板隙修正方法および板隙修正装置
【課題】短時間で板隙を修正できる板隙修正方法を提供する。
【解決手段】打点Pを含む平面部80をシェル要素モデル40より検出する平面部検出工程S130と、検出した平面部80と1D要素100とに基づいて、1D要素100が介在する平面部80を一つのグループとしてグループ化するグループ化工程S140と、グループに属する平面部80の中で、一つの平面部80を基準平面部として設定し、基準平面部を基準にして、グループに属する平面部を移動させる順序を、グループ毎に決定する順序決定工程S160と、を行う。
【解決手段】打点Pを含む平面部80をシェル要素モデル40より検出する平面部検出工程S130と、検出した平面部80と1D要素100とに基づいて、1D要素100が介在する平面部80を一つのグループとしてグループ化するグループ化工程S140と、グループに属する平面部80の中で、一つの平面部80を基準平面部として設定し、基準平面部を基準にして、グループに属する平面部を移動させる順序を、グループ毎に決定する順序決定工程S160と、を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の打点で溶接される複数の部品をシェル要素でモデル化するとともに、溶接部を1D要素によりモデル化し、1D要素の長さ寸法である板隙を修正する板隙修正方法および板隙修正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車の車体の部品等は、コンピュータ支援設計(Computer Aided Design(CAD))データに基づいて設計される。このようなCADデータは、設計以外の目的にも用いられる。例えば、特許文献1では、CADデータを金型の補修に用いることで、金型の補修に要する時間を短縮している。
【0003】
CADデータは、コンピュータ支援エンジニアリング(Computer Aided Engineering(CAE))による解析においても用いられる。この場合、CADデータは、有限要素法(Finite Element Method(FEM))を用いてシェル要素でモデル化され、車体の部品に形成されるスポット溶接部等の解析(例えば、寿命予測等)に用いられる。
【0004】
シェル要素でモデル化された部品は、所定の箇所(例えば、部品の厚みの中心等)を基準面として、厚みのない形式で二次元的に表される(図2参照)。溶接部は、図19(a)に示すように、二つの部品の平面部を繋ぐ1D要素として、一次元的に表される。このような1D要素の長さ寸法である板隙は、部品の平面部に対応する部分の板厚に基づいて規定される。
従って、設計変更によって前記板厚の変更等を行う場合、CADデータやシェル要素モデルの平面部を移動(あるいは変形)させて、前記規定される長さ寸法となるように板隙を修正する必要がある。
【0005】
特許文献1では、このような板隙を考慮したCADデータの修正手段が開示されていない。従って、溶接部が形成される部品のCADデータをCAEによる解析に用いる場合、設計変更時等に板隙の修正を手作業で行う必要がある。
【0006】
板隙の修正を手作業で行う場合には、作業者等の判断で移動させる平面部を決定する。
例えば、図19(a)および図19(b)に示すように、三つの平面部に連続して介在する上下二箇所の板隙を修正するときに、一番上の平面部を移動させて、上側の板隙を修正する(図19(b)に示す「板隙OK」参照)。その後、図19(c)に示すように、上下中央の平面部を移動させて下側の板隙を修正した場合、上側の板隙も変動してしまう。従って、修正した上側の板隙を再度修正することとなってしまう(図19(c)に示す「板隙NG」参照)。
【0007】
つまり、従来技術では、板隙の修正を手作業で行う必要があり、この場合、一箇所の修正が他の箇所に影響を与えないように、平面部の関係を考慮する必要があった。特に、大きな平面部が形成される部品や打点の多い部品の板隙の修正では、見落とし等によるやり直しが発生し易く、板隙の修正に多くの工数が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−207884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、短時間で板隙を修正できる板隙修正方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1においては、所定の打点で溶接される複数の部品をシェル要素でモデル化するとともに、溶接部を1D要素によりモデル化し、前記1D要素の長さ寸法である板隙を修正する板隙修正方法であって、前記打点を含む平面部を前記シェル要素モデルより検出する平面部検出工程と、前記検出した平面部と前記1D要素とに基づいて、前記1D要素が介在する平面部を一つのグループとしてグループ化するグループ化工程と、前記グループに属する平面部の中で、一つの前記平面部を基準平面部として設定し、前記基準平面部を基準にして、前記グループに属する平面部を移動させる順序を、前記グループ毎に決定する順序決定工程と、を行う、ものである。
【0011】
請求項2においては、前記順序決定工程では、前記グループに属する平面部の中で面積が最大となる平面部を、前記基準平面部として設定する、ものである。
【0012】
請求項3においては、前記決定した移動順序に基づいて前記平面部を移動させ、前記板隙を修正する修正工程、をさらに行う、ものである。
【0013】
請求項4においては、前記板隙の修正量を算出する修正量情報取得工程、をさらに行う、ものである。
【0014】
請求項5においては、所定の打点で溶接される複数の部品をシェル要素でモデル化するとともに、溶接部を1D要素によりモデル化し、前記1D要素の長さ寸法である板隙を修正する板隙修正装置であって、前記打点を含む平面部を前記シェル要素モデルより検出する平面部検出手段と、前記検出した平面部と前記1D要素とに基づいて、前記1D要素が介在する平面部を一つのグループとしてグループ化するグループ化手段と、前記グループに属する平面部の中で、一つの前記平面部を基準平面部として設定し、前記基準平面部を基準にして、前記グループに属する平面部を移動させる順序を、前記グループ毎に決定する順序決定手段と、を具備する、ものである。
【0015】
請求項6においては、前記順序決定手段は、前記グループに属する平面部の中で面積が最大となる平面部を、前記基準平面部として設定する、ものである。
【0016】
請求項7においては、前記決定した移動順序に基づいて前記平面部を移動させ、前記板隙を修正する修正手段、をさら具備する、ものである。
【0017】
請求項8においては、前記板隙の修正量を算出する修正量情報取得手段、をさらに具備する、ものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、見落とし等によるやり直しが発生することを防止できるため、短時間で板隙を修正できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】板隙修正装置の構成を示す説明図。
【図2】シェル要素モデルを説明する説明図。
【図3】1D要素を示す図。
【図4】板隙修正方法の手順を示す図。
【図5】1D要素に対応する節点情報の取得に関する模式図。
【図6】打点を含む平面部の検出に関する説明図。
【図7】平面部を検出した状態を示す図。
【図8】グループ化の手順を示す図。
【図9】グループ化する前の状態を示す図。
【図10】グループ化した後の状態を示す図。
【図11】移動順序に関する図。(a)移動順序が決定した平面部を示す図。(b)移動順序を示す図。
【図12】板隙を修正する状態を模式的に示す図。
【図13】遷移部を示す図。
【図14】第一変形例の板隙修正方法の手順を示す図。
【図15】部品のCADデータを模式的に示す図。
【図16】部品のCADデータで板隙を修正する状態を示す図。
【図17】第二変形例の板隙修正方法の手順を示す図。
【図18】平面部の移動時に段差が形成される状態を模式的に示す図。
【図19】手作業による板隙の修正作業を示す図。(a)修正前の状態を示す図。(b)板隙を修正する状態を示す図。(c)やり直しが発生する状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、本実施形態の板隙修正方法について説明する。
【0021】
板隙修正方法は、複数の部品30を接合する溶接部31を、コンピュータ支援エンジニアリング(Computer Aided Engineering(CAE))を用いて解析する際等に用いられる(図3参照)。このようなCAEによる解析としては、例えば、溶接部31の寿命予測等がある。
【0022】
部品30は、例えば、自動車の車体を構成するものであり、図2に示すように、所定の打点Pで溶接され(スポット溶接が行われ)、互いに接合される。つまり、部品30には、打点Pに対応する位置に、溶接部31が形成される。
このような接合される部品30は、コンピュータ支援設計(Computer Aided Design(CAD))データに基づいて設計される。
【0023】
CAEによる解析では、有限要素法(Finite Element Method(FEM))を用いて、部品30のCADデータをシェル要素モデル40としてモデル化する。
【0024】
シェル要素モデル40は、所定の箇所(図2では部品30の上面)を基準面として、部品30のCADデータを複数のシェル要素50でモデル化したものである。
シェル要素50は、基準面に配置される複数の節点70を直線で繋ぐことで三角形状や四角形状に形成される二次元要素である。
【0025】
すなわち、シェル要素モデル40は、部品30を厚みのない形式で表したものである。
従って、部品30のCADデータをシェル要素50でモデル化した場合、シェル要素モデル40の間には、隙間が形成される。
【0026】
図3に示すように、CAEによる解析では、打点Pに対応する位置に節点70を配置するとともに、複数の節点70を直線で繋ぐ1D要素100(例えば、梁要素や剛体要素等)を生成する。つまり、CAEによる解析では、溶接部31を1D要素100によりモデル化する。
1D要素100は、CAEによる解析において、部品30の板厚L1・L2(打点Pおよびその近傍に形成される平面部分の板厚)に基づいて、その長さ寸法が規定されている。
【0027】
例えば、CAEによる溶接部31の寿命予測では、外力F(図3ではせん断荷重)が部品30に作用したときに、1D要素100に対してどのように外力Fが働くかを評価する。
仮に、1D要素100の長さ寸法が前記規定される長さ寸法(以下、「規定寸法」と表記する)でない場合、CAEによる解析精度が悪化してしまう。つまり、正しい解析結果を得るためには、1D要素100を規定寸法に対応させる必要がある。
