木質梁材の製造装置
【課題】木質梁材の製造作業の効率性向上。
【解決手段】搬送されるフランジA2、A3の嵌合溝A20、A30に接着剤を塗布する接着剤塗布部2と、フランジA2、A3とウェブA1とを一体化する嵌合部動作部3と、を備える。接着剤塗布部2は、フランジA2、A3を支持する搬送支持部2A、2Bと、搬送されるフランジA2、A3の嵌合溝A20、A30に上方から接着剤を塗布するノズル2C、2Dと、を備え、嵌合動作部3は、ウェブA1を載置するウェブ載置部3Cと、搬送されるフランジA2、A3を、ウェブA1のフランジ嵌合縁A10、A11と平行に載置するフランジ載置部3A、3Bと、フランジ載置部3A、3Bを嵌合溝A20、A30がフランジ嵌合縁A10、A11と正対するように回転させるとともに、フランジ載置部3A、3Bを嵌合溝A20、A30がフランジ嵌合縁A10、A11に嵌合するように移動させる嵌合動作部3と、を備えた。
【解決手段】搬送されるフランジA2、A3の嵌合溝A20、A30に接着剤を塗布する接着剤塗布部2と、フランジA2、A3とウェブA1とを一体化する嵌合部動作部3と、を備える。接着剤塗布部2は、フランジA2、A3を支持する搬送支持部2A、2Bと、搬送されるフランジA2、A3の嵌合溝A20、A30に上方から接着剤を塗布するノズル2C、2Dと、を備え、嵌合動作部3は、ウェブA1を載置するウェブ載置部3Cと、搬送されるフランジA2、A3を、ウェブA1のフランジ嵌合縁A10、A11と平行に載置するフランジ載置部3A、3Bと、フランジ載置部3A、3Bを嵌合溝A20、A30がフランジ嵌合縁A10、A11と正対するように回転させるとともに、フランジ載置部3A、3Bを嵌合溝A20、A30がフランジ嵌合縁A10、A11に嵌合するように移動させる嵌合動作部3と、を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質梁材の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
木質梁材には、フランジの全長にわたって形成された嵌合溝を、ウェブの長手方向側の両端に嵌合接着させてなるアイビームと呼ばれるものがある。このアイビームは、軽量であるとともに、長尺物で継手が不要であり、且つ梁幅が広く、しかも、歪みや狂いが少ない構造体であるという利点を有していることから、主に、建築物の床梁材、天井梁材、屋根梁材等として使用されている。
【0003】
図14は、アイビームA’の構成を示しており、このアイビームA’は、図15及び図16に示す製造装置100によって製造される。この製造装置100は、2本のフランジ200、200を、互いの嵌合溝201、201が水平方向で対向するように支持し、この嵌合溝201、201に、水平方向に接着剤を噴射して塗布するようになっている(図15参照)。また、接着剤の塗布後、フランジ200、200の間にウェブ300に支持するとともに、フランジ200、200をウェブ300に向かって水平方向に移動させることによって、ウェブ300の長手方向側の両端に、嵌合溝201、201が嵌合してアイビームA’を製造するようになっている(図16参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この製造装置100は、嵌合溝201、201を水平方向に向け、この水平方向から接着剤を噴射して塗布するものであるため、嵌合溝201、201に噴射された接着剤の流出やこの流出による塗りむらが生じ、歪みや狂いを有する低品質なアイビームA’が製造されてしまうという問題があった。また、流出した接着剤が、製造装置100の各部や製造されたアイビームA’等に付着することで、製造装置100のトラブルやアイビームA’に寸法の狂い及び汚れが生じてしまうという問題があった。また、製造装置の各部に付着した接着剤の清掃作業に相当の時間や労力を要し、この時間や労力がアイビームA’の製造作業の効率性を低下させる要因となっていた。
【0005】
尚、本発明に関連する先行技術文献のうち、出願人が当該特許出願時に知っているものがないので、開示すべき先行技術文献情報はない。
【0006】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、嵌合溝からの接着剤の流出を防止できること、嵌合溝からの接着剤の流出を防止することで、ウェブとフランジとの嵌合接着が正確、且つ確実にできること、製造装置の各部への接着剤の付着を防止できること、高品質の木質梁材の製造ができること、製造装置における各部の清掃作業の時間や労力を軽減できること、製造装置における各部の清掃作業の時間や労力を軽減することで、木質梁材の製造作業の効率性を向上できること、等が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明による木質梁材の製造装置は、以下の構成を少なくとも具備するものである。
【0008】
2本のフランジと一枚のウェブとからなり、前記フランジの全長にわたって形成された嵌合溝をウェブの両端のフランジ嵌合縁に夫々嵌合接着することで構成される木質梁材の製造装置において、搬送される前記フランジの前記嵌合溝に接着剤を塗布する接着剤塗布部と、接着剤が塗布された前記フランジと前記ウェブとを一体化する嵌合部動作部と、を備え、前記接着剤塗布部は、前記嵌合溝が上向きになるように前記フランジを支持する搬送支持部と、搬送される前記フランジの前記嵌合溝に上方から接着剤を塗布するノズルと、を備え、前記嵌合動作部は、前記ウェブを載置するウェブ載置部と、搬送される前記フランジを、前記ウェブ載置部に載置された前記ウェブの前記フランジ嵌合縁と平行に載置するフランジ載置部と、前記フランジ載置部を前記嵌合溝が前記フランジ嵌合縁と正対するように回転させるとともに、前記フランジ載置部を前記嵌合溝が前記フランジ嵌合縁に嵌合するように移動させる嵌合動作部と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このような特徴を有することで本発明は以下の効果を奏する。