説明

枠体及びその製造方法

【課題】 製造効率を向上させることが出来、かつ、強度の高い枠体を提供する。
【解決手段】 衣類等を吊持するための本体部10と、本体部10を吊持するためのフック部とを備えたハンガーにおいて、本体部10は、一端側に突起部11が形成されるとともに他端側に凹部12が形成された塑性変形可能な金属棒Kを折り曲げて上記突起部11と上記凹部12とを嵌合させることにより、環状に形成され、上記金属棒Kのうち上記嵌合部分に対応する箇所をかしめることにより金属棒の端部同士が接続されるとともに、このかしめによって金属棒表面に生じる凹凸によりフック取付け部13が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物吊りハンガーやラックなどの雑貨として使用される枠体およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金属棒を折り曲げて環状に形成された枠体は、衣類やタオル等を掛け吊すための物吊りハンガーや小物を収容するメッシュラックなど様々な雑貨として使用されている。
【0003】
例えば、衣類を吊るすためのハンガーとしては、金属棒等で環状に形成したハンガー本体と、このハンガー本体を支持するためのフック部を備えたものが広く知られている(例えば特許文献1)。
【0004】
このハンガー本体の形成方法としては、まず金属棒を折り曲げて環状にし、次にこの金属棒の一部をへこませることにより、フックを取り付けるためのフック取付け部を形成する。
【特許文献1】特開2001−321262号公報(図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のようなハンガーにおいては、ハンガー本体の端部同士が接続されていないため、この端部から容易に変形するおそれがある。すなわち、このような構成のハンガーにおいては、ハンガーの強度を向上させるうえで限界があり、より強度を向上させたハンガー(枠体)にすることが求められていた。
【0006】
そこで本発明は、より強度を向上させた枠体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一本の塑性変形可能な金属棒を折り曲げるとともにその両端部を連結することにより環状に形成された枠本体と、上記連結部分の位置で上記枠本体を支持する枠本体支持部とを備え、上記枠本体の連結部分は、上記金属棒の一端部にその軸方向に沿って突設された突起部が上記金属棒の他端部にその軸方向に沿って凹設された凹部に嵌合されこの嵌合部分に対応する箇所をかしめることにより構成され、上記枠本体支持部は、上記枠本体のかしめにより金属棒表面に生じた凹凸部を少なくとも一部において被覆させ、かつ、この凹凸部に対して上記金属棒の軸方向および周方向の少なくとも1方向に係合させた状態で当該枠本体に取り付けられていることを特徴とするするものである(請求項1)。
【0008】
かかる構成によれば、上記金属棒のうち上記嵌合部分に対応する箇所をかしめることにより金属棒の端部同士が接続されているため、従来のように金属棒の端部から上記枠体本体が変形することを抑制することが出来、例えばハンガーなどに用いられる枠本体の強度を向上させることが可能となる。しかも、このかしめにより金属棒の表面に生じた凹凸部を有効に利用して、この凹凸部を少なくとも一部において被覆させ、かつ、この凹凸部に対して上記金属棒の軸方向および周方向の少なくとも1方向に係合させた状態で当該枠本体に枠本体支持部が取り付けられているので、枠本体支持部を枠本体に被覆させた状態で枠本体支持部に対する枠本体の軸方向と周方向との少なくとも1方向の相対移動が規制され、簡易な構成で枠本体を枠本体支持部に確実かつ適正に取り付けることができる。
【0009】
さらに、かかる枠体の製造方法として、請求項1記載の枠体を製造する方法において、一端部に軸方向に沿って突出する突起部が設けられるとともに他端部に軸方向に沿って凹陥する凹部が設けられた金属棒を折り曲げる工程と、上記突起部を上記凹部に嵌合させることにより上記枠本体部の上記金属棒を環状の状態とする工程と、上記嵌合部分に対応する箇所をかしめることにより金属棒の端部同士を接続するとともに、このかしめによって金属棒表面に生じる凹凸部を形成する工程と、この凹凸部を少なくとも一部において被覆させ、かつ、当該凹凸部に対して金属棒の軸方向および周方向の少なくとも1方向に係合させた状態で上記枠本体支持部を上記枠本体に取り付ける工程とを含む方法を採ることが可能となる(請求項5)。