【0028】
従って、設計変更によって部品30の板厚L1・L2の変更等を行うとき、1D要素100の長さ寸法も修正する必要がある。
【0029】
板隙修正方法は、全ての1D要素100の長さ寸法を規定寸法に修正するものである。
また、本実施形態において、「板隙」とは、1D要素100の長さ寸法である。
【0030】
以下では、全ての板隙を修正する作業を「板隙修正作業」と表記する。
【0031】
板隙修正方法は、図1に示す板隙修正装置10を用いて板隙修正作業を行う。板隙修正装置10は、市販のパーソナルコンピュータ等で所定のプログラムを実行させることにより、板隙修正作業に関する種々の演算処理を実行可能に構成される。
【0032】
板隙修正装置10は、例えば、CADデータに基づいて部品30を設計する設計部20より、部品30のCADデータおよび打点Pの位置情報等を取得する(図1に示す矢印R参照)。
打点Pの位置情報は、スポット溶接装置のガン等により、どの部品30をどの位置で接合するかを示す三次元情報であり、部品30毎に三次元座標値として設定されている(図5に示す打点P参照)。
【0033】
板隙修正装置10は、図2に示すように、有限要素法を用いて、部品30のCADデータをシェル要素50でモデル化する。そして、板隙修正装置10は、板隙修正方法に関する機能を用いて、シェル要素モデル40に対して種々の処理を施して、板隙修正作業を行う(図12参照)。
板隙修正装置10は、板隙修正方法に関する機能として、チェック部11、平面検出部12、グループ化部13、順序決定部14、および移動部15を具備する。
【0034】
チェック部11は、板隙を算出するとともに、算出した板隙が規定寸法であるかを判定するものである。また、チェック部11は、算出した板隙と規定寸法とに基づいて、板隙の修正量を算出可能に構成される。
【0035】
平面検出部12は、打点Pの位置情報に基づいて、シェル要素モデル40における打点Pを含む平面部80を検出するものである(図7参照)。平面検出部12の具体的な処理に関しては後述する。
【0036】
グループ化部13は、平面検出部12にて検出される平面部80をグループ分けするものである(図10に示すグループA・B参照)。グループ化部13の具体的な処理に関しては後述する。
【0037】
順序決定部14は、グループ化部13にてグループ分けした平面部80を、どのような順番で移動させるかを、グループ毎に決定するものである(図11(b)参照)。順序決定部14の具体的な処理に関しては後述する。
【0038】
移動部15は、順序決定部14により決定する移動順序に基づいて、平面部80間の距離を調整するものである(図12参照)。
【0039】
すなわち、図2に示すような略板状の部品30のシェル要素モデル40全体を、平面検出部12が平面部80として検出した場合、移動部15は、シェル要素モデル40を全体的に移動させて、平面部80間の距離を調整する。
また、図12に示すようなシェル要素モデル40の全体を、平面検出部12が平面部80として検出しなかった場合、移動部15は、シェル要素モデル40を全体的に移動させるのではなく、平面部80を変形させて、平面部80間の距離を調整する。
【0040】
以下では、このような移動部15による平面部80間の距離の調整を「平面部80を移動させる」と表記する。
【0041】
次に、板隙修正方法の手順について説明する。
【0042】
板隙修正方法の実施に際して、板隙修正装置10は、設計部20より部品30のCADデータおよび打点Pの位置情報を取得して、部品30のシェル要素モデル40を生成している(図2参照)。
【0043】
まず、板隙修正方法では、図4に示すように、1D要素100に対応する節点情報を取得する(S110)。
【0044】
すなわち、板隙修正装置10は、図3に示すように、シェル要素50の節点70に打点Pが位置するように、打点P近傍のシェル要素50を作成し直す。
そして、シェル要素モデル40を打点Pの位置情報に基づいて結合する。例えば、図5に示すような三つのシェル要素モデル40A・40B・40Cを生成した場合、シェル要素モデル40A・40B・40Cを重ね合わせる。
その後、板隙修正装置10は、図3に示すように、打点Pの位置情報に基づいて、打点Pに対応する節点70を繋いで1D要素100を生成する。
【0045】
なお、図5および図7においては、図面を見やすくするためにシェル要素50の表記を省略している。
【0046】
板隙修正装置10は、このようにして生成した1D要素100に対応する節点情報(つまり、1D要素100と節点70との関係を示す情報)を、ステップS110で取得する。
【0047】
なお、ステップS110において、必ずしもシェル要素50を作成し直す必要はなく、例えば、打点Pが位置するシェル要素50の任意の位置に1D要素100を生成しても構わない。ただし、板隙修正作業の処理を簡単に行うことができるという観点から、シェル要素50を作成し直すことが好ましい。
【0048】
1D要素100に対応する節点情報を取得した後で、図4に示すように、板隙修正装置10は、チェック部11により板隙のチェックを行う(S120)。
すなわち、チェック部11は、シェル要素モデル40における打点P近傍の平面部分を検出し、当該平面間の距離を計測することで、板隙を算出する。そして、チェック部11は、算出した板隙が規定寸法であるかを確認する(図3参照)。チェック部11は、このような確認を全ての板隙に対して行う。
【0049】
なお、板隙のチェックの手順は、本実施形態に限定されるものでなく、例えば、1D要素100に対応する節点間の距離を計算することで板隙を算出しても構わない。
【0050】
板隙のチェックにより、全ての板隙が正しい状態である場合、板隙修正装置10は、板隙修正作業を行う必要がないと判断する(S120:Yes)。この場合、板隙修正装置10は、板隙修正作業を終了する。
【0051】
板隙のチェックにより、一つ以上の板隙が正しい状態でない場合(図19(a)参照)、板隙修正装置10は、以下のようにして板隙修正作業を行う(S120:No)。
【0052】
まず、板隙修正装置10は、図4および図6に示すように、平面検出部12によりシェル要素モデル40から打点Pを含む平面部80を検出する(S130)。
【0053】
打点Pを含む平面部80は、打点Pに対応する節点70(黒塗りで示す節点70)を含むシェル要素(シェル要素51〜54)と、当該シェル要素に対して滑らかに並ぶシェル要素(シェル要素59〜61)とにより構成される部分である。
【0054】
例えば、図6に示すようなシェル要素モデル40から打点Pを含む平面部80を検出する場合、平面検出部12は、打点Pに対応する節点70を含むシェル要素51〜54と、シェル要素51〜54と隣接するシェル要素55〜60とが成す角度を算出する。そして、平面検出部12は、算出した角度が所定の範囲内であるか(例えば、180度から数度以内の範囲内であるか)を判定する。
これにより、平面検出部12は、前記所定の範囲内であるシェル要素59・60が打点Pを含む平面部80を構成するシェル要素であると判断する。
【0055】
平面検出部12は、平面部80を構成するシェル要素であると判断したシェル要素59・60に対しても同様に、隣接するシェル要素61〜63と成す角度の判定を行う。平面検出部12は、このような平面部80を構成するシェル要素の角度の判定を再帰的に行う。
これにより、平面検出部12は、シェル要素51〜54とシェル要素59〜61とにより構成される部分を、打点Pを含む平面部80として検出する。
【0056】
仮に、図7に示すシェル要素モデル40Bのように、平面検出部12にて一つの平面部80として検出される部分に複数の打点Pが設定される場合、検出される平面部80の数は、打点Pの数よりも少なくなる。
【0057】
このように、板隙修正方法では、打点Pを含む平面部80をシェル要素モデル40より検出する平面部検出工程S130を行う。
また、平面検出部12は、打点Pを含む平面部80をシェル要素モデル40より検出する平面部検出手段として機能する。
【0058】
平面部80を検出した後で、板隙修正装置10は、図4および図8に示すように、検出した打点Pを含む平面部80をグループ化部13によりグループ分けする(S140)。
【0059】
以下では、図9に示すように、ステップS130にて七つの打点Pを含む平面部81〜86を検出し、平面部81〜86に四つの1D要素101〜104を生成したものとして、グループ化に関する説明を行う。
【0060】
まず、グループ化部13は、図8および図9に示すように、1D要素101〜104の繋がりに基づいて平面部81〜86を検索する(S142)。
【0061】
すなわち、グループ化部13は、1D要素101〜104に対応する節点情報に基づいて、1D要素101〜104により繋がれる平面部81〜86の情報を取得する。
例えば、平面部81と平面部82とを繋ぐ1D要素101の場合、グループ化部13は、1D要素101と平面部81・82とを関連付けた情報を取得する。グループ化部13は、このような1D要素101〜104と平面部81〜86とを関連付けた情報の取得を、全ての1D要素101〜104に対して行う。
【0062】
これにより、グループ化部13は、「101=81,82」、「102=82,83」、「103=83,84」、および「104=85,86」といった具合に、1D要素101〜104と平面部81〜86とを関連付けた情報を取得する。
1D要素101〜104は、平面部81〜86の中で、二つの平面部を繋ぐものであるため、一つの1D要素101〜104には、平面部81〜86の中で、二つの平面部が関連付けられる。
【0063】
次に、グループ化部13は、取得した1D要素101〜104と平面部81〜86とを関連付けた情報をたどることで、平面部81〜86の繋がりを検索する(S144)。
このとき、グループ化部13は、取得した1D要素101〜104と平面部81〜86とを関連付けた情報の中で、平面部81〜86が含まれている情報を検索する。
【0064】
例えば、平面部82が含まれている情報を検索する場合、グループ化部13は、1D要素101と平面部81・82とを関連付けた情報と、1D要素102と平面部82・83を関連付けた情報(「101=81,82」および「102=82,83」)とを検出する。
この場合、グループ化部13は、平面部82が平面部81・83と繋がっていると判断し、平面部82の繋がりに関する情報として、平面部81・83を関連付けて取得する。
グループ化部13は、このような平面部81〜86の繋がりに関する情報の取得を、全ての平面部81〜86に対して行う。
【0065】