すなわち、上向きの嵌合溝に上方から接着剤を塗布後に、フランジを嵌合溝がフランジ嵌合縁と正対するように回転させるとともに、嵌合溝がフランジ嵌合縁に嵌合するように移動させて、フランジとウェブとを一体化するものであるため、嵌合溝からの接着剤の流出を防止できる。嵌合溝からの接着剤の流出を防止することで、ウェブとフランジとの嵌合接着が正確、且つ確実にできるとともに、製造装置の各部への接着剤の付着を防止できる。これにより、高品質の木質梁材の製造ができるとともに、製造装置における各部の清掃作業の時間や労力を軽減できる。製造装置における各部の清掃作業の時間や労力を軽減することで、木質梁材の製造作業の効率性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】木質梁材の斜視図。
【図2】本発明に係る製造装置の概略平面図。
【図3】図2の(3)-(3)線断面図。
【図4】図2の(4)-(4)線断面図で一方側の接着剤塗布部を示す。
【図5】図2の(5)-(5)線断面図。
【図6】図3の(6)-(6)線断面図。
【図7】図2の(5)-(5)線断面図であって、回転動作部を作動させてフランジ載置部を回転させた状態を示す。
【図8】図2の(6)-(6)線断面図であって、回転動作部を作動させてフランジ載置部を回転させた状態を示す。
【図9】図2の(5)-(5)線断面図であって、スライド動作部を作動させて嵌合溝をフランジ嵌合縁に嵌合させた状態を示す。
【図10】図2の(6)-(6)線断面図であって、スライド動作部を作動させて嵌合溝をフランジ嵌合縁に嵌合させた状態を示す。
【図11】図5の(11)-(11)線断面図で、押動部及びフランジ載置部のみを示す。
【図12】図7の(12)-(12)線断面図で、押動部及びフランジ載置部のみを示す。
【図13】図9の(13)-(13)線断面図で、押動部及びフランジ載置部のみを示す。
【図14】従来の木質梁材の斜視図。
【図15】従来の製造装置の概略図。
【図16】従来の製造装置の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで木質梁材は、アイビームと呼ばれる木質I型梁材に限るものではなく、ウェブの両側縁にフランジを有する形態の木質梁材を含む。また、木質梁材は、木質集成材からなるもの又は無垢の木材からなるもの、或いは、木質集成材と無垢の木材とからなるもの、いずれの木質梁材も含む。
【0012】
フランジの嵌合溝とウェブのフランジ嵌合縁とを、より確実に嵌合できる構成として、フランジ載置部に載置されたフランジの前端又は後端を上方へ押し上げるように押動する押動部を備えることが好ましい。
【0013】
以下、本発明に係る実施形態の木質梁材の製造装置1を図面に基づいて説明する。ここで例示する木質梁材Aは、ウェブA1のフランジ嵌合縁A10、A11にフランジA2、A3の嵌合溝A20、A30を嵌合固着することで構成されるアイビームである(図1参照)。
【0014】
図2〜図13は、木質梁材Aの製造装置1の概略構成図である。製造装置1は、フランジA2、A3の嵌合溝A20、A30に接着剤を塗布する接着剤塗布部2、2と、ウェブA1と接着剤が塗布されたフランジA2、A3とを一体化する嵌合動作部3と、フランジA2、A3を嵌合溝A20、A30が上向き状態となるように載置して接着剤塗布部2、2及び嵌合動作部3に搬送する搬送コンベア4A、4Bとを備えている。
【0015】
搬送コンベア4A、4Bは、フランジA2、A3を、その長手方向を搬送方向に沿わせて接着剤塗布部2、2方向に搬送するものである。
【0016】
接着剤塗布部2、2は、搬送コンベア4A、4Bから搬送されるフランジA2、A3を搬送方向と平行となるように押さえるとともに、搬送コンベア4A、4BによるフランジA2、A3の搬送を阻害しないように支持する搬送支持部2A、2Bと、搬送支持部2A、2Bに支持されるフランジA2、A3における嵌合溝A20、A30の直上に配置され、搬送中において嵌合溝A20、A30に接着剤を流し入れるように塗布するノズル2C、2Dとから構成されている。
【0017】
搬送支持部2A、2Bは、フランジA2、A3を上下から挟むように配置された縦押さえローラ20、21と、フランジA2、A3を両側から挟むように配置された横押さえローラ22、23とから構成されている。
【0018】
縦押さえローラ20は、位置が固定された複数のローラであり、フランジA2、A3の下面を支持するように配置されている。縦押さえローラ21は、縦押さえローラ20の上方に配置され、この縦押さえローラ20に対して接近・離間するように設けられており、縦押さえローラ20に接近してフランジA2の上面に接触することによって、縦押さえローラ20とでフランジA2、A3を上下から挟むように支持するようになっている(図4参照)。
【0019】
縦押さえローラ21を上下動させる構成は、例えば、シリンダの伸縮によって上下動させる構成としてもよいし、モータの回転を上下方向の動作に変換する変換手段によって上下動させる構成としてもよい(図示せず)。
【0020】
横押さえローラ22は、位置が固定された複数のローラであり、フランジA2、A3の長手方向の一側面を支持するように配置されている。横押さえローラ23は、接近・離間するように設けられた2個のローラであり、フランジA2、A3を挟んで横押さえローラ22と対向し、フランジA2、A3の長手方向の他側面を支持するように配置されており、横押さえローラ22に接近してフランジA2、A3の他側面に接触することによって、横押さえローラ22とでフランジA2、A3を両側から挟むように支持するようになっている(図4参照)。
【0021】
