有機EL装置
【課題】MPE構造を最適化し、低コスト化、高電力効率化を実現した薄型MPE構造の有機EL装置を提供する。
【解決手段】光透過可能な基板10と、基板10上に配置された光透過可能な第1電極層12と、第1電極層12上に積層して配置され、有機発光層16を中心に正孔輸送層14および電子輸送層18からなる3つ以上の複数の発光ユニットU3R・U2G・U1Bと、発光ユニットU3R・U2G・U1B間に介在して配置された複数の電荷発生層221・222と、複数の発光ユニットU3R・U2G・U1Bの内、積層方向の最上部の発光ユニットU1B上に配置された第2電極層20とを備え、第1電極層12と第2電極層20間に挟まれた層の総厚Ltが360nm以下である。
【解決手段】光透過可能な基板10と、基板10上に配置された光透過可能な第1電極層12と、第1電極層12上に積層して配置され、有機発光層16を中心に正孔輸送層14および電子輸送層18からなる3つ以上の複数の発光ユニットU3R・U2G・U1Bと、発光ユニットU3R・U2G・U1B間に介在して配置された複数の電荷発生層221・222と、複数の発光ユニットU3R・U2G・U1Bの内、積層方向の最上部の発光ユニットU1B上に配置された第2電極層20とを備え、第1電極層12と第2電極層20間に挟まれた層の総厚Ltが360nm以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL装置に関し、特に、薄型MPE構造の有機EL装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機EL(EL:Electroluminescence)素子を用いて、FPD(Flat Panel Display)のような表示装置や照明灯のような照明装置などの有機発光装置が実用化に向けて開発が進められている。この有機EL素子では、一対の対向する電極間に有機発光層を含む有機EL層を挟み、その電極間に電圧を印加し、有機EL層に電流を流して発光させる。最近では、高輝度を得るために、複数の有機EL層を電荷発生層を介して積層させる、マルチフォトンエミッション(Multi Photon Emission;MPE)といわれる構造のものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−045676号公報
【特許文献2】特開2007−281454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有機EL装置を照明に用いる場合、輝度・寿命の向上のためには、MPE構造が適している。MPE構造では、有機層が厚く形成されるため、その分高コストになる。これは、1ユニット構造で最適化し、さらに各ユニットを積層化して膜厚を微調整するためである。当然のことながら、シミュレーション結果も活用されるが、基本的な設計思想として、1ユニット構造での最適化がある。
【0005】
したがって、従来のMPE構造の有機EL装置においては、量産効果による材料費の削減によって、低コスト化が図られていた。
【0006】
本発明の目的は、MPE構造を最適化し、低コスト化、高電力効率化を実現した薄型MPE構造の有機EL装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の一態様によれば、光透過可能な基板と、前記基板上に配置された光透過可能な第1電極層と、前記第1電極層上に積層して配置され、有機発光層を中心に正孔輸送層および電子輸送層からなる3つ以上の複数の発光ユニットと、前記発光ユニット間に介在して配置された複数の電荷発生層と、前記複数の発光ユニットの内、積層方向の最上部に配設された前記発光ユニット上に配置された第2電極層とを備え、前記第1電極層と前記第2電極層間に挟まれた層の総厚が360nm以下である有機EL装置が提供される。
【0008】
本発明の他の態様によれば、基板と、前記基板上に配置された第2電極層と、前記第2電極層上に積層して配置され、有機発光層を中心に正孔輸送層および電子輸送層からなる3つ以上の複数の発光ユニットと、前記発光ユニット間に介在して配置された複数の電荷発生層と、前記複数の発光ユニットの内、積層方向の最上部に配設された前記発光ユニット上に配置された光透過可能な第1電極層とを備え、前記第1電極層と前記第2電極層間に挟まれた層の総厚が360nm以下である有機EL装置が提供される。
【0009】
本発明の他の態様によれば、光透過可能な基板と、前記基板上に配置された光透過可能な第1電極層と、前記第1電極層上に積層して配置され、有機発光層を中心に正孔輸送層および電子輸送層からなる第1発光ユニットおよび第2発光ユニットと、前記第1発光ユニットと前記第2発光ユニットの間に介在して配置された電荷発生層と、積層方向の最上部の前記第1発光ユニット上に配置された第2電極層とを備え、前記第2電極層に隣接する第1発光ユニットの第1有機発光層の中心が、前記第2電極層から測った距離は30nm〜90nmであり、前記第1発光ユニットに隣接する第2発光ユニットの第2有機発光層の中心が、前記第2電極層から測った距離は195nm〜255nmである有機EL装置が提供される。
【0010】
本発明の他の態様によれば、基板と、前記基板上に配置された第2電極層と、前記第2電極層上に積層して配置され、有機発光層を中心に正孔輸送層および電子輸送層からなる第1発光ユニットおよび第2発光ユニットと、前記第1発光ユニットと前記第2発光ユニットの間に介在して配置された電荷発生層と、積層方向の最上部の前記第2発光ユニット上に配置された光透過可能な第1電極層とを備え、前記第1電極層に隣接する第2発光ユニットの第2有機発光層の中心が、前記第2電極層から測った距離は195nm〜255nmであり、前記第2発光ユニットに隣接する第1発光ユニットの第1有機発光層の中心が、前記第2電極層から測った距離は30nm〜90nmである有機EL装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、MPE構造を最適化し、低コスト化、高電力効率化を実現した薄型MPE構造の有機EL装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置の模式的断面構造図。
【図2】比較例に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図3】第2の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置の模式的断面構造図。
【図4】第3の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置の模式的断面構造図。
【図5】第4の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置の模式的断面構造図。
【図6】第1の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置の動作原理を説明する模式的断面構造図。
【図7】第1の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、青色発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図8】第1の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、緑黄色発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図9】第1の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、赤色発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図10】比較例に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図11】比較例に係る有機EL装置において、各色の全光束を最大にする発光位置を説明する模式的断面構造図。
【図12】比較例に係る有機EL装置において、青色発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図13】比較例に係る有機EL装置において、緑黄色発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図14】比較例に係る有機EL装置において、赤色発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図15】第3の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、各色の全光束を最大にする発光位置を説明する模式的断面構造図。
【図16】第3の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、青色発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図17】第3の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、緑黄色発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図18】第3の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、赤色発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図19】第4の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、各色の全光束を最大にする発光位置を説明する模式的断面構造図。
【図20】第4の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、青色発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図21】第4の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、緑黄色発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図22】第4の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、赤色発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図23】実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、発光色の組み合わせと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図24】第5の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、各色の全光束を最大にする発光位置を説明する模式的断面構造図。
【図25】第5の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、(a)第3発光ユニットU3がダブル発光層を有する例を説明する模式的断面構造図、(b)別のダブル発光層を有する例を説明する模式的断面構造図。
【図26】第5の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、青色発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図27】第5の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、緑黄色発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図28】第5の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、赤色発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図29】第6の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置の模式的断面構造図。
【図30】第7の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置の模式的断面構造図。
【図31】第7の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、発光色の組み合わせの関係を示す図。
【図32】第7の実施の形態の変形例1に係る薄型MPE構造の有機EL装置の模式的断面構造図。
【図33】第7の実施の形態の変形例1に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、発光色の組み合わせの関係を示す図。
【図34】第7の実施の形態の変形例2に係る薄型MPE構造の有機EL装置の模式的断面構造図。
【図35】第7の実施の形態の具体例1に係る薄型MPE構造の有機EL装置の模式的断面構造図。
【図36】第7の実施の形態の具体例2に係る薄型MPE構造の有機EL装置の模式的断面構造図。
【図37】第7の実施の形態の具体例3に係る薄型MPE構造の有機EL装置の模式的断面構造図。
【図38】第7の実施の形態の具体例4に係る薄型MPE構造の有機EL装置の模式的断面構造図。
【図39】第8の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置の模式的断面構造図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0014】
又、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0015】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1の模式的断面構造は、図1に示すように表される。第1の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1は、ボトムエミッション型に対応する。
【0016】
比較例に係る有機EL装置の模式的断面構造は、図2に示すように表される。比較例に係る有機EL装置のMPE構造では、第1電極層12と第2電極層20との間の層の総厚が厚く形成される。これは、1ユニット構造で最適化し、さらに各ユニットを積層化して膜厚を微調整するためである。
【0017】
比較例に係る有機EL装置は、通常、1ユニットあたり厚さLは、120nm〜200nmで最適化されているため、3段MPEの場合、総厚は360nm〜600nmになる。
【0018】
一方、第1の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1は、図1に示すように、光透過可能な基板10と、基板10上に配置された光透過可能な第1電極層12と、第1電極層12上に積層して配置され、有機発光層(EML:Emission Layer)161〜16nを中心に正孔輸送層(HTL:Hole Transfer Layer)141〜14nおよび電子輸送層(ETL:Electron Transfer Layer)181〜18nからなる3つ以上の複数の発光ユニットU1〜Unと、発光ユニットU1〜Un間に介在して配置された複数の電荷発生層221〜22n-1と、前記複数の発光ユニットU1〜Unの内、積層方向の最上部に配設された発光ユニットU1上に配置された第2電極層20とを備える。ここで、第1電極層12と第2電極層20間に挟まれた層の総厚Ltが、360nm以下である。それぞれの発光ユニットU1〜Unは、有機発光層161〜16nを中心に正孔輸送層141〜14nおよび電子輸送層181〜18nからなる。積層の順序は、例えば、第1電極層12から第2電極層20の方向に向けて、正孔輸送層141〜14n、有機発光層161〜16nおよび電子輸送層181〜18nの順序であっても、或いは電子輸送層181〜18n、有機発光層161〜16nおよび正孔輸送層141〜14nの順序であっても良い。すなわち、第1電極層12と第2電極層20との間に印加するバイアス電圧の極性に応じて適宜積層順序を選択可能である。
【0019】
具体的に、第1の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1は、図1に示すように、光透過可能な基板10と、基板10上に配置された光透過可能な第1電極層12と、第1電極層12上に積層して配置された複数の発光ユニットU3R・U2G・U1Bと、発光ユニットU3R・U2G・U1B間に介在して配置された電荷発生層222・221と、積層方向の最上部の発光ユニットU1B上に配置された第2電極層20とを備える。ここで、第1電極層12と第2電極層20間に挟まれた層の総厚Ltが、360nm以下である。
【0020】
また、第1の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1において、図1に示すように、複数の発光ユニットU3R・U2G・U1Bの内、第2電極層20に隣接する第1発光ユニットU1Bの第1有機発光層161の中心が、第2電極層20から測った距離L1は30nm〜90nmであり、第1発光ユニットU1Bに隣接する第2発光ユニットU2Gの第2有機発光層162の中心が、第2電極層20から測った距離L2は、195nm〜255nmであり、第2発光ユニットU2Gに隣接する第3発光ユニットU3Rの第3有機発光層163の中心が、第2電極層20から測った距離L3は、245nm〜305nmであっても良い。
【0021】
また、第1の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1において、図1に示すように、複数の電荷発生層222・221の内、第1発光ユニットU1Bと第2発光ユニットU2G間に配置された第1電荷発生層221が、第2電極層20から測った距離LG1は、60nm〜225nmであり、第2発光ユニットU2Gと第3発光ユニットU3R間に配置された第2電荷発生層222が、第2電極層20から測った距離LG2は、225nm〜275nmであっても良い。
【0022】
CGL221〜222は、例えば、有機化合物、若しくは単体でアルミニウムよりも低い融点を有する金属からなる無機化合物で形成されている。このCGL221〜22n-1を構成する無機化合物の比抵抗は、例えば、1×102Ω・cm以上、望ましくは、1×105Ω・cm以上である。
【0023】
