説明

有機廃棄物処理装置

【課題】残渣の発生量を低減するとともにメタン化効率を向上させ、更には無機物や金属をも回収可能な有機廃棄物処理装置を提供する。
【解決手段】有機廃棄物処理装置1は、固形有機廃棄物SWを発酵させてメタン及び硫化水素を含むバイオガスを発生させる発酵槽10と、バイオガスに含まれる硫化水素から硫酸を得る生物脱硫装置20と、発酵槽10で生じた固形有機廃棄物SWの残渣を生物脱硫装置20で得られた硫酸で分解して発酵槽10に返送するメタル溶解槽40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機廃棄物処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生活環境の保全及び資源の有効利用の観点から、各種の廃棄物を処理して利用可能な資源を回収する試みが盛んに行われている。廃棄物の一種である有機廃棄物は、少ないエネルギーで処理が可能である、有害な物質が発生しにくい等の理由から、微生物を用いた処理(生物処理)が行われることが多い。例えば、ビールや食品等の溶解性のある有機廃棄物は、微生物を用いて分解した後にメタン発酵させて資源としてのメタン(CH)を回収する処理が行われている。近年においては、以上の溶解性のある有機廃棄物以外に、家畜排泄物、汚泥、食品加工残渣、生ゴミ等の固形の有機廃棄物(Solid Waste)を生物処理してメタンを回収する技術も提案されている。
【0003】
固形の有機廃棄物の処理では、その有機廃棄物の性状に応じた処理方法や処理装置が用いられる。例えば、固形分の含有量が25%以上である有機廃棄物に対してはメタン発酵しつつコンポスト化する処理方法が用いられ、固形分の含有量が55%以上である有機廃棄物に対しては活性汚泥と混合して固形成分の含有量を10%に低下させて処理を行う処理方法が用いられる。また、固形の有機廃棄物を処理する処理装置は、1つの発酵槽を備えるものが多いが、有機廃棄物の性状に応じて複数の発酵槽を備えるものも提案されている。
【0004】
以下の非特許文献1には、有機廃棄物の性状に応じて発酵槽を2槽にすると、全体の処理速度が向上する点が開示されている。また、以下の特許文献1には、家畜排泄物等の有機性残留物をメタン発酵させてメタンを回収する廃液処理装置において、メタン発酵処理した後に残留するメタン発酵消化液の廃液処理でリンの回収再利用を可能にする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−66499号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】V. Nallathambi Gunaseelan,“Anaerobic digestion of biomass for methane production: A review”,Biomass and Bioenergy,March 1997,Vol 13,Issue 1/2,p.83-114
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した特許文献1や非特許文献1等に開示された従来技術を用いて固体の有機性廃棄物を処理する場合には、有機性廃棄物に含有される固形分のうちの約50%の固形分しか分解することができず、大量の残渣が発生してしまう。また、分解された固形分をメタン発酵させる場合には、分解された固形分の約半分がメタンガスになるため、有機性廃棄物の最終的なメタン化効率は25%に留まる。このように、従来は大量の残渣が発生するとともにメタン化効率が悪いという問題がある。
【0008】
ここで、以上の処理によって発生した残渣は、産業廃棄物として処分される場合が多く、処分のためのコストがかかってしまうという問題がある。また、発生した残渣は、土壌改良材として利用される場合もあるが、輸送費等のコストがかかってしまうという問題がある。尚、上述した非特許文献1には、例えば海藻を原料とした場合には、海藻が海水中の重金属を吸着しているため、残渣に重金属が残留して土壌改良材として用いることができない点も開示されている。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、残渣の発生量を低減するとともにメタン化効率を向上させ、更には無機物や金属をも回収可能な有機廃棄物処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の有機廃棄物処理装置は、有機廃棄物(SW)を処理してメタン(G)を生成する有機廃棄物処理装置(1、2)において、前記有機廃棄物を発酵させてメタン及び硫化水素を含むバイオガスを発生させる発酵槽(10)と、前記バイオガスに含まれる硫化水素から硫酸を得る脱硫装置(20)と、前記発酵槽で生じた前記有機廃棄物の残渣を前記脱硫装置で得られた硫酸で分解して前記発酵槽に返送する分解槽(40)とを備えることを特徴としている。