横押さえローラ23を水平動させる構成は、例えば、シリンダの伸縮によって水平動させる構成としてもよいし、モータの回転を水平方向の動作に変換する変換手段によって水平動させる構成としてもよい(図示せず)。縦押さえローラ20、21及び横押さえローラの22、23の個数は、例示した個数に限らない。
【0022】
このような搬送支持部2A、2Bによると、搬送コンベア4A、4Bが搬送するフランジA2、A3を上下方向及び両側方向から支持することで、フランジA2、A3の上下方向のガタツキや左右のずれを防止して、このフランジA2、A3を搬送方向と平行に搬送させることができる。
【0023】
尚、フランジA2、A3の上下方向のガタツキや左右のずれを防止して、このフランジA2を搬送方向と平行に搬送させるための構成は、例示した搬送支持部2A、2Bに限らない。
【0024】
ノズル2C、2Dは、搬送支持部2Aの下流側、且つ搬送されるフランジA2、A3の上方、更に嵌合溝A20、A30の直上に位置するように配置されており、搬送支持部2A、2Bで支持されながら搬送されるフランジA2、A3の嵌合溝A20、A20に上方から接着剤を流し入れるように塗布するようになっている。ノズル2C、2Dは、その位置をフランジA2、A3の上下方向及び幅方向に調整できるようになっている(図4参照)。
【0025】
このノズル2C、2Dの位置調整の構成は、例えば、手動によってノズル2C、2Dの位置を変更することで位置調整を行う構成としてもよいし、シリンダやモータによってノズル2C、2Dの位置を変更することで位置調整を行う構成としてもよい。
【0026】
ノズル2C、2Dによる接着剤塗布は、フランジA2、A3の搬送動作中において嵌合溝A20、A30の全長にわたって行われるように制御されている。この制御として、例えば、位置センサ(図示せず)を備え、この位置センサが搬送されるフランジA2、A3がノズル2C、2Dと正対する位置となったことを検出したときに、ノズル2C、2Dの接着剤塗布を開始するようにし、位置センサが非検出状態となったときに、フランジA2、A3がノズル2C、2Dを通過したとして、ノズル2C、2Dの接着剤塗布を停止させる制御が挙げられる。
【0027】
尚、ノズル2C、2Dの接着剤塗布開始及び停止の制御は、例示した制御に限らず、フランジA2、A3の搬送動作中において嵌合溝A20、A30の全長にわたって接着剤塗布ができる制御であればよい。また、ノズル2C、2Dの接着剤塗布開始及び停止は、作業者が目視によって手動で行ってもよい。
【0028】
嵌合動作部3は、搬送コンベア4A、4Bから搬送され、接着剤が塗布されたフランジA2、A3を載置するフランジ載置部3A、3Bと、フランジ載置部3A、3Bの間に配置され、ウェブA1を載置するウェブ載置部3Cと、ウェブ載置部3Cに載置されたウェブA1を固定するウェブ支持部3Dと、フランジ載置部3A、3Bに載置されたフランジA2、A3を不動状態に支持するフランジ支持部3E、3Fと、フランジ載置部3A、3Bを、嵌合溝A20、A30がフランジ嵌合縁A10、A11と正対するように回転させる回転動作部3G、3Hと、回転したフランジ載置部3A、3Bを、嵌合溝A20、A30がフランジ嵌合縁A10、A11に嵌合するようにスライド移動させるスライド動作部3Iとから構成されている。
【0029】
フランジ載置部3A、3Bは、両側部に側壁30、31を立設したコンベアである。このフランジ載置部3A、3Bは、載置面32側がウェブ載置部3C方向に向いて直角となるように回転可能に支持されているとともに、互いに近接・離間する方向にスライドするように支持されている(図5〜図10参照)。
【0030】
フランジ載置部3A、3Bは、レールRにスライド可能に載置されたスライド体30A、30Bに、載置面32側がウェブ載置部3C方向に向いて直角となるように回転可能に支持されている。レールRは、スライド体30A、30B間にわたり、このスライド体30A、30Bが、互いに近接・離間する方向にスライドするように設けられている。
【0031】
ウェブ載置部3Cは、フランジ載置部3A、3Bがウェブ載置部3C方向に向いて直角となるように回転したときに、フランジ載置部3A、3Bに載置されたフランジA2、A3の嵌合溝A20、A30が、ウェブ載置部3Cに載置されたウェブA1のフランジ嵌合縁A10、A11と正対する高さに配置されている。
【0032】
ウェブ支持部3Dは、ウェブA1を上方から押し付けてウェブ載置部3Cに固定するものである。ウェブ支持部3Dは、ウェブA1を吸い付けてウェブ載置部3Cに運搬して載置するバキューム装置4の前後2箇所に、シリンダ30Dの伸縮によって上下スライド可能に設けられている。シリンダ30Dの先端には、ウェブA1の前後縁を上方から押し付ける押付部31Dが設けられており、この押付部31Dがシリンダ30Dの伸長によってウェブA1をウェブ載置部3Cに押し付けて固定し、シリンダ30Dの収縮によってウェブA1の固定を解除するようになっている。
【0033】
フランジ支持部3E、3Fは、フランジ載置部3A、3Bの側壁30に、側壁31に対して近接・離間する方向に伸縮するように設けられた複数のシリンダであり、このフランジ支持部3E、3Fの伸長によって、載置されたフランジのA2、A3の一側を側壁31に押し付けてこのフランジA2、A3を不動状態に固定するようになっている(図5、図7、図9参照)。
【0034】
回転動作部3G、3Hは、フランジ載置部3A、3Bを押し上げるように設けられたシリンダであり、この回転動作部3G、3Hの伸縮により、フランジ載置部3A、3Bを回転させるようになっている(図5、図7、図9参照)。
【0035】