その無機化合物には、例えば、酸化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物などが含まれる。Alの融点は、約660℃であるが、単体でAlよりも低い融点を有する金属としては、例えば、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、アンチモン(Sb)、亜鉛(Zn)などがある。Ga、In、Sb、Znの融点は、それぞれ約29.8℃、156.4℃、630.7℃、および419.5℃である。
【0024】
また、CGL221〜222は、有機化合物で形成されていても良い。このCGL221〜22n-1を構成する有機化合物の比抵抗は、例えば、1×102Ω・cm以上、望ましくは、1×105Ω・cm以上である。
【0025】
第1の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1は、基板10側から光が発光するように構成されているため、基板10は、光を透過する透明基板が用いられる。基板10の材質としては、例えば、ガラスが挙げられる。厚さは、例えば、約0.1〜1.1mm程度であるのがよい。基板10にポリカーボネートやポリエチレンテレフタレート等の透明な樹脂を用いてフレキシブル性を持たせることも可能である。
【0026】
第1電極層12は、光を透過可能であり、厚さが、例えば、約140〜160nm程度のITO(インジウム−スズ酸化物)等の透明電極からなる。
【0027】
例えば、発光ユニットU1〜U3は、基板10側から、HTL141〜143、EML161〜163およびETL181〜183が順次積層されている。尚、積層の順序は、前述のごとく、バイアス電圧の印加に応じて適宜選択可能である。
【0028】
HTL141〜143は、第1電極層12から注入された正孔を効率良くEML161〜163に輸送するための層であり、例えば、厚さが約60nm程度のNPB(N,N−ジ(ナフタリル)−N,N−ジフェニル−ベンジデン)から形成される。
【0029】
ETL181〜183は、第2電極層20およびCGL221〜222から注入された電子を効率良くEML161〜163に輸送するための層であり、例えば、厚さが約35nm程度のAlq3(アルミニウムキノリノール錯体)から形成される。
【0030】
EML161〜163は、注入された正孔および電子が再結合して発光するための層であり、例えば、発光種であるクマリン化合物(C545T)が約1%程度ドーピングされ、厚さが約30nm程度のAlq3で形成されていても良い。
【0031】
あるいは、EML161〜163の一部の層は、青色の発光種、例えば、DPVBi(4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)−1,1’−ビフェニル)が、例えば、約1%程度ドーピングされた、厚さが、例えば、約30〜50nm程度のAlq3で形成されていても良い。
【0032】
あるいは、EML161〜163の一部の層は、緑色の発光種、例えば、ジメチルキナクリドンが、例えば、約1%程度ドーピングされた、厚さが、例えば、約30〜50nm程度のAlq3で形成されていても良い。
【0033】
あるいは、EML161〜163の一部の層は、赤色の発光種、例えば、ナイルレッドが、例えば、約1%程度ドーピングされた、厚さが、例えば、約30〜50nm程度のAlq3で形成されていても良い。
【0034】
なお、発光ユニットU1〜U3は、上記、HTL141〜143、ETL181〜183以外の層、例えば、正孔注入層(HIL:Hole Injection Layer)、電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)などを用いて構成しても良い。
【0035】
第2電極層20は、例えば、厚さが約150nm程度で、材質が、例えば、アルミニウムからなる。
【0036】
―動作原理―
第1の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1の動作は以下の通りである。
【0037】
まず、薄型MPE構造の有機EL装置1の陽極端子・陰極端子(図示省略)を介して、
第1電極層12および第2電極層20の間に一定の電圧が印加される。これにより、第1電極層12又はCGL221〜222からHTL141〜143を介して、EML161〜163に正孔が注入されるとともに、第2電極層20又はCGL221〜222からETL181〜182を介して、EML161〜162に電子が注入される。そして、EML161〜162に注入された正孔と電子とが再結合することによって、それぞれ青、緑、赤の各色の光を発光する。これらの光が重なり、基板10を介して外部に出射されて、白色光が得られる。
【0038】
第1の実施の形態において、発光ユニットU1〜U3は、HTL141〜143、単色光を発光するEML161〜163、ETL181〜183を含み、発光ユニットU1はHILを含んでもよい。発光ユニットU1〜U3の段数は、複数であれば特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。
【0039】
第1の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1の動作原理を説明する模式的断面構造は、図6に示すように表される。
【0040】
図6において、第1電極層12と第2電極層20の間の厚さLtを一定として、発光位置―陰極間距離Lを変化させた場合、基板10内部に射出される光の総量(全光束φ)は、発光位置―陰極間距離Lに大きく依存し、周期的に変化する。
【0041】
第1の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1において、青色(B)発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図7に示すように表され、緑黄色(G−Y)発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図8に示すように表され、赤色(R)発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図9に示すように表される。図7〜図9から明らかなように、発光色によって、全光束φのピークが得られる発光位置‐陰極間距離Lの値はシフトする。青色発光の場合の全光束φのピークが得られる発光位置‐陰極間距離Lは図7に示すように、約55nm、約220nm、約350nmであり、緑黄色発光の場合の全光束φのピークが得られる発光位置‐陰極間距離Lは、約60nm、約250nm、約400nmである。さらに、赤色発光の場合の全光束φのピークが得られる発光位置‐陰極間距離Lは、約70nm、約270nm、約425nmである。
【0042】
一方、比較例に係る有機EL装置の動作原理を説明する模式的断面構造は、図10に示すように表される。エネルギーギャップが比較的狭い赤色発光ユニットが、よりエネルギーの高い青色発光ユニットからの発光を吸収する可能性を懸念して、よりワイドギャップ(より短波長)の発光材料を前方(発光方向)に配置するとすると、例えば、RGBの場合、図10に示すように、発光ユニットの色の配置が、第2電極層20から第1電極方向にU1R・U2G・U3Bと固定されてしまう。
【0043】
比較例に係る有機EL装置において、各色の全光束を最大にする発光位置を説明する模式的断面構造は、図11に示すように表される。
【0044】
比較例に係る有機EL装置において、青色(B)発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図12に示すように表され、緑黄色(G−Y)発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図13に示すように表され、赤色(R)発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図14に示すように表される。
【0045】
図14に示すように、第2電極層20に隣接する第1発光ユニットU1Rの第1有機発光層161の中心が、第2電極層20から測った距離L1が約70nmにおいて、全光束φのピーク値が得られる。また、図13に示すように、第1発光ユニットU1Rに隣接する第2発光ユニットU2Gの第2有機発光層162の中心が、第2電極層20から測った距離L2が約250nmにおいて、全光束φのピーク値が得られる。また、図12に示すように、第2発光ユニットU2Gに隣接する第3発光ユニットU3Bの第3有機発光層163の中心が、第2電極層20から測った距離L3が約350nmおよび480nmにおいて、全光束φのピーク値が得られる。このように、各色の全光束φを最大にする発光位置は、図12〜図14から決まる。
【0046】
また、比較例に係る有機EL装置においては、第1電極層12と第2電極層20間に挟まれた層の総厚Ltは、すくなくとも350nmを超過する。実際には、正孔輸送層なども考慮すると、総厚Ltは、360nmを超えることは明らかである。
【0047】
第1の実施の形態によれば、MPE構造を最適化し、低コスト化、高電力効率化を実現したボトムエミッション型の薄型MPE構造の有機EL装置を提供することができる。
【0048】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1の模式的断面構造は、図3に示すように表される。第2の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1は、トップエミッション型に対応する。
【0049】
第2の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1は、図3に示すように、基板10と、基板10上に配置された第2電極層20と、第2電極層20上に積層して配置され、有機発光層161〜16nを中心に電子輸送層181〜18nおよび正孔輸送層141〜14nからなる3つ以上の複数の発光ユニットU1〜Unと、発光ユニットU1〜Un間に介在して配置された複数の電荷発生層221〜22n-1と、複数の発光ユニットU1〜Unの内、積層方向の最上部の発光ユニットUn上に配置された光透過可能な第1電極層12とを備える。ここで、第1電極層12と第2電極層20間に挟まれた層の総厚Ltが、360nm以下である。それぞれの発光ユニットU1〜Unは、有機発光層161〜16nを中心に正孔輸送層141〜14nおよび電子輸送層181〜18nからなる。積層の順序は、例えば、第1電極層12から第2電極層20の方向に向けて、正孔輸送層141〜14n、有機発光層161〜16nおよび電子輸送層181〜18nの順序であっても、或いは電子輸送層181〜18n、有機発光層161〜16nおよび正孔輸送層141〜14nの順序であっても良い。すなわち、第1電極層12と第2電極層20との間に印加するバイアス電圧の極性に応じて適宜積層順序を選択可能である。
【0050】
具体的に、第2の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1は、図3に示すように、基板10と、基板10上に配置された第2電極層20と、第2電極層20上に積層して配置された複数の発光ユニットU1B・U2G・U3Rと、発光ユニットU1B・U2G・U3R間に介在して配置された複数の電荷発生層221・222と、積層方向の最上部の発光ユニットU3B上に配置された光透過可能な第1電極層12とを備える。ここで、第1電極層12と第2電極層20間に挟まれた層の総厚Ltが、360nm以下である。
【0051】
また、第2の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1において、複数の発光ユニットU1B・U2G・U3Rの内、第2電極層20に隣接する第1発光ユニットU1Bの第1有機発光層161の中心が、第2電極層20から測った距離L1は、30nm〜90nmであり、第1発光ユニットU1Bに隣接する第2発光ユニットU2Gの第2有機発光層162の中心が、第2電極層20から測った距離L2は、195nm〜255nmであり、第2発光ユニットU2Gに隣接する第3発光ユニットU3Rの第3有機発光層163の中心が、第2電極層20から測った距離L3は、245nm〜305nmであっても良い。
【0052】
また、第2の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1において、複数の電荷発生層221・222の内、第1発光ユニットU1Bと第2発光ユニットU2G間に配置された第1電荷発生層221が、第2電極層20から測った距離L1Gは、60nm〜225nmであり、第2発光ユニットU2Gと第3発光ユニットU3R間に配置された第2電荷発生層222が、第2電極層20から測った距離L2Gは、225nm〜275nmであっても良い。
【0053】
第2の実施の形態によれば、MPE構造を最適化し、低コスト化、高電力効率化を実現したトップエミッション型の薄型MPE構造の有機EL装置を提供することができる。
【0054】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1の模式的断面構造は、図4に示すように、複数の発光ユニットの内、第2電極層20に隣接する第1発光ユニットU1Gの発光波長のピークが500nm〜600nmにあり、第1発光ユニットU1Gに隣接する第2発光ユニットU2Bの発光波長のピークが400nm〜500nmにあり、第2発光ユニットU2Bに隣接する第3発光ユニットU3Rの発光波長のピークが550nm〜700nmにあるように構成されている。その他の構成は、第1の実施の形態若しくは第2の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0055】
第3の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1において、各色の全光束を最大にする発光位置を説明する模式的断面構造は、図15に示すように表される。
【0056】
第3の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1において、青色(B)発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図16に示すように表され、緑黄色(G−Y)発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図17に示すように表され、赤色(R)発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図18に示すように表される。
【0057】
図17に示すように、第2電極層20に隣接する第1発光ユニットU1Gの第1有機発光層161の中心が、第2電極層20から測った距離L1が約60nmにおいて、全光束φのピーク値が得られている。また、図16に示すように、第1発光ユニットU1Gに隣接する第2発光ユニットU2Bの第2有機発光層162の中心が、第2電極層20から測った距離L2が約220nmにおいて、全光束φのピーク値が得られている。また、図18に示すように、第2発光ユニットU2Bに隣接する第3発光ユニットU3Rの第3有機発光層163の中心が、第2電極層20から測った距離L3が約270nmにおいて、全光束φのピーク値が得られている。第2発光ユニットU2BのL2と第3発光ユニットU3RのL3の差Δは50nm程度であるため、このように発光ユニットを分けることができる。
【0058】
また、第3の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1においては、第1電極層12と第2電極層20間に挟まれた層の総厚Ltは、360nm以下にすることができる。
【0059】
第3の実施の形態によれば、MPE構造を最適化し、低コスト化、高電力効率化を実現したボトムエミッション型の薄型MPE構造の有機EL装置を提供することができる。
【0060】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1の模式的断面構造は、図5に示すように、複数の発光ユニットの内、第2電極層20に隣接する第1発光ユニットU1Rの発光波長のピークが550nm〜700nmにあり、第1発光ユニットU1Rに隣接する第2発光ユニットU2Bの発光波長のピークが400nm〜500nmにあり、第2発光ユニットU2Bに隣接する第3発光ユニットU3Gの発光波長のピークが500nm〜600nmにあるように構成されていても良い。その他の構成は、第1の実施の形態若しくは第2の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0061】
第4の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1において、各色の全光束を最大にする発光位置を説明する模式的断面構造は、図19に示すように表される。
【0062】
第4の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1において、青色(B)発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図20に示すように表され、緑黄色(G−Y)発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図21に示すように表され、赤色(R)発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図22に示すように表される。
【0063】
図22に示すように、第2電極層20に隣接する第1発光ユニットU1Rの第1有機発光層161の中心が、第2電極層20から測った距離L1が約70nmにおいて、全光束φのピーク値が得られている。また、図20に示すように、第1発光ユニットU1Rに隣接する第2発光ユニットU2Bの第2有機発光層162の中心が、第2電極層20から測った距離L2が約220nmにおいて、全光束φのピーク値が得られている。また、図21に示すように、第2発光ユニットU2Bに隣接する第3発光ユニットU3Gの第3有機発光層163の中心が、第2電極層20から測った距離L3が約270nmにおいて、全光束φのピークに近い値が得られている。図21に示すように、全光束φのピーク値からは多少ずれるが、距離L2と距離L3の差Δは、50nm程度とることができる。
【0064】
また、第4の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1においては、第1電極層12と第2電極層20間に挟まれた層の総厚Ltは、360nm以下にすることができる。
【0065】
第4の実施の形態によれば、MPE構造を最適化し、低コスト化、高電力効率化を実現したボトムエミッション型の薄型MPE構造の有機EL装置を提供することができる。
