に具体的な使用方法に図5(a)〜(e)を用いて説明する。
但し、図5(a)以外については、建造物等の壁面Wの記載を省略して説明することとする。
【0031】
先ず、図5(a)の初期状態に示すように、左枠部材2aと右枠部材2bとを、書類受け部4a,4bの上下方向の位置が同一になるように対峙させた状態で、建造物等の壁面Wに磁気吸着させる、
次に、図5(b)の水平移動状態に示すように、左枠部材2aと右枠部材2bとの間隔が広がるようにいずれか一方あるいは両方を水平方向に移動させる。
そして、図5(c)の書類挿入状態に示すように、片方の枠部材(図では左枠部材2a)の書類収納部(図では8a)に、カタログや雑誌等の書類Kを表紙等の表面Kaが見える状態で挿入し、他方の枠部材(図では右枠部材2b)を、書類Kを挟み込む方向にスライドさせると、図5(d)のように、書類Kの表面Kaを展示した状態で書類ラック1に収納されることになる。(斜視図は図6(a)、断面図は図6(b)参照)
【0032】
このように、本発明による書類展示収納機構は、簡単な操作で確実に、書類Kの表面Kaを展示した状態で書類ラック1に収納することができる。
また、左枠部材2aと右枠部材2bとを水平移動に移動させる構成であるため、書類の幅の違いにも対応することができ、例えば図5(e)のような幅広の書類Kbにも対応させることができ、逆に図示はしないが幅狭のものにも対応が可能である。
さらに、本発明においては、一旦左枠部材2aと右枠部材2bを正常位置にセットすると、幅の違う書類の差し替えは、いずれかの枠部材を水平移動させるだけで簡単に実施できるという利点もある。
【0033】
図6は、本発明による書類展示収納機構における、書類Kを構造物等の壁面Wに取り付けた状態を表したものであり、図6(a)は実施例1の書類ラック1を使用した場合の斜視図、図6(b)は実施例1の書類ラック1を使用した場合の拡大部分L−M断面図を示している。
また、図6(c)は実施例3の書類ラック21を使用した場合の斜視図、図6(d)は実施例3の書類ラック211を使用した場合の拡大部分P−Q断面図を示している。
このうち、実施例3の書類ラック21の使用状況から、本発明による書類展示収納機構に使用する書類ラックは、書類受け部並びに幅規制部が、14a,14b,15a,15bで表わされているような支柱状の部分的なものでよく、それさえ確保すれば、書類ラックの構成自体も、さらに変化させてもよいことが判る。
【実施例4】
【0034】
図7は、実施例4を表したものであり、図7(a)は使用方法を説明した斜視図、図7(b)は書類を取り付けた状態の斜視図を示している。
実施例4における書類ラック31は、左枠部材32aと右枠部材32bとの一対で構成されるが、各枠部材は、夫々、書類受け部材34a,34b、幅規制部材35a,35bの2部材で構成されている。
なお、書類受け部材34a,34bは、基板部34c,34d、底面部34e,34f、正面部34g,34hと、図示しない、これまでの実施例と同様に着磁された磁石板で構成されている。
また、そして、幅規制部材35a,35bは、基板部35c,35d、側面部35e,35f、正面部35g,35hと、図示しない、これまでの実施例と同様に着磁された磁石板で構成されている。
【0035】
なお、本実施例においては、書類受け部材34a,34b並びに幅規制部材35a,35bは、夫々互換性があるので、同一の書類受け部材並びに幅規制部材を2個づつ使用することができる。
【0036】
そして、これらの、書類受け部材34a,34b並びに幅規制部材35a,35bは、夫々が、図7(a)に示すように水平方向に移動が可能となっているので、図7(b)に示すように、書類Kを、左右で挟着し、下面はバランスの良い2か所の位置で支えることができるという利点を、生じせしめることができる。
【実施例5】
【0037】
なお、実施例4をさらに追及していくと、本発明による書類展示収納機構に使用する書類ラックは、書類受け部材並びに幅規制部材自体を小型化及び共通化させ、さらに左枠部材と右枠部材を区別することなく使用する、即ち、同一部材を4つ使って実施する構成にたどりつくことができる。
【0038】
図8は、書類ラックの実施例5として、書類受け部材並びに幅規制部材を共通化したところの書類ラックブロックの実施例並びに変形例を表したものであり、図9は実施例5にて書類を取り付けた状態の斜視図を示している。
図8(a)は、実施例5の書類ラックブロックの斜視図を表したものであり、書類ラックブロック41は、略正方形の基板43と表面板46との中央を書類受けボス44で連結して一体化し、図示しない、これまでの実施例と同様に着磁された磁石板を基板43の背面に接着等で貼着して構成されている。
なお、書類受けボス44は、書類の受け部と、幅規制部の両方の機能をもち、その周囲全体が書類収納部48を構成することになる。
【0039】
そして、図9の書類を取り付けた状態の斜視図に示すように、書類ラックブロック41を4個使うことにより、書類ラックを構成することになる。
なお、この構成による書類ラックは、小型の共通部材を複数使うだけで済むため、部品材料が少なくて済み、生産性も優れたものとなる。
【0040】
なお、書類ラックブロック44を使って書類ラックを構成する場合は、数を4個に限ることなく、書類の形状大きさに合わせて自由な数で、自由な配置で実施することが可能となるという利点も生じることになる。
【0041】
図8(b)〜(d)は、実施例5の書類ラックブロックの変形例を表したものである。
夫々、裏面に貼着される磁石板については説明を割愛するが、図8(b)は、実施例5の変形例1を表したものであり、書類ラックブロック51は、円形の基板53と表面板56との中央を書類受けボス54で連結したものとなっている。
【0042】