また、本発明の有機廃棄物処理装置は、前記発酵槽が、前記有機廃棄物を加水分解する可溶化槽(11)と、前記可溶化槽で加水分解された前記有機廃棄物をメタン発酵させるメタン発酵槽(12)とからなることを特徴としている。
また、本発明の有機廃棄物処理装置は、前記脱硫装置が、硫黄酸化細菌を利用して前記硫化水素を酸化させる生物脱硫装置を備えることを特徴としている。
また、本発明の有機廃棄物処理装置は、前記脱硫装置が、前記生物脱硫装置で生成される硫黄を酸化して前記硫酸を生成する硫黄酸化装置(21)を備えることを特徴としている。
また、本発明の有機廃棄物処理装置は、前記発酵槽で処理された処理液の固液分離を行って、リン及び窒素の少なくとも一方を含む無機塩類を回収する回収装置(30)を備えることを特徴としている。
また、本発明の有機廃棄物処理装置は、前記分解槽で処理された処理液の固液分離を行って、前記脱硫装置で得られた硫酸を前記発酵槽で生じた前記有機廃棄物の残渣に作用させることによって前記処理液に溶出した金属成分を回収する金属回収装置(50)を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、有機廃棄物を発酵槽で発酵させてメタン及び硫化水素を含むバイオガスを発生させ、バイオガスに含まれる硫化水素から硫酸を生成し、発酵槽で生じた有機廃棄物の残渣を生成した硫酸で分解して発酵槽に返送している。これにより、発酵槽で生じた有機廃棄物に対する発酵処理が繰り返し行われることになるため、残渣の発生量を低減するとともにメタン化効率を向上させることができるという効果がある。また、回収装置や金属回収装置を備えているため、無機物や金属の回収も可能であるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態による有機廃棄物処理装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2実施形態による有機廃棄物処理装置の要部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態による有機廃棄物処理装置について詳細に説明する。
【0014】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態による有機廃棄物処理装置の要部構成を示すブロック図である。図1に示す通り、本実施形態の有機廃棄物処理装置1は、発酵槽10、生物脱硫装置20(脱硫装置)、固液分離装置30(回収装置)、メタル溶解槽40(分解槽)、及び固液分離装置50(金属回収装置)を備えており、外部から供給される固形有機廃棄物SW(有機廃棄物)を処理してメタンガスG(メタン)を生成する。ここで、固形有機廃棄物SWは、家畜排泄物、汚泥、食品加工残渣、生ゴミ等の固形の有機廃棄物である。
【0015】
発酵槽10は、可溶化槽11とメタン発酵槽12とからなり、固形有機廃棄物SWを発酵させてメタン及び硫化水素を含むバイオガスを発生させる。可溶化槽11は、可溶化能力の高い微生物(加水分解細菌)と硫酸(HSO)を還元する能力を有する微生物(硫酸還元細菌)とを含む汚泥を内部に収容し、外部から供給される固形有機廃棄物SW及び残渣(固液分離装置50を介して返送される固形有機廃棄物SWの残渣)の加水分解処理を行う。
【0016】
可溶化槽11に供給される固形有機廃棄物SW等は、汚泥に含まれる微生物(加水分解細菌)が有する酵素、或いは微生物に誘導された酵素が触媒として作用することによって、分解反応が促進される。このとき、硫酸成分は、汚泥に含まれる微生物(硫酸還元細菌)により硫化水素(HS)に還元される。このような生物処理が行われることにより、可溶化槽11からは、硫化水素、二酸化炭素(CO)、及び水素(H)等を含むガスG1が排出される。尚、可溶化槽11には、収容された汚泥や固形有機廃棄物SWを攪拌する攪拌装置が設けられている。
【0017】
