説明

有機エレクトロルミネセンス素子のための材料

本発明は、好ましくは、燐光ドープ剤のためのマトリックス材料として、電荷輸送材料として、特に、エレクトロルミネッセンス素子の発光および/または電荷輸送層中で使用することができるインデノフルオレン誘導体に関する。さらに、本発明は、前記化合物を構造単位として含むポリマーと本発明の化合物の製造方法とそれを含む電子素子にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは、燐光ドーパントのためのマトリックス材料として、電荷輸送材料として、特に、エレクトロルミネッセンス素子の発光および/または電荷輸送層中で使用することができるインデノカルバゾール誘導体に関する。さらに、本発明は、これら化合物を構造単位として含むポリマーと本発明の化合物の製造方法とこれら化合物を含む電子素子にも関する。
【0002】
有機半導体は、異なるタイプの多くの電子用途のための開発されている。これら有機半導体が機能性材料として使用される有機エレクトロルミネセンス素子(OLED)の構造は、例えば、US 4539507、US 5151629、EP 0676461およびWO 98/27136に記載されている。しかしながら、更なる改善がなお必要とされる。したがって、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子の寿命、効率と駆動電圧に関して、改善の必要性がいまだ存在する。さらに、化合物は、高い熱安定性と高いガラス転移温度を有し、分解せずに昇華する必要がある。
【0003】
特に、燐光発光エレクトロルミネッセンス素子の場合には、上記特性の改善が、未だ必要である。特に、良好な効率と長い寿命と低い駆動電圧を同時に生じる燐光エミッターのためのマトリックス材料での改善の必要性が存在する。マトリックス材料の特性は、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子の寿命と効率を制限することが多い。
【0004】
カラバゾール誘導体、たとえば、ビス(カルバゾリル)ビフェニルが、先行技術にしたがうマトリックス材料としてとして、一般的に使用されている。ここで、特に、寿命と材料のガラス転移温度に関して、更なる改善の必要性が存在する。
【0005】
さらに、ケトン(WO 2004/093207 、WO 2010/006680)、ホスフィンオキシドとスルホン(WO 2005/003253)が、燐光エミッターのためのマトリックス材料として使用されている。特に、ケトンに関して、低い駆動電圧と長い寿命が達成されている。ここで、効率とケトケトナートリガンド、たとえば、アセチルアセトナートを含む金属錯体との適合性に関して、未だ改善の必要性が存在する。
【0006】
さらに、金属錯体、たとえば、BAlqまたは亜鉛(II)ビス[2-(2-ベンゾチアゾリル)フェノキシド]が、燐光エミッターのためのマトリックス材料として使用されている。特に、駆動電圧と化学的安定性に関して、未だここで改善の必要性が存在する。純粋な有機化合物は、これら金属錯体より一般的に安定である。したがって、これら金属錯体のいくつかは、加水分解に対して敏感であり、錯体の取り扱いをより困難にしている。
【0007】
特に、高い効率と長い寿命と低い駆動電圧を同時に生じ、ケトケトナートリガンドを担持する燐光エミッターと同等でもある燐光エミッターのためのマトリックス材料において改善の必要性が未だここで存在する。
【0008】
電子輸送材料の特性が、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子の上記特性に重要な影響をも有することから、特性における改善は、電子輸送材料の場合にも、これまた同様に未だ望まれる。特に、良好な効率と長い寿命と低い駆動電圧を同時に生じる電子輸送材料における改善の必要性が存在する。
【0009】
電子がより豊富な発光層は、より良好な効率を生むことから、発光層中へのより良好な電子注入を生じる入手可能な電子輸送材料を有することがここで望まれる。さらに、より良好な注入は、駆動電圧を減らすことを可能とする。したがって、電子輸送材料での更なる改善が、この目的のために必要である。
【0010】
AlQを電子伝導体として使用するエレクトロルミネッセンス素子は、長く知られており、US4539507において1993年という昔に記載されていた。AlQは、それ以来電子輸送材料として一般的に使用されてきたが、多くの欠点を有する:昇華温度で部分的に分解することから、残留物を残すことなく気相堆積されることができず、これが、特に製造プラントでの主な問題である。このため、気相堆積源を頻繁に清掃し交換する必要がある結果となる。さらに、AlQの分解産物がOLEDに入ると、短縮された寿命と減少した量子およびパワー効率の原因となる。さらに、AlQは、低い電子移動性を有し、より高い電圧とそれゆえのより低いパワー効率を生じる。ディスプレーにおける短絡を回避するために、層厚を増加することが望まれるが、その低い電荷担体移動性とその結果の電圧増加により、これは、AlQでは不可能である。他の電子伝導体の電荷担体移動性(US4539507)は、それにより、より厚い層を構築するためには余りにも同様に低く、OLEDの寿命は、AlQの使用により、よりいっそう悪化する。AlQの本来の色(固体中で黄色)は、特に、青色OLEDの場合に、再吸収と弱い再発光に基づいてカラーシフトを生じ、望ましくないものとなることが判明している。青色OLEDは、効率と色配置での相当の逆効果を伴って、製造することができるだけである。
【0011】
したがって、有機エレクトロルミネッセンス素子において良好な効率と同時に長い寿命を生じる電子輸送材料に対する需要が引き続き存在する。驚くべきことに、ある種のインデノフルオレン誘導体を含む有機エレクトロルミネッセンス素子が、以下に示すように、電子輸送材料として、先行技術を超える顕著な改善を有することが見い出された。これらの材料を使用して、先行技術にしたがう材料を使用しても不可能であった高い効率と長い寿命を同時に得ることができる。さらに、駆動電圧は付加的に顕著に減少することができ、これは、よりパワー高い効率に対応する。
【0012】
さらに、有機アルカリ金属化合物と組み合わせてこれらインデノフルオレン誘導体を電子輸送材料として含む電子素子は、先行技術を超える顕著な改善を有することが見い出された。この材料の組み合わせを使用して、高い効率と長い寿命が達成され、同時に、駆動電圧が低下する。
【0013】
EP 1860097、WO 2006/100896、DE 102006025846、WO 2006/122630、WO 2008/132103、WO 2008/006449、WO 2008/056746、WO 2008/149691、WO 2008/146839およびWO 2008/006449は、電子素子での使用のためのインデノフルオレン誘導体を開示している。良好な寿命が、正孔輸送材料としての、または深青色エミッターとしての使用に関して、そこで引用されている。しかしながら、これら化合物のいくつかは、材料の結晶性に基づいて、大量生産において気相堆積中の気相堆積源上に結晶化し、気相堆積源を閉塞するという問題を有する。したがって、製造におけるこれら化合物の使用は、技術的複雑さの増加に関連する。それゆえに、ここで、更なる改善が望まれる。
【0014】
したがって、有機エレクトロルミネッセンス素子の効率を改善するために適切で、同時に、長い寿命を生じ、問題なく工業的に加工することができる燐光ドーパントのための改善されたマトリックス材料および改善された電子輸送材料のための改善されたマトリックス材料の両者への需要が引き続き存在する。
【0015】
したがって、本発明の目的は、このような化合物の提供に存する。
【0016】
驚くべきことに、本発明によるインデノカルバゾール誘導体を使用するエレクトロルミネッセンス素子が、特に、燐光ドーパントのためのマトリックス材料としての、または電子輸送材料としての使用に関して、顕著な改善を有することが見い出された。界面モルホロジーでの変化と輸送層の厚さへの電圧のより低い依存性に基づいて、ことによると、改善された電子移動性に基づいて、一方でより長い寿命と、他方でより低い駆動電圧が、生じる。
【0017】
こうして、本発明は、以下の式Iの化合物を提供する。
【化1】