また、図8(c)は、実施例5の変形例2を表したものであり、書類ラックブロック61は、円形の基板63と表面板66における中心から偏心した位置に書類受けボス64で連結したものとなっている。
そして、図8(d)は、実施例5の変形例3を表したものであり、書類ラックブロック71は、略正方形の基板73と表面板76における中心から偏心した位置に書類受けボス74で連結したものとなっている。
このように、書類ラックブロックの形態は自由な形状で実施してよく、書類受けボスの位置も任意に設定できる。
但し、本発明による書類展示収納機構は、磁石製の構造物等の壁面に施された水平方向の多極着磁に対して磁気吸着させるものであるため、書類受けボスの位置を偏心させる場合は、その特性を配慮して実施する必要がある。
【0043】
本発明は、これまで説明した時実施例や変形例に限ることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で各種に変形して実施することができる。
例えば、図10(a)に表わす、実施例5の変形例3を使って説明するところの変形例4の分解斜視図のように、書類ラックブロック71aは、基板73aと表面板76aと書類受けボス74aとを接着剤で接着して形成してもよい。
また、2部材で構成する場合には、例えば図10(b)に示す変形例5の分解斜視図のように、書類ラックブロック71bは、表面板76bと書類受けボス74bとを一体化したものを、基板73bに接着してもよい。
なおその際には、書類受けボス74bの形状を断面正方形にして、基板73bに同形状の凹部73cを形成しておくと、位置決めがしやすくなるので好適である。
【0044】
このように、本発明における各部材は、一体成型で実施をしてもよいし、表面板に透明材料を使い他の部材を不透明等にしたい場合は、各部材を単独で作製して接着したり、二色成型機で作製したり適宜の方法で実施することができる。
また、基板や表面板の形状や、支柱並びに受けボスの形状も円形に限らず適宜の形状で実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明による書類展示収納機構は、簡単な構成でありながら、小さな設置スペースで、カタログ等の書類を楽な操作で確実に取り付けることができる。
従って、一般家庭から、教育機関、公共機関や各種企業等に至るまで、幅広く活用することが可能である。
【符号の説明】
【0046】
N 磁石のN極
S 磁石のS極
K 書類
Ka (書類の)表面
Kb 幅広の書類
T 基礎壁面
W 構造物等の壁面
Wa 保護皮膜
1、11、21、31 書類ラック
2a、12a、22a、32a 左枠部材
2b、12b、22b、32b 右枠部材
3a、3b、13a、13b、23a、23b 基板
4a、4b、14a、14b、24a、24b 書類受け部
5a、5b、15a、15b、25a、25b 幅規制部
6a、6b、16a、16b、26a、26b 表面板
7a、7b 磁石板
8a、8b、18a、18b、28a、28b 書類収納部
34a、34b 書類受け部材
35a、35b 幅規制部材
34c、34d、35c、35d 基板部
34e、34f 底面部
34g、34h、35g、35h 正面部
35e、35f 側面部
41、51、61、71、71a、71b 書類ラックブロック
43、53、63、73、73a、73b 基板
46、56、66、76、76a、76b 表面板
44、54、64、74、74a、74b 書類受けボス
48 書類収納部
73b 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に対して下部に書類受け部を、外側の側面に幅規制部を立設し、これらの書類受け部並びに幅規制部の上面を表面板で覆って、上面並びに内側の側面を解放した書類収納部を形成すると共に基板の裏側には磁石板を固定した左枠部材、並びに、その内側の側面に対峙して使用する、同様な構成でなる右枠部材、との一対で構成される書類ラックと、その書類ラックを磁気吸着させる建造物等の壁面とで構成される書類収納機構であって、
上記書類ラックの上記左枠部材と上記右枠部材とに使用する夫々の磁石板は、水平方向に等間隔で縞状に多極着磁された同一のものを用い、夫々の書類受け部同士の上下方向の位置を一致させた状態で、同一磁極が水平方向に連続するように取り付けられており、
また、上記建造物等の壁面は、上記磁石板と同様に水平方向に等間隔で縞状に多極着磁された磁石製のものとなっていて、
この建造物等の壁面に対し、上記書類ラックの上記左枠部材と上記右枠部材とを水平方向に移動可能に磁気吸着させて使用することにより、書類を、その表面が展示された状態で上記書類収納部へ幅方向で挟持して収納させることを特徴とする書類展示収納機構
【請求項2】
左枠部材と右枠部材とにおける書類受け部は、夫々の内側の側面方向に、幅規制部は、夫々上端方向に、断面円形等の支柱で構成することを特徴とする請求項1に記載の書類展示収納機構
【請求項3】
左枠部材と右枠部材とは、夫々、書類受け部材と材幅規制部材とに分離して構成することを特徴とする請求項1に記載の書類展示収納機構
【請求項4】
書類受け部材と材幅規制部材とは、同一部材にて構成することを特徴とする請求項3に記載の書類展示収納機構

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−179(P2012−179A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135895(P2010−135895)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000110893)ニチレイマグネット株式会社 (24)
【Fターム(参考)】