スライド動作部3Iは、シリンダ33と、シリンダ33とスライド体30A、30Bとにわたって設けられたリンク機構34とから構成されている。シリンダ33は、フランジ載置部3A、3Bの長手方向と平行に伸縮するように設けられており、このシリンダ33の伸長動作に伴って、リンク機構34がスライド体30A、30Bを互いに近接させる方向にスライドさせるようになっている。すなわち、このリンク機構34によるスライド体30A、30Bのスライドに伴って、フランジ載置部3A、3Bが互いに近接する方向へスライドすることによって、嵌合溝A20、A30をフランジ嵌合縁A10、A11に嵌合させることができる。
【0036】
スライド動作部3Iの構成は、フランジ載置部3A、3Bが互いに近接する方向へスライドさせることができる構成であればよく、例示した構成に限らない。例えば、リンク機構34の個数を図示において1個としているが、このリンク機構34の個数は、複数個としてもよく、嵌合動作部3の長さに応じて増減してもよい。
【0037】
このような、嵌合動作部3によると、フランジA2、A3が載置固定された状態でフランジ載置部3A、3Bを回転させるとともに、嵌合溝A20、A30がフランジ嵌合縁A10、A11に嵌合するようにスライド移動させることによって、フランジA2、A3をウェブA1に嵌合固定して木質梁材Aを形成することができる。
【0038】
木質梁材Aの形成後には、フランジ載置部3A、3Bを木質梁材Aから離間する方向にスライドさせるとともに、フランジA2、A3を可能な状態(載置面32が平行)となるように回転させ、且つウェブ支持部3Dのウェブ支持状態を解除する。そして、ウェブ載置部3Cに載置された木質梁材Aは、バキューム装置4で吸い上げて製造装置1外に運搬して排出することができる。木質梁材Aの排出は、ウェブ載置部3Cをコンベアとし、このウェブ載置部3Cの搬送動作によって排出するようにすることもできる。
【0039】
ここでは、フランジの嵌合溝とウェブのフランジ嵌合縁とをより確実に嵌合するため、フランジ載置部3A、3Bに載置されたフランジA2、A3の前端を上方へ押し上げるように押動して、フランジA2、A3の前端から後端までの範囲を傾斜させる押動部6を備えている。尚、押動部6は、フランジA2、A3の後端を押し上げる位置に配置してもよい。
【0040】
押動部6は、フランジ載置部3A、3Bの前端外側に設けられたストッパ60と、ストッパとフランジ載置部3A、3Bの前端の間に設けられた押動シリンダ61とから構成されている。ストッパ60は、フランジ載置部3A、3Bの搬送動作で搬送されるフランジA2、A3の前端がフランジ載置部3A、3Bの前端から突出した状態で接触することで、フランジA2、A3の前端を押動シリンダ61の直上に位置させるようになっている。
【0041】
押動シリンダ61は、上下方向に伸縮するように配置されており、フランジA2、A3がストッパ60に接触し、フランジ支持部3E、3Fによりフランジ載置部3A、3Bに載置された状態で伸長して、フランジA2、A3の前端を持ち上げることによって、フランジA2、A3をその前端が最高部となり、後端が最低部となるように傾斜させるようになっている(図11参照)。
【0042】
押動部6によって傾斜したフランジA2、A3を、フランジ支持部3E、3Fでフランジ載置部3A、3Bに固定支持して、このフランジ載置部3A、3Bを回転させることによって、フランジA2、A3の前端の嵌合溝がフランジ嵌合縁に最も近く、後端の嵌合溝がフランジ嵌合縁に最も遠い状態にすることができる(図12参照)。そのため、フランジ載置部3A、3Bをスライド移動させて、嵌合溝A20、A30をフランジ嵌合縁A10、A11に嵌合させる際に、フランジA2、A3の前端から後端に向かって徐々に嵌合させるようにすることができる(図13参照)。すなわち、フランジA2、A3の前端から後端へ徐々に嵌合溝A20、A30をフランジ嵌合縁A10、A11に嵌合させることによって、嵌合時の摩擦等を軽減するとともに、嵌合溝A20、A30内の空気が前端から後端へ嵌合方向に沿って順序良く抜かれていくので、スムーズな嵌合を達成することができる。
【0043】
また、フランジA2、A3の長さによっては、押動シリンダ61で持ち上げたときに前端から中途までの範囲がしなり、この中途から後端にかけてフランジ載置部3A、3Bに接触した状態となり、前述のフランジA2、A3の前端が最高部となり、後端が最低部となるような傾斜状態にならない場合がある。このような場合においても、フランジA2、A3の前端から中途へ徐々に嵌合溝A20、A30をフランジ嵌合縁A10、A11に嵌合させることができるため、嵌合時の摩擦等を軽減するとともに、嵌合溝A20、A30内の空気が前端から後端へ嵌合方向に沿って順序良く抜かれていくので、スムーズな嵌合を達成することができる。
【0044】
尚、本発明は、例示した実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1:製造装置
2:接着剤塗布部
3:嵌合動作部
6:押動部
2A:搬送支持部
2B:搬送支持部
2C:ノズル
2D:ノズル
3A:フランジ載置部
3B:フランジ載置部
3C:ウェブ載置部
A:木質梁材
A1:ウェブ
A2:フランジ
A3:フランジ
A20:嵌合溝
A30:嵌合溝
A10:フランジ嵌合縁
A11:フランジ嵌合縁
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質梁材の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
木質梁材には、フランジの全長にわたって形成された嵌合溝を、ウェブの長手方向側の両端に嵌合接着させてなるアイビームと呼ばれるものがある。このアイビームは、軽量であるとともに、長尺物で継手が不要であり、且つ梁幅が広く、しかも、歪みや狂いが少ない構造体であるという利点を有していることから、主に、建築物の床梁材、天井梁材、屋根梁材等として使用されている。
【0003】