【0010】
すなわち、上記嵌合部分に対応する箇所をかしめるだけで金属棒の端部同士を接続するとともに枠本体支持部を取り付けるための凹凸部を形成することが可能となり、より効率的に枠体を製造することが可能となる。しかも、上記と同様に、かしめにより金属棒表面に形成された凹凸部を有効に利用して枠本体を枠本体支持部に確実に取り付けることができる。
【0011】
また本発明は、一本の塑性変形可能な金属棒を折り曲げるとともにその両端部を軸方向に沿って連結することにより環状に形成された枠本体と、この枠本体における上記金属棒の連結部分に取り付けられた枠本体支持部とを備えた枠体において、上記枠本体の連結部分は、連結される金属棒の両端部に軸方向に沿って凹設された各凹部が棒状に形成された嵌合部材の両端部に嵌合されこの嵌合部分に対応する箇所をかしめることにより構成され、上記枠本体支持部は、上記枠本体のかしめにより金属棒表面に生じた凹凸を有する取付け部を被覆させ、かつ、この取付け部に対して上記金属棒の軸方向および周方向の少なくとも1方向に係合させた状態で当該枠本体に取り付けられていることを特徴とするものである(請求項2)。
【0012】
かかる構成によれば、上記金属棒のうち上記両嵌合部分に対応する箇所をかしめることにより金属棒の端部同士が接続されているため、従来のように金属棒の端部から上記枠本体が変形することを抑制することが出来、枠本体の強度を向上させることが可能となる。しかも、このかしめにより金属棒の表面に生じた凹凸部を有効に利用して、この凹凸部を少なくとも一部において被覆させ、かつ、この凹凸部に対して上記金属棒の軸方向および周方向の少なくとも1方向に係合させた状態で当該枠本体に枠本体支持部が取り付けられているので、枠本体支持部を枠本体に被覆させた状態で枠本体支持部に対する枠本体の軸方向と周方向との少なくとも1方向の相対移動が規制され、簡易な構成で枠本体を枠本体支持部に確実に取り付けることができる。
【0013】
さらに、かかるハンガーの製造方法として、両端部に軸方向に沿って凹陥する凹部が設けられた塑性変形可能な金属棒を折り曲げる工程と、棒状に形成された嵌合部材の各端部を上記凹部に各々嵌合させることにより上記ハンガー本体部の上記金属棒を環状の状態とする工程と、上記嵌合部分に対応する箇所をかしめることにより金属棒の端部同士を接続するとともに、このかしめによって金属棒表面に生じる凹凸部を形成する工程と、この凹凸部を少なくとも一部において被覆させ、かつ、当該凹凸部に対して金属棒の軸方向および周方向の少なくとも1方向に係合させた状態で上記枠本体支持部を上記枠本体に取り付ける工程とを含む方法を採ることが可能となる(請求項6)。
【0014】
すなわち、上記嵌合部分に対応する箇所をかしめるだけで金属棒の端部同士を接続するとともにフック取付部を形成することが可能となり、より効率的にハンガーを製造することが可能となる。しかも、上記と同様に、かしめにより金属棒表面に形成された凹凸部を有効に利用して枠本体を枠本体支持部に確実に取り付けることができる。
【0015】
両発明にかかる上記枠体の用途は、特に限定するものではないが、例えば衣類やタオル等を掛け吊すためのハンガーに活用するものであってもよい。すなわち、上記枠本体は、衣類やタオル等を掛け吊すための物吊りハンガー本体として構成するものであってもよい(請求項3)。この場合、枠本体支持部として基台を設け、スタンド式のハンガーとして構成されるものであってもよいが、上記枠本体支持部は、上記ハンガー本体としての枠本体を吊持するフック部として構成されているものであってもよい(請求項4)。
【発明の効果】
【0016】
本発明の構成によれば、上記金属棒のうち上記嵌合部分に対応する箇所をかしめることにより金属棒の端部同士が接続されているため、従来のように金属棒の端部から上記枠本体が変形することを抑制することが出来、枠本体の強度を向上させることが可能となる。
【0017】
さらに、上記嵌合部分に対応する箇所をかしめるだけで金属棒の端部同士を接続するとともに、このかしめにより金属棒の表面に生じた凹凸部を有効に利用して、枠本体支持部を枠本体に被覆させた状態で枠本体支持部に対する枠本体の軸方向と周方向との少なくとも1方向の相対移動が規制され、簡易な構成で枠本体を枠本体支持部に確実かつ適正に取り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態につき、図面を用いて説明する。なお、ここでは枠体を、衣類を掛け吊すためのハンガーに適用した場合について説明するが、この枠体の用途はこれらに限定されるものではなく、タオルを掛け吊すためのスタンド式ハンガーやブラケットにより壁面に取り付けられるタオル掛け等の各種物吊りハンガー、その他、例えば金属棒を折り曲げ接合して形成されるメッシュ形ラックや水切り、本立て等各種用途に適用可能である。
