説明

板状体の搬送用容器

【課題】ガラス基板等の板状体を平置き状態で収納する搬送用容器として、振動や落下衝撃等による板状体のコーナー部の保護を良好になしえる容器を提供する。
【解決手段】上方に開口する平面矩形の容器本体1を有する搬送用容器であり、容器本体1の収納部15の側壁内面の四隅部に、側壁内面より拡張形成されたコーナー逃がし用の切欠空間16を設け、切欠空間16の内面から縦横の側壁14a,14bの内面に亘る隅角部近辺領域17の内面に沿って、容器本体1より剛性のある補強材20を装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素板ガラス、液晶表示用やプラズマ表示用のガラス基板等の各種のガラス基板やパネルその他の板状体を搬送、保管するのに使用する板状体の搬送用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、素板ガラス、液晶表示用のガラス基板等の比較的大型のガラス基板、あるいは太陽電池パネルやタッチパネル等のパネルその他の衝撃に弱い板状体を収納して搬送するための搬送用容器として、緩衝性を有する合成樹脂発泡体製の容器本体と蓋体とよりなる容器で、容器本体の一方の相対向する側壁内面に等間隔に並設された縦溝に、前記の板状体を1枚ずつ挿入して相互に接触させないように直立状態に支持して収納するようにしたものが一般に使用されていた。
【0003】
近年、液晶テレビやプラズマテレビの大型化の需要の増大から、テレビ用のガラス基板としても、縦横の一方もしくは両方が100cmを超える大型のガラス基板も採用されており、このため、かかるガラス基板を搬送するための運搬用容器も大型化している。
【0004】
しかし、従来の側壁内面の縦溝によりガラス基板を直立状態にして収容する方式では、大型で重くなったガラス基板のために、ガラス基板自体が自重によって曲げ変形したり、ガラス基板の重量が容器本体の底部に集中して負荷されることで、容器底部が圧縮変形し、クッション機能や衝撃緩和機能が損なわれるおそれがあった。
【0005】
かかる問題を生じさせないために、容器本体内に、ガラス基板と防護用のシートとを交互に重ねて水平状態で収納し、各ガラス基板を防護用のシートを介して面で受けるようにした搬送用容器も出現している。
【0006】
前記のようにガラス基板等の板状体を水平状態で収納する搬送用容器の場合、収納された板状体は、そのコーナー部が輸送時の振動や衝撃による影響を受け易く、容器本体の側壁内面との接触により損傷が生じるおそれがある。
【0007】
このため、例えば、特許文献1では、ガラス基板の搬送用ボックスにおいて、収納されるガラス基板の保護のために、収納されるガラス基板のコーナー部がボックス本体の隅角部に接触するのを防止するように、本体の四隅部に切欠空間を形成した上、本体の側壁内面に間隔をおいて凹条溝を形成することにより、ガラス基板の周端縁の各辺が全長に渡って側壁内面に接触することがないようにしている。
【0008】
しかしながら、容器本体が発泡ポリスチレン等の合成樹脂発泡体よりなるものであって、輸送や運搬作業での上下振動や底部側隅角部からの落下衝撃等による板状体及び容器自体の撓み変形に対するコーナー部の保護の点では充分に満足できないところがある。
【0009】
例えば、図12のように、容器本体101の四隅部に切欠空間116を形成した場合において、収納された板状体Bのコーナー部bが前記切欠空間116の収納部側の開口部分に位置しているが、容器隅角部からの落下の際に、板状体B自体の荷重のために合成樹脂発泡体よりなる容器本体101の隅角部の近傍において側壁114に局部的に強い力が作用して撓み変形することになり、板状体Bのコーナー部bが切欠空間116の内部に入り込み(2点鎖線)、遂には前記コーナー部bが切欠空間116の内面に当接することがある。そうした場合、コーナー部bが破損したり、切欠空間116の内面に亀裂が入り、割れが生じる虞がある。
【0010】
また、特許文献2のように、収納される板状体のコーナー部の保護のために、収納部の隅部に緩衝性を有する補強材を配置して、側壁の過度の変形を防止し板状体のコーナー部を保護するようにしたものもある。
【0011】
しかし、前記提案の場合、前記補強部材は、側壁内面と同一面をなすように配置されているものであり、そのため板状体の端縁が側壁内面に当接することになる上、容器本体の隅角部に板状体のコーナー部を逃がす切欠空間を備えていないために、隅角部落下等の際に板状体のコーナー部が破損したり、容器本体の隅角部が破損する虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−239210号公報