【0066】
実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、発光ユニットU1〜U3内における発光色の組み合わせ、およびこれらの組み合わせに対応可能な発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図23に示すようにまとめて表示可能である。図23においては、ダブル発光層を導入した場合も含まれている。例えば、BRは、同じ発光ユニット内で、青色(B)発光層と赤色(R)発光層を積層化した例であり、BGは、同じ発光ユニット内で、青色(B)発光層と緑色(G)発光層を積層化した例であり、GRは、同じ発光ユニット内で、緑色(G)発光層と赤色(R)発光層を積層化した例である。
【0067】
(第5実施の形態)
第5の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1の模式的断面構造は、図24に示すように、複数の発光ユニットの内、第2電極層20に隣接する第1発光ユニットU1Bの発光波長のピークが400nm〜500nmにあり、第1発光ユニットU1Bに隣接する第2発光ユニットU2Bの発光波長のピークが400nm〜500nmにあり、第2発光ユニットU2Bに隣接する第3発光ユニットU3GRのダブル発光波長のピークが500nm〜700nmにあるように構成されていても良い。その他の構成は、第1の実施の形態若しくは第2の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0068】
第5の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1において、各色の全光束を最大にする発光位置を説明する模式的断面構造は、図24に示すように表される。
【0069】
第5の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1においては、第3発光ユニットU3GR内の構成は、図25に示すように、ダブル発光層構造を備えていても良い。ダブル発光層構造の場合は、発光波長の短い発光層が第2電極層20側になることが好ましい。図25では、第1電極層12上に第3発光ユニットU3として赤色(R)発光層を配置し、さらに赤色(R)発光層上に緑色(G)発光層を積層した構成が示されている。また、第1電極層12上に第3発光ユニットU3として赤色発光材料と緑色発光材料が混合された発光層を含んでいても良い。
【0070】
第5の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1において、青色(B)発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図26に示すように表され、緑黄色(G−Y)発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図27に示すように表され、赤色(R)発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図28に示すように表される。
【0071】
図24および図26に示すように、第2電極層20に隣接する第1発光ユニットU1Bの第1有機発光層161の中心が、第2電極層20から測った距離L1Bが約55nmおよび220nmにおいて、全光束φのピーク値が得られている。また、図27に示すように、第1発光ユニットU1Bに隣接する第2発光ユニットU2Bの第2有機発光層162の中心が、第2電極層20から測った距離L2Bが約270nmにおいて、全光束φのピークに近い値が得られている。また、図28に示すように、第2発光ユニットU2Gに隣接する第3発光ユニットU3GRの第3有機発光層163の中心が、第2電極層20から測った距離L3GRが約270nmにおいて、全光束φのピークに近い値が得られている。図26および図27に示すように、全光束φのピーク値からは多少ずれるが、距離L2Bと距離L3GRの差Δは、50nm程度とることができる。
【0072】
また、第5の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1においては、第1電極層12と第2電極層20間に挟まれた層の総厚Ltは、360nm以下にすることができる。
【0073】
第5の実施の形態によれば、MPE構造を最適化し、低コスト化、高電力効率化を実現したボトムエミッション型のダブル発光型の薄型MPE構造の有機EL装置を提供することができる。
【0074】
(第6の実施の形態)
第1〜第5の実施の形態においては、3つ以上の複数の発光ユニットU1〜Unを積層した薄型MPE構造の有機EL装置1について、有機発光層の位置や、電荷発生層の位置を規定しているが、これは、3つ以上の複数の発光ユニットU1〜Unを積層した薄型MPE構造の有機EL装置に限定される技術ではない。
【0075】
第6の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2の模式的断面構造は、図29に示すように、2つの発光ユニットU1・U2を積層した薄型MPE構造の有機EL装置2を規定するものである。第6の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2は、ボトムエミッション型に対応する。
【0076】
第6の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2は、図29に示すように、光透過可能な基板10と、基板10上に配置された光透過可能な第1電極層12と、第1電極層12上に積層して配置され、有機発光層161・162を中心に正孔輸送層141・142および電子輸送層181・182からなる第1発光ユニットU1・第2発光ユニットU2と、第1発光ユニットU1・第2発光ユニットU2の間に介在して配置された電荷発生層221と、積層方向の最上部の第1発光ユニットU2上に配置された第2電極層20とを備え、第2電極層20に隣接する第1発光ユニットU1の第1有機発光層161の中心が、第2電極層20から測った距離L1は30nm〜90nmであり、第1発光ユニットU1に隣接する第2発光ユニットU2の第2有機発光層162の中心が、第2電極層から測った距離L2は195nm〜255nmである。
【0077】
また、第6の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2において、図29に示すように、第1発光ユニットU1と第2発光ユニットU2間に配置された第1電荷発生層221が、第2電極層20から測った距離LG1は、60nm〜225nmであっても良い。
【0078】
それぞれの発光ユニットU1・U2は、有機発光層161・162を中心に正孔輸送層141・142および電子輸送層181・182からなる。積層の順序は、例えば、第1電極層12から第2電極層20の方向に向けて、正孔輸送層141・142、有機発光層161・162および電子輸送層181・182の順序であっても、或いは電子輸送層181・182、有機発光層161・162および正孔輸送層141・142の順序であっても良い。すなわち、第1電極層12と第2電極層20との間に印加するバイアス電圧の極性に応じて適宜積層順序を選択可能である。
【0079】
その他の構成は、3ユニット以上のMPE構造に関する第1の実施の形態に係る有機EL装置1と同様であるため、重複説明は省略する。
【0080】
第6の実施の形態によれば、2ユニット構成のMPE構造を最適化し、低コスト化、高電力効率化を実現したボトムエミッション型の薄型MPE構造の有機EL装置を提供することができる。
【0081】
(第7の実施の形態)
図29に示す構造において、第1発光ユニットU1および第2発光ユニットU2は、いずれか一方がマルチ有機発光層を有していても良い。
【0082】
第7の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2の模式的断面構造は、図30に示すように、2つの発光ユニットU1・U2の内、第1発光ユニットU1の第1有機発光層161がマルチ有機発光層LE11・LE12を有する。また、マルチ有機発光層LE11・LE12の内、相対的に発光波長が短い有機発光層LE11ほど第2電極層20に近く配置する。図7〜9から明らかなように、高い全光束を得るのに適した発光層の位置は、発光波長が短い発光層ほど、第2電極層20側にシフトするからである。第7の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2は、ボトムエミッション型に対応する。
【0083】
第7の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2は、図30に示すように、光透過可能な基板10と、基板10上に配置された光透過可能な第1電極層12と、第1電極層12上に積層して配置され、マルチ有機発光層161(LE11・LE12)を中心に正孔輸送層141および電子輸送層181からなる第1発光ユニットU1と、有機発光層162を中心に正孔輸送層142および電子輸送層182からなる第2発光ユニットU2と、第1発光ユニットU1・第2発光ユニットU2間に介在して配置された電荷発生層221と、積層方向の最上部の第1発光ユニットU1上に配置された第2電極層20とを備え、第2電極層20に隣接する第1発光ユニットU1の第1有機発光層161(LE11・LE12)の中心が、第2電極層20から測った距離L1は30nm〜90nmであり、第1発光ユニットU1に隣接する第2発光ユニットU2の有機発光層162の中心が、第2電極層から測った距離L2は195nm〜255nmである。
【0084】
また、第7の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2において、第1発光ユニットU1と第2発光ユニットU2間に配置された第1電荷発生層221が、第2電極層20から測った距離LG1は、60nm〜225nmであっても良い。
【0085】
それぞれの発光ユニットU1・U2は、有機発光層161・162を中心に正孔輸送層141・142および電子輸送層181・182からなる。積層の順序は、例えば、第1電極層12から第2電極層20の方向に向けて、正孔輸送層141・142、有機発光層161・162および電子輸送層181・182の順序であっても、或いは電子輸送層181・182、有機発光層161・162および正孔輸送層141・142の順序であっても良い。すなわち、第1電極層12と第2電極層20との間に印加するバイアス電圧の極性に応じて適宜積層順序を選択可能である。
【0086】
第7の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2において、発光ユニットU1・U2内における発光色の組み合わせは、図31に示すようにまとめて表示可能である。
【0087】
図31においては、例えば、青色(B)発光層には蛍光材料を適用し、緑色(G)発光層および赤色(R)発光層にはリン光材料を適用するハイブリッド方式を採用しても良い。
【0088】
1発光ユニット当たりで出力可能な内部量子効率は、100%(蛍光発光材料の場合は、約25%)の上限がある。1発光ユニット内で複数色発光させると、内部量子効率は、複数色で分配することになる。したがって、上記のハイブリッド方式(青色(B)発光層には蛍光材料を適用し、緑色(G)発光層および赤色(R)発光層にはリン光材料を適用する)の場合、1発光ユニット内で青色(B)発光層と他の色の発光層を組み合わせることは得策ではない。したがって、ハイブリッド方式の場合、発光ユニットU2に単独で蛍光材料の青色(B)発光層を適用する例1が最も適した配色構造となる。
【0089】
なお、緑色(G)発光層および赤色(R)発光層に加えて青色(B)発光層にもリン光材料を適用することも可能である。
【0090】
その他の構成は、3ユニット以上のMPE構造に関する第1の実施の形態に係る有機EL装置1と同様であるため、重複説明は省略する。
【0091】
(変形例1)
図29に示す構造において、第1発光ユニットU1および第2発光ユニットU2は、いずれか一方がマルチ有機発光層を有していても良い。
【0092】
第7の実施の形態の変形例1に係る薄型MPE構造の有機EL装置2の模式的断面構造は、図32に示すように、2つの発光ユニットU1・U2の内、第2発光ユニットU2の第2有機発光層162がマルチ有機発光層LE21・LE22を有する。また、マルチ有機発光層LE21・LE22の内、相対的に発光波長が短い有機発光層LE21ほど第2電極層20に近く配置する。図7〜9から明らかなように、高い全光束を得るのに適した発光層の位置は、発光波長が短い発光層ほど、第2電極層20側にシフトするからである。第7の実施の形態の変形例1に係る薄型MPE構造の有機EL装置2は、ボトムエミッション型に対応する。
【0093】
第7の実施の形態の変形例1に係る薄型MPE構造の有機EL装置2は、図32に示すように、光透過可能な基板10と、基板10上に配置された光透過可能な第1電極層12と、第1電極層12上に積層して配置され、有機発光層161を中心に正孔輸送層141および電子輸送層181からなる第1発光ユニットU1と、有機発光層162(LE21・LE22)を中心に正孔輸送層142および電子輸送層182からなる第2発光ユニットU2と、第1発光ユニットU1・第2発光ユニットU2間に介在して配置された電荷発生層221と、積層方向の最上部の第1発光ユニットU1上に配置された第2電極層20とを備え、第2電極層20に隣接する第1発光ユニットU1の第1有機発光層161の中心が、第2電極層20から測った距離は30nm〜90nmであり、第1発光ユニットU1に隣接する第2発光ユニットU2の有機発光層162(LE21・LE22)の中心が、第2電極層から測った距離は195nm〜255nmである。
【0094】
また、第7の実施の形態の変形例1に係る薄型MPE構造の有機EL装置2において、第1発光ユニットU1と第2発光ユニットU2間に配置された第1電荷発生層221が、第2電極層20から測った距離LG1は、60nm〜225nmであっても良い。
【0095】
それぞれの発光ユニットU1・U2は、有機発光層161・162を中心に正孔輸送層141・142および電子輸送層181・182からなる。積層の順序は、例えば、第1電極層12から第2電極層20の方向に向けて、正孔輸送層141・142、有機発光層161・162および電子輸送層181・182の順序であっても、或いは電子輸送層181・182、有機発光層161・162および正孔輸送層141・142の順序であっても良い。すなわち、第1電極層12と第2電極層20との間に印加するバイアス電圧の極性に応じて適宜積層順序を選択可能である。
【0096】
第7の実施の形態の変形例1に係る薄型MPE構造の有機EL装置2において、発光ユニットU1・U2内における発光色の組み合わせは、図33に示すようにまとめて表示可能である。
【0097】
図33においては、例えば、青色(B)発光層には蛍光材料を適用し、緑色(G)発光層および赤色(R)発光層にはリン光材料を適用するハイブリッド方式を採用しても良い。
【0098】
1発光ユニット当たりで出力可能な内部量子効率は、100%(蛍光発光材料の場合は、約25%)の上限があり、1発光ユニット内で複数色発光させると、内部量子効率は、複数色で分配することになる。したがって、上記のハイブリッド方式(青色(B)発光層には蛍光材料を適用し、緑色(G)発光層および赤色(R)発光層にはリン光材料を適用する)の場合、1発光ユニット内で青色(B)発光層と他の色の発光層を組み合わせることは得策ではない。したがって、ハイブリッド方式の場合、発光ユニットU1に単独で蛍光材料の青色(B)発光層を適用する例4が最も適した配色構造となる、
なお、緑色(G)発光層および赤色(R)発光層に加えて、青色(B)発光層にもリン光材料を適用することも可能である。
【0099】
その他の構成は、3ユニット以上のMPE構造に関する第1の実施の形態に係る有機EL装置1と同様であるため、重複説明は省略する。
【0100】
(変形例2)
図29に示す構造において、第1発光ユニットU1および第2発光ユニットU2は、両方がマルチ有機発光層を有していても良い。
【0101】
第7の実施の形態の変形例2に係る薄型MPE構造の有機EL装置2の模式的断面構造は、図34に示すように、2つの発光ユニットU1・U2の内、第1発光ユニットU1の第1有機発光層161がマルチ有機発光層LE11・LE12を有し、第2発光ユニットU2の第2有機発光層162がマルチ有機発光層LE21・LE22を有する。また、マルチ有機発光層161(LE11・LE12)およびマルチ有機発光層162(LE21・LE22)の内、相対的に発光波長が短い有機発光層LE11・LE21ほど第2電極層20に近く配置する。図7〜9から明らかなように、高い全光束を得るのに適した発光層の位置は、発光波長が短い発光層ほど、第2電極層20側にシフトするからである。第7の実施の形態の変形例2に係る薄型MPE構造の有機EL装置2は、ボトムエミッション型に対応する。
【0102】
第7の実施の形態の変形例2に係る薄型MPE構造の有機EL装置2は、図34に示すように、光透過可能な基板10と、基板10上に配置された光透過可能な第1電極層12と、第1電極層12上に積層して配置され、マルチ有機発光層161(LE11・LE12)を中心に正孔輸送層141および電子輸送層181からなる第1発光ユニットU1と、有機発光層162(LE21・LE22)を中心に正孔輸送層142および電子輸送層182からなる第2発光ユニットU2と、第1発光ユニットU1・第2発光ユニットU2間に介在して配置された電荷発生層221と、積層方向の最上部の第1発光ユニットU1上に配置された第2電極層20とを備え、第2電極層20に隣接する第1発光ユニットU1の第1有機発光層161(LE11・LE12)の中心が、第2電極層20から測った距離は30nm〜90nmであり、第1発光ユニットU1に隣接する第2発光ユニットU2の有機発光層162(LE21・LE22)の中心が、第2電極層から測った距離は195nm〜255nmである。
【0103】
また、第7の実施の形態の変形例2に係る薄型MPE構造の有機EL装置2において、第1発光ユニットU1と第2発光ユニットU2間に配置された第1電荷発生層221が、第2電極層20から測った距離LG1は、60nm〜225nmであっても良い。
【0104】
それぞれの発光ユニットU1・U2は、有機発光層161・162を中心に正孔輸送層141・142および電子輸送層181・182からなる。積層の順序は、例えば、第1電極層12から第2電極層20の方向に向けて、正孔輸送層141・142、有機発光層161・162および電子輸送層181・182の順序であっても、或いは電子輸送層181・182、有機発光層161・162および正孔輸送層141・142の順序であっても良い。すなわち、第1電極層12と第2電極層20との間に印加するバイアス電圧の極性に応じて適宜積層順序を選択可能である。