【0019】
[第1実施形態](図1〜図4参照)
本実施形態のハンガーは、図1に示すとおり、本体部10(枠本体部)と、フック部20(枠本体支持部)とを備え、このフック部20に設けられた接続部材30により本体部10とフック部20とが接続されている。
【0020】
本体部10について図1、図2、及び図4を用いて説明すると、この本体部10はアルミニウム、ステンレス等の塑性変形可能な金属棒Kで構成されている。この金属棒Kは、図4(a)に示すように、一端部に軸線方向に沿って突出する突起部11が設けられるとともに、他端部に軸線方向に沿って凹陥する凹部12が設けられている。この突起部11は、金属棒K一端部の外径に対して小径に形成され、一方、凹部12は、上記突起部11が緊密状態に嵌合し得る大きさに設定されている。そして、この金属棒Kが図4(a)に示す直線状態から突起部11と凹部12とが対向する状態に折り曲げられ、かつ、突起部11が対向する凹部12に嵌合されることにより、本体部10が所定形状(図では略四角形)の環状に形成される。なお、この本体部10の正面視形状は、特に限定するものではなく、その用途等に応じて適宜変更可能である。例えば、本第1実施形態のようなハンガーである場合には、上記四角形のほか、三角形、台形、円形などの公知の単純形状、或いはアーチ形、三日月形などの公知の象形形状等であってもよい。
【0021】
そして、金属棒Kの突起部11が凹部12に嵌合された状態で、この嵌合部分をかしめることにより金属棒Kの両端部が連結されている。すなわち、凹部12に突起部11が嵌合された金属棒Kの嵌合部近傍に複数方向から外力を加えて嵌合部を塑性変形させることにより金属棒Kの両端が連結されている。また、このかしめによる連結の際に外力が作用しなかった部分と外力が作用した部分とが凹凸形状となって金属棒Kの表面に形成され、この凹凸部がフック取付部13(連結部分)として構成されている。
【0022】
具体的には、上記かしめにより突起部11と凹部12との嵌合部分に対応する部分においては、突起部11の外周と凹部12の内周とに、相対応する凹凸形状の結合部14,15が形成されて、この部分により金属棒Kの両端部が接続されている。すなわち、突起部11と凹部12との嵌合部分がかしめられることにより、結合部14,15が形成され、この結合部14,15が互いに密着、係合していることにより本体部10の端部同士が接続されている。そして、この結合部14,15の形成と同時にフック部20、具体的には接続部材30を取り付けるためのフック取付部13が形成される。
【0023】
なお、本実施形態では、このフック取付部13は、金属棒Kの端部同士をつなぎ合わせた境界を挟んで左右一対設けられているが、かしめによって形成されるフック取付部13は図2(a)で左側に配置されたフック取付部13であり、右側に配置されたフック取付部13は適宜省略することができる。ただし、金属棒Kの境界を挟んで対称的にフック取付部13を形成することにより、かしめによって押し寄せられた金属棒部分による影響を相殺することができるという利点がある。また、本実施形態では、金属棒Kの突起部11が凹部12に嵌合された嵌合部分でのかしめを一箇所で行っているが、この嵌合部分で複数箇所かしめるものであってもよい。
【0024】
一方、フック部20(枠本体支持部)は、フック本体21とフック本体21を本体部10に取り付けるための接続部材30とを有する。フック本体21は、金属棒を円弧状に湾曲させる等して正面視略鈎状に形成され、本体部10を図外の支持棒等に吊り下げ状態に支持するものであり、その下端部には、接続部材30に係合する膨出部21aが形成されている。
【0025】
接続部材30は、上述のとおり本体部10とフック部20(具体的にはフック本体21)とを接続するものであり、本第1実施形態では、塑性変形可能な板状部材から形成されている。具体的には、接続部材30は、図3(a)に示すように、その幅方向両側に対称状に設けられた一対の切欠き30aを有する略四角板状体として形成され、この板状体を折り曲げて本体部10とフック本体21とを各々抱持することにより両者を接続するものとなされている。すなわち、接続部材30は、上記切欠き30aを挟んで下側が本体部10を抱持する本体抱持部31として構成され、上記切欠き30aの上側がフック部20を抱持するフック抱持部32として構成されている。