これにより、グループ化部13は、「81=82」、「82=81,83」、「83=82,84」、「84=83」、「85=86」、および「86=85」といった具合に、平面部81〜86の繋がりに関する情報を取得する。
これにより、グループ化部13は、平面部81〜86がどの平面部と繋がっているかを判断可能となる。
【0066】
平面部81〜86の繋がりを検索した後で、グループ化部13は、平面部81〜86の繋がりに関する情報に基づいて、平面部81〜86を関連がある平面部毎にグループ化する(S146)。
【0067】
本実施形態において、「関連がある平面部」とは、1D要素101〜104が介在して繋げられる平面部81〜86のことを指す。
具体的には、1D要素101が介在して繋げられる平面部81・82や1D要素101・102が介在して繋げられる平面部81・83等である。
【0068】
グループ化部13は、平面部81が平面部82と繋がり、平面部82が平面部81・83と繋がり、平面部83が平面部82・84と繋がっていることを、平面部81〜86の繋がりに関する情報より判断する。
この場合、グループ化部13は、平面部81〜84が、関連がある平面部であると判断する。
【0069】
グループ化部13は、このような平面部81〜86の関連性を、平面部81〜86の繋がりに関する情報より判断して、関連がある平面部81〜84を一つのグループとしてグループ化する。
グループ化部13は、関連がある平面部のグループ化を繰り返し行い、全ての平面部81〜86を一つ以上のグループに分ける。
【0070】
これにより、図8および図10に示すように、グループ化部13は、「グループA:81,82,83,84」、および「グループB:85,86」といった具合に、平面部81〜86を関連がある平面部毎にグループ化する。
【0071】
ここで、例えば、平面部82を移動させて平面部82・83の板隙を修正する場合、平面部81・82の板隙が変動してしまう(図10に示す矢印M11参照)。また、平面部83を移動させて平面部82・83の板隙を修正する場合、平面部83・84の板隙が変動してしまう。
一方、平面部85または平面部86を移動させて平面部85・86の板隙を修正する場合、他の板隙は変動しない(図10に示すM31参照)。
【0072】
つまり、グループAに属する平面部81〜84の一つの板隙を修正した場合、同じグループAに属する平面部81〜84の他の板隙は、変動する可能性がある。一方、他のグループBに属する平面部85・86の板隙は、変動しない。
すなわち、板隙修正装置10は、板隙修正作業においてやり直しが発生する可能性がある平面部81〜84および平面部85・86を、グループ化部13によって異なるグループA・Bとしてグループ分けするのである。
【0073】
このように、板隙修正方法では、検出した平面部81〜86と1D要素101〜104とに基づいて、1D要素101〜104が介在する平面部81〜84および平面部85・86を一つのグループA・Bとしてグループ化するグループ化工程S140を行う。
また、グループ化部13は、検出した平面部81〜86と1D要素101〜104とに基づいて、1D要素101〜104が介在する平面部81〜84および平面部85・86を一つのグループA・Bとしてグループ化するグループ化手段として機能する。
【0074】
なお、1D要素100は、グループ化工程S140を行うまで(あるいはグループ化工程S140の最初)に生成すればよく、必ずしも最初に行う必要はない。
【0075】
平面部81〜86をグループ化した後で、板隙修正装置10は、図4に示すように、チェック部11により板隙の修正量情報を生成する(S150)。
このとき、チェック部11は、現在の板隙と規定寸法との差分を修正量として、全ての板隙の修正量を算出する。
【0076】
修正量情報を生成した後で、板隙修正装置10は、図4および図11に示すように、板隙修正作業における平面部81〜86の移動順序を順序決定部14により決定する(S160)。
【0077】
板隙修正作業においては、前述のように、グループAに属する平面部81〜84の板隙の修正が、グループBに属する平面部85・86の板隙に影響を与えない。このため、順序決定部14は、グループA・B毎に移動順序を決定する。
以下では、グループAに属する平面部81〜84の移動順序の決定について説明する。
【0078】
まず、順序決定部14は、グループAに属する平面部81〜84の中で、面積が最も大きい平面部83を基準平面部として設定する。
基準平面部83は、板隙修正作業において、グループAに属する他の平面部81・82・84の基準となる平面部、つまり、固定される平面部である。
従って、平面部83を含む板隙、つまり、平面部82・83の板隙および平面部83・84の板隙は、平面部82・84を移動させて修正することとなる。
【0079】
基準平面部83を設定した後で、順序決定部14は、基準平面部83を基準に移動順序を決定する。すなわち、順序決定部14は、1D要素102・103により基準平面部83と直接繋がる平面部82・84を先に移動させるように移動順序を決定する。
【0080】
仮に、平面部82を移動させて平面部82・83の板隙を修正する場合、平面部83・84の板隙は変動しない(図11に示す矢印M11参照)。また、平面部84を移動させて平面部83・84の板隙を修正する場合、平面部82・83の板隙は変動しない(図11に示す矢印M21参照)。
【0081】
つまり、基準平面部83を設定することで、グループAに属する平面部81〜84の中でも、平面部82〜84の板隙のように、板隙修正作業において影響を与えない(つまり、一方の板隙の修正により他方の板隙が変動しない)板隙が決まる。
すなわち、平面部82〜84の板隙は、平面部82および平面部84のどちらを先に移動させても、板隙修正作業に影響を与えない。
【0082】
このため、順序決定部14は、平面部82から順に移動させる第一の移動順序と、平面部84から順に移動させる第二の移動順序とに、移動順序を分岐させる(図11(b)参照)。この場合、平面部82または平面部84が最初に移動する平面部となる。
【0083】
次に、順序決定部14は、平面部82・84と直接繋がる平面部を、平面部82・84の次に移動させるように移動順序を決定する。
すなわち、図11においては、1D要素101により平面部82と直接繋がる平面部81を、平面部82の次に移動させるように、移動順序(第一の移動順序)を決定する。
【0084】
仮に、平面部82が平面部81とは異なる平面部とさらに繋がっている場合、順序決定部14は、前記平面部82・84のように、第一の移動順序をさらに分岐させる。
つまり、順序決定部14は、一つの平面部に複数の平面部が直接繋がっている場合、移動させる順序を分岐させる。
【0085】
順序決定部14は、このような移動順序の決定と分岐とを再帰的に行い、グループAに属する平面部81〜84の移動順序を決定する。
【0086】
このように、板隙修正方法では、グループAに属する平面部81〜84の中で、一つの平面部83を基準平面部として設定し、基準平面部83を基準にして、グループAに属する平面部81〜84を移動させる順序を、グループA・B毎に決定する順序決定工程S160を行う。
また、順序決定部14は、グループAに属する平面部81〜84の中で、一つの平面部83を基準平面部として設定し、基準平面部83を基準にして、グループAに属する平面部81〜84を移動させる順序を、グループA・B毎に決定する順序決定手段として機能する。
【0087】
移動順序を決定した後で、板隙修正装置10は、移動部15により決定した移動順序の順番に平面部81〜86を移動させる(S170)。
以下では、グループAに属する平面部81〜84の移動について説明する。
【0088】
移動部15は、平面部82を移動させて平面部82・83の板隙を修正した後で、平面部81を移動させて平面部81・82の板隙を修正する(図11(a)に示す矢印M11・M12参照)。
また、平面部82の移動前や平面部81の移動後に、平面部84を移動させて平面部83・84の板隙を修正する(図11(a)に示す矢印M21参照)。
【0089】
つまり、図11(b)に示す移動順序は、平面部81〜84を繋ぐ矢印が1D要素101〜104(板隙)に対応しており、移動部15は、右側に位置する平面部を移動させて、板隙を修正する。
【0090】
これによれば、板隙修正方法および板隙修正装置10は、移動順序の順番に板隙を修正するだけで、板隙修正作業を完了できる。このため、板隙修正方法および板隙修正装置10は、平面部81〜86の関係を考慮することなく板隙修正作業を完了できる。
つまり、板隙修正方法および板隙修正装置10は、移動順序を決定することで、板隙修正作業において、大きな平面部80が形成される部品30や打点Pの多い部品30の板隙を修正する場合でも、見落とし等によるやり直しが発生することを防止できる。従って、板隙修正方法および板隙修正装置10は、板隙修正作業を短時間で行うことができる。
【0091】
なお、平面部81〜84の移動は、必ずしも板隙修正装置10で行う必要はない。例えば、修正量情報を設計部20にフィードバックして、部品30のCADデータで板隙を修正しても構わない(図1に示す矢印T参照)。
【0092】
ステップS170において、移動部15は、板隙と規定寸法とに基づいて、板隙が規定寸法となるように、平面部81〜84を移動させる。
【0093】
つまり、修正量情報は、ステップS170に際して取得するものではなく、移動部15以外の手段(設計部20や手作業)で板隙を修正するために取得するものである。従って、修正量情報は、必ずしも取得する必要はない。
ただし、板隙修正作業が失敗した場合(例えば、何らかの事情で移動順序の決定時に無限ループとなった場合等)において、移動部15とは別の手段で平面部81〜84を移動させる際に、修正量情報は、修正の目安になる。このため、板隙修正装置10は、修正量情報を取得することが好ましい。
また、修正量情報の取得を行うタイミングは、本実施形態に限定されるものでなく、適宜のタイミングで行えばよい。
【0094】
このように、板隙修正方法では、板隙の修正量を算出する修正量情報取得工程S150を行う。
また、チェック部11は、板隙の修正量を算出する修正量情報取得手段として機能する。
【0095】
なお、板隙の修正(平面部81〜84の移動)を修正量情報に基づいて行っても構わない。ただし、この場合、先に修正する板隙の影響が、後に修正する板隙に影響を与えてしまうことを考慮して、適宜修正量情報の再計算を行う必要がある。
このため、板隙の修正は、板隙と規定寸法とに基づいて行うことが好ましい。
【0096】
ここで、図12に示すように、シェル要素モデル40には、平面検出部12により検出される二つの平面部80を繋ぐフィレット部90が形成されている場合がある。