【特許文献2】特開2010−189013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、前記の問題を解決するためになしたものであり、ガラス基板、太陽電池パネル、タッチパネル等の板状体を平置き状態で収納して搬送するための板状体の搬送用容器として、収納された板状体の周縁部の保護を良好になし得るとともに、運搬や輸送作業での振動や落下衝撃、特に容器隅角部からの落下により容器本体の側壁、特に隅角部近傍の側壁に強い力がかかった場合の補強を効果的になし、側壁の撓み、板状体のコーナー部が切欠空間の内面に当接するのを防止するとともに、仮に当接した場合の保護も良好になし、しかも耐久性にも優れる板状体の搬送用容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決する本発明の板状体の搬送用容器は、合成樹脂発泡体で形成され、上方に開口する平面矩形の容器本体を有し、1枚もしくは複数枚の板状体を平置き状態で収納して搬送する搬送用容器であって、前記容器本体の収納部の側壁内面の四隅部に、側壁内面より拡張形成されたコーナー逃がし用の切欠空間が設けられてなり、該切欠空間の内面から縦横の側壁内面に亘る隅角部近辺領域の前記内面に沿って、容器本体より剛性のある補強材が装着されてなることを特徴とする。
【0015】
前記搬送用容器は、容器本体に複数枚の板状体を重ねた状態で平置き状態にして収納して蓋体を被着して包装する場合と、容器本体に1枚もしくは数枚の板状体を平置き状態で収納して蓋なしで段積みして包装する場合がある。
【0016】
前記の搬送用容器によれば、収納部内の隅角部において、切欠空間を含む隅角部近辺領域の内面、すなわち切欠空間の内面から縦横の両側壁の内面に亘る部分の内面に沿って容器本体より剛性のある補強材が装着されているため、収納部に収納され底部上に載置された板状体は、縦横の端縁が前記補強材に当接することになり、該端縁が側壁の内面に直に接触することがない。しかも、輸送、運搬時の落下衝撃、特に隅角部落下の際に、比較的重量のある板状体自体の荷重が側壁に作用するとき、前記隅角部近辺領域の内面に装着されている補強材によってその荷重を受けることで、例えば前記切欠空間近傍での局部的な過度の撓み変形を抑制でき、そのため、板状体のコーナー部が切欠空間の内面に当接するのを防止できる。また仮に、板状体のコーナー部が切欠空間の内面に当接することがあっても、容易に破損することがない。
【0017】
前記の板状体の搬送用容器において、前記補強材は、前記容器本体の前記隅角部近辺領域の切欠部の内面及び側壁内面に沿って底部に形成されたスリットに、該補強材の下端部が弾力的に挿し込まれることにより脱着可能に嵌着されてなるものが好ましい。この場合、容器本体とは別素材、別部材の補強材の脱着が容易であり、使用後の容器本体の再生使用などの際に、別素材の補強材を分離するのも容易になる。
【0018】
前記の板状体の搬送用容器において、コーナー逃がし用の切欠空間が、縦横の側壁内面による収納部側の開口部より内方部で拡がった形状をなし、前記補強材の前記切欠空間の内面に沿う部分が前記切欠空間の内面に対応した形状をなしているものとするのが好ましい。これにより、補強材の切欠空間の内面に対応する部分を切欠空間に嵌合して装着することにより、切欠空間の収納部側開口部から容易に抜脱せず、隅角部近辺領域の内面に沿った装着状態を良好に保持できる。特に、下端部を容器本体のスリットに弾力的に挿し込んで装着している場合、装着状態が安定したものになる。
【0019】
前記補強材としては、ゴム材、合成樹脂材、発泡樹脂材のいずれか一つの材料よりなり、容器本体より剛性があって、かつ板状体を保護できる緩衝性を有するもの、中でも、容器本体より剛性があり、緩衝機能及び帯電防止性能を有する合成樹脂発泡シートからなるものが、ガラス基板等の板状体の保護の点から好ましい。
【発明の効果】
【0020】
上記したように、本発明の板状体の搬送用容器によれば、ガラス基板等の板状体を収納した状態で、該板状体の周縁部の保護を良好になし、特に、運搬等の取り扱いにおける振動や落下衝撃、特に容器隅角部からの落下等によって収納された板状体が移動して、板状体自体の荷重が容器隅角部の方向に作用した場合に、隅角部近辺領域に装着された補強材によりその荷重を受け、隅角部近辺での側壁の局部的な過度の撓み変形を抑制でき、ひいては、板状体のコーナー部を隅角部の切欠空間内に保持でき、該コーナー部が切欠空間の内面に当接するのを防止でき、その保護を良好になし得る。また仮に、コーナー部が切欠空間の内面に当接することがあっても、内面からの亀裂や割れの発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の板状体の搬送用容器の一実施例を示す補強材を分離した容器本体と蓋体の斜視図である。