図14は、アイビームA’の構成を示しており、このアイビームA’は、図15及び図16に示す製造装置100によって製造される。この製造装置100は、2本のフランジ200、200を、互いの嵌合溝201、201が水平方向で対向するように支持し、この嵌合溝201、201に、水平方向に接着剤を噴射して塗布するようになっている(図15参照)。また、接着剤の塗布後、フランジ200、200の間にウェブ300に支持するとともに、フランジ200、200をウェブ300に向かって水平方向に移動させることによって、ウェブ300の長手方向側の両端に、嵌合溝201、201が嵌合してアイビームA’を製造するようになっている(図16参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この製造装置100は、嵌合溝201、201を水平方向に向け、この水平方向から接着剤を噴射して塗布するものであるため、嵌合溝201、201に噴射された接着剤の流出やこの流出による塗りむらが生じ、歪みや狂いを有する低品質なアイビームA’が製造されてしまうという問題があった。また、流出した接着剤が、製造装置100の各部や製造されたアイビームA’等に付着することで、製造装置100のトラブルやアイビームA’に寸法の狂い及び汚れが生じてしまうという問題があった。また、製造装置の各部に付着した接着剤の清掃作業に相当の時間や労力を要し、この時間や労力がアイビームA’の製造作業の効率性を低下させる要因となっていた。
【0005】
尚、本発明に関連する先行技術文献のうち、出願人が当該特許出願時に知っているものがないので、開示すべき先行技術文献情報はない。
【0006】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、嵌合溝からの接着剤の流出を防止できること、嵌合溝からの接着剤の流出を防止することで、ウェブとフランジとの嵌合接着が正確、且つ確実にできること、製造装置の各部への接着剤の付着を防止できること、高品質の木質梁材の製造ができること、製造装置における各部の清掃作業の時間や労力を軽減できること、製造装置における各部の清掃作業の時間や労力を軽減することで、木質梁材の製造作業の効率性を向上できること、等が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明による木質梁材の製造装置は、以下の構成を少なくとも具備するものである。
【0008】
2本のフランジと一枚のウェブとからなり、前記フランジの全長にわたって形成された嵌合溝をウェブの両端のフランジ嵌合縁に夫々嵌合接着することで構成される木質梁材の製造装置において、搬送される前記フランジの前記嵌合溝に接着剤を塗布する接着剤塗布部と、接着剤が塗布された前記フランジと前記ウェブとを一体化する嵌合部動作部と、を備え、前記接着剤塗布部は、前記嵌合溝が上向きになるように前記フランジを支持する搬送支持部と、搬送される前記フランジの前記嵌合溝に上方から接着剤を塗布するノズルと、を備え、前記嵌合動作部は、前記ウェブを載置するウェブ載置部と、搬送される前記フランジを、前記ウェブ載置部に載置された前記ウェブの前記フランジ嵌合縁と平行に載置するフランジ載置部と、前記フランジ載置部を前記嵌合溝が前記フランジ嵌合縁と正対するように回転させるとともに、前記フランジ載置部を前記嵌合溝が前記フランジ嵌合縁に嵌合するように移動させる嵌合動作部と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このような特徴を有することで本発明は以下の効果を奏する。すなわち、上向きの嵌合溝に上方から接着剤を塗布後に、フランジを嵌合溝がフランジ嵌合縁と正対するように回転させるとともに、嵌合溝がフランジ嵌合縁に嵌合するように移動させて、フランジとウェブとを一体化するものであるため、嵌合溝からの接着剤の流出を防止できる。嵌合溝からの接着剤の流出を防止することで、ウェブとフランジとの嵌合接着が正確、且つ確実にできるとともに、製造装置の各部への接着剤の付着を防止できる。これにより、高品質の木質梁材の製造ができるとともに、製造装置における各部の清掃作業の時間や労力を軽減できる。製造装置における各部の清掃作業の時間や労力を軽減することで、木質梁材の製造作業の効率性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】木質梁材の斜視図。
【図2】本発明に係る製造装置の概略平面図。
【図3】図2の(3)-(3)線断面図。
【図4】図2の(4)-(4)線断面図で一方側の接着剤塗布部を示す。
【図5】図2の(5)-(5)線断面図。
【図6】図3の(6)-(6)線断面図。
【図7】図2の(5)-(5)線断面図であって、回転動作部を作動させてフランジ載置部を回転させた状態を示す。
【図8】図2の(6)-(6)線断面図であって、回転動作部を作動させてフランジ載置部を回転させた状態を示す。
【図9】図2の(5)-(5)線断面図であって、スライド動作部を作動させて嵌合溝をフランジ嵌合縁に嵌合させた状態を示す。
【図10】図2の(6)-(6)線断面図であって、スライド動作部を作動させて嵌合溝をフランジ嵌合縁に嵌合させた状態を示す。
【図11】図5の(11)-(11)線断面図で、押動部及びフランジ載置部のみを示す。
【図12】図7の(12)-(12)線断面図で、押動部及びフランジ載置部のみを示す。
【図13】図9の(13)-(13)線断面図で、押動部及びフランジ載置部のみを示す。
【図14】従来の木質梁材の斜視図。
【図15】従来の製造装置の概略図。
【図16】従来の製造装置の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで木質梁材は、アイビームと呼ばれる木質I型梁材に限るものではなく、ウェブの両側縁にフランジを有する形態の木質梁材を含む。また、木質梁材は、木質集成材からなるもの又は無垢の木材からなるもの、或いは、木質集成材と無垢の木材とからなるもの、いずれの木質梁材も含む。