【0018】
式中:使用する記号と添え字は以下の意味を有する:
Wは、出現毎に同一であるか異なり、NもしくはCRであり;
Yは、出現毎に同一であるか異なり、NもしくはCRであり;
Eは、単共有結合またはN(R)、C(R、Si(R、C=O、C=NR、C=C(R、S、S=O、SO、P(R)およびP(=O)Rから選ばれる二価単位であり;
Xは、出現毎に同一であるか異なり、C(R、N(R)、Si(R、C=O、C=NR、C=C(R、S、O、S=O、SO、P(R)およびP(=O)Rより成る基から選ばれる二価単位であり、ただし、Eが単共有結合ならば、Xは、C(R、Si(R、C=O、C=NR、C=C(R、S、O、S=O、SO、P(R)およびP(=O)Rより成る基から選ばれる二価単位であり;
n、mは、互いに独立して、0または1であり、ただし、nとmの合計は、1または2であり、
Arは、1以上の基R4aで置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有する二価もしくは三価の、モノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族単位であり;
Arは、1以上の基R4bで置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有する、モノあるいはポリ環状複素環式芳香族基であり;
Lは、単共有結合であるか、または-C(O)-、-Ar-C(O)-および-Ar-より成る基から選ばれる二価単位であり、二価単位が-Ar-C(O)-である場合は、基Arは、Nに結合し、およびC(O)は、基Arに結合する;
Arは、1以上の基R4aもしくはR4bで置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有する二価の、モノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族単位であり;
、Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(Ar、C(=O)Ar、P(=O)(Ar)、S(=O)Ar、S(=O)Ar、CN、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、各場合に、1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、C=O、C=S、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SもしくはCONRで置き代えられてよく、また、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNOで置き代えられてよい。)、または各場合に1以上の基Rにより置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有するモノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または、1以上の基Rにより置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、またはこれらの構造の組み合わせより成る基から選ばれ;ここで、加えて、2個以上の隣接する置換基Rおよび/またはRは、単共有結合または二価基Zを介して互いに結合してよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(Ar、C(=O)Ar、P(=O)(Ar)、S(=O)Ar、S(=O)Ar、CR=CRAr、CN、NO、Si(R、B(OR、OSO、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、各場合に、1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SもしくはCONRで置き代えられてよく、また、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNOで置き代えられてよい。)、または、各場合に1以上の基Rにより置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有するモノあるいはポリ環状、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または、1以上の基Rにより置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、またはこれらの構造の組み合わせより成る基から選ばれ;ここで、加えて、2個以上の隣接する置換基Rは、単共有結合または二価基Zを介して互いに結合してよく;
4a、R4bは、出現毎に同一であるか異なり、D、F、Cl、Br、I、N(Ar、C(=O)Ar、P(=O)(Ar)、S(=O)Ar、S(=O)Ar、CN、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、各場合に、1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、C=O、C=S、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SもしくはCONRで置き代えられてよく、また、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNOで置き代えられてよい。)、または各場合に1以上の基Rにより置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有するモノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または、1以上の基Rにより置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、またはこれらの構造の組み合わせより成る基から選ばれ;ここで、加えて、2個以上の隣接する置換基R4aまたはR4bは、単共有結合もしくは二価基Zを介して互いに結合してよく;
Arは、各場合に、1以上の基Rで置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有するモノあるいはポリ環状、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキル基、または3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(1以上の隣接しないCH基は、NH、OまたはSで置き代えられてよく、また、1以上のH原子はFで置き代えられてよい。)、または各場合に1以上の基Rにより置換されてよい5〜20個の芳香族環原子を有するモノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であって、;ここで、加えて、2個以上の隣接する置換基Rは、単共有結合または二価基Zを介して互いに結合してよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキル基、または3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(1以上の隣接しないCH基は、NH、OまたはSで置き代えられてよく、また、1以上のH原子はFで置き代えられてよい。)であって、;ここで、加えて、2個以上の置換基Rは、単共有結合または二価基Zを介して互いに結合してよく;
Zは、二価基-(CH-であって、ここで、qは、1、2、3、4または5、好ましくは、1、2、3または4、より好ましくは、1、2または3、最も好ましくは、1または2である。
【0019】
本発明の好ましい具体例では、合計で二個の記号YとWの最大は、好ましくは、合計で一個の記号YとWの最大は、同時にNを表す。
【0020】
ArまたはArのために定義される二価または三価、モノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族単位は、好ましくは、5〜40個、より好ましくは、5〜20個、最も好ましくは、5〜10個の芳香族環原子を含む。単位が芳香族単位であるならば、環原子として、好ましくは、6〜40個、より好ましくは、6〜20個、最も好ましくは、6〜10個C原子を含む。単位が複素環式芳香族単位であるならば、好ましくは、5〜40個、より好ましくは、5〜20個、最も好ましくは、5〜10個の芳香族環原子を含み、その中の少なくとも一つはヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選ばれる。ここで、芳香族もしくは複素環式芳香族単位は、単純な芳香族環、すなわち、ベンゼン、または単純な複素環式芳香族環、たとえば、ピリジン、ピリミジン、チオフェン等、または縮合アリールもしくはヘテロアリール基、たとえば、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、ベンゾチオフェン、ベンゾフランおよびインドール等を意味するものと解される。
【0021】
芳香族もしくは複素環式芳香族単位の本発明の例は以下のとおりである:ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、クリセン、ベンゾアントラセン、ペリレン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリジンイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5-ジアザアントラセン、2,7-ジアザピレン、2,3-ジアザピレン、1,6-ジアザピレン、1,8-ジアザピレン、4,5-ジアザピレン、4,5,9,10-テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾール。
【0022】
二価もしくは三価単位としては、上記言及した化合物は、二個または三個の水素置換基が存在せず、式Iで示されるとおりのこれらの位置で結合するような形態である。
【0023】
本発明においては、モノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族基は、モノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族単位のように正確に他の点で定義される一価基を意味するものと解される。上記言及される例も、ここで、説明される。
【0024】
本発明の目的のために、直鎖、分岐あるいは環状アルキル基は、好ましくは、1〜40個のC原子を、より好ましくは、1〜20個のC原子をまたは3〜40個のC原子を、より好ましくは、3〜20個のC原子を夫々有するアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を意味するものと解される。環状アルキル基は、モノ-、ビ-あるいはポリ-環状アルキル基であり得る。個々の-CH-または-CH-基は、N、NH、OもしくはSで置き代えられてよい。基は、好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、t-ペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニルあるいはオクチニルを意味するものと解される。C〜C40-アルコキシ基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシまたは2-メチルブトキシを意味するものと解される。
【0025】
アルコキシ基もしくはチオアルコキシ基は、OまたはS原子を介して結合する上記定義のとおりのアルキル基を意味するものと解される。
【0026】
アルキル基、アルコキシ基もしくはチオアルコキシ基は、上記定義のとおりの一以上の基Rで、追加的に、置換されてもよい。
【0027】
本発明の目的のために、モノあるいはポリ環状芳香族環構造は、6〜40個、好ましくは、6〜30個、特に、好ましくは、6〜12個のC原子を有する芳香族環構造を意味するものと解される。本発明の目的のために、芳香族環構造は、必ずしも芳香族基のみを含む構造ではなく、加えて、複数の芳香族基は、例えば、sp混成のC、O、N等あるいはCO基のような短い非芳香族単位(H以外の原子は、10%より少なく、好ましくは、5%より少ない)により中断されていてもよい構造を意味するものと解される。これら芳香族環構造は、モノ環状あるいはポリ環状であってよく、すなわち、一個の環(たとえば、フェニル)または二個以上の環を有してもよく、縮合(たとえば、ナフチル)または共有結合(たとえば、ビフェニル)でもよく、縮合および連結環の組み合わせを含んでもよい。しかしながら、縮合環が、特に、好ましい。
【0028】
好ましい芳香族環構造は、たとえば、ベンゼン、ビフェニル、ターフェニル、ナフタレン、アントラセン、ビナフチル、フェナントレン、ベンゾアントラセン、ジヒドロフェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フルオレン、スピロビフルオレンおよびインデンである。
【0029】
本発明の目的のために、モノあるいはポリ環状複素環式芳香族環構造は、5〜40個、好ましくは、5〜30個、特に、好ましくは、5〜14個の原子を有する複素環式芳香族環構造を意味するものと解される。複素環式芳香族環構造は、N、OおよびSから選ばれる少なくとも一つのヘテロ原子を含む(残りの原子は炭素である。)。さらに、複素環式芳香族環構造は、必ずしも芳香族もしくは複素環式芳香族基のみを含む構造ではなく、加えて、複数の芳香族もしくは複素環式芳香族基は、例えば、sp混成のC、O、N等あるいはCO基のような短い非芳香族単位(H以外の原子は、10%より少なく、好ましくは、5%より少ない)により中断されていてもよい構造を意味するものと解される。これら複素環式芳香族環構造は、モノ環状あるいはポリ環状であってよく、すなわち、一個の環(たとえば、ピリジル)または二個以上の環を有してもよく、縮合または共有結合でもよく、縮合および連結環の組み合わせを含んでもよい。しかしながら、縮合環が、特に、好ましい。
【0030】
好ましい複素環式芳香族環構造は、たとえば、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、テトラゾール、フラン、チオフェン、セレノフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール等の五員環、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン等の六員環またはインドール、イソインドール、インドリジン、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、プリン、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリジンイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、キノリン、イソキノリン、プテリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、ベンゾイソキノリン、アクリジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾピリダジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントリジン、フェナントロリン、チエノ[2,3b]チオフェン、チエノ[3,2b]チオフェン、ジチエノチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ベンゾチアジアゾチオフェン等の縮合環またはこれら基の組み合わせである。特に、好ましいものは、イミダゾール、ベンゾイミダゾールおよびピリジンである。
【0031】
二個の置換基、たとえば、二個のR、またはRおよびRが、二価のモノあるいはポリ環状、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を互いに形成するならば、上記短い非芳香族単位は、YまたはWに直接結合してもよい。この場合、短い非芳香族単位は、好ましくは、CO基である。
【0032】
5〜40個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基は、O原子を介して、上記定義のとおりの5〜40個の環原子を有するモノもあるいはポリ環状、芳香族もしくは複素環式芳香族基を担持する基を意味するものと解される。アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基は、同様に、上記定義される一以上の置換基を担持する。
【0033】
本発明の具体例では、Yは、好ましくは、同一であるか異なり、CRである。
【0034】
同様に、本発明の具体例では、Wは、好ましくは、同一であるか異なり、CRである。
【0035】
本発明のなおさらなる具体例では、Eは、好ましくは、単共有結合であるか、N(R)、C(R、OおよびSから選ばれる二価単位である。Eは、さらにより好ましくは、単共有結合である。
【0036】
本発明のなおさらなる具体例では、Xは、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、C(R、SおよびOより成る基から選ばれる二価単位である。Xは、さらにより好ましくは、C(Rである。
【0037】
本発明のなおさらなる具体例では、Arは、好ましくは、1以上の基R4aで置換されてよい5〜10個の芳香族環原子を有する二価または三価、モノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である。Arは、特に、好ましくは、フェニレンまたはナフチレンであり、最も好ましくは、フェニレンである。
【0038】
本発明のなおさらなる具体例では、Arは、好ましくは、1以上の基R4bで置換されてよい5〜10個の芳香族環原子を有するモノあるいはポリ環状複素環式芳香族環構造である。Arは、特に、好ましくは、1以上の基R4bで置換されてよい電子欠損複素環式芳香族基である。したがって、さらにより好ましいものは、R4bで置換されてよい、少なくとも一つがN原子である六個の芳香族環原子を有する複素環式芳香族基であるか、少なくとも二つがヘテロ原子であり、好ましくは、少なくとも一つがN原子である五個の芳香族環原子を有する複素環式芳香族基であり、各場合に、さらなるアリールもしくはヘテロアリール基がこれら基に縮合してよい。電子欠損複素環式芳香族基の好ましい例は、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、1,2,4-トリアジン、1,3,5-トリアジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、オキサゾールおよびベンゾオキサゾールであり、夫々は、基R4bで置換されてよい。Arは、最も好ましくは、R4bで置換されたあるいは非置換の1,3,5-トリアジンである。
【0039】
本発明のなおさらなる具体例では、Lは、好ましくは、単共有結合であるかまたは二価単位-Ar-である。ここで、Arは、好ましくは、1以上の基R4aもしくはR4bで置換されてよい5〜10個の芳香族環原子を有する二価のモノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を表す。その特に好ましい例は、フェニレンおよびナフチレンであり、より好ましくは、フェニレンである。
【0040】
本発明のなおさらなる具体例では、RとRは、夫々、好ましくは、H、D、N(Ar、C(=O)Ar、P(=O)(Ar)、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキル基、または3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基、または夫々1以上の基Rにより置換されてよい5〜20個の芳香族環原子を有するモノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である。Rは、特に、好ましくは、Hであり、二個のRの一つはHであり、他は、H、N(Ar、C(=O)Arおよび各場合に1以上の基Rにより置換されてよい5〜20個の芳香族環原子を有するモノあるいはポリ環状芳香族環構造から選ばれる。代替として、二個のR、またはRおよびRは、一緒になって5〜20個の芳香族環原子を有するモノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を形成する。その好ましい例は以下のものである。
【化2】