【0026】
本体抱持部31は、図3(a)に示すように、本体部10の上記フック取付部13が高さ方向略中間部に重ね合わされるとともに、この状態で本体抱持部31の下端縁が上側に折り曲げられ(図で白抜き矢印Y1で示す)、これによりフック取付部13を含む本体部10の外周に沿って本体抱持部31を塑性変形させて、図3(b)に示すように、本体抱持部31がフック取付部13を含む本体部10の所定部分を被覆した状態で抱持するようになっている。この状態では、本体抱持部31が本体部10の外周に略沿っているとともに、本体抱持部31に本体部10のフック取付部13が金属棒Kの軸線方向および周方向に係止され、従って、本体部10と接続部材30との軸方向および周方向に沿った相対位置がずれないようになっている。
【0027】
一方、フック抱持部32は、図3(a)に示すように、フック本体21が幅方向略中央部に重ね合わされるとともに、この状態でフック抱持部32の左右両端縁がフック本体21の膨出部21aの若干上側(フック本体21の下端部)に沿って内側方に折り曲げられ(図で白抜き矢印Y2で示す)、これにより図3(b)に示すように、フック抱持部32をフック本体21の下端部に略沿って塑性変形させ、フック抱持部32がフック部20を抱持するようになっている。この状態では、フック部20下端の膨出部21aがフック抱持部32に係合するものとなされており、従ってフック部20はこの接続部材30に対して回転自在に抱持されている。
【0028】
次に、図4(a)〜(c)を用いて本体部10を製造する工程について説明する。
【0029】
まず、一端に突起部11、他端に凹部12が形成された金属棒Kを適宜折り曲げ、凹部12に突起部11を嵌合させることにより、この金属棒Kを略四角形の形状を有する環状にする(図4(a)、図4(b)参照)。
【0030】
次に、プレス機等を用いて上記両端部近傍に各々外力を加えて金属棒Kを変形させることによりフック取付部13を形成する(図4(c)参照)。
【0031】
このうち、突起部11と凹部12との嵌合部分に対応する部分においては、この変形により、突起部11の外周と凹部12の内周とに相対応する凹凸形状の結合部14,15が形成されて、この部分がかしめ結合された状態となる。
【0032】
すなわち、突起部11と凹部12との嵌合部分をかしめることによりフック取付部13だけでなく結合部14,15をも形成し、この結合部14,15を密着、係合させた状態とすることにより本体部10の端部同士を接続する。
【0033】
以上の構成によれば、上記金属棒Kのうち上記嵌合部分に対応する箇所をかしめることにより金属棒Kの端部同士が接続されているため、従来のように金属棒Kの端部から上記本体部10が変形することを抑制することが出来、本体部10の強度を向上させることが可能となる。また、かしめによって金属棒Kの両端部が接続されることから、溶接による接続と比べて接続部分(連結部分)およびその近傍に溶接痕が残らず美麗に仕上がる。
【0034】
また、この金属棒のかしめ部分を利用して接続部材30との係止部分であるフック取付部13が形成されるので、別途取付部を形成する場合に比べて簡単かつ低コストでフック部20に対する本体部10の相対移動を規制することができ、簡易な構成で本体部10をフック部20に確実に取り付けることができる。さらに、この接続部材30がフック取付部13を被覆した状態で抱持するので、このかしめによる凹凸部を隠蔽することができ、意匠的効果も向上する。
【0035】
[第2実施形態](図5、図6参照)
次に、この発明にかかる枠体の他の実施形態について説明する。この第2実施形態も上記実施形態と同様、衣類やタオル等を掛け吊すための物吊りハンガーである。この第2実施形態のハンガーは、金属棒Kの端部を連結する構造において上記第1実施形態と異なる。以下、この実施形態を図5および図6を参照して説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成については図面において同一符号を付してその説明は省略する。
【0036】
本第2実施形態は、金属棒Kの一端に突起部11を設ける代わりに、両側端部に軸線方向に凹陥する凹部12を形成し、この双方の凹部12に棒状に形成された嵌合部材40を嵌合してこの嵌合部分をかしめることにより上記フック取付部13が形成される点で上記第1実施形態と異なる。