図18に示すように、ステップS170にて、フィレット部90が介在する一方の平面部80を単に移動させた場合、フィレット部90と一方の平面部80との間に段差Dが形成されてしまう。
【0097】
そこで、図12および図13に示すように、移動部15は、平面部80を移動させるとともに、平面部80と隣接する複数のシェル要素50(図13に示す遷移部S参照)を、フィレット部90になじませるように変形させる(図12および図13に示す矢印M参照)。
これにより、移動部15は、段差Dを吸収できる。従って、移動部15は、平面部80を移動させるときに、段差Dが形成されることを防止できる(図18参照)。
【0098】
このように、板隙修正方法では、決定した移動順序に基づいて平面部80を移動させ、板隙を修正する修正工程を行う。
また、移動部15は、決定した移動順序に基づいて平面部80を移動させ、板隙を修正する修正手段として機能する。
【0099】
これによれば、板隙修正方法は、板隙を自動的に修正できる。つまり、板隙修正作業をさらに短時間で行うことができる。
【0100】
また、順序決定部14による順序決定工程S170では、グループAに属する平面部81〜84の中で面積が最大となる平面部83を、基準平面部83として設定している。
【0101】
これによれば、板隙修正方法は、変形量の大きな平面部83を固定することとなるため、平面部80を移動させるときに、シェル要素モデル40の変形量を低減できる(図13参照)。
【0102】
なお、設計の制約等の都合で、移動できない部品30等がある場合、グループ化部13は、当該移動できない部品30のシェル要素モデル40で検出される平面部80を基準平面部として設定しても構わない。
また、グループ化部13は、基準平面部を設定するときに、修正量情報を考慮しても構わない。
【0103】
平面部80を移動させた後で、板隙修正装置10は、図4に示すように、チェック部11により再度板隙のチェックを行う(S120)。
【0104】
このように平面部80の移動後に再度板隙のチェックを行うことで、板隙修正装置10は、決まった基準で板隙を修正できる。つまり、板隙修正装置10は、最初の板隙のチェックがNGとなり板隙修正作業を行った場合でも、最初の板隙のチェックでOKとなる場合と同じ判断基準で、板隙修正作業を完了できる。
また、板隙修正装置10は、板隙の修正が正しく行われなかった場合に、再度板隙の修正を行うことができる。
【0105】
なお、板隙のチェックを行うタイミングは、本実施形態に限定されるものでなく、例えば、平面部80を検出した後や平面部80をグループ化した後でも構わない。
【0106】
次に、板隙修正方法の第一変形例について説明する。
第一変形例の板隙修正方法では、設計部20にて板隙修正作業を行う点が、本実施形態の板隙修正方法と異なる点である(図1参照)。すなわち、第一変形例の板隙修正方法では、部品30のCADデータと打点Pの位置情報とに基づいて、設計部20によって板隙修正作業を行う。
この場合、設計部20には、板隙修正方法に関する種々の機能(例えば、チェック部11と同様の動作を、部品30のCADデータに対して行う機能等)を具備する。
【0107】
図17に示すように、設計部20は、板隙修正作業に際して、部品30のCADデータを分割するメッシュ140を生成するとともに、打点Pに対応する位置に、前記メッシュ140の一つの頂点を配置している。
つまり、設計部20は、部品30のCADデータより、本実施形態のようなシェル要素モデル40に対応するメッシュ140を生成する。
【0108】
まず、設計部20は、本実施形態のステップS120と同様に板隙のチェックを行う(S210)。このとき、設計部20は、例えば、前記打点Pが位置する滑らかな部分の間の距離を計測し、板隙が規定寸法であるかを判定する。
【0109】
板隙のチェックにより、一つ以上の板隙が正しい状態でない場合、本実施形態のステップS130〜S170に対応する処理を、部品30のCADデータに対して行うステップS220〜S260を行う(S220:No)。
以下では、それぞれのステップS220〜S260で、本実施形態の板隙修正方法と異なる点について説明する。
【0110】
部品30のCADデータは、図15に示すように、隣接する二つの滑らかな部分の端部をピン角に形成する。このため、設計部20は、打点Pの位置情報に対応する滑らかな部分を、打点Pを含む平面部80として検出する(S220)。
【0111】
平面部80のグループ化(ステップS230)は、前記打点Pが位置するメッシュ140の頂点を繋いで、部品30のCADにて1D要素100に対応する一次元的な要素を生成する。そして、本実施形態と同様の手順で、前記検出した滑らかな部分のグループ化を行う(図8および図10参照)。
以降は、本実施形態の板隙修正方法の場合と同様の手順で移動順序の決定までを行う(S240、S250)。
【0112】
移動順序を決定した後で、図16に示すように、設計部20は、移動順序に沿って前記検出した滑らかな部分を移動させる(S260、図16に黒塗りで示す矢印参照)。
【0113】
このように、第一変形例の板隙修正方法によれば、部品30のCADデータにて板隙修正作業を行うことができる。従って、設計部20は、板隙を考慮した設計作業を効率的に行うことができる。
【0114】
ここで、板隙の修正により、トポロジの変化が発生する場合(例えば、部品30に段差を形成する場合等)、CAEによる解析で正しい結果が得られない場合がある。このような場合には、設計部20にて部品30のCADデータを修正する必要がある。
【0115】
第一変形例の板隙修正方法によれば、部品30のCADデータにて板隙修正方法を行うことができるため、板隙修正作業により発生するトポロジの変化に容易に対応できる。
【0116】
次に、板隙修正方法の第二変形例について説明する。
第二変形例の板隙修正方法では、板隙修正装置10と設計部20とにより板隙修正作業を行う点が、本実施形態の板隙修正作業と異なる点である(図1参照)。
【0117】
設計部20は、板隙修正作業に際して、第一変形例の場合と同様に、部品30のCADデータにメッシュ140を生成している(図15参照)。
【0118】
図17に示すように、設計部20は、第一変形例の場合と同様に板隙チェックを行う(S310)。
板隙のチェックにより、一つ以上の板隙が正しい状態でない場合、設計部20は、有限要素法を用いて、部品30のCADデータを変換し、シェル要素モデル40を生成する。そして、設計部20は、シェル要素モデル40と打点Pの位置情報とを板隙修正装置10に送信する(S310:No、S320)。
【0119】
板隙修正装置10は、設計部20から送信されるシェル要素モデル40に基づいて、本実施形態の板隙修正方法のステップS130〜S160と同様に、打点Pを含む平面部80の検出から移動順序の決定までを行う(S330〜S360)。
なお、板隙修正装置10は、適宜のタイミング(例えば、ステップS330の前やステップS340の前)で1D要素100を生成している。
【0120】
そして、板隙修正装置10は、修正位置情報(検出した平面部80に対応する位置情報)、板隙修正量情報、および移動順序を設計部20にフィードバックする。つまり、設計部20は、修正位置情報、板隙修正量情報、および移動順序を取得する(S370)。
【0121】
設計部20は、板隙修正装置10よりフィードバックされる情報に基づいて、第一変形例と同様に、平面部80の移動を行う(S380、図16参照)。第二変形例の板隙修正方法では、このようにして板隙修正作業を行う。
【0122】
ここで、板隙修正方法は、CAEによる解析結果に影響を与える板隙の修正を主な目的としている。
このため、前記グループ化や移動順序決定の決定を行う機能は、CAEによる解析を行う装置に実装されることが想定される。つまり、板隙修正方法は、設計部20とは異なる装置で実施されることが想定される。
【0123】
従って、第二変形例の板隙修正方法のように、板隙修正作業に関する情報(修正位置情報、板隙修正量情報、および移動順序)を板隙修正装置10から設計部20にフィードバックする構成とすることで、少ない開発量で設計部20にて板隙修正方法を実施できる。
【符号の説明】
【0124】
10 板隙修正装置
12 平面検出部(平面部検出手段)
13 グループ化部(グループ化手段)
14 順序決定部(順序決定手段)
30 部品
31 溶接部
40 シェル要素モデル
50 シェル要素
80〜86 平面部
83 基準平面部
100〜104 1D要素
A・B グループ
P 打点
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の打点で溶接される複数の部品をシェル要素でモデル化するとともに、溶接部を1D要素によりモデル化し、1D要素の長さ寸法である板隙を修正する板隙修正方法および板隙修正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車の車体の部品等は、コンピュータ支援設計(Computer Aided Design(CAD))データに基づいて設計される。このようなCADデータは、設計以外の目的にも用いられる。例えば、特許文献1では、CADデータを金型の補修に用いることで、金型の補修に要する時間を短縮している。
【0003】
CADデータは、コンピュータ支援エンジニアリング(Computer Aided Engineering(CAE))による解析においても用いられる。この場合、CADデータは、有限要素法(Finite Element Method(FEM))を用いてシェル要素でモデル化され、車体の部品に形成されるスポット溶接部等の解析(例えば、寿命予測等)に用いられる。
【0004】
シェル要素でモデル化された部品は、所定の箇所(例えば、部品の厚みの中心等)を基準面として、厚みのない形式で二次元的に表される(図2参照)。溶接部は、図19(a)に示すように、二つの部品の平面部を繋ぐ1D要素として、一次元的に表される。このような1D要素の長さ寸法である板隙は、部品の平面部に対応する部分の板厚に基づいて規定される。
従って、設計変更によって前記板厚の変更等を行う場合、CADデータやシェル要素モデルの平面部を移動(あるいは変形)させて、前記規定される長さ寸法となるように板隙を修正する必要がある。
【0005】
特許文献1では、このような板隙を考慮したCADデータの修正手段が開示されていない。従って、溶接部が形成される部品のCADデータをCAEによる解析に用いる場合、設計変更時等に板隙の修正を手作業で行う必要がある。
【0006】
板隙の修正を手作業で行う場合には、作業者等の判断で移動させる平面部を決定する。