【0012】
フランジの嵌合溝とウェブのフランジ嵌合縁とを、より確実に嵌合できる構成として、フランジ載置部に載置されたフランジの前端又は後端を上方へ押し上げるように押動する押動部を備えることが好ましい。
【0013】
以下、本発明に係る実施形態の木質梁材の製造装置1を図面に基づいて説明する。ここで例示する木質梁材Aは、ウェブA1のフランジ嵌合縁A10、A11にフランジA2、A3の嵌合溝A20、A30を嵌合固着することで構成されるアイビームである(図1参照)。
【0014】
図2〜図13は、木質梁材Aの製造装置1の概略構成図である。製造装置1は、フランジA2、A3の嵌合溝A20、A30に接着剤を塗布する接着剤塗布部2、2と、ウェブA1と接着剤が塗布されたフランジA2、A3とを一体化する嵌合動作部3と、フランジA2、A3を嵌合溝A20、A30が上向き状態となるように載置して接着剤塗布部2、2及び嵌合動作部3に搬送する搬送コンベア4A、4Bとを備えている。
【0015】
搬送コンベア4A、4Bは、フランジA2、A3を、その長手方向を搬送方向に沿わせて接着剤塗布部2、2方向に搬送するものである。
【0016】
接着剤塗布部2、2は、搬送コンベア4A、4Bから搬送されるフランジA2、A3を搬送方向と平行となるように押さえるとともに、搬送コンベア4A、4BによるフランジA2、A3の搬送を阻害しないように支持する搬送支持部2A、2Bと、搬送支持部2A、2Bに支持されるフランジA2、A3における嵌合溝A20、A30の直上に配置され、搬送中において嵌合溝A20、A30に接着剤を流し入れるように塗布するノズル2C、2Dとから構成されている。
【0017】
搬送支持部2A、2Bは、フランジA2、A3を上下から挟むように配置された縦押さえローラ20、21と、フランジA2、A3を両側から挟むように配置された横押さえローラ22、23とから構成されている。
【0018】
縦押さえローラ20は、位置が固定された複数のローラであり、フランジA2、A3の下面を支持するように配置されている。縦押さえローラ21は、縦押さえローラ20の上方に配置され、この縦押さえローラ20に対して接近・離間するように設けられており、縦押さえローラ20に接近してフランジA2の上面に接触することによって、縦押さえローラ20とでフランジA2、A3を上下から挟むように支持するようになっている(図4参照)。
【0019】
縦押さえローラ21を上下動させる構成は、例えば、シリンダの伸縮によって上下動させる構成としてもよいし、モータの回転を上下方向の動作に変換する変換手段によって上下動させる構成としてもよい(図示せず)。
【0020】
横押さえローラ22は、位置が固定された複数のローラであり、フランジA2、A3の長手方向の一側面を支持するように配置されている。横押さえローラ23は、接近・離間するように設けられた2個のローラであり、フランジA2、A3を挟んで横押さえローラ22と対向し、フランジA2、A3の長手方向の他側面を支持するように配置されており、横押さえローラ22に接近してフランジA2、A3の他側面に接触することによって、横押さえローラ22とでフランジA2、A3を両側から挟むように支持するようになっている(図4参照)。
【0021】
横押さえローラ23を水平動させる構成は、例えば、シリンダの伸縮によって水平動させる構成としてもよいし、モータの回転を水平方向の動作に変換する変換手段によって水平動させる構成としてもよい(図示せず)。縦押さえローラ20、21及び横押さえローラの22、23の個数は、例示した個数に限らない。
【0022】
このような搬送支持部2A、2Bによると、搬送コンベア4A、4Bが搬送するフランジA2、A3を上下方向及び両側方向から支持することで、フランジA2、A3の上下方向のガタツキや左右のずれを防止して、このフランジA2、A3を搬送方向と平行に搬送させることができる。
【0023】
尚、フランジA2、A3の上下方向のガタツキや左右のずれを防止して、このフランジA2を搬送方向と平行に搬送させるための構成は、例示した搬送支持部2A、2Bに限らない。
【0024】
ノズル2C、2Dは、搬送支持部2Aの下流側、且つ搬送されるフランジA2、A3の上方、更に嵌合溝A20、A30の直上に位置するように配置されており、搬送支持部2A、2Bで支持されながら搬送されるフランジA2、A3の嵌合溝A20、A20に上方から接着剤を流し入れるように塗布するようになっている。ノズル2C、2Dは、その位置をフランジA2、A3の上下方向及び幅方向に調整できるようになっている(図4参照)。
【0025】
このノズル2C、2Dの位置調整の構成は、例えば、手動によってノズル2C、2Dの位置を変更することで位置調整を行う構成としてもよいし、シリンダやモータによってノズル2C、2Dの位置を変更することで位置調整を行う構成としてもよい。
【0026】
ノズル2C、2Dによる接着剤塗布は、フランジA2、A3の搬送動作中において嵌合溝A20、A30の全長にわたって行われるように制御されている。この制御として、例えば、位置センサ(図示せず)を備え、この位置センサが搬送されるフランジA2、A3がノズル2C、2Dと正対する位置となったことを検出したときに、ノズル2C、2Dの接着剤塗布を開始するようにし、位置センサが非検出状態となったときに、フランジA2、A3がノズル2C、2Dを通過したとして、ノズル2C、2Dの接着剤塗布を停止させる制御が挙げられる。
【0027】
尚、ノズル2C、2Dの接着剤塗布開始及び停止の制御は、例示した制御に限らず、フランジA2、A3の搬送動作中において嵌合溝A20、A30の全長にわたって接着剤塗布ができる制御であればよい。また、ノズル2C、2Dの接着剤塗布開始及び停止は、作業者が目視によって手動で行ってもよい。
【0028】