【0105】
(具体例)
第7の実施の形態の変形例1に係る薄型MPE構造の有機EL装置2の具体例は、図35に示すように表される。
【0106】
図35においては、発光ユニットU1のマルチ有機発光層161(LE11・LE12)は、それぞれライトブルー(Light Blue)発光層LELB1・緑赤色発光層LEGR1で形成され、発光ユニットU2の有機発光層162(LE2)は、青色発光層LEB2で形成されている。ここで、緑赤色発光層LEGR1は、2種の発光材料を同一発光層に分散させている。図35の例では、発光材料数・発光層数は、LELB1・LEGR1・LEB2の4個・3個である。
【0107】
第7の実施の形態の変形例2に係る薄型MPE構造の有機EL装置2において、発光ユニットU1・U2内における発光色の組み合わせは、例えば、図36〜図38に示すように表示可能である。
【0108】
図36においては、発光ユニットU1のマルチ有機発光層161(LE11・LE12)は、それぞれ青色発光層LEB1・赤色発光層LER1で形成され、発光ユニットU2のマルチ有機発光層162(LE21・LE22)は、それぞれ青色発光層LEB2・緑色発光層LEG2で形成される。図36の例では、発光材料数・発光層数は、LEB1・LER1・LEB2・LEG2の3個・4個である。
【0109】
図37においては、発光ユニットU1のマルチ有機発光層161(LE11・LE12)は、それぞれ緑色発光層LEG1・赤色発光層LER1で形成され、発光ユニットU2のマルチ有機発光層162(LE21・LE22)は、それぞれ青色発光層LEB2・黄色発光層LEY2で形成される。図37の例では、発光材料数・発光層数は、LEG1・LER1・LEB2・LEY2の4個・4個である。
【0110】
図38においては、発光ユニットU1のマルチ有機発光層161(LE11・LE12)は、それぞれ緑色発光層LEB1・黄色発光層LEY1で形成され、発光ユニットU2のマルチ有機発光層162(LE21・LE22)は、それぞれ青色発光層LEB2・黄色発光層LEY2で形成される。図38の例では、発光材料数・発光層数は、LEB1・LEY1・LEB2・LEY2の2個・4個である。
【0111】
第7の実施の形態の変形例2に係る薄型MPE構造の有機EL装置2においては、例えば、青色(B)発光層には蛍光材料を適用し、緑色(G)発光層および赤色(R)発光層にはリン光材料を適用するハイブリッド方式を採用しても良い。また、青色(B)発光層、緑色(G)発光層および赤色(R)発光層に共にリン光材料を適用することも可能である。
【0112】
その他の構成は、3ユニット以上のMPE構造に関する第1の実施の形態に係る有機EL装置1と同様であるため、重複説明は省略する。
【0113】
第7の実施の形態およびその変形例1〜2によれば、2ユニット構成のMPE構造を最適化し、低コスト化、高電力効率化を実現したボトムエミッション型の薄型MPE構造の有機EL装置を提供することができる。
【0114】
(第8の実施の形態)
第1〜第5の実施の形態においては、3つ以上の複数の発光ユニットU1〜Unを積層した薄型MPE構造の有機EL装置1について、有機発光層の位置や、電荷発生層の位置を規定しているが、これは、3つ以上の複数の発光ユニットU1〜Unを積層した薄型MPE構造の有機EL装置に限定される技術ではない。
【0115】
第8の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2の模式的断面構造は、図39に示すように、2つの発光ユニットU1・U2を積層した薄型MPE構造の有機EL装置2を規定するものである。第8の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2は、トップエミッション型に対応する。
【0116】
第8の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2は、図39に示すように、基板10と、基板10上に配置された第2電極層20と、第2電極層20上に積層して配置され、有機発光層161・162を中心に正孔輸送層141・142および電子輸送層181・182からなる第1発光ユニットU1・第2発光ユニットU2と、第1発光ユニットU1・第2発光ユニットU2の間に介在して配置された電荷発生層221と、積層方向の最上部の第2発光ユニットU2上に配置された光透過可能な第1電極層12とを備え、第2電極層20に隣接する第1発光ユニットU1の第1有機発光層161の中心が、第2電極層20から測った距離L1は30nm〜90nmであり、第1発光ユニットU1に隣接する第2発光ユニットU2の第2有機発光層162の中心が、第2電極層から測った距離L2は195nm〜255nmである。
【0117】
また、第8の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2において、図39に示すように、第1発光ユニットU1と第2発光ユニットU2間に配置された第1電荷発生層221が、第2電極層20から測った距離LG1は、60nm〜225nmであっても良い。
【0118】
それぞれの発光ユニットU1・U2は、有機発光層161・162を中心に正孔輸送層141・142および電子輸送層181・182からなる。積層の順序は、例えば、第1電極層12から第2電極層20の方向に向けて、正孔輸送層141・142、有機発光層161・162および電子輸送層181・182の順序であっても、或いは電子輸送層181・182、有機発光層161・162および正孔輸送層141・142の順序であっても良い。すなわち、第1電極層12と第2電極層20との間に印加するバイアス電圧の極性に応じて適宜積層順序を選択可能である。
【0119】
その他の構成は、3ユニット以上のMPE構造に関する第1の実施の形態に係る有機EL装置1と同様であるため、重複説明は省略する。
【0120】
第8の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2においても、図39に示す構造において、第1発光ユニットU1および第2発光ユニットU2は、いずれか一方もしくは両方がマルチ有機発光層を有していても良い。
【0121】
第8の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2においても、マルチ有機発光層161(LE11・LE12)およびマルチ有機発光層162(LE21・LE22)の内、相対的に発光波長が短い有機発光層LE11・LE21ほど第2電極層20に近く配置する。図7〜9から明らかなように、高い全光束を得るのに適した発光層の位置は、発光波長が短い発光層ほど、第2電極層20側にシフトするからである。
【0122】
第8の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2においても、第7の実施の形態およびその変形例1〜2に係る薄型MPE構造の有機EL装置2と同様の構成を採用可能である。
【0123】
また、第8の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2においても、図35〜図38に示すような具体例と同様の構成を採用可能である。
【0124】
第8の実施の形態によれば、2ユニット構成のMPE構造を最適化し、低コスト化、高電力効率化を実現したトップエミッション型の薄型MPE構造の有機EL装置を提供することができる。
【0125】
以上より、本発明によれば、MPE構造を最適化し、低コスト化、高電力効率化を実現した薄型MPE構造の有機EL装置を提供することができる。
【0126】
[その他の実施の形態]
上記のように、本発明は第1〜第8の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0127】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明の有機EL装置は、有機発光デバイス、フラットパネルディスプレイ,フレキシブルディスプレイを実現するための有機ELディスプレイなどのフレキシブルエレクトロニクス分野、および透明エレクトロニクス分野、さらに照明機器、有機レーザ、太陽電池、ガスセンサ、味覚センサ,匂いセンサなどのバイオセンサなど幅広い分野において適用可能である。
【符号の説明】
【0129】
1、2…有機EL装置
10…基板
12…第1電極層(陽極)
14、141,142,143…正孔輸送層(HTL)
16、161,162,163…有機発光層(EML)
18、181,182,183…電子輸送層(ETL)
20…第2電極層(陰極)
22、221,222…電荷発生層(CGL)
U1、U2、U3、U1B,U1G、U1R、U1BR、U2B,U2G、U2R、U2BG、U3B,U3G、U3R、U3GR…発光ユニット
L…発光位置―陰極間距離
LE1、LE2、LE11、LE12、LE21、LE22、LELB1、LEGR1、LEB1、LEB2、LEG1、LEG2、LER1、LEY1、LEY2…有機発光層
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL装置に関し、特に、薄型MPE構造の有機EL装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機EL(EL:Electroluminescence)素子を用いて、FPD(Flat Panel Display)のような表示装置や照明灯のような照明装置などの有機発光装置が実用化に向けて開発が進められている。この有機EL素子では、一対の対向する電極間に有機発光層を含む有機EL層を挟み、その電極間に電圧を印加し、有機EL層に電流を流して発光させる。最近では、高輝度を得るために、複数の有機EL層を電荷発生層を介して積層させる、マルチフォトンエミッション(Multi Photon Emission;MPE)といわれる構造のものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−045676号公報
【特許文献2】特開2007−281454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有機EL装置を照明に用いる場合、輝度・寿命の向上のためには、MPE構造が適している。MPE構造では、有機層が厚く形成されるため、その分高コストになる。これは、1ユニット構造で最適化し、さらに各ユニットを積層化して膜厚を微調整するためである。当然のことながら、シミュレーション結果も活用されるが、基本的な設計思想として、1ユニット構造での最適化がある。
【0005】
したがって、従来のMPE構造の有機EL装置においては、量産効果による材料費の削減によって、低コスト化が図られていた。
【0006】
本発明の目的は、MPE構造を最適化し、低コスト化、高電力効率化を実現した薄型MPE構造の有機EL装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の一態様によれば、光透過可能な基板と、前記基板上に配置された光透過可能な第1電極層と、前記第1電極層上に積層して配置され、有機発光層を中心に正孔輸送層および電子輸送層からなる3つ以上の複数の発光ユニットと、前記発光ユニット間に介在して配置された複数の電荷発生層と、前記複数の発光ユニットの内、積層方向の最上部に配設された前記発光ユニット上に配置された第2電極層とを備え、前記第1電極層と前記第2電極層間に挟まれた層の総厚が360nm以下である有機EL装置が提供される。
【0008】
本発明の他の態様によれば、基板と、前記基板上に配置された第2電極層と、前記第2電極層上に積層して配置され、有機発光層を中心に正孔輸送層および電子輸送層からなる3つ以上の複数の発光ユニットと、前記発光ユニット間に介在して配置された複数の電荷発生層と、前記複数の発光ユニットの内、積層方向の最上部に配設された前記発光ユニット上に配置された光透過可能な第1電極層とを備え、前記第1電極層と前記第2電極層間に挟まれた層の総厚が360nm以下である有機EL装置が提供される。
【0009】
本発明の他の態様によれば、光透過可能な基板と、前記基板上に配置された光透過可能な第1電極層と、前記第1電極層上に積層して配置され、有機発光層を中心に正孔輸送層および電子輸送層からなる第1発光ユニットおよび第2発光ユニットと、前記第1発光ユニットと前記第2発光ユニットの間に介在して配置された電荷発生層と、積層方向の最上部の前記第1発光ユニット上に配置された第2電極層とを備え、前記第2電極層に隣接する第1発光ユニットの第1有機発光層の中心が、前記第2電極層から測った距離は30nm〜90nmであり、前記第1発光ユニットに隣接する第2発光ユニットの第2有機発光層の中心が、前記第2電極層から測った距離は195nm〜255nmである有機EL装置が提供される。
【0010】
本発明の他の態様によれば、基板と、前記基板上に配置された第2電極層と、前記第2電極層上に積層して配置され、有機発光層を中心に正孔輸送層および電子輸送層からなる第1発光ユニットおよび第2発光ユニットと、前記第1発光ユニットと前記第2発光ユニットの間に介在して配置された電荷発生層と、積層方向の最上部の前記第2発光ユニット上に配置された光透過可能な第1電極層とを備え、前記第1電極層に隣接する第2発光ユニットの第2有機発光層の中心が、前記第2電極層から測った距離は195nm〜255nmであり、前記第2発光ユニットに隣接する第1発光ユニットの第1有機発光層の中心が、前記第2電極層から測った距離は30nm〜90nmである有機EL装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、MPE構造を最適化し、低コスト化、高電力効率化を実現した薄型MPE構造の有機EL装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置の模式的断面構造図。
【図2】比較例に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図3】第2の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置の模式的断面構造図。
【図4】第3の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置の模式的断面構造図。
【図5】第4の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置の模式的断面構造図。
【図6】第1の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置の動作原理を説明する模式的断面構造図。
【図7】第1の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、青色発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図8】第1の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、緑黄色発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図9】第1の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、赤色発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図10】比較例に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図11】比較例に係る有機EL装置において、各色の全光束を最大にする発光位置を説明する模式的断面構造図。
【図12】比較例に係る有機EL装置において、青色発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図13】比較例に係る有機EL装置において、緑黄色発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図14】比較例に係る有機EL装置において、赤色発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図15】第3の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、各色の全光束を最大にする発光位置を説明する模式的断面構造図。
【図16】第3の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、青色発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図17】第3の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、緑黄色発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図18】第3の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、赤色発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図19】第4の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、各色の全光束を最大にする発光位置を説明する模式的断面構造図。
【図20】第4の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、青色発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図21】第4の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、緑黄色発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図22】第4の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、赤色発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図23】実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、発光色の組み合わせと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図24】第5の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、各色の全光束を最大にする発光位置を説明する模式的断面構造図。