例えば、図19(a)および図19(b)に示すように、三つの平面部に連続して介在する上下二箇所の板隙を修正するときに、一番上の平面部を移動させて、上側の板隙を修正する(図19(b)に示す「板隙OK」参照)。その後、図19(c)に示すように、上下中央の平面部を移動させて下側の板隙を修正した場合、上側の板隙も変動してしまう。従って、修正した上側の板隙を再度修正することとなってしまう(図19(c)に示す「板隙NG」参照)。
【0007】
つまり、従来技術では、板隙の修正を手作業で行う必要があり、この場合、一箇所の修正が他の箇所に影響を与えないように、平面部の関係を考慮する必要があった。特に、大きな平面部が形成される部品や打点の多い部品の板隙の修正では、見落とし等によるやり直しが発生し易く、板隙の修正に多くの工数が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−207884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、短時間で板隙を修正できる板隙修正方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1においては、所定の打点で溶接される複数の部品をシェル要素でモデル化するとともに、溶接部を1D要素によりモデル化し、前記1D要素の長さ寸法である板隙を修正する板隙修正方法であって、前記打点を含む平面部を前記シェル要素モデルより検出する平面部検出工程と、前記検出した平面部と前記1D要素とに基づいて、前記1D要素が介在する平面部を一つのグループとしてグループ化するグループ化工程と、前記グループに属する平面部の中で、一つの前記平面部を基準平面部として設定し、前記基準平面部を基準にして、前記グループに属する平面部を移動させる順序を、前記グループ毎に決定する順序決定工程と、を行う、ものである。
【0011】
請求項2においては、前記順序決定工程では、前記グループに属する平面部の中で面積が最大となる平面部を、前記基準平面部として設定する、ものである。
【0012】
請求項3においては、前記決定した移動順序に基づいて前記平面部を移動させ、前記板隙を修正する修正工程、をさらに行う、ものである。
【0013】
請求項4においては、前記板隙の修正量を算出する修正量情報取得工程、をさらに行う、ものである。
【0014】
請求項5においては、所定の打点で溶接される複数の部品をシェル要素でモデル化するとともに、溶接部を1D要素によりモデル化し、前記1D要素の長さ寸法である板隙を修正する板隙修正装置であって、前記打点を含む平面部を前記シェル要素モデルより検出する平面部検出手段と、前記検出した平面部と前記1D要素とに基づいて、前記1D要素が介在する平面部を一つのグループとしてグループ化するグループ化手段と、前記グループに属する平面部の中で、一つの前記平面部を基準平面部として設定し、前記基準平面部を基準にして、前記グループに属する平面部を移動させる順序を、前記グループ毎に決定する順序決定手段と、を具備する、ものである。
【0015】
請求項6においては、前記順序決定手段は、前記グループに属する平面部の中で面積が最大となる平面部を、前記基準平面部として設定する、ものである。
【0016】
請求項7においては、前記決定した移動順序に基づいて前記平面部を移動させ、前記板隙を修正する修正手段、をさら具備する、ものである。
【0017】
請求項8においては、前記板隙の修正量を算出する修正量情報取得手段、をさらに具備する、ものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、見落とし等によるやり直しが発生することを防止できるため、短時間で板隙を修正できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】板隙修正装置の構成を示す説明図。
【図2】シェル要素モデルを説明する説明図。
【図3】1D要素を示す図。
【図4】板隙修正方法の手順を示す図。
【図5】1D要素に対応する節点情報の取得に関する模式図。
【図6】打点を含む平面部の検出に関する説明図。
【図7】平面部を検出した状態を示す図。
【図8】グループ化の手順を示す図。
【図9】グループ化する前の状態を示す図。
【図10】グループ化した後の状態を示す図。
【図11】移動順序に関する図。(a)移動順序が決定した平面部を示す図。(b)移動順序を示す図。
【図12】板隙を修正する状態を模式的に示す図。
【図13】遷移部を示す図。
【図14】第一変形例の板隙修正方法の手順を示す図。
【図15】部品のCADデータを模式的に示す図。
【図16】部品のCADデータで板隙を修正する状態を示す図。
【図17】第二変形例の板隙修正方法の手順を示す図。
【図18】平面部の移動時に段差が形成される状態を模式的に示す図。
【図19】手作業による板隙の修正作業を示す図。(a)修正前の状態を示す図。(b)板隙を修正する状態を示す図。(c)やり直しが発生する状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、本実施形態の板隙修正方法について説明する。
【0021】
板隙修正方法は、複数の部品30を接合する溶接部31を、コンピュータ支援エンジニアリング(Computer Aided Engineering(CAE))を用いて解析する際等に用いられる(図3参照)。このようなCAEによる解析としては、例えば、溶接部31の寿命予測等がある。
【0022】
部品30は、例えば、自動車の車体を構成するものであり、図2に示すように、所定の打点Pで溶接され(スポット溶接が行われ)、互いに接合される。つまり、部品30には、打点Pに対応する位置に、溶接部31が形成される。
このような接合される部品30は、コンピュータ支援設計(Computer Aided Design(CAD))データに基づいて設計される。
【0023】
CAEによる解析では、有限要素法(Finite Element Method(FEM))を用いて、部品30のCADデータをシェル要素モデル40としてモデル化する。
【0024】
シェル要素モデル40は、所定の箇所(図2では部品30の上面)を基準面として、部品30のCADデータを複数のシェル要素50でモデル化したものである。
シェル要素50は、基準面に配置される複数の節点70を直線で繋ぐことで三角形状や四角形状に形成される二次元要素である。
【0025】
すなわち、シェル要素モデル40は、部品30を厚みのない形式で表したものである。
従って、部品30のCADデータをシェル要素50でモデル化した場合、シェル要素モデル40の間には、隙間が形成される。
【0026】
図3に示すように、CAEによる解析では、打点Pに対応する位置に節点70を配置するとともに、複数の節点70を直線で繋ぐ1D要素100(例えば、梁要素や剛体要素等)を生成する。つまり、CAEによる解析では、溶接部31を1D要素100によりモデル化する。
1D要素100は、CAEによる解析において、部品30の板厚L1・L2(打点Pおよびその近傍に形成される平面部分の板厚)に基づいて、その長さ寸法が規定されている。
【0027】
例えば、CAEによる溶接部31の寿命予測では、外力F(図3ではせん断荷重)が部品30に作用したときに、1D要素100に対してどのように外力Fが働くかを評価する。
仮に、1D要素100の長さ寸法が前記規定される長さ寸法(以下、「規定寸法」と表記する)でない場合、CAEによる解析精度が悪化してしまう。つまり、正しい解析結果を得るためには、1D要素100を規定寸法に対応させる必要がある。
【0028】
従って、設計変更によって部品30の板厚L1・L2の変更等を行うとき、1D要素100の長さ寸法も修正する必要がある。
【0029】
板隙修正方法は、全ての1D要素100の長さ寸法を規定寸法に修正するものである。
また、本実施形態において、「板隙」とは、1D要素100の長さ寸法である。
【0030】
以下では、全ての板隙を修正する作業を「板隙修正作業」と表記する。
【0031】
板隙修正方法は、図1に示す板隙修正装置10を用いて板隙修正作業を行う。板隙修正装置10は、市販のパーソナルコンピュータ等で所定のプログラムを実行させることにより、板隙修正作業に関する種々の演算処理を実行可能に構成される。
【0032】
板隙修正装置10は、例えば、CADデータに基づいて部品30を設計する設計部20より、部品30のCADデータおよび打点Pの位置情報等を取得する(図1に示す矢印R参照)。
打点Pの位置情報は、スポット溶接装置のガン等により、どの部品30をどの位置で接合するかを示す三次元情報であり、部品30毎に三次元座標値として設定されている(図5に示す打点P参照)。
【0033】
板隙修正装置10は、図2に示すように、有限要素法を用いて、部品30のCADデータをシェル要素50でモデル化する。そして、板隙修正装置10は、板隙修正方法に関する機能を用いて、シェル要素モデル40に対して種々の処理を施して、板隙修正作業を行う(図12参照)。
板隙修正装置10は、板隙修正方法に関する機能として、チェック部11、平面検出部12、グループ化部13、順序決定部14、および移動部15を具備する。
【0034】
チェック部11は、板隙を算出するとともに、算出した板隙が規定寸法であるかを判定するものである。また、チェック部11は、算出した板隙と規定寸法とに基づいて、板隙の修正量を算出可能に構成される。
【0035】
平面検出部12は、打点Pの位置情報に基づいて、シェル要素モデル40における打点Pを含む平面部80を検出するものである(図7参照)。平面検出部12の具体的な処理に関しては後述する。
【0036】
グループ化部13は、平面検出部12にて検出される平面部80をグループ分けするものである(図10に示すグループA・B参照)。グループ化部13の具体的な処理に関しては後述する。
【0037】
順序決定部14は、グループ化部13にてグループ分けした平面部80を、どのような順番で移動させるかを、グループ毎に決定するものである(図11(b)参照)。順序決定部14の具体的な処理に関しては後述する。
【0038】
移動部15は、順序決定部14により決定する移動順序に基づいて、平面部80間の距離を調整するものである(図12参照)。
【0039】
すなわち、図2に示すような略板状の部品30のシェル要素モデル40全体を、平面検出部12が平面部80として検出した場合、移動部15は、シェル要素モデル40を全体的に移動させて、平面部80間の距離を調整する。
また、図12に示すようなシェル要素モデル40の全体を、平面検出部12が平面部80として検出しなかった場合、移動部15は、シェル要素モデル40を全体的に移動させるのではなく、平面部80を変形させて、平面部80間の距離を調整する。
【0040】
以下では、このような移動部15による平面部80間の距離の調整を「平面部80を移動させる」と表記する。