嵌合動作部3は、搬送コンベア4A、4Bから搬送され、接着剤が塗布されたフランジA2、A3を載置するフランジ載置部3A、3Bと、フランジ載置部3A、3Bの間に配置され、ウェブA1を載置するウェブ載置部3Cと、ウェブ載置部3Cに載置されたウェブA1を固定するウェブ支持部3Dと、フランジ載置部3A、3Bに載置されたフランジA2、A3を不動状態に支持するフランジ支持部3E、3Fと、フランジ載置部3A、3Bを、嵌合溝A20、A30がフランジ嵌合縁A10、A11と正対するように回転させる回転動作部3G、3Hと、回転したフランジ載置部3A、3Bを、嵌合溝A20、A30がフランジ嵌合縁A10、A11に嵌合するようにスライド移動させるスライド動作部3Iとから構成されている。
【0029】
フランジ載置部3A、3Bは、両側部に側壁30、31を立設したコンベアである。このフランジ載置部3A、3Bは、載置面32側がウェブ載置部3C方向に向いて直角となるように回転可能に支持されているとともに、互いに近接・離間する方向にスライドするように支持されている(図5〜図10参照)。
【0030】
フランジ載置部3A、3Bは、レールRにスライド可能に載置されたスライド体30A、30Bに、載置面32側がウェブ載置部3C方向に向いて直角となるように回転可能に支持されている。レールRは、スライド体30A、30B間にわたり、このスライド体30A、30Bが、互いに近接・離間する方向にスライドするように設けられている。
【0031】
ウェブ載置部3Cは、フランジ載置部3A、3Bがウェブ載置部3C方向に向いて直角となるように回転したときに、フランジ載置部3A、3Bに載置されたフランジA2、A3の嵌合溝A20、A30が、ウェブ載置部3Cに載置されたウェブA1のフランジ嵌合縁A10、A11と正対する高さに配置されている。
【0032】
ウェブ支持部3Dは、ウェブA1を上方から押し付けてウェブ載置部3Cに固定するものである。ウェブ支持部3Dは、ウェブA1を吸い付けてウェブ載置部3Cに運搬して載置するバキューム装置4の前後2箇所に、シリンダ30Dの伸縮によって上下スライド可能に設けられている。シリンダ30Dの先端には、ウェブA1の前後縁を上方から押し付ける押付部31Dが設けられており、この押付部31Dがシリンダ30Dの伸長によってウェブA1をウェブ載置部3Cに押し付けて固定し、シリンダ30Dの収縮によってウェブA1の固定を解除するようになっている。
【0033】
フランジ支持部3E、3Fは、フランジ載置部3A、3Bの側壁30に、側壁31に対して近接・離間する方向に伸縮するように設けられた複数のシリンダであり、このフランジ支持部3E、3Fの伸長によって、載置されたフランジのA2、A3の一側を側壁31に押し付けてこのフランジA2、A3を不動状態に固定するようになっている(図5、図7、図9参照)。
【0034】
回転動作部3G、3Hは、フランジ載置部3A、3Bを押し上げるように設けられたシリンダであり、この回転動作部3G、3Hの伸縮により、フランジ載置部3A、3Bを回転させるようになっている(図5、図7、図9参照)。
【0035】
スライド動作部3Iは、シリンダ33と、シリンダ33とスライド体30A、30Bとにわたって設けられたリンク機構34とから構成されている。シリンダ33は、フランジ載置部3A、3Bの長手方向と平行に伸縮するように設けられており、このシリンダ33の伸長動作に伴って、リンク機構34がスライド体30A、30Bを互いに近接させる方向にスライドさせるようになっている。すなわち、このリンク機構34によるスライド体30A、30Bのスライドに伴って、フランジ載置部3A、3Bが互いに近接する方向へスライドすることによって、嵌合溝A20、A30をフランジ嵌合縁A10、A11に嵌合させることができる。
【0036】
スライド動作部3Iの構成は、フランジ載置部3A、3Bが互いに近接する方向へスライドさせることができる構成であればよく、例示した構成に限らない。例えば、リンク機構34の個数を図示において1個としているが、このリンク機構34の個数は、複数個としてもよく、嵌合動作部3の長さに応じて増減してもよい。
【0037】
このような、嵌合動作部3によると、フランジA2、A3が載置固定された状態でフランジ載置部3A、3Bを回転させるとともに、嵌合溝A20、A30がフランジ嵌合縁A10、A11に嵌合するようにスライド移動させることによって、フランジA2、A3をウェブA1に嵌合固定して木質梁材Aを形成することができる。
【0038】
木質梁材Aの形成後には、フランジ載置部3A、3Bを木質梁材Aから離間する方向にスライドさせるとともに、フランジA2、A3を可能な状態(載置面32が平行)となるように回転させ、且つウェブ支持部3Dのウェブ支持状態を解除する。そして、ウェブ載置部3Cに載置された木質梁材Aは、バキューム装置4で吸い上げて製造装置1外に運搬して排出することができる。木質梁材Aの排出は、ウェブ載置部3Cをコンベアとし、このウェブ載置部3Cの搬送動作によって排出するようにすることもできる。
【0039】
ここでは、フランジの嵌合溝とウェブのフランジ嵌合縁とをより確実に嵌合するため、フランジ載置部3A、3Bに載置されたフランジA2、A3の前端を上方へ押し上げるように押動して、フランジA2、A3の前端から後端までの範囲を傾斜させる押動部6を備えている。尚、押動部6は、フランジA2、A3の後端を押し上げる位置に配置してもよい。
【0040】
押動部6は、フランジ載置部3A、3Bの前端外側に設けられたストッパ60と、ストッパとフランジ載置部3A、3Bの前端の間に設けられた押動シリンダ61とから構成されている。ストッパ60は、フランジ載置部3A、3Bの搬送動作で搬送されるフランジA2、A3の前端がフランジ載置部3A、3Bの前端から突出した状態で接触することで、フランジA2、A3の前端を押動シリンダ61の直上に位置させるようになっている。
【0041】