【0041】
式中、二価系は破線を介して結合する。
【0042】
本発明のさらなる具体例では、Rは、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、または3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基、または5〜10個の芳香族環原子を有するモノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族環構造よりなる基から選ばれる。ここで、好ましいものは、メチル、フェニル、ジフェニルアミノ-p-フェニルおよび3-(N-フェニル)カルバゾリルである。代替として、二個のRは、互いに、5〜20個の芳香族環原子を有するモノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を形成する。その好ましい例は以下のものである。
【化3】

【0043】
式中、破線は、Xへの結合を表す。
【0044】
本発明のさらなる具体例では、R4aは、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、N(Ar、C(=O)Ar、1〜6個のC原子を有する直鎖アルキル基、または3〜6個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(1以上のH原子は、Fで置き代えられてよい。)、5〜20個の芳香族環原子を有するモノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族環構造よりなる基から選ばれる。その特に好ましい例は、フェニル、ジフェニルアミンおよびC(=O)-Phである。
【0045】
本発明のさらなる具体例では、R4bは、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、CN、F、1〜6個のC原子を有する直鎖アルキル基、または3〜6個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(1以上のH原子は、Fで置き代えられてよい。)、5〜20個の芳香族環原子を有するモノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族環構造よりなる基から選ばれる。その特に、好ましい例は、フェニル、ナフチルおよびカルバゾリルである。
【0046】
本発明のなおさらなる具体例では、Arは、好ましくは、5〜20個の芳香族環原子を有するモノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である。
【0047】
本発明のさらなる具体例では、添え字の合計は、n+m=1である。
【0048】
本発明の前記具体例もしくは好ましい範囲もしくは定義が、互いに所望のとおりに結合できることは、本発明の一部である。
【0049】
したがって、以下が、好ましくは、記号と添え字に適用される。
【0050】
Yは、出現毎に同一であるか異なり、CRであり;
Wは、出現毎に同一であるか異なり、CRであり;
Eは、単共有結合またはN(R)、C(R、OおよびSより成る基から選ばれる二価単位であり;
Xは、出現毎に同一であるか異なり、C(RSおよびOより成る基から選ばれる二価単位であり、特に、C(Rであり、;
Arは、1以上の基R4aで置換されてよい5〜10個の芳香族環原子を有する二価または三価の、モノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族単位であり;
Arは、1以上の基R4bで置換されてよい5〜10個の芳香族環原子を有する二価または三価の、モノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族基であり、好ましくは、1以上の基R4bで置換されてよい電子欠損複素環式芳香族基、特に、夫々、1以上の基R4bで置換されてよいピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、1,2,4-トリアジン、1,3,5-トリアジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、オキサゾールおよびベンゾオキサゾール、最も好ましくは、R4bで置換されたもしくは非置換の1,3,5-トリアジンであり、
Lは、単共有結合であるか、または二価単位-Ar-であり、
Arは、1以上の基R4aもしくはR4bで置換されてよい5〜10個の芳香族環原子を有する二価の、モノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族単位であり、特に、フェニレンおよびナフチレンであり、;
、Rは、互いに独立して、H、D、N(Ar、C(=O)Ar、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキル基、または3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基、および夫々1以上の基Rにより置換されてよい5〜20個の芳香族環原子を有するモノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれ、
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、または3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基、または5〜10個の芳香族環原子を有するモノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族環構造よりなる基から選ばれ、
4aは、出現毎に同一であるか異なり、N(Ar、C(=O)Ar、1〜6個のC原子を有する直鎖アルキル基、または3〜6個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(1以上のH原子は、Fで置き代えられてよい。)、5〜20個の芳香族環原子を有するモノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族環構造よりなる基から選ばれ、
4bは、出現毎に同一であるか異なり、CN、F、1〜6個のC原子を有する直鎖アルキル基、または3〜6個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(1以上のH原子は、Fで置き代えられてよい。)、5〜20個の芳香族環原子を有するモノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族環構造よりなる基から選ばれ、
Arは、5〜20個の芳香族環原子を有するモノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
添え字の合計は、n+m=1である。
【0051】
一般式Iの化合物のさらに好ましいものは、以下の構造式を満足する。
【化4−1】

【化4−2】

【化4−3】

【化4−4】

【化4−5】

【化4−6】

【化4−7】

【化4−8】

【化4−9】

【化4−10】

【化4−11】

【化4−12】

【化4−13】

【0052】
本発明の化合物は、たとえば、臭素化、スズキカップリング、ハートウイッグ-ブーフバルトカップリング等の当業者に知られる合成工程により調製することができる。本発明による化合物の合成は、以下のスキーム1〜3に一般的に表される。
【0053】
スキーム1
【化5】

【0054】
合成は、たとえば、9,9-ジメチルフルオレニル-2-ボロン酸(Synlett,2006,5,737-740)から出発して、スズキカップリングにより、1-ブロモ-2-ニトロベンゼンに結合する。ニトロ基は、ホスフィン、たとえば、トリエチルホスフィンの作用下、環化され、対応するインデノカルバゾール誘導体を得る。次いで、窒素はアルキル化剤によりアルキル化し、またはハートウイッグ-ブーフバルト反応により、アリール化することができる。基Arは、こうして導入することができる。構造は、もちろんさらなる置換基で置換することもできる。
【0055】
代替可能な調製が、スキーム2に示される。
【0056】
スキーム2
【化6】

【0057】
合成は、2-ブロモカルバゾール誘導体から出発する。これは、スズキカップリングにより、2-メチルカルボニルベンゼン-1-ボロン酸誘導体と反応する。引き続き、窒素がチオニル基を使用して保護される。カルボニル基はメチルリチウムを使用して水酸基に還元される。引き続く環化をポリ燐酸の作用下実行することができる。チオニル保護基の除去後、次いで、窒素をアルキル化剤によりアルキル化し、またはハートウイッグ-ブーフバルト反応により、アリール化することができる。基Arは、こうして導入することができる。
【0058】
さらなる代替可能な調製が、スキーム3に示される。
【0059】
スキーム3
【化7】