【0037】
なお、本第2実施形態でも上記かしめにより嵌合部材40と凹部12との嵌合部分に対応する部分においては、相対応する凹凸形状の結合部係合突起が形成されており、金属棒Kの両端部が嵌合部材40を介して接続されている。
【0038】
かかる構成の本体部10を製造する工程について図6(a)〜図6(c)を用いて説明すると、まず、一端に形成された凹部12に嵌合部材40を嵌合させ、この嵌合部材40を挿入した状態で金属棒Kを適宜折り曲げ、他方の凹部12に嵌合部材40を嵌合させることにより、この金属棒Kを略四角形の形状を有する環状にする(図6(a)、図6(b)参照)。
【0039】
次に、プレス機等を用いて上記両端部近傍に各々外力を加えて金属棒Kを変形させることにより第1実施形態と同様、嵌合部材40の外周と凹部12の内周とに相対応する凹凸形状の結合部14,15(図2(b)参照)が形成されて、この部分がかしめ結合された状態となる。そして、このかしめ結合により金属棒Kの表面に凹凸部が形成され、この凹凸部がフック取付部13として構成される(図6(c)参照)。
【0040】
すなわち、嵌合部材40と凹部12との嵌合部分をかしめることにより、結合部14,15を形成し、この結合部14,15を密着、係合させた状態とすることにより、嵌合部材40を介して本体部10の端部同士を接続するとともに、フック部20を取り付けるためのフック取付部13をも形成される。
【0041】
なお、嵌合部材40を凹部12に挿入する手順としては、先に金属棒Kを折り曲げてから両端部に嵌合部材40を嵌合させるようにしてもよい。
【0042】
かかる構成によっても、第1実施形態と同様、上記金属棒Kのうち上記嵌合部分に対応する箇所をかしめることにより金属棒Kの端部同士が接続されているため、従来のように金属棒Kの端部から上記本体部10が変形することを抑制することが出来、本体部10の強度を向上させることが可能となる。
【0043】
さらに、上記嵌合部分に対応する箇所をかしめるだけで金属棒Kの端部同士を接続するとともにフック取付部13を形成することが可能となり、より効率的にハンガーを製造することが可能となる。
【0044】
[第3実施形態](図7〜図10参照)
次に、この発明にかかる枠体のさらに他の実施形態について説明する。この第3実施形態も上記各実施形態と同様、衣類やタオル等を掛け吊すための物吊りハンガーであるものの本体部をフックによって支持棒等に掛け吊すものではなく、基台によって支持されるスタンド形式の物吊りハンガーである点で上記各実施形態と異なる。以下、この第3実施形態を図7〜図10を参照して説明する。なお、上記各実施形態と同様の構成については図面において同一符号を付してその説明は省略する。
【0045】
この第3実施形態にかかるハンガーは、図7〜図10に示すように、衣類やタオル等を掛け吊す本体部10と、この本体部10を支持する土台としての基台50とを備え、複数本の本体部10が並設された状態で単一の基台50によって支持されることにより構成されている。
【0046】
本体部10は、上記各実施形態と同様に、1本の金属棒Kが折り曲げられ、その両端部が嵌合されてかしめられることにより連結され、略正方形の環状枠体として形成されている。そして、上記基台50に支持された本体部10の上部にタオルT等を掛け吊すものとなされている。なお、本実施形態では、1本の金属棒Kを折り曲げて枠体を形成しているので、そのかしめ箇所は最低一箇所で足りるが、複数本の金属棒を連結させて枠体を形成するものであってもよく、この場合には連結させる複数の箇所でもかしめられる。また、基台50によって支持される本体部10の数や高さ等はその使用状況等を勘案して適宜決定される。
【0047】
また、この金属棒Kの両端部の連結部分は、上記かしめにより金属棒Kの表面に凹凸部が形成され、この凹凸部が基台取付部60として利用される。この基台取付部60は、図8ないし図10に示すように、金属棒Kの径方向に突出して形成され、本体部10の底辺部10aにおける長手方向の両端部に上下1対ないし複数対(本実施形態では端部に2対ずつ)設けられている。そして、この基台取付部60のうち、かしめによって形成される基台取付部60は図8に示すように底辺部10aの左側端部の1対とされている。
【0048】
この基台取付部60は、基台50の後述する一対の半割体53,54に挟み込まれ、この挟み込み状態で後述する係合溝53b,54bに挿入されるものとなされている。