【図2】補強材装着前の容器本体の平面図である。
【図3】同上の補強材装着状態の容器本体の斜視図である。
【図4】同上の容器本体の平面図である。
【図5】容器本体の隅角部の補強材装着前の一部の拡大斜視図である。
【図6】同上の補強材装着後の一部の拡大斜視図である。
【図7】板状体の収納状態の平面説明図である。
【図8】同上の断面説明図である。
【図9】他の実施例を示す補強材を分離した容器本体の斜視図である。
【図10】同上の半部断面図である。
【図11】同上の補強材装着状態の平面図である。
【図12】従来の板状体の収納用容器を使用した場合の板状体移動状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0023】
図1〜図8は、本発明にかかる板状体の搬送用容器の1実施例を示している。この実施例の搬送用容器Aは、上方に開口し、収納対象のガラス基板等の板状体Bを、各板状体間にスペーサー用の保護シート(図示せず)を介して重ねた状態で収納できる平面長方形や正方形の平面矩形の容器本体1と、該容器本体1に対し被着自在な蓋体3とからなる。
【0024】
容器本体1に対する蓋体3の被着構造として、前記容器本体1の側壁上端の開口端部には、内側に凸状縁11を残して外側に切欠段部12が形成され、他方、前記蓋体3の周縁部31の下面側には、前記開口端部における凸状縁11の外側の切欠段部12に嵌合し当接する下方向きの嵌合壁部32が垂設されており、この嵌合壁部32による嵌合により、蓋体3を容器本体1に被着した状態に保持できるようになっている。
【0025】
容器本体1は、主として緩衝性のある合成樹脂発泡体により成形されてなり、底部13四辺より立ち上がった縦横の各側壁14a,14bにより収納部15が形成されている。前記収納部15は、保護シートを介して重ねた所要数枚の板状体Bを収納できる深さに形成されている。通常、板状体Bの厚みによっても異なるが、例えば厚み2〜5mmのガラス基板等の板状体Bの場合、10枚以上、好ましくは10〜数10枚程度を収納できるように比較的浅く形成される。
【0026】
前記容器本体1の各側壁14a,14bによる四隅部には、それぞれ側壁内面側より拡張形成されたコーナー逃がし用の切欠空間16が収納部15側に開口しかつ側壁上端に開口した上下方向の溝状に形成されている。この切欠空間16の収納部15側の開口部16aより内方で拡がったアリ溝状をなしている。前記切欠空間16の平面形状は図1〜図8のように平面円形にするほか、図9〜図11の実施例と同様に、一部を開口させた平面角形に形成する等、板状体Bのコーナー逃がし効果のある種々の平面形状に形成して実施できる。また前記切欠空間16の底面を底部13の隅部に亘って底部13の上面より落とし込んで、板状体Bのコーナー部bが底面に当接しないように形成しておくこともできる。
【0027】
前記切欠空間16の内面から縦横の側壁14a,14bの内面に亘る領域、すなわち切欠空間16を含む隅角部近辺領域17の前記内面に沿って、容器本体1より剛性があり、かつ板状体Bを保護できる緩衝性、好ましくは容器本体1と同程度以上の緩衝性を有する材料よりなる板状の補強材20が、脱着可能に装着されており、該補強材20がその厚み分が側壁14a,14bの内面より張り出した状態になっている。そのため、前記収納部15の縦横の寸法は、収納対象の板状体Bの縦横の寸法より、少なくとも前記補強材20の厚みの2倍の寸法分大きくしておくものとする。
【0028】
前記補強材20は、図5に拡大して示すように、切欠空間17の内面に対応した中央部分21に連続して側壁14,15の内面に沿う羽根状の両側部分22a,22bが連設されてなり、前記中央部分21を切欠空間17に挿入した状態で、該中央部分21及び両側部分22a,22bを縦横の側壁内面に沿わせて装着できるように形成されている。
【0029】
前記補強材20の装着手段としては、切欠空間17の内面及びこれに続く側壁14a,14bの内面に接着手段を利用して接着しておくこともできるが、装着操作及び容器本体の再使用等のための分離作業を容易にするために、図示する実施例のように、前記隅角部近辺領域17における前記切欠空間17の内面及びこれに続く側壁14a,14bの内面に沿って底部11の端に嵌め込み用のスリット18を形成しておいて、該スリット18に前記補強材20の下端部を挿し込んで脱着可能に装着しておくのが好ましい。この場合、前記スリット18の幅を前記補強材20の厚みと同じか、もしくは僅かに小さくして、容器本体を形成する合成樹脂発泡体の弾性を利用して弾力的に挿し込み嵌着するようにして実施するのがよい。これにより、補強材20の脱着操作が容易で、装着状態が安定したものになる。