メタン発酵槽12は、酸生成菌やメタン生成菌等の嫌気性微生物を含む汚泥を内部に収容し、ポンプ等によって可溶化槽11から送られてきた固形有機廃棄物SWを含む処理液を、嫌気性条件下でメタン発酵させる。固形有機廃棄物SWがメタン発酵されることにより、メタン発酵槽12からはメタン及び二酸化炭素等を含むガスG2が排出される。よって、発酵装置10からは、ガスG1に含まれる硫化水素及びガスG2に含まれるメタン等を含むバイオガスが排出されることになる。尚、可溶化槽11と同様に、メタン発酵槽12にも、固形有機廃棄物SWを含む処理液を攪拌する攪拌装置が設けられている。
【0018】
生物脱硫装置20は、発酵槽10から排出されるバイオガスに含まれる硫化水素を除去してメタンガスGを排出するとともに、除去した硫化水素から硫酸を得る装置である。具体的に、生物脱硫装置20は、内部に硫黄酸化細菌を収容しており、この硫黄酸化細菌を利用して硫化水素を酸化させることにより硫酸を得る。ここで、上記のバイオガスにアンモニア(NH)が含まれる場合には、硝化細菌による酸化によって、硫酸に加えて硝酸(HNO)が得られる。尚、生物脱硫装置20から排出されるメタンガスGは、例えば資源としてそのまま回収され、或いは、ガスタービン等を用いて電気エネルギーに変換されて回収される。
【0019】
固液分離装置30は、メタン発酵槽12でメタン発酵された後の処理液を、固体成分と液体成分とに分離する。固液分離装置30によって分離された固体成分は、固形有機廃棄物SWの残渣を主成分とするものである。他方、固液分離装置30によって分離された液体成分には、リン(P)及び窒素(N)の少なくとも一方を含む無機塩類等が含有される。このため、固液分離装置30は、リン等の無機塩類を回収する回収装置ということができる。リン、窒素、リン酸(HPO)等の無機塩類は、植物の肥料として用いられるため、固液分離装置30で分離された液体成分は、例えば藻類を培養する藻類培養槽等に導かれて有効活用される。
【0020】
メタル溶解槽40は、固液分離装置30で分離された固体成分と、生物脱硫装置20で生成された硫酸(加えて、硝酸)とが供給され、固形有機廃棄物SWの残渣を主成分とする固体成分を生物脱硫装置20で生成された硫酸等で分解する。また、メタル溶解槽40は、生物脱硫装置20からの硫酸等を用いて、固体成分に含まれるレアメタル等の金属成分を処理液に溶解させる。ここで、金属成分を処理液に溶解させるには、硫酸に加えて硝酸が生物脱硫装置20から供給される方が好ましい。尚、メタル溶解槽40にも、処理液を攪拌する攪拌装置が設けられている。
【0021】
固液分離装置50は、メタル溶解槽40で処理された処理液を、固体成分SW1と液体成分W1とに分離する。固液分離装置50で分離された固体成分SW1は、硫酸等によって分解が進んだ固形有機廃棄物SWの残渣を主成分とするものであり、再び発酵槽10で処理するために可溶化槽11に返送される。他方、固液分離装置50によって分離された液体成分には、レアメタル等の金属成分が含有されている。このため、固液分離装置50は、レアメタル等の金属成分を回収する金属回収装置ということができる。この固液分離装置50で分離された液体成分に含まれる金属成分は、金属資源として再利用される。
【0022】
次に、上記構成における有機廃棄物処理装置1で行われる処理について説明する。まず、処理対象である固形有機廃棄物SWに対して粉砕や水分調整等の前処理を行い、前処理を行った固形有機廃棄物SWを可溶化槽11に供給する。可溶化槽11に供給された固形有機廃棄物SWは、攪拌装置により攪拌されながら微生物による生物処理が行われて加水分解される。このとき、硫酸成分は、汚泥に含まれる微生物(硫酸還元細菌)により硫化水素に還元される。有機物の一部は酸生成菌によって、有機酸と二酸化炭素(CO)及び水素(H)に分解される。このため、可溶化槽11からは、硫化水素、二酸化炭素(CO)、及び水素(H)等を含むガスG1が排出される。
【0023】
可溶化槽11で処理された処理液はメタン発酵槽12に導入され、攪拌装置により攪拌されながら、固形有機廃棄物SWを含む処理液のメタン発酵が嫌気性条件下で行われる。有機物の一部は酸生成菌によって、有機酸と二酸化炭素(CO)および水素(H)に分解される。この有機酸、二酸化炭素、水素を使ってメタン生成菌はメタンを生成する。このようなメタン発酵が行われることにより、メタン発酵槽12からはメタン及び二酸化炭素等を含むガスG2が排出される。可溶化槽11から排出されるガスG1及びメタン発酵槽12から排出されるガスG2からなるバイオガスは、生物脱硫装置20に導かれる。