【0060】
合成は、2-ブロモフルオレン誘導体から出発する。これは、スズキカップリングにより、2-メチルカルボニルベンゼン-1-ボロン酸誘導体と反応する。引き続き、メチルカルボニル基は、メチルリチウムを使用して1-ヒドロキシイソプロピルに還元される。引き続く環化をポリ燐酸の作用下実行することができる。次いで、窒素をアルキル化剤によりアルキル化し、またはハートウイッグ-ブーフバルト反応によりアリール化する。基Arは、こうして導入することができる。
【0061】
さらに、本発明は、以下の工程を含む一般式Iの化合物の調製方法に関する。
【0062】
a)ベンゼン誘導体へのカルバゾール誘導体もしくはフルオレン誘導体のカップリング、および
b)Arの導入のためのカルバゾール窒素のアリール化。
【0063】
上記に示された化合物は、ポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーの調製のためにも使用することができる。これは、通常、重合可能な官能基により実行することができる。このために、特に、好ましいものは、臭素、沃素、ボロン酸、ボロン酸エステル、トシレートもしくはトリフレート等の反応性脱離基により置換される化合物である。これらは、対応する共役、部分共役もしくは非共役ポリマー、オリゴマーの生成のためのコモノマートとして、またはデンドリマーのコアとして使用することができる。ここで、重合は、好ましくは、ハロゲン官能基もしくはボロン酸官能基により実行される。ポリマーは、架橋可能基を含んでもよいし、架橋されてもよい。特に適切なものは、その後電子素子の層中で架橋される架橋可能基である。
【0064】
したがって、本発明は、さらに、一以上の式Iの化合物を含むポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーに関し、ここで、上記定義される化合物の一以上の基もしくはH原子は、ポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーへの結合を表す。ここで、ポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーは、共役していても、部分共役していても、非共役でもよい。さらなるポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーと本発明によるポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーとの混合物(ブレンド)は、同様に包含される。
【0065】
本発明の目的のためには、オリゴマーは、約3〜9個の繰り返し単位を有する化合物である。本発明の目的のためには、ポリマーは、10個以上の繰り返し単位を有する化合物である。
【0066】
オリゴマーまたはポリマーは、さらなる繰り返し単位を含んでもよい。これらのさらなる繰り返し単位は、好ましくは、(たとえば、EP 0842208またはWO 00/22026による)フルオレン、(たとえばEP 0707020、EP 084107または4028865.6による)スピロビフルオレン、(たとえば、WO 92/18552による)トリアリールアミン、パラフェニレン、(たとえば、WO 2004/070772およびWO 2004/113468による)カルバゾール、たとえば、EP 1028136による)チオフェン、(たとえば、WO 2005/014689 による)ジヒドロフェナントレン、(たとえば、WO 2004/041901およびWO 2004/113412による)インデノフルオレン、(たとえば、WO 2005/040302による)芳香族ケトン、(たとえば、WO 2005/104264による)フェナントレンおよび/または金属錯体、特に、オルト金属化イリジウム錯体である。ポリマーは、一以上の上記群から選ばれる複数の異なる繰り返し単位を含んでもよいことが、ここで、明確に指摘されねばならない。
【0067】
式Iの化合物は、電子素子、特に、有機エレクトロルミネセンス素子に使用することができる。化合物の正確な使用は、置換基に依存する。
【0068】
したがって、本発明は、さらに、上記定義のとおりの式Iの化合物、または、ポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーの電子素子における使用に関する。
【0069】
本発明は、さらに、少なくとも一つの上記定義のとおりの化合物、または、上記定義のとおりのポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーを含む電子素子に関する。本発明は、同様に、本発明によるオリゴマー、ポリマーもしくはデンドリマーと、随意に、それらとは異なるさらなるオリゴマー、ポリマーもしくはデンドリマーとの、またはさらなる低分子量化合物との混合物(ブレンド)を含む。
【0070】
有機電子素子は、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機集積回路(O-IC)、有機太陽電池(O-SC)、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電子化学電池(LEC)、有機光受容器もしくは有機レーザーダイオード(O-laser)より成る群から選ばれる。
【0071】
本発明は、同一の層または異なる層中で複数の発光化合物が使用されることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス素子に関する。本発明による式Iの化合物は、発光層中のマトリックス材料としてか、または、電子輸送層中の電子輸送材料としてか、または正孔輸送層中の正孔輸送材料としてかのいずれかで使用することができる。しかしながら、本発明の化合物は、複数の前記層中で使用することもできる。これらの発光層は、特に、好ましくは、380nm〜750nm間に全体で複数の最大発光波長を有し、全体として、白色発光が生じるものであり、換言すれば、蛍光もしくは燐光を発し、黄色、オレンジ色あるいは赤色発光を呈するすことができる種々の発光化合物が、発光層中で使用される。特に好ましいものは、3層構造であって、すなわち、3個の発光層を有する系であり、少なくとも一つのこれらの層は少なくとも一つの式Iの化合物と少なくとも一つの燐光エミッターとを含み、三層は青色、緑色およびオレンジ色もしくは赤色発光を呈する(基本構造については、例えば、WO 05/011013参照。)。3個以上の発光層の使用が好ましいかもしれない。広発光帯域を有し、それゆえに白色発光を呈するエミッターが、同様に白色発光のために適切である。
【0072】
陰極、陽極および上記少なくとも一つの上記層とは別に、有機エレクトロルミネッセンス素子は、更なる層を含んでもよい。これらは、たとえば、正孔注入層、電子障壁層、正孔障壁層、電子注入層および/または電荷生成層である。しかしながら、これらの層の夫々は、必ずしも存在しなくてもよいことが指摘されねばならない。したがって、有機エレクトロルミネッセンス素子が別の電子輸送層を含まず、発光層が電子注入層もしくは陰極に直接隣接するならば、特に、電子伝導性ホスト材料と一緒の式Iの化合物の使用について、非常に良好な結果がさらに得られる。代替として、ホスト材料は、電子輸送層中で電子輸送材料として同時に機能してもよい。同様に、有機エレクトロルミネッセンス素子は、別の正孔輸送層を含まず、発光層が、正孔注入層もしくは陽極に直接隣接しないことが好ましいかもしれない。
【0073】
本発明の目的のために、本発明による式Iの化合物、または、本発明によるポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーが、電子素子中の燐光ドーパントのためのマトリックス材料として使用されることが好ましい。
【0074】
本発明の目的のために、本発明による式Iの化合物、または、本発明によるポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーが、電子素子中の電子輸送層中で電子輸送材料として、および/または正孔輸送層中で正孔輸送材料として、および/または正孔障壁層中の正孔障壁材料として使用されることが好ましい。
【0075】
有機エレクトロルミネセンス素子は、陰極、陽極および陰極と陽極の間に配置された少なくとも一つの発光層を含む。加えて、各場合に1以上の電子輸送層および/または正孔輸送層が存在してもよい。本発明の有機エレクトロルミネセンス素子は、陰極と陽極の間に式Iの化合物を含む少なくとも一つの層を含む。
【0076】
本発明のさらなる具体例では、式Iの化合物は、発光材料、好ましくは、燐光ドーパントのためのマトリックス材料として使用される。ここで、特に、好ましいものは、式Iの化合物が、有機エレクトロルミネッセンス素子中で発光材料のためのマトリックス材料として使用されるものである。
【0077】
本発明のさらに好ましい具体例では、有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも一つの発光層が、少なくとも一つの上記式Iの化合物と、少なくとも一つの、好ましくは燐光エミッターとを含む複数の発光層をも含んでよい。
【0078】
したがって、本発明は、さらに、式Iの化合物と一以上の発光化合物、特に、燐光化合物とを含む混合物にも関する。
【0079】
発光層中で使用される式Iの化合物と燐光エミッターとの混合物は、エミッターとマトリックス材料を含む全混合物を基礎として、式Iの化合物を、99〜50体積%、好ましくは、98〜50体積%、特に好ましくは、97〜60体積%、特に、95〜85体積%含む。対応して、混合物は、エミッターとマトリックス材料を含む全混合物を基礎として、燐光エミッターを、1〜50体積%、好ましくは、2〜50体積%、特に好ましくは、3〜40体積%、特に、5〜15体積%含む。
【0080】
さらに好ましい本発明の具体例は、さらなるマトリックス材料と組み合わせた燐光エミッターのためのマトリックス材料としての本発明の化合物の使用である。本発明の化合物と組み合わせて使用することのできる特に適切なマトリックス材料は、たとえば、WO 2004/013080、WO 2004/093207、WO 2006/005627もしくはWO 2010/006680による芳香族ケトン、芳香族ホスフィンオキシド、芳香族スルホキシドもしくはスルホン、トリアリールアミン、カルバゾール誘導体、たとえば、CBP(N,N-ビスカルバゾリルビフェニル)または、WO 2005/039246、 US 2005/0069729、 JP 2004/288381、 EP 1205527 もしくは WO 2008/086851に記載されたカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2007/063754 もしくは WO 2008/056746によるインドロカルバゾール誘導体、たとえば、EP 1617710、 EP 1617711、 EP 1731584、 JP 2005/347160によるアザカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2007/137725によるバイポーラーマトリックス材料、たとえば、WO 2005/111172によるシラン、たとえば、WO 2006/117052によるアザカルバゾールもしくはボロン酸エステル、たとえば、WO 2010/015306、 WO 2007/063754もしくは WO 2008/056746によるトリアジン誘導体、または、たとえば、EP 652273 もしくは WO 2009/062578による亜鉛錯体、たとえば、未公開出願DE 102008056688.8によるジアザシロールもしくはテトラアザシロール誘導体または未公開出願DE 102009022858.6によるジアザホスホール誘導体もしくは未公開出願DE 102009023155.2.によるインデノカルバゾール誘導体である。
【0081】
適切な燐光化合物(三重項エミッター)は、特に、適切な励起により、好ましくは、可視域で発光する化合物を含み、加えて、20より大で、好ましくは、38より大で、84より小な、特に好ましくは、56より大で、80より小な原子番号を有する少なくとも一つの原子を含む。使用される燐光発光エミッターは、好ましくは、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀および金またはユウロピウムを含む化合物、特に、イリジウムもしくは白金を含む化合物である
上記エミッターの例は、出願WO 2000/70655、WO 2001/41512、 WO 2002/02714、WO 2002/15645、 EP1191613、EP1191612、EP1191614、WO 2005/033244 WO 2005/019373およびUS2005/0258742により明らかにされる。一般的に、燐光OLEDのために先行技術で使用され、有機エレクトロルミネッセンス分野で当業者により知られるあらゆる燐光化合物が適切であり、当業者は進歩性を必要とすることなく、さらなる燐光錯体を使用することができる。
【0082】
発光層中に2個以上の異なる燐光エミッター、特に、異なる発光最大波長を有するエミッターを使用することが、好ましいかもしれない。したがって、たとえば、緑色燐光および赤色燐光エミッターの使用は、改善された効率を有する赤色ルミネッセンスを達成することができる。
【0083】
本発明のさらなる具体例では、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、別の正孔注入層および/または正孔輸送層および/または正孔障壁層および/または電子輸送層を含まない、換言すれば、たとえば、WO 2005/053051に記載されているとおり、発光層は、正孔注入層もしくは陽極に直接隣接し、および/または発光層は、電子輸送層もしくは電子注入層もしくは陰極に直接隣接する。さらに、WO 2009/030981に記載されているとおり、発光層中の金属錯体と同一または類似する金属錯体を、発光層に直接隣接して、正孔輸送もしくは正孔注入材料として使用することも可能である。
【0084】
本発明のさらなる具体例では、式Iの化合物は、電子輸送材料として、好ましくは、電子輸送層中で使用される。この場合に、特に、好ましい化合物は、Arとして、下記に詳細に記載されるとおりの電子欠損複素環式芳香族基を含む式Iの化合物である。
【0085】
式Iの化合物が、有機エレクトロルミネッセンス素子中で電子輸送材料として使用されるならば、それらは、有機もしくは無機アルカリ金属化合物と組み合わせて、本発明に従って、使用することもできる。ここで、「有機アルカリ金属化合物と組み合わせて」とは、式Iの化合物とアルカリ金属化合物とが一層中で混合物の形で存在するか、二つの連続する層中に別々に存在するかの何れかであることを意味する。本発明の好ましい具体例では、式Iの化合物と有機アルカリ金属化合物とは、一層中で混合物の形で存在する。
【0086】
本発明の目的のために、有機アルカリ金属化合物は、少なくとも一つのアルカリ金属、すなわち、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムまたセシウムを含み、また、さらに、少なくとも一つの有機リガンドを含む化合物を意味するものと解される。適切な有機アルカリ金属化合物は、たとえば、WO 2007/050301、 WO 2007/050334 および EP 1144543に記載された化合物である。これらは、参照として、本願に組み込まれる。
【0087】
好ましい有機アルカリ金属化合物は、以下の式Aの化合物である。
【化8】