【図25】第5の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、(a)第3発光ユニットU3がダブル発光層を有する例を説明する模式的断面構造図、(b)別のダブル発光層を有する例を説明する模式的断面構造図。
【図26】第5の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、青色発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図27】第5の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、緑黄色発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図28】第5の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、赤色発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係を示す図。
【図29】第6の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置の模式的断面構造図。
【図30】第7の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置の模式的断面構造図。
【図31】第7の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、発光色の組み合わせの関係を示す図。
【図32】第7の実施の形態の変形例1に係る薄型MPE構造の有機EL装置の模式的断面構造図。
【図33】第7の実施の形態の変形例1に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、発光色の組み合わせの関係を示す図。
【図34】第7の実施の形態の変形例2に係る薄型MPE構造の有機EL装置の模式的断面構造図。
【図35】第7の実施の形態の具体例1に係る薄型MPE構造の有機EL装置の模式的断面構造図。
【図36】第7の実施の形態の具体例2に係る薄型MPE構造の有機EL装置の模式的断面構造図。
【図37】第7の実施の形態の具体例3に係る薄型MPE構造の有機EL装置の模式的断面構造図。
【図38】第7の実施の形態の具体例4に係る薄型MPE構造の有機EL装置の模式的断面構造図。
【図39】第8の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置の模式的断面構造図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0014】
又、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0015】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1の模式的断面構造は、図1に示すように表される。第1の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1は、ボトムエミッション型に対応する。
【0016】
比較例に係る有機EL装置の模式的断面構造は、図2に示すように表される。比較例に係る有機EL装置のMPE構造では、第1電極層12と第2電極層20との間の層の総厚が厚く形成される。これは、1ユニット構造で最適化し、さらに各ユニットを積層化して膜厚を微調整するためである。
【0017】
比較例に係る有機EL装置は、通常、1ユニットあたり厚さLは、120nm〜200nmで最適化されているため、3段MPEの場合、総厚は360nm〜600nmになる。
【0018】
一方、第1の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1は、図1に示すように、光透過可能な基板10と、基板10上に配置された光透過可能な第1電極層12と、第1電極層12上に積層して配置され、有機発光層(EML:Emission Layer)161〜16nを中心に正孔輸送層(HTL:Hole Transfer Layer)141〜14nおよび電子輸送層(ETL:Electron Transfer Layer)181〜18nからなる3つ以上の複数の発光ユニットU1〜Unと、発光ユニットU1〜Un間に介在して配置された複数の電荷発生層221〜22n-1と、前記複数の発光ユニットU1〜Unの内、積層方向の最上部に配設された発光ユニットU1上に配置された第2電極層20とを備える。ここで、第1電極層12と第2電極層20間に挟まれた層の総厚Ltが、360nm以下である。それぞれの発光ユニットU1〜Unは、有機発光層161〜16nを中心に正孔輸送層141〜14nおよび電子輸送層181〜18nからなる。積層の順序は、例えば、第1電極層12から第2電極層20の方向に向けて、正孔輸送層141〜14n、有機発光層161〜16nおよび電子輸送層181〜18nの順序であっても、或いは電子輸送層181〜18n、有機発光層161〜16nおよび正孔輸送層141〜14nの順序であっても良い。すなわち、第1電極層12と第2電極層20との間に印加するバイアス電圧の極性に応じて適宜積層順序を選択可能である。
【0019】
具体的に、第1の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1は、図1に示すように、光透過可能な基板10と、基板10上に配置された光透過可能な第1電極層12と、第1電極層12上に積層して配置された複数の発光ユニットU3R・U2G・U1Bと、発光ユニットU3R・U2G・U1B間に介在して配置された電荷発生層222・221と、積層方向の最上部の発光ユニットU1B上に配置された第2電極層20とを備える。ここで、第1電極層12と第2電極層20間に挟まれた層の総厚Ltが、360nm以下である。
【0020】
また、第1の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1において、図1に示すように、複数の発光ユニットU3R・U2G・U1Bの内、第2電極層20に隣接する第1発光ユニットU1Bの第1有機発光層161の中心が、第2電極層20から測った距離L1は30nm〜90nmであり、第1発光ユニットU1Bに隣接する第2発光ユニットU2Gの第2有機発光層162の中心が、第2電極層20から測った距離L2は、195nm〜255nmであり、第2発光ユニットU2Gに隣接する第3発光ユニットU3Rの第3有機発光層163の中心が、第2電極層20から測った距離L3は、245nm〜305nmであっても良い。
【0021】
また、第1の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1において、図1に示すように、複数の電荷発生層222・221の内、第1発光ユニットU1Bと第2発光ユニットU2G間に配置された第1電荷発生層221が、第2電極層20から測った距離LG1は、60nm〜225nmであり、第2発光ユニットU2Gと第3発光ユニットU3R間に配置された第2電荷発生層222が、第2電極層20から測った距離LG2は、225nm〜275nmであっても良い。
【0022】
CGL221〜222は、例えば、有機化合物、若しくは単体でアルミニウムよりも低い融点を有する金属からなる無機化合物で形成されている。このCGL221〜22n-1を構成する無機化合物の比抵抗は、例えば、1×102Ω・cm以上、望ましくは、1×105Ω・cm以上である。
【0023】
その無機化合物には、例えば、酸化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物などが含まれる。Alの融点は、約660℃であるが、単体でAlよりも低い融点を有する金属としては、例えば、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、アンチモン(Sb)、亜鉛(Zn)などがある。Ga、In、Sb、Znの融点は、それぞれ約29.8℃、156.4℃、630.7℃、および419.5℃である。
【0024】
また、CGL221〜222は、有機化合物で形成されていても良い。このCGL221〜22n-1を構成する有機化合物の比抵抗は、例えば、1×102Ω・cm以上、望ましくは、1×105Ω・cm以上である。
【0025】
第1の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1は、基板10側から光が発光するように構成されているため、基板10は、光を透過する透明基板が用いられる。基板10の材質としては、例えば、ガラスが挙げられる。厚さは、例えば、約0.1〜1.1mm程度であるのがよい。基板10にポリカーボネートやポリエチレンテレフタレート等の透明な樹脂を用いてフレキシブル性を持たせることも可能である。
【0026】
第1電極層12は、光を透過可能であり、厚さが、例えば、約140〜160nm程度のITO(インジウム−スズ酸化物)等の透明電極からなる。
【0027】
例えば、発光ユニットU1〜U3は、基板10側から、HTL141〜143、EML161〜163およびETL181〜183が順次積層されている。尚、積層の順序は、前述のごとく、バイアス電圧の印加に応じて適宜選択可能である。
【0028】
HTL141〜143は、第1電極層12から注入された正孔を効率良くEML161〜163に輸送するための層であり、例えば、厚さが約60nm程度のNPB(N,N−ジ(ナフタリル)−N,N−ジフェニル−ベンジデン)から形成される。
【0029】
ETL181〜183は、第2電極層20およびCGL221〜222から注入された電子を効率良くEML161〜163に輸送するための層であり、例えば、厚さが約35nm程度のAlq3(アルミニウムキノリノール錯体)から形成される。
【0030】
EML161〜163は、注入された正孔および電子が再結合して発光するための層であり、例えば、発光種であるクマリン化合物(C545T)が約1%程度ドーピングされ、厚さが約30nm程度のAlq3で形成されていても良い。
【0031】
あるいは、EML161〜163の一部の層は、青色の発光種、例えば、DPVBi(4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)−1,1’−ビフェニル)が、例えば、約1%程度ドーピングされた、厚さが、例えば、約30〜50nm程度のAlq3で形成されていても良い。
【0032】
あるいは、EML161〜163の一部の層は、緑色の発光種、例えば、ジメチルキナクリドンが、例えば、約1%程度ドーピングされた、厚さが、例えば、約30〜50nm程度のAlq3で形成されていても良い。
【0033】
あるいは、EML161〜163の一部の層は、赤色の発光種、例えば、ナイルレッドが、例えば、約1%程度ドーピングされた、厚さが、例えば、約30〜50nm程度のAlq3で形成されていても良い。
【0034】
なお、発光ユニットU1〜U3は、上記、HTL141〜143、ETL181〜183以外の層、例えば、正孔注入層(HIL:Hole Injection Layer)、電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)などを用いて構成しても良い。
【0035】
第2電極層20は、例えば、厚さが約150nm程度で、材質が、例えば、アルミニウムからなる。
【0036】
―動作原理―
第1の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1の動作は以下の通りである。
【0037】
まず、薄型MPE構造の有機EL装置1の陽極端子・陰極端子(図示省略)を介して、
第1電極層12および第2電極層20の間に一定の電圧が印加される。これにより、第1電極層12又はCGL221〜222からHTL141〜143を介して、EML161〜163に正孔が注入されるとともに、第2電極層20又はCGL221〜222からETL181〜182を介して、EML161〜162に電子が注入される。そして、EML161〜162に注入された正孔と電子とが再結合することによって、それぞれ青、緑、赤の各色の光を発光する。これらの光が重なり、基板10を介して外部に出射されて、白色光が得られる。
【0038】
第1の実施の形態において、発光ユニットU1〜U3は、HTL141〜143、単色光を発光するEML161〜163、ETL181〜183を含み、発光ユニットU1はHILを含んでもよい。発光ユニットU1〜U3の段数は、複数であれば特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。
【0039】
第1の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1の動作原理を説明する模式的断面構造は、図6に示すように表される。
【0040】
図6において、第1電極層12と第2電極層20の間の厚さLtを一定として、発光位置―陰極間距離Lを変化させた場合、基板10内部に射出される光の総量(全光束φ)は、発光位置―陰極間距離Lに大きく依存し、周期的に変化する。
【0041】
第1の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1において、青色(B)発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図7に示すように表され、緑黄色(G−Y)発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図8に示すように表され、赤色(R)発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図9に示すように表される。図7〜図9から明らかなように、発光色によって、全光束φのピークが得られる発光位置‐陰極間距離Lの値はシフトする。青色発光の場合の全光束φのピークが得られる発光位置‐陰極間距離Lは図7に示すように、約55nm、約220nm、約350nmであり、緑黄色発光の場合の全光束φのピークが得られる発光位置‐陰極間距離Lは、約60nm、約250nm、約400nmである。さらに、赤色発光の場合の全光束φのピークが得られる発光位置‐陰極間距離Lは、約70nm、約270nm、約425nmである。
【0042】
一方、比較例に係る有機EL装置の動作原理を説明する模式的断面構造は、図10に示すように表される。エネルギーギャップが比較的狭い赤色発光ユニットが、よりエネルギーの高い青色発光ユニットからの発光を吸収する可能性を懸念して、よりワイドギャップ(より短波長)の発光材料を前方(発光方向)に配置するとすると、例えば、RGBの場合、図10に示すように、発光ユニットの色の配置が、第2電極層20から第1電極方向にU1R・U2G・U3Bと固定されてしまう。
【0043】
比較例に係る有機EL装置において、各色の全光束を最大にする発光位置を説明する模式的断面構造は、図11に示すように表される。
【0044】
比較例に係る有機EL装置において、青色(B)発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図12に示すように表され、緑黄色(G−Y)発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図13に示すように表され、赤色(R)発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図14に示すように表される。
【0045】
図14に示すように、第2電極層20に隣接する第1発光ユニットU1Rの第1有機発光層161の中心が、第2電極層20から測った距離L1が約70nmにおいて、全光束φのピーク値が得られる。また、図13に示すように、第1発光ユニットU1Rに隣接する第2発光ユニットU2Gの第2有機発光層162の中心が、第2電極層20から測った距離L2が約250nmにおいて、全光束φのピーク値が得られる。また、図12に示すように、第2発光ユニットU2Gに隣接する第3発光ユニットU3Bの第3有機発光層163の中心が、第2電極層20から測った距離L3が約350nmおよび480nmにおいて、全光束φのピーク値が得られる。このように、各色の全光束φを最大にする発光位置は、図12〜図14から決まる。
【0046】
また、比較例に係る有機EL装置においては、第1電極層12と第2電極層20間に挟まれた層の総厚Ltは、すくなくとも350nmを超過する。実際には、正孔輸送層なども考慮すると、総厚Ltは、360nmを超えることは明らかである。
【0047】
第1の実施の形態によれば、MPE構造を最適化し、低コスト化、高電力効率化を実現したボトムエミッション型の薄型MPE構造の有機EL装置を提供することができる。
【0048】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1の模式的断面構造は、図3に示すように表される。第2の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1は、トップエミッション型に対応する。
【0049】
第2の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1は、図3に示すように、基板10と、基板10上に配置された第2電極層20と、第2電極層20上に積層して配置され、有機発光層161〜16nを中心に電子輸送層181〜18nおよび正孔輸送層141〜14nからなる3つ以上の複数の発光ユニットU1〜Unと、発光ユニットU1〜Un間に介在して配置された複数の電荷発生層221〜22n-1と、複数の発光ユニットU1〜Unの内、積層方向の最上部の発光ユニットUn上に配置された光透過可能な第1電極層12とを備える。ここで、第1電極層12と第2電極層20間に挟まれた層の総厚Ltが、360nm以下である。それぞれの発光ユニットU1〜Unは、有機発光層161〜16nを中心に正孔輸送層141〜14nおよび電子輸送層181〜18nからなる。積層の順序は、例えば、第1電極層12から第2電極層20の方向に向けて、正孔輸送層141〜14n、有機発光層161〜16nおよび電子輸送層181〜18nの順序であっても、或いは電子輸送層181〜18n、有機発光層161〜16nおよび正孔輸送層141〜14nの順序であっても良い。すなわち、第1電極層12と第2電極層20との間に印加するバイアス電圧の極性に応じて適宜積層順序を選択可能である。