【0024】
バイオガスが生物脱硫装置20に導かれると、バイオガスに含まれる硫化水素を除去する処理が行われ、生物脱硫装置20からはメタンガスGとして排出される。このメタンガスGは、例えば資源としてそのまま回収され、或いは、ガスタービン等を用いて電気エネルギーに変換されて回収される。他方、バイオガスから除去された硫化水素は硫黄酸化細菌により酸化され、これにより硫酸が生成される。尚、上記のバイオガスにアンモニアが含まれる場合には、硝化細菌による酸化によって、硫酸に加えて硝酸が生成される。
【0025】
メタン発酵槽12でメタン発酵された後の処理液は、固液分離装置30において、固形有機廃棄物SWの残渣を主成分とする固体成分と、リン及び窒素の少なくとも一方を含む無機塩類等が含有される液体成分とに分離される。分離された固体成分は、メタル溶解槽40に導かれる。これに対し、分離された液体成分は例えば藻類を培養する藻類培養槽等に導かれる。
【0026】
固液分離装置30で分離された固体成分がメタル溶解槽40に導かれると、生物脱硫装置20から供給される硫酸が混合される。そして、攪拌装置により攪拌されながら、メタル溶解槽40内において、固形有機廃棄物SWの残渣を主成分とする固体成分の分解が進むとともに、固体成分に含まれるレアメタル等の金属成分が処理液に溶解する。尚、生物脱硫装置20から硫酸に加えて硝酸が供給されると、金属成分の溶解が促進される。
【0027】
メタル溶解槽40で処理された処理液は、固液分離装置50において、硫酸等によって分解が進んだ固形有機廃棄物SWの残渣を主成分とする固体成分SW1と、レアメタル等の金属成分が含有されている液体成分W1とに分離される。分離された固体成分SW1は、可溶化槽11に返送されて再び加水分解処理及びメタン発酵処理が順に行われる。他方、分離された液体成分に含まれる金属成分は、金属資源として再利用される。
【0028】
以上説明した通り、本実施形態では、固形有機廃棄物SWを発酵槽10で発酵させてメタン及び硫化水素を含むバイオガスを発生させ、生物脱硫装置20でバイオガスに含まれる硫化水素から硫酸を生成し、発酵槽10で生じた固形有機廃棄物SWの残渣を生物脱硫装置20で生成された硫酸で分解して発酵槽10に返送している。これにより、発酵槽10で生じた固形有機廃棄物SWに対する発酵処理が繰り返し行われることになるため、残渣の発生量を低減するとともにメタン化効率を向上させることができる。例えば、固形有機廃棄物SWの分解率を75%程度に向上させることができる。
【0029】
また、固形有機廃棄物SWの残渣を分解するために用いる硫酸は、発酵槽10から発生されるバイオガスに含まれる硫化水素を用いて生成しており、新たに硫酸を投入する必要がないことから、コスト上昇を招くことはない。また、本実施形態では、固液分離装置30,50でリン等の無機物やレアメタル等の金属の回収も可能であり、多くの資源の回収を効率的に行うことができる。
【0030】
〔第2実施形態〕
図2は、本発明の第2実施形態による有機廃棄物処理装置の要部構成を示すブロック図である。図2に示す通り、本実施形態の有機廃棄物処理装置2は、図1に示す有機廃棄物処理装置1に対して硫黄酸化装置21を追加した構成である。ここで、硫黄酸化装置21は、硫黄(S)を化学反応(酸化)させることによって硫酸を生成する装置である。
【0031】
図1に示す有機廃棄物処理装置1は、生物脱硫装置20を用いて硫化水素から硫酸を得ていたが、固液分離装置30で分離された固体成分に含まれる金属成分を溶解させるために十分な濃度の硫酸が得られないことも考えられる。そこで、本実施形態では、生物脱硫装置20を用いて硫化水素から硫黄を生成し、生成された硫黄を硫黄酸化装置21で化学反応によって酸化することにより、十分な濃度の硫酸を得ようとするものである。
【0032】
生物脱硫装置20で硫化水素から硫黄を生成するためには、以下の文献で報告されている通り、バイオマス(硫黄酸化細菌)当りの硫化水素のロード量を一定量以上(例えば、30mg−S/mg−N・h以上)にすれば良い。
Cees J.N. Buisman et al.,“Kinetic parameters of a mixed culture oxidizing sulfide and sulfur with oxygen”,Biotechnology and Bioengineering,1991,Vol 38,p.813-820