【0030】
図中の符号25は板状体Bの収納及び取り出し操作用の切欠凹部であり、側壁上端から底部13に至る凹溝状で、下端が底部13の上面より落とし込んで形成され、最下層の板状体Bの下に指先あるいは機械的な係止手段を掛けることができるように設けられている。符号26及び36は段積みの際の嵌合用の切欠及び凸部である。
【0031】
なお、上記した実施例の搬送用容器は、容器本体1に複数枚の板状体Bを重ねた状態で平置き状態にして収納して蓋体3を被着して包装する容器の場合を示したが、本発明は、容器本体1に1枚もしくは数枚の板状体Bを平置き状態で収納して、蓋なしで段積みして包装する比較的浅い収納部を有する容器の場合にも、図9〜11の実施例のように、四隅部のコーナー逃がし用の切欠空間16を含む隅角部近辺領域17に補強材20を装着して実施することができる。
【0032】
この実施例の容器の場合、容器本体1の側壁上端の開口端部には、外側に嵌合縁11aを残して内側に切欠段部12aが形成されるとともに、底部13の下面にはその周縁部に前記嵌合縁11aが嵌合する切欠19が設けられており、段積みの際に、上段の容器本体1の底部13の切欠19が下段の容器本体1の前記嵌合縁11aに嵌合し、該底部13の切欠19より内方部が前記切欠段部12aに嵌合するように形成されている。
【0033】
そして、上記した実施例と同様に、容器本体1の各隅角部には、それぞれ側壁内面側より拡張形成されたコーナー逃がし用の切欠空間16が収納部15側に開口しかつ側壁上端に開口した上下方向の溝状に形成されるとともに、該切欠空間16を含む隅角部近辺領域17の内面、すなわち前記切欠空間16の内面及び該内面から開口部16aの部分で連続する側壁14a,14bの内面に沿って補強材20が装着、特に脱着可能に装着されている。
【0034】
この実施例の前記補強材20の構成形態及び補強材20の装着手段については、同構成部分に同符号を付してその説明を省略しているが、上記した実施例と同様に実施できる。切欠空間16の平面形状も同様に形状にして実施できる。
【0035】
前記いずれの実施例の場合も、前記容器本体1及び蓋体3の構成材料としては、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−エチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリ乳酸、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等の各種合成樹脂の発泡体を用いることができる。中でも、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂を含む複合樹脂のビーズ発泡体による成形体が好適に用いられる。ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂を含む複合樹脂のビーズ発泡体は、ポリオレフィン系樹脂粒子にスチレン系単量体を重合させた後、発泡剤を含浸させた発泡性樹脂粒子を、蒸気加熱することにより成形体を得ることができる。
【0036】
また、前記補強材20としては、ゴム材、合成樹脂材、発泡樹脂材等のいずれか一つの材料、あるいは二つ以上の材料を組み合わせた材料で、前記切欠空間17の内面に対応した中央部分21と、これに連続する側壁14,15の内面に沿う羽根状の両側部分22a,22bを有する形状に形成できて、しかも容器本体1より剛性があって、かつ板状体Bを保護できる緩衝性を有する材料ものが用いられる。中でも、容器本体1より剛性があり、緩衝機能及び帯電防止性能を有する合成樹脂発泡シート、例えばポリプロピレン樹脂の容器本体1より低倍発泡の発泡シートが好適に用いられる。
【0037】
前記補強材20の厚みは、適宜設定できるが、収納された板状体Bが該補強材20に当接した状態において該板状体Bの端縁と側壁内面との間に間隙を保有するように、例えば発泡シートの場合の厚みは2〜10mm、好ましくは3〜7mmとする。もちろん前記範囲外での実施も可能である。
【0038】