【0050】
具体的に、第2の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1は、図3に示すように、基板10と、基板10上に配置された第2電極層20と、第2電極層20上に積層して配置された複数の発光ユニットU1B・U2G・U3Rと、発光ユニットU1B・U2G・U3R間に介在して配置された複数の電荷発生層221・222と、積層方向の最上部の発光ユニットU3B上に配置された光透過可能な第1電極層12とを備える。ここで、第1電極層12と第2電極層20間に挟まれた層の総厚Ltが、360nm以下である。
【0051】
また、第2の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1において、複数の発光ユニットU1B・U2G・U3Rの内、第2電極層20に隣接する第1発光ユニットU1Bの第1有機発光層161の中心が、第2電極層20から測った距離L1は、30nm〜90nmであり、第1発光ユニットU1Bに隣接する第2発光ユニットU2Gの第2有機発光層162の中心が、第2電極層20から測った距離L2は、195nm〜255nmであり、第2発光ユニットU2Gに隣接する第3発光ユニットU3Rの第3有機発光層163の中心が、第2電極層20から測った距離L3は、245nm〜305nmであっても良い。
【0052】
また、第2の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1において、複数の電荷発生層221・222の内、第1発光ユニットU1Bと第2発光ユニットU2G間に配置された第1電荷発生層221が、第2電極層20から測った距離L1Gは、60nm〜225nmであり、第2発光ユニットU2Gと第3発光ユニットU3R間に配置された第2電荷発生層222が、第2電極層20から測った距離L2Gは、225nm〜275nmであっても良い。
【0053】
第2の実施の形態によれば、MPE構造を最適化し、低コスト化、高電力効率化を実現したトップエミッション型の薄型MPE構造の有機EL装置を提供することができる。
【0054】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1の模式的断面構造は、図4に示すように、複数の発光ユニットの内、第2電極層20に隣接する第1発光ユニットU1Gの発光波長のピークが500nm〜600nmにあり、第1発光ユニットU1Gに隣接する第2発光ユニットU2Bの発光波長のピークが400nm〜500nmにあり、第2発光ユニットU2Bに隣接する第3発光ユニットU3Rの発光波長のピークが550nm〜700nmにあるように構成されている。その他の構成は、第1の実施の形態若しくは第2の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0055】
第3の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1において、各色の全光束を最大にする発光位置を説明する模式的断面構造は、図15に示すように表される。
【0056】
第3の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1において、青色(B)発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図16に示すように表され、緑黄色(G−Y)発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図17に示すように表され、赤色(R)発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図18に示すように表される。
【0057】
図17に示すように、第2電極層20に隣接する第1発光ユニットU1Gの第1有機発光層161の中心が、第2電極層20から測った距離L1が約60nmにおいて、全光束φのピーク値が得られている。また、図16に示すように、第1発光ユニットU1Gに隣接する第2発光ユニットU2Bの第2有機発光層162の中心が、第2電極層20から測った距離L2が約220nmにおいて、全光束φのピーク値が得られている。また、図18に示すように、第2発光ユニットU2Bに隣接する第3発光ユニットU3Rの第3有機発光層163の中心が、第2電極層20から測った距離L3が約270nmにおいて、全光束φのピーク値が得られている。第2発光ユニットU2BのL2と第3発光ユニットU3RのL3の差Δは50nm程度であるため、このように発光ユニットを分けることができる。
【0058】
また、第3の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1においては、第1電極層12と第2電極層20間に挟まれた層の総厚Ltは、360nm以下にすることができる。
【0059】
第3の実施の形態によれば、MPE構造を最適化し、低コスト化、高電力効率化を実現したボトムエミッション型の薄型MPE構造の有機EL装置を提供することができる。
【0060】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1の模式的断面構造は、図5に示すように、複数の発光ユニットの内、第2電極層20に隣接する第1発光ユニットU1Rの発光波長のピークが550nm〜700nmにあり、第1発光ユニットU1Rに隣接する第2発光ユニットU2Bの発光波長のピークが400nm〜500nmにあり、第2発光ユニットU2Bに隣接する第3発光ユニットU3Gの発光波長のピークが500nm〜600nmにあるように構成されていても良い。その他の構成は、第1の実施の形態若しくは第2の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0061】
第4の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1において、各色の全光束を最大にする発光位置を説明する模式的断面構造は、図19に示すように表される。
【0062】
第4の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1において、青色(B)発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図20に示すように表され、緑黄色(G−Y)発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図21に示すように表され、赤色(R)発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図22に示すように表される。
【0063】
図22に示すように、第2電極層20に隣接する第1発光ユニットU1Rの第1有機発光層161の中心が、第2電極層20から測った距離L1が約70nmにおいて、全光束φのピーク値が得られている。また、図20に示すように、第1発光ユニットU1Rに隣接する第2発光ユニットU2Bの第2有機発光層162の中心が、第2電極層20から測った距離L2が約220nmにおいて、全光束φのピーク値が得られている。また、図21に示すように、第2発光ユニットU2Bに隣接する第3発光ユニットU3Gの第3有機発光層163の中心が、第2電極層20から測った距離L3が約270nmにおいて、全光束φのピークに近い値が得られている。図21に示すように、全光束φのピーク値からは多少ずれるが、距離L2と距離L3の差Δは、50nm程度とることができる。
【0064】
また、第4の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1においては、第1電極層12と第2電極層20間に挟まれた層の総厚Ltは、360nm以下にすることができる。
【0065】
第4の実施の形態によれば、MPE構造を最適化し、低コスト化、高電力効率化を実現したボトムエミッション型の薄型MPE構造の有機EL装置を提供することができる。
【0066】
実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置において、発光ユニットU1〜U3内における発光色の組み合わせ、およびこれらの組み合わせに対応可能な発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図23に示すようにまとめて表示可能である。図23においては、ダブル発光層を導入した場合も含まれている。例えば、BRは、同じ発光ユニット内で、青色(B)発光層と赤色(R)発光層を積層化した例であり、BGは、同じ発光ユニット内で、青色(B)発光層と緑色(G)発光層を積層化した例であり、GRは、同じ発光ユニット内で、緑色(G)発光層と赤色(R)発光層を積層化した例である。
【0067】
(第5実施の形態)
第5の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1の模式的断面構造は、図24に示すように、複数の発光ユニットの内、第2電極層20に隣接する第1発光ユニットU1Bの発光波長のピークが400nm〜500nmにあり、第1発光ユニットU1Bに隣接する第2発光ユニットU2Bの発光波長のピークが400nm〜500nmにあり、第2発光ユニットU2Bに隣接する第3発光ユニットU3GRのダブル発光波長のピークが500nm〜700nmにあるように構成されていても良い。その他の構成は、第1の実施の形態若しくは第2の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0068】
第5の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1において、各色の全光束を最大にする発光位置を説明する模式的断面構造は、図24に示すように表される。
【0069】
第5の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1においては、第3発光ユニットU3GR内の構成は、図25に示すように、ダブル発光層構造を備えていても良い。ダブル発光層構造の場合は、発光波長の短い発光層が第2電極層20側になることが好ましい。図25では、第1電極層12上に第3発光ユニットU3として赤色(R)発光層を配置し、さらに赤色(R)発光層上に緑色(G)発光層を積層した構成が示されている。また、第1電極層12上に第3発光ユニットU3として赤色発光材料と緑色発光材料が混合された発光層を含んでいても良い。
【0070】
第5の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1において、青色(B)発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図26に示すように表され、緑黄色(G−Y)発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図27に示すように表され、赤色(R)発光の場合の全光束φと発光位置‐陰極間距離Lとの関係は、図28に示すように表される。
【0071】
図24および図26に示すように、第2電極層20に隣接する第1発光ユニットU1Bの第1有機発光層161の中心が、第2電極層20から測った距離L1Bが約55nmおよび220nmにおいて、全光束φのピーク値が得られている。また、図27に示すように、第1発光ユニットU1Bに隣接する第2発光ユニットU2Bの第2有機発光層162の中心が、第2電極層20から測った距離L2Bが約270nmにおいて、全光束φのピークに近い値が得られている。また、図28に示すように、第2発光ユニットU2Gに隣接する第3発光ユニットU3GRの第3有機発光層163の中心が、第2電極層20から測った距離L3GRが約270nmにおいて、全光束φのピークに近い値が得られている。図26および図27に示すように、全光束φのピーク値からは多少ずれるが、距離L2Bと距離L3GRの差Δは、50nm程度とることができる。
【0072】
また、第5の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置1においては、第1電極層12と第2電極層20間に挟まれた層の総厚Ltは、360nm以下にすることができる。
【0073】
第5の実施の形態によれば、MPE構造を最適化し、低コスト化、高電力効率化を実現したボトムエミッション型のダブル発光型の薄型MPE構造の有機EL装置を提供することができる。
【0074】
(第6の実施の形態)
第1〜第5の実施の形態においては、3つ以上の複数の発光ユニットU1〜Unを積層した薄型MPE構造の有機EL装置1について、有機発光層の位置や、電荷発生層の位置を規定しているが、これは、3つ以上の複数の発光ユニットU1〜Unを積層した薄型MPE構造の有機EL装置に限定される技術ではない。
【0075】
第6の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2の模式的断面構造は、図29に示すように、2つの発光ユニットU1・U2を積層した薄型MPE構造の有機EL装置2を規定するものである。第6の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2は、ボトムエミッション型に対応する。
【0076】
第6の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2は、図29に示すように、光透過可能な基板10と、基板10上に配置された光透過可能な第1電極層12と、第1電極層12上に積層して配置され、有機発光層161・162を中心に正孔輸送層141・142および電子輸送層181・182からなる第1発光ユニットU1・第2発光ユニットU2と、第1発光ユニットU1・第2発光ユニットU2の間に介在して配置された電荷発生層221と、積層方向の最上部の第1発光ユニットU2上に配置された第2電極層20とを備え、第2電極層20に隣接する第1発光ユニットU1の第1有機発光層161の中心が、第2電極層20から測った距離L1は30nm〜90nmであり、第1発光ユニットU1に隣接する第2発光ユニットU2の第2有機発光層162の中心が、第2電極層から測った距離L2は195nm〜255nmである。
【0077】
また、第6の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2において、図29に示すように、第1発光ユニットU1と第2発光ユニットU2間に配置された第1電荷発生層221が、第2電極層20から測った距離LG1は、60nm〜225nmであっても良い。
【0078】
それぞれの発光ユニットU1・U2は、有機発光層161・162を中心に正孔輸送層141・142および電子輸送層181・182からなる。積層の順序は、例えば、第1電極層12から第2電極層20の方向に向けて、正孔輸送層141・142、有機発光層161・162および電子輸送層181・182の順序であっても、或いは電子輸送層181・182、有機発光層161・162および正孔輸送層141・142の順序であっても良い。すなわち、第1電極層12と第2電極層20との間に印加するバイアス電圧の極性に応じて適宜積層順序を選択可能である。
【0079】
その他の構成は、3ユニット以上のMPE構造に関する第1の実施の形態に係る有機EL装置1と同様であるため、重複説明は省略する。
【0080】
第6の実施の形態によれば、2ユニット構成のMPE構造を最適化し、低コスト化、高電力効率化を実現したボトムエミッション型の薄型MPE構造の有機EL装置を提供することができる。
【0081】
(第7の実施の形態)
図29に示す構造において、第1発光ユニットU1および第2発光ユニットU2は、いずれか一方がマルチ有機発光層を有していても良い。
【0082】
第7の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2の模式的断面構造は、図30に示すように、2つの発光ユニットU1・U2の内、第1発光ユニットU1の第1有機発光層161がマルチ有機発光層LE11・LE12を有する。また、マルチ有機発光層LE11・LE12の内、相対的に発光波長が短い有機発光層LE11ほど第2電極層20に近く配置する。図7〜9から明らかなように、高い全光束を得るのに適した発光層の位置は、発光波長が短い発光層ほど、第2電極層20側にシフトするからである。第7の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2は、ボトムエミッション型に対応する。
【0083】
第7の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2は、図30に示すように、光透過可能な基板10と、基板10上に配置された光透過可能な第1電極層12と、第1電極層12上に積層して配置され、マルチ有機発光層161(LE11・LE12)を中心に正孔輸送層141および電子輸送層181からなる第1発光ユニットU1と、有機発光層162を中心に正孔輸送層142および電子輸送層182からなる第2発光ユニットU2と、第1発光ユニットU1・第2発光ユニットU2間に介在して配置された電荷発生層221と、積層方向の最上部の第1発光ユニットU1上に配置された第2電極層20とを備え、第2電極層20に隣接する第1発光ユニットU1の第1有機発光層161(LE11・LE12)の中心が、第2電極層20から測った距離L1は30nm〜90nmであり、第1発光ユニットU1に隣接する第2発光ユニットU2の有機発光層162の中心が、第2電極層から測った距離L2は195nm〜255nmである。
【0084】
また、第7の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2において、第1発光ユニットU1と第2発光ユニットU2間に配置された第1電荷発生層221が、第2電極層20から測った距離LG1は、60nm〜225nmであっても良い。
【0085】
それぞれの発光ユニットU1・U2は、有機発光層161・162を中心に正孔輸送層141・142および電子輸送層181・182からなる。積層の順序は、例えば、第1電極層12から第2電極層20の方向に向けて、正孔輸送層141・142、有機発光層161・162および電子輸送層181・182の順序であっても、或いは電子輸送層181・182、有機発光層161・162および正孔輸送層141・142の順序であっても良い。すなわち、第1電極層12と第2電極層20との間に印加するバイアス電圧の極性に応じて適宜積層順序を選択可能である。
【0086】
第7の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2において、発光ユニットU1・U2内における発光色の組み合わせは、図31に示すようにまとめて表示可能である。