【0088】
ここで、Rは、上記と同じ意味を有し、曲腺は、二もしくは三個の原子と、Mと共に五または六員環を形成する必要のある結合を表し、これらの原子は一以上のRにより置換されてよく、Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムまたセシウムより成る群から選ばれるアルカリ金属を表す。
【0089】
ここで、式Aの錯体は、上記のとおり、モノマー形態であることができ、また、たとえば、二個のアルカリ金属イオンと二個のリガンド、四個のアルカリ金属イオンと四個のリガンド、六個のアルカリ金属イオンと六個のリガンドを含む凝集体の形態、または他の凝集体の形態であることができる。
【0090】
式Aの好ましい化合物は、以下の式BおよびCである。
【化9】

【0091】
ここで、kは、0、1、2または3であり、oは、0、1、2、3または4であり、使用される他の記号は上記意味を有する。
【0092】
さらに好ましい有機アルカリ金属化合物は、以下の式Dの化合物である。
【化10】

【0093】
ここで、使用される記号は上記と同じ意味を有する。
【0094】
アルカリ金属は、好ましくは、リチウム、ナトリウムおよびカリウム、特に、好ましくは、リチウムおよびナトリウム、非常に、特に、好ましくは、リチウムから選ばれる。
【0095】
特に好ましい式Bの化合物は、特に、Mがリチウムのものである。さらに、添え字kは、非常に、特に、好ましくは、0である。したがって、非常に、特に、好ましい化合物は、非置換リチウムキノリナートである。
【0096】
有機エレクトロルミネッセンス素子は、非常に、特に、好ましくは、Arが、電子欠損複素環式芳香族基である式Iの化合物と式Bの有機アルカリ金属化合物、好ましくは、Mがリチウム、特に、非置換リチウムキノリナートの混合物を含む。
【0097】
適切な有機アルカリ金属化合物の例は、以下の表に示される構造(1)〜(45)である。
【化11−1】

【化11−2】

【化11−3】

【0098】
式Iの化合物と有機もしくは無機アルカリ金属化合物が、混合物の形態であるならば、式Iの化合物の有機アルカリ金属化合物に対する比は、各場合に体積を基礎として、好ましくは、20:80〜80:20、特に、好ましくは、30:70〜70:30、非常に、特に、好ましくは、30:70〜50:50、特に、30:70〜45:55である。したがって、有機アルカリ金属化合物は、特に、好ましくは、式Iの化合物より高い割合で存在する。
【0099】
式Iの化合物と有機もしくは無機アルカリ金属化合物が、混合物の形態であるならば、この電子輸送層の層厚は、好ましくは、3〜150nm、特に、好ましくは、5〜100nm、非常に、特に、好ましくは、10〜60nm、特に、15〜40nmである。
【0100】
式Iの化合物と有機もしくは無機アルカリ金属化合物が、二個の連続層であるならば、式Iの化合物を含む層の層厚は、好ましくは、3〜150nm、特に、好ましくは、5〜100nm、非常に、特に、好ましくは、10〜60nm、特に、15〜40nmである。有機もしくは無機アルカリ金属化合物を含み、式Iの化合物を含む層と陰極との間に配置される層の層厚は、好ましくは、0.5〜20nm、特に、好ましくは、1〜10nm、非常に、特に、好ましくは、1〜5nm、特に、1.5〜3nmである。
【0101】
本発明は、さらに、式Iの化合物の正孔障壁材料としての使用に関する。そのとき、化合物は、特に、燐光OLED中で正孔障壁層中に使用される。本発明の目的のために、正孔障壁層は、発光層と電子輸送層との間に配置される層である。
【0102】
本発明は、さらに、式Iの化合物の正孔輸送材料および/または正孔注入材料としての使用に関する。そのとき、化合物は、正孔輸送層および/または正孔注入層中で使用される。本発明の目的のために、正孔注入層は、陽極に直接隣接する層である。本発明の目的のために、正孔輸送層は、正孔注入層と発光層との間に位置する層である。
【0103】
陰極は、好ましくは、低い仕事関数を有する金属、たとえば、アルカリ土類金属、アルカリ金属、主族金属あるいはランタノイド金属(たとえば、Ca、Ba、Mg、Al、In、Mg、Yb、Sm等)のような種々の金属を含む金属合金もしくは多層構造を含む。多層構造の場合、たとえばAgのような比較的高い仕事関数を有するさらなる金属を前記金属に加えて使用することもでき、たとえば、Mg/Ag、Ca/AgもしくはBa/Agのような金属の組み合わせが一般的に使用される。好ましいものは、同様に金属合金であり、特に、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属および銀を含む合金であり、特に、好ましくは、MgとAgの合金である。高い誘電定数を有する物質の薄い中間層を金属陰極と有機半導体との間に導入することも好ましいかもしれない。この目的のために適切なものは、たとえば、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属フッ化物だけでなく対応する酸化物もしくは炭酸塩である(たとえば、LiF、LiO、CsF、CsCO、BaF、MgO、NaF、等)。この層の厚さは、好ましくは、0.5〜5nmである。
【0104】
陽極は、好ましくは、高い仕事関数を有する材料を含む。陽極は、好ましくは、真空に対して4.5eV超の高い仕事関数を有する材料を含む。この目的に適切なものは、一方で、たとえば、Ag、PtもしくはAuのような高い還元電位を有する金属である。他方で、金属/金属酸化物電極(たとえば、Al/Ni/NiO、Al/PtO、Wo/O)も好ましいかもしれない。いくつかの用途では、少なくとも一つの電極は、有機材料の照射(O−SC)もしくは光のアウトカップリング(OLED/PLED、O−laser)の何れかを可能とするために、透明であるか、部分的に透明でなければならない。ここで、好ましい陽極材料は、伝導性混合金属酸化物である。特に、好ましいのは、インジウム錫酸化物(ITO)もしくはインジウム亜鉛酸化物(IZO)である。さらに好ましいものは、伝導性のドープされた有機材料、特に、伝導性のドープされたポリマーである。
【0105】
このような素子の寿命は、水および/または空気の存在により劇的に短くなることから、素子は、(用途に応じて)適切に構造化され、接点を供給され、最後に気密に封入される。
【0106】
式Iの化合物は、ポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマー中で正孔輸送層単位としておよび/または電子輸送単位としておよび/または燐光単位のためのマトリックスとして使用されることもできる。
【0107】
更に好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、昇華プロセスにより適用され、材料は、10−5mbar未満、好ましくは、10−6mbar未満の初期圧力で、真空昇華ユニット中で真空気相堆積されることを特徴とする。しかしながら、初期圧力は、さらにより低くても、たとえば、10−7mbar未満であってもよいことが留意されねばならない。
【0108】
同様に好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、OVPD(有機気相堆積)プロセスもしくはキャリアガス昇華により適用され、材料は、10−5mbar〜1barの圧力で、適用されることを特徴とする。このプロセスの特別な場合は、OVJP(有機気相ジェット印刷)プロセスであって、材料は、直接ノズルにより適用され、それにより構造化される(たとえば、M. S. Arnold et al.、 Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0109】
更に、好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、溶液から、例えば、スピンコーティングにより、もしくは、例えばスクリーン印刷、フレキソ印刷あるいはオフセット印刷、特に、好ましくは、LITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)、インクジェット印刷あるいはノズル印刷のような任意の所望の印刷プロセスにより製造されることを特徴とする。可溶性の式Iの化合物がこの目的のために必要とされる。高い溶解度は、化合物の適切な置換により得ることができる。層製造のためのこれらのプロセスは、ポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーのために、特に、適切でもある。
【0110】
有機エレクトロルミネッセンス素子は、一以上の層を溶液から適用し、一以上の他の層を気相堆積により適用することによるハイブリッド構造として製造されてもよい。したがって、たとえば、式Iの化合物と燐光ドーパントを含む発光層と燐光ドーパントを溶液から適用し、その上に正孔障壁層および/または電子輸送層を真空気相堆積により適用することも可能である。式Iの化合物と燐光ドーパントを含む発光層は、同様に、真空気相堆積により適用され、一以上の他の層が溶液から適用されることもできる。代替として、加えて、たとえば、発光層を溶液から適用し、その上に式Iの化合物を含む電子輸送層を随意に有機金属と組み合わせて真空気相堆積により適用することも可能である。
【0111】
これらのプロセスは、当業者に一般的に知られており、当業者により、問題なく、上記定義される式Iの化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子に適用することができる。
【0112】
溶液からの適用のためには、本発明の化合物の溶液もしくは処方が必要である。したがって、本発明は、さらに、少なくとも一つの本発明の化合物と少なくとも一つの有機溶媒とを含む処方に関する。有機エレクトロルミネッセンス素子の製造のために通常使用されるすべての有機溶媒が、ここで使用することができる。
【0113】
本発明は、さらに、少なくとも一つの燐光エミッターと少なくとも一つの式Iの化合物を含む混合物に関する。
【0114】
本発明による化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子における使用に関して、先行技術を凌駕する以下の驚くべき優位性を有する。
【0115】
1.本発明の化合物は、燐光エミッターのためのマトリックス材料としての使用のために非常に高度に適切であり、この使用において、良好な効率と長い寿命と低い駆動電圧を生じる。
【0116】
2.対応する素子のパワー効率は、特に、厚い膜の使用時に、先行技術にしたがうシステムと比べて増加している。これは、特に、電子輸送層における本発明の化合物を使用に関してあてはまる。
【0117】
3.対応する素子の安定性は、先行技術にしたがうシステムと比べて増加しており、これは、特に、厚い膜の使用時に特に、顕著により長い寿命から明らかである。
【0118】
4.本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子は、同時に、減少した駆動電圧を有する。
【0119】
5.本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子は、非常に高い効率を有する。改善された効率は、ことによると、電子輸送層から発光層への改善された電子注入の結果であるかもしれない。
【0120】
最後に、好ましいとされる本発明の化合物の上記特徴、好ましいものと明確には言及されないすべてのもの、電子素子におけるそれらの使用および電子素子自体は、所望のとおり互いに組み合わせることができることに留意されねばならない。同様に本発明は、すべての得られる組み合わせに関する。
【0121】
本発明は、以下の例により詳細に説明されるが、それにより限定することを望むものではない。当業者は、発明性を要することなく、本発明のさらなる化合物を合成し、それを電子素子に使用することができる。
【0122】