【0041】
次に、板隙修正方法の手順について説明する。
【0042】
板隙修正方法の実施に際して、板隙修正装置10は、設計部20より部品30のCADデータおよび打点Pの位置情報を取得して、部品30のシェル要素モデル40を生成している(図2参照)。
【0043】
まず、板隙修正方法では、図4に示すように、1D要素100に対応する節点情報を取得する(S110)。
【0044】
すなわち、板隙修正装置10は、図3に示すように、シェル要素50の節点70に打点Pが位置するように、打点P近傍のシェル要素50を作成し直す。
そして、シェル要素モデル40を打点Pの位置情報に基づいて結合する。例えば、図5に示すような三つのシェル要素モデル40A・40B・40Cを生成した場合、シェル要素モデル40A・40B・40Cを重ね合わせる。
その後、板隙修正装置10は、図3に示すように、打点Pの位置情報に基づいて、打点Pに対応する節点70を繋いで1D要素100を生成する。
【0045】
なお、図5および図7においては、図面を見やすくするためにシェル要素50の表記を省略している。
【0046】
板隙修正装置10は、このようにして生成した1D要素100に対応する節点情報(つまり、1D要素100と節点70との関係を示す情報)を、ステップS110で取得する。
【0047】
なお、ステップS110において、必ずしもシェル要素50を作成し直す必要はなく、例えば、打点Pが位置するシェル要素50の任意の位置に1D要素100を生成しても構わない。ただし、板隙修正作業の処理を簡単に行うことができるという観点から、シェル要素50を作成し直すことが好ましい。
【0048】
1D要素100に対応する節点情報を取得した後で、図4に示すように、板隙修正装置10は、チェック部11により板隙のチェックを行う(S120)。
すなわち、チェック部11は、シェル要素モデル40における打点P近傍の平面部分を検出し、当該平面間の距離を計測することで、板隙を算出する。そして、チェック部11は、算出した板隙が規定寸法であるかを確認する(図3参照)。チェック部11は、このような確認を全ての板隙に対して行う。
【0049】
なお、板隙のチェックの手順は、本実施形態に限定されるものでなく、例えば、1D要素100に対応する節点間の距離を計算することで板隙を算出しても構わない。
【0050】
板隙のチェックにより、全ての板隙が正しい状態である場合、板隙修正装置10は、板隙修正作業を行う必要がないと判断する(S120:Yes)。この場合、板隙修正装置10は、板隙修正作業を終了する。
【0051】
板隙のチェックにより、一つ以上の板隙が正しい状態でない場合(図19(a)参照)、板隙修正装置10は、以下のようにして板隙修正作業を行う(S120:No)。
【0052】
まず、板隙修正装置10は、図4および図6に示すように、平面検出部12によりシェル要素モデル40から打点Pを含む平面部80を検出する(S130)。
【0053】
打点Pを含む平面部80は、打点Pに対応する節点70(黒塗りで示す節点70)を含むシェル要素(シェル要素51〜54)と、当該シェル要素に対して滑らかに並ぶシェル要素(シェル要素59〜61)とにより構成される部分である。
【0054】
例えば、図6に示すようなシェル要素モデル40から打点Pを含む平面部80を検出する場合、平面検出部12は、打点Pに対応する節点70を含むシェル要素51〜54と、シェル要素51〜54と隣接するシェル要素55〜60とが成す角度を算出する。そして、平面検出部12は、算出した角度が所定の範囲内であるか(例えば、180度から数度以内の範囲内であるか)を判定する。
これにより、平面検出部12は、前記所定の範囲内であるシェル要素59・60が打点Pを含む平面部80を構成するシェル要素であると判断する。
【0055】
平面検出部12は、平面部80を構成するシェル要素であると判断したシェル要素59・60に対しても同様に、隣接するシェル要素61〜63と成す角度の判定を行う。平面検出部12は、このような平面部80を構成するシェル要素の角度の判定を再帰的に行う。
これにより、平面検出部12は、シェル要素51〜54とシェル要素59〜61とにより構成される部分を、打点Pを含む平面部80として検出する。
【0056】
仮に、図7に示すシェル要素モデル40Bのように、平面検出部12にて一つの平面部80として検出される部分に複数の打点Pが設定される場合、検出される平面部80の数は、打点Pの数よりも少なくなる。
【0057】
このように、板隙修正方法では、打点Pを含む平面部80をシェル要素モデル40より検出する平面部検出工程S130を行う。
また、平面検出部12は、打点Pを含む平面部80をシェル要素モデル40より検出する平面部検出手段として機能する。
【0058】
平面部80を検出した後で、板隙修正装置10は、図4および図8に示すように、検出した打点Pを含む平面部80をグループ化部13によりグループ分けする(S140)。
【0059】
以下では、図9に示すように、ステップS130にて七つの打点Pを含む平面部81〜86を検出し、平面部81〜86に四つの1D要素101〜104を生成したものとして、グループ化に関する説明を行う。
【0060】
まず、グループ化部13は、図8および図9に示すように、1D要素101〜104の繋がりに基づいて平面部81〜86を検索する(S142)。
【0061】
すなわち、グループ化部13は、1D要素101〜104に対応する節点情報に基づいて、1D要素101〜104により繋がれる平面部81〜86の情報を取得する。
例えば、平面部81と平面部82とを繋ぐ1D要素101の場合、グループ化部13は、1D要素101と平面部81・82とを関連付けた情報を取得する。グループ化部13は、このような1D要素101〜104と平面部81〜86とを関連付けた情報の取得を、全ての1D要素101〜104に対して行う。
【0062】
これにより、グループ化部13は、「101=81,82」、「102=82,83」、「103=83,84」、および「104=85,86」といった具合に、1D要素101〜104と平面部81〜86とを関連付けた情報を取得する。
1D要素101〜104は、平面部81〜86の中で、二つの平面部を繋ぐものであるため、一つの1D要素101〜104には、平面部81〜86の中で、二つの平面部が関連付けられる。
【0063】
次に、グループ化部13は、取得した1D要素101〜104と平面部81〜86とを関連付けた情報をたどることで、平面部81〜86の繋がりを検索する(S144)。
このとき、グループ化部13は、取得した1D要素101〜104と平面部81〜86とを関連付けた情報の中で、平面部81〜86が含まれている情報を検索する。
【0064】
例えば、平面部82が含まれている情報を検索する場合、グループ化部13は、1D要素101と平面部81・82とを関連付けた情報と、1D要素102と平面部82・83を関連付けた情報(「101=81,82」および「102=82,83」)とを検出する。
この場合、グループ化部13は、平面部82が平面部81・83と繋がっていると判断し、平面部82の繋がりに関する情報として、平面部81・83を関連付けて取得する。
グループ化部13は、このような平面部81〜86の繋がりに関する情報の取得を、全ての平面部81〜86に対して行う。
【0065】
これにより、グループ化部13は、「81=82」、「82=81,83」、「83=82,84」、「84=83」、「85=86」、および「86=85」といった具合に、平面部81〜86の繋がりに関する情報を取得する。
これにより、グループ化部13は、平面部81〜86がどの平面部と繋がっているかを判断可能となる。
【0066】
平面部81〜86の繋がりを検索した後で、グループ化部13は、平面部81〜86の繋がりに関する情報に基づいて、平面部81〜86を関連がある平面部毎にグループ化する(S146)。
【0067】
本実施形態において、「関連がある平面部」とは、1D要素101〜104が介在して繋げられる平面部81〜86のことを指す。
具体的には、1D要素101が介在して繋げられる平面部81・82や1D要素101・102が介在して繋げられる平面部81・83等である。
【0068】
グループ化部13は、平面部81が平面部82と繋がり、平面部82が平面部81・83と繋がり、平面部83が平面部82・84と繋がっていることを、平面部81〜86の繋がりに関する情報より判断する。
この場合、グループ化部13は、平面部81〜84が、関連がある平面部であると判断する。
【0069】
グループ化部13は、このような平面部81〜86の関連性を、平面部81〜86の繋がりに関する情報より判断して、関連がある平面部81〜84を一つのグループとしてグループ化する。
グループ化部13は、関連がある平面部のグループ化を繰り返し行い、全ての平面部81〜86を一つ以上のグループに分ける。
【0070】
これにより、図8および図10に示すように、グループ化部13は、「グループA:81,82,83,84」、および「グループB:85,86」といった具合に、平面部81〜86を関連がある平面部毎にグループ化する。
【0071】
ここで、例えば、平面部82を移動させて平面部82・83の板隙を修正する場合、平面部81・82の板隙が変動してしまう(図10に示す矢印M11参照)。また、平面部83を移動させて平面部82・83の板隙を修正する場合、平面部83・84の板隙が変動してしまう。
一方、平面部85または平面部86を移動させて平面部85・86の板隙を修正する場合、他の板隙は変動しない(図10に示すM31参照)。
【0072】
つまり、グループAに属する平面部81〜84の一つの板隙を修正した場合、同じグループAに属する平面部81〜84の他の板隙は、変動する可能性がある。一方、他のグループBに属する平面部85・86の板隙は、変動しない。
すなわち、板隙修正装置10は、板隙修正作業においてやり直しが発生する可能性がある平面部81〜84および平面部85・86を、グループ化部13によって異なるグループA・Bとしてグループ分けするのである。
【0073】
このように、板隙修正方法では、検出した平面部81〜86と1D要素101〜104とに基づいて、1D要素101〜104が介在する平面部81〜84および平面部85・86を一つのグループA・Bとしてグループ化するグループ化工程S140を行う。
また、グループ化部13は、検出した平面部81〜86と1D要素101〜104とに基づいて、1D要素101〜104が介在する平面部81〜84および平面部85・86を一つのグループA・Bとしてグループ化するグループ化手段として機能する。
【0074】
なお、1D要素100は、グループ化工程S140を行うまで(あるいはグループ化工程S140の最初)に生成すればよく、必ずしも最初に行う必要はない。