【0087】
図31においては、例えば、青色(B)発光層には蛍光材料を適用し、緑色(G)発光層および赤色(R)発光層にはリン光材料を適用するハイブリッド方式を採用しても良い。
【0088】
1発光ユニット当たりで出力可能な内部量子効率は、100%(蛍光発光材料の場合は、約25%)の上限がある。1発光ユニット内で複数色発光させると、内部量子効率は、複数色で分配することになる。したがって、上記のハイブリッド方式(青色(B)発光層には蛍光材料を適用し、緑色(G)発光層および赤色(R)発光層にはリン光材料を適用する)の場合、1発光ユニット内で青色(B)発光層と他の色の発光層を組み合わせることは得策ではない。したがって、ハイブリッド方式の場合、発光ユニットU2に単独で蛍光材料の青色(B)発光層を適用する例1が最も適した配色構造となる。
【0089】
なお、緑色(G)発光層および赤色(R)発光層に加えて青色(B)発光層にもリン光材料を適用することも可能である。
【0090】
その他の構成は、3ユニット以上のMPE構造に関する第1の実施の形態に係る有機EL装置1と同様であるため、重複説明は省略する。
【0091】
(変形例1)
図29に示す構造において、第1発光ユニットU1および第2発光ユニットU2は、いずれか一方がマルチ有機発光層を有していても良い。
【0092】
第7の実施の形態の変形例1に係る薄型MPE構造の有機EL装置2の模式的断面構造は、図32に示すように、2つの発光ユニットU1・U2の内、第2発光ユニットU2の第2有機発光層162がマルチ有機発光層LE21・LE22を有する。また、マルチ有機発光層LE21・LE22の内、相対的に発光波長が短い有機発光層LE21ほど第2電極層20に近く配置する。図7〜9から明らかなように、高い全光束を得るのに適した発光層の位置は、発光波長が短い発光層ほど、第2電極層20側にシフトするからである。第7の実施の形態の変形例1に係る薄型MPE構造の有機EL装置2は、ボトムエミッション型に対応する。
【0093】
第7の実施の形態の変形例1に係る薄型MPE構造の有機EL装置2は、図32に示すように、光透過可能な基板10と、基板10上に配置された光透過可能な第1電極層12と、第1電極層12上に積層して配置され、有機発光層161を中心に正孔輸送層141および電子輸送層181からなる第1発光ユニットU1と、有機発光層162(LE21・LE22)を中心に正孔輸送層142および電子輸送層182からなる第2発光ユニットU2と、第1発光ユニットU1・第2発光ユニットU2間に介在して配置された電荷発生層221と、積層方向の最上部の第1発光ユニットU1上に配置された第2電極層20とを備え、第2電極層20に隣接する第1発光ユニットU1の第1有機発光層161の中心が、第2電極層20から測った距離は30nm〜90nmであり、第1発光ユニットU1に隣接する第2発光ユニットU2の有機発光層162(LE21・LE22)の中心が、第2電極層から測った距離は195nm〜255nmである。
【0094】
また、第7の実施の形態の変形例1に係る薄型MPE構造の有機EL装置2において、第1発光ユニットU1と第2発光ユニットU2間に配置された第1電荷発生層221が、第2電極層20から測った距離LG1は、60nm〜225nmであっても良い。
【0095】
それぞれの発光ユニットU1・U2は、有機発光層161・162を中心に正孔輸送層141・142および電子輸送層181・182からなる。積層の順序は、例えば、第1電極層12から第2電極層20の方向に向けて、正孔輸送層141・142、有機発光層161・162および電子輸送層181・182の順序であっても、或いは電子輸送層181・182、有機発光層161・162および正孔輸送層141・142の順序であっても良い。すなわち、第1電極層12と第2電極層20との間に印加するバイアス電圧の極性に応じて適宜積層順序を選択可能である。
【0096】
第7の実施の形態の変形例1に係る薄型MPE構造の有機EL装置2において、発光ユニットU1・U2内における発光色の組み合わせは、図33に示すようにまとめて表示可能である。
【0097】
図33においては、例えば、青色(B)発光層には蛍光材料を適用し、緑色(G)発光層および赤色(R)発光層にはリン光材料を適用するハイブリッド方式を採用しても良い。
【0098】
1発光ユニット当たりで出力可能な内部量子効率は、100%(蛍光発光材料の場合は、約25%)の上限があり、1発光ユニット内で複数色発光させると、内部量子効率は、複数色で分配することになる。したがって、上記のハイブリッド方式(青色(B)発光層には蛍光材料を適用し、緑色(G)発光層および赤色(R)発光層にはリン光材料を適用する)の場合、1発光ユニット内で青色(B)発光層と他の色の発光層を組み合わせることは得策ではない。したがって、ハイブリッド方式の場合、発光ユニットU1に単独で蛍光材料の青色(B)発光層を適用する例4が最も適した配色構造となる、
なお、緑色(G)発光層および赤色(R)発光層に加えて、青色(B)発光層にもリン光材料を適用することも可能である。
【0099】
その他の構成は、3ユニット以上のMPE構造に関する第1の実施の形態に係る有機EL装置1と同様であるため、重複説明は省略する。
【0100】
(変形例2)
図29に示す構造において、第1発光ユニットU1および第2発光ユニットU2は、両方がマルチ有機発光層を有していても良い。
【0101】
第7の実施の形態の変形例2に係る薄型MPE構造の有機EL装置2の模式的断面構造は、図34に示すように、2つの発光ユニットU1・U2の内、第1発光ユニットU1の第1有機発光層161がマルチ有機発光層LE11・LE12を有し、第2発光ユニットU2の第2有機発光層162がマルチ有機発光層LE21・LE22を有する。また、マルチ有機発光層161(LE11・LE12)およびマルチ有機発光層162(LE21・LE22)の内、相対的に発光波長が短い有機発光層LE11・LE21ほど第2電極層20に近く配置する。図7〜9から明らかなように、高い全光束を得るのに適した発光層の位置は、発光波長が短い発光層ほど、第2電極層20側にシフトするからである。第7の実施の形態の変形例2に係る薄型MPE構造の有機EL装置2は、ボトムエミッション型に対応する。
【0102】
第7の実施の形態の変形例2に係る薄型MPE構造の有機EL装置2は、図34に示すように、光透過可能な基板10と、基板10上に配置された光透過可能な第1電極層12と、第1電極層12上に積層して配置され、マルチ有機発光層161(LE11・LE12)を中心に正孔輸送層141および電子輸送層181からなる第1発光ユニットU1と、有機発光層162(LE21・LE22)を中心に正孔輸送層142および電子輸送層182からなる第2発光ユニットU2と、第1発光ユニットU1・第2発光ユニットU2間に介在して配置された電荷発生層221と、積層方向の最上部の第1発光ユニットU1上に配置された第2電極層20とを備え、第2電極層20に隣接する第1発光ユニットU1の第1有機発光層161(LE11・LE12)の中心が、第2電極層20から測った距離は30nm〜90nmであり、第1発光ユニットU1に隣接する第2発光ユニットU2の有機発光層162(LE21・LE22)の中心が、第2電極層から測った距離は195nm〜255nmである。
【0103】
また、第7の実施の形態の変形例2に係る薄型MPE構造の有機EL装置2において、第1発光ユニットU1と第2発光ユニットU2間に配置された第1電荷発生層221が、第2電極層20から測った距離LG1は、60nm〜225nmであっても良い。
【0104】
それぞれの発光ユニットU1・U2は、有機発光層161・162を中心に正孔輸送層141・142および電子輸送層181・182からなる。積層の順序は、例えば、第1電極層12から第2電極層20の方向に向けて、正孔輸送層141・142、有機発光層161・162および電子輸送層181・182の順序であっても、或いは電子輸送層181・182、有機発光層161・162および正孔輸送層141・142の順序であっても良い。すなわち、第1電極層12と第2電極層20との間に印加するバイアス電圧の極性に応じて適宜積層順序を選択可能である。
【0105】
(具体例)
第7の実施の形態の変形例1に係る薄型MPE構造の有機EL装置2の具体例は、図35に示すように表される。
【0106】
図35においては、発光ユニットU1のマルチ有機発光層161(LE11・LE12)は、それぞれライトブルー(Light Blue)発光層LELB1・緑赤色発光層LEGR1で形成され、発光ユニットU2の有機発光層162(LE2)は、青色発光層LEB2で形成されている。ここで、緑赤色発光層LEGR1は、2種の発光材料を同一発光層に分散させている。図35の例では、発光材料数・発光層数は、LELB1・LEGR1・LEB2の4個・3個である。
【0107】
第7の実施の形態の変形例2に係る薄型MPE構造の有機EL装置2において、発光ユニットU1・U2内における発光色の組み合わせは、例えば、図36〜図38に示すように表示可能である。
【0108】
図36においては、発光ユニットU1のマルチ有機発光層161(LE11・LE12)は、それぞれ青色発光層LEB1・赤色発光層LER1で形成され、発光ユニットU2のマルチ有機発光層162(LE21・LE22)は、それぞれ青色発光層LEB2・緑色発光層LEG2で形成される。図36の例では、発光材料数・発光層数は、LEB1・LER1・LEB2・LEG2の3個・4個である。
【0109】
図37においては、発光ユニットU1のマルチ有機発光層161(LE11・LE12)は、それぞれ緑色発光層LEG1・赤色発光層LER1で形成され、発光ユニットU2のマルチ有機発光層162(LE21・LE22)は、それぞれ青色発光層LEB2・黄色発光層LEY2で形成される。図37の例では、発光材料数・発光層数は、LEG1・LER1・LEB2・LEY2の4個・4個である。
【0110】
図38においては、発光ユニットU1のマルチ有機発光層161(LE11・LE12)は、それぞれ緑色発光層LEB1・黄色発光層LEY1で形成され、発光ユニットU2のマルチ有機発光層162(LE21・LE22)は、それぞれ青色発光層LEB2・黄色発光層LEY2で形成される。図38の例では、発光材料数・発光層数は、LEB1・LEY1・LEB2・LEY2の2個・4個である。
【0111】
第7の実施の形態の変形例2に係る薄型MPE構造の有機EL装置2においては、例えば、青色(B)発光層には蛍光材料を適用し、緑色(G)発光層および赤色(R)発光層にはリン光材料を適用するハイブリッド方式を採用しても良い。また、青色(B)発光層、緑色(G)発光層および赤色(R)発光層に共にリン光材料を適用することも可能である。
【0112】
その他の構成は、3ユニット以上のMPE構造に関する第1の実施の形態に係る有機EL装置1と同様であるため、重複説明は省略する。
【0113】
第7の実施の形態およびその変形例1〜2によれば、2ユニット構成のMPE構造を最適化し、低コスト化、高電力効率化を実現したボトムエミッション型の薄型MPE構造の有機EL装置を提供することができる。
【0114】
(第8の実施の形態)
第1〜第5の実施の形態においては、3つ以上の複数の発光ユニットU1〜Unを積層した薄型MPE構造の有機EL装置1について、有機発光層の位置や、電荷発生層の位置を規定しているが、これは、3つ以上の複数の発光ユニットU1〜Unを積層した薄型MPE構造の有機EL装置に限定される技術ではない。
【0115】
第8の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2の模式的断面構造は、図39に示すように、2つの発光ユニットU1・U2を積層した薄型MPE構造の有機EL装置2を規定するものである。第8の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2は、トップエミッション型に対応する。
【0116】
第8の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2は、図39に示すように、基板10と、基板10上に配置された第2電極層20と、第2電極層20上に積層して配置され、有機発光層161・162を中心に正孔輸送層141・142および電子輸送層181・182からなる第1発光ユニットU1・第2発光ユニットU2と、第1発光ユニットU1・第2発光ユニットU2の間に介在して配置された電荷発生層221と、積層方向の最上部の第2発光ユニットU2上に配置された光透過可能な第1電極層12とを備え、第2電極層20に隣接する第1発光ユニットU1の第1有機発光層161の中心が、第2電極層20から測った距離L1は30nm〜90nmであり、第1発光ユニットU1に隣接する第2発光ユニットU2の第2有機発光層162の中心が、第2電極層から測った距離L2は195nm〜255nmである。
【0117】
また、第8の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2において、図39に示すように、第1発光ユニットU1と第2発光ユニットU2間に配置された第1電荷発生層221が、第2電極層20から測った距離LG1は、60nm〜225nmであっても良い。
【0118】
それぞれの発光ユニットU1・U2は、有機発光層161・162を中心に正孔輸送層141・142および電子輸送層181・182からなる。積層の順序は、例えば、第1電極層12から第2電極層20の方向に向けて、正孔輸送層141・142、有機発光層161・162および電子輸送層181・182の順序であっても、或いは電子輸送層181・182、有機発光層161・162および正孔輸送層141・142の順序であっても良い。すなわち、第1電極層12と第2電極層20との間に印加するバイアス電圧の極性に応じて適宜積層順序を選択可能である。
【0119】
その他の構成は、3ユニット以上のMPE構造に関する第1の実施の形態に係る有機EL装置1と同様であるため、重複説明は省略する。
【0120】
第8の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2においても、図39に示す構造において、第1発光ユニットU1および第2発光ユニットU2は、いずれか一方もしくは両方がマルチ有機発光層を有していても良い。
【0121】
第8の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2においても、マルチ有機発光層161(LE11・LE12)およびマルチ有機発光層162(LE21・LE22)の内、相対的に発光波長が短い有機発光層LE11・LE21ほど第2電極層20に近く配置する。図7〜9から明らかなように、高い全光束を得るのに適した発光層の位置は、発光波長が短い発光層ほど、第2電極層20側にシフトするからである。
【0122】
第8の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2においても、第7の実施の形態およびその変形例1〜2に係る薄型MPE構造の有機EL装置2と同様の構成を採用可能である。
【0123】
また、第8の実施の形態に係る薄型MPE構造の有機EL装置2においても、図35〜図38に示すような具体例と同様の構成を採用可能である。
【0124】
第8の実施の形態によれば、2ユニット構成のMPE構造を最適化し、低コスト化、高電力効率化を実現したトップエミッション型の薄型MPE構造の有機EL装置を提供することができる。
【0125】
以上より、本発明によれば、MPE構造を最適化し、低コスト化、高電力効率化を実現した薄型MPE構造の有機EL装置を提供することができる。
【0126】
[その他の実施の形態]
上記のように、本発明は第1〜第8の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0127】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明の有機EL装置は、有機発光デバイス、フラットパネルディスプレイ,フレキシブルディスプレイを実現するための有機ELディスプレイなどのフレキシブルエレクトロニクス分野、および透明エレクトロニクス分野、さらに照明機器、有機レーザ、太陽電池、ガスセンサ、味覚センサ,匂いセンサなどのバイオセンサなど幅広い分野において適用可能である。
【符号の説明】
【0129】
1、2…有機EL装置
10…基板
12…第1電極層(陽極)
14、141,142,143…正孔輸送層(HTL)
16、161,162,163…有機発光層(EML)
18、181,182,183…電子輸送層(ETL)
20…第2電極層(陰極)
22、221,222…電荷発生層(CGL)
U1、U2、U3、U1B,U1G、U1R、U1BR、U2B,U2G、U2R、U2BG、U3B,U3G、U3R、U3GR…発光ユニット
L…発光位置―陰極間距離
LE1、LE2、LE11、LE12、LE21、LE22、LELB1、LEGR1、LEB1、LEB2、LEG1、LEG2、LER1、LEY1、LEY2…有機発光層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過可能な基板と、
前記基板上に配置された光透過可能な第1電極層と、
前記第1電極層上に積層して配置され、有機発光層を中心に正孔輸送層および電子輸送層からなる3つ以上の複数の発光ユニットと、
前記発光ユニット間に介在して配置された複数の電荷発生層と、
前記複数の発光ユニットの内、積層方向の最上部に配設された前記発光ユニット上に配置された第2電極層と
を備え、前記第1電極層と前記第2電極層間に挟まれた層の総厚が360nm以下であることを特徴とする有機EL装置。
【請求項2】
前記複数の発光ユニットの内、前記第2電極層に隣接する第1発光ユニットの第1有機発光層の中心が、前記第2電極層から測った距離は30nm〜90nmであり、
前記複数の発光ユニットの内、前記第1発光ユニットに隣接する第2発光ユニットの第2有機発光層の中心が、前記第2電極層から測った距離は195nm〜255nmであり、
前記複数の発光ユニットの内、前記第2発光ユニットに隣接する第3発光ユニットの第3有機発光層の中心が、前記第2電極層測った距離は245nm〜305nmであることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
【請求項3】
前記複数の電荷発生層の内、前記第1発光ユニットと前記第2発光ユニット間に配置された第1電荷発生層は、第2電極層から測った距離が60nm〜225nmであり、
前記複数の電荷発生層の内、前記第2発光ユニットと前記第3発光ユニット間に配置された第2電荷発生層は、第2電極層から測った距離が225nm〜275nmであることを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL装置。