次の合成は、他に断らない限り、無水溶媒中で、保護ガス雰囲気下で行われる。
【0123】
例1:
2-(2-ニトロフェニル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン
【化12】

【0124】
913mg(3ミリモル)のトリ-o-トリルホスフィンと、次いで、112mg(05.ミリモル)の酢酸パラジウム(II)が、380mlのトルエン、190mlのジオキサンと480mlの水の混合物中の23.8g(100ミリモル)の9,9-ジメチルフルオレニル-2ボロン酸、20.6g(102ミリモル)の1-ブロモ-2-ニトロベンゼン、51g(221ミリモル)のリン酸三カリウムの激しく攪拌された懸濁液に添加され、混合物は、引き続き、還流下、16時間加熱される。冷却後、沈殿した固形物は吸引ろ過され、50mlのトルエンで三度洗浄され、50mlのエタノール:水(1:1、v:v)で三度洗浄され、100mlのエタノールで三度洗浄され、DMF(約10ml/g)から三度再結晶化される。収率:25.3g(80ミリモル)、81%。
【0125】
例2:
12,12-ジメチル-6,12-ジヒドロ-6-アザインデノ[1,2-b]フルオレン:
【化13】

【0126】
75g(238ミリモル)の2-(2-ニトロフェニル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレンと290.3ml(1669ミリモル)のトリエチルホスフィットの混合物が、還流下、12時間加熱される。残るトリエチルホスフィットは、引き続き蒸留(72−76℃/9mmHg)により除去される。水/MeOH(1:1)が残留物に添加され、固形物はろ過され、再結晶化される。収率:61.3g(216ミリモル)、92%。
【0127】

例3a:6-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-12,12-ジメチル-6,12-ジヒドロ-6-アザインデノ[1,2-b]フルオレン:
【化14】

【0128】
1.5g(37.5ミリモル)のNaH(油中60%)が、まず、150mlのジクロロメタン中に導入される。ジクロロメタン中の8g(28ミリモル)の12,12-ジメチル-6,12-ジヒドロ-6-アザインデノ[1,2b]フルオレン溶液が、室温で滴下される。1時間後、8.5g(31ミリモル)の2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジンが、滴下され、混合物はRTで8時間攪拌される。沈殿した固形物は、トルエンから再結晶化される。堆積した結晶は、吸引ろ過され、少量のMeOHで洗浄され、真空乾燥される。収率:11.6g、理論値の80%、HPLCによる純度99.9%。
【0129】
以下の化合物が同様にして得られる。
【化15−1】

【化15−2】

【0130】
例4a:12,13-ビス-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-12,13-ジヒドロ-インドロ[3,2-c]アクリジン-7-オン:
【化16】

【0131】
3g(75ミリモル)のNaH(油中60%)が、まず、150mlのジクロロメタン中に導入される。ジクロロメタン中の8.4g(28ミリモル)の3-((Z)-プロペニル)-2-ビニル-1H,11H-1,11-ジアザシクロペンタ[a]アントラセン-6-オン溶液が、RTで滴下される。1時間後、17g(62ミリモル)の2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジンが、滴下され、混合物は室温で8時間攪拌される。沈殿した固形物は、トルエンから再結晶化される。堆積した結晶は、吸引ろ過され、少量のMeOHで洗浄され、真空乾燥される。収率:14.6g、理論値の70%、HPLCによる純度99.9%。
【0132】
以下の化合物が同様にして得られる。
【化17】

【0133】
例5a:6-(2,6-ジフェニルピリジン-4-イル)-12,12-ジメチル-6,12-ジヒドロ-6-アザインデノ[1,2-b]フルオレン:
a)2,6-ジブロモ-4-ニトロピリジン
【化18】

【0134】
250mlの三フッ化酢酸中の50g(211ミリモル)の2,6-ジブロモピリジン溶液が、90℃まで暖められる。53ml(515ミリモル)の33%過酸化水素溶液が滴下される。三時間後、反応混合物は、冷却され、200mlの氷水中に注がれる。ろ過物は、ジクロロメタンで三度抽出され、結合した有機相は、0.5MのKCO溶液で四度洗浄され、NaSOで乾燥され、蒸発される。2,6-ジブロモピリジン1-オキシドの残留物はさらに使用される。
【0135】
20g(78ミリモル)の2,6-ジブロモピリジン1-オキシド溶液が、70mlのHSO中40℃まで暖められる。ニトロ化酸(70mlのHSOと34mlの発煙HNO)が、この温度で溶液に添加される。反応混合物は、90℃で三時間加熱される。冷却後、反応混合物は、800mlの氷水中に注がれる。沈殿した固形物は、ろ過され、水で洗浄される。乾燥後、2,6-ジブロモ-4-ニトロピリジン1-オキシド(17.9g)は、200mlのクロロホルム中に懸濁され、6mlの三臭化燐(64ミリモル)が室温で添加され、混合物は一時間攪拌され、次いで、還流下二日間加熱される。冷却後、溶液は500mlの氷水中に注がれ、混合物はNaHCOを使用して中和される。水性相が分離され、CHClで何度も抽出され、結合した有機相は、チオ硫酸ナトリウム、次いで、水で洗浄され、乾燥され、蒸発される。残留物は、EtOHから再結晶化される。収率:41.7g(148ミリモル)、理論値の70%。
【0136】
b)6-(2,6-ジフェニルピリジン-4-イル)-12,12-ジメチル-6,12-ジヒドロ-6-アザインデノ[1,2-b]フルオレン:
【化19】

【0137】
20g(70.7ミリモル)の12,12-ジメチル-6,12-ジヒドロ-6-アザインデノ[1,2-b]フルオレンが、保護ガス雰囲気下50mlのジメチルホルムアミドに溶解され、鉱物油(78ミリモル)中の3.1gの60%NaHが、添加される。室温で1時間後、20mlのDMF中の2,6-ジブロモ-4-ニトロピリジン(20g、70.7ミリモル)が、滴下される。反応混合物は室温で12時間攪拌される。その後、反応混合物は氷上に注がれ、ジクロロメタンで三度抽出される。結合した有機相は、NaSOで乾燥され、蒸発される。残留物は、トルエンから再結晶化される。収率は、29.6g(80ミリモル)、理論値の95%。
【0138】
25g(48ミリモル)の6-(2,6-ジブロモピリジン-4-イル)-12,12-ジメチル-6,12-ジヒドロ-6-アザインデノ[1,2-b]フルオレンと12.9gのフェニルボロン酸(106ml)が、300mlのエチレングリコールジメチルエーテル中に懸濁される。75mlの2MNaCO溶液が反応混合物に添加される。2.8g(2.4ミリモル)のPd(PPhが、この懸濁液に添加される。反応混合物は還流下12時間加熱される。冷却後、沈殿した固形物は吸引ろ過され、水とエタノールで洗浄され、乾燥される。残留物は、熱トルエンで抽出され、トルエンから再結晶化され、最後に、高真空中で昇華され、純度は99.9%である。収率は、18g、理論値の72%。
【0139】
以下の化合物が同様にして得られる。
【化20】

【0140】
例6a:6-(3,5-ジピリミジン-2-イルフェニル)-12,12-ジメチル-6,12-ジヒドロ-6-アザインデノ[1,2-b]フルオレン
工程a)5-ヨード-1,3-(2’-ピリミジル)ベンゼン
【化21】

【0141】
40g(127ミリモル)のトリブロモベンゼンが、800mlのEtO中に溶解され、−78℃まで冷却される。88ml(140ミリモル)のn-BuLi(ヘキサン中1.6M溶液)が、この溶液に滴下される。この温度で3時間攪拌後、19.4mlのクロロトリメチルシランが、滴下され、反応混合物は室温でさらに1時間加熱される。混合物は、引き続きヘプタンと水との間に分配され、水性相は三度ヘプタンにより抽出され、NaSOで乾燥され、回転蒸発器で蒸発される。残る残留物(31.4g、80%収率)は蒸留され、さらに、反応される。
【0142】
25g(79.4ミリモル)の5-トリメチルシリル-1,3-ブロモベンゼン、37.7g(159ミリモル)のビス(ピナコラート)ジボランと4gの酢酸カリウム(350ml)が、700mlのDMSO中に懸濁される。11.9g(16ミリモル)の1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)ジクロライドのジクロロメタンとの錯体が、この懸濁液に添加される。反応混合物は還流下16時間加熱される。冷却後、有機相は、分離され、200mlの水で三度洗浄され、引き続き蒸発乾固される。残留物は、トルエンから再結晶化される。収率24g、理論値の75%。
【0143】
20g(49.7ミリモル)の5-トリメチルシリルベンゼン-1,3-ビス(ボロン酸ピナコールエステル)と15.8g(99.5ミリモル)の2-ブロモピリミジンが、600mlのエチレングリコールジメチルエーテル中に懸濁される。100mlの2MNaCO溶液が、反応混合物に添加される。1.5g(4.9ミリモル)のPd(PPhが、この懸濁液に添加される。反応混合物は還流下12時間加熱される。冷却後、沈殿した固形物は吸引ろ過され、水とエタノールで洗浄され、乾燥される。残留物は、トルエンから再結晶化される。収率は、9.5g、理論値の60%。
【0144】
15g(49ミリモル)の5-トリメチルシリル-1,3-(2’-ピリミジル)ベンゼンが、200mlのジクロロメタンに保護ガス雰囲気下溶解され、8.1gのI-Cl(50モル)が0℃で添加される。反応混合物はこの温度で12時間攪拌される。この後、反応混合物は、水中に注がれ、ジクロロメタンで三度抽出される。結合した有機相は、亜ジチオン酸ナトリウム溶液で洗浄され、NaSOで乾燥され、蒸発される。残留物は、ヘプタン/酢酸エチルから再結晶化される。収率は、12.6g(80ミリモル)、理論値の60%。
【0145】
工程b)6-(3,5-ジピリミジン-2-イルフェニル)-12,12-ジメチル-6,12-ジヒドロ-6-アザインデノ[1,2-b]フルオレン
【化22】