【0075】
平面部81〜86をグループ化した後で、板隙修正装置10は、図4に示すように、チェック部11により板隙の修正量情報を生成する(S150)。
このとき、チェック部11は、現在の板隙と規定寸法との差分を修正量として、全ての板隙の修正量を算出する。
【0076】
修正量情報を生成した後で、板隙修正装置10は、図4および図11に示すように、板隙修正作業における平面部81〜86の移動順序を順序決定部14により決定する(S160)。
【0077】
板隙修正作業においては、前述のように、グループAに属する平面部81〜84の板隙の修正が、グループBに属する平面部85・86の板隙に影響を与えない。このため、順序決定部14は、グループA・B毎に移動順序を決定する。
以下では、グループAに属する平面部81〜84の移動順序の決定について説明する。
【0078】
まず、順序決定部14は、グループAに属する平面部81〜84の中で、面積が最も大きい平面部83を基準平面部として設定する。
基準平面部83は、板隙修正作業において、グループAに属する他の平面部81・82・84の基準となる平面部、つまり、固定される平面部である。
従って、平面部83を含む板隙、つまり、平面部82・83の板隙および平面部83・84の板隙は、平面部82・84を移動させて修正することとなる。
【0079】
基準平面部83を設定した後で、順序決定部14は、基準平面部83を基準に移動順序を決定する。すなわち、順序決定部14は、1D要素102・103により基準平面部83と直接繋がる平面部82・84を先に移動させるように移動順序を決定する。
【0080】
仮に、平面部82を移動させて平面部82・83の板隙を修正する場合、平面部83・84の板隙は変動しない(図11に示す矢印M11参照)。また、平面部84を移動させて平面部83・84の板隙を修正する場合、平面部82・83の板隙は変動しない(図11に示す矢印M21参照)。
【0081】
つまり、基準平面部83を設定することで、グループAに属する平面部81〜84の中でも、平面部82〜84の板隙のように、板隙修正作業において影響を与えない(つまり、一方の板隙の修正により他方の板隙が変動しない)板隙が決まる。
すなわち、平面部82〜84の板隙は、平面部82および平面部84のどちらを先に移動させても、板隙修正作業に影響を与えない。
【0082】
このため、順序決定部14は、平面部82から順に移動させる第一の移動順序と、平面部84から順に移動させる第二の移動順序とに、移動順序を分岐させる(図11(b)参照)。この場合、平面部82または平面部84が最初に移動する平面部となる。
【0083】
次に、順序決定部14は、平面部82・84と直接繋がる平面部を、平面部82・84の次に移動させるように移動順序を決定する。
すなわち、図11においては、1D要素101により平面部82と直接繋がる平面部81を、平面部82の次に移動させるように、移動順序(第一の移動順序)を決定する。
【0084】
仮に、平面部82が平面部81とは異なる平面部とさらに繋がっている場合、順序決定部14は、前記平面部82・84のように、第一の移動順序をさらに分岐させる。
つまり、順序決定部14は、一つの平面部に複数の平面部が直接繋がっている場合、移動させる順序を分岐させる。
【0085】
順序決定部14は、このような移動順序の決定と分岐とを再帰的に行い、グループAに属する平面部81〜84の移動順序を決定する。
【0086】
このように、板隙修正方法では、グループAに属する平面部81〜84の中で、一つの平面部83を基準平面部として設定し、基準平面部83を基準にして、グループAに属する平面部81〜84を移動させる順序を、グループA・B毎に決定する順序決定工程S160を行う。
また、順序決定部14は、グループAに属する平面部81〜84の中で、一つの平面部83を基準平面部として設定し、基準平面部83を基準にして、グループAに属する平面部81〜84を移動させる順序を、グループA・B毎に決定する順序決定手段として機能する。
【0087】
移動順序を決定した後で、板隙修正装置10は、移動部15により決定した移動順序の順番に平面部81〜86を移動させる(S170)。
以下では、グループAに属する平面部81〜84の移動について説明する。
【0088】
移動部15は、平面部82を移動させて平面部82・83の板隙を修正した後で、平面部81を移動させて平面部81・82の板隙を修正する(図11(a)に示す矢印M11・M12参照)。
また、平面部82の移動前や平面部81の移動後に、平面部84を移動させて平面部83・84の板隙を修正する(図11(a)に示す矢印M21参照)。
【0089】
つまり、図11(b)に示す移動順序は、平面部81〜84を繋ぐ矢印が1D要素101〜104(板隙)に対応しており、移動部15は、右側に位置する平面部を移動させて、板隙を修正する。
【0090】
これによれば、板隙修正方法および板隙修正装置10は、移動順序の順番に板隙を修正するだけで、板隙修正作業を完了できる。このため、板隙修正方法および板隙修正装置10は、平面部81〜86の関係を考慮することなく板隙修正作業を完了できる。
つまり、板隙修正方法および板隙修正装置10は、移動順序を決定することで、板隙修正作業において、大きな平面部80が形成される部品30や打点Pの多い部品30の板隙を修正する場合でも、見落とし等によるやり直しが発生することを防止できる。従って、板隙修正方法および板隙修正装置10は、板隙修正作業を短時間で行うことができる。
【0091】
なお、平面部81〜84の移動は、必ずしも板隙修正装置10で行う必要はない。例えば、修正量情報を設計部20にフィードバックして、部品30のCADデータで板隙を修正しても構わない(図1に示す矢印T参照)。
【0092】
ステップS170において、移動部15は、板隙と規定寸法とに基づいて、板隙が規定寸法となるように、平面部81〜84を移動させる。
【0093】
つまり、修正量情報は、ステップS170に際して取得するものではなく、移動部15以外の手段(設計部20や手作業)で板隙を修正するために取得するものである。従って、修正量情報は、必ずしも取得する必要はない。
ただし、板隙修正作業が失敗した場合(例えば、何らかの事情で移動順序の決定時に無限ループとなった場合等)において、移動部15とは別の手段で平面部81〜84を移動させる際に、修正量情報は、修正の目安になる。このため、板隙修正装置10は、修正量情報を取得することが好ましい。
また、修正量情報の取得を行うタイミングは、本実施形態に限定されるものでなく、適宜のタイミングで行えばよい。
【0094】
このように、板隙修正方法では、板隙の修正量を算出する修正量情報取得工程S150を行う。
また、チェック部11は、板隙の修正量を算出する修正量情報取得手段として機能する。
【0095】
なお、板隙の修正(平面部81〜84の移動)を修正量情報に基づいて行っても構わない。ただし、この場合、先に修正する板隙の影響が、後に修正する板隙に影響を与えてしまうことを考慮して、適宜修正量情報の再計算を行う必要がある。
このため、板隙の修正は、板隙と規定寸法とに基づいて行うことが好ましい。
【0096】
ここで、図12に示すように、シェル要素モデル40には、平面検出部12により検出される二つの平面部80を繋ぐフィレット部90が形成されている場合がある。
図18に示すように、ステップS170にて、フィレット部90が介在する一方の平面部80を単に移動させた場合、フィレット部90と一方の平面部80との間に段差Dが形成されてしまう。
【0097】
そこで、図12および図13に示すように、移動部15は、平面部80を移動させるとともに、平面部80と隣接する複数のシェル要素50(図13に示す遷移部S参照)を、フィレット部90になじませるように変形させる(図12および図13に示す矢印M参照)。
これにより、移動部15は、段差Dを吸収できる。従って、移動部15は、平面部80を移動させるときに、段差Dが形成されることを防止できる(図18参照)。
【0098】
このように、板隙修正方法では、決定した移動順序に基づいて平面部80を移動させ、板隙を修正する修正工程を行う。
また、移動部15は、決定した移動順序に基づいて平面部80を移動させ、板隙を修正する修正手段として機能する。
【0099】
これによれば、板隙修正方法は、板隙を自動的に修正できる。つまり、板隙修正作業をさらに短時間で行うことができる。
【0100】
また、順序決定部14による順序決定工程S170では、グループAに属する平面部81〜84の中で面積が最大となる平面部83を、基準平面部83として設定している。
【0101】
これによれば、板隙修正方法は、変形量の大きな平面部83を固定することとなるため、平面部80を移動させるときに、シェル要素モデル40の変形量を低減できる(図13参照)。
【0102】
なお、設計の制約等の都合で、移動できない部品30等がある場合、グループ化部13は、当該移動できない部品30のシェル要素モデル40で検出される平面部80を基準平面部として設定しても構わない。
また、グループ化部13は、基準平面部を設定するときに、修正量情報を考慮しても構わない。
【0103】
平面部80を移動させた後で、板隙修正装置10は、図4に示すように、チェック部11により再度板隙のチェックを行う(S120)。
【0104】
このように平面部80の移動後に再度板隙のチェックを行うことで、板隙修正装置10は、決まった基準で板隙を修正できる。つまり、板隙修正装置10は、最初の板隙のチェックがNGとなり板隙修正作業を行った場合でも、最初の板隙のチェックでOKとなる場合と同じ判断基準で、板隙修正作業を完了できる。
また、板隙修正装置10は、板隙の修正が正しく行われなかった場合に、再度板隙の修正を行うことができる。
【0105】
なお、板隙のチェックを行うタイミングは、本実施形態に限定されるものでなく、例えば、平面部80を検出した後や平面部80をグループ化した後でも構わない。
【0106】
次に、板隙修正方法の第一変形例について説明する。
第一変形例の板隙修正方法では、設計部20にて板隙修正作業を行う点が、本実施形態の板隙修正方法と異なる点である(図1参照)。すなわち、第一変形例の板隙修正方法では、部品30のCADデータと打点Pの位置情報とに基づいて、設計部20によって板隙修正作業を行う。
この場合、設計部20には、板隙修正方法に関する種々の機能(例えば、チェック部11と同様の動作を、部品30のCADデータに対して行う機能等)を具備する。
【0107】
図17に示すように、設計部20は、板隙修正作業に際して、部品30のCADデータを分割するメッシュ140を生成するとともに、打点Pに対応する位置に、前記メッシュ140の一つの頂点を配置している。