【請求項4】
基板と、
前記基板上に配置された第2電極層と、
前記第2電極層上に積層して配置され、有機発光層を中心に正孔輸送層および電子輸送層からなる3つ以上の複数の発光ユニットと、
前記発光ユニット間に介在して配置された複数の電荷発生層と、
前記複数の発光ユニットの内、積層方向の最上部に配設された前記発光ユニット上に配置された光透過可能な第1電極層と
を備え、前記第1電極層と前記第2電極層間に挟まれた層の総厚が360nm以下であることを特徴とする有機EL装置。
【請求項5】
前記複数の発光ユニットの内、前記第2電極層に隣接する第1発光ユニットの第1有機発光層の中心が、前記第2電極層から測った距離が30nm〜90nmであり、
前記複数の発光ユニットの内、前記第1発光ユニットに隣接する第2発光ユニットの第2有機発光層の中心が、前記第2電極層から測った距離が195nm〜255nmであり、
前記複数の発光ユニットの内、前記第2発光ユニットに隣接する第3発光ユニットの第3有機発光層の中心が、前記第2電極層から測った距離が245nm〜305nmであることを特徴とする請求項4に記載の有機EL装置。
【請求項6】
前記複数の電荷発生層の内、前記第1発光ユニットと前記第2発光ユニット間に配置された第1電荷発生層は、第2電極層から測った距離が60nm〜225nmであり、
前記複数の電荷発生層の内、前記第2発光ユニットと前記第3発光ユニット間に配置された第2電荷発生層は、第2電極層から測った距離が225nm〜275nmであることを特徴とする請求項4または5に記載の有機EL装置。
【請求項7】
前記複数の発光ユニットを有する有機EL装置において、
第2発光ユニット内の発光波長のピークより第1発光ユニット内の発光波長のピークの方が長く、
第1発光ユニット内の発光波長のピークより第3発光ユニット内の発光波長のピークの方が長いことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項8】
前記複数の発光ユニットを有する有機EL装置において、
第2発光ユニット内の発光波長のピークより第3発光ユニット内の発光波長のピークの方が長く、
第3発光ユニット内の発光波長のピークより第1発光ユニット内の発光波長のピークの方が長いことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項9】
前記複数の発光ユニットを有する有機EL装置において、
第1発光ユニット内の発光波長のピークより第2発光ユニット内の発光波長のピークの方が長く、
第2発光ユニット内の発光波長のピークより第3発光ユニット内の発光波長のピークの方が長いことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項10】
前記複数の発光ユニットを有する有機EL装置において、
第1発光ユニット内の発光波長のピークより第3発光ユニット内の発光波長のピークの方が長く、
第2発光ユニット内の発光波長のピークより第3発光ユニット内の発光波長のピークの方が長いことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項11】
前記複数の発光ユニットの内、前記第2電極層に隣接する第1発光ユニットの発光波長のピークが500nm〜600nmにあり、
前記複数の発光ユニットの内、前記第1発光ユニットに隣接する第2発光ユニットの発光波長のピークが400nm〜500nmにあり、
前記複数の発光ユニットの内、前記第2発光ユニットに隣接する第3発光ユニットの発光波長のピークが550nm〜700nmにあることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項12】
前記複数の発光ユニットの内、前記第2電極層に隣接する第1発光ユニットの発光波長のピークが550nm〜700nmにあり、
前記複数の発光ユニットの内、前記第1発光ユニットに隣接する第2発光ユニットの発光波長のピークが400nm〜500nmにあり、
前記複数の発光ユニットの内、前記第2発光ユニットに隣接する第3発光ユニットの発光波長のピークが500nm〜600nmにあることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項13】
前記複数の発光ユニットの内、前記第2電極層に隣接する第1発光ユニットの発光波長のピークが400nm〜500nmにあり、
前記複数の発光ユニットの内、前記第1発光ユニットに隣接する第2発光ユニットの発光波長のピークが500nm〜600nmにあり、
前記複数の発光ユニットの内、前記第2発光ユニットに隣接する第3発光ユニットの発光波長のピークが550nm〜700nmにあることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項14】
前記複数の発光ユニットの内、前記第2電極層に隣接する第1発光ユニットの発光波長のピークが400nm〜500nmにあり、
前記複数の発光ユニットの内、前記第1発光ユニットに隣接する第2発光ユニットの発光波長のピークが400nm〜500nmにあり、
前記複数の発光ユニットの内、前記第2発光ユニットに隣接する第3発光ユニットのダブル発光波長のピークが500nm〜700nmにあることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項15】
前記複数の発光ユニットの内、すくなくともいずれか1つの発光ユニットが、ダブル発光層を備えることを特徴とする請求項1または4に記載の有機EL装置。
【請求項16】
光透過可能な基板と、
前記基板上に配置された光透過可能な第1電極層と、
前記第1電極層上に積層して配置され、有機発光層を中心に正孔輸送層および電子輸送層からなる第1発光ユニットおよび第2発光ユニットと、
前記第1発光ユニットと前記第2発光ユニットの間に介在して配置された電荷発生層と、
積層方向の最上部の前記第1発光ユニット上に配置された第2電極層と
を備え、
前記第2電極層に隣接する第1発光ユニットの第1有機発光層の中心が、前記第2電極層から測った距離は30nm〜90nmであり、
前記第1発光ユニットに隣接する第2発光ユニットの第2有機発光層の中心が、前記第2電極層から測った距離は195nm〜255nmであることを特徴とする有機EL装置。
【請求項17】
前記第2電極層から測った前記電荷発生層の中心までの距離が60nm〜225nmであることを特徴とする請求項16に記載の有機EL装置。
【請求項18】
前記第1発光ユニットおよび前記第2発光ユニットは、いずれか一方もしくは両方がマルチ有機発光層を有することを特徴とする請求項16または17に記載の有機EL装置。
【請求項19】
前記マルチ有機発光層の内、発光波長が短い有機発光層ほど前記第2電極層に近く配置したことを特徴とする請求項18に記載の有機EL装置。
【請求項20】
基板と、
前記基板上に配置された第2電極層と、
前記第2電極層上に積層して配置され、有機発光層を中心に正孔輸送層および電子輸送層からなる第1発光ユニットおよび第2発光ユニットと、
前記第1発光ユニットと前記第2発光ユニットの間に介在して配置された電荷発生層と、
積層方向の最上部の前記第2発光ユニット上に配置された光透過可能な第1電極層と
を備え、
前記第1電極層に隣接する第2発光ユニットの第2有機発光層の中心が、前記第2電極層から測った距離は195nm〜255nmであり、
前記第2発光ユニットに隣接する第1発光ユニットの第1有機発光層の中心が、前記第2電極層から測った距離は30nm〜90nmであることを特徴とする有機EL装置。
【請求項21】
前記第2電極層から測った前記電荷発生層の中心までの距離が60nm〜225nmであることを特徴とする請求項20に記載の有機EL装置。
【請求項22】
前記第1発光ユニットおよび前記第2発光ユニットは、いずれか一方もしくは両方にマルチ有機発光層を備えることを特徴とする請求項20または21に記載の有機EL装置。
【請求項23】
前記マルチ有機発光層は、発光波長が短い有機発光層ほど前記第2電極層に近く配置したことを特徴とする請求項22に記載の有機EL装置。
【請求項1】
光透過可能な基板と、
前記基板上に配置された光透過可能な第1電極層と、
前記第1電極層上に積層して配置され、有機発光層を中心に正孔輸送層および電子輸送層からなる3つ以上の複数の発光ユニットと、
前記発光ユニット間に介在して配置された複数の電荷発生層と、
前記複数の発光ユニットの内、積層方向の最上部に配設された前記発光ユニット上に配置された第2電極層と
を備え、前記第1電極層と前記第2電極層間に挟まれた層の総厚が360nm以下であることを特徴とする有機EL装置。
【請求項2】
前記複数の発光ユニットの内、前記第2電極層に隣接する第1発光ユニットの第1有機発光層の中心が、前記第2電極層から測った距離は30nm〜90nmであり、
前記複数の発光ユニットの内、前記第1発光ユニットに隣接する第2発光ユニットの第2有機発光層の中心が、前記第2電極層から測った距離は195nm〜255nmであり、
前記複数の発光ユニットの内、前記第2発光ユニットに隣接する第3発光ユニットの第3有機発光層の中心が、前記第2電極層測った距離は245nm〜305nmであることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
【請求項3】
前記複数の電荷発生層の内、前記第1発光ユニットと前記第2発光ユニット間に配置された第1電荷発生層は、第2電極層から測った距離が60nm〜225nmであり、
前記複数の電荷発生層の内、前記第2発光ユニットと前記第3発光ユニット間に配置された第2電荷発生層は、第2電極層から測った距離が225nm〜275nmであることを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL装置。
【請求項4】
基板と、
前記基板上に配置された第2電極層と、
前記第2電極層上に積層して配置され、有機発光層を中心に正孔輸送層および電子輸送層からなる3つ以上の複数の発光ユニットと、
前記発光ユニット間に介在して配置された複数の電荷発生層と、
前記複数の発光ユニットの内、積層方向の最上部に配設された前記発光ユニット上に配置された光透過可能な第1電極層と
を備え、前記第1電極層と前記第2電極層間に挟まれた層の総厚が360nm以下であることを特徴とする有機EL装置。
【請求項5】
前記複数の発光ユニットの内、前記第2電極層に隣接する第1発光ユニットの第1有機発光層の中心が、前記第2電極層から測った距離が30nm〜90nmであり、
前記複数の発光ユニットの内、前記第1発光ユニットに隣接する第2発光ユニットの第2有機発光層の中心が、前記第2電極層から測った距離が195nm〜255nmであり、
前記複数の発光ユニットの内、前記第2発光ユニットに隣接する第3発光ユニットの第3有機発光層の中心が、前記第2電極層から測った距離が245nm〜305nmであることを特徴とする請求項4に記載の有機EL装置。
【請求項6】
前記複数の電荷発生層の内、前記第1発光ユニットと前記第2発光ユニット間に配置された第1電荷発生層は、第2電極層から測った距離が60nm〜225nmであり、
前記複数の電荷発生層の内、前記第2発光ユニットと前記第3発光ユニット間に配置された第2電荷発生層は、第2電極層から測った距離が225nm〜275nmであることを特徴とする請求項4または5に記載の有機EL装置。
【請求項7】
前記複数の発光ユニットを有する有機EL装置において、
第2発光ユニット内の発光波長のピークより第1発光ユニット内の発光波長のピークの方が長く、
第1発光ユニット内の発光波長のピークより第3発光ユニット内の発光波長のピークの方が長いことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項8】
前記複数の発光ユニットを有する有機EL装置において、
第2発光ユニット内の発光波長のピークより第3発光ユニット内の発光波長のピークの方が長く、
第3発光ユニット内の発光波長のピークより第1発光ユニット内の発光波長のピークの方が長いことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項9】
前記複数の発光ユニットを有する有機EL装置において、
第1発光ユニット内の発光波長のピークより第2発光ユニット内の発光波長のピークの方が長く、
第2発光ユニット内の発光波長のピークより第3発光ユニット内の発光波長のピークの方が長いことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項10】
前記複数の発光ユニットを有する有機EL装置において、
第1発光ユニット内の発光波長のピークより第3発光ユニット内の発光波長のピークの方が長く、
第2発光ユニット内の発光波長のピークより第3発光ユニット内の発光波長のピークの方が長いことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項11】
前記複数の発光ユニットの内、前記第2電極層に隣接する第1発光ユニットの発光波長のピークが500nm〜600nmにあり、
前記複数の発光ユニットの内、前記第1発光ユニットに隣接する第2発光ユニットの発光波長のピークが400nm〜500nmにあり、
前記複数の発光ユニットの内、前記第2発光ユニットに隣接する第3発光ユニットの発光波長のピークが550nm〜700nmにあることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項12】
前記複数の発光ユニットの内、前記第2電極層に隣接する第1発光ユニットの発光波長のピークが550nm〜700nmにあり、
前記複数の発光ユニットの内、前記第1発光ユニットに隣接する第2発光ユニットの発光波長のピークが400nm〜500nmにあり、
前記複数の発光ユニットの内、前記第2発光ユニットに隣接する第3発光ユニットの発光波長のピークが500nm〜600nmにあることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項13】
前記複数の発光ユニットの内、前記第2電極層に隣接する第1発光ユニットの発光波長のピークが400nm〜500nmにあり、
前記複数の発光ユニットの内、前記第1発光ユニットに隣接する第2発光ユニットの発光波長のピークが500nm〜600nmにあり、
前記複数の発光ユニットの内、前記第2発光ユニットに隣接する第3発光ユニットの発光波長のピークが550nm〜700nmにあることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項14】
前記複数の発光ユニットの内、前記第2電極層に隣接する第1発光ユニットの発光波長のピークが400nm〜500nmにあり、
前記複数の発光ユニットの内、前記第1発光ユニットに隣接する第2発光ユニットの発光波長のピークが400nm〜500nmにあり、
前記複数の発光ユニットの内、前記第2発光ユニットに隣接する第3発光ユニットのダブル発光波長のピークが500nm〜700nmにあることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項15】
前記複数の発光ユニットの内、すくなくともいずれか1つの発光ユニットが、ダブル発光層を備えることを特徴とする請求項1または4に記載の有機EL装置。
【請求項16】
光透過可能な基板と、
前記基板上に配置された光透過可能な第1電極層と、
前記第1電極層上に積層して配置され、有機発光層を中心に正孔輸送層および電子輸送層からなる第1発光ユニットおよび第2発光ユニットと、
前記第1発光ユニットと前記第2発光ユニットの間に介在して配置された電荷発生層と、
積層方向の最上部の前記第1発光ユニット上に配置された第2電極層と
を備え、
前記第2電極層に隣接する第1発光ユニットの第1有機発光層の中心が、前記第2電極層から測った距離は30nm〜90nmであり、
前記第1発光ユニットに隣接する第2発光ユニットの第2有機発光層の中心が、前記第2電極層から測った距離は195nm〜255nmであることを特徴とする有機EL装置。
【請求項17】
前記第2電極層から測った前記電荷発生層の中心までの距離が60nm〜225nmであることを特徴とする請求項16に記載の有機EL装置。
【請求項18】
前記第1発光ユニットおよび前記第2発光ユニットは、いずれか一方もしくは両方がマルチ有機発光層を有することを特徴とする請求項16または17に記載の有機EL装置。
【請求項19】
前記マルチ有機発光層の内、発光波長が短い有機発光層ほど前記第2電極層に近く配置したことを特徴とする請求項18に記載の有機EL装置。
【請求項20】
基板と、
前記基板上に配置された第2電極層と、
前記第2電極層上に積層して配置され、有機発光層を中心に正孔輸送層および電子輸送層からなる第1発光ユニットおよび第2発光ユニットと、
前記第1発光ユニットと前記第2発光ユニットの間に介在して配置された電荷発生層と、
積層方向の最上部の前記第2発光ユニット上に配置された光透過可能な第1電極層と
を備え、
前記第1電極層に隣接する第2発光ユニットの第2有機発光層の中心が、前記第2電極層から測った距離は195nm〜255nmであり、
前記第2発光ユニットに隣接する第1発光ユニットの第1有機発光層の中心が、前記第2電極層から測った距離は30nm〜90nmであることを特徴とする有機EL装置。
【請求項21】
前記第2電極層から測った前記電荷発生層の中心までの距離が60nm〜225nmであることを特徴とする請求項20に記載の有機EL装置。
【請求項22】
前記第1発光ユニットおよび前記第2発光ユニットは、いずれか一方もしくは両方にマルチ有機発光層を備えることを特徴とする請求項20または21に記載の有機EL装置。
【請求項23】
前記マルチ有機発光層は、発光波長が短い有機発光層ほど前記第2電極層に近く配置したことを特徴とする請求項22に記載の有機EL装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【公開番号】特開2012−227118(P2012−227118A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−10835(P2012−10835)
【出願日】平成24年1月23日(2012.1.23)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月23日(2012.1.23)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
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