【0049】
基台50は、アルミニウム合金等の金属或いは合成樹脂等から構成される偏平板状の基台ベース51と、各基台ベース51に取り付けられた複数個のコロ52とを備え、このコロ52によって移動可能に構成されている。なお、コロ52は省略することができ、据え置き型の基台としても構成できる。
【0050】
基台ベース51は、厚さ方向の略半分で上下に分割された上下半割体53,54からなり、この半割体53,54で本体部10の底辺部10aの長手方向両端部を当該各端部に設けられた基台取付部60とともにそれぞれ挟み込むことにより本体部10を支持するものとなされている。各半割体53,54は、押出成形により形成され、各々に対向する面に金属棒Kの外形状に略沿った保持溝53a,54aが当該半割体53,54を横断した状態で設けられている。この保持溝53b,54bは、金属棒Kの外径と略同等ないし僅かに小さい略半円形状を呈し、本体部10の底辺部10aを挟み込んだ場合に、当該本体部10を挟着し得るものとなされている。
【0051】
ここで、本体部10の底辺部10aが保持溝53a,54aに挟着されることにより支持される構造を単に採用すると、この本体部10を構成する金属棒Kの断面が略円形であるため、当該本体部10に濡れたタオル等、比較的重いものが引っ掛けられると、底辺部10aがその中心軸を回転中心として周方向に回動することにより当該本体部10が倒伏する虞がある。そこで、この保持溝53a,54aの底面には、さらに基台取付部60としての突出部分が差し込まれる係合溝53b,54bが上記保持溝53a,54aに沿って設けられ、本体部10が基台ベース51に立設された状態でこの係合溝53b,54bに基台取付部60が挿入され、この基台取付部60が係合溝53b,54bに係合されることにより本体部10の倒伏が確実に防止されている。
【0052】
そして、各半割体53,54は、各対向面が重ね合わされて例えばビス等の固着具によって接合され、これにより本体部10を支持するものとなされている。なお、この半割体を接合させるための固着具を保持溝53a,54aの近接位置に配置することにより半割体53,54による本体部10に対する挟持力が向上し、これにより底辺部10aの軸方向に沿った本体部10のスライド移動も効果的に防止することができる。
【0053】
上記構成によれば、上記金属棒Kのうち上記嵌合部分に対応する箇所をかしめることにより金属棒Kの端部同士が接続されているため、従来のように金属棒の端部から上記枠体本体が変形することを抑制することが出来、枠本体の強度を向上させることが可能となる。また、金属棒Kを連結するためのかしめにより金属棒Kの表面に生じた凹凸部(基台取付部60)を有効に利用して、この基台取付部60を基台ベース51によって被覆状態に挟み込み、かつ、この基台取付部60を基台ベース51の係合溝53b,54bに差し込むことによりこの基台取付部60に対して金属棒Kの周方向に係合させた状態で本体部10が基台50に取り付けられるので、本体部10の倒伏を確実に防止することができ、簡易な構成で本体部10を基台50に対して確実かつ適正に取り付けることができる。
【0054】
なお、以上に本実施形態にかかる枠体について説明したが、この発明にかかる枠体は、上記各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、以下のような変更が可能である。
【0055】
上記各実施形態では、金属棒Kは、その軸線方向に直交する断面が円形状のものが用いられ、この円の径が軸線方向に沿って一定、すなわち太さが一定であるものが用いられているが、この金属棒の断面形状や太さ等は上記各実施形態のものに限定されるものではない。従って、断面形状は例えば四角形状のものであってもよく、一方金属棒の太さはその軸線方向に沿って変化するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1実施形態のハンガーにかかる正面図である。
【図2】(a)は同ハンガーにかかる本体部の連結部分近傍の断面図であり、(b)は、(a)のBB断面図である。
【図3】(a)は同ハンガーにおける本体部とフック部との取付け前の構造を示す斜視図でああり、(b)は両部材の取付け後の構造を示す斜視図である。
【図4】同ハンガーの本体部を製造する工程を示した図である。
【図5】本発明の第2実施形態のハンガーにかかる本体部の連結部分近傍の断面図である。