押動シリンダ61は、上下方向に伸縮するように配置されており、フランジA2、A3がストッパ60に接触し、フランジ支持部3E、3Fによりフランジ載置部3A、3Bに載置された状態で伸長して、フランジA2、A3の前端を持ち上げることによって、フランジA2、A3をその前端が最高部となり、後端が最低部となるように傾斜させるようになっている(図11参照)。
【0042】
押動部6によって傾斜したフランジA2、A3を、フランジ支持部3E、3Fでフランジ載置部3A、3Bに固定支持して、このフランジ載置部3A、3Bを回転させることによって、フランジA2、A3の前端の嵌合溝がフランジ嵌合縁に最も近く、後端の嵌合溝がフランジ嵌合縁に最も遠い状態にすることができる(図12参照)。そのため、フランジ載置部3A、3Bをスライド移動させて、嵌合溝A20、A30をフランジ嵌合縁A10、A11に嵌合させる際に、フランジA2、A3の前端から後端に向かって徐々に嵌合させるようにすることができる(図13参照)。すなわち、フランジA2、A3の前端から後端へ徐々に嵌合溝A20、A30をフランジ嵌合縁A10、A11に嵌合させることによって、嵌合時の摩擦等を軽減するとともに、嵌合溝A20、A30内の空気が前端から後端へ嵌合方向に沿って順序良く抜かれていくので、スムーズな嵌合を達成することができる。
【0043】
また、フランジA2、A3の長さによっては、押動シリンダ61で持ち上げたときに前端から中途までの範囲がしなり、この中途から後端にかけてフランジ載置部3A、3Bに接触した状態となり、前述のフランジA2、A3の前端が最高部となり、後端が最低部となるような傾斜状態にならない場合がある。このような場合においても、フランジA2、A3の前端から中途へ徐々に嵌合溝A20、A30をフランジ嵌合縁A10、A11に嵌合させることができるため、嵌合時の摩擦等を軽減するとともに、嵌合溝A20、A30内の空気が前端から後端へ嵌合方向に沿って順序良く抜かれていくので、スムーズな嵌合を達成することができる。
【0044】
尚、本発明は、例示した実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1:製造装置
2:接着剤塗布部
3:嵌合動作部
6:押動部
2A:搬送支持部
2B:搬送支持部
2C:ノズル
2D:ノズル
3A:フランジ載置部
3B:フランジ載置部
3C:ウェブ載置部
A:木質梁材
A1:ウェブ
A2:フランジ
A3:フランジ
A20:嵌合溝
A30:嵌合溝
A10:フランジ嵌合縁
A11:フランジ嵌合縁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本のフランジと一枚のウェブとからなり、前記フランジの全長にわたって形成された嵌合溝をウェブの両端のフランジ嵌合縁に夫々嵌合接着することで構成される木質梁材の製造装置において、搬送される前記フランジの前記嵌合溝に接着剤を塗布する接着剤塗布部と、接着剤が塗布された前記フランジと前記ウェブとを一体化する嵌合部動作部と、を備え、前記接着剤塗布部は、前記嵌合溝が上向きになるように前記フランジを支持する搬送支持部と、搬送される前記フランジの前記嵌合溝に上方から接着剤を塗布するノズルと、を備え、前記嵌合動作部は、前記ウェブを載置するウェブ載置部と、搬送される前記フランジを、前記ウェブ載置部に載置された前記ウェブの前記フランジ嵌合縁と平行に載置するフランジ載置部と、前記フランジ載置部を前記嵌合溝が前記フランジ嵌合縁と正対するように回転させるとともに、前記フランジ載置部を前記嵌合溝が前記フランジ嵌合縁に嵌合するように移動させる嵌合動作部と、を備えていることを特徴とする木質梁材の製造装置。
【請求項2】
前記フランジ載置部に載置された前記フランジの前端又は後端を上方へ押し上げるように押動する押動部を備えていることを特徴とする請求項1記載の木質梁材の製造装置。
【請求項1】
2本のフランジと一枚のウェブとからなり、前記フランジの全長にわたって形成された嵌合溝をウェブの両端のフランジ嵌合縁に夫々嵌合接着することで構成される木質梁材の製造装置において、搬送される前記フランジの前記嵌合溝に接着剤を塗布する接着剤塗布部と、接着剤が塗布された前記フランジと前記ウェブとを一体化する嵌合部動作部と、を備え、前記接着剤塗布部は、前記嵌合溝が上向きになるように前記フランジを支持する搬送支持部と、搬送される前記フランジの前記嵌合溝に上方から接着剤を塗布するノズルと、を備え、前記嵌合動作部は、前記ウェブを載置するウェブ載置部と、搬送される前記フランジを、前記ウェブ載置部に載置された前記ウェブの前記フランジ嵌合縁と平行に載置するフランジ載置部と、前記フランジ載置部を前記嵌合溝が前記フランジ嵌合縁と正対するように回転させるとともに、前記フランジ載置部を前記嵌合溝が前記フランジ嵌合縁に嵌合するように移動させる嵌合動作部と、を備えていることを特徴とする木質梁材の製造装置。
【請求項2】
前記フランジ載置部に載置された前記フランジの前端又は後端を上方へ押し上げるように押動する押動部を備えていることを特徴とする請求項1記載の木質梁材の製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−76329(P2012−76329A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222592(P2010−222592)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(510261762)株式会社三和機械 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(510261762)株式会社三和機械 (1)
【Fターム(参考)】
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