つまり、設計部20は、部品30のCADデータより、本実施形態のようなシェル要素モデル40に対応するメッシュ140を生成する。
【0108】
まず、設計部20は、本実施形態のステップS120と同様に板隙のチェックを行う(S210)。このとき、設計部20は、例えば、前記打点Pが位置する滑らかな部分の間の距離を計測し、板隙が規定寸法であるかを判定する。
【0109】
板隙のチェックにより、一つ以上の板隙が正しい状態でない場合、本実施形態のステップS130〜S170に対応する処理を、部品30のCADデータに対して行うステップS220〜S260を行う(S220:No)。
以下では、それぞれのステップS220〜S260で、本実施形態の板隙修正方法と異なる点について説明する。
【0110】
部品30のCADデータは、図15に示すように、隣接する二つの滑らかな部分の端部をピン角に形成する。このため、設計部20は、打点Pの位置情報に対応する滑らかな部分を、打点Pを含む平面部80として検出する(S220)。
【0111】
平面部80のグループ化(ステップS230)は、前記打点Pが位置するメッシュ140の頂点を繋いで、部品30のCADにて1D要素100に対応する一次元的な要素を生成する。そして、本実施形態と同様の手順で、前記検出した滑らかな部分のグループ化を行う(図8および図10参照)。
以降は、本実施形態の板隙修正方法の場合と同様の手順で移動順序の決定までを行う(S240、S250)。
【0112】
移動順序を決定した後で、図16に示すように、設計部20は、移動順序に沿って前記検出した滑らかな部分を移動させる(S260、図16に黒塗りで示す矢印参照)。
【0113】
このように、第一変形例の板隙修正方法によれば、部品30のCADデータにて板隙修正作業を行うことができる。従って、設計部20は、板隙を考慮した設計作業を効率的に行うことができる。
【0114】
ここで、板隙の修正により、トポロジの変化が発生する場合(例えば、部品30に段差を形成する場合等)、CAEによる解析で正しい結果が得られない場合がある。このような場合には、設計部20にて部品30のCADデータを修正する必要がある。
【0115】
第一変形例の板隙修正方法によれば、部品30のCADデータにて板隙修正方法を行うことができるため、板隙修正作業により発生するトポロジの変化に容易に対応できる。
【0116】
次に、板隙修正方法の第二変形例について説明する。
第二変形例の板隙修正方法では、板隙修正装置10と設計部20とにより板隙修正作業を行う点が、本実施形態の板隙修正作業と異なる点である(図1参照)。
【0117】
設計部20は、板隙修正作業に際して、第一変形例の場合と同様に、部品30のCADデータにメッシュ140を生成している(図15参照)。
【0118】
図17に示すように、設計部20は、第一変形例の場合と同様に板隙チェックを行う(S310)。
板隙のチェックにより、一つ以上の板隙が正しい状態でない場合、設計部20は、有限要素法を用いて、部品30のCADデータを変換し、シェル要素モデル40を生成する。そして、設計部20は、シェル要素モデル40と打点Pの位置情報とを板隙修正装置10に送信する(S310:No、S320)。
【0119】
板隙修正装置10は、設計部20から送信されるシェル要素モデル40に基づいて、本実施形態の板隙修正方法のステップS130〜S160と同様に、打点Pを含む平面部80の検出から移動順序の決定までを行う(S330〜S360)。
なお、板隙修正装置10は、適宜のタイミング(例えば、ステップS330の前やステップS340の前)で1D要素100を生成している。
【0120】
そして、板隙修正装置10は、修正位置情報(検出した平面部80に対応する位置情報)、板隙修正量情報、および移動順序を設計部20にフィードバックする。つまり、設計部20は、修正位置情報、板隙修正量情報、および移動順序を取得する(S370)。
【0121】
設計部20は、板隙修正装置10よりフィードバックされる情報に基づいて、第一変形例と同様に、平面部80の移動を行う(S380、図16参照)。第二変形例の板隙修正方法では、このようにして板隙修正作業を行う。
【0122】
ここで、板隙修正方法は、CAEによる解析結果に影響を与える板隙の修正を主な目的としている。
このため、前記グループ化や移動順序決定の決定を行う機能は、CAEによる解析を行う装置に実装されることが想定される。つまり、板隙修正方法は、設計部20とは異なる装置で実施されることが想定される。
【0123】
従って、第二変形例の板隙修正方法のように、板隙修正作業に関する情報(修正位置情報、板隙修正量情報、および移動順序)を板隙修正装置10から設計部20にフィードバックする構成とすることで、少ない開発量で設計部20にて板隙修正方法を実施できる。
【符号の説明】
【0124】
10 板隙修正装置
12 平面検出部(平面部検出手段)
13 グループ化部(グループ化手段)
14 順序決定部(順序決定手段)
30 部品
31 溶接部
40 シェル要素モデル
50 シェル要素
80〜86 平面部
83 基準平面部
100〜104 1D要素
A・B グループ
P 打点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の打点で溶接される複数の部品をシェル要素でモデル化するとともに、溶接部を1D要素によりモデル化し、前記1D要素の長さ寸法である板隙を修正する板隙修正方法であって、
前記打点を含む平面部を前記シェル要素モデルより検出する平面部検出工程と、
前記検出した平面部と前記1D要素とに基づいて、前記1D要素が介在する平面部を一つのグループとしてグループ化するグループ化工程と、
前記グループに属する平面部の中で、一つの前記平面部を基準平面部として設定し、前記基準平面部を基準にして、前記グループに属する平面部を移動させる順序を、前記グループ毎に決定する順序決定工程と、
を行う、
板隙修正方法。
【請求項2】
前記順序決定工程では、
前記グループに属する平面部の中で面積が最大となる平面部を、前記基準平面部として設定する、
請求項1に記載の板隙修正方法。
【請求項3】
前記決定した移動順序に基づいて前記平面部を移動させ、前記板隙を修正する修正工程、
をさらに行う、
請求項1または請求項2に記載の板隙修正方法。
【請求項4】
前記板隙の修正量を算出する修正量情報取得工程、
をさらに行う、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の板隙修正方法。
【請求項5】
所定の打点で溶接される複数の部品をシェル要素でモデル化するとともに、溶接部を1D要素によりモデル化し、前記1D要素の長さ寸法である板隙を修正する板隙修正装置であって、
前記打点を含む平面部を前記シェル要素モデルより検出する平面部検出手段と、
前記検出した平面部と前記1D要素とに基づいて、前記1D要素が介在する平面部を一つのグループとしてグループ化するグループ化手段と、
前記グループに属する平面部の中で、一つの前記平面部を基準平面部として設定し、前記基準平面部を基準にして、前記グループに属する平面部を移動させる順序を、前記グループ毎に決定する順序決定手段と、
を具備する、
板隙修正装置。
【請求項6】
前記順序決定手段は、
前記グループに属する平面部の中で面積が最大となる平面部を、前記基準平面部として設定する、
請求項5に記載の板隙修正装置。
【請求項7】
前記決定した移動順序に基づいて前記平面部を移動させ、前記板隙を修正する修正手段、
をさら具備する、
請求項5または請求項6に記載の板隙修正装置。
【請求項8】
前記板隙の修正量を算出する修正量情報取得手段、
をさらに具備する、
請求項5から請求項7までのいずれか一項に記載の板隙修正装置。
【請求項1】
所定の打点で溶接される複数の部品をシェル要素でモデル化するとともに、溶接部を1D要素によりモデル化し、前記1D要素の長さ寸法である板隙を修正する板隙修正方法であって、
前記打点を含む平面部を前記シェル要素モデルより検出する平面部検出工程と、
前記検出した平面部と前記1D要素とに基づいて、前記1D要素が介在する平面部を一つのグループとしてグループ化するグループ化工程と、
前記グループに属する平面部の中で、一つの前記平面部を基準平面部として設定し、前記基準平面部を基準にして、前記グループに属する平面部を移動させる順序を、前記グループ毎に決定する順序決定工程と、
を行う、
板隙修正方法。
【請求項2】
前記順序決定工程では、
前記グループに属する平面部の中で面積が最大となる平面部を、前記基準平面部として設定する、
請求項1に記載の板隙修正方法。
【請求項3】
前記決定した移動順序に基づいて前記平面部を移動させ、前記板隙を修正する修正工程、
をさらに行う、
請求項1または請求項2に記載の板隙修正方法。
【請求項4】
前記板隙の修正量を算出する修正量情報取得工程、
をさらに行う、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の板隙修正方法。
【請求項5】
所定の打点で溶接される複数の部品をシェル要素でモデル化するとともに、溶接部を1D要素によりモデル化し、前記1D要素の長さ寸法である板隙を修正する板隙修正装置であって、
前記打点を含む平面部を前記シェル要素モデルより検出する平面部検出手段と、
前記検出した平面部と前記1D要素とに基づいて、前記1D要素が介在する平面部を一つのグループとしてグループ化するグループ化手段と、
前記グループに属する平面部の中で、一つの前記平面部を基準平面部として設定し、前記基準平面部を基準にして、前記グループに属する平面部を移動させる順序を、前記グループ毎に決定する順序決定手段と、
を具備する、
板隙修正装置。
【請求項6】
前記順序決定手段は、
前記グループに属する平面部の中で面積が最大となる平面部を、前記基準平面部として設定する、
請求項5に記載の板隙修正装置。
【請求項7】
前記決定した移動順序に基づいて前記平面部を移動させ、前記板隙を修正する修正手段、
をさら具備する、
請求項5または請求項6に記載の板隙修正装置。
【請求項8】
前記板隙の修正量を算出する修正量情報取得手段、
をさらに具備する、
請求項5から請求項7までのいずれか一項に記載の板隙修正装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−101440(P2013−101440A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244018(P2011−244018)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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