【図6】同ハンガーの本体部を製造する工程を示した図である。
【図7】本発明の第3実施形態のハンガーを示す斜視図である。
【図8】本体部を示す正面図である。
【図9】図7のIX−IX線断面図である。
【図10】図7のX−X線断面図である。
【符号の説明】
【0057】
10 本体部(枠本体)
11 突起部
12 凹部
13 フック取付部(凹凸部)
20 フック部(枠本体支持部)
31 本体抱持部
32 フック抱持部
40 嵌合部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一本の塑性変形可能な金属棒を折り曲げるとともにその両端部を連結することにより環状に形成された枠本体と、上記連結部分の位置で上記枠本体を支持する枠本体支持部とを備え、
上記枠本体の連結部分は、上記金属棒の一端部にその軸方向に沿って突設された突起部が上記金属棒の他端部にその軸方向に沿って凹設された凹部に嵌合されこの嵌合部分に対応する箇所をかしめることにより構成され、
上記枠本体支持部は、上記枠本体のかしめにより金属棒表面に生じた凹凸部を少なくとも一部において被覆させ、かつ、この凹凸部に対して上記金属棒の軸方向および周方向の少なくとも1方向に係合させた状態で当該枠本体に取り付けられていることを特徴とする枠体。
【請求項2】
一本の塑性変形可能な金属棒を折り曲げるとともにその両端部を軸方向に沿って連結することにより環状に形成された枠本体と、この枠本体における上記金属棒の連結部分に取り付けられた枠本体支持部とを備えた枠体において、
上記枠本体の連結部分は、連結される金属棒の両端部に軸方向に沿って凹設された各凹部が棒状に形成された嵌合部材の両端部に嵌合されこの嵌合部分に対応する箇所をかしめることにより構成され、
上記枠本体支持部は、上記枠本体のかしめにより金属棒表面に生じた凹凸を有する取付け部を被覆させ、かつ、この取付け部に対して上記金属棒の軸方向および周方向の少なくとも1方向に係合させた状態で当該枠本体に取り付けられていることを特徴とする枠体。
【請求項3】
上記枠本体は、衣類やタオル等を掛け吊すための物吊りハンガー本体として構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の枠体。
【請求項4】
上記枠本体支持部は、上記ハンガー本体としての枠本体を吊持するフック部として構成されていることを特徴とする請求項3記載の枠体。
【請求項5】
請求項1記載の枠体を製造する方法において、
一端部に軸方向に沿って突出する突起部が設けられるとともに他端部に軸方向に沿って凹陥する凹部が設けられた金属棒を折り曲げる工程と、
上記突起部を上記凹部に嵌合させることにより上記枠本体部の上記金属棒を環状の状態とする工程と、
上記嵌合部分に対応する箇所をかしめることにより金属棒の端部同士を接続するとともに、このかしめによって金属棒表面に生じる凹凸部を形成する工程と、
この凹凸部を少なくとも一部において被覆させ、かつ、当該凹凸部に対して金属棒の軸方向および周方向の少なくとも1方向に係合させた状態で上記枠本体支持部を上記枠本体に取り付ける工程とを含むことを特徴とする枠体の製造方法。
【請求項6】
請求項2記載の枠体を製造する方法において、
両端部に軸方向に沿って凹陥する凹部が設けられた塑性変形可能な金属棒を折り曲げる工程と、
棒状に形成された嵌合部材の各端部を上記凹部に各々嵌合させることにより上記ハンガー本体部の上記金属棒を環状の状態とする工程と、
上記嵌合部分に対応する箇所をかしめることにより金属棒の端部同士を接続するとともに、このかしめによって金属棒表面に生じる凹凸部を形成する工程と、
この凹凸部を少なくとも一部において被覆させ、かつ、当該凹凸部に対して金属棒の軸方向および周方向の少なくとも1方向に係合させた状態で上記枠本体支持部を上記枠本体に取り付ける工程とを含むことを特徴とする枠体の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−6907(P2006−6907A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−10172(P2005−10172)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(598115904)有限会社オーエムクリエイティブ (1)
【出願人】(000107114)シンコハンガー株式会社 (6)
【Fターム(参考)】