上記した板状体の搬送用容器Aによれば、例えば図1〜図8の実施例の容器の場合、素板ガラス、液晶表示用のガラス基板等の板状体Bを、容器本体1内の底部13上に、厚み0.2〜5.0mmのスペーサー用の保護シートと交互に重ねて収納する。この際、収納部15の各隅角部の切欠空間16を含む隅角部近辺領域17の内面、すなわち切欠空間16の内面から縦横の両側壁14a,14bの内面に亘る部分の内面に沿って容器本体1より剛性のある補強材20が装着されているので、板状体Bは、前記補強材20の内側に収納する。このようにして板状体Bを収納した後、容器本体1に対し蓋体3を被着する。そして、搬送用容器Aの全体にベルト掛け(図示省略)して輸送等に供する。また図9〜図11の実施例の容器の場合、容器本体1に1枚もしくは数枚の板状体を平置き状態で収納して、蓋なしで段積みして包装する。
【0039】
この使用において、前記収納部15内に収納された板状体Bは、そのコーナーbの部分の端縁が容器本体1の隅角部近辺領域17の内面に装着されている補強材20に当接しても、他の端縁部分が側壁14a,14bの内面に直に接触することがない。しかも、前記板状体Bのコーナーbは、隅角部の切欠空間16の部分に位置して直に側壁14a,14bに当接することなく保持される。そして、輸送、運搬時の落下衝撃、特に隅角部落下により、比較的重量のある板状体B自体の荷重が側壁14a,14bに作用したときに、前記補強材20によってその荷重を受けることで、側壁14a,14bの例えば前記切欠空間16近傍での局部的な変形を抑制でき、そのため、板状体Bのコーナーbが切欠空間16の内面に当接するのを防止でき、その保護を良好になし得る。また仮に、板状体Bのコーナーbが切欠空間16の内面に当接することがあっても、亀裂が生じたり割れの発生を抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の搬送用容器は、素板ガラス、液晶表示用やプラズマ表示用のガラス基板等の比較的大型のガラス基板、太陽電池パネルやタッチパネル等のパネルその他の衝撃に弱い各種の板状体を搬送、保管するのに好適に利用できる。
【符号の説明】
【0041】
A…搬送用容器、B…板状体、b…コーナー部、1…容器本体、3…蓋体、11…凸条縁、11a…嵌合縁、12,12a…切欠段部、13…底部、14a,14b…縦横の側壁、15…収納部、16…切欠空間、16a…開口部、17…隅角部近傍領域、18…拡張凹部、18a…スリット、19…切欠、20…補強材、21…中央部分、22a,22b…両側部分、25…切欠凹部、26…切欠、36…凸部、27,37…ベルト掛け用凹部、31…周縁部、32…嵌合壁部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂発泡体で形成され、上方に開口する平面矩形の容器本体を有し、1枚もしくは複数枚の板状体を平置き状態で収納して搬送する搬送用容器であって、
前記容器本体の収納部の側壁内面の四隅部に、側壁内面より拡張形成されたコーナー逃がし用の切欠空間が設けられてなり、該切欠空間の内面から縦横の側壁内面に亘る隅角部近辺領域の前記内面に沿って、容器本体より剛性のある補強材が装着されてなることを特徴とする板状体の搬送用容器。
【請求項2】
前記補強材は、前記容器本体の前記隅角部近辺領域の切欠部の内面及び側壁内面に沿って底部に形成されたスリットに、該補強材の下端部が弾力的に挿し込まれることにより脱着可能に嵌着されてなる請求項1に記載の板状体の搬送用容器。
【請求項3】
コーナー逃がし用の切欠空間が、縦横の側壁内面による収納部側の開口部より内方部で拡がった形状をなし、前記補強材の前記切欠空間の内面に沿う部分が前記切欠空間の内面に対応した形状をなしている請求項1又は2に記載の板状体の搬送用容器。
【請求項4】
前記補強材が、ゴム材、合成樹脂材、発泡樹脂材のいずれか一つの材料よりなり、容器本体より剛性があって、かつ板状体を保護できる緩衝性を有するものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の板状体の搬送用容器。
【請求項5】
前記補強材が、容器本体より剛性があり、緩衝機能及び帯電防止性能を有する合成樹脂発泡シートからなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の板状体の搬送用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−106776(P2012−106776A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258204(P2010−258204)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】