【0033】
硫化水素のロード量を上記の一定量以上にすれば、生物脱硫装置20に硫黄が蓄積される。このため、蓄積された硫黄を取り出して硫黄酸化装置21で酸化させることにより、固液分離装置30で分離された固体成分に含まれる金属成分を溶解させ得る十分な濃度の硫酸を生成することができる。ここで、本実施形態の有機廃棄物処理装置2は、硫酸の生成方法が異なるだけであり、固形有機廃棄物SWの可溶化処理、メタン発酵処理、残渣の返送処理等は、図1に示す有機廃棄物処理装置1と同様に行われる。
【0034】
このため、本実施形態においても、発酵槽10で生じた固形有機廃棄物SWに対する発酵処理が繰り返し行われることになるため、残渣の発生量を低減するとともにメタン化効率を向上させることができる。また、固形有機廃棄物SWの残渣を分解するために用いる硫酸は、発酵槽10から発生されるバイオガスに含まれる硫化水素を用いて生成しており、新たに硫酸を投入する必要がないことから、コスト上昇を招くことはない。また、本実施形態では、固液分離装置30,50でリン等の無機物やレアメタル等の金属の回収も可能であり、多くの資源の回収を効率的に行うことができる。
【0035】
以上、本発明の実施形態による有機廃棄物処理装置について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、発酵槽10とメタル溶解槽40との間に固液分離装置30を備える構成を例に挙げて説明したが、リン等の無機物を回収する必要がなければ省略しても良い。また、固液分離装置50は、メタル溶解槽40と別体にされていても良く、一体化されていても良い。
【符号の説明】
【0036】
1,2 有機廃棄物処理装置
10 発酵槽
11 可溶化槽
12 メタン発酵槽
20 生物脱硫装置(脱硫装置)
21 硫黄酸化装置
30 固液分離装置(回収装置)
40 メタル溶解槽(分解槽)
50 固液分離装置(金属回収装置)
G メタンガス(メタン)
SW 固形有機廃棄物(有機廃棄物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機廃棄物を処理してメタンを生成する有機廃棄物処理装置において、
前記有機廃棄物を発酵させてメタン及び硫化水素を含むバイオガスを発生させる発酵槽と、
前記バイオガスに含まれる硫化水素から硫酸を得る脱硫装置と、
前記発酵槽で生じた前記有機廃棄物の残渣を前記脱硫装置で得られた硫酸で分解して前記発酵槽に返送する分解槽と
を備えることを特徴とする有機廃棄物処理装置。
【請求項2】
前記発酵槽は、前記有機廃棄物を加水分解する可溶化槽と、
前記可溶化槽で加水分解された前記有機廃棄物をメタン発酵させるメタン発酵槽と
からなることを特徴とする請求項1記載の有機廃棄物処理装置。
【請求項3】
前記脱硫装置は、硫黄酸化細菌を利用して前記硫化水素を酸化させる生物脱硫装置を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の有機廃棄物処理装置。
【請求項4】
前記脱硫装置は、前記生物脱硫装置で生成される硫黄を酸化して前記硫酸を生成する硫黄酸化装置を備えることを特徴とする請求項3記載の有機廃棄物処理装置。
【請求項5】
前記発酵槽で処理された処理液の固液分離を行って、リン及び窒素の少なくとも一方を含む無機塩類を回収する回収装置を備えることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の有機廃棄物処理装置。
【請求項6】
前記分解槽で処理された処理液の固液分離を行って、前記脱硫装置で得られた硫酸を前記発酵槽で生じた前記有機廃棄物の残渣に作用させることによって前記処理液に溶出した金属成分を回収する金属回収装置を備えることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の有機廃棄物処理装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−115812(P2012−115812A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270581(P2010−270581)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】