【0146】
10.9g(38.32ミリモル)の12,12-ジメチル-6,12-ジヒドロ-6-アザインデノ[1,2-b]フルオレン、12g(38.32ミリモル)の5-ヨード-1,3-(2’-ピリミジル)ベンゼンと16gのKCOが、300mlのp-キシレン中に懸濁される。0.86g(3.84ミリモル)のPd(OAc)と7.6mlの1Mトリ-tert-ブチルホスフィン溶液が、この懸濁液に添加される。反応混合物は還流下16時間加熱される。冷却後、有機相は、分離され、200mlの水で三度洗浄され、引き続き蒸発乾固される。残留物は、熱トルエンで抽出され、トルエンから再結晶化され、最後に、高真空中昇華され、純度は99.9%である。収率は、16.4g(26.6ミリモル)、理論値の96%。
【0147】
以下の化合物が同様にして得られる。
【化23】

【0148】
例7a:6-(4,6-ジフェニルピリミジン-2-イル)-12,12-ジメチル-6,12-ジヒドロ-6-アザインデノ[1,2-b]フルオレン
工程a)2-クロロ-4,6-ジフェニルピリミジン
【化24】

【0149】
75g(0.41ミリモル)の1,3,5-トリクロロピリミジン、100g(0.82ミリモル)のフェニルボロン酸と625mlの4MのNaHCO溶液が、2.5lのエチレングリコールジメチルエーテル中に懸濁される。2.3g(10.23ミリモル)のPd(OAc)と10.35g(34ミリモル)の(o-Tol)Pがこの懸濁液に添加され、反応混合物は、還流下16時間加熱される。混合物は、引き続き酢酸エチルと水との間に分配され、有機相は、水で三度洗浄され、NaSOで乾燥され、回転蒸発機で蒸発される。残る残留物は、ヘプタン/トルエンからの再結晶化される。収率は、43g(0.15ミリモル、38%)である。
【0150】
工程b)6-(4,6-ジフェニルピリミジン-2-イル)-12,12-ジメチル-6,12-ジヒドロ-6-アザインデノ[1,2-b]フルオレン
【化25】

【0151】
鉱物油(0.106ミリモル)中4.2gの60%NaHが、保護ガス下300mlのジメチルホルムアミド中に溶解される。30g(0.106ミリモル)の12,12-ジメチル-6,12-ジヒドロ-6-アザインデノ[1,2-b]フルオレンが、250mlのDMF中に溶解され、反応混合物に滴下される。室温で1時間後、200mlのTHF中の2-クロロ-4,6-ジフェニルピリミジン(34.5g、0.122モル)が滴下される。反応混合物は、次いで、室温で12時間攪拌される。この後、反応混合物は氷上に注がれ、ジクロロメタンで三度抽出される。結合した有機相は、NaSOで乾燥され、蒸発される。残留物は、熱トルエンで抽出され、トルエン/n-ヘプタンから再結晶化され、最後に高真空中で昇華され、純度は99.9%である。収率は、27g(51%)。
【0152】
以下の化合物が同様にして得られる。
【化26】

【0153】
素子の例:OLEDの製造(例1〜31および比較例1〜7)
本発明によるOLEDと先行技術によるOLEDの製造が、WO 2004/058911に記載された一般的プロセスにより製造されるが、ここに記載される状況(層の厚さの変化、使用される材料)に適合される。
【0154】
種々のOLEDに対するデータが、以下の比較例1〜7および例1〜31(表1および2参照。)において示される。改善された加工のために、厚さ150nmの構造化されたITO(インジウム錫酸化物)で被覆されたガラス板が、20nmのPEDOT(ポリー(3,4-エチレンジオキシ-2,5-チオフェン)水からスピンコート H. C. Starck, Goslar、独国から購入。)で被覆された。これらの被覆されたガラス板は、OLEDが適用される基板である。OLEDは、原則として、以下の層構造を有する:基板/随意に、5nmの正孔注入層(HIL1)/正孔輸送層(HTM1)/20nmの電子障壁層(EBL)/発光層(EML)/随意に、10nmの正孔障壁層(HBL)/電子輸送層(ETL)および、最後に陰極。陰極は、厚さ100nmのアルミニウム層により形成され、厚さ1nmのLiFを含む電子注入層が、使用される電子輸送材料に応じて、陰極と電子輸送層との間に挿入される。OLEDの正確な構造は、以下に示される例と関連して説明される。OLED製造のために使用される材料は、表3に示される。
【0155】
すべての材料は、真空室において、熱気相堆積により適用される。ここで、発光層は、常に、少なくとも一つのマトリックス材料(ホスト材料)と、共蒸発によりホスト材料または材料と前混合されるドーパントとから成る。ここで、H2:TER1(85%:15%)等の表現は、材料H2が85体積%の割合で層中に存在し、TER1が15体積%の割合で層中に存在することを意味する。同様に、電子輸送層も、二種の材料の混合物から成ってもよい。
【0156】
OLEDは、標準方法により特性決定される。この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトル、電流効率(cd/Aで測定)、電流/電圧/輝度特性線(IUL特性線)から計算した、輝度の関数としてのパワー効率(Im/Wで測定)および外部量子効率(EQE、パーセントで測定)、および寿命が測定される。寿命は輝度がある初期輝度から半分に低下した時間として定義される。この値は、当業者により知られた変換式の助けにより、他の初期輝度に対する値に変換することができる。1000cd/mの初期輝度に対する寿命が、この場合に引用される通常の値である。
【0157】
いくつかの例が、本発明による化合物の優位性を実証するために、以下に詳細に説明される。しかしながら、これは、示されるデータの選択を表すだけであることを指摘せねばならない。表から見て取ることができるように、先行技術を超える顕著な改善が、本発明による化合物の使用により達成され、ある場合には、全てのパラメーターについてより詳細には説明されないが、ある場合には、効率または電圧または寿命の改善だけが観察される。しかしながら、種々の用途が、異なるパラメータに関する最適化を必要とすることから、前記パラメーターのただ一つの改善が、顕著な進歩となる。
【0158】
電子輸送材料としての本発明の化合物の使用
表1は本発明の化合物の電子輸送層中での使用に関する優位性を示すいくつかのOLEDのデータである。OLEDは、基板/5nmの正孔注入層(HIL1)/140nmの正孔輸送層(HTM1)/20nmのNPB層/30nmの発光層/20nmの電子輸送層(ETM)/随意に1nmのLiF/100nmのアルミニウムという層配列から成る。ここで、発光層は、5%の体積割合で青色発光ドーパントD1でドープされたホスト材料から成る。比較例2と例2および4において、使用される電子輸送層は、共蒸発により製造された電子輸送材料とLiQとを含む混合層である。ここで、LiQの体積割合は、60%である。
【0159】
比較例1と2および例1〜4に対応するOLEDは、同等のCIE色座標と初期輝度6000cd/mで約150時間という同等の寿命を示す。これは、当業者に知られる変換式を基礎として、初期輝度1000cd/mでの約5500時間に対応する。
【0160】
本発明の材料ETM2とETM3の使用は、外部量子効率(EQE)と電流効率(Cd/A)両者における顕著な改善のみならず、特に、駆動電圧とその結果のパワー効率(Im/W)の顕著な改善を生じる。パワー効率の増加は、携帯用途に関して、特に、重要である。ここで、わずか10%の増加も、顕著な改善とみなされねばならない。
【0161】
パワー効率の最大の増加は電子注入層としてのLiFにより達成される。ここで、本発明の化合物ETM2とETM3の使用は、Alqの使用と比べて、約40%パワー効率が増加する(比較例1と例1および3との比較)。約15%の顕著な改善は、先行技術による電子輸送材料ETM1により、混合電子輸送層を使用すると、すでに良好なパワー効率を生じているが、ETM2とETM3の使用によっても達成することができる(比較例2と例2および4との比較)。
【0162】
さらに、本発明による化合物ETM3は、先行技術によるETM1と比べて、顕著に改善された加工性を示す。約1μmの厚さを有する材料の層は、同じ気相堆積条件下(0.1nm/sの気相堆積速度)で堆積される。本発明による材料ETM3は、気相堆積源の目詰りを示さない。これに対して、ETM1を使用すると、材料層は気相堆積源の上部で環状に内部で成長する。これは、制御された層堆積は、約1.5hの気相堆積時間後にはもはや可能でないことを意味している。したがって、本発明の化合物は、先行技術による化合物ETM1よりも、大量生産における使用のために顕著により適切である。
【0163】
表1:電子輸送材料としての本発明の化合物の使用
【表1】

【0164】
燐光ドーパントのためのホスト材料としての本発明の化合物の使用
本発明の化合物は、燐光ドーパントのためのホスト材料として使用することもできる。化合物H5に加えて、前記記載された材料ETM2とETM3は、明確さのためにH3およびH4と以下で呼ばれ、ここで使用される。化合物H2は、先行技術による比較例として使用される。緑色発光ドーパントTEG1と赤色発光ドーパントTEG1およびTEG2を含むOLEDが比較される。
【0165】
OLEDは、基板/正孔輸送層(HTM1)/20nmの電子障壁層(EBL)/発光層(EML)/随意に、10nmの正孔障壁層(HBL)/電子輸送層(ETM)/随意に1nmのLiF/100nmのアルミニウムという構造を有する。比較例3〜5と例5〜7、13、14および25のOLEDにおいて、正孔輸送層の厚さは、20nmであり、電子障壁層は、NPBにより形成され、電子輸送層は、1nmの厚さのLiFを含む電子注入層を有する20nmの厚さのAlq層である。比較例5と例7のOLEDは、発光層と電子輸送層との間に10nmの厚さの材料H2の正孔障壁層を追加的に含む。
【0166】
比較例6および7と例8〜12、15〜24および26〜31のOLEDは、160nmの厚さの正孔輸送層と、材料EBM1により形成される電子障壁層とを含む。電子輸送層として、これらOLEDは、ETM1とLiQの50%:50%の体積比の混合物を含み、電子注入層は存在しない。比較例6、11、13、24および32のOLEDにおいては、厚さ10nmを有する材料H2を含む正孔障壁層が存在する。電子輸送層の厚さは、30nmである。比較例7と例9、11、12、15〜20、22〜24、30および31のOLEDにおいては、正孔障壁層は存在せず、ここで、電子輸送層の厚さは、40nmである。
【0167】
本発明の材料H3、H4およびH5の使用は、先行技術によるH2の使用と比べて、効率、駆動電圧と寿命に関して顕著な改善を生じる(表2参照。)。
【0168】
赤色発光OLEDにおいて、ドーパントTER1もしくはTEGRが使用されるかどうか、さらなるホスト材料が存在するか否かに応じて、ホスト材料H5の使用により、25〜50%のパワー効率の増加が達成される(比較例3〜5と例5〜7との比較)。さらに、先行技術による材料H2で使用される成分と比較すると、H5の使用により寿命が20〜35%増加する。したがって、本発明の化合物は、赤色発光燐光OLEDにおけるホスト材料としての使用において、すべての関連するパラメータにおける顕著な改善を生じる。
【0169】
緑色燐光OLEDにおける本発明の材料H3およびH4の使用さえも、前記赤色発光OLEDと比べて、効率、駆動電圧および寿命を大きく改善することが可能である。H4のホスト材料としての使用は、H2と比べると、35〜40%のパワー効率の改善と、30〜40%の寿命の増加を生じる(夫々、比較例6と例10との比較または比較例7と例11との比較)。特に、約1Vの駆動電圧の顕著な減少に基づいて、パワー効率の非常に大きな増加が生じる。先行技術によるH2と比べると、本発明による化合物H3の使用により、約20%のパワー効率の改善と20〜30%の寿命の増加が、同様に生じる(夫々、比較例6と例8との比較または比較例7と例9との比較)。
【0170】
表2:燐光OLEDでのホスト材料としての本発明の化合物の使用
【表2−1】

【表2−2】

【0171】
表3:使用される材料の構造
【表3−1】

【表3−2】

【表3−3】

【表3−4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物。
【化1】

(式中:使用される記号と添え字は以下の意味を有する:
Wは、出現毎に同一であるか異なり、NもしくはCRであり;
Yは、出現毎に同一であるか異なり、NもしくはCRであり;
Eは、単共有結合またはN(R)、C(R、Si(R、C=O、C=NR、C=C(R、S、S=O、SO、P(R)およびP(=O)Rより成る基から選ばれる二価単位であり;
Xは、出現毎に同一であるか異なり、C(R、N(R)、Si(R、C=O、C=NR、C=C(R、S、O、S=O、SO、P(R)およびP(=O)Rから選ばれる二価単位であり、ただし、Eが単共有結合ならば、Xは、C(R、Si(R、C=O、C=NR、C=C(R、S、O、S=O、SO、P(R)およびP(=O)Rより成る基から選ばれる二価単位であり;
n、mは、互いに独立して、0または1であり、ただし、nとmの合計は1または2であり、
Arは、1以上の基R4aで置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有する二価または三価、モノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族単位であり;
Arは、1以上の基R4bで置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有するモノあるいはポリ環状複素環式芳香族基であり;
Lは、単共有結合であるか、または-C(O)-、-Ar-C(O)-および-Ar-より成る基から選ばれる二価単位であり、二価単位が-Ar-C(O)-である場合は、基Arは、Nに結合し、およびC(O)は基Arに結合する;
Arは、1以上の基R4aもしくはR4bで置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有する二価の、モノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族単位であり;
、Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(Ar、C(=O)Ar、P(=O)(Ar)、S(=O)Ar、S(=O)Ar、CN、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、各場合に、1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、C=O、C=S、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SもしくはCONRで置き代えられてよく、また、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNOで置き代えられてよい。)、または各場合に1以上の基Rにより置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有するモノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または1以上の基Rにより置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、またはこれらの構造の組み合わせより成る基から選ばれ;ここで、加えて、2個以上の隣接する置換基Rおよび/またはRは、単共有結合または二価基Zを介して互いに結合してよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(Ar、C(=O)Ar、P(=O)(Ar)、S(=O)Ar、S(=O)Ar、CR=CRAr、CN、NO、Si(R、B(OR、OSO、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、各場合に、1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SもしくはCONRで置き代えられてよく、また、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNOで置き代えられてよい。)、または各場合に1以上の基Rにより置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有するモノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または1以上の基Rにより置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、またはこれらの構造の組み合わせより成る基から選ばれ;ここで、加えて、2個以上の隣接する置換基Rは、単共有結合または二価基Zを介して互いに結合してよく;
4a、R4bは、出現毎に同一であるか異なり、D、F、Cl、Br、I、N(Ar、C(=O)Ar、P(=O)(Ar)、S(=O)Ar、S(=O)Ar、CN、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、各場合に、1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、C=O、C=S、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SもしくはCONRで置き代えられてよく、また、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNOで置き代えられてよい。)、または各場合に1以上の基Rにより置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有するモノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または1以上の基Rにより置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、またはこれらの構造の組み合わせより成る基から選ばれ;ここで、加えて、2個以上の隣接する置換基R4aまたはR4bは、単共有結合または二価基Zを介して互いに結合してよく;
Arは、各場合に、1以上の基Rで置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有するモノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキル基、または3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(1以上の隣接しないCH基は、NH、-O-または-Sで置き代えられてよく、また、1以上のH原子はFで置き代えられてよい。)、または各場合に1以上の基Rにより置換されてよい5〜20個の芳香族環原子を有するモノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であって;ここで、加えて、2個以上の置換基Rは、単共有結合または二価基Zを介して互いに結合してよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキル基、または3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(1以上の隣接しないCH基は、NH、-O-または-Sで置き代えられてよく、また、1以上のH原子はFで置き代えられてよい。)であって;ここで、加えて、2個以上の置換基Rは、単共有結合または二価基Zを介して互いに結合してよく;
Zは、二価基-(CH-であって、qは、1、2、3、4または5、好ましくは、1、2、3または4、より好ましくは、1、2または3、もっとも好ましくは、1または2である。)
【請求項2】
Yは、出現毎に同一であるか異なり、CRであり、Wは、出現毎に同一であるか異なり、CRであることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Eは、単共有結合またはN(R)、C(R、OおよびSから選ばれる二価単位であることを特徴とする、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
Xは、出現毎に同一であるか異なり、C(R、SおよびOから選ばれる二価単位であることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項記載の化合物。
【請求項5】
Arは、1以上の基R4aで置換されてよい5〜10個の芳香族環原子を有する二価もしくは三価の、モノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり、好ましくは、夫々、1以上の基R4aで置換されてよいフェニレンまたはナフチレンであることを特徴とする、請求項1〜4何れか1項記載の化合物。
【請求項6】
Arは、1以上の基R4aで置換されてよい5〜10個の芳香族環原子を有する二価またはは三価の、モノあるいはポリ環状複素環式芳香族環構造を表すことを特徴とする、請求項1乃至5何れか1項記載の化合物。
【請求項7】
Arは、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、1,2,4-トリアジン、1,3,5-トリアジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、オキサゾールまたはベンゾオキサゾールより成る基から選ばれ、夫々は、基R4bで置換されてよいことを特徴とする、請求項1乃至6何れか1項記載の化合物。
【請求項8】
Lは、単共有結合であるかまたは二価単位-Ar-であり、ここでArは、好ましくは、1以上の基R4aもしくはR4bで置換されてよい5〜10個の芳香族環原子を有する二価のモノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を表すことを特徴とする、請求項1乃至7何れか1項記載の化合物。
【請求項9】
添え字の合計はn+m=1であることを特徴とする、請求項1乃至8何れか1項記載の化合物。
【請求項10】
以下の工程を含むことを特徴とする、請求項1〜9何れか1項記載の化合物の調製方法。
a)ベンゼン誘導体へのカルバゾール誘導体もしくはフルオレン誘導体のカップリング、および
b)Arの導入のためのカルバゾール窒素のアリール化。
【請求項11】
請求項1〜9何れか1項記載の一以上の化合物を含むポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーであって、上記定義される化合物の一以上の基もしくはH原子は、ポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーへの結合を表す、ポリマー、オリゴマーまたはデンドリマー。
【請求項12】
電子素子における請求項1〜9何れか1項記載の化合物または請求項11記載のポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーの使用。
【請求項13】
少なくとも一つの請求項1〜9何れか1項記載の化合物または請求項11記載のポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーを含む電子素子であって、電子素子は、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機集積回路(O-IC)、有機太陽電池(O-SC)、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電子化学電池(LEC)、有機光受容器もしく有機レーザーダイオード(O-laser)より成る群から選ばれることを特徴とする、有機電子素子。
【請求項14】
請求項1〜9何れか1項記載の化合物または請求項11記載のポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーが、発光層中での燐光ドーパントのためのマトリクス材料として、および/または電子輸送層中での電子輸送材料として、および/または正孔輸送層中での正孔輸送材料として、および/または正孔障壁層中での正孔障壁材料として使用されることを特徴とする、請求項13記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項15】
請求項1〜9何れか1項記載の一以上の化合物および/または請求項11記載の一以上のポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーと一以上の発光、好ましくは、燐光発光化合物との混合物。
【請求項16】
請求項1〜9何れか1項記載の少なくとも一つの化合物および/または請求項15記載ポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーと少なくとも一つの有機溶媒を含む処方。

【公表番号】特表2012−531383(P2012−531383A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516542(P2012−516542)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【国際出願番号】PCT/EP2010/003324
【国際公開番号】WO2